42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:45:26.88 ID:GqeAKOzcO
─第三章─
「おい、知ってるか?ホワイトチャペルの路地裏に大量の血があったらしいぜ」
「また殺人鬼か?誰が殺されたんだ?また女か?」
「いや、それが血液だけで死体はなかったそうだ」
─ロンドン・酒場『テラ・キ=モス』
( ^ω^)「まずはドクオが置いていった本を見てみるお」
本を開く。
ξ゚-゚)ξ「ページが……増えてる」
(´・ω・`)「前に見た時は最初以外は白紙だったよね」
だが今は15ページほど埋まっている。
( ^ω^)「これは今日の事件だお」
ブーンが指した所には、『切り裂きジャック』と題がつけられていた。
(´・ω・`)「2〜5Pまでが本当の歴史だね。でも6Pを見てよ」
そこには逃亡中の切り裂きジャックがその後新たに8人を殺害したと書かれている。
そして9ページには最初とは別の魔方陣の書き方が書かれていた。
(´・ω・`)「今回、僕達が切り裂きジャック事件について知ってたのは偶然だけど、本当はこの本を見て進むんだね」
10Pからは次の事件について書かれている。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:46:55.09 ID:GqeAKOzcO
『ロベルト・スッコ』
19歳に両親を殺害し、逃亡。すぐに捕まり刑務所へ。5年後に脱走しフランス、スイスで傷害事件、誘拐、強盗を繰り返す。その後再度捕まるが、3ヵ月後に自殺。
享年1988年5月

(´・ω・`)「そして次が変わってしまう歴史だね」
19歳に両親を殺害し、逃亡。すぐに捕まり刑務所へ。5年後に脱走しフランス、スイスで傷害事件、誘拐、強盗を繰り返す。その後再度捕まるが、3ヵ月後に再び脱走。
その後イタリアに渡り、途中トリノで老夫を殺害。6月10日の事。その後も犯行を繰り返す。

( ^ω^)「また殺人鬼かお…」
ξ゚-゚)ξ「殺される人数が増える度に未来も変わってしまうわ。被害は最小限に食い止めて、ううん、一人の被害者も出してはいけないわ」
この男にもドクオは力を与えているだろう。ドクオの言葉が本当なら、ジャックより大きな力を持っているに違いない。
( ^ω^)「ところでショボンの能力はなんだお?」
(´・ω・`)「それがね、まだ分らないんだ。もしかしたら二人のような力はないのかもしれない…」
落込むショボン。
( ^ω^)「そんなに落込むなお。きっとすごい力があるはずだお」
(´・ω・`)「そうだといいけど…」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:48:51.29 ID:GqeAKOzcO
ξ゚-゚)ξ「とにかく行くしかないわ。ショボン、魔方陣の書き方は?」
(´・ω・`)「えっと……9ページだね」
ショボンは9ページを開いて二人に見せた。
(´・ω・`)「でも今日は休もう。二人共、疲れているはずだよ」
( ^ω^)「僕はご飯食べたら疲れもなくなったけどツンは疲れてるお」
ξ゚-゚)ξ「…そうね。今日は休むわ。それよりブーン、アンタが持ってた剣はどうしたのよ?」
( ^ω^)「あ」
ツンとショボンの視線が集まる。
(;^ω^)「忘れてたお。あんなの持ち歩いてたら補導されると思って隠したんだお」
この男はどこまで抜けているのだろうか。剣さえあればもう少し楽に戦えたものを。
ξ゚-゚)ξ「今すぐ持ってきなさい」
(´・ω・`)「盗られてないといいけど…」
(;^ω^)「埋めたから大丈夫だと思うお。それより一人で行くの怖いお、ショボン着いてきてくれお…」
(´・ω・`)「しょうがないなぁ…。ツンは先に部屋に戻っててよ」
二人は剣を取りに、ツンは部屋に戻った。
ξ///)ξ「(ホント抜けてるわねぇ。まぁそこが好き…バカバカ!何考えてるのよ)」



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:50:53.25 ID:GqeAKOzcO
─翌朝
剣は無事だったようだ。
だが通り過ぎる人の目に、真夜中に草むらを掘り返す二人は、奇怪な生き物でも見るような目で見られた事は言うまでもない。
あとちょっと時間がかかったら通報されていただろう。
(´・ω・`)「…よし、書けたよ」
魔方陣が光を放つ。
(;^ω^)「今度はみんな一緒に入るお!もう一人は嫌だお…」
ξ゚-゚)ξ「分ってるわよ」
(´・ω・`)「じゃあ1、2の、3で飛び込むよ」
三人「1、2の、3!」
三人は光に飛び込む。
シュパアアァァ……
─イタリア:トリノ
(;^ω^)「二人共いるかお!?」
ξ゚-゚)ξ「いるわよ」
(´・ω・`)「今回は平気だったらしね」
周りを見渡す。どうやら公園のようだ。
突如現れたブーン達に目を丸くして固まる人達。
(;^ω^)「(なんか視線が痛いお)」
ξ゚-゚)ξ「(しょうがないわよ。いきなり人が現れたんだから)」
(´・ω・`)「(ここは僕に任せて)」
ショボンは驚いている人に歩み寄る。
ショボンと等間隔で下がる人々。逃げ出す者もいる始末だ。
怖がらせてどうする。
(´・ω・`)「今の瞬間移動は手品だからまずは落ち着いて欲しい」
(;^ω^)「ちょwwwwバーボン風wwwww」
ξ゚ー゚)ξ「顔似てるからいいじゃない」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:52:36.94 ID:GqeAKOzcO
ショボンは続ける。
(´・ω・`)「でも、この手品を見たとき、君達は(ry
そう思ってこの手品をしたんだ。
じゃあ続きをやろうか。さあ、ツン!」
ξ;゚听)ξ「え?ええ!?私ぃ!?」
(´・ω・`)「(ちょっとだけ力を使うだけでいいからさ)」
ξ;--)ξ「うぅ〜、しょうがないわね…。あれ疲れるのよね…」
ツンは落ちてある木の棒を手に取り、へし折る。
ξ゚-゚)ξ「これがあっという間に…」
折れた棒が元通りになる。
「おお〜」
「すげぇ〜」
パチパチパチパチ…
拍手が起こる。
ξ///)ξ「(ほら、もう行くわよ!)」
人々の視線が恥ずかしかったらしい。
ツンはそそくさと退散。
ブーンとショボンもそれに続く。
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:55:34.95 ID:GqeAKOzcO
─少し離れた場所
ξ#゚听)ξ「もう!いきなりあんな事言い出して!いい見世物だわ!」
(´・ω・`)「まあまあ、あの場を切り抜ける為には、あれが最善の方法だったんだよ」
( ^ω^)「でもマジシャンツンも良かったお」
ξ///)ξ「べ、別にブーンに褒めてもらっても嬉しくないわよっ!」

(´・ω・`)「そういや今日は何日だろう?さっき聞けばよかったよ」
( ^ω^)「じゃあちょっと聞いてくるお」
ブーンは走り出す。
(´・ω・`)「速っ…以前のブーンも速かったけど、今のブーンは異常だね…」
数分後…
( ^ω^)「お待たせだお。今日は6月7日だお」
(´・ω・`)「あと三日か…。最初の現場はあの公園で間違いないね。それよりまずは宿の確保だ」
ξ゚-゚)ξ「とりあえず泊めてくれる家を探すわよ」
三人は家を一軒一軒まわった。だが、素性の知れない者を泊める物好きはなかなかいない。
30軒ほどまわった辺りで、仕事を手伝うのを条件に、泊めてくれる農家に辿り着いた。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:56:48.74 ID:GqeAKOzcO
一日目
(;^ω^)「うおおおおおおお!!!!!」
ブーンはすごい勢いで木を切り倒す。
二日目
(;^ω^)「うおおおおおおおおおお!!!!!」
ブーンは凄まじい勢いで草をむしる。
三日目
(;^ω^)「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ブーンは人間とは思えない速さで地面を耕す。
農家の人「よく働く若者だな〜」
たったの三日で畑は完成した。
( ^ω^)「(なんか僕だけ重労働してる気がするお)」
(´・ω・`)「やあブーン、お疲れ様。君の持ってる剣を調べてみたけど、見た事ない金属だね。でも非常に頑丈だから実戦で十分使えるよ」
( ^ω^)「(少しは手伝ってほしかったお…)」
ξ゚-゚)ξ「私の力で分った事は、時間を戻すには限界がある事と、戻すだけじゃないって事ね」
( ^ω^)「(だから手伝えと…)」
ブーンの憤りは置いといて、いよいよ今夜だ。場所が分ってるから先手を取られる事はないだろう。


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:58:12.54 ID:GqeAKOzcO
─夜
三人はあの公園に身を隠す。
昼は人で溢れかえっている公園も、夜では人がまったくいない。
しかし…
老夫「ふんふ〜ん♪ワシはイタリアのスーパーヒーロー〜♪」
一人の老夫が歩いてくるのが分った。
機嫌よく鼻歌を歌っている。
老夫が、一本の大きな木を通り過ぎた時、影から男が姿を現した。
その手には斧が。
(;^ω^)「お爺さん!逃げるお!」
ブーンは慌てて叫ぶ。
老夫「〜♪なんじゃ?」
後ろを振返る。そこには斧を持った男。
老夫「ひ、ひぃ〜〜〜〜〜!!!」
男がこちらを向く。
斧の男「何故分った…?」
自称、スーパーヒーローは悲鳴を上げて一目散に逃げて行った。
斧の男「…分ったぞ。お前達があいつの言っていた奴等か」
あいつとはドクオの事だろう。この男がロベルト・スッコに間違いない。
既に情報は伝えられているようだ。
スッコ「お前達に俺の邪魔はさせん!」
スッコ「この力を試すいい機会だ」
スッコは斧を振り下ろす。
ズガッ!
ズオオォォォオ!
地面に斧が突き刺さり、今度は紫の光が放たれた。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 13:58:55.18 ID:GqeAKOzcO
時間が、止まる。
スッコの姿は全身から筋肉が盛り上がり、頭が異常に大きい。見た目はフランケンシュタインといった所か。
そして右手は斧に変わっていた。
スッコ「殺してやる…!」


『ロベルト・スッコ』
殺害人数9人+α その他犯罪???件 推定懲役226年
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 14:00:30.60 ID:GqeAKOzcO
( ^ω^)「その手キメェwwwwwwww」

スッコ「うおおおおおおおお!!!!!!」
スッコは雄叫びを上げながら突進。ブーンの言葉に御立腹なのかは定かではない。
( ^ω^)「二人共、下がってるお!」
ブーンは剣を構える。
ガキィン!
剣で受け止めるが、衝撃は重い。ブーンの筋肉が悲鳴を上げる。
腕に振り下ろされたら、苦もなく両断されるだろう。
(;^ω^)「う、お…!」
立て続けに斧を振り下ろす。
辛うじて受け止めるが、このままでは筋肉が保たない。
ブーンは斧を弾き、距離を取る事にした。
(;^ω^)「ハァハァ…(すごい衝撃だお)」
スッコ「見たかこの怪力!この肉体!」
スッコ「グハハハハ!実に爽快な気分だ!!」
スッコは左手を地面に突っ込む。
途端に地面が液状化したかのように波紋が発生し、引き抜かれた手にはこちらも斧が握られている。
ブォンッ!
斧は空気を切り裂き猛スピードで飛来する。
これを受け止めるのはヤバい。ブーンはひらりと避ける。
後方に飛んで行く斧。木にぶつかり、秘められた破壊のエネルギーを発散する。
木は爆砕し、その破壊力の凄まじさを物語った。
(;^ω^)「これはヤバいお、距離は取らないほうがいいお!」
ブーンは疾走する。スッコに肉薄し、斬撃を繰り出す。


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 14:03:39.58 ID:GqeAKOzcO
ブォンッ!ガキンッ!フォンッ!ビュンッ!
スッコ「……」
ξ゚听)ξ「何よ、あの素人みたいな振り方は!」
(´・ω・`)「そりゃそうだよ…だって──」
そうなのだ。確かにブーンは身体能力が格段に向上してはいるが、剣の腕は素人だ。
ただがむしゃらに振り回すしかできない。
スッコ「なんだ?あいつが忠告するくらいだからどんなヤツかと思ったが…素人じゃねーか」
受け止め、かわすだけだったスッコの、反撃が始まる。
受け止め、かわし、斧を振り下ろす。
(;^ω^)「うわわ!」
剣で受け止めるが、威力を殺しきれず、剣が肩に食込む。
(;-ω^)「うあっ…!」
ξ;゚听)ξ´・ω・`)「ブーン!!」
血が滴る。
スッコはそのまま押し込み、剣は骨に到達した。そこで一旦止まるが、このままでは肩は切り落とされるだろう。
ヒュンッ
スッコ「!?」
(´・ω・`)「やめろぉ!ブーンから離れろ!」
ショボンが石を投げ付ける。
スッコ「…五月蠅いハエだ…」
ブーンを蹴り飛ばし、地面に手を突っ込む。
スッコ「引っ込んでろ!」
ブォンッ!
人間の体など簡単に破壊する威力の斧がショボンに迫る!
(;-ω^)「う…!」
ブーンは立ち上がり斧を止めようとするが間に合わない。
(;´・ω・`)「うわあああああ!!!」
ショボンは無駄であろうが、手でガードしようと体の前に出す。
ショボンが爆砕する姿が目に浮かび、ブーンは目を背けた。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 14:06:22.16 ID:GqeAKOzcO
……………。
スッコ「……なんだと?」
(;-ω^)「………」
( ^ω^)「え?」
(;´・ω・`)「………あれ?」
斧が、浮いて、そして止まっている。
(´・ω・`)「これって…」
ξ;゚听)ξ「………」
ξ゚-゚)ξ「……きっとショボンの能力よ…!」
ショボンは斧に意識を集中する。
斧は宙を縦横無尽に舞う。
(´・ω・`)「ハ、ハハ…こりゃすごいや…」
斧を持ち主に向かって疾走させてみる。
ブォォオン!
先程と同等、いや、それ以上の速度で突き進む!
スッコ「ぬおぉ!!」
ガキィン!
火花が散り、斧を叩き落とす。
スッコ「この…糞ガキがああああ!!!!」
ドスッ
ブーンの剣が腹に突き刺さり、そして剣を捻って傷口を広げて抜く。
スッコ「汚いぞ…!」
( ^ω^)「お前の口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったお」
スッコ「許さん…!その頭完全に破壊してやる…!」
腹から血を飛び散らせ、腸をはみ出しながら言い放つ。
相変わらず、タフだ。
スッコは怒りに身を任せ、斬撃を振り下ろす。
油断したのか、ブーンはかわせずに、また受け止める形になった。


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 14:07:37.89 ID:GqeAKOzcO
(;^ω^)「(致命傷のはずなのに威力は鈍ってないお…!)」
力をふり絞り、脱出するが、追撃の刃がブーンをかすめた。
肩の傷はほとんど再生していたが、また新たな傷が生まれる。
斧を振り切った所にブーンの剣が振り下ろされる。
だが、人間を凌駕する反応速度で受け止められた。
スッコ「どうした…!そんな力じゃ俺は殺せんぞ!」
その凄まじい膂力で押し返す。
(;^ω^)「(や、やばいお…)」
ブーンの力が一瞬緩んだ時、チャンスと見たのか、スッコの凄まじい斬撃のラッシュ!
ガキィン!ゴキン!ガキン!
臓器を撒き散らしながらも、勢いは止まらない。
ブーンは衝撃を受けきれず、体勢を崩す。そこにスッコが追討ちの斧を振り上げた。
ズバッ!
しかし背中を負傷したのはスッコだ。背中には斧が突き刺さっている。


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/10(火) 14:09:51.42 ID:GqeAKOzcO
(´・ω・`)「僕を忘れてもらったら困るよ」
スッコ「こ…のガキ…!」
ドグシャア!
スッコの体がぐらりと揺れる。
スッコ「お……ぐ………」
ブーンはスッコの股間を蹴り上げたのだ。
その凶悪な威力はスッコの物を押し潰す。
スッコ「ぐ…お…殺…す!」
スッコは目を血走らせ、泡を吹きながら言葉を絞り出した。
スッコが再び、ブーンを殺害する為に斧を掲げた。
ドゴォ!
スッコ「……!!」
再びブーンの蹴りが股間に突き刺さる。
グシャア!
三度目の、衝撃。
恐らく、一生使い物にならないだろう。
(´・ω・`)「ブーン!今だよ!」
ブーンの突きが心臓を破壊し、更に首をはね飛ばした。
スッコ「レ……ア………」
首を飛ばされながらも、何かを口にし、絶命。
( ^ω^)「ショボンのおかげで助かったお!」
ξ゚-゚)ξ「さっきのはサイコキネシスね?」
ショボンは少し考え込んで、呟く。
(´・ω・`)「サイコキネシス……こんな非科学的な力、僕向きじゃないね…」
《ロベルト・スッコ》
闇の力により得た肉体は非常に強靭。凄まじく発達した筋肉を持ち合わせ、その強大な力で敵を粉砕する。
地中から手斧を作りだす事ができる。
─第三章 『フランスの生きる凶器』─


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