5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 19:29:10.29 ID:80ma2RFG0

*魔王城


( <●><●>)φ,, カリカリカリ

( ><)φ,, カキカキ

(*‘ω‘ *)φ,, グリグリ

( <●><●>)「ふぅ……人間の国王への手紙はこんなものですかね」

( ><)「魔王さん、この字が読めないんです!」

( <●><●>)「それは『ろうどう』と読みます。働くという意味ですね」

( ><)「魔王さんは労働ばっかりなんです」

( <●><●>)「使い方としてはあっていますよ」

(*><)「えへへ」

( <●><●>)「書き取りの時は小さな声で読みながらやってごらんなさい」

( ><)「はいなんです!」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 19:33:34.05 ID:80ma2RFG0

(*‘ω‘ *)「ぽぽも! できたっぽ!」

( <●><●>)「どれどれ?」

(*‘ω‘ *)「これがぽっぽで、こっちがビロードで、これがまおーさんぽ!」

( <●><●>)「これは何をしているところですか?」

(*‘ω‘ *)「ごはん!」

(;<●><●>)「やっぱり」

( ・∀  ∀・)「へぇー上手に描けているじゃないですか!」

( <●><●>)「ノックくらいしなさいキケイ」

( ・∀  ∀・)「こんなに書類を抱えて、どうやってノックするのです?」

( <●><●>)「ノックできないほど書類を持ってくるのをやめなさい」

(*‘ω‘ *)「ぽっ! ぽぽ上手だっぽ?」

( ・∀  ∀・)「はいお嬢さま。今度僕も描いてくださいな」

(*^ω^ *)「かいたげるっぽ!」
14 :えっ、まとめられてるの?:2010/10/03(日) 19:40:02.88 ID:80ma2RFG0

( <●><●>)「ひーふーみ……6箱も持ってきて!」

( ・∀  ∀・)「文官さん、死にそうな顔していましたよ」

( ><)「どうしてなんですか?」

( ・∀  ∀・)「最近の魔王さまは前にもまして仕事が早いですから、
         それに追いつくほどの書類を用意するのもたいへんだって」

(*‘ω‘ *)「ぽ……」

( <●><●>)「追いつかなくて良いんですよ!」

( ・∀  ∀・)「それは文官さんに言ってください。
         そもそもこんな大国の文官が一人っきりなんておかしいですよ」

( <●><●>)「それは確かに……私のところに回すまでもないような書類はすべて
        文官が処理しているんでしたね」

( ><)「たいへんな労働なんです」

( ・∀  ∀・)「そうそう、そうです! いっそ文官を増やしませんか?
         そうしたら僕も書類運びから元の仕事に戻れますし……」

( <●><●>)「? 元の仕事って、なんでしたっけ?」

( ;∀  ∀;)「庭師ですよ! 庭師!」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 19:46:57.47 ID:80ma2RFG0

( ><)「にわし?」

( ・∀  ∀・)「かつての魔王城の庭園はそれは素晴らしいものだったと聞きますよ。
         一年中四季を問わずに花が咲き乱れ、果樹が実りをもたらすのです」

( ><)「見たいんです!」

( <●><●>)「ふむ……確かに現在の荒廃した庭は教育に良くないかもしれませんね」

( ・∀  ∀・)「前の魔王さまが庭師を一斉に追い払ったせいで、イバラに覆われてしまいました」

( <●><●>)「禍々しすぎます」

( ・∀  ∀・)「なんとか中庭だけは再生させましたが……」

(*‘ω‘ *)「なかにわ、ぽかぽかで大好きっぽ!」

( ・∀  ∀・)「……魔王さま、僕に庭園もお任せくださいませんか?」

( <●><●>)「そうですね、いつまでもオサムだけに事務を任せてはおけませんし」

(*・∀  ∀・)「じゃ、じゃあ!」

( <●><●>)「文官を雇いましょう。さっそく彼を呼んでください」

(*・∀  ∀・)「はいはい呼びます! 何が何でも呼びますっ!」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 19:53:01.44 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ )「お呼びでしょうか、魔王さま……」

( <●><●>)「ぼろぼろですね」

【+  】ゞ )「仕事をしませんと……ご用件を御早く……」

( <●><●>)「まあ、その話です」

【+  】ゞ )「?」

( <●><●>)「実は、あなたが随分やつれていると聞きまして、新しい文官を雇おうかと」

( ><)「労働しすぎなんです」

【+  】ゞ゚)「ま、」

( <●><●>)「今まであなたに任せきりでしたからね、色々不都合があったのでは?」

【+  】ゞ゚)「魔王さま……それはつまり……」

( <●><●>)「はい?」

【+  】ゞ;)「私を解雇なさるということですか!?」

(;<●><●>)「えっ!?」
31 :なんか無知でごめんね まとめてくれた人ありがとうございます:2010/10/03(日) 20:02:27.36 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ;)「いくら魔王さまとはいえ横暴すぎます!」

(;<●><●>)「い、いや違……」

【+  】ゞ;)「就任したころから一生懸命書類の山を切り崩してきたといいますのに!」メソメソ

( ><)「本当に泣いてるんです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ……いたいのいたいの……とんでけー!」

( ><)「それは多分ちがうんです」

(*‘ω‘ *)「ぽー?」

【+  】ゞ;)「酷すぎます!」

( ・∀  ∀・)「魔王さま……解雇だなんて酷すぎます……」

(;<●><●>)「誤解です! 解雇なんてする余裕自体ありません!」

【+  】ゞ゚)「えっ!?」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:10:34.69 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ゚)「……なるほど。確かに人手は足りていませんが」

( <●><●>)「でしょう? ですからそもそも解雇している場合ではないのですよ」

【+  】ゞ゚)「良かった、本当に良かった。故郷の一族が餓えて死ぬ所でした」

(*‘ω‘ *)「うえるのはイヤなことだっぽ」

【+  】ゞ゚)「しかし、良いのですか? 新しく文官を雇うと、彼らの給料は……」

( <●><●>)「実は手を付けていない財源を見つけましてね。
        先代魔王が買い付けたり、献上された宝剣や装飾品の類が地下牢の奥にザクザクと」

( ><)「宝物なんです!」

【+; 】ゞ゚)「何故地下牢に?」

( <●><●>)「さぁ……邪魔だったのでは? 何しろすごい量でして」

(*‘ω‘ *)「パンいくつかえるぽ?」

( <●><●>)「宝剣一つであなたが一生食べていけるものもありますよ」

(;‘ω‘ *)「ぽっ!? それじゃ、100個の100個ぶんくらいかえるぽ!」

( <●><●>)「ええ」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:15:51.09 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ゚)「では、どこから集めましょうか? 城下に公募でも?」

( <●><●>)「そのあたりはあなたに任せますが、できれば城下の裕福な民よりも
        辺境の貧しい地方から優秀な人材を発掘したいところです」

( ・∀  ∀・)「僕も貞子さんも辺境からの出ですしね」

【+  】ゞ゚)「私もだぞ」

( ・∀  ∀・)「え? オサムさんは上級魔族じゃ……」

【+  】ゞ゚)「没落氏族だからな。貧乏なのだ」

( ・∀  ∀・)「地方はどこです?」

【+  】ゞ゚)「北東の国境にある山脈」

( <●><●>)「あそこは土地がやせていますしね。ええと、コウモリ族でしたか?」

【+  】ゞ゚)「はい。それと近くには火炎トカゲの村が」

( <●><●>)「火炎トカゲ? あの氏族は記録上消えたことになっているのですが」

【+  】ゞ゚)「え、ええ。記録上では……」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:24:53.49 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ゚)「実はトカゲ族は先代魔王さまに土地を追われてしまいまして」

( <●><●>)「たしか彼らの昔いた土地から質の良い鉱石が採掘できるという理由で……」

【+  】ゞ゚)「はい。先代魔王さまの時代は軍事力に力を注いでいましたから。
       鉱石は肝心要だったのです」

( ><)「でも、だからって他の人を追い出すのはひどいんです!」

( <●><●>)「そうですね。私もそう思いますよ」

【+  】ゞ゚)「先代魔王さまに逆らって土地の譲渡を渋ったせいで
       あのような岩山に追いやられてしまったのです」

(*‘ω‘ *)「ぽ? よくわかんないぽ……」

( <●><●>)「なるほど。あそこの環境は国内でもなかなか酷い。
        流刑地扱いだったのですね」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:31:46.89 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ゚)「はい。それにあそこは国境付近ですから。
       どこかの氏族を置いて斥候にしたいということもあったのでしょう」

( <●><●>)「それでは火炎トカゲ族の中から少しでも中部に働き口を作るべきでしょうか」

( ・∀  ∀・)「それがいいんじゃないでしょうか。流刑にされた氏族は働き口に困ると言いますし」

( <●><●>)「さっそく手紙を書きましょう」

【+  】ゞ゚)「ただ、魔王さまからの突然の手紙ですと少々面倒なことになるかもしれません」

( <●><●>)「確かにそうですが、こればかりはそうなっても仕方がありません」

( ><)「どうしてですか? 働いてお金がもらえるなら、うれしいんです」

( <●><●>)「岩山に追いやったのは先代魔王ですからね」
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:38:44.12 ID:80ma2RFG0

( ><)「?」

( <●><●>)「ビロードがされたらどう思いますか」

( ><)「うーん、勝手に追い払ったのに、自分勝手かなって……」

( <●><●>)「相手の立場になって考えることは何より大切なのですよ」

(;><)「むつかしいんです! じゃあどうすればいいんですか!?」

【+  】ゞ゚)「せめて、あの岩山でなければいいのですが」

( <●><●>)「まずは手紙を書きます。それでダメなら私が直接話し合いに行きます。
        文官が嫌というなら城下の仕事を任せることもできますし」

( ・∀  ∀・)「「魔王さまがそこまでしなくても良いじゃありませんか」」

( <●><●>)「それも断られたら支援物資を送ります。
       彼らが欲しがっているのはそういう物ではないのでしょうが」

【+  】ゞ゚)( ・∀  ∀・)「?」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:47:50.63 ID:80ma2RFG0

チリンチリーン

( ><)「!」

(*‘ω‘ *)「ごはんのじかんだぽ!」

( <●><●>)「はいはい。今日は先に行っていてください」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( ・∀  ∀・)「「何かご用事が?」」

( <●><●>)「トカゲ族への手紙を書きます。今から書いて送れば明日の昼には届くでしょう」

【+  】ゞ゚)「魔王さま、何もそこまで」

( <●><●>)「今まで彼らを放っておいた時間を考えれば、いくら急いでも遅いのです」

( ><)「……」

( <●><●>)「では、執務室に戻ります」
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 20:57:43.58 ID:80ma2RFG0

*食堂


( <●><●>)「ふー……すっかり遅くなってしまいました」

( ><)「魔王さん」

( <●><●>)「どうしたんですか? あなたはもう風呂に入って寝る時間ですよ」

( ><)「ご飯食べるんです」

( <●><●>)「……待っていたんですか」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽも」

( <●><●>)「お腹がすいたでしょうに。良かったのですよ、先に食べても」

(*‘ω‘ *)「ごはんはみんなでたべるぽ」

( ><)「魔王さんもお腹すいてるのに、労働してたんです」

( <●><●>)「……ありがとう」

川д川「お疲れ様です魔王さま。ご飯を温めてもよろしいですか?」

( <●><●>)「お願いします」
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:08:50.68 ID:80ma2RFG0

川ー川「すぐに6人分、お持ちします」

( <●><●>)「6人分?」

川д川「キケイさんはご飯の前に新しい庭園の図を引くそうです。
     オサムさんは変わらずお仕事を続けています」

( <●><●>)「あなたは?」

川ー川「とってもお腹がすいていますわ」

(;<●><●>)「やれやれ。食事の鈴をもう一度鳴らした方がよさそうですね」

(*><)「僕がやるんです!」

チリンチリーン

( <●><●>)「食べたらすぐに風呂に入るんですよ」

(*‘ω‘ *)「ぽ!」
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:16:09.94 ID:80ma2RFG0

*執務室


( <●><●>)φ,, カリカリカリ

( <●><●>)「そろそろ、手紙がついた頃でしょうか」

( ・∀  ∀・)「「魔王さま、今日の分の残りの書類、まとめてお持ちしましたよ」」ドサドサッ

(;<●><●>)「まだ昨日持ってきた分が残っているのですよ!?」

( ・∀  ∀・)「「いえ、これから庭仕事に入るので、まとめて運んでおいたのです」」

( <●><●>)「ああ、そうでしたね」

( ・∀  ∀・)「「選別されていなくて不便でしょうけれど……」」

( ><)「魔王さん」ヒョコ
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:22:14.58 ID:80ma2RFG0

( <●><●>)「ん? どうしました」

(*‘ω‘ *)「めしつかいさんのお手伝いおわったぽ!」

( ><)「今日も書き取りなんですか?」

( <●><●>)「丁度良かった。書類の仕分けを手伝ってください」

(*‘ω‘ *)「ぽぽにもできるぽ?」

( <●><●>)「四角いハンコが押しておるものはこっち。
        押していない物はこの箱へいれてくれませんか?」

( ><)「はいなんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽっ! がんばるぽ!」

( ・∀  ∀・)「「じゃ、僕は庭に取り掛かります」」
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:29:15.13 ID:80ma2RFG0

( <●><●>)「はぁ……」

(*‘ω‘ *)「? おなかいたいぽ?」

( <●><●>)「いいえ、トカゲ族のことです」

( ><)「お手紙になんて書いたんですか?」

( <●><●>)「そうですね……今までの冷遇を謝って、支援物資が必要なら送りますよ、と。
        良ければ中部に働き口を用意すると書きました。これで許してもらえるかどうか……」

( ><)「でも魔王さんは悪いことしてないんです。前の魔王が悪いんです」

( <●><●>)「私は物を知らなさすぎるんです。なにもかも、わかっていない」

(*‘ω‘ *)「まおうさん、ものしりだぽ?」

( <●><●>)「いいえ、何も知らないのです。自分の国のこともね。そして無知は罪なのですよ」

( ><)「どうしてですか?」
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:37:45.02 ID:80ma2RFG0

( <●><●>)「私が知っていれば、ネズミ族とヒル族は思いつめずに済みました。
        今回のトカゲ族も、18年前から問題に取り組めたのです」

(*‘ω‘ *)「??」

( ><)「でも、知らなかったんだから、仕方ないんです!」

( <●><●>)「それでは済まないこともあるんですよ。
        魔族の歴史を学んでも、本をいくら読んでも、私はまだ何もわかっていないのです」

(;><)「あう……でも、本にも書いていないこと、どうやって知ればいいんですか?」

( <●><●>)「そこですね……ああ、課題は山積みもいいところです」

(*‘ω‘ *)「ぽー……まおうさん、人にきけばいいぽ!」

( <●><●>)「人に?」
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:45:22.02 ID:80ma2RFG0

(*‘ω‘ *)「ぽぽ、わかんないこと、きくとわかるぽ! だから、まぞくのひとに、きくといいぽ!」

( <●><●>)「氏族に直接、ということですか? うーん……」

(*‘ω‘ *)「ぽぽにきいてくれたら、ぽぽのことはおしえたげるぽ! ぽぽはみかんがすきだっぽ!」

(;><)「ちんぽっぽちゃん! そんなに簡単には行かないんです!」

(*‘ω‘ *)「なんでだっぽ?」

( ><)「なんでって……相手は大人の人だし、魔族だし、こっちのこと嫌いかもしれないんです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ。おうさまってむつかしいぽ」

( <●><●>)「本当ですね。皆がちんぽっぽのように教えてくれると楽なのですが。
        うーん、なるほど」

(*‘ω‘ *)「まおうさんは何が好きだぽ?」

( <●><●>)「そうですね、シチューが好きです。それとパンケーキが好きです」

( ><)「僕もパンケーキ好きなんです!」


|д川(今日のおやつは、みかんのジャムとパンケーキにしましょう)コソコソ
129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 21:57:16.96 ID:80ma2RFG0

*庭


(;・∀  ∀・)「「うわぁ、思った以上に大仕事になりそう……」」

川д川「キケイさん、おやつ、ここに置きますよ!」

( ・∀  ∀・)「「えっ、もうおやつの時間ですか!?」」

川д川「鈴の音が聞こえなかったみたいなので持ってきました」

( ・∀  ∀・)「「すみません」」

川д川「ずいぶんさっぱりしましたね」

( ・∀  ∀・)「「まだイバラを刈っただけなんですよ。これから根を抜いて土を作らなくちゃ」」

川д川「大変ですね」

( ・∀  ∀・)「「少しづつやりますから。手前から少しづつ庭を広げますよ」」

川ー川「楽しみです」

( ・∀  ∀・)「「あのお二人も楽しみにしてくれているんです。頑張ります」」
135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:06:30.66 ID:80ma2RFG0

*北東の岩山


(    )「魔王から手紙が来たってよ」

(    )「なんで?」

(    )「俺たちに仕事しろって。それと、支援物資を送るってさ」

(    )「えっ、どういう事だい?」

(    )「でも今は確かに、働き口はほしいさ」

(    )「物資もくれるんならもらいたいわ」

(    )「おい待てよ! じゃあお前ら魔王に従うのか? あんなひどい目にあわされておいて……」

(    )「でもそれは先代魔王じゃないか」

(    )「だけど……」

(    )「金は必要だろ!」

(    )「じゃあ、誰が行く?」

(    )「……」
142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:13:57.53 ID:80ma2RFG0

(    )「俺たちが行くよ」

(    )「えっ?」

(    )「現状何もできてないからな」

(    )「いや、でも……」

(    )「募集されているのは文官の仕事だろ? 丁度いいじゃないか」

(    )「……」

(    )「俺たちがここにいるより、出稼ぎにいったほうがいい」

(    )「……まあ、確かにそうだなぁ」

(    )「!? おい、そんな言い方って……」

(    )「いいからいいから。じゃ、俺たちは明日発つよ。家族のことは頼む。賃金が出たら送るさ」

(    )「ああ、気をつけろよ……」
149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:22:18.11 ID:80ma2RFG0

*魔王城


(;<●><●>)「トカゲ族の若者が早速来たって……そんな馬鹿な!」

【+; 】ゞ゚)「私も驚いているのですが、事実です」

( <●><●>)「そこまで切羽詰まっていたのでしょうか」

【+  】ゞ゚)「そうかもしれません」

( <●><●>)「とりあえず一度会ってみましょうか」

【+  】ゞ゚)「大丈夫でしょうか? その、魔王さまへの恨みから、暗殺目的できた可能性も……」

( <●><●>)「大丈夫大丈夫。刺されたって簡単には死にませんよ」

( ><)「魔王さん……」

( <●><●>)「おや、どうしたんですか?」
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:30:54.59 ID:80ma2RFG0

( ><)「さされちゃだめなんです……」

(*‘ω‘ *)「ぽ? なんかあるぽ?」

( <●><●>)「大丈夫ですよ。ちょっと本人にきいてみるだけです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

( <●><●>)「行きましょう」

【+  】ゞ゚)「あの、魔王さまの服装で行かれないのですか?」

( <●><●>)「どうせここで働いてもらうならいいでしょう」

【+; 】ゞ゚)「はぁ……しかし、腕カバーはお取りくださいね」

(;<●><●>)「そ、そうでした」ヌギヌギ
163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:38:25.48 ID:80ma2RFG0

*食堂


( <●><●>)「待たせてすみません。私が当代魔王です。よろしく」

/ ゚、。 /「私はトカゲ族のダイオードといいます」

( ´ー`)「俺はシラネーヨだーヨ」

/ ゚、。 /「魔王さまの前だよ、ネーヨ」

( ´ー`)「知らねーヨ。俺は出稼ぎに来ただけだーヨ。魔王なんて知るかヨ」プイ

/ ゚、。 /「申し訳ございません魔王さま」

( <●><●>)「気にしないでください。当然の対応ですから」

( ´ー`)「ふん……」

( <●><●>)「まず謝ります。
        あなた方を元の土地から追い出したことと、今日までの間何の対応もしなかった事を」

( <●><●>)「本当に、申し訳ありません」
171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:45:56.04 ID:80ma2RFG0

/ ゚、。 /「頭を下げていただく必要はございません」

( ´ー`)「そうだヨ。謝るならあの土地を返してくれヨ」

( <●><●>)「それは……」

( ´ー`)「できねーヨなぁ? あそこはもう、鉱石を掘りつくしてしぼりとってただの荒れ地だ」

( <●><●>)「申し訳ありませんが、その通りです」

/ ゚、。 /「当代の魔王さまのせいでないことはわかっております。謝らないでください」

( <●><●>)「しかし……」

/ ゚、。 /「謝られると、どなり散らしたくなります。何故あのような岩山に追いやったのだ、と」

( ´ー`)「それに、今まで放っておいたーヨ」
181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 22:53:34.83 ID:80ma2RFG0

( <●><●>)「ええ。そうでしょうね」

/ ゚、。 /「私たちが史実上では消されてしまった事も知っています。
      しかし、理屈でどうなるものではないのです」

( ´ー`)「俺たちが岩山で寒さに震えて腹をすかせていた時も、
      どうせ魔王は城でごちそう三昧だったんだーヨ。わかりっこねーヨ」

( <●><●>)「……仕事はオサムが案内します。どうしても合わない時は別の仕事を用意しますので」

( ´ー`)「ふん……下手に出やがって」

( <●><●>)「オサム。後をたのみます」

【+  】ゞ゚)「はい魔王さま」

/ ゚、。 /「あなたは……」

【+  】ゞ゚)「この城の文官だ。一応文官長にあたる。分からないことがあればきいてほしい。
       まず城内を案内しようか。こっちだ」
188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:01:28.00 ID:80ma2RFG0

( ´ー`)「アンタ、コウモリ族だヨな?」

【+  】ゞ゚)「そうだ。隣村からの出だ」

( ´ー`)「アンタもご機嫌取りに仕事を斡旋されたのかーヨ?」

【+  】ゞ゚)「いいや? 私は先代時代から文官だ。当時はほとんど雑用係だったのだが」

/ ゚、。 /「雑用係が文官長に? 他の文官はどうなったのです?」

【+  】ゞ゚)「仕事をしないお飾りは魔王さまがみんな解雇されてしまった。
       金の無駄だとおっしゃって」

/ ゚、。 /「!」

【+  】ゞ゚)「今この城にいるのは他に庭師と召使いが1人づつ。
        それから魔王さまの御子が2人いらっしゃるだけだ」

(;´ー`)「んなバカな! このデケー城に!」
194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:10:43.45 ID:80ma2RFG0

【+  】ゞ゚)「城の部屋の殆どは先代の時代から溜め込んだ書類と
       当代魔王さまが作った資料の倉庫になっているんだ」

/ ゚、。;/「この城、全部ですか?」

【+  】ゞ゚)「そう。本館は5部屋しか空いていない。
       私も城下の家から通っている。お前たちもそうしてもらう予定だ」

(;´ー`)「ご、5部屋?」

【+  】ゞ゚)「嘘だと思うのなら庭を見てみろ。庭師は1人しかいないぞ」

/ ゚、。 /「本当だ……」

( ´ー`)「……ふん、どうせ俺たちを懐柔するための狂言だーヨ!
     みろ、こんなにドアが並んでるのに、全部が資料だなんて……」ギィッ

【+; 】ゞ゚)「あ、そのドアは!」

( ´ー`)「ねーy」ドサドサドサドサドサー

(;´ー`)「!?」

【+# 】ゞ゚)「お前たちの初仕事が決まった。この部屋の片づけだ」
197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:18:00.72 ID:80ma2RFG0

*資料室


(;´ー`)「ち、畜生……」

/ ゚、。 /「ネーヨが悪いな」

(;´ー`)「だって本当だって誰も思わねーヨ! ぶえっ、埃っぽい!」

川д川「失礼いたします」

(;´ー`)「おわっ!」

川д川「雑巾とバケツ、ここに置いておきますね」

/ ゚、。 /「ああ、どうも。あなたが召使いさんですか?」

川д川「はい。貞子と言います」

( ´ー`)「本当に召使いは1人だけなのかーヨ?」

川д川「ええもちろん。あ、晩餐の時間には鈴を鳴らしますから、さっきの食堂にきてくださいね」
200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:27:59.96 ID:80ma2RFG0

(;´ー`)「……ちょっとだけ手伝ってもらえねーかヨ? 夜までにおわらねーヨ」

川д川「私は他に洗濯と掃除と晩餐の支度があります。代わりに……」

( ><)「僕たちがお手伝いするんです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

(;´ー`)「? なんだ、ガキかぁ……」

川д川「私はこれで」

/ ゚、。 /「あ……いっちゃった」

( ´ー`)「んだよ。召使いいるんじゃねーかヨ。ちっこいけど……」

( ><)「?」
204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:36:40.70 ID:80ma2RFG0

( ´ー`)「あーあー。どうすんだーヨこの量……」バサバサッ

( ><)「あ、その辺は四角いハンコが押してあるから、この箱に入れるんです」

( ´ー`)「ん? そうなのかーヨ」

( ><)「はい。そんで、後でしつむしつに持ってくんです。
      年号がちょうど今の書類といっしょだから、きっと近いうちに使うんです」

/ ゚、。 /「君、詳しいね。執務室に行ったことがあるの?」

( ><)「書類をわけるお手伝いしてるんです」

/ ゚、。 /「なるほど……」フキフキ

(*‘ω‘ *)「ぽっ! そこはぬらしたぞうきんでふくんだっぽ! ぞうきんぬらすぽ!」

/ ゚、。;/「ええ? そうなの?」
209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:44:35.79 ID:80ma2RFG0

(*‘ω‘ *)「しぼるのやってぽ!」ビチャビチャ

/ ゚、。 /「う、うん……」ギュッ
  _,,
(*‘ω‘ *)「もっとしぼるぽ! もっかい!」

/ ゚、。;/「ごめん」ギュウウッ

( ´ー`)「ぷっ……」

(#><)「その書類は年号がちがうからまぜちゃだめなんです! こっちの箱なんです!」

(;´ー`)「わ、わかったーヨ」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽがここふくっぽ。あっちふいてほしいぽ」

/ ゚、。 /「うん」
214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:49:51.10 ID:80ma2RFG0

( ><)「箱がいっぱいになったんです! 先に運ぶんです!」

( ´ー`)「重いから俺がもってやるヨ」

( ><)「ありがとうなんです。じゃ、これも持ってほしいんです。こっちです!」

(;´ー`)「重……」

( ><)「庭師さんは6つ重ねて持つんです!」

( ´ー`)「……そうかヨ」

( ><)「? えっと……」

( ´ー`)「ああ、俺はシラネーヨ。さっきのはダイオードだーヨ」

( ><)「僕、ビロードなんです!」

( ´ー`)「ふん」

( ><)「ここが文官さんの部屋なんです。ここで一つ箱を渡すんです!」
221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/03(日) 23:56:27.99 ID:80ma2RFG0

*文官室


( ><)「失礼するんです」

【+  】ゞ゚)φ,,「どうした?」カリカリ

( ><)「書類がちょうど使いそうなのだったんです! もってきたんです!」

( ´ー`)「これだーヨ」

【+  】ゞ゚)「どれ。……ああ確かに。よくわかったな」

( ><)「仕分けのお手伝いで覚えたんです!」

【+  】ゞ゚)「将来有望だ」

(*><)「えへへ……じゃあ、もうひと箱も届けて来るんです!」

【+  】ゞ゚)「そうしてくれ。お前も見習うといいぞ」

(;´ー`)「こんなチビを? 勘弁してくれヨ」

( ><)「シラネーヨさん、おいてっちゃうんです!」

(;´ー`)「ま、待てヨ!」

【+  】ゞ゚)「……もうあいつの方が部下だなぁ」
226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:02:46.84 ID:VLF1lwBB0

*廊下


( ><)「大丈夫ですか?」

( ´ー`)「ああ……にしても、ビロードはどうして手伝ってくれるんだーヨ?
     自分の仕事はないのかヨ?」

( ><)「僕、今日は午後に仕分けの手伝いをすることになってたんです。
      でもちんぽっぽちゃんとやってたらすぐ終わっちゃって、新しいお手伝いを探してたんです」

( ´ー`)「ははん。雑用係なのかヨ?」

( ><)「ううん。これもガクシュウノイッカンなんです」

( ´ー`)「?」

( ><)「あ、ついたんです」コンコン


『どうぞ』
232 : ◆5SC6cfZwMk :2010/10/04(月) 00:07:28.46 ID:VLF1lwBB0

*執務室


(;<○><○>)φ,,,「終わらない……終わらない……」ガリガリガリガリガリ

(;´ー`)「ひぃ! ままま、魔王!?」

( <●><●>)φ「ん、ビロード。と、シラネーヨさん」

(;´ー`)「さ、さんはいらねーヨ……」

( ´ー`)(ここ、魔王の執務室かヨ? 狭いし、調度品が机と椅子しかねーヨ……)

( <●><●>)「そうですか。それで、どうしました?」

(*><)「ついかの書類をおもちしましたんです!」

( <○><○>)「キケイの真似はやめなさい! 私の一番嫌いな言葉です!」

( ><)「でもでも、今の書類と同じ年号なんです……」

( <●><●>)「まだこの年の書類が?」
242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:14:54.56 ID:VLF1lwBB0

( ><)「ほらっ!」

( <●><●>)「! これは確かに欠けていた日付です。よく見つけましたねビロード」

(*><)「えへへ……本当はシラネーヨさんが見つけたんです!」

( <●><●>)「そうなんですか?」

(;´ー`)「い、いや、偶然山を崩しちまったんだヨ……」

( <●><●>)「? よくわかりませんが、優秀な文官が入ってくれて嬉しいです」

( ´ー`)「……」

( ><)「じゃあ僕はお片づけに戻るんです」

( <●><●>)「よく手伝っていらっしゃい」

( ><)「はいなんです!」
247 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:19:27.88 ID:VLF1lwBB0

*廊下


(;´ー`)「ふー、いきなり魔王の執務室につれてくなんて、心臓に悪ぃーヨ!」

( ><)「? なんでですか?」

( ´ー`)「なんでって……
     魔王ってのは怖いし、ちょっとでも粗相したらすぐ罰を与えたりするんだヨ」

( ><)「そんなことないんです。優しいんです」

( ´ー`)「優しい魔王なんて、いる訳ねーヨ」

( ><)「魔王さんは魔王だけど、その前に魔王さんなんです」

(;´ー`)「意味ワカンネーヨ!」
250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:24:33.88 ID:VLF1lwBB0

( ><)「えっと、魔王ってひとくくりにしちゃうと、今の魔王さんのことがわかんないんです」

( ´ー`)「!」

( ><)「今の魔王さんは、前の魔王とは違うんです。
      だから、魔王さんの気持ちになって、考えなきゃいけないんです」

( ´ー`)「……違うって、わかってるヨ」

( ><)「魔王さんは、いっつも労働ばっかりなんです。
      前の魔王がこわしたもの、直すほうが大変なんだって……」

( ´ー`)「……直す、ねぇ」

( ><)「そうなんです」

( ´ー`)(魔王の気持ちなんて、わかんねーヨ……)
257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:29:03.46 ID:VLF1lwBB0

*資料室


( ><)「ただいまなんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽ!」

( ´ー`)「お? なんか綺麗になってるんじゃねーかヨ」

/ ゚、。;/「雑巾がけって、大変だよ」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽの方がまだじょうずだぽ!」

/ ゚、。 /「君には負けた……」

(*^ω^ *)「ぽ!」
265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:34:30.97 ID:VLF1lwBB0

( ><)「あとはこっちの棚に重ねて置いておけばいいんです」

( ´ー`)「よっと」

/ ゚、。 /「なんとかなったね」

( ´ー`)「奇跡的だヨ」

チリンチリーン

( ><)「ご飯の時間なんです!」

(*‘ω‘ *)「はやくいくっぽ!」

/ ゚、。 /「食堂ってどっちだったかな?」

( ><)「こっちです」

( ´ー`)「晩餐というからには御馳走がでるんだろうヨ。 魔王の晩餐のあまりとかに期待するヨ」
268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:39:00.77 ID:VLF1lwBB0

*食堂


( ><)「今日のごはんはなんですか?」

川д川「今日は(レヴィアタンの)ムニエルよ」

( ><)「お魚ですか?」

川д川「そうね(多分)」

(;´ー`)「なんだ、家庭料理じゃねーかヨ」

川д川「質素にとお言いつけなんです」

/ ゚、。 /「誰がです?」

( <●><●>)「私です」

(;´ー`)「うわっ!」
271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:44:15.09 ID:VLF1lwBB0

( <●><●>)「そこまであからさまに避けないでください……いくらなんでも傷つきます」

(;´ー`)「まさか、魔王までこの食堂でメシ食うのかヨ!?」

【+  】ゞ゚)「そうだ」

( ・∀  ∀・)「「オッ、君たちが新しい文官さんか。よろしく」」

川д川「お二人はこちらの椅子へどうぞ」

( ´ー`)「あ、ああ……どうも」

/ ゚、。 /(長テーブルに、人数分の椅子しかないや……)

( <●><●>)「それではみなさん、手を合わせて」

    ( ><)(*‘ω‘ *)
       人   人
                        イタダキマース
川д川( ・∀  ∀・)【+  】ゞ゚) 
  人     人       人
278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:49:13.60 ID:VLF1lwBB0

(;´ー`)/ ゚、。;/「い、いただきます……」
  人  人

( )<●><●>)゛「おいしいです」

川д川「ありがとうございます!」

( ´ー`)「いつもこうなのかヨ?」ヒソヒソ

( ><)「? そうなんです」

/ ゚、。 /「……おいしい」

( ・∀  ∀・)「「貞子さんの料理はおいしいですよ」」

【+  】ゞ゚)「スープおかわりしていいか?」

川д川「はい、もちろんです」
282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 00:56:01.39 ID:VLF1lwBB0

( <●><●>)「今日は南の部落の内乱問題書類を解決しました。
        手紙をたくさん書いたので、朝一番で送ってください」

【+  】ゞ゚)「はい。晩餐の後にそこの一番新しい地図と過去の内乱の資料を持っていきます」

( <●><●>)「そうしてください」

( ・∀  ∀・)「「僕は西塔の周りを整備して、花壇に花を植えました」」

( ><)「見たいんです!」

( ・∀  ∀・)「「明日ご案内しますよ」」

(*‘ω‘ *)「ぽぽも! ぽぽも!」

( ・∀  ∀・)「「もっちろんですよ!」」
288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:00:21.43 ID:VLF1lwBB0

【+  】ゞ゚)「こちらはトカゲ族への支援物資について城下の市場と提携しました。
       少し安い値段でとれるように」

( <●><●>)「市場も最近活気づいてきたようで何よりです」

【+  】ゞ゚)「ただ、最近治安が……」

( <●><●>)「ネズミ族から手紙を預かっています。
        支援物資の礼に自警軍の一部を派遣してくれるそうで」

川д川「市場の警備をしてくれれば治安の問題も解決しますね!」

( <●><●>)「彼らの宿舎を用意して、東区画の空家を少しでも埋めるつもりです。
        あのあたりは人通りが少ないので、すこしでも改善したいのです」

川д川「そういえば、西塔の掃除が終わりましたわ。明日にでも使えます」

( <●><●>)「ではそこにビロードとちんぽっぽの勉強部屋を作りましょう。
        それと資料を整理して図書館を作ります」

川д川「用意します」

(;´ー`)/ ゚、。;/(会話についていけない!)
293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:09:08.84 ID:VLF1lwBB0

( ><)「僕たちの部屋?」

( <●><●>)「そうですよ。そこに勉強に関する本などを置いておくのです」

(*‘ω‘ *)「ぽ……もうまおうさんのへやでおえかきできないぽ?」

( ><)「書き取りも?」

( <●><●>)「……好きな場所でかまいませんよ」

(*><)「へへ……」

(;´ー`)「魔王の部屋で書き取りにお絵描きって……ずいぶんいい御身分だヨ」

( <●><●>)「? なぜですか?」

/ ゚、。 /「それは……」

( <●><●>)「まぁ、自分の子どもを仕事部屋にいれるのもどうかと思いますが
        そういう教育方針なのです」

( ´ー`)「教育方針ってレベルj……自分の子ども?」

( <●><●>)「?」
297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:14:27.11 ID:VLF1lwBB0

(;´ー`)「嘘だーヨ!」

( ><)(*‘ω‘ *)「?」

/ ゚、。;/「だって、年齢の計算が……」

( <●><●>)「この子たちは人間です。私が養子にとりました」

(;´ー`)「に、人間!」

/ ゚、。 /「そんなバカな。人間を子どもにしてどうするんです?
      私たちの天敵ですよ。育てて非常食にでもするつもりですか!」

(;><)「うぇっ!? 僕おいしくないんです!」

( <●><●>)「そんな心配しなくてよろしい。これは私の個人的な決定です。
       魔王なんですから、それくらいの我儘を言ってもいいでしょう」

/ ゚、。;/「でも、人間なんて……」

( <●><●>)「彼らは餓えて凍えて人食い花に食われる寸前だったのです。
        目の前にそんな子どもがいたら思わず助けてしまうでしょう」

( ´ー`)「!」
304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:19:21.95 ID:VLF1lwBB0

( <●><●>)「まあ、エゴだとはわかっています。
       それでも、知ってしまったら助けたくなるでしょう?」

/ ゚、。 /「……私たちのことも、知ってしまったから?」

( <●><●>)「ええ、そうです」

( ´ー`)「知らなかったら?」

( <●><●>)「知らない物をどうにかすることはできません。悲しいことですが」

/ ゚、。 /「知って良かったですか? それとも、知らない方が金もかからず楽でしたか?」

( <●><●>)「それは」

/ ゚、。 /「正直にお答えください!」

( <●><●>)「知る機会に恵まれて本当に良かった」

( ´ー`)「!」

( <●><●>)「本当は、もっと早く知りたかったのです。ごめんなさい」
307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:23:17.92 ID:VLF1lwBB0

( ´ー`)「……なんだよ。無責任だーヨ」

/ ゚、。 /「ネーヨ」

( ´ー`)「俺たちだって、もっと早く知ってほしかったヨ……」

( <●><●>)「ごめんなさい」

( ´ー`)「あんたの所為じゃねーんだろ。なんで謝るんだヨ……」

/ ゚、。 /「……私たちが怒れないじゃありませんか、これじゃ」

( <●><●>)「あなた達には怒る権利があると思いますよ」

/ ゚、。 /「今の魔王さまにはそんなこと、できません」

( ´ー`)「俺たち、働きにきてるだけだヨ……こんな、家族みたいに扱うなヨ」

( <●><●>)「私の国の民ですから」
315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:27:04.46 ID:VLF1lwBB0

/ ゚、。 /「……私は、体が弱いのです。岩山では働けないのです」

( ´ー`)「俺は、昔足を怪我して、あまり運動できないんだヨ。開墾も畑仕事もできないんだヨ」

/ ゚、。 /「邪魔ものにされないのは、初めてなのです」

( ´ー`)「堂々とメシを食える場所は、あそこになかったんだヨ……
      あそこでは、労働できないやつは邪魔ものなんだヨ」

( <●><●>)「厳しい環境だったことはわかっています。
        でも、労働は肉体労働だけでありません。あなた達はここで働いてほしい」

/  、  /「……ご飯、おいしいですね」

(  ー )「ああ……うめぇヨ」

( ><)「魔王さん」

( <●><●>)「何です? ビロード」

( ><)「コウショウって難しいけど、ちょっぴりでも上手くいくとうれしいんです」

( <●><●>)「ええ。私も嬉しいです」
319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:32:53.07 ID:VLF1lwBB0

*寝室


( <●><●>)「ほらほらベッドに入って。湯冷めしますよ」

( ><)「今日はなんのお話してくれるんですか?」

(*‘ω‘ *)「ゆうしゃのはなしぽ?」

( <●><●>)「うーん、今日は昔話じゃなくて、現代の話をしましょうか」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( <●><●>)「やっぱり知ることは大切です。今日改めて感じました」

( ><)「知らないと何にもできないんです」

( <●><●>)「そう。だから、ちんぽっぽの言うとおり私もどんどん人にきくことにしました」

(*‘ω‘ *)「ぽー?」

( ><)「え、でも……そんな簡単にいくんです?」

( <●><●>)「いくようにするのです」
328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:36:28.88 ID:VLF1lwBB0

( <●><●>)「まずそれぞれの氏族の長をすべて洗い出して、中部との繋がりを作ります」

( ><)「つながり?」

( <●><●>)「コウモリ族に協力してもらいます。彼らは今魔王城の専属伝令を担当しています。
        空を飛べるので移動が早いのです」

(*‘ω‘ *)「おそらとべるぽ! すごいっぽ!」

( <●><●>)「彼らの雇用を増やして、それぞれの氏族との間の定期連絡便を運んでもらうのです」

( ><)「テイキレンラクビン?」

(*‘ω‘ *)「おてがみっぽ?」

( <●><●>)「そう。『お元気ですか? 何か困っていませんか?』とお手紙を送るのです。
        すると『最近こうです。あれを送ってください』とお返事がくる、予定です」

( ><)「欲しいものがわかるんです!」

( <●><●>)「お返事をくれればですけどね」

(*うω‘ *)「ぽー」ゴシゴシ

( <●><●>)「それでも、機会は多い方がいいのです。
       それから各氏族にも文官を付けたいところですね。報告書を出させます」
336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:41:58.29 ID:VLF1lwBB0

( <●><●>)「大きな変化になりますよ。これから忙しくなります」

( ><)「いまより、いそがしくなるんですか……?」ウトウト

( <●><●>)「ええ。ですから、たくさん勉強して、またお手伝いしてくださいね」

(*うω-*)「ぽ……おてつだい……ぽ」

( ゚><)「ふわぁ〜……するん、です……」

( ><)(*-ω- *) スースー

( <●><●>)「……おやすみなさい」

パタン

( <●><●>)「さて、もうひと頑張りしなくては」
342 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:44:57.09 ID:VLF1lwBB0

*人間の国、神王軍


( ゚д゚ )「訓練兵のミルナです。お呼びでしょうか、モララー宰相」

( ・∀・)「ああ、君がそうか。どうぞかけてくれ」

( ゚д゚ )「失礼いたします」

( ・∀・)「君の訓練での成績を見たよ。剣技、組手、情報の判断能力も申し分ない」

( ゚д゚ )「? ありがとうございます」

( ・∀・)「君は、魔力は無いのか?」

( ゚д゚ )「ええ、自分はそういった才能には恵まれておりません。
     そもそも魔法を使えるのは100人に1人。中級魔法を使えるのは1000人に1人とも」

( ・∀・)「そんなことはわかっているさ」

( ゚д゚ )「失礼いたしました」
354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:49:56.20 ID:VLF1lwBB0

( ・∀・)「そうか……魔力は……いや、でも魔法使いの供をつければ」

( ゚д゚ )「あの、何のお話で?」

( ・∀・)「そうだな、こう言う事は早い方がいい。君にも話しておこう」

( ゚д゚ )「?」

( ・∀・)「『勇者』を知っているね?」

( ゚д゚ )「それは……もちろん知っていますが」

( ・∀・)「君には半年後、勇者として魔族の国に行ってもらう」

(;゚д゚ )「!?」

( ・∀・)「目的は魔王討伐だ。いいね」

(;゚д゚ )「御冗談でしょう……自分は訓練兵です! 軍全体が行軍するならまだしも、単独で……」
360 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:52:44.97 ID:VLF1lwBB0

( ・∀・)「無理は承知だ」

(;゚д゚ )「それに、そうです。停戦条約は!?」

( ・∀・)「陛下のご命令なんだ」

(;゚д゚ )「!」

( ・∀・)「無理を言っているのは分かっている。
      それに、我が国は当代魔王になってからも何度も『勇者』を送りこんでいる」

( ゚д゚ )「そんなこと一度も」

( ・∀・)「聞いたことが無いだろう。当たり前だ。
      勇者は魔王を倒して、ようやく勇者になるのだから」

( ゚д゚ )「?」
363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:55:00.02 ID:VLF1lwBB0

( ・∀・)「送りこんだ『勇者』たちは全員記憶喪失になって戻ってきた。
      気が付いたら神王城の門の前で眠っていたと言うんだ」

( ゚д゚ )「そんな、話は……」

( ・∀・)「戻ってきた勇者は、陛下が一人残らず殺してしまった……」

(;゚д゚ )「なぜ……!」

( ・∀・)「勇者が魔王を倒しもせずに簡単にもどってくるなど、国の恥だからさ」

( ゚д゚ )「……」

( ・∀・)「ショックかい? 勇者は城下の大通りを歓声の中駆け抜けて旅立っていく。
      そんなおとぎ話を信じていたのかい?」

( ゚д゚ )「それは、その」
368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/04(月) 01:59:21.06 ID:VLF1lwBB0

( ・∀・)「表向きの停戦条約のせいで軍を出せないんだ。城の将校は顔が割れている。
      あくまで私怨でということで、魔王を殺したい」

( ゚д゚ )「それでは……それでは勇者など、ただの暗殺者ではありませんか!」

( ・∀・)「そうだ」

( ゚д゚ )「……」

( ・∀・)「これは陛下の決定だ。半年後には旅立ってもらうよ。訓練、頑張りたまえ」

(;゚д゚ )「あ、待っ!」

バタン

(;゚д゚ )「―ッ! くそ!」ガンッ

(;゚д゚ )(こんなことで、死にたくない……何でこんな……くそ、くそ!)

( д )(陛下が……いや、魔王なんて奴がいるから……)

(# д )「ちくしょう……っ! ……殺してやる、死ぬくらいなら、殺してやるっ!!」


( <●><●>)魔王さまが養子をとるようです 3話 おわり

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