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(´・ω・`)はオーパーツと戦うようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:41:38.08 ID:i5rSVLaw0
代理

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:44:06.88 ID:bRrHNlbnO
2話だっけ?3か?

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:44:15.89 ID:67qxZTaj0
>>1代理ありがとうございます



まとめサイト
http://boonsoldier.web.fc2.com/op.htm

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:45:40.74 ID:67qxZTaj0



第二話【人類府】








沈みつつある太陽を背に、鋼鉄の巨人が飛翔している。
反重力を発生させる、くすんだ銀色の両翼からは時折かすれた音と共に熱煙が噴出され、蜃気楼のように背景を歪ませていく。
そうして歪んだ空間を一瞬で飛び去り、前へ前へと進む。
巨人の頭部、光点が一つ浮かんだモノアイが遥か眼下に広がる森を見下ろした。
巨人はポリゴリアンと呼ばれる汎用戦闘機兵であり、その内奥には、終始浮かない表情の男を乗せていた。
彼は名をショボンといい、つい先程一仕事終え、報酬を得る為に帰途についている。
ショボンは、コクピットのモニターに映し出される光景を眺めながら、風圧に押される機体の体勢を整える。
突如、コクピット内に急速なCPUの読み込み音が響いた。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:47:29.18 ID:67qxZTaj0


(´・ω・`)「……こんなところで、異星鳥とはね」

直後、警告音が鳴り、映像モニターがセンサー探知モードに切り替わった。
センサーが捕らえた反応は、熱量をほとんど持たず、高速で近づいている。
数は6。ショボンはそれを確認すると、手動でセンサーを再び映像に切り替えた。
モニターには、群れを成して飛空する鳥類が描画されていた。
その鳥は全長10m程で、通常頭部と考えられる器官が外目からは見当たらない、異形の生物である。


⌒*(●)*⌒「CYAAAAAAAAAA!!」

(´・ω・`)「手間を増やしてくれるな! 」


中空でポリゴリアンが停止し、翼が半分ほどに収納されて空中戦用に形状を変える。

⌒*(●)*⌒ 「CYA……?」

⌒*(●)*⌒ 「CYAAAAAAAAAA!!」


怪鳥達は一瞬警戒するように速度を緩めるが、奇声を上げながら散開した。
三体の怪鳥は、思い思いの方向からポリゴリアンに突撃を敢行。
残る三体は、遠巻きにポリゴリアンの周囲を旋回している。
敵の動きを確認し、ポリゴリアンは即応できるように構えをとる。
ポリゴリアンは背中に接続された巨大な檻をかばうように、後方から接近する怪鳥を優先して迎撃を始めた。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:49:11.83 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`)「檻をつけてるから背中のモニターと武器は使えないか……なら! 」


ショボンはセンサーに怪鳥たちの接近速度を算出させ、同時にレバーを操作した。
ポリゴリアンの右腕に、腰に備え付けのショットガンが握られ、抜き放たれる。
接近速度の算出が終了し、ショボンは機体を反転させ、レバーを捻った。


⌒*(●)*⌒「CY……!?」


小粒の銃弾が数十発、弾ける音と同時に発射される。
もっとも、ポリゴリアンのサイズからすれば小粒であって、その八分の一以下のサイズの怪鳥には致命打を与えるに十分であった。
背後に肉薄していた怪鳥の一体に散弾が撃ち込まれ、さらに反転した勢いでの鉄拳が見舞われる。
風を切る轟音が響き、怪鳥は片翼を吹き飛ばされた。


⌒*(●)*⌒「GYEYAAAHAAAAA!!」


接近していた残り二体の怪鳥たちは怒りの声を上げ、時間差をかけてポリゴリアンを狙う。
二番目に接近した怪鳥が、胴体から出た四本の鉤爪足をショットガンに食い込ませ、破損させる。
そして一旦その場を離れ、さらに加速した突撃をかけてポリゴリアンに迫り来る。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:50:26.83 ID:mm769xlfO
しえ

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:50:40.24 ID:67qxZTaj0


(´・ω・`)「速い……獲れるか!? 」

拳を握った左手を開き、接触の瞬間二体目の怪鳥の翼を掴むポリゴリアン。
だが加速は完全に殺しきれず、鋭い鉤爪がポリゴリアンの胴体に激突して鋼鉄に罅を入れていく。
怪鳥は翼を掴まれながらも、そのまま押し切って鍵爪を貫通させようともがき、二本目、三本目と鉤爪を胴体にぶつけた。
怪鳥が上げる奇怪な声はスピーカーを通して、嘲笑のようにショボンの耳に届いた。


(´・ω・`) 「くっ……! 」

⌒*(●)*⌒「GYESYASYASYASYASYAAAAAAA!!!!」

(´・ω・`) 「調子に……乗るな! 」


ポリゴリアンの左手の掌に填められた球体が鈍く輝き、力場を発生させた。
怪鳥の翼から胴体までが押しつぶされ、粉砕されていく。
裂けた怪鳥の肉体からは血液は流れず、筋肉のようなものがどろりとはみでていた。
ポリゴリアンは使い物にならなくなったショットガンを投棄し、力場を停止。
活動を停止した怪鳥の亡骸を振り回し、最後に接近していた怪鳥に激突させる。


⌒*(●)*⌒「GYO……」


三体目の怪鳥は静かな断末魔を上げると、骨が圧し折れる音と共に活動を停止した。
飛行力を失った二体の怪鳥は、放り投げられて数m浮かんでから、自由落下を始める。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:52:09.91 ID:TP9Fi+TtO
しえ

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:52:26.48 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`)「これで半分……」

ショボンは唸り、残り三体を見据える。
ポリゴリアンのモノアイに、獲物を渇望するような光点を浮かばせて。

⌒*(●)*⌒「……!!!」

周囲を回っていた怪鳥は、瞬く間に撃破された同属が地に墜ちる姿を見て、一目散に逃げ出した。


(´・ω・`)「……地球外の生き物とはいえ、畜生は畜生、だね。こっちも助かったけど」


呆れたように呟くと、ショボンはポリゴリアンを長距離飛行形態に戻す。
熱煙を噴出させ、ポリゴリアンは航行を再開した。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:53:05.24 ID:X/3adE4cO
踊りましょ〜♪
ハイヽ(゚∀゚)ノ
おっどりましょ〜♪
ハイヽ(゚∀゚)ノ
オチンチン音頭

踊りましょっ♪
ハイヽ(゚∀゚)ノ

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:53:19.22 ID:67qxZTaj0





森林部を抜けるころには、周囲が夜になるほどの時間が経っていた。
ポリゴリアンのモニターに荒野が広がる。


(´・ω・`)「大分遅れちゃった……締め出されなきゃいいけど」


『M反重力、停止します。着地体勢をとり、対ショックに備えてください』


ショボンは時計を気にしながら、荒野の一角に近づいた。
同時に、機体を飛ばせていた重力場が消滅し、放物線を描いてポリゴリアンが地に落ちる。
そして機械音声の導きどおり、接地の際の衝撃に耐える為、シートに深く座りなおす。
衝撃がポリゴリアンを揺らし、地面に並列にポリゴリアンの足跡が刻まれ、岩盤の破片が舞う。

着地を成功させ、ショボンは周囲を見渡し、目標物を発見した。
その一角には、巨大な長方形の柱が立っていた。
ポリゴリアンの膝ほどの高さのそれは、天に向かって剛健にそびえている。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:54:34.34 ID:TP9Fi+TtO
しえ

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:55:22.81 ID:hT62I/YSO
オパンツ(´・ω・`)

15 名前:トリつけるの忘れてた ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 01:55:30.89 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`)「よっと」

柱の頂点、正方形になった箇所に巨大な手を置き、力場を発生させる。
ポリゴリアンの手を中心に、半透明の空間が広がり、柱の頂点が振動した。
その振動はコクピットにも届き、ショボンの胃を軽く揺らす。
直後、機械音声がコクピットに届く。


『機体番号認識・30096。民間・企業機No.96。姓名・官位・年齢・出撃事項を入声してください』

(´・ω・`)「ショボン・ロマネスク。官位なし。23歳。巨大異形収獲のアルバイト」

『声紋認識しました。おかえりなさい、ロマネスク氏。帰還時刻が前報告より3時間ほど遅れています。
 専属オペレーターに理由を報告してください』

(´・ω・`)「了解」

『専属オペレーターの姓名、仕官番号、官位を入声してください』

(;´・ω・`)「ちょっと待って……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 01:56:54.34 ID:TP9Fi+TtO
しえ

17 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 01:57:51.83 ID:67qxZTaj0

ショボンは一旦会話を止め、コクピットの脇の引き出しを漁り、紙切れを取り出して読み上げる。

(´・ω・`)「ドクオ・ベルギニースターさん。仕官番号240721。戌官」

『……照合しました。実働中。呼び出します』


数秒の間が開き、不機嫌そうな声がコクピットに届いた。

('A`)「今帰るとこだったのに……」

(´・ω・`)「すいませんね」

ドクオは溜息をついて、マニュアル通りの質問を開始する。

('A`)「何で遅れたんだ?」

(´・ω・`)「途中で異星鳥に襲われて、応戦したからです」

('A`)「そう、大変だったな。そこでの機体損傷は?」

(´・ω・`)「機体損傷はそれほどでもないですけど、散弾銃が大破したので捨ててきました」

m9( 'Д`)9m「あっちゃーwwww武器一個丸ごとかいwwwww仕事中の損害じゃないから保険は降りないよwww
      ざまあwwwwwっうぇwwwwフヒヒwwwwwドヒャヒャwwwww」


18 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 01:59:00.72 ID:67qxZTaj0

(#´・ω・`)「なんだと?」

('A`;)「ご、ごめん、機嫌悪くて……あとなんか調子に乗っちゃって……」


ドクオはショボンの凄みをきかせた声を聞くと、慌てて謝罪した。
場の空気を変えようと、会話を続けるドクオ。


('A`)「そ、そうそう。内藤巳官の事だけど」

(´・ω・`)「……ああ、なんか用事があるって言ってましたね。随分遅れたから、明日になるかな」

('A`)「いや、大事な話らしくてさ、ずっと待ってるみたい。作戦室にいるから、帰ったら来てくれだって」

(´・ω・`)「わかりました。じゃ、開けて貰えますか?」

('A`)「はいよ。また次の仕事でもよろしく」


19 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 01:59:48.32 ID:67qxZTaj0


通信が途切れ、数分間の静寂。
月を隠していた雲が遠のき、月光がポリゴリアンと柱に射した。
瞬間、大きな音が地響きと共にその場に響き渡る。
柱を中心にしたポリゴリアンの反対側の地面が、割れるように開き始めた。

開いた大穴の下には、ポリゴリアンも乗せられそうなほどに巨大なエレベーターが存在していた。
ショボンは柱を迂回し、慎重に機体を大穴に近づけると、伸びてきた固定アームに脚部を接続させる。
固定アームはその巨体を悠々と持ち上げ、エレベーターに乗せる。
ポリゴリアンは腰ほどまでがエレベーター、つまり地面の中に納まった。

(´・ω・`)「電源OFFっとな」

同時にモノアイの光点が消え、駆動停止を示す。
エレベーターが下がっていき、やがてポリゴリアンの姿は地下に消えていく。
完全に機体が地面に納まると、再び地響きが起こって地面が閉じる。
後には、月光に照らされる柱だけが残された。


20 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:00:36.85 ID:67qxZTaj0



巨大なドックで、整備員達が汗を流しながら十数体のポリゴリアンを点検、整備している。
怒号と指示が飛び交うその様は、一種の戦場ともいえる光景だった。
そんな船渠を見ながら、ショボンはパイプ椅子に腰掛けてスポーツドリンクを飲んでいた。


(´・ω・`)「みんなの整備のお陰で僕は仕事ができてるんだなぁ、ありがたいなぁ」

ノハ#゚听)「わかってんならアホみたいに格闘戦して関節痛めてくんじゃねぇぇぇぇぇ!」


くつろぎモードに入っていたショボンの首筋に、背後から容赦ない速度の手刀が打ち込まれる。
ショボンは衝撃でベンチから転がり落ち、床に激突した。


(´・ω・`) 「何をする。ヒート」

ノパ听) 「武器は持たない! カラテだ! 」

(;´・ω・`)「そういうことじゃないです」

ノハ*゚听) 「分かってるよッ! ちょっとボケてみただけだ!」


ショボンに手刀を打ち込んだのは、ツナギで身を包んだ、20台前半の女性だった。
整った勝気そうな顔立ちは、しかして怒りと熱血でさらに勝気に強化され、近寄りがたい印象を与える。
ピシッと締めたツナギの胸元に見える豊かな膨らみを持ってしても、その印象を除くのは難しい。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:01:25.57 ID:TP9Fi+TtO
しえ

22 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:02:08.22 ID:67qxZTaj0


ノパ听)「ショボン! もうお前がバイトから帰ってくるたびに通常の三倍の労力を使うのは嫌だから言っといてやる! 」

(´・ω・`)「どうぞどうぞ」

ノハ#゚听) 「まず、お前の性根の問題だ! 明らかに整備の人が直すからいくら壊してもいいや、ってな感じで機体を扱ってやがる!
      どう殴ったら腕部どころか指の中身までシェイクされるんだ!? まさかフィールド展開させないで直で殴ってんのか!?
 まあ、咄嗟の判断ですぐに攻撃しなきゃならん時だってあるだろう。それは分かるよ、ああ分かる! だけどよぉ!
      お  前  は  毎  回  そ  れ  じ  ゃ  ね  え  か  ! 何でだ!? 何でだよ!
      大体お前は学生時代からそうなんだよ! 基本的に腰低いくせに要求や行動は大胆極まりねぇ、いや滅茶苦茶だ!
   そんなんだからツンにも愛想つかされんだよ! そしてこの機体だ! 平気でぶっ壊してくる癖に改造機!?
     パーツの一部一部が高すぎんだよ! 請求する時工場長に避難がましい目を向けられんのはあたしなんだぞ!!
      保険で賄えるからってあんまりやりたい放題すんじゃねえ! わかったか!? 」


(´-ω-`)


ノハ#゚听)「なに寝てんだてめぇぇぇぇぇ!!」



ヒートはベンチに座りなおして船をこいでいたショボンの胸倉を掴み、ぶんぶんと縦に振る。

23 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:03:08.74 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`)「長いんだもの」

ノハ#゚听) 「長いんだものじゃねえよ! もう一回言ってやるから今度は聞けよ!まず(ry」

(´;ω;`)「ストレスたまってるんだね」

ノパ听)「おまえのせいだよ! 」

(´・ω・`)「うーん、なんというか、まずフィールドパンチの件は、使ったときに胃が揺れるのが嫌いなんだよね」

ノハ;゚听)「嫌いっておま」

(´・ω・`)「あと、この機体のイヤに高価な改造は僕のジジイがやったことでさ……僕は悪くないよ! 」

ノパ听)「あの杉浦博士か……でも壊してるのはお前だぞ! なにすりかえようとしてやがる! 」


ショボンは憤慨するヒートから目を離し、自分のポリゴリアンを見上げた。
モノアイ型の頭部カメラ、肩口から手首までが太い両腕。
その両腕には展開して内蔵したハード・ポイント・ウェポンを使用できる機構がついている。
さらに全身のいたるところに仕込まれた小型のバーニアとブースターが、通常のポリゴリアンよりも機動性を高めていた。
機体のサイズ自体も、50〜60mが基本のポリゴリアンの中では80mとかなりの巨体であった。


24 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:04:12.59 ID:67qxZTaj0


(´・ω・`)「……まあ、ジジイにしてはまだ外見に奇ッ怪な改造はしてないし、僕も気に入ってるよ」

ノパ听)「じゃあ大事に扱えっての……」

(´・ω・`)「うーん、でもさ。危険なアルバイトをしてるわけだし、保険をフル活用したいのは人間として当然じゃない? 」

ノハ#゚听) 「保険はホイホイ活用する為にあるんじゃねえ! もしものときのためにあるんだよ! 」

(´゜ω。`)「首は絞めないで……給料でたらメシおごるから……」


ベンチの後ろから密着してチョークスリーパーをかけるヒートに、息も絶え絶えに訴えるショボン。
ヒートは鼻を鳴らして離れ、ショボンの隣に座った。


ノパ听)「まったく……」

(´・ω・`)「そんなにストレスたまるなら他の整備の人と変わってもらえばいいのに」

ノハ*゚听)「バカ野郎! 他の奴に任せたら心配だろうがぁ!!」

(´・ω・`)「心配してくれてありがとう」

ノパ听)「礼はいいから行動で示せ! ……ん、あれ杉浦博士じゃないか? 」


25 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:04:52.69 ID:67qxZTaj0


ヒートが指先をドックの入り口に向ける。
そこには、白衣に身を包み、双眸を大きく見開いた長身初老の男が立っていた。
二人が自分に気付くまで待っていたようで、視線を合わせた直後、大股でベンチに近づく。
男は二人の前に立つと、しわがれた声で話し始めた。


( ФωФ)「ふふ、相変わらず仲がいいであるな」

(´・ω・`)「ジジイ……まだ生きてたのか」

ノパ听) 「おい、ショボン! 」

( ФωФ)「気にしなくていいのである、ヒート君。挨拶みたいなものだ……」


肉親に対するショボンの乱暴な物言いを咎めるヒートを、杉浦は制止して、ショボンに話しかける。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:05:08.99 ID:TP9Fi+TtO
しえ

27 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:05:43.98 ID:67qxZTaj0


( ФωФ)「あいにく我輩は40年前から不老でな……殺されん限り死にはせんよ、愚孫」

(´・ω・`)「厄介な野郎だ。そんなに長々と生きる必要なんてないだろ、世を儚んで自殺しろ」

( ФωФ)「儚む? 冗談ではない。こんなに楽しい世界が他にあるか? 怪物……怪鳥……クク、素晴らしいである!
      我輩には実験したいことが山ほどあるし、我輩が知りたいことは海ほどに奥深い」

(´・ω・`)「マッド・サイエンティストが……」

( ФωФ)「……ん? ほぉ、まだあの女のことを気にしていると見える」

ノパ听) 「? 」

(#´・ω・`)「……! 」

( ФωФ)「そう怒るな」


親子、いや祖父子喧嘩の中に出た意味深な会話にヒートは首を傾げるが、気にせずに杉浦に質問する。


28 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:06:31.67 ID:67qxZTaj0


ノパ听) 「杉浦博士って不老不死なんですか!? 」

( ФωФ)「なんだ、ショボン。説明していなかったのか? 学校で家族の話くらいしろである」

(´・ω・`)「お前の話なんて誰がするか」

( ФωФ)「やれやれ……うむ、その通りだ、ヒート君。ただし不死ではない。終わらん生物などあってはならんからな」

ノパ听) 「へえー……あたしもなれるかなぁ」

(´・ω・`)「ッ! おい、ヒート! 」

ノハ;゚听)「な、なんだよ!? ちょっと興味があっただけ……」


( ФωФ)「興味があるなら不可能ではない。ただし君にモルモットになる覚悟があるのなら、であるが。
      我輩もなろうと思ってなったわけではないから絶対成功するとは言えんが、事故の状況を再現することは出来る」

(#´・ω・`)「ふざけ……」

( ФωФ)「ジョークだ、ショボン」


血気ばんだショボンを軽くいなし、杉浦は口元を吊り上げる。
その邪悪な笑みは見るものを萎縮させるに十分で、とても冗談から生まれるものには見えなかった。
ショボンは杉浦から目をそらし、ヒートに忠告する。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:06:41.00 ID:oi8iFqsC0
つ4

30 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:07:08.52 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`)「とにかく、こいつには気を許さないように」

ノパ听) 「……本当に仲悪いんだな」

( ФωФ)「反抗期はとっくに越えただろうに、扱いづらい孫だよ」

(´・ω・`)「扱いづらさはお互い様だ」

( ФωФ)「まったくである。そうそう、ショボン。我輩はお前を迎えに来たのであった」

(´・ω・`)「実家にはもう戻らないよ」

( ФωФ)「それは残念である。だが、迎える先は家ではない。作戦会議室だ」



杉浦は懐から一枚の紙を取り出し、ショボンに手渡す。
ショボンは用心深くそれを受け取ると、素早く紙面に書かれた文章を読んだ。


31 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:07:54.11 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`)「……内藤のおっちゃんからか。ジジイも呼ばれたのか? 」

( ФωФ)「軍人に頭ごなしに呼びつけられるのは好ましくないがな」

ノハ;゚听)「な、なんかやらかしたの!? 」

(´・ω・`)「いや、この文面だとバイトの斡旋みたいだよ……深刻な感じはするけど」

ノパ听) 「そうか……遠出だったら専属であたしを呼べよ! 」

(´・ω・`)「また派手に壊すかもよ」

ノハ#゚听)「やっぱり反省してねーじゃねぇか! 」


ヒートの怒声を聞きながら、ショボンはベンチから立ち上がった。
スポーツドリンクの空ボトルをゴミ箱に放り投げ、ドックの入り口へと歩き出す。


ノパ听) 「じゃあなーーー!!」


ぶんぶんと手を振るヒートが、整備の親方に叱責され、仕事に戻る。
杉浦はそれを脇目で見ながら、ショボンに駆け足で追いついた。


32 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:08:47.34 ID:67qxZTaj0

( ФωФ)「昔からそうだったが、元気な娘だな」

(´・ω・`)「ついてくるな」

( ФωФ)「行く場所は同じであろう。固いことを言うな……今回は何匹狩った? 神獣型はいたか? 」

(´・ω・`)「答える必要ある? 」

( ФωФ)「ふむ、いなかったであるか」




冷たくあしらうショボンの態度の節々から、自分の知りたい事を取り出して一人で納得する杉浦。
ショボンは不愉快そうに顔を歪ませ、少し足を早める。
二人が歩いている長い廊下の壁と床はガラス張りで、下の階が見えるようになっている。
そこには先程のドックと同じような施設が広がっていて、ポリゴリアンを整備していた。
さらに廊下を進むとドックが途切れ、ショボンが先のバイトで狩ってきたような怪物から血を抜き、タンクに貯蔵している部屋が見えた。


33 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:09:32.55 ID:67qxZTaj0

( ФωФ)「我ながらフリークエネルギーの発見がここまで大事になるとは思ってなかったである」

(´・ω・`)「エネルギー問題が一気に解決したから……あのエネルギーを使って怪物を狩ってると変な気分になるけど」


やがて曲がり角に辿り着き、二人は突き当たりのエレベーターに乗る。
ショボンは『B1』に止まっている現在階を示すランプを見て、『B6』のボタンを押し、ドアを閉めた。
エレベーターに乗っているのはショボンと杉浦だけだった。


(´・ω・`)「……」

( ФωФ)「……」


二人は特に会話をすることもなく、ただ目的の階に着くのを待っていた。
『B2』にエレベーターが止まり、ドアが開いて恰幅のいい、軍服を着た中年男性が入ってくる。
両手で書類を抱えており、息を切らしていたが、すぐにショボンたちに気付いた。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:09:39.21 ID:TP9Fi+TtO
しえ

35 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:10:33.23 ID:67qxZTaj0


( ^ω^)「おっおっおっ? 」

(´・ω・`) 「おっちゃん。 作戦室で待ってるんじゃ……」

( ^ω^)「お前が遅いから仮眠を取ってたんだおよ。おや、杉浦博士もご一緒でしたかお」

( ФωФ) 「ふん……呼び出しておいてよく言うである」

(;^ω^)「サーセンwww」


この男の名はブーン・H・内藤。
二人を呼びつけた張本人であり、度々ショボンに怪物狩りのアルバイトを斡旋する軍人だった。
ショボンの家族とは昔からの付き合いがあり、ショボンにとっては倍近く年上でありながら、気軽に話せる相手である。
ブーンは豪快に笑いながら、ショボンと杉浦の間にある空間に割り込み、閉ボタンを押してドアを閉めた。


36 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:11:34.78 ID:67qxZTaj0

( ^ω^)「いやー、こんな時間にすまんお。今、仕事をたくさん抱えてるんで、できるだけ早くお話しときたかったんだおよ」

( ФωФ) 「せっかく会ったのだからここで済ませば時間が節約されていいのではないか?
      我輩は趣味をたくさん抱えているのでな」

(´・ω・`) 「話って何なの?」

( ^ω^)「おムゥ……悪いが、作戦室まで付き合ってくれお」


早く帰りたそうにしているショボンと杉浦をなだめ、ブーンは持っていた書類の中からポスターを取り出した。
エレベーターの壁に張り付け、ショボンと杉浦に見るように促す。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:11:48.55 ID:TP9Fi+TtO
しえ

38 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:12:16.82 ID:67qxZTaj0


( ^ω^)「ところで、このポスターをどう思う? 」

( ФωФ) 「貴様が写っているな」

(´・ω・`) 「凄く……ってジジイ、てめぇ……」

(#^ω^)「コンボ阻害はよくないですお! 」

( ФωФ) 「……すまんかった」

( ^ω^)「わかればいいんですお。うーむ、ぼくは写真写りがいいですなぁ! 」

(´・ω・`) 「写真写りはね」

( ^ω^)「……」


ポスターには、敬礼しているブーンと、飛行翼を広げ、さらにその翼の上に飛行補助ユニットを搭載しているポリゴリアンが写っていた。
中心には赤い大文字で『来たれ軍部に若者よ!』と書かれており、脇に金色の崩し字で『人類府地球軍』とある。
そしてあちこちに『地球を人間の手に取り返せ!』『怪物を殲滅してクリーンな地上を!』と言った勇猛な詩句が散らばっていた。


39 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:13:08.75 ID:67qxZTaj0


( ФωФ) 「ふん、未練がましいことであるな。転落から300年経ってもまだ、生態系の頂点に返り咲きたいか」

( ^ω^)「それは言わない約束ですお。先人がやってきたことは、ぼくらが引き継がないといけないんですお」

(´・ω・`) 「おっちゃんは真面目だなぁ」

( *^ω^)「そんなに褒めるなお、照れるおー! 」

( ФωФ) 「着いたであるぞ」


エレベーターが止まり、『B6』のランプが点滅していた。
三人は連れ立ってエレベーターから降り、歩き始める。
B6階の廊下は鉄で建築され、清潔で重厚な空気を放っていた。
歩き始めて程なくして、受付に辿り着く。


40 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:13:51.32 ID:67qxZTaj0



(*゚ー゚) 「ここから先は軍部の機密がたくさんあるので通れませーん」

( ^ω^)「軍部巳官のブーン・H・内藤だお。さっき話した民間人二人を連れて入るお」

(*゚ー゚) 「承っておりまーす。軍部カードを提示してくださーい」

( ^ω^)つ□「はいお」

(*゚ー゚) 「どうぞお入りくださーい」


ブーンは手続きを済ませると、受付に持っていた書類を手渡し、ショボンたちを連れて受付を抜けた。
三人は受付を抜けてすぐの『作戦会議室』と書かれた部屋に入り、長机の一つに腰掛ける。
一息ついて、お茶を運んできた給仕に人払いを命じるブーン。
作戦室にいた何人かの仕官はぞろぞろと部屋を出て行き、残ったのはショボンたち三人だけになった。


41 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:14:49.42 ID:67qxZTaj0

( ^ω^)「さてと……では、話をはじめるかお」

(´・ω・`) 「ジジイも呼んだってことは、ただのアルバイトの話じゃないよね」

( ^ω^)「察しがいいおね。というか、気を悪くしないで欲しいんだおが、今回はショボン君はおまけみたいなものなんだお」

( ФωФ) 「ほう……ということは、我輩になにか頼みがあるのか」

( ^ω^)「依頼ですおな。かなり大きな仕事なので、電信より直接の方がいいと思ったんですお」

(´・ω・`) 「焦らさないで早く言ってよ」

(;^ω^)「すまんお。依頼というのは、博士とショボン君に連隊単位での作戦行動に同行して欲しいのですお」

ブーンは手元のリモコンを操作し、作戦室の天井から巨大スクリーンを出現させた。
プロジェクターを起動させ、スクリーンに一つの映像を映し出す。
それは、巨大な戦艦だった。重厚そうな装甲を纏い、砲門を開いて威風を発している。


( ^ω^)「これに乗艦して、ですお」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:15:12.25 ID:TP9Fi+TtO
しえ

43 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:16:20.84 ID:67qxZTaj0

(;´・ω・`) 「な、なんだこれ……」

( ФωФ) 「万能戦艦『ハローファック』だな。人類府に十七艦しかない虎の子の方舟を使う程の作戦なのであるか?」

( ^ω^)「厳密には十八艦ですお。昨日付けで一艦完成したんですおよ」

( ФωФ) 「確か最大乗員数は250名だったな」

(;´・ω・`) 「2……」


絶句するショボンを見て、ブーンは説明する。


( ^ω^)「一般人には存在自体知らされていなかった、300年前に設計された艦だお。元は宇宙戦闘用に計画されたらしいお。
       だから大気圏を突破することもスペック上可能。でも、今じゃそれも無理だから、宝の持ち腐れって奴だおね」


44 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:17:05.10 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`) 「はぁ……」

( ФωФ) 「これを出して、怪物を大量に狩るのか? 」

( ^ω^)「それも作戦目的の一つですが、博士に頼みたいことはそれとは関係ないですお。
       細かい作戦内容は、お二人の承諾を得られてから伝えることになりますお」

( ФωФ) 「……頼みとは、エネルギー関連の厄介ごとであるな?」

( ^ω^)「その通りですお。変換力学の権威である杉浦博士にしかできない、難しい仕事ですお」

(*ФωФ) 「世辞が上手くなったな。だがまだまだ我輩には通じぬ」

(´・ω・`) (まんざらでもなさそうだなぁ)

( ФωФ) 「で、報酬は? 」

(´・ω・`) 「あ、それは僕も聞きたい」


金の話になった途端に息が合う二人を見てブーンは苦笑し、かなり高額の報酬を約束した。


45 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:17:49.73 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`) 「そういえば期限は? 」

( ^ω^)「3ヶ月だお。状況によっては増減することもあるかもしれないけどおね」

(´・ω・`) 「3ヶ月……まあ、妥当な線かな。目的地は? 」

( ^ω^)「まだ決まってないお」

( ФωФ) 「決まってない? どういうことであるか」

( ^ω^)「作戦直前に、18個の目的地の中から軍の会議で選ばれるお」

(´・ω・`) 「つまり……? 」

( ^ω^)「ハローファックは18艦全て、今回の作戦で出撃するんだお」

( ФωФ) 「……正気であるか? なぜそこまで性急に……」


「そこからは私が説明しよう」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:17:50.87 ID:TP9Fi+TtO
しえ

47 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:18:45.06 ID:67qxZTaj0
作戦室の入り口から重苦しい声が響いた。
ドアが開き、精悍な顔つきの壮年の男性が入ってくる。
引き締まった肉体は頼り強く、身にまとった高級そうなスーツは、彼の高い身分を示していた。
そして全身から発せられるオーラは、まさしく一流の指導者のそれだった。


( ゚д゚) 「この人類府最大権力王、ミルナ=ゴッチがな!」

(´・ω・`) 「なんかこの人の顔、知ってる気がするなぁ」



( ゚д゚ )




(;^ω^)「ショボン君、たまにはニュース見たほうがいいお。このお方は今の人類府の最高責任者だおよ。
      3年前の人類総投票で着任した、ミルナ=ゴッチ総府長どのだお」

(#゚д゚) 「ミルナ=ゴッチ人類府最大権力王 様 と呼べ! 」


48 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:19:32.62 ID:67qxZTaj0

まくしたてるミルナに、杉浦が話しかける。


( ФωФ)「ミルナ……あいかわらず権力に貪欲であるな」

( ゚д゚) 「杉浦か。そういうお前もあいかわらず自分の研究に夢中らしいじゃないか」

( ^ω^)「お二人はお知り合いなのですかお? 」

( ゚д゚) 「うむ、大学で常にトップ争いをしていた! まあ、毎回私の勝ちだったがな」

( ФωФ)「変人ランキングという名誉な賞が毎月発表されていたのである」

(;^ω^)「名誉ですかお? 」

( ゚д゚) 「凡人は天才を嫉妬から変人と誹るものだからな! 」

(´・ω・`) 「多分その意味での変人じゃないと思います」



( ゚д゚ )



49 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:20:10.61 ID:67qxZTaj0


ショボンの冷静な指摘を受け、ミルナは慌てて言った。


( ゚д゚) 「は、話がすすまんではないか! 二人とも依頼を受けるのだな? 」

(´・ω・`) 「……はい」

( ФωФ)「我輩も受けよう」

( ゚д゚) 「危険は承知のうえだろうな? 」

(´・ω・`) 「まあ、いつもの事だし。軍についていくなら仲間がいる分安全でしょ」

( ФωФ)「科学者に危険が怖いか、などとは愚問極まりないである」

( ゚д゚) 「よし、では説明を始めるぞ」


ミルナの話は、まず現在人類の置かれている状況の説明から始まった。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:20:21.06 ID:TP9Fi+TtO
しえ

51 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:21:26.63 ID:67qxZTaj0

( ゚д゚) 「300年近く前、当時の人類は一つの大国に支配されていた。
 その大国の支配に逆らった、邪教の国と呼ばれる国があった」

(´・ω・`) 「二つの国は戦争をして、地球の環境は悪化したんですよね。
     前の仕事で拾ったテープのなかにその話がありました」

( ゚д゚) 「うむ。その戦争の最終局面、大国は大陸をも崩壊させるレーザー砲台を火星中域に建設した」

( ^ω^)「ここまでが、一般に歴史学などで認められている、300年前の"事実"だお」

黙って聞いていた杉浦が口を挟む。

( ФωФ)「そしてその兵器の実戦投入直前、なんらかの異常が発生し、人類と地上は壊滅的な打撃を受けた」

( ^ω^)「ちなみにその異常は、当時統一国が信仰していた宗教の神が地球環境の惨状に怒って鉄槌を落としたという俗説から、
      『うっかり神ハッスル』と呼ばれているお。今ではあまり世間には浸透してないけどおね」

(;´・ω・`) 「うっかり神ハッスルて」

( ^ω^)「略してUKH」

(´・ω・`) 「なぜ略を……いや、なんでそんなふざけた名前に? 」

( ФωФ)「当時の人類は、信心深かったらしいである。エゴ丸出しの戦争で環境を汚している負い目もあったであろう。
      だが信奉していた神が自分達を滅ぼそうとするわけがない、ちょっと手が狂っただけだ、と思い込もうとしたらしい」

( ゚д゚) 「そして暗い世相を覆そうと、そのような愉快な名をつけたのだろうな。どう考えても滑っているが」


52 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:22:17.25 ID:67qxZTaj0


( ^ω^)「地下に逃げ込んだ人類はその総数を大幅に減らしつつ、なんとか今日まで生き延びてきたんだお」

(´・ω・`) 「そこは統一国が所有していた地下シェルターで、今僕達がいる場所がそうなんだよね」

( ^ω^)「おっお。300年間探索しても、まだ底が見えないほど広大なんだお」

( ゚д゚) 「そして人類が地下に潜っているうちに、地上では怪物と総称される巨大生物が急速に版図を広げ、世界を征した」

( ФωФ)「……我輩は歴史の授業を受けに来ているのではない。 それがこの作戦と何か関係しているのであるか? 簡潔に答えよ」

( ゚д゚) 「そうだ。
      300年前に起こった『うっかり神ハッスル』の正体が判明した事こそが、私がこの作戦を決断した最大の理由と言えよう」

(´・ω・`) (うっかり神ハッスルで通すのか……)

( ФωФ)「判明……? 300年前の遺留品でも見つかったのか? 」

( ^ω^)「その通りですお」


53 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:22:59.41 ID:67qxZTaj0

ブーンが再び手元のリモコンを操作する。
ハローファックが映っていた画面が消え、雑音と砂嵐の映像に変わった。
やがて砂嵐は収束され、雑音は反響して、正常な映像になる。
そこには、かなり世代が前の白銀のポリゴリアンと、同じく旧式の全身を黒に染めたポリゴリアンの戦闘が映し出されていた。
二機のポリゴリアンは市街地で、廃墟を産み出しながら烈戦を演じている。

杉浦は食いつくように映像を観ながら、興奮を隠し切れずにミルナに詰め寄った。


(;ФωФ)「地上でのロボットとロボットの戦い……これは間違いなく300年前の映像である! こんなものをどこで!? 」

( ゚д゚) 「二十年ほど前、ある軍人が任務で外出した際に持ち帰ったディスクから修復した」

( ^ω^)(シャキンの事か……)

( ゚д゚) 「5年前にお前が怪物たちの体液から抽出するフリークエネルギーを見つける前の話だ。
      地上に人間が出る事も地上から物が持ち込まれるのも珍しい時代だったからこそ、長い年月をかけて修復することが出来た」

( ФωФ)「……この黒いポリゴリアン、まさか……」

( ゚д゚) 「そう。300年前の戦争を描いた創作物には必ずといって出てくる、口伝で伝えられた邪教の国の象徴だ」

(´・ω・`) 「僕が聴いたテープにも、邪教の国側の戦力で黒いポリゴリアンが出てたな。確かパイロットはモララーとかいう……」

( ゚д゚) 「モララーはそのテープが作られた50年ほど前の時代に大ヒットした俳優の名だ。実際のパイロットとは違う」

( ^ω^)「邪教の国の資料は何も残ってないから、俳優の実名で録ったらしいお」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:23:10.97 ID:TP9Fi+TtO
しえ

55 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:24:03.78 ID:67qxZTaj0


スクリーンに映し出された映像は、激しく日本刀と青龍刀をぶつけ合う二機のポリゴリアンの姿を捉えていた。
白銀のポリゴリアンが青龍刀を大上段に振り下ろし、黒いポリゴリアンが日本刀の突きで青龍刀を破壊する。


( ゚д゚) 「よく見ていろ」


ミルナが注視を促すまでもなく、その場の全員が映像に目を奪われていた。
青龍刀を破壊した黒いポリゴリアンがハイキックを白銀のポリゴリアンの頭部にミートさせる。
首をもぎ取られて吹き飛んだ白銀の機体に、黒い機体は容赦なく追撃を行う。日本刀を構え、白銀の胴部を貫いた。
白銀の機体は最後の抵抗とばかりに自分に刺さった相手の日本刀を右腕で抑え、圧し折った。


( ゚д゚) 「ここだ」


黒いポリゴリアンは、相手の足掻きに気分を害したのか、白銀の機体から離れる。
辛うじて立っている白銀の機体は、離れた敵に先程まで頭部があった場所を向け、呆然と立っている。
次の瞬間、黒い機体から閃光が放たれる。無数の光の糸が広がり、爆発音と共に映像が途切れた。
だが、すぐに映像は切り替わり、上空から先程の市街地を映すアングルになる。
市街地は完全に崩壊し、全ての建物が倒壊していた。地面にはクレーターができ、地下水があちこちで噴出している。
ただ一つ、黒い鉄の巨人だけが、無傷でその場に立っている―――。

そこで映像は途切れた。


56 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:25:41.51 ID:67qxZTaj0

( ゚д゚) 「どう思う? 」

(´・ω・`) 「―――どう思うと言われても。映画じゃないんですかコレ? 」

( ФωФ)「いや、違うであるな。背景の雑音の処理を全くしていない」

( ^ω^)「民間人がリアルタイムでどこかに送った映像を繋ぎ合わせたものの可能性が高い、
      と映像を修復した者は言っていますお」

( ФωФ)「うむ……だが、いくら惑星エネルギーを使っていた世代の機体であるとはいえ、この破壊力は異常である。
      いや、それ以前にどのような攻撃をしたのかさえ、この目で見てもまったく想像がつかぬ……」

(´・ω・`) 「惑星エネルギー? なにそれ、おっちゃん」

( ^ω^)「ショボン君の世代はもう知らないんだおね……」

( ФωФ)「地球の龍脈から流れる『星の息』を空気中から取り込んで使用するエネルギーである。
      お前達が主に使っている、我輩の発見したフリークエネルギーよりも、エネルギー量はかなり上だ。
      80年ほど前に地球への還元が出来ないとわかってから、使用禁止になったがな」

(´・ω・`) 「……そういえば、学校の授業で聞いたような……」

( ^ω^)「塵子力エネルギーってのは知ってるかお? ぼくの部下にも一人、ポリゴリアンの動力に使ってる奴がいるんだおけど……。
       隕石から採られるやつ……あれも原産が別の星のものってだけで、中身は惑星エネルギーと同じだお」

(´・ω・`) 「整備兵の見習いの友達が、塵子力を使う奴は燃費よりパワーを重視する牛野郎っていってたよ」

(;^ω^)「それは偏見だお……作戦では一緒に行動することになると思うから、間違ってもそいつにそんなことは言わないでくれお」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:26:18.73 ID:TP9Fi+TtO
しえ

58 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:27:17.54 ID:67qxZTaj0


( ゚д゚) 「あの世代のポリゴリアンに積める量の既存のエネルギーでは、あれほどの破壊は不可能だ」

( ФωФ)「ましてやこの爆心地に直接立ち、エネルギーを放出した機体が無傷など、おかしいである」


ミルナは杉浦の言葉に頷き、大げさに手を広げながら言った。


( ゚д゚) 「つまり、世界のほとんどを支配していた大国を相手に、小国に過ぎない邪教の国が戦えていた理由も、
      地球全土を覆うほどの大破壊を起こした"UKH"の原因も、この黒い機体の持つ特殊なエネルギー源だと、私は考えた!」

(´・ω・`) 「……オーパーツってやつかな」


ショボンがぼそりと呟いた言葉に、杉浦が素早く反応する。


( ФωФ)「オーパーツ……『黒いポリゴリアン』に並んで後世に語り継がれている、邪教の国のシンボルであるか」

( ゚д゚) 「そうだ。その特殊なエネルギー源、つまりUKHの原因を、我々は俗説にちなんで『オーパーツ』と呼称している」

( ^ω^)「本作戦の最優先目標が、そのオーパーツですお」


ブーンはボタンを操作し、映像を切り替える。
地上の世界地図が映し出され、その上に18個の光点が点在している。

59 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:28:14.57 ID:67qxZTaj0

( ^ω^)「邪教の国が拠点にしていたとされる場所や当時の大きな戦場などをピックアップしているお」

( ゚д゚) 「これらの地点は、300年前の戦争の遺跡といってもいい。ここを調査し、オーパーツを探すのだ」

(´・ω・`) 「見つけて何に使うんですか? 」


地図を指差しながら言うミルナとブーンに、ショボンが尋ねた。
ミルナはブーンに画面を変えるようにいい、スクリーンの前に立つ。
画面は、地下と思われる薄暗い空間を映し、自動的に明度を調整していく。
明るくなった画面に現われたのは、全長400mはあろうかという巨大な動力機だった。
無数のパイプが付けられており、ピストンがせわしなく上下している。


( ゚д゚) 「これはこの地下シェルター、つまり人類府にエネルギーを送り込んでいる動力炉だ」

(´・ω・`) 「一時期エネルギーがなくなる! って大騒ぎになりましたよね」

( ФωФ)「それは我輩の発見したフリークエネルギーで解決しただろう。
      もう人類府の人間すべてが生きていけるだけのエネルギーはまかなえるはずである」

( ゚д゚) 「だが、大気層を突破し、宇宙にまで飛ぶだけのエネルギーはない」

(;ФωФ)「いきなり何を言い出すのであるか……エネルギー云々以前に地下シェルターにそんなことはできんであるぞ」

( ^ω^)「地下シェルターには確かに出来ませんおね。これを見てくださいお」


60 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:28:59.86 ID:67qxZTaj0

ブーンは一枚の紙を取り出し、机に広げた。
それは巨大な建造物の設計書。
杉浦は目を通し、数分考えた後、見開かれている目をさらに大きく開いて叫んだ。


(;ФωФ)「――――まさかッ! 」

( ゚д゚) 「そのまさかだ。ここは『地下シェルター』ではなかった」

(´・ω・`) 「……?」



杉浦とミルナの話にまるでついていけず、設計図を見ても何も分からないショボンは、ブーンに助けを求める視線を送った。
ブーンは設計図の部位を指差しながら、それら一つ一つが何なのかをショボンに説明する。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:29:10.90 ID:TP9Fi+TtO
しえ

62 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:29:33.14 ID:67qxZTaj0


( ^ω^)「まず、設計図を横にしてみるんだお」

(´・ω・`) 「はい」

( ^ω^)「ここが艦橋」

(´・ω・`) 「……」

( ^ω^)「ここがアジマススラスター」

(´・ω・`) 「……」

( ^ω^)「そしてここは主翼だお」

(´・ω・`) 「……これ、何の設計図ですか? さっきの戦艦? 」

( ^ω^)「ぼく達はこの辺にいるお」


ブーンが設計図のかなり上の方を指差して言った言葉で、ショボンも設計図の正体に気付く。


63 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:31:30.12 ID:67qxZTaj0

(;´・ω・`) 「……これが、この地下シェルター? 」

( ^ω^)「ぼくもこれが発見された時は驚いたお」

( ゚д゚) 「そう――――我々が住み着き、営んできたこの場所は、艦首向きに地下に沈められた超々弩級戦艦だったのだ」

( ФωФ)「馬鹿げている……設計図によると、全長6.5km……これではコロニーといった方がまだわかるであるな」

( ^ω^)「既に艦橋は発見されておりますお。
      こちらは全容図ですが、部分的な設計図も発見されておりますので、CICが見つかるのも時間の問題ですお」


ミルナはスクリーンに映し出された動力炉に目を遣り、同時に設計図を指しながら言う。

( ゚д゚) 「我々は長らくこの動力炉がシェルター唯一の物だと思っていたが、この図によれば同様の物が68個あるらしい」

( ФωФ)「それらにエネルギーを蓄え、この巨艦を宇宙に出す……それが貴様の考えであるか」

( ゚д゚) 「そうだ。ハローファックでは大気層を抜ける際に異星鳥にやられるし、ポリゴリアンはあの高度では戦えん」

( ^ω^)「現在、地球上で宇宙に出られる可能性があるのは、完動したこのシェルター艦だけだお」

( ゚д゚) 「そのために、未知の強力なエネルギーを出来るだけ多く、早急に集める必要があるのだ」

( ^ω^)「杉浦博士には、現地で未知のエネルギーを解明する仕事をしてもらいますお」

(´・ω・`) 「そして僕はエネルギー源を探すのが仕事、か……」


64 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:32:22.28 ID:67qxZTaj0

ショボンは一拍おき、杉浦に視線を送る。
杉浦は長考しているようで、ショボンの視線には気付かなかった。
軽く息をついて、ショボンが切り出した。


(´・ω・`) 「オーパーツを見つけて何に使うのかは分かりました。 宇宙に出てからはどうするんです? 」

( ゚д゚) 「それは契約とは別の事だ。機密事項のため、答えることは出来ない」

(´・ω・`) 「この地下シェルター自体が宇宙戦艦ってことは、僕達も宇宙にいくことになるはずです。答えてくれないと困ります」

( ゚д゚) 「代わりのシェルターは既に発見され、この艦が作戦行動に出ている間も人民は普段通りの生活ができる目処は立っている。
      よって、君が作戦後の自分の身の振り方を心配する必要はない」

(´・ω・`) 「……わかりました」

( ゚д゚) 「うむ、それでいい。……おっと、時間だ。私は忙しいのでな、失礼する」


有無を言わさない様子のミルナの言葉に、しぶしぶ引き下がるショボン。
ミルナはブーンに残りの仔細な説明を任せ、急ぎ足で作戦室から出て行く。


65 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:33:16.18 ID:67qxZTaj0

(´・ω・`) 「忙しそうだね、総府長さん」

( ^ω^)「ぼくなんかよりずっと仕事があるからおね。戦艦の件が分かってからずっとそうだお。
      でも、その忙しい間を縫ってショボン君と杉浦博士に直接説明にきたんだお。それだけ二人の力が大きいってことだお」

( ФωФ)「……む、奴はどこにいった? 」

( ^ω^)「仕事があるので退室しましたお」

( ФωФ)「そうか……我輩は考え事をすると周りが気にならなくなるので、気付かなかったである」

(´・ω・`) 「しかし、軍が出るならなぜわざわざ民間の僕を誘ったの? ジジイは分かるけど……」

( ^ω^)「ポリゴリアンに乗る訓練を受けた軍人自体少ないうえに、実戦の経験者はもっと少ないんだお。
      ショボン君の腕前はぼくも知ってるし、戦力になると思って誘ったんだお」

(´・ω・`) 「あざーす」

( ФωФ)「ショボンの操縦技術は我輩が育てた」

(´・ω・`) 「黙れ」


ショボンに言葉を遮られ、肩をすくめる杉浦。
ブーンはそんな杉浦に依頼に関する詳しい説明を行う。


66 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:34:00.88 ID:67qxZTaj0

( ^ω^)「あくまでオーパーツが最優先ですが、先に別の未知のエネルギー源を見つけたらそちらを解析してもらいますお」

( ФωФ)「我輩の研究の中に、いくつか可能性があるものがある。作戦中、それを採取するために協力してくれである」

( ^ω^)「はいお。上にも報告しておきますお」


ブーンはそれからいくつかの作戦の説明を終え、二人に別れを告げた。



( ^ω^)「では、依頼の書類はあとでお家にお送りしますので、サインを添えて返信してくださいお」

( ФωФ)「うむ」

( ^ω^)「お二人はまだ別々に住んでるんですお?」

(´・ω・`) 「まあね」

( ^ω^)「……そうですかお。では、当日に連絡しますお。準備は整えておいてくださいおね」


ブーンは少しだけ悲しそうな顔を見せ、資料を持って作戦室を去った。


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:34:03.07 ID:TP9Fi+TtO
しえ

68 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:35:23.49 ID:67qxZTaj0

( ФωФ)「さて……我輩は帰るである」

(´・ω・`) 「……」

( ФωФ)「一緒に来ないのであるか」

(#´・ω・`) 「うるせえ早く帰れ! 」


杉浦はショボンの怒鳴り声を背に、作戦室を後にする。
一人残されたショボンは、画面が消えたスクリーンを見つめる。
先程までショボンの知らなかった衝撃的な真実が流されていたその白幕は、今は静かに揺れていた。

(´・ω・`) 「御伽噺が現実だった、か……」

(´・ω・`) 「ジジイと一緒ってのは気に入らないし、どうにも胡散臭いけど、いい稼ぎにはなりそうだ」


ショボンは杉浦がいないかどうか作戦室の入り口から首だけ出して廊下を見回し、確認して受付に向かった。


69 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:36:01.85 ID:67qxZTaj0



数週間後、作戦開始の日が来た。
豪華だが乱雑に散らかっている部屋で、ミルナが外線の電話の受話器を置く。
蛍光灯が出すはじけた音が、静かな部屋に響いていた。
ミルナは大きな椅子に深く腰掛けると、執務机を隔てて立っている男に話しかけた。
男は深めに被った軍帽から覗く鋭い眼でミルナを睨んでいる。
その口元には、高級そうな葉巻が咥えられていた。



( ゚д゚ )「君の艦に乗ることになる、民間の協力者達に電話をしていた」
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「例のアルバイト君と博士殿ですかい」

( ゚д゚ )「王の部屋で煙草を吸うのはやめろ、渋澤寅官」
 _、_
( ,_ノ` )「っと失礼……馬鹿馬鹿しくてね。ハッパでも吸わなきゃやってられませんわ」

( ゚д゚ )「民間人とは言え、孫の方の操縦技術はあの内藤巳官のお墨付きだ。
     この作戦の中核となるであろう杉浦博士については説明の必要もあるまい」
 _、_
( ,_ノ` )「孫の腕の方は心配してないですが……シャキンの息子ですからね」

( ゚д゚ )「博士と行動することに何か問題があるのか? 君が研究畑を嫌っているとは聞いていないぞ」


70 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:36:42.88 ID:67qxZTaj0

渋澤は葉巻を入れた携帯式の灰皿を懐に収めながら、首を振った。
そして皮肉気な口調で、ミルナに言葉を継ぐ。

 _、_
( ,_ノ` )「別にそんなこたぁありません……民間人でも作戦に必要なら、利用するのは当然の事でさ。
     強いて言うなら、息子の事でシャキンに申し訳が立たんってことくらいですかね」

( ゚д゚ )「本人がやってくれるといっているんだ、遺言のようなものとは言え、亡き男の意思を押し付けることはできんよ」
 _、_
( ,_ノ` )(自分から誘っておいてよく言う……)

( ゚д゚ )「で、なにが馬鹿馬鹿しいのだ? 」
 _、_
( ,_ノ` )「わかってると思いましたがね。この作戦自体、ですよ」


渋澤は強く言い切り、ミルナの反応を待った。
ミルナは顔を不機嫌の色に変え、反撃する。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:37:00.30 ID:oEz5A/b+O
オーパーツと聞いて、仮面ライダーアギトを思い出した

72 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:37:58.52 ID:67qxZTaj0
( ゚д゚ )「一指揮官ともあろうものが内政批判か? それでは下に示しがつかんぞ」
 _、_
( ,_ノ` )「誰でもこんな作戦を聞けばそう思うでしょう。あなたが口先で誤魔化してるようですがね」

( ゚д゚ )「……」
 _、_
( ,_ノ` )「私は直接自分の目で見たものしか信じられない、古い人間でして」

( ゚д゚ )「人類府のほとんどの人間はそうだ。300年、穴倉に潜っていたのだからな。だが私は違う」
 _、_
( ,_ノ` )「オーパーツ? 黒いポリゴリアン? シェルターに偽装した外宇宙旅行用の超々弩級戦艦?
     先見の明どころか、チャチな妄想にしか聞こえませんがね」

( ゚д゚ )「妄想かどうかは、作戦が終われば君にも分かるだろう。それまでは私を法螺の廻し屋と考えてくれて構わん」
 _、_
( ,_ノ` )「……」

( ゚д゚ )「行け。君の部下達と面通しをしておいたほうがいいだろう。じきに私も演説に向かう」
 _、_
( ,_ノ` )「……了解。ところで」

( ゚д゚ )「なんだ」
 _、_
( ,_ノ` )「なぜ、ずっと俺を凝視してるんで? 」

( ゚д゚ )


( ゚д゚ )「それは 君の 自意識過剰 だ」


73 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:39:04.94 ID:67qxZTaj0


渋澤が去った総府長室で、ミルナはネクタイを締める。
演説の原稿を手に取りながら、何気なく声を出した。

( ゚д゚)「出ろ」

その言葉と同時に、散らかった部屋の柱の影から、空気を揺らすことなく一つの人影が現れた。
その姿は消え入りそうに薄く、男ということしかわからない。男は軽薄な笑い声を上げる。
いままで沈黙を強いられていた男の笑いは、濁流のようにとめどなく流れ、止まりそうにない。
ミルナは眉を顰め、「笑うな」と命令する。


( ??)「クッククク……随分な言われようでしたね、王様。笑いをこらえるのに必死で……ハハ……」

( ゚д゚)「ふん……いつの時代も、厄介な軍人とはいるものだ。戦争の一つも経験していないだろうにな」

( ??)「王様だってそうでしょうに。で、私はあの方の艦についていけばいいんで? 」

( ゚д゚)「そうだな。というか他の部隊にはもう手は回してあるし、もうあの男の艦しか選択肢はないぞ」

( ??)「どうも一番厄介なとこに押し込まれた気がしてなりませんなぁ」

( ゚д゚)「否定はせんが、お前の下忍も何人か潜り込ませているから大丈夫だろう。
     面倒なところを任せるのは信頼の証だと思って励め」

( ??)「はいはい……了解しましたよ」

影は音もなく消え去る。
ミルナは満足げに頷くと、演説を暗記する為に原稿に集中し始めた。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:40:20.41 ID:TP9Fi+TtO
しえ

75 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:43:16.45 ID:4xqUE2W00


( ^ω^)「おいすー。ショボン君、よく来てくれたお」

(´・ω・`) 「こんちわ。すごい熱気だね、ここ」


ブーンとショボンが挨拶を交わしたのは、B1階にある整備ドックに似た、しかしその数倍巨大な空間だった。
数千の人間がひしめいており、十八の巨大な戦艦『ハローファック』に、次々と資材が搬入されている。
資材にはポリゴリアンも含まれており、固定アームによって甲板から、各艦に運び込まれていた。
ブーンは十八艦のうちの、左端の一艦を指差して言う。


( ^ω^)「あれが僕達の乗る艦だおよ」

(´・ω・`) 「端っこだね」

( ^ω^)「一番に発艦するからだお。目的地が一番遠いところに決まったんだお」

(´・ω・) 「あちゃー。じゃあ、期間も長くなるのかな」

(;^ω^)「一ヶ月か二ヶ月くらい……ぼくがくじ運悪いせいで、すまんお」

(´・ω・`) 「まあ、そのくらいならいいや。給料は上がるよね? 」

( ^ω^)(如才ないお)


76 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:43:51.43 ID:4xqUE2W00

二人が話し込んでいる間に搬入は終了し、雑用を行っていた軍部の下っ端たちはぶつくさ言いながら艦ドックを去っていく。
ドックに残ったのは、作戦に参加する一艦につき200人前後の兵員だけだった。
彼らは人生で始めて体験する大きな作戦を前にして、使命感と人類愛の朱に染まった顔で熱気を走らせながら言葉を交わしている。
その表情はショボンに希望と不安、そして未知への渇望を感じさせた。
ブーンはショボンを連れて、自分達が乗る艦の前に集まっている兵員達の元に向かう。



( ^ω^)「博士はもう艦に乗り込んで、研究室のチェックをしているお」

(´・ω・`) 「ふーん」

( ^ω^)「……博士と、仲直りはできんのかお? 」

(´・ω・`) 「それは無理だよ。僕は、あいつだけは許すわけにはいかない」

( ^ω^)「一体なぜなんだお? ショボン君が18くらいの時だったかお、ロマネスクの実家を飛び出したのは……」

(´・ω・`) 「その話はしないで」

( ^ω^)「……わかったお。いつか、訳を教えてくれると信じているお」

(´・ω・`) 「……」

(´・ω・`) (ごめん、おっちゃん……)


77 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:44:31.53 ID:4xqUE2W00


二人は自分達が乗ることになる艦の兵員達の前に辿り着いた。
兵員達はブーンに敬礼し、横目でショボンを興味深そうに見る。
ショボンはとりあえず見様見真似で敬礼をしてから、所在なさそうに足先をむずつかせた。


( ^ω^)「知ってる人もいると思うけど、いつもアルバイトで外に出てるショボン=ロマネスク氏だお。
      本作戦ではぼく達と一緒に行動することだから、色々と教えてやってくれお」

(´・ω・`) 「よろしくお願いします」



「彼が……」「……掘りてぇ……」「杉浦博士の……」「ポリゴリアン乗り……あんな若造が……」「好みのタイプだ」




ざわつく兵員達は、しばらくするとお互いに雑談に戻った。
兵員達の中から、三人ほどがブーンとショボンのほうに歩いてくる。
一人は生気のない表情の背骨が曲がった男、一人は可愛らしい童顔の女性、一人は引き締まった体の目が細い男だった。
生気のない男が、まず二人に話しかける。


78 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:45:16.42 ID:4xqUE2W00


('A`) 「内藤巳官、おはようございます……ショボン君、思わぬ仕事でいっしょになったね」

( ^ω^)「はいおはお」

(´・ω・`) 「オペレーターさん、おはようございます」

('A`;) 「ドクオだよ」

(´・ω・`) 「そちらの方たちは? 」

('A`) 「ああ……こっちの女の人は、俺と同じ通信兵のシュー=ルーシュさん」

lw´‐ _‐ノv「……しゃかりき」

(;´・ω・`) 「しゃかりき? 」

lw´‐ _‐ノv「闘魂です」

(;´・ω・`) 「……」


79 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:45:52.60 ID:4xqUE2W00

lw´‐ _‐ノv「よろしく」

(´・ω・`) 「よ、よろしく……」

('A`) 「まともに相手をすると疲れる人だよ……で、こっちは君と同じポリゴリアンのパイロットの……」

( ´_ゝ`)「アーニー・ジャーだ。早速言っておくが、俺はお前と馴れ合う気はない」

(´・ω・`) 「え?」

( ´_ゝ`)「俺はお前の祖父が発見したあの汚らわしいエネルギーが最高に嫌いだ。
      よって、開発者も、その孫であるお前も嫌いだ。戦闘中の通信以外では話しかけるな。それを伝える為にここまで来た」

(´・ω・`) 「……」

(#^ω^)「アーニー! 同じP小隊のメンバーにそんな暴言は……」

( ´_ゝ`)「……失礼します、隊長」


80 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:46:34.19 ID:4xqUE2W00


アーニーは背を向けると、兵員達の人ごみの中に入っていった。
ドクオはその背中を唖然と見送り、シューはショボンを見ていた。
ブーンは慌ててショボンに謝罪する。


( ^ω^)「すまんお、ショボン君。悪い奴じゃないんだがお……あとで謝るようにいっとくお」

(´・ω・`) 「……いえ、原因はジジイの発明みたいだから」

ξ゚听)ξ「そうやってあなたはいつもなんでも、他人のせいにするのね」

(´・ω・`) 「! 」

( ^ω^)「ツン。……ショボン君とは知り合いかお? 」


凛とした声が響く。
ショボンたちが振り向くと、軍服を着た巻き毛の金髪の女性が立っていた。
ショボンを睨みつけている瞳は、冷ややかな青色だった。
鼻筋の通った端整な表情は、蔭りを含むことでその美しさに輪をかけている。
ツンはブーンに敬礼をしてから、よく通る声で話し始めた。


81 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:47:28.08 ID:4xqUE2W00

ξ゚听)ξ「はい。学園の同期生です……。その頃から主体性のない、どうしようもない奴だったんですよ。
      ヒートからあなたが卒業したあと何をしてるのか聞いてはいたけど、まさか一緒の艦で仕事することになるとはね」

(´・ω・`) 「ツン……軍に……? 」

ξ゚听)ξ「なに驚いてるのよ。ヒートに聞いてないの? 」

( ^ω^)「ショボン君、ツンはポリゴリアンのパイロットなんだおよ。女性では珍しいお」

(´・ω・`) 「ポ、ポリゴリアンに……!? 」

ξ゚听)ξ「何よ。女は戦場に出るな、とか言うんじゃないでしょうね」

(´・ω・`) 「そ、そんなことないけど……そんな危ない……」

ξ゚听)ξ「私の勝手、よ。戦場ではチームを組むことになるけど、私の足を引っ張らないようにね」

lw´‐ _‐ノv「……引っ張る」


82 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:48:04.62 ID:4xqUE2W00

ξ゚听)ξ「? 」

(´・ω・`) 「? 」

('A`) 「……」

( ^ω^)「? 」

lw´‐ _‐ノv「時間引っ張る、野球中継延長……」

lw´‐ _‐ノv「嫌い」

('A`) 「録画がずれるから? 」

lw´‐ _‐ノv「あ、ヒートちゃんだ」



('A`)


83 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:49:20.72 ID:4xqUE2W00


ドックにヒートが入ってきた。今日はツナギではなく、軍服を着ていた。
ショボンたちに気付くと、走りよってくる。
一瞬だけ適当に敬礼の形をとってから、息を切らしながら叫んだ。


ノハ;゚听)「うおおーーーっ! なんとか間に合ったぜ……よ! みんな」

lw´‐ _‐ノv「や、ヒートちゃん」

ノパ听) 「シュー! お前もこの艦だったのか……お、ショボンにツン。
お前ら会うの学生時代以来じゃねえか? 」

ξ゚听)ξ「そうね。ヒート、何で私が軍に入ったことをショボンに言ってなかったの? 」

ノパ听) 「ん? ……あれ、言ってなかったっけ……ま、会話の流れの問題でな! 悪い悪い!! 」

(´・ω・`) (ヒートと話すとき、ツンの話題にならないようにしてたのが仇になったか……)

ξ゚听)ξ「まあ、別に知ってて欲しかったわけでもないからいいわ」

ノパ听) 「……変わったなぁ、ツン! 学生時代はあんなに……」
 _、_
( ,_ノ` ) 「ヒート、騒がしいぞ」

ノパ听) 「親父! 」


84 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:50:05.19 ID:4xqUE2W00

大声を出すヒートを、突然現れた男が威厳のある声で窘めた。
雑談していた兵員達が男に気付き、整列して敬礼を行う。
男は軍帽に手をやると、視線をヒートからツン、ツンからシュー、シューからショボンへと移していく。
そして、ショボンを数秒じっと見て、物思いに耽るような表情を作った。

 _、_
( ,_ノ` ) (そっくりだ……シャキンに……)

ノパ听) 「おい親父、艦長が一番遅くに来ていいのかよ! 」
 _、_
( ,_ノ` ) 「主役ってのは遅れてくるものなんだよ」

( ^ω^)ゝ「渋澤寅官殿! 本作戦でのご指揮、よろしくお願いしますお! 」

ξ゚听)ξゝ「よろしくお願いします! 」

('A`) ゝ「……」

( ´・ω・`)

(´・ω・` )

(´・ω・`) ゝ「よろしくお願いします」
 _、_
( ,_ノ` ) ゝ「任せとけぃ。あと、この作戦中は俺の事は艦長と呼びな」


85 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:50:47.64 ID:4xqUE2W00


渋澤は敬礼を返すと、兵員の点呼を始める。
周囲の兵員が点呼に答えるのを聞きながら、ショボンはツンに話しかけようとする。
だがツンは既にその場を去って、アーニーの後ろに並んでいた。
ブーンはショボンにその列に並ぶように促し、連れ立ってツンの後ろに並ぶ。


( ^ω^)「この列は、怪物との実戦闘に加わる兵士が並ぶところなんだお」

(´・ω・`) 「僕とおっちゃんとツンとアーニーしかいないね」

( ^ω^)「こないだ言ったとおり、怪物との実戦に耐えうると認定されたポリゴリアンの乗り手は少ないんだお。
      かなり無理しても一艦隊に一班しか回せなかったらしいけど、神獣型の群にでも出くわさない限り四人で十分だと思うお」

( ´_ゝ`)「三人でも十分ですよ、隊長」

ξ゚听)ξ「……そうね。ショボン、怪物が出てもあなたは艦でお留守番してて構わないわよ」

(´・ω・`) 「そういうわけにもいかないよ」

( ^ω^)「おまえら……チームというのは、一人一人は火だが」




( ゚д゚ ) 『わたしが人類府最大権力王、ミルナ=ゴッチである! 』


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:51:57.22 ID:TP9Fi+TtO
私怨

87 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:53:54.57 ID:O92Bcy1e0


ブーンの説教をかき消し、拡声された声がドックに響く。
その場にいる全員が声の出所を探し、その視線を一点に合わせた。
ドックの入り口、その上にあるガラス張りの俯瞰場に、正装のミルナが立っていた。
ミルナは十八艦のハローファックとその前に立つ兵員達を感極まったような表情で見据え、言葉を紡ぐ。


( ゚д゚)『勇猛果敢な兵士達よ、君たちの名前を告げる必要はない!
私は君達3544人の軍雄と、45名の協力者の名を全て心に刻んでいる! 』

( ゚д゚)『諸君は今、300年に届く人類府の歴史上、最も重要で難解な任務を目の前にしている! 』

( ゚д゚)『今ここにある巨大戦艦を実際に見て驚いた者もいるだろう、作戦目標の得体の知れなさに内心慄いている者もいるだろう! 』

( ゚д゚)『だが、私は諸君が任務を全うしてくれることを信じている! なぜなら君達は数少なくなった人類の、さらに精鋭だからだ! 』

( ゚д゚)『過去の過ちにより、いまや人類の生き残りは100万に満たず、
     刻一刻と我等最も優れた霊長が歴史の過去となる日が迫っている……! 』

( ゚д゚)『ならばそれを甘んじて受けるか!? 否! 受けられるはずがない! 我等は必ずや、地球の頂点に返り咲く! 』

( ゚д゚)『そう! あの忌まわしい怪物どもを殲滅し、暗黒の宇宙から来た、地球を脅かす怪鳥どもを駆逐するのだ! 』

( ゚д゚)『そのために、我等に必要なのは力だ! 300年前、地球に大被害をもたらした原因と思われる、オーパーツがその力! 』

( ゚д゚)『そしてその力を今度こそ、邪教にまみれた未開の者の手ではなく、知恵ある我々の手で地球浄化のために行使するのだ! 』

( ゚д゚)『英雄諸君! 君達の作戦成功と、何よりもその身の無事を、私は心から祈る! 檄文は以上だ! 』


88 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:54:59.76 ID:O92Bcy1e0

ドックが、兵士達の熱狂に包まれる。
地下に長く閉じ込められ続けた者達にとって地上奪還という言葉は魅力的で、その戦意を煽るのに十分だった。
さらに熱気に包まれたドックの空気に、力強いミルナの命令が電気信号となって奔る。

( ゚д゚)『では、作戦を開始する! 一時間ごとに一艦づつ、このドックから地上に出ることになる! 全員乗艦し、待機せよ! 』

( ^ω^)「……さあ、ぼく達の艦は最初に出発するから、早く乗るお」

( ´_ゝ`)「了解」

ξ゚听)ξ「はい」

(´・ω・`) 「……」


各艦から内部に入るための階段が降りてきて、床にゆっくりと接触する。
渋澤が率いるハローファック壱番艦にも階段が降り、兵員たちが次々と乗艦していく。
渋澤に引率され、ショボンたちも艦に乗艦していく。
最後に昇り階段を一段一段踏みしめながら、渋澤が俯瞰場を横目で見る。
だが、既にミルナはそこからいなくなっていた。
 _、_
( ,_ノ` )(ふん……大層な演説だったが……)

渋澤は数秒そのままの姿勢だったが、階段の上から部下に呼ばれ、艦内に入った。


89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:55:14.30 ID:TP9Fi+TtO
私怨

90 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:55:47.41 ID:O92Bcy1e0

 _、_
( ,_ノ` )「では、発艦するぞ」

巨大戦艦『ハローファック』の艦橋にて、渋澤が艦長席に腰掛けて命令する。
渋澤の命令を聞いた操舵員達が、マニュアルを片手に、艦の駆動を急ぐ。
やがて艦に振動が走り、同時に艦橋から見えていた金属壁がせりあがっていく。
上がりきった金属壁の向こうには、長い艦路が広がっていた。
渋澤は隣に止まっている艦の艦橋に向けて敬礼を行ってから、艦路にハローファックを進ませるよう操舵兵に伝達する。
ハローファックはその巨体の下部に力場を発生させて宙空に浮き、爆発的な音を響かせながら前方の航路入り口に入った。


('A`;) 「すげえ……本当に飛んでる……」
 _、_
( ,_ノ` )「飛ばなかったら笑い話にもならんかったな」


巨艦ゆえに地下でテスト運転もできず、初の駆動となるハローファックだが、システムに問題を起こすこともなく艦路を飛び進んでいた。
通信兵として艦橋に待機しているドクオの驚愕の声に、軽口で返した渋澤は、さらに命令を下した。


91 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:56:36.25 ID:O92Bcy1e0
 _、_
( ,_ノ` )「おい、艦が揺れてるぞ! このまましばらく飛んだら地上だ、出口にぶつからんよう、注意しろよ! 」

渋澤の言葉に、初航行で緊張していた兵士達がハッとした様に反応し、艦体の姿勢をチェックする。
揺れが収まり、そのまま十数分ほど艦路をハローファックが進み続ける。
やがて真っ直ぐだった通路が上に向かって伸びる、坂のような形に変わる。
坂の傾斜も徐々に大きくなり、そして――――。
 _、_
( ,_ノ` )「……これが、地上か……」

lw´‐ _‐ノv「たまらん」

山に開いた出口から飛び出したハローファックの艦橋に電気によらない、太陽のまぶしい光が射す。
乗員たちは急に射した光に目を瞑るか、始めてみる地上の光景をまじまじと見るかで葛藤した。
艦の全容が出口から現れ、そのまま飛行し続ける。艦の左右に付けられた放射能除去装置が自動展開し、目に見えない厘粉を撒き散らす。
艦橋の乗員全てが、荒野であるにもかかわらず、絶景を見るかのように艦橋の外に見惚れた。

 _、_
( ,_ノ` )「……帰郷の念にかられてばかりもいられん! 転進し、目的地に向かうぞ! 」


渋澤の喝がはいり、操舵兵が慌てて操舵装置を操作する。

 _、_
( ,_ノ` )(目的地があの場所とは、我々は運がいいのか、悪いのか……)

ハローファックは向きを変え、荒野を突き進み始めた。


92 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:57:18.26 ID:O92Bcy1e0


(´・ω・`) 「目的地は、ここか……海の上? 」

( ^ω^)「ここからは二ヶ月かそこらかかるお」


整備ドックの隣の部屋で、ショボンとブーンが椅子に座り、机に地図を広げている。
ショボンが地図上の赤い点がつけられたところを指差し、首を傾げた。
ブーンはその地点の説明を始める。

( ^ω^)「ここは、うっかり神ハッスルが起きたとされる、300年前の戦争における最後の戦場だお」

(´・ω・`) 「通りで、周りに陸地がまったくないわけだ。ところでこの地図ってどうやって作ったの?
      ポリゴリアンでもこんな遠くまでいけないだろうし、他の移動手段じゃこんなとこまで無事に辿り着けないでしょ 」

( ^ω^)「UKH直後に、生き残ってた衛星から送られてきた観測データで作ったらしいお。
      もっとも、今じゃその衛星も電池が死んでるだろうけどおね」

(;´・ω・`) 「じゃあ、この地図もあまりアテにならないんじゃない? 」

( ^ω^)「まあ、方角と距離さえ分かれば結構何とかなるんじゃないかお? 」


楽観的に言うブーン。
ショボンは呆れたように肩をすくめ、会話を再開する。


93 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:58:06.05 ID:O92Bcy1e0


(´・ω・`) 「うっかり神ハッスルの現場ってことは……その"原因"の物体、オーパーツがありそう、なのかな? 」

( ^ω^)「いや、上の人達の話だと現地に近すぎて、たとえ"原因"がそこにあったとしても消滅か大破してる可能性が高いらしいお。
      黒いポリゴリアンみたいな一兵士の機体にも搭載されてるし、複数あるのは間違いないから、
      オーパーツがある本命は邪教の国の都市や軍用基地があったところ、らしいお」

(´・ω・`) 「じゃあなんでここも候補地に入れたの? 」

( ^ω^)「UKHの原因が消えてたとしても、それによって起きた現象の詳細を調べることはできるお。
      オーパーツを手に入れてもまた利用に失敗してUKHが起きたら洒落にならないから、それを調べるのも大事なことだお」

(´・ω・`) 「そりゃそうだ」


ショボンが納得して頷く。
同時に、二人のいる部屋に、ツナギに着替えたヒートが入ってきた。
ショボンを見つけると、隣の椅子に座る。


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 02:58:23.72 ID:TP9Fi+TtO
私怨

95 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:58:51.81 ID:O92Bcy1e0


ノパ听) 「いやー、大したもんだぜ、この艦は!! 本当にこんなデカブツが飛ぶんだもんな! 」

(´・ω・`) 「ヒートのお父さんが艦長さんだったんだね」

ノパ听) 「おう!お前がわたしを専属整備員に推薦したのを勘違いして『交際……LOVEしているのか! 』
      ってうるさかったんだぜ!! 」

( ^ω^)「娘思いのいい方だお。上半期理想の上官No1なだけはありますお」

(´・ω・`) 「なんかさっき会った時ジロジロ見られたけど、そのせいかなぁ」

ノパ听) 「誤解は解いといたから安心しろ!! あ、そうだお前、次から出撃する時これ使え!! 」


ヒートが立ち上がり、懐から謎の物体を出してショボンに手渡した。


ノパ听)つ / ,' 3  (´・ω・`;)


(´・ω・`) 「……」


96 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 02:59:39.68 ID:O92Bcy1e0

ショボンはヒートから手渡された子犬ほどの大きさの物体をじっと見つめる。
それは毛玉のような外見だが、手触りは柔らかい餅のようで、目と口だけが毛の間から覗いている。
その物体は意思を持っているかのように目を動かし、ショボンをくりっとした目で見つめ返した。


(*´・ω・`) 「なにこれ」

ノパ听) 「ポリゴリアンのコクピットにぶち込んで、操縦を補佐する機械らしいぜ!! 」

(´・ω・`) 「機械……もふもふしてるけど」

ノパ听) 「ナチュラル的な素材なんだろ! 」

(´・ω・`) 「……でも僕、別に操縦の補佐なんていらないよ」

ノパ听) 「てめえがまた好き勝手やって機体をぶち壊すのを阻止する為に入手したんだよ!
      無茶な稼動をさせようとしたら、自動的に最適化するんだ。今回は直してる間に次の怪物が出るかもしれないからな!!!」

(´・ω・`) 「そ、そうなの……わかった、使うよ。どこで手に入れたの? 」

ノパ听) 「お前のじいちゃんと通路で鉢合わせしたから、相談したら造ってくれたぜ!!! 」

(´・ω・`) 「やっぱり使いたくないんだけど……」

ノハ#゚听) 「人の厚意を無駄にする気か!! ていうか使わないと許さんぞ!! 」

(´・ω・`) 「う……わ、わかったよ……」


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:00:03.02 ID:TP9Fi+TtO
私怨

98 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:00:33.33 ID:O92Bcy1e0

ショボンはヒートの剣幕に押し切られ、謎の物体を懐に仕舞う。
しばらく懐でくねくねと動いていたその物体は、やがて動きを止めた。



ヒートがそれでいいんだ、とショボンの肩を叩いたときだった。
突如サイレンが鳴り響き、艦が大きく揺れる。




ノハ;゚听)「うおっ!!」

(;´・ω・`) 「危ない! 」


転びそうになったヒートを抱きとめ、ショボンがブーンに視線をやる。
ブーンはショボンを見返して、放送が来るのを待て、と目で合図した。
ヒートは立ち直って、椅子に座る。


99 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:00:55.89 ID:O92Bcy1e0

ノパ听)「た、助かったぜ……なんなんだ、一体!! 」

『い、今の揺れは、怪物の襲撃です! ポリゴリアンのパイロットは、直ちにコクピット内で待機し、命令を待ってください! 』

( ^ω^)「ショボン君! いくお!」

(´・ω・`) 「分かった! 」

ノパ听)「ま、待て、ショボン!!!」


走り出したショボンを、ヒートが呼び止める。
立ち上がり、ショボンを心配そうに見つめる。
ブーンはその様子を見て、「先にいっとくお」と部屋を出た。
その体は艦の揺れだけのせいだろうか、小刻みに震えている。
ヒートはしばらく俯いていたが、堰を切ったように叫ぶ。


ノハ*゚听)「き……気をつけろ!! 怪我するんじゃねえぞ!!!」

(´・ω・`)「……うん、大丈夫! 」

ノパ听)つ / ,' 3「あと、どさくさにまぎれてこれを置いていこうとするな」

(´・ω・`)(……チッ)


100 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:01:51.28 ID:O92Bcy1e0


ショボンが自分のポリゴリアンに辿りつくころには、他のパイロット三名は自機に乗っていた。

(´・ω・`) 「ジジイの発明か……使いたくないなぁ」

/ ,' 3 「アラマー」


奇怪な機械音声を上げる物体をまじまじと見つめ、ショボンは逡巡する。
だが、結局コクピットの外部装置接続部の一つにはめ込んだ。
柔らかい物体の、はめ込まれた場所が端子に埋め込まれ、目が輝いた。



/ ,' 3 「アラマー! アラマー! 」

(´・ω・`) 「……あっ、製品名が表面に浮かんできた……荒巻スカルチノフ……」


荒巻スカルチノフは、機械音声を絶え間なく発している。


/ ,' 3 「アラマー! アラマー! アラマー! アラマー! アラマー! アラマー! 」

(;´・ω・`) 「ちょ……」

/ ,' 3 「ツウシンヲヒラキマス」


101 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:02:29.77 ID:O92Bcy1e0


突然機械音声が止まり、通信が開かれた。
ショボンは慌てて画面に目をやる。
ポリゴリアンの下部メインモニターにブーンが、サブモニター二器にツンとアーニーの顔が映る。
同時に、渋澤からの命令がコクピット内に流れ、パイロット達がそれに応答する。

 _、_
( ,_ノ` )『状況はかなり厄介だ。獣型が六体、かなり前方の山間部からこの艦を攻撃してやがる』

( ^ω^)『地上から直接? そりゃ一体どういうことですかお』
 _、_
( ,_ノ` )『どうやら、炎を纏った砲弾のようなものを吐き出しているようだ。トカゲにジャガーかなにかの足が付いたような形状だ』

( ´_ゝ`)『この艦なら振り切れるのでは? 』
 _、_
( ,_ノ` )『これだけの巨艦だ、相手にとっちゃいい的だ。それに敵が一体ならまだしも六体だぞ。
     全速で突っ込んでも、確実に航行能力の四割は持っていかれる』

ξ゚听)ξ『……要するに、山間部に先行して、その怪物を艦が通る前に排除すればいいんですね? 』
 _、_
( ,_ノ` )『簡単に言えばそうなるな。だが、連中は5km離れてるこの艦をかなり正確に狙って砲弾を撃ってきてやがる。
     狙い撃ちされないよう、接近の際には十分気をつけろよ。』

(´・ω・`)『わかりました』


102 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:03:22.14 ID:O92Bcy1e0

渋澤からの通信が切れ、ブーンが隊員に語りかける。


( ^ω^)『みんな、砲弾を交わす場所がなくならないよう、ある程度離れて敵に近づくおよ』

ξ゚听)ξ『了解! ……ショボン、本当に足を引っ張らないでね』

( ´_ゝ`)『怪物との実戦経験もないお嬢さんも、墜とされて士気を下げないでくれよ』

ξ#゚听)ξ『……! お言葉ですけど、十分に訓練は積んでいます! 』

( ´_ゝ`)『わかったわかった……おい、杉浦の孫。何をしても自由だが、俺の邪魔だけはするなよ』

(´・ω・`) 『……はい』

(#^ω^)『おまえら、帰ったらぼくがチームワークという物を小一時間かけて教えてやるお』


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:03:33.27 ID:TP9Fi+TtO
私怨

104 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:04:29.00 ID:O92Bcy1e0


いがみ合う隊員を叱責しつつ、ブーンが機体を空中専用の出撃口に近づける。
ドックの一角にあるそれは、直接機体を艦の外に放り出し、ポリゴリアンの飛行機能で戦場に向かわせるという乱暴なものだった。
ブーンのポリゴリアンが開門した出撃口の手前まで到達する。爆発的に外に追い出される空気の流れに任せ、ブーン機は外に飛び出す。
ツン機、アーニー機と後に続き、ショボン機も出撃口の手前に立った。


(´・ω・`) 「……大人しくなったな」


今や荒巻スカルチノフは沈黙し、時折目を光らせるだけだった。
ショボンは溜息を付いて、機体を出撃口から発進させる。
爆風に負けじと横向きの翼が展開され、機体が艦から離れた。
頭部のモノアイカメラが起動して光点が宿り、同時にコクピットのカメラモニターに外の光景が映し出される。


(´・ω・`) 「じゃ、時給稼ぎといきますか」


ショボンはカメラで前方を飛ぶ三機のポリゴリアンを確認。
そして山間部に向けて、鋼の巨人を驀進させ始めた。




【第二話・完】

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:04:33.59 ID:Kd0UWZdUO
支援

読みたいけど眠すぎる…
まとめで読まさせてもらう

106 名前:1 ◆dkDE/d1QXA :2007/10/25(木) 03:07:22.82 ID:O92Bcy1e0
まさかこんなに長くなるとは思わなかった・・・
あした五時起きの俺涙目

次回はやっと本格的な戦闘です
読んでくれてた人がいたらありがとうございます
本当におやすみなさい

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:09:57.40 ID:Iudvvaxv0
面白かった


108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:12:38.05 ID:PQ0G6c/KO


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:23:27.86 ID:kTC7t9rS0
おつ

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/25(木) 03:50:21.43 ID:nrxkb0XdO



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