( ^ω^)ゴッドイーターのようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:12:45.20 ID:b6TsT2MT0
- 代理 立てばいいな
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:14:07.94 ID:Ydunxuhr0
- >>1代理乙
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:16:05.84 ID:n240Ye/W0
- 乙
そして支援
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:16:25.19 ID:qNPSt7Yh0
- 代理に感謝を込めてキッスユー!!!!111すいません調子に乗りました。
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1289140370/301-400
まとめて頂いてありがとうございます。
では第九話から投下します
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:17:55.19 ID:qNPSt7Yh0
-
帝都VIP。
大帝、モナー・ロワイエルが統治する、ニューソク大陸で最も広壮な領土を誇る帝国の首都。
魔導科学の発達したVIP帝国では、無駄が無くシンプルに街が区画分けされており、
灰色の石造りの、円筒型の建物が大小揃えたように立ち並ぶ。長く高いモノは比較的裕福な者の持家だ。
対して、最も数の多い一、二階建ての円筒が一般的な民家だろう。
独特な家の形よりも、さらに目を引くのは街の所々に聳え立つ大きな煙突だ。
やはり灰色の石で作られていて、どの民家よりも遥かに高く長い。
空に向かう程細く伸びたその先端にはぽっかりと穴が空いており、
そこから青や黄色、緑や赤、水色やピンク色の光粒をしきりに吐き出す。
その色とりどりの霧のような光粒が都全体の空を覆って、常に空を虹色のオーロラで染め上げることから、
帝都は虹色の都と呼ばれ、辺境の民からも華やかな都会として憧憬を抱かれていた。
日は帝都に昇り辺境に沈む、と歌われる程、帝国の首都は近郊の者たちにとって夢のような都である。
そんな華やかな大都市の中央に、さらに一際高く聳え立つ銀色の城。
ロワイエルパレスと呼ばれるモナー大帝の居城は、都のシンボルとなって大帝の威光を表していた。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:19:18.87 ID:b6TsT2MT0
- キッス受け取った嬉しい////すいません調子に乗りました
支援
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:20:04.63 ID:qNPSt7Yh0
-
楕円に突き抜けた天井から垂れ下がる紅い御旗の金刺繍の鷹が見下ろす玉座に、王は居なかった。
豪奢な、唯一無二の高潔しか座すことを許さない椅子は、ただ高圧的に、また魅惑的に広間を見渡している。
広間の城下側の壁は一面に青々とした空と城下に広がる虹色の都市を映し出し、
美しく七色に輝く広大な都のさらにその奥に広がる広漠な領土が見渡せる。
壁の中央に立つ椅子の主はしかし、それよりも遥か遠くに広がるだろう焦土を見ていた。
帝国とその敵国ガチホモの間に、大陸を分割するようにして広がるその禁域は、かつては領土を削りあった一つの国であった。
今は魔物の進化により滅びた、ヤオイ国である。
( ´∀`)「…。」
遥かに想いを馳せる壮齢の銅がね色の眼は、かつて若々しい獰猛さと冷徹な理性を兼ね備え、野心の焔を燃やしていた。
あの忌まわしい魔物の進化から幾年月。彼の瞳は疲れ、憂えていた。
ニューソク大陸を平定し、VIPを伝説の大国テラワロスのように強大な国家にせんと燃えていたあの戦乱の頃。
しかしその夢は、おぞましい姿形をした理性も持たぬ怪物たちによっていま少しのところで奪われた。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:21:40.36 ID:Ydunxuhr0
- しえんしえん!
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:22:36.33 ID:qNPSt7Yh0
-
誇り高き戦士たちは虫けらのように殺され、その屍は骨までしゃぶられ奴らの餌となった。
世界統一を掲げ攻撃の道を突き進んだ帝国軍は、あっという間に溢れかえった瘴気を撒き散らす化け物たちから、
国境線を死守する守り一辺倒の長き苦戦を強いられた。
その国境線すら、徐々に押しやられてきている。
世界有数の魔導科学先進国でもあると同時に、かつて侵略国家として辣腕を振るう軍事大国でもあったVIPが、
よもや己の代で覇道を遂げることも叶わず、薄汚い魔物どもに蹂躙されようというのか。
―――――それだけは。
それだけは、許してはならない。
知らず奥歯を噛み締めていた。唇が真一文字にきつく結ばれ、細い瞳が一層糸のように細まる。
( ´∀`)「・・・・・殲滅してやろうモナ」
あの愚鈍で単細胞な、醜悪で穢れた闇の化け物たちを、一匹残らず。
ニューソク大陸から、一匹残らず斬り伏せ、燃やしつくし、
このモナー・ロワイエルの前に立塞がった愚かな行為の粛清をさせてやる。
その為にならば―――――――
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:25:59.13 ID:qNPSt7Yh0
-
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第二章 『Les Souhaits ridicules』
第九話 不吉
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:26:20.30 ID:n240Ye/W0
- 支援
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:27:21.98 ID:qNPSt7Yh0
-
( <●><●>)「……」
王に謁見を許されるのはもう数度目になるが、背筋が伸びるような緊張感は変わらなかった。
傍らのワカンナインデス=ビロードは双子の弟で自分の配下だが、王に目通るのは初めてだ。
緊張に唇を震わせ、突付いたら倒れるのではと思うほど身体を強張らせている。
少尉の自分が王に何度も会うことが出来るのは、それが期待の大きさによるものだと、分かっていた。
( ´∀`)「そう畏まるな、ビロード兄弟」
玉座に座すは、柔和な面持ちをしたどう見ても三十後半といった風貌の男だった。
大帝と呼ばれるには若すぎるように思える。
垂れた瞼から覗く双眸には、子供のような無邪気さが光り、一層若く見せている。
だから、王の実年齢を聞いた時には驚嘆した。
二十近くも若く見える人間など、そうはいない。
( ´∀`)「流石報告書をあげるのが早いモナ、ワカッテマス少尉。早速目を通させてもらったモナ」
( <●><●>)「恐縮にございます」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:30:17.50 ID:qNPSt7Yh0
-
( ´∀`)「刺青の男は見つからなかったモナか」
( <●><●>)「申し訳ございません」
( ´∀`)「今回の捕り物で、お前以上に速く動けた者は居ないモナ。
引き続き捜索を任せるモナ」
( <●><●>)「……必ずや、捕えて見せます」
( ´∀`)「うむ、期待しているモナ」
( <●><●>)「恐れながら、別件で捕えたガチホモの内通者、ヒッキー・ドルイドの処罰は・・・」
( ´∀`)「今更内通者か」
顎を摩り、考える仕草を見せたのも一時。直ぐに答えは返ってきた。
( ´∀`)「いらん。機を見て殺せモナ。それまで拷問しろ」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:32:02.48 ID:qNPSt7Yh0
-
機を見て、というのは、闘技大会のことだと言われずとも分かった。
適当に拷問して時間を潰し、闘技大会が終われば殺せということだろう。王はこの闘技大会を心から楽しみにしているようだった。
逆賊や間者の処刑は主に見せしめとして、民衆の眼の届く場所に晒される。
神聖な武の祭典を前に、都を穢れた血で汚したくは無い。
そんな王の真意を測り、ワカッテマスは了解致しましたと答えた。
王は静かに頷くと、その儘徐に椅子から立ち上がり、緩慢な所作で城下の景色が一面に投影される仕掛けの壁の前に歩いた。
自分が謁見する際、王はいつもそうして其処から城下を眺めている。
魔導機の埋め込まれた頑丈な壁故、外から中の様子が伺い知れることはない。
映写の光に照らされる横顔が、ふと懐かしむように遠くを見た。
( ´∀`)「クックルが帰ってきたモナか……」
( <●><●>)「…。はい」
報告書には、包み隠さず書いた。元中将のことも、間抜けそうなあの大罪人と同じ名前の男のことも。
だからその名が王の口から出ても驚きはしなかったが、少尉にとって決して小気味いい話ではない。
王の横顔から視線を床に向ける。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:32:29.86 ID:b6TsT2MT0
- 支援
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:32:50.15 ID:nKEEeCevO
- 支援
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:36:09.97 ID:qNPSt7Yh0
-
( ´∀`)「剣を交えたモナ?」
( <●><●>)「元中将とは知らず、丸腰の相手に些か軽率でした」
( ´∀`)「モナッハッハッハッハッハ!!」
突然嬉々として哄笑を上げた王に、思いがけず困惑して顔を上げた。
恐れ多いことだが、笑われたことに若干の非難がましい感情も混じった。
( ´∀`)「彼奴は豪腕のクックルと呼ばれた凄まじい猛将モナ。
武器などあの男は必要としない。
モナーはお前が真っ向から仕掛けたことを評価しているモナ」
( <●><●>)「……」
( ´∀`)「二度と慢心などするなモナ。いかなる相手にも、だ」
(;<●><●>)「…は、ハッ!」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:38:24.15 ID:qNPSt7Yh0
-
じわりと汗が滲んだ。あの報告書だけで、大帝はどこまで見通しておられるのか。
無論、己の心情など報告書には書き添えない。書き添えるわけがない。
だのに、厳かな眼力に、己の心まで見抜かれている錯覚すらする。否、錯覚でもないのかもしれない。
王は少尉のワカッテマスからすれば遥か高み。自分の存在が彼の前に限っては恐ろしく未熟な小物に思える。
そんな者の内心を見透かすなど、この男性の前では造作もないのかもしれない。
自分がまだ仕官になる前、ガチホモとヤオイとの交戦が激しかった頃、ある仕官が処刑された。
ヤオイ国の間者だったのだ。朗らかで人も良く、人格者と歌われていたその仕官を疑う者は無かった。
ある日、その仕官を含め軍の将を集めた宴の席で王が言う。
( ´∀`)「モナーはVIPの戦士たちを誇り、信頼しているモナ」
王はそう切り出し、それぞれの杯に酒を満たさせるとこう言った。
( ´∀`)「杯を掲げる前によく聞けモナ」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:40:14.82 ID:qNPSt7Yh0
-
( ´∀`)「モナーとお前たちは皆等しく戦場に立ち、共に庇い合い戦ってきたVIPの戦士だ。
モナーはVIPの皇帝である前に、同じ戦士としてお前たちに接しているモナ」
( ´∀`)「だが時に、戦士である前に皇帝として、お前たちを見えざる悪意から守らねばならない。
見えざる者は、お前たちの中に姿を隠し、お前たちが戦前に立った時、いずれ本性を現し
お前たちを失意と混乱の底に陥れてしまう」
( ´∀`)「何故彼の者がお前たちに見えないか、それはお前たちの中に居るからだ。
同じように血を流し同じ罪を犯し助け合った者を、心の底から冷静な眼で観察することは難しい。
モナーは皇帝としてその者をお前たちの中から見出し、断罪しなくてはならない」
( ´∀`)「杯を煽る者は、VIPへの魂の忠誠を示すモナ」
祝いの席での突然の言葉を聴いた時、全員が驚きはしたが、試されたとは思わなかった。
なぜなら王はただ一点を見据えて言っていたからだ。ただ一人の仕官だけを。
その仕官は杯を捨て、その場で捕らえられた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:43:08.43 ID:qNPSt7Yh0
-
ワカッテマスは先輩仕官から聞いたそんな話を、不意に思い出していた。
一層緊迫した空気に、ワカンナイデスが窒息死しそうになっている。
( ´∀`)「お前はまだまだ慢心するには若いモナ。その点、弟のワカンナイデスに学ぶモナ」
ワカンナイデスが、王に名を呼ばれて、ひ、と小さく悲鳴を上げた。
頼りなさ過ぎる弟ではあるが、自分とは違い人心を掴むのには長け、兵卒の信頼は厚い。
しばしば舐められすぎる点があるが、ワカッテマスにとっては己に無いものを補ってくれる腹心だ。
誰あろう王にその部分を理解されていることは、素直に嬉しかった。
( <●><●>)「では、私は早速任務に戻りたいと思います」
( ´∀`)「もうか? 余り無茶をするなモナ。
防衛線から直行して検閲を行ったモナ。ろくに寝ていないのではないか?」
( <●><●>)「大罪人を一刻も野放しに出来ません」
( ´∀`)「頼もしいモナ。闘技大会が終わった暁には、お前を少将に就けようと思っているモナ」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:44:44.01 ID:shPLXeDO0
- エリック!支援だ!
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:47:42.38 ID:rJn2bmF50
- おいおい何階級特進だよ
すげーなワカッテマス
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:51:15.62 ID:SXSOQELC0
- ゴッドイーターって大剣しかないモンハンと思って差し支えない?
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:52:23.73 ID:o2XJme1NO
- それを何故ここで聞くのか支援
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:56:33.52 ID:NUtFuqLM0
- まとめは貼らないのか?
http://boonsoldier.web.fc2.com/GE.htm
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:56:45.37 ID:SXSOQELC0
- ごめんそんなかんじのスレじゃなかったね
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:08:32.44 ID:/GDkSYSY0
- すみません、回線不調のようです。ゆっくり投下になるかもしれなくてすみません。
>>23 モンハンに近いのかな? 自分イヤンクックルさんしか倒したことなくて知識が薄いのですが
>>25 まとめ張ったつもりでした。助かります、ありがとうございます
では続き投下します
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:09:30.40 ID:/GDkSYSY0
-
( ;<●><●>)「!、い、いきなりですか。それは余りに反発が大きいのでは」
( ´∀`)「低すぎる階級など、有能な能力の前では足枷に過ぎんモナ」
( <●><●>)「も、勿体無いお言葉です…!」
( ><)「すごいんです!一気に少将なんてすごいんです!」
それまであんなに震えて口も利けなかった弟が、両手離しに喜んだ。
( ;<●><●>)「お、王の前だぞ、ワカンナインデス!」
( ´∀`)「構わん!モナッハッハッハッハッハ!」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:10:21.43 ID:Ydunxuhr0
- 支援
イャン( ゚∋゚)て勝ち目なさそうだな…
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:11:10.47 ID:/GDkSYSY0
-
謁見の間を後にし、緑石の回廊を硬質な音を響かせて二組の軍靴が歩く。
軽く浮き足立った弟の靴音とは対照的に、兄の足取りは重かった。
( ><)「やっぱり兄様はすごいんです! 早速お祝いするんです!」
( <●><●>)「駄 目 で す」
( ><)「ど、どうしてなんです!?」
( <●><●>)「私はまだ少尉なんです。少尉としての任務が残っているんです」
( ;><)「うぅ、兄様は硬いんです!…っとと?」
コツ。回廊の中ほどで、ワカッテマスが唐突に足を止めた。
数歩先で、ワカンナイデスが慌てて振り向く。兄は俯いて瞳を怪訝に細め、唇の前に軽く曲げた人差し指を翳している。
弟は知っていた。兄がその仕草をするのは、何か言い知れぬ不安を感じている時だ。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:12:55.20 ID:NUtFuqLM0
- しえんくっくる
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:13:49.30 ID:/GDkSYSY0
-
( ><)「兄様?」
( <●><●>)「ワカンナイデス、気づきましたか?王の傍らに居た者に」
( ><)「う?誰か居たんです?」
( <●><●>)「私も気づいたのは広間を出る時でした」
真っ黒な衣を頭から被って、王の椅子の斜め後ろに柳のように立つ男の姿が、網膜に焼き付いたように離れない。
自分にすら一片の気配も感じさせないその姿を見た時、自然と体中に怖気が走った。
大帝の傍らに死神などと、縁起でもないことだが、あれはそう形容せざるを得ない。
帝国に仕えてこの方、一度も見たことがない存在だ。
よりにもよってこの時期に、大罪人に内通者、そして不吉な予感を禁じえぬ黒衣の影――――。
( <●><●>)「闘技大会が…無事に終わるといいのですが」
( ><)「…ワカッテマス?」
不安を拭い去るようにして膝を突き動かし、早足に歩き出す。
硬質な足音を響かせて振り切るように歩く兄の背を、弟が不安げに追った。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:17:06.29 ID:/GDkSYSY0
-
ブーンたちは漸く帝都VIPへと入った。
華やかな都会の駅は、ダディクールの古びた駅とは全く違っていた。
真新しい石造りの、屋根まである巨大なホームに到着して列車を降りると、
空いっぱいに広がる七色の魔法のカーテンに迎えられる。
( ^ω^)「おほー、いつ来てもここは凄いお」
少年が帝都に訪れるのはこれが初めてではなかった。帝都には王族貴族が矢張り多く住む。
その分、彼らの所有する遺跡に入ることを依頼されることも少なくない。
流石にモナー大帝からの依頼はブーンには舞い込んできたことはないが、ゴッドイーターの出入りは比較的多い都市だ。
VIPはまた、魔導機の先進国でもある。
魔導機とは、魔法の力を原動力として機械や回路を用い、効率的に起動させる道具のことだ。
魔力を持つものが使えば最小限の魔力で済むし、魔力を持たない者も魔力を蓄積させた石さえあれば
同じ効果を得ることが出来る。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:19:05.01 ID:/GDkSYSY0
-
例えばこの街で時折見かける、商店の壁などに設置された投影壁。
限定された壁一面に店内の様子や、新商品などがおぼろげに映し出されるこれも、魔導機の一種だ。
もっと性能のいいモノだと、まるで鏡に映しているようにくっきり見えるらしい。
他に列車や、検問の時に見た装甲車、それに付いていた魔法光装置も同じ魔導機である。
だがこれらは一般の手に届く代物ではない。魔導機にはピンからキリまであるが、まだまだその大くは高価なものだ。
この魔導機は、ゴッドイーターたちにもしばしば供給され、重宝される。
ブーンの持つランタンも、スイッチ一つで光が灯り、通常の炎のように揺れや風で消えることはない。
( ^ω^)「折角だから魔力石(カレイド)を新調するお」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:20:57.27 ID:n240Ye/W0
- 支援
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:21:21.36 ID:a8Q/XJe6O
- しえ
>>23
片手剣or大剣or太刀どれかの剣
+ライトorヘヴィor中間のどれかの銃
+片手盾、大剣盾、ランス盾どれかの盾
+神を捕食する力
を組み合わせて武器作る感じ
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:21:34.39 ID:/GDkSYSY0
-
足取りも軽く、商店の方角を仰ぎ見る。カレイド、とは魔力を封じておく石で、電池のようなものだ。
魔動機はこの石を内臓し動かすものが殆どで、事前にこの石に魔力を充電しておけば、
旅先で余分な魔力を使わずに使用することが出来る。
カレイドという名前の由来だが、魔力を注入した時、石が万華鏡のようにキラキラと発光することから名付けられた。
このカレイドにも大小から上下級まで、様々な種類がある。
ともかく、長く危険な旅をするゴッドイーターたちにとっては、重要な仕事道具だ。
( ゚∋゚)「ブーン君!!大変だッ!!!111」
( ^ω^)「おっ!?一体どうしたんだお!?」
後から列車を降りてきた巨躯が、血相を変えて追ってきた。
( ;゚∋゚)「ゆ、行方不明なんだッ!」
( ^ω^)「お、落ち着いて話すおクックル」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:23:15.53 ID:yWxtFwfZO
- >>36
ここはゲームスレじゃない
ゆとりがよううざいんだよ!
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:24:27.82 ID:/GDkSYSY0
-
チームメイトの行方が分からないというのだろうか。だとしたら一大事だ。
闘技大会に参加できなくなってしまう。
( ;∋;)「にゃんこちゃんが行方不明なんだああああああッ!」
( ;^ω^) ズコー
( ;∋;)「 ズコー とは何だねッ!!? 愛すべき家族が心配じゃないのかねッ!
こんな広い都で、あんなか弱いにゃんこちゃんが一匹でッ!
今頃路頭に迷ってお腹をすかせて泣いているッ!!」
( ;^ω^)「家族じゃないし、それはないと思うんだお」
( ;∋;)「あれッ!? 虐待!? 虐待なのかなッ!? かなッ!?」
( ;^ω^)「ちょwwwwwwおちつけwwwwww」
( ^Д^)6m「何あいつ超ウケるwwwwwww」
<ヽ`∀´>「元中将が聞いて呆れるニダwwwwww」
Σ( ^ω^)「っておおおおおお!!?」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:26:14.25 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚∋゚)「む、君たちは確か列車で」
( ^ω^)「いや、ていうか生きてたのかおニダの人」
Σ<ヽ`∀´>「誰がニダの人ニダ! ニダーはニダーニダ! ニダー様と呼ぶニダ!」
( ^Д^) 「ニダニダうっせーなニダー。あんまニダニダ言ってッとニダーがダニになっちまうぜ」
<#ヽ`∀´>「プギャー!ニダー様を馬鹿にするとニダが許さないニダー!」
( ;^ω^) (二人ともニダニダうざいお)
( ^Д^) 「で、おめーらもこれからコロッセウムで参加登録か?」
( ゚∋゚)「いや、先ずメンバー全員に会ってからだ」
( ^Д^)「ふうん?」
( ^ω^)「おっ?」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:27:07.62 ID:shPLXeDO0
- 一文字すらタイトル変えない>>1にも原因あるだろ
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:27:19.15 ID:yWxtFwfZO
- くそゆとりから護ってやるからな
1よ
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:28:35.39 ID:n240Ye/W0
- ニダーという言葉でゲシュタルト崩壊支援
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:28:44.65 ID:/GDkSYSY0
-
じろじろと、不躾な視線だ。ブーンの爪先から頭まで、遠慮なく眺める。
少年にとってその行為自体は慣れたものだった。そして視線の主が自分に抱いている感情も、大体分かる。
というか、故意に分かるようにやっているんだろう。馬鹿にするような目をして、こちらの反応を伺っているのだ。
嘆息しそうになるのを抑えて、頬を掻いてそしらぬ振りを決め込んだ。
どんな反応を返しても面倒そうだ。相手はそこらのゴロツキと変わらない、と思い込むことにした。
( ^Д^)「ちッ」
ブーンの反応が相当ご不満だったようだ。
舌打ちされ睨まれた。
( ゚∋゚)「気は済んだかね?」
クックルもその様子を理解していたのだろう。助け舟はまったく出してくれなかったが、正解だ。
何か口を出していたら、プギャーはここぞとブーンを罵倒したろう。
だが、代わりに標的がクックルに移ったのは予想外だった。
( ^Д^)「クックル、お前ぇ、本当にそのガキをメンバーに入れる気かよ?」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:29:12.00 ID:yWxtFwfZO
- >>41
スレ内容も確認できないからゆとり(笑)って馬鹿にされんだよ
スレ違いだ!さっさと消えやがれ!!!!!
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:30:40.54 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚∋゚)「もちろんだ」
( ^Д^)「そんな傷だらけで得体のしれねぇひょろ枝をか?」
<ヽ`∀´>「ニダニダニダニダ!」
Σ( ^ω^) (今のは笑い声かお!?)
<ヽ`∀´>「他のメンバーがどんな奴か知らないニダが、これなら大したことなさそうニダ!」
自分がクックルに遠く及ばないだろうことは分かっているが、
腹からステッキを生やされていた男に言われたくはない。
( ゚∋゚)「侮ってはいけない。ブーン君はこれでもうちの大将だ」
( ^Д^) <ヽ`∀´>
( ^ω^) < よッ!おいらが大将ッ!
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:31:30.52 ID:NUtFuqLM0
- モナッハッハッハッハッハ!
ニダニダニダニダ!
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:32:29.42 ID:yWxtFwfZO
- わかったか!くそゆとりは全員消えろ!帰れ!死ね!くたばれ!
さぁ1さん邪魔なガキは消しました
思う存分どうぞ!
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:32:36.99 ID:/GDkSYSY0
-
( ^Д^) 6m「プギャ――――――!!!!」
<ヽ`∀´>「ニダニダニダニダニダニダッごふッ!?傷口がっ!!!」
( #^ω^)「しね!その侭死んでしまうお!」
( ^Д^)「ひー、ひー、ひでぇジョークだぜ、クックル」
( ゚∋゚)「ジョークなど言っていないが?」
( Д )「だったら考え直せ」
( ;^ω^)「…」
( ^Д^) 「よもやあんたほどの男が、参加も危ういガキを大将に据えて、
神聖な闘技の場を侮辱しようってのか」
<ヽ`∀´>「あーあ、怒らせたニダ。プギャーは戦いの事になるとすぐ熱くなるニダ」
肩を竦めて、面倒そうにニダーが先に行ってしまう。
残された男は構わず、クックルに異常な怒気を放っていた。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:34:24.01 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚∋゚)「君が闘いをどう捉えているか知らないが、それを侮辱する気はない。
我々は我々のやり方で、精一杯やらせてもらうつもりだ
そうだろう、ブーン君」
( ;^ω^)「そ、そうだお」
自分は所詮数合わせだ。
目的は他にあるが、クックルは自分を褒賞目当てだと思っているだろう。
胸を張ってそうだといえる立場ではない。
( ^Д^) 「ちっ」
ブーンを一睨みして、忌々しげに舌打しながらプギャーが踵を返す。
( ゚∋゚)「やれやれ」
肩を竦めるクックルの背中を、居た堪れない気持ちで眺めた。
自分が馬鹿にされるのは一向に構わない性質だったが、
自分の所為で誰かが一緒に馬鹿にされることなど今まで無かった。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:35:45.10 ID:yWxtFwfZO
- 邪魔なガキが消えたのはいいが
なんか初回よりも劣化してないか?
つまんないんだが
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:37:01.08 ID:b6TsT2MT0
- 支援
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:38:23.80 ID:shPLXeDO0
- 新手の荒らし使いか
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:38:55.60 ID:nKEEeCevO
- 支援!
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:38:59.78 ID:/GDkSYSY0
-
( ;^ω^)「なんか、すまないお、クックル」
( ゚∋゚)「いや、君が気にすることじゃない、私も少し意地になって大人気なかった」
( ^ω^)「クックルも意地になることがあるんだお?」
そうは見えなかっただけに、意外だった。
( ゚∋゚)「君は私が選んだチームのメンバーだ。馬鹿にされれば、多少は嫌な気持ちになるさ」
( ;^ω^)「おっ?でもブーンはただの数合わせだお、そんな気にしなくても」
( ゚∋゚)「もう私はそうは思っていないが?」
Σ( ;^ω^)「えぇ」
( ゚∋゚)「ちょっとは悔しくなかったかい? あんな風に言われて」
クックルが腰を曲げる。巨躯にしては小さめの顔が近づいて耳元で囁いた。
( ゚∋゚)「それに君はあの検問で捕まりそうになっても、随分冷静だったように見えたね」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:41:10.03 ID:NUtFuqLM0
- 私怨
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:41:24.08 ID:/GDkSYSY0
-
( ^ω^)「!」
しっかり観察されていたのだ。自分が逃げる算段を立てていたことまで顔に出したとは思えないが、
クックルの鋭い視線には、とても濡れ衣を着せられた哀れな被害者には見えなかったろう。
とすれば、疑問は湧き上がってくる。
というか自分ならば疑う。大罪人ではないにしろ、何か厄介なものを抱えているに違いない、と。
そんな怪しくて、役人に眼を付けられた男なんぞ願い下げな筈だ。人数あわせならば他に探せばいい。
( ;^ω^)「……なんであの時ブーンを助けたお?」
( ゚∋゚)「私はね、ブーン君。人を見る眼はあるつもりだ」
( ^ω^)「おっ?」
クックルは少し頷いて、円らな、まるで鳥のような眼でブーンを期待に満ち見つめている。
……そういえば、どことなくこの男の顔は鳥に似ている。
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:41:43.76 ID:yWxtFwfZO
- やっぱ劣化してるってファンタジー好きの俺からしたらなにファンタジー舐めてんの?
出直してこいやくそ駄作者が!!!!!!
ファンタジーは遊びじゃないんだよ!!!!!
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:43:24.96 ID:/GDkSYSY0
-
いや、結構似ているかもしれない。むしろ、そもそも、鳥っぽすぎないか。
寄せられた唇は、唇というよりも黄色い嘴な気がしなくもない。何故だ。果たして人間に嘴なんてあったろうか。
そういえば赤く風に靡くオールバックの髪―――――
( ゚∋゚)「聞いてる?」
( ^ω^)「おっ!?」
( ゚∋゚)「うむ、まぁそういうことだから」
( ;^ω^)「えっ(しまった、全然聞いてなかったお)」
( ゚∋゚)「はっは、大丈夫、最初に言った条件について撤回する気はない。
君は大将として出番が来るのを待っていてくれればいい」
( ^ω^)「あ、うん(あ、なんだそこは変わらないのかお)」
少年はその言葉に少し安堵した。が、クックルが自分をやたら期待に満ち満ちた眼で見つめて来る。
これは何だか不味そうだ。念のために確認しておかなくてはならない。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:44:53.70 ID:b6TsT2MT0
- そういやクックルの∋←コレ鼻だと思ってた時期があったなあ
支援
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:45:34.95 ID:/GDkSYSY0
-
( ^ω^)「『万が一出番が来たら?』」
( ゚∋゚)「何、そこからは君の好きなようにやるといい」
なるほど、確かに条件は変わっていない。
Σ(゚ Θ゚)b < グッ
だが、明らかになんか期待されている。
( ;^ω^)「やれやれだお」
元VIP中将、輝ける豪腕のクックル。
やはり彼もまた、中将としてVIP軍を率いていた男なのだ。ただの動物愛護狂ではない。
自分の出した条件を曲げることなく、相手の気持ちを変えようとする狡猾さを持っている。
( ^ω^)「…。(鳥だったら三歩歩いて忘れるのに)」
不意に彼が何故闘技大会に参加するのかが気になった。
彼のような男が、今更名誉や褒章目当てとも思えない。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:49:54.43 ID:NUtFuqLM0
- しえんだ
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:51:44.75 ID:/GDkSYSY0
-
( ^ω^)「―――クックr」
( ゚∋゚)「さて、ブーン君。宿はアテがあるんだ。酒場で仲間と待ち合わせしている」
( ^ω^)「おっ、分かったお」
( ^ω^)(聞きそびれたお…ま、いっか)
*
(*^ω^)「おっおっおっおっおっー!!!」
帝都VIPの中でも、旅人が主に立ち寄る、宿や酒場の集まる区域。
決して治安がいいとは言えない路地に並ぶうちの一軒。
旅の宿、『ホテルおふくろ』が、クックルに案内された場所だ。
ホテル、というには随分古めかしく、外観の窓が数枚割れていて、
風が吹くたび黄ばんだカーテンが顔を出す。どちらかというとゴーストハウスと言った方が相応しい。
地下に併設された、未だ昼間の酒場には他に客も居ない。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:54:23.43 ID:/GDkSYSY0
-
J( 'ー`)し「あらあら、すっかり酔っ払っちゃってw」
カウンターの内側から、慈母のような微笑で
両手を広げ走り回るブーンを眺めているのは、この宿兼酒場のオーナー、カーチャンだ。
クックルとは、彼が軍人の頃からの古い付き合いだと紹介してくれた。
( ;゚∋゚)「すっかり出来上がってるな」
J( 'ー`)し「ふふふ、息子のたけしを思い出すよ」
カウンターの前に座る大男が、彼には小さすぎるグラスを傾けるのを見ながら、
ワタナベさんが小首を傾げた。
( ゚∋゚)「そういえば、息子さんはどうしたんだ?」
J( 'ー`)し「旅に出たっきりでね…。手紙も送る暇がないほど、あの子は忙しいみたいだねぇ」
( ;゚∋゚)「そ、それは気の毒だが、もう彼にウォッカを一気させるのはやめてあげてくれ」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:57:21.60 ID:/GDkSYSY0
- >>64 訂正
×;カウンターの前に座る大男が、彼には小さすぎるグラスを傾けるのを見ながら、
ワタナベさんが小首を傾げた。
○;カウンターの前に座る大男が、彼には小さすぎるグラスを傾けるのを見ながら、
カーチャンが微笑んだ。
J( 'ー`)し「おや、すまんねぇ、息子は喜んで飲んだもんだから」
( ;゚∋゚)「相変わらずだな」
( ゚∋゚) < 良い子良い大人の皆は未成年にアルコールを勧めてはいけません
クックルとの約束だ☆
J( 'ー`)し「いらっしゃい」
扉が開いて鈴の音がした。
( ゚∋゚)「おお、来てくれたか。ブーン君、先ず一人目を紹介しよう」
( ゚д゚)「クックルさん、おひさしぶr―――」
( *^ω^)「ひゃっほーwwwwないすつーみーつー!」
( ゚ω゚) (゚д゚ )
( ω ) ゚゚ ゚゚ ( д )
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:58:37.00 ID:NUtFuqLM0
- こっち見ろよww
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:59:01.57 ID:Ydunxuhr0
- しえん
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:01:13.33 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚∋゚)「おや?知り合いかね?」
( ;^ω^)「ミルナだお!?」
( ゚д゚ ;)「お、お前何でこんなところに…!」
( ^ω^)「ミルナこそユッセはいいのかお!!?」
( ゚д゚ ;)「ばッ!?ちょっと来い!」
ミルナ・リヒト。
ユッセの領主の実の息子の彼とは、ユッセで十日ほど前に別れたばかりだ。
青年がずかずかと近づき、ぽかんとするクックルに背を向けて
ブーンの首に腕を回し、強引に顔を近づけて声を潜めた。
( ゚д゚ ;)「いいか、俺の身分はまだ騎士ってことになってんだ、ややこしくなるから絶対言うなよ」
( ^ω^)「おっおっ?」
( ゚д゚ )「お前こそゴッドイーターの仕事はどうしたんだよ?」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:04:11.26 ID:n240Ye/W0
- しえん
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:04:30.22 ID:/GDkSYSY0
-
( ;^ω^)「うっ、ブーンにも事情があるお、ゴッドイーターだってことは黙ってて欲しいお」
J( 'ー`)し「まぁまぁ、とっても仲良しさんみたいだね?」
( ;^ω^)( ゚д゚; ) <え、えへへへへ
( ゚∋゚)「まさか二人が知り合いだったとは」
( ^ω^)「し、知り合いっていうかその」
( ゚д゚ )「まぁ、なんというか、たまたま」
( ^ω^)「でも、どうしてクックルとミルナが?」
( ゚∋゚)「うむ、彼の父とは古い友人でね」
( ^ω^)「おッ!?ユッセの王s」
( ;゚д゚ )「おおっと蚊が!」
( #)ω゚)「むぶッ!?」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:06:49.19 ID:/GDkSYSY0
-
痛い。どうやらミルナの平手打ちを食らったようだ。
( ;゚д゚ )「ブーンは知らなかったな! 俺の父はユッセの騎士なんだ!」
( ;゚∋゚)「う、うむ。それで、最初は彼を誘ったんだが、
彼は重要な立場でね。都を出るわけにもいかないと言うんで、
息子のミルナ君を紹介されたんだ」
( ;^ω^)「な、なるほどだお」
( ゚д゚ )「豪腕のクックルさんと組めるなんて、こんな機会はありませんから」
( ゚∋゚)「私も、現ユッセの若きホープと組めるとは有難い」
( ^ω^)「ミルナがホープだお?」
訝しげにミルナを見やる。
前回古城で、一度剣を向けられてはいるが、とてもそうは思えない。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:08:11.66 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚д゚ )「ンだよその目は」
( ゚∋゚)「ブーン君、安心したまえ。ミルナ君は強いぞ」
( ゚д゚ *)「クックルさんには到底及びませんが」
( ^ω^)「・・・・」
二人はその実力を認め合っているようだ。ミルナの頬が赤い。
なんか気持ち悪い。あれ?このむずむずする気持ち…これってもしかしt
J( 'ー`)し「さあさあ、挨拶が済んだなら座って?皆長旅でお腹空いてるでしょう?」
カウンターの向こう側から、いい香りがしている。
肉じゃが、ハンバーグ。おふくろの味を彷彿とさせるメニューばかりだ。
( ゚∋゚)「ああ、そうだな。全員揃ったところで、飯にしよう」
( ^ω^)「おっ?全員?」
( ゚д゚ )「参加条件は最低四人ですよね?後一人居ると聞いていたんですが」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:09:39.39 ID:n240Ye/W0
- ブーンはなんでむずむずしてんだwww
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:09:39.89 ID:o2XJme1NO
- まさか……
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:10:02.77 ID:/GDkSYSY0
-
J( 'ー`)し「うん、ごめんね、カーチャンだよ」
( ^ω^) ( ゚д゚ ) < へ?
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:12:39.22 ID:o2XJme1NO
- そのまさかだった
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:12:46.58 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚∋゚)「おっと、その紹介がまだだったね。
彼女がメンバーの最後の一人、カーチャンだ。」
( ゚д゚ )「じょ、女性ッ!?」
( ;^ω^)「てか、カーチャンが闘うお!?」
J( 'ー`)し「あら、なんだい?女だからって闘えないっていうのかい?」
二人の驚嘆する様子を見て、料理の乗った大皿を並べながら唇を尖らせる、カーチャン。
( ;^ω^)「そんなことないお、けど、びっくりしたお」
( ;゚д゚ )「あ、危なくないですか?」
( ゚∋゚)「いや、彼女を侮ってはいけない。
彼女は宿の主人に納まってはいるが、現役の傭兵だ。
かつては三国戦争にもVIP側に立って参加していた」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:14:38.83 ID:/GDkSYSY0
-
少年と青年は、さらに目を丸くして驚かざるを得なかった。
三国戦争とは、魔物の進化でヤオイ国が滅びる以前、
VIPとガチホモとヤオイが領土争いをしていた、ニューソク大陸史上最も壮絶な戦だ。
どこか懐かしさを感じさせる顔立ちに湛えた柔和な微笑みからは、戦争屋をしていたなどと想像もつかない。
J( 'ー`)し「今回の大会で優勝したら、完全に引退するつもりなの。
賞金でこの宿を立て直すつもりだよ。
そういうことだから、よろしくね、ブーン、ミルナ」
言いながらカーチャンが、ショットグラスにテキーラを人数分注ぐ。
いや、人数分、じゃない。明らかに多い。十杯、二十杯。恐ろしい手捌きで次々に注ぐ。
あっという間にカウンターの上は大量の料理と酒で埋め尽くされた。
ブーンとミルナが、カウンターを占領する夥しいテキーラの数に青ざめていると、
頗るにこやかに彼女は言い放つ。
J( 'ー`)し「注ぐの面倒でしょ?ぜーんぶ飲んでいいんだよ。さ、乾杯しましょ!」
( ゚∋゚)「登録の締め切りまではまだ十日はある。今日は安心して飲むといい」
( ゚∋゚)「・・・頑張れよ」
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:15:35.01 ID:Ydunxuhr0
- カーチャン…
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:16:51.74 ID:/GDkSYSY0
-
最後に一言、小声でクックルが付け加えた。
これから起こる惨劇を物語るかのように。
J( 'ー`)し「じゃあ、全員の健闘と優勝を願って、」
『カンパーイ!』
*
両手を広げて走り回るブーンの背中に乗って、ミルナが叫びまくっている。
( *^ω^)「ブーーーン」
( *゚д゚ )「おせえええええ!おせえぞブーン!!全然だめだ!!」
⊂二二二( #*^ω^)二⊃「おっおっおっ!! ブーーーーーーーーン!!!」
( #*゚д゚ )「ふっざけんなよ、お前の力はそんなもんかッ!!!」
( *゚ω゚)「びっくりッ、するほどッ!!」
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:18:15.36 ID:b6TsT2MT0
- ユートピアッ!
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:18:54.91 ID:n240Ye/W0
- ユートピア!
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:19:46.76 ID:/GDkSYSY0
-
( *゚д゚ )「ゆーとぴああああああああッ!」
( ^ω^)「…」
( ゚д゚ ) エッ
<ふっざけんなブーン、何で俺だけに言わすんだあああああああああああああ
クックルがその巨躯で床を踏み抜かんばかりに、逃げる猫を追いかけている。
( *゚∋゚)「にゃんこちゃんッ! どこ行ってたのにゃんこちゃあああああんッ! ちゅっちゅしたいよおおおお 」
( ;ФωФ)「フーッ!!!!」
その様子をカウンターから微笑ましく眺める女性が一人。
J( 'ー`)し「良かったわ、皆楽しそうで…。息子を思い出すよ」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:22:10.93 ID:/GDkSYSY0
-
その日誰一人として、『ホテルおふくろ』の酒場の扉を開きはしても、潜る者は無かった。
( *゚д゚ )「ゆううううとぴああああああああああッ」
( ^ω^)「・・・クス」
Σ( ゚д゚ )
( #゚д゚ )「うおおおお!!11 言えよ! お前も一緒に言えったらああああああ」
( ゚д゚ )
( ^ω^)
( ;д; ) ウッ
( *゚∋゚)「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんこちゃああああああああん」
J( 'ー`)し「ふふ、たけし、見てるかい・・・?ふふふふ」
・ ・ ・ ・ ・
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:22:34.90 ID:yAInC9N5O
- カーチャンが闘うの想像したらなんかシュールだなw
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:24:24.54 ID:/GDkSYSY0
- すいませんどうしても我慢できないんでちょっとうんこしてきます
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:25:39.58 ID:o2XJme1NO
- うんこ
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:27:24.15 ID:n240Ye/W0
- うんこを我慢しすぎると出す時に切れたり血が出たりするよな
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:33:08.10 ID:yAInC9N5O
- 尻は無事か
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:37:17.82 ID:n240Ye/W0
- まだかいな
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:43:19.02 ID:/GDkSYSY0
- 拡張されてしまいましたが負けじと投下します。
・ ・ ・ ・ ・
「おにいちゃん」
薔薇色の髪が。白い首が。夜に飲み込まれていく。
指先が、引っかく。痛みを感じない。ああ。またあの夢だ。
夜に飲み込まれた姿。もう見えない。ただ一面に闇の泥濘の中。
もう何度も取り残された。
自分だけ。
闇の中で恐怖と不安が募る。
夢が覚めない。これは夢なのか?もしも現実だったら?
いや、確かに夢だ。夢の筈だ。だが、過去にあった現実だ。過去の夢だ。
もう何度も見た、恐ろしい過去の亡霊だ。
焦燥する。
旅を続けることで、探し続けることで、追い遣っていた恐ろしい予感が戻ってきて、
心の中をあっという間に埋め尽くす。
もう、二度と、妹には―――――
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:45:28.15 ID:/GDkSYSY0
-
引き攣りそうな叫びを上げた。
闇の中を芋虫のように這いずり回りながら、滅茶苦茶に両手両足を動かしながら、
懇願するように呼んだ。
「デレ!」
名を呼んでも返らない。
( ^ω^)「デレ!!!!1111」
返らない、筈だった。
「――か―――いで」
( ^ω^)「デレ!?」
違う。
この声は、妹の声じゃない。
暗闇の中に浮かび上がる。ずるり。
真っ青な、硝子球の双眸。
ξ゚ -゚)ξ「置いてかないで」
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:47:19.22 ID:/GDkSYSY0
-
(;゙゚'ω゚')「ハッ!?」
( ^ω^)「知らない天井だ……」
(; ゚д゚ )「おえええええええ」
Σ( ^ω^)「ちょwwww隣で吐くなwwww」
いつの間にか寝て居たらしい。
自分で移動したのか、運んでもらったのかも覚えていないが、宿の一室のベッドの上に居た。
何故かミルナと一緒だ。青ざめて吐くミルナの背中を摩り、傍らにあった桶を差し出してやる。
おそらくワタナベさんが用意しておいてくれたんだろう。ご丁寧に濡れた布も桶に掛けられている。
( ;^ω^)「もらいゲロしそうだお」
( ;゚д゚ )「ぜぇ、はぁ。正直すまんかった」
ミルナが布で口元を拭く。酸っぱい匂いが充満してしまった部屋の窓を開けた。
外はもう夜だった。星空に向かって、虹色の霧を吐き出す煙突が見える。その上で、吐き出された霧がヒダを作って、
優しく子守唄を歌うように揺れている。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:47:22.97 ID:Ydunxuhr0
- しえn
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:47:29.95 ID:n240Ye/W0
- おかえり支援
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:49:26.83 ID:/GDkSYSY0
-
( ゚д゚ )「なぁ」
涼しい風が穴だらけの黄ばんだカーテンを揺らして、頬に触れて抜けてゆく。
部屋の酒と酸の香りが飛んで、酔っ払いの火照りにはその冷たさがとても心地いい。
( ゚д゚ )「・・・デレって探してる妹か?」
( ^ω^)「!」
( ゚д゚ )「魘されてたぜ」
ブーンは一気に酔いが覚めた。いや、あんな夢を見て起きた時点でとうに覚めていたかもしれない。
ミルナが真っ直ぐにこちらを見つめている。少年から何か言い出すのをしばらく待っていたようだったが、
話す気配がないと分かると、質問を重ねた。
( ゚д゚ )「闘技大会に出るのも、関係してんのか?」
( ^ω^)「・・・・まあ、そんな所だお」
( ゚д゚ )「ふうん」
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:49:35.80 ID:n240Ye/W0
- またカーチャンがワタナベさんになっていないかい
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:51:38.12 ID:/GDkSYSY0
- >>93 訂正
ワタナベさん→カーチャン
>>97さんご指摘ありがとうございます。もう吊りたい
短い会話が終わると、気まずい空気が流れた。青年は少し肩を落としているようにも見える。
何故だろう。一体何をこの青年は自分に望んでいるというのか。
前にも、こんな風にざくざく質問をされたことがあった。あんまり不躾に聞かれるので酷く苛立ったのを覚えている。
けれど今回は違った。別に良い気分でもないが、少なくともミルナは好奇心だけで質問していない。
心配してくれているのだ。そして、ブーンが自分に何も話そうとしないことに、やるせなさを感じている。
まるで、友達のように。
そこまで分かっていても、ブーンはどうすることも出来ない。
何をしたらいいのか、分からない。だから、気になっていたことを率直に聞くことにした。
( ^ω^)「どうしてミルナは大会に?」
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:52:55.84 ID:yAInC9N5O
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- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:53:09.01 ID:/GDkSYSY0
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( ゚д゚ )「ん?ああ、社会勉強だ」
( ^ω^)「社会勉強?」
( ゚д゚ )「おう、俺はシベリア大陸を出ずに育ったからな。
行く行くは父上から王座を継ぐんだ。外のことも知っておきたい。
俺が王の息子だって名乗っちまったら、なかなかユッセを出れなくなるだろ」
( ^ω^)「そうだけど、何も闘技大会に出なくてもいいんじゃ?」
ミルナは少し視線を泳がせて、窓に顔を向ける。七色の光がミルナの横顔を薄っすら照らし出した。
遠いオーロラの空の向こうに、ユッセを思い浮かべているのかもしれない。
( ゚д゚)「自信が足りねーんだ」
( ^ω^)「自信?」
( ゚д゚)「俺が俺に対して持つ自信、言わば王になる覚悟だ。
闘技大会の優勝者の名は、名誉と共に大陸を渡って知れ渡る。
そうすりゃ、納得して親父の子だって名乗ることが出来る気がしてさ」
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:55:22.62 ID:/GDkSYSY0
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言い終わってから、照れたようにミルナが頬を引っかいた。
( ゚д゚ )「ただの自己満かもしんねーけどな」
そう言って振り返った青年の眼は、ユッセの森の空気のように静かで厳かな決意を持っていた。
父親に似ている、とブーンは思った。容姿ではない、もっと奥底の方にあるものが。
二人とも、きっとこうと決めたら絶対に譲らないだろう。面倒な性格だ。
そう思うと、つい笑みが毀れていた。
Σ(#゚д゚ )「てめぇ何笑ってんだ!」
(;^ω^)「あ、いや別に」
( ゚д゚ )「もうぜってーお前なんかに俺の話はしねーから! もうお前の席ねーから!」
( ^ω^)「ちょwwwwブーンが悪かったお、落ち着いて許せおwwww」
( ゚д゚ )「何その上からがばいむかつくー」
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:56:42.78 ID:/GDkSYSY0
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( ^ω^)「がばいって…流行ってなくね?」
( ゚д゚ )「流行だけが全てではない」
( ^ω^)「流行とは作るものですね!」
( ゚д゚ )「でもがばいは流行らない」
( ^ω^)「もっと考えてモノ言えよ作者」
( ゚д゚ )「ところでお前大将なんだってな」
( ゚ω゚)ブハ
( ゚д゚ )「ちょwwwwきたねぇ」
( ;^ω^)「クックルから聞いたお?」
例の条件のことも。
( ゚д゚ )ウン
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:01:39.18 ID:U8rRxHkPO
- 支援
- 104 名前:私の拡張されたお尻を猿に掘られたようです:2010/11/29(月) 00:06:04.34 ID:ICCoJJdM0
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ミルナは黙って頷いた。全部知っているのだ。
一気に恥ずかしくなった。自分が恥じることは何一つないと思えるが、ミルナの闘いの理由を聞いた後では、
まるで自分が姑息な不埒者のように思えた。プギャーの言葉を思い出す。
「神聖な闘技の場を侮辱しようってのか」
今までピンと来なかったが、それはこういうことなのだ。
ミルナやプギャーのように、闘技大会には、それぞれの想いや覚悟を持った者たちが集まって土俵に立つ。
だが、ブーンに闘技にかける情熱や覚悟などない。用があるのは主催者だけだ。
自分には、探し出して、助けなければならない人がいる。例え、どんな手を使ってでも――――
( ゚д゚ )「ま、お前までお鉢が回ってくるこたねーから、精々後ろで踏ん反り返ってろw」
ミルナがベッドから立ち上がって、腰に手を当てて伸びをした。
一人部屋に男二人で寝るのは辛い。自分の部屋に戻るようだ。
( ^ω^)「ミルナ」
( ゚д゚ )「ん?」
扉に手をかけたところで、ミルナが振り返る。薄汚れた丸いドアノブが、鈍く軋んだ。
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:08:33.70 ID:ICCoJJdM0
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( ^ω^)「ミルナは、蒼き亡霊王について、何か知ってるかお」
( ゚д゚ )「!」
(;゚д゚ )「亡霊王って、お前、あれだろ?夜を引き連れてやってくるっていう」
ブーンが頷く。ミルナは驚いた。少年の出した名にも驚きはしたが、
真実の理由は、少年が自分を頼ろうとしたことが、初めてだったからだ。
( ゚д゚ )「・・・伝説の存在、としか。俺は見たこともねぇな、悪い」
( ^ω^)「そうかお…」
( ゚д゚ )「にしても亡霊王とはな。お前もとんでもないもんと関わってんなぁ」
( ^ω^)「ミルナに言われたくないお…」
低く声を落とす少年の姿をしばらく眺めて、思考よりも声が先に出たように青年が単語を述べる。
( ゚д゚ )「お、親父!」
( ^ω^)「おっ?」
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:10:14.35 ID:ICCoJJdM0
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( ゚д゚ )「親父なら、王を務めて長いし、俺よりは何か知ってるかもしれん。手紙、送っといてやるよ」
( ^ω^)「まじかお!それは助かるお、ぜひ頼むお」
( *゚д゚ )「お、おう!明日は登録会行こうぜ、早く寝ろよ!」
ミルナがドアを開けて出て行くと、窓から一陣の冷たい風が吹き抜けた。カーテンが暴れてオーロラを隠す。
寒い。窓を閉めなければ、と振り返ったカーテンの向こうに一匹の獣のシルエットが浮かび上がった。
( ^ω^)「ロマネスク」
名を呼ぶ。驚かせるな、と非難した。黒猫は気にする風もなく桟から飛び降りて部屋に入る。
ミルナが居なくなり、風が吹かなくなった部屋は、一層闇を増した。
窓を閉めて振り返ると、黒猫が何かを咥えていることに気が付いた。
白い、棒状のようなものに、赤い糸を括り付けてその先を咥えてぶら下げている。
( ;^ω^)「お前、それ…」
( ФωФ)「ぺっ」
( ^ω^)「人の骨かお!!?」
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:12:28.02 ID:ICCoJJdM0
-
( ФωФ)「んなもん残すか」
(#^ω^)「人間は食べちゃ駄目だっつってるお」
(#ФωФ)「五月蝿い。我輩に指図をするな」
何時にも増して不機嫌な(恐らくはクックルに追い回されたのが原因だろう)猫が、ベッドの上に落としたそれを拾い上げた。
白い棒状のものは、丸められた手紙だった。赤い糸を紐解いて広げる。
( ^ω^)「……。この手紙を誰から?」
暫く文字の羅列に眼を走らせてから、黒猫に問うた。
( ФωФ)「白い服の女である。十字団からの伝言だと言っていたぞ」
…素直すぎる。黒猫が、だ。こんなパシリみたいな真似、普段ならば絶対にしない筈だ。
ブーンは怪訝に双眸を黒猫に向けた。黒猫はすっかり察しているようで、にんまりと気味悪く口を広げた。
( ФωФ)「我輩がこんな低級がこなすようなパシリをしてやった理由を聞きたいか?」
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:12:49.64 ID:6X9+cGhqO
- 支援
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:12:55.77 ID:U8rRxHkPO
- 猿に掘られた作者ドンマイ
支援
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:14:13.77 ID:ICCoJJdM0
-
( ^ω^)「…。いいお、ありがとうだお」
こういう時は決まって聞かない方がいい。黒猫が詰まらなそうにベッドに横になった。
( ^ω^)「それにしても、また面倒なことになったお」
手紙をくしゃくしゃと丸めて、掌の中でぐ、と強く握り固め、ぽい、と投げた。
放射線を描いて落ちて行くそれが、床に着くギリギリのところで、ふっ、と消える。
窓の外では濃紺の夜空に浮かぶ白く輝く月が、七色のベールを纏って踊っているように見えた。
第十話「登録会」へ続く
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:14:58.93 ID:df3ceviq0
- 乙
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:17:52.96 ID:6X9+cGhqO
- 次回も楽しみだ乙
>>1もまだまだこれからも伸びそうだし期待しまくり
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:17:56.59 ID:U8rRxHkPO
- 乙
毎度のことながらロマネスクは薄気味悪い感じだな
可愛いけども
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:18:12.07 ID:ICCoJJdM0
- 九話ちょっと長くなりましたが投下終了です。
長々と皆様支援ありがとうございました。
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:19:21.45 ID:987jYgN90
- 乙でした
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:20:46.55 ID:ICCoJJdM0
- 次回九話は書き溜めてあるのですが、話の都合上ちょっと推敲してから投下します。
何かご質問があれば、僅かの時間ですが…ほんとすいません
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:23:18.23 ID:U8rRxHkPO
- クックルさんは結局のところ鳥なの?人間なの?
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:25:04.95 ID:6X9+cGhqO
- 過去作品とかある?
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:31:48.74 ID:ICCoJJdM0
- >>117 ( ゚∋゚)「私は私だが?」 本編の中で明らかになるそうです。すみませんすみません
>>118 これがほぼ処女作ですが、一度総合に練習として( ^ω^)が(*゚ー゚)に痴漢する話を書きました。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:33:34.28 ID:ICCoJJdM0
- あ、ちなみに矢張り紛らわしいこのタイトルは変えたほうがいいか、少し悩んでいます。
今のところ変える予定はないのですが…
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:33:45.64 ID:df3ceviq0
- タイトルは某ゲームと偶然かぶっちゃっただけなの?
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:37:43.82 ID:ICCoJJdM0
- >>121 そうです。構想していた頃は某ゲームの存在を知りませんでした。
- 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:38:29.93 ID:U8rRxHkPO
- クックルさんがなんなのかは本編に絡んでくる気はしてた
いらんこと聞いて悪かったごめん
タイトルは変えなくていんじゃね?
気になるなら>>1とか目立つところに注意書を書けばいいと思うんだけど
なんにせよ改めて乙
- 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:43:30.74 ID:ICCoJJdM0
- >>123 とんでもない、質問…嬉しかったんだから…///
そうですね、矢張り注意書きをちゃんとしていくことにします。ありがとうございます。
ではそろそろ寝ます。十話の投下はすぐする予定でいます。
最後に、前スレのことですがこれだけは言わせてください。僕のナニはシメジじゃないです。
では皆様お疲れさまでした。
- 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:52:07.71 ID:6X9+cGhqO
- 総合か。あまり見てないから今度探してみるかな
シメジちゃんおやすみ
- 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 01:24:11.22 ID:gJ5DawMOO
- 名前被りから逃げるな!これは、命令だ!
タイトル変わったら探すのだるい
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 03:41:38.85 ID:w5OVyke4O
- 読み終えたしめじちゃん乙
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 08:42:03.06 ID:lZGOwv4qO
- 気持ち悪いあだ名をつけるのやめたほうがいいよ
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