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('A`)ドクオの策略がとんでもない方向に向かうようです
1 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:42:35.05 ID:bQ3z7N120
http://boonsoldier.web.fc2.com/sakuryaku.htm
http://plaza.rakuten.co.jp/uzakopr/

訂正版の第2話、再投下の第3話、新投下の第4話・第5話を投下します

2 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:43:15.23 ID:bQ3z7N120
【Second Color : Purple】


 吹き荒ぶ夕風は、混乱と不透明を取り込んで、色を変え始めていた。

「ちょ……ちょっと待って……」

 か細い声を絞り出し、椎野に向ける。
 しかし、届いたかどうか分からない。風に、遮られたかも知れない。

「俺を……好き……?」
「うん」

 声は、届いていた。
 しかし、椎野の気持ちはこちらに伝わらない。考えが、分からない。

「……何で……?」

 当然の疑問だろう、と思った。
 今まで一度も話したことがない。外見だけで好かれるような人間でも、無論ない。
 好きになられるはずがなかった。

「何でって……だって、好きだもん……」
「好かれるようなことは一度もしてない……」
「私だってそうだよ! じゃあ何で毒尾くんは私のこと好きになったの?」

 何で?
 そう問われても、答えようがなかった。

 椎野のことが、好きではないからだ。

3 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:44:35.73 ID:bQ3z7N120
「……可愛くて……明るくて……なんか、惹かれた……」

 咄嗟に出た言葉は、それだけだった。
 嘘ではないが、あながち真実とも言いがたい。

 椎野の頬が、夕陽を反射させていた。

「ありがとう……」

 今度は、椎野の声が聞き取りづらくなっていた。

「私は……電車の中で見てて……」

 聞き取りづらかった声が、次第にはっきりしてきた。
 椎野は節目がちにしていて、表情をしっかり確認することはできない。

「いつも一人で……クールで……孤高な感じが、カッコイイなって……」

 耳を疑った。
 友達も居らず、陰気な雰囲気を出していただけの俺を、そう捉えるのか。
 信じられなかった。

「一回、隣に座ったことあったよね……? あれ、わざとだったの……近づいてみたくて……」

 どう反応していいのか、分からなくなってきた。
 こんなに暗くて、こんなに地味で、こんなに人に嫌われる俺が、好かれている。
 想定し得なかった。有り得なかった。

4 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:45:23.30 ID:bQ3z7N120
「あのとき、もたれかかっちゃってゴメンね……居心地が良かったから、ついうとうとしちゃって……」
「いや……別に、気にしないで……」
「ゴメンね、って言っても、毒尾くん、無反応だったから……怒ってるのかなって思って、怖かったの……」
「そうじゃなくて……あのときは、いきなりゴメンって言われたから、反応できなくて……」
「そっか……良かったぁ」

 椎野と再び眼が合った。
 大きな瞳の中に、明媚な輝き。恐らく、今まで多くの男を蠱惑してきたのだろう。
 俺自身、夕陽を背にしているのに、きっと顔は赤くなっている。

「嬉しいな……私、毒尾くんの彼女になれるんだ……」

 ―――――そうだ。
 頭から抜けていた。俺が告白して、相手も好きだと言った。
 つまり、二人は付き合うことになる。

 どうすればいい。どうするのが正解だ?
 今から断るか? いや、それは不自然だ。常識的に考えて有り得ない。
 しかし、椎野のことを、好きだと思ったことはない。
 その状態で付き合うことを、是とはしたくなかった。

 だが、椎野が好きだと言ってくれている。
 もし、椎野から告白されていたら、俺は間違いなく付き合うことを選択しただろう。
 そう考えれば、このまま付き合ってしまうのが当然と言える。

 いや、待て。そういえば、椎野には彼氏らしき男がいた。
 毎日一緒に帰っている間柄だし、見ている限り、友人とは思えなかった。
 あの男は何だ。

5 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:46:34.22 ID:bQ3z7N120
「あのさ……椎野さん……」
「ちょっと待って、椎野さんはやめて」
「え?」
「恋人らしくない。違う呼び方にしてほしいな」
「それは……いや、その前に、聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと……? 私の呼び方より大事?」
「うん……」

 椎野の表情が真剣味を増した。聞き入る表情になっていた。

「毎日一緒に帰ってる男子は……あの人は、何なの……?」
「ただの友達だよ?」

 平然と言い放った。
 嘘があるようには思えなかった。

「毎日一緒なのに……と、友達?」
「変かなぁ……? 同じクラスで、帰る方向が一緒で……毎日同じ電車になっちゃうのが当然だと思うけど……」
「……友達……?」
「うん」

 普通に考えれば、そうだ。友達に決まっている。
 しかし、蟠りはあった。自分の中で、二人が付き合っていると決め付けていたせいもあるが、納得できなかった。
 だが、反論する言葉もない。

「……毒尾くん、何で残念そうなの……?」

 俯きながら考えていた俺の顔を、覗きこんでくる椎名。
 疑問と不安を抱えているのが分かった。

6 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:47:47.77 ID:bQ3z7N120
「べ、別に残念とかじゃなくて……ちょっと意外だっただけ……」
「意外……? 私とあの人が、付き合ってるって思ってた、ってこと?」
「……まぁ……」
「だったら、何で『良かったら付き合って欲しい』って言ったの?」

 椎野の語気が強まってきた。焦りで口が上手く動かない。

「……ダメ元だった……とにかく、言ってみたかったんだ……」

 嘘が、綻び始めていた。
 この場を乗り切れるのか、分からなくなってきた。

「……そっか……うん、分かった……」
「なんか、ゴメン……」
「謝るところじゃないよ……私もちょっと不思議に思ったから、聞いてみただけ……気にしないでね」

 一瞬の静寂が流れた。
 再び、考える。本当に、このまま事を進めてしまっていいのか。

 全てを、明かす。そうしてしまったほうが、良いのではないか。

 恋人が欲しい、とは思わなかった。楽しいこともあれば、辛いことも多分ある。
 面倒事も、起きるだろう。考えたくもなかった。

 全てを明かせば、嫌われる。恐らく、椎野は周りにも言いふらし、俺の評価は地に落ちるだろう。
 それは無論避けたいが、しかし、このまま付き合うことになるのも、怖かった。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 22:48:39.26 ID:3/y1hcuV0
作者ktkr!

8 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:48:39.51 ID:bQ3z7N120
「話戻すけど……椎野さんはやめてね、絶対」

 椎野は、笑顔になっていた。
 隣に立たれて、腕が触れ合う。椎野の甘い香りが、鼻に入り込んでくる。
 やはり、高揚してしまっていた。

「……じゃあ、何て呼べば……」
「しぃ。私、みんなにしぃって呼ばれてるから、しぃって呼んで」
「……しぃ……」
「うん。じゃあ私はドっくんって呼ぶね」
「ド、ドっくん?」
「ダメかなぁ……下の名前、修哉だよね? シュウくんにする?」
「……いや……ドっくんでいい……」

 ドっくんは小学生のときに呼ばれていたあだ名だ。呼ばれ慣れているほうがいい、と思った。

「じゃあ決まり! これで、ちょっと恋人っぽくなれたかな……?」
「……かな……」

 もう、逃れようがなかった。
 今更、嘘だと言える雰囲気ではない。どうしようもなくなってしまった。
 付き合うことに、なってしまった。

「ねぇドっくん」
「え?」
「明日さ、遠足だよね」

 そうだっけ、と言いかけた。
 今日、死ぬつもりだった。明日のことなど、考えていたはずがない。

9 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:50:11.17 ID:bQ3z7N120
「一緒に……回ってくれる?」

 穏やかになった夕風が二人の隙間を縫うように通り過ぎる。
 夕陽も、いつしか色を落とし始めていた。

「え……友達と回るんじゃないの……?」
「彼氏と一緒に回るって言うよ。ドっくんは?」
「……別に、誰かと回る予定があったわけじゃないけど……」

 死ぬ翌日の予定など、組まれているほうがおかしかった。
 しかし、嘘をつけば良かったかも知れない、と今は思える。友達と約束してしまった、と。
 だが、椎野が"友達との予定を破ってまで俺と回る"と言っている以上、その嘘も効果的とは思えない。
 結局、道は一つだった。

「うん……じゃあ、一緒に……」
「良かった! 嬉しい!」

 改めて考える。何故だ?
 何故、こんなに好かれているんだ? 分からない。
 今後、それが分かる日は来るのだろうか。


「じゃあ、また明日!」

 電車に乗って、一つ前の駅で降りる椎野。 
 笑顔を振りまいて、去り行く電車を見送っていた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 22:50:55.92 ID:o+HS/a1qO
俺はお前を待っていた!!!!

11 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:51:34.37 ID:bQ3z7N120
(……疲れた……)

 率直な感想だった。
 屋上で番号とアドレスを交換したあとは帰途に着いて、それからは雑談だった。
 椎野由依、O型、4月22日生まれの17歳。
 好きな食べ物はリンゴと蕎麦。嫌いな食べ物はキノコ類。
 会話のほとんどは彼女の自己紹介であり、俺のことはあまり聞いてこなかった。
 隣の席から、椎野の残り香を感じることができた。

「ただいま」

 ドアを開けると、家の中から光が漏れた。
 NHKのアナウンサーの、静かにニュースを読み上げる声が聞こえる。
 リビングへと歩を進め、あまり音を立てないようにしながら扉を開けた。
 父親が既に帰っていた。

「今日は早いね」
「休みだ」
「あ、そっか。そういやそうだっけ」

 不機嫌そうな顔でテレビを見ている。
 眼鏡の奥の瞳は、光の反射で、確認することができなかった。

「疲れてるわね。どうかしたの?」

 夕飯の支度を始めている母親が、顔だけをこちらに向けながら聞いてきた。
 小さな鍋からは湯気が上がっていて、肉と野菜の茹だる匂いを辺りに漂わせている。

12 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 22:52:43.25 ID:bQ3z7N120
「別に、何にもないよ」
「そう」

 すぐにまた顔を背け、料理に集中しはじめた。
 父親の瞳は確かめられないが、こちらに向いてはいないだろう。
 弁当を流し台に置いて、リビングを出て、階段を昇って、自分の部屋に向かった。

 死ぬ前に、自分の部屋くらいキレイにしておくか、と思って、昨日は部屋を片付けた。
 雑然として狭小感があった昨日までに比べると、かなりさっぱりしていて、寂寞感すら漂う。

 ベッドに倒れこんで、天井を見上げた。シミ一つない、純白の空。
 窓から見える本物の空は、漆黒に染まっている。星の姿は確認できなかった。

(……付き合う……彼女……恋人……)

 実感が沸かない。本当に、俺に、彼女ができたのか。
 望んでいなかった展開。素直に喜べないのは、当然だった。
 嫉妬が発展した憎悪も抱いていた。しかし、嫌いだと心の底から思ったわけではない。
 最初に見たときは、可愛いと思った。今も、そう思う。
 本人の性格は分からないが、明るくて、接しやすくて、誰からも好かれそうだ、と感じた。
 多分俺も、あの性格を嫌いになることはないだろう。

(……いや、分かんないな、まだ……深く知れば、嫌になる部分もあるだろうし……)

 結論付けるには早すぎる。まずは、相手のことを知らなければならない。
 しかし、知ることが億劫だ、と思えた。一緒に居て、会話をするのが、面倒に感じられた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 22:52:55.91 ID:EvjvKgm7O
ktkr

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 22:59:57.95 ID:iBT/PE0F0
第二話は差し替えてまとめればよろしいのでしょうか?
二話の投下が終わってからでいいのでお返事ください

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:02:07.97 ID:L9OF/QPGO
二話も引き続き頼む

16 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:06:16.04 ID:bQ3z7N120
バイバイさるさんキツイ・・・
どういう具合に投下してけばいいのかな・・・
とりあえずゆっくり目に投下します・・・

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:08:05.11 ID:8+NhEq3BO
なるべく支援します

18 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:11:47.13 ID:bQ3z7N120
>>14
差し替えでお願いします
一部セリフなどの抜けがあった部分を補完しましたので
よろしくお願いします

>>17
すみません・・・可能であればお願いします・・・
VIP面倒になりましたね・・・

まったり投下します

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:12:31.15 ID:RjSwnbAQ0
支援

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:13:55.80 ID:8+NhEq3BO
支援

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:14:05.60 ID:EvjvKgm7O
支援(`・ω・´)

22 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:15:45.07 ID:bQ3z7N120
 登校も下校も、いつも一人だ。誰かと一緒に帰りたいと思ったことはない。
 静穏は常に孤独と共にあり、ある意味では、満ち足りていると言えた。少なくとも、俺はそうだった。
 それが、消える。
 耐えられるのか。上手くいくのか。不安はあった。

(……ん……)

 携帯が震えている。
 五回振動して、止まった。メールだった。

(……顔文字いっぱい使ってあるな……あんまり好きなスタイルじゃない……)

 内容は他愛も無いものだった。これからよろしくね、とか、明日楽しみ、とか、今日既に話したような文面。
 気だるさを感じながらも、返信する。それに対する返信は、すぐだった。

(早いな……女の子って、こんなもんか……?)

 その後夕飯を食べるために下に降りて、食べ終わってからメールを返信した。
 そのメールに対する返信も、すぐに来た。

(……ホントに早いな……)

 結局、メールは夜中まで続いた。
 最終的には眠くなって、俺が返信するのをやめた。
 申し訳なく思う気持ちは、全くといっていいほどなかった。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:17:42.65 ID:8+NhEq3BO
支援

24 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:20:33.73 ID:bQ3z7N120
 翌朝。
 遠足ということで、いつもより早めに家を出た。
 電車に乗って、一駅進むと、ホームには椎野が居た。

「おはよう!」
「おはよう……」

 隣の座席に腰掛ける椎野。
 こちらの顔を覗きこむように、笑いかけてきた。

「毎朝会ってたのに、今日はなんか特別な感じ」
「そう……?」
「だって……好きな人が、隣に居るもん……」

 今度は、夕陽の照らしではなかった。朝日を浴びているのに、頬は紅潮している。
 体が火照っているのは、夏だからだろうか。

「……うん……俺も……」
「だよね! 好きな人の傍に居るだけで、こんなに違うなんて、知らなかったなぁ……」

 嘘をつくしかなかった。
 もう、真実は言えない。このまま、貫き通すしかなかった。

「ねぇ、ドっくん……」
「ん?」
「あのさ……昨日、メール……」

 不安げな表情を、床に向けながら喋る椎野。
 左手に携帯を握り締めていた。

25 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:25:14.36 ID:bQ3z7N120
「あ……ゴメン、寝ちゃったから……」
「あ、そっか……それならいいの! 何か変なこと言っちゃったかな、と思って、不安で……」
「そういうんじゃないよ……不安にさせてゴメン……」
「こっちこそゴメンね……下らないこと考えちゃって……」

 それから一駅分、無言が続いた。

 車体を左右に揺らして電車が進む。
 朝の静けさを、かすかに打ち消しながら。

「その……私、付き合うのって初めてで……どういう風に接したらいいか、まだよく分かんなくて……」
「え?」

 驚きで、窓に頭をぶつけそうになった。
 男と付き合うのが、初めて?

「付き合ったことないの? 今まで、一度も?」
「うん……恥ずかしながら……私、そういうのに何か、縁ないみたいで……」
「ホ、ホントに?」
「ホ、ホントだよ! な、なんでそんなに疑うの?」

 信じがたかった。明らかに一般レベルよりは上の女が、高校二年生にもなって、付き合ったことがないなど。
 少し可愛い女はすぐに彼氏を作っているものだと思っていた。偏見だったのだろうか。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:26:23.73 ID:RjSwnbAQ0
wktk

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:26:33.36 ID:fCnsaqbEO
お手伝いします

28 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:28:19.01 ID:bQ3z7N120
「いや……ちょっと意外だっただけ……」
「意外……かなぁ……?」
「うん……」
「……喜んでいいのかどうか分かんないけど……でも、ありがとう……」

 はにかんで、こちらを見た。
 前髪を整えて、後ろ髪を触った。女の子らしい仕草だ、と思った。
 窓から射す光が、椎野の白き肌を際立たせている。
 短いスカートから突き出た両足は、細く、長かった。
 紺色のソックスが見事にコントラストを描き出している。

「……じろじろ見てるー」
「え?」

 足に視線を集中させていたことに、気付かれた。
 笑いながら、額を人差し指で突いてくる。

「ご、ごめん」
「可愛いなぁ、もう」
「え……」
「ふふ。あ、着いた着いた」

 車掌が駅名を読み上げる。学生の多くが席を立った。
 椎野と二人、並んで降りる。
 周りからは、訝しげな視線が多い、と感じた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:31:39.58 ID:8+NhEq3BO
支援

30 名前:第2話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:32:20.86 ID:bQ3z7N120
「今日は一日、楽しもうね♪」
「う、うん」

 学校までは歩いて10分。
 改札を出たあと、椎野に、左手を握られた。

 7月に入る直前で、太陽の照りも強い日。
 しかし、椎野の手の温かみを、不愉快だとは思わなかった。


 そしてやはりこの時も、内藤の視線には気付けないでいた。
 興味本位の、野次馬的な視線とは決して思えない、鋭い視線に。















 第2話 終わり

     〜to be continued

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:35:47.32 ID:8+NhEq3BO
支援

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:35:58.72 ID:cb8NnImvO
支援

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:36:02.22 ID:RjSwnbAQ0
支援

34 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:36:38.63 ID:bQ3z7N120
訂正版の第2話は以上です、ありがとうございました

支援くださる方ありがとうございます!
合言葉の「やまいも」って何か意味あるんですかね・・・
あー規制邪魔くさいなぁ〜

第3話投下します

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:37:04.20 ID:Iv5O4ukjO
作者の才能に嫉妬

36 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:39:43.37 ID:bQ3z7N120
【Third Color : Green】


 周りからの視線が突き刺さる。
 恥ずかしさが、生まれた。

「あの……さ……」
「ん? どうかしたの?」
「……ごめん、なんでもない……」

 椎野は、嬉々としている。
 とても、言い出せなかった。

 繋がれた左手と右手。
 周りからのざわめきは、次第に大きくなっていく。

(そりゃそうだよな……俺なんかが、椎野と……)

 有り得ない、という言葉が遠くから聞こえた。
 それくらい分かってる、と言い返したかった。

 椎野は、全く動じることなく歩いている。
 気にならない性格なのだろうか。
 男と付き合うのが本当に初めてなら、もっと恥ずかしそうにするのではないか、という疑問はあった。
 しかし、人によって違う部分だ。断定はできない。

 結局、下駄箱まで手は繋ぎっぱなしだった。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:43:33.73 ID:RjSwnbAQ0
しえん

38 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:43:38.88 ID:bQ3z7N120
「じゃあ、また後でね!」
「うん……」

 2組の教室の前で、椎野と別れた。
 瞬間、周りの人間が集ってきた。

「毒尾! お前、どうしたの!?」
「何で椎野と手繋いでんの!? え、まさか」
「なわけねーって!! 毒尾だぜ!!」
「いや、椎野は案外B専かも知れない……」
「それにしても毒尾はねーだろー!!」

 本人が目の前に居ても、お構いなしだった。
 無視して教室に向かうも、囲みを崩さずについてくる。

「どっちから告白したの? やっぱ毒尾くん?」
「もしかしてしぃちゃんから?」

 辟易した。全員死ねばいいのに、と思った。
 下らない詮索をすることの楽しみは、恐らく一生理解できない。

 椎野との関係が、望んだものだったら、もっと気分も違っただろう。
 しかし、どうにもならない蟠りを抱えている今は、ただただ面倒なだけだ。


 バスに乗り込んでからも、周りからの質問は続いた。
 音楽を聴いて全て無視したが、しかし隣の男だけは、無視できない。
 内藤が嬉しそうに話し掛けてきた。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:45:47.21 ID:o+mQaYvI0
>>34
ジャンボたにしに「引っかかっちまったぞゴルァ!!」って言うときに合言葉が必要支援

40 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:47:22.00 ID:bQ3z7N120
「おめでとうだお、毒尾!」
「……ありがと……」
「上手くいって良かったお! ブーンも嬉しいお!」

 内藤は自分のことをブーンと呼ぶ癖があった。
 小学生のときの仇名らしい。それを今でも一人称にしているということは、よほど気に入っているのだろうか。

「実はブーン、しぃちゃんが毒尾のこと好きだって、前から知ってたお。だから成功するって分かってたお」
「……マジで?」
「マジだお。多分知ってたのはブーンだけだお。だから、昨日毒尾が『椎野を呼び出してほしい』って言ったときは、嬉しかったお」
「……そっか……」

 前から好きだった。それを、知っていた。
 意外だった。内藤は、どこからそれを知ったのだろう。
 内藤だけ、ということは、内藤の彼女である津出は知らなかったということになるだろう。
 津出経由でないということは、椎野に直接聞いた、ということになる。
 それなら、内藤に聞いておきたいこともあった。

「内藤、椎野は何で俺を好きになったんだ?」
「ん? それは確か、孤高な感じがカッコイイとか……クールなのが良いとか……そんな感じだったと思うお」
「それだけか?」
「ブーンが知る限りじゃそれだけだお」

 こいつは時々、平気で嘘をつく。
 それを念頭に入れて喋らないと、騙されそうになる。しかし、この発言は、嘘とは思えなかった。
 それが、真実なのだろうか。それだけが、真実なのだろうか。
 結局、疑いは絶えない。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:47:53.18 ID:8+NhEq3BO
支援

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:49:50.21 ID:7KK040Yw0
mktkkkkk


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:50:23.07 ID:SArKkf3g0
何でこんな面白い作品が書けるのだろう。
作者の才能と、文章力に嫉妬支援

44 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:51:49.78 ID:bQ3z7N120
「しぃちゃんは毒尾にベタ惚れだお。ガンガンいっちゃっていいと思うお」
「ベタ惚れ……?」
「ずっと前から好きだったんだお。でも、しぃちゃんは告白する勇気がなくて……そしたら毒尾から告白されて、多分めちゃくちゃ嬉しかったと思うお」
「そうなのか……? そうは見えなかったけど……」
「嬉しさを出すのが苦手なんだお、きっと」
「そうも見えなかったけど……」

 噛み合わない、と思った。
 内藤の発言が、ところどころ、不自然だ。矛盾を感じる。
 ベタ惚れだとは思わなかったし、告白したときは、戸惑っているようにも感じた。
 一体何故だ?

「とにかくベタ惚れなのは間違いないお。付き合ってすぐだとか、そんなの気にしなくてもいいと思うお」
「付き合ってすぐ……だからって、何を気にするんだ?」
「色々気にすることもあるお。例えば、食っちゃっていいのかとか」
「……あのなぁ」
「毒尾だってそういう気持ちはあるはずだお。あんだけ可愛い子なら、尚更だお」
「一回も思ったことねーよ……」
「一緒に居るうちに、そう思うようになるお。彼女って、そんなもんだお」
「……ないな……少なくとも、今はない」
「まぁまぁ、そう思う日も遠くはないと思うお」

 からかっているだけだ、と思うのが普通だろう。
 しかし、普段の内藤とは、少し違う気もする。
 何か、目的があって喋っているように感じられる。

 思い過ごしだろうか。色んなことに、過敏になりすぎているのだろうか。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:53:23.69 ID:fCnsaqbEO
支援

46 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:53:47.59 ID:bQ3z7N120
「内藤、お前は津出さんと一緒に回るのか?」
「違うお。長岡・荒巻と一緒だお」
「……まぁ、そんなもんか……」

 彼女がいるからといって、わざわざ遠足まで一緒に居る必要はない。
 そう思っていた。しかし椎野は、一緒に居ることを望んだ。
 積極的の一言で片付けてしまっていいのか、分からなかった。

(シンドくなりそうだな……)

 バスの窓から空を見上げる。
 やはり日差しは強かった。


「何乗る? ドっくん、何か乗りたいものある?」
「いや、別にない……」
「私、ジェットコースターは苦手だからダメなの……それ以外でいい?」
「うん、いいよ……俺もあんまり好きじゃないし……」
「じゃあ、行こっか!」

 繋がれた手を引っ張られる。
 女の手の、小ささと、柔らかさを感じた。

(……やっぱ好きじゃないな……)

 喧騒が耳を突く遊園地。
 はしゃぎ回る子供や、悪ノリする中学生。
 どれも、見ていて快いものではない。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:53:58.99 ID:j4YHQ3iG0
さるさんに気をつけたほうが良いよー

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 23:54:40.22 ID:RjSwnbAQ0
とにかく支援

49 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/21(月) 23:55:11.28 ID:bQ3z7N120
すみません、ちょっと急用ができてしまいました・・・
20分くらいで戻ります
さるさんに警戒しつつ何とか残りの投下頑張ります!

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:02:49.54 ID:24uS691g0
恋愛系かー

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:03:43.21 ID:UI9rTWgv0
・「バイバイさるさん」説明用テンプレ(仮)

8/20から、「バイバイさるさん」と呼ばれる新しい規制が導入されました
http://info.2ch.net/wiki/pukiwiki.php?Good-By_Monkey

これは連投荒らし撃退のための規制で、(1)一つのスレに、(2)ある時間(H)内に、
(3)最近の投稿(N)のうち沢山投稿(M回)したら、(4)「バイバイさるさん」になる
というものです(凄く簡単に言えば「新しいバーボン」みたいなものです)

なので、最低でも(作者の)5レス中に1回くらいは
(読者からの)レスをいくつか(できれば5つくらい、少なくとも2〜3つ)はさんで欲しいのです
ご協力よろしくお願いいたします(合言葉=とりもれ)

なお、現時点では規制は10分で解除されるようです。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:08:33.77 ID:cy+HTKD00
なかなか展開が予想しづらいのもいいな

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:14:27.81 ID:l1VLx68oO
ブーン怖いな
てか主役,悪役,親友をこなす('A`)はつくづく優等生だとオモタ

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:14:52.88 ID:4kCar55GO
wktk

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:18:46.07 ID:l/BSAYh80
ブーンはいいヤツだなぁ

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:23:07.80 ID:cy+HTKD00
wktk

57 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:24:20.99 ID:WllVhbVH0
すみません、ちょっと長引いちゃって・・・
再開します

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:24:36.16 ID:24uS691g0
サブタイの色はニュアンスなのかな

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:25:44.65 ID:UI9rTWgv0
やまいもワッショイ

60 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:26:15.02 ID:WllVhbVH0
「可愛いね」
「え? 何が?」
「子供。私、子供大好きなの」
「うーん……俺は別に……」
「無邪気な感じが良いなぁって……思う」
「そっか……」

 しばらく子供を見続ける椎野。
 自然と口元が綻び、笑顔になっていた。
 その笑顔が、素直に、可愛いと思った。

「いっぱい回ろうね!」

 再び手を引っ張られる。早足で乗り場に向かった。


「いい景色だったねー」
「……うん……」

 観覧車から降りて、地に足をつけた。
 地面の感触をしっかり確かめたくて、何度も足踏みする。

「ど、どうかしたの?」
「いや、別に……」

 言い出せなかった。高所恐怖症だということを。
 観覧車で椎野が話しかけてきた言葉も、全く記憶に残っていない。
 胸から喉へ、何か気持ち悪いものもこみ上げてきていた。

61 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:30:32.02 ID:WllVhbVH0
(今にして考えれば……どっちみち飛び降り自殺なんて無理だったのかも……)

 覚束ない足元はお構いなしで、椎野は左手を引っ張った。


(……キツイ……)

 昼飯も食わずに回り続けたため、疲労はピークに達しかけていた。
 椎野の笑顔も、苛立ちを引き出すだけだ。

「もうこんな時間かぁ……バスに戻らなきゃね……」

 繋がれた左手の感覚は既にない。
 歩き続けた足の両膝も痛みで、感覚が薄れかかっていた。

「色々連れまわしちゃってゴメンね……疲れた……?」
「……別に」
「それなら良いんだけど……」

 俺が別にと言うときは、不満があるときだ。
 それを椎野が知っているはずはなかった。
 分かっていながら、苛ついた。

「ご飯も食べられなかったし、怒ってるかなーって思ったの……そうじゃないなら、良いんだけど……」

 繋いだ左手に、力を込めたくなった。
 どれだけ鈍いんだ、この女は。忖度する気もないのか。
 この暑さの中で、手を繋いでいることが、不愉快になってきた。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:30:38.51 ID:78a18y1EO
wktk

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:31:40.94 ID:UI9rTWgv0
やまいも支援

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:31:43.67 ID:24uS691g0
俺も子供の頃芸術の森のガラスの塔で死ぬような思いをしたなあ

大人になって見てみればなんと低いものか

65 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:34:29.42 ID:WllVhbVH0
「いいよ、別に」
「ゴメンね……私一人で楽しんじゃって……これからは、気をつけるから……」

 少し、分かってきたのだろうか。
 不機嫌ムードを、出しすぎたかも知れない。休まず連れまわされたことは確かに不快だったが、元々は自分が椎野に何も言わなかったせいもある。
 申し訳ないような気分になってきた。

「いいよ、俺も楽しかったし……そんなに気にしないで……」
「ホントに……?」
「うん……」

 こうやって、続いていくのだろうか。
 納得できない蟠りを抱え、常に不満を持ちながら。

 想像したくもない未来が、広がっているようだった。


「お姉ちゃんはね、高校卒業して一旦は専門学校入ったんだけど、途中で辞めちゃって、今は印刷会社で事務やってるんだぁ」
「へぇ……」
「ドっくんは兄弟居ないの?」
「うん、一人っ子……」
「そうなんだぁ……」

 遠足を終えて、帰りの電車。
 学校最寄の駅から、椎野が降りる駅まではおよそ30分。
 俺が降りる駅までは35分ほどかかる。

66 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:38:47.74 ID:WllVhbVH0
「お父さんは、どんな仕事してるの?」
「親父? 医者だけど……」
「お医者さん!? え、じゃあお金持ちだったりするの?」
「別に……そんなでもないけど……」
「家は? おっきい?」
「……まぁ、普通の家よりは……」

 大きめの家を好きだと思ったことはなかった。
 いつも寒々としていて、寂しさを感じてしまうのだ。

「掃除とか面倒だから、家政婦雇ってるし……」
「えー!? すっごーい!! お金持ちなんだぁ……」
「いや、大したことないよ……ホントに……」
「でも……行ってみたいなぁ、ドっくんの家……」

 また、椎野の頬が赤らみはじめていた。
 何度かこちらに視線を向け、すぐに自分の足元に戻す。
 周りには高校生が大勢居て、騒がしかった。

「明日さぁ……土曜日、だよね……」
「……うん……」
「ドっくんの家……行っても、いい……?」

 どうすべきか、咄嗟には判断できなかった。
 断る理由はない。しかし、快く受け入れる気分でもなかった。
 何故か、周囲の騒音が耳に響かなくなっている。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:40:25.69 ID:UI9rTWgv0
そんたく支援

68 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:42:41.77 ID:WllVhbVH0
 窓の外を一瞥して、椎野を見た。
 少し不安げな瞳で、こちらを見つめ続けている。

 上目遣いの女性の顔は、何故こんなに愛らしいのだろうかと、考えさせられた。

「……うん……いいよ……」
「ホント!? やった!!」

 子供のように無邪気に喜ぶ椎野。
 他の乗客の視線が集まるのを感じた。

「えーっと……1時でいい?」
「うん! じゃあ1時に……えっと、駅?」
「あぁ、そっか……案内しなきゃだから……じゃあ、1時に駅の改札で……」
「ありがとう! 楽しみにしてるね!」

 そして、ちょうど椎野が降りる駅に電車が到着した。
 椎野が立ち上がり、短いスカートが揺らめく。

「また明日!」

 元気良く別れを告げて、椎野が電車から降りていった。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:44:10.91 ID:tJSuiyT8O
ブーンが怖くてたまらない

70 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:47:17.79 ID:WllVhbVH0
(……家に……来るのかぁ……)

 部屋を片付けなければいけない、と一瞬思ったが、よく考えたら、一昨日片付けたばかりだ。
 特に準備することなどはないようだった。

(……ん……いや、待てよ……)

 ふと、内藤の言葉が頭を過ぎった。

 ――――毒尾だってそういう気持ちはあるはずだお

(いやいや……ないって……)

 ―――― 一緒に居るうちに、そう思うようになるお。彼女って、そんなもんだお

(……そんな……もんか……?)

 今は、全くそういった欲望は沸かない。
 しかし、もし部屋で二人きりになったら――――あるいは、そういう思いも芽生えるのだろうか。

 実際、その状況になってみないと、分からない。
 しかし、行き当たりばったりでは、問題になる可能性もある。

(……いやいや……でもなぁ……)

 考えが、脳内を右往左往していた。

71 名前:第3話 ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:51:20.18 ID:WllVhbVH0
 電車から降りて、改札を抜けて、歩いた。
 そして、いつもと違う道を通る。

 家とは逆方向の薬局に寄ってから、家に帰った。

















 第3話 終わり

     〜to be continued

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:53:00.14 ID:UI9rTWgv0
やまいもやまいも

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:53:45.23 ID:M6ztqre1O
たろいもたろいも

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:53:48.03 ID:l1VLx68oO
下手なドラマより続きが気になる

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:53:52.56 ID:tJSuiyT8O
用意周到ですね

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:54:48.57 ID:24uS691g0
やっぱストーリーはここだな

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:57:00.22 ID:4cYYy13jO
そろそろ予想厨がくるころだな

78 名前: ◆azwd/t2EpE :2006/08/22(火) 00:58:22.12 ID:WllVhbVH0
第3話は以上です、ありがとうございました!

>>58
サブタイの色は基本的にその話のイメージカラーor話の主となる色ですが、
話によってはお話の意味を表す場合もあります
けっこういろんな意味が含まれる予定です
あと、この話は人間の「考え」とか「気持ち」が肝要になるので、そういうのを色で表すっていうコンセプトの一環でもあります
でもまぁおまけみたいなもんです

第4話と第5話は完成しているんですが、明日早起きしなきゃいけないので、すみません・・・投下は明日になります・・・
できれば投下したいんですが、一話投下するのに1時間くらいかかっちゃいそうなので・・・
明日の21時〜22時ごろスレ立てして投下予定です
また明日よろしくお願いします

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 00:58:22.41 ID:5CH8EIsTO
運命の一戦に登板の作者ですよねっ?
俺は貴方が大好きだあああ!!!


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 01:00:31.66 ID:UI9rTWgv0
>>78
乙華麗様ですた!

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 01:03:03.78 ID:24uS691g0
作者乙

明日また楽しみにしとるよ

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 01:04:01.13 ID:l1VLx68oO
ポケモンはガチ

でも荒れそうなのでもう寝る

83 名前: ◆GAr/NEVADA :2006/08/22(火) 01:04:50.30 ID:CP08vZuZ0
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    /  ::,'::::::,':::i:::::;:r=ュ、゙、、:.',:.:.ヽ、   ン''ー--、-,--rー'''i".jr'"   ヾ、
    /  ::,'::::::,':::,';.r'゙:.:.;.、-゙ヾ、;:゙、:.:.:,、>-'''゙~ ̄`゙''ー-ヽl、,-ー'゙  ,,、-ー'  `''、
    /  ./:::::::,'::/'r '"~:.:.:.:.:.:.\゙,r''"   -ー'''''''ー 、__,ノ、,,.、-ッ'"      '、
.  /  ./:::::::,':/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i゙            }:.:.:.:.:.:.:l  {          ゙、
                  「>>1さん頑張って」


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