1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:45:03.69 ID:tSvbTPsh0
*魔王城


( <●><●>)φ,, カリカリカリ

川д川「魔王さま、お昼御飯はどういたしましょう?」

( <●><●>)「仕事をしながら食べられる物がいいのですが」

川д川「それでは地獄犬のローストサンドイッチにいたします」

( <●><●>)「ありがとうございます」

( ・∀  ∀・)「「魔王さま。新しい書類、ここに置きます」」ドサドサー

(;<●><●>)「まだあるのですか!」

( ・∀  ∀・)「「まだまだたっぷりございます」」

(;<●><●>)「いつになったらこの書類の山は消えるのです!」

( ・∀  ∀・)「「文官に聞いてまいりましょうか」」

( <●><●>)「ここに呼びましょう」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:50:37.77 ID:tSvbTPsh0
【+  】ゞ゚)「お呼びですか魔王さま」

( <●><●>)「お呼びです」

【+  】ゞ゚)「何でしょうか。書類仕事が残っておりますので早く戻りませんと」

( <●><●>)「その事です。いつになったらこの書類は消えるのですか」

【+  】ゞ゚)「さぁ……先代魔王さまは一度も机につきませんでしたから、その分がまだ」

( <●><●>)「就任してからもう18年、毎日書類仕事ですけれど」

【+  】ゞ゚)「先代の魔王さまの統治は4世紀続きましたからねぇ」

( <●><●>)「ということはあと380年かからなければ終わらないのですか?」

【+  】ゞ゚)「いいえ。その頃には当代魔王さまの書類も溜まっておりますから。
       もっとかかります」

( <○><○>)

【+  】ゞ゚)「あっ、いえ、魔王さまは処理能力に優れておいでですし。
       この18年で既に2%の書類が片付きました」

( <○><○>)「にぱーせんと!?」

【+  】ゞ゚)「ご用件は御済みですね。それでは、失礼いたします」ソソクサ
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 15:56:14.23 ID:tSvbTPsh0
(ヽ<●><●>)「そんな……死んでしまいます……いえ、私はほとんど不死身ですけれど」

川д川「魔王さま、お昼をお持ちしました」

( <●><●>)「ありがとうございます」

川д川「きちんと食べていただかないとお体にさわりますよ。
     この部屋の書類の下に一体いくつカビたサンドイッチが隠れているか……」

( <●><●>)「わざとではないのですが、お昼を食べるひまが無いまま晩餐になってしまうのです」

川д川「とにかく今日は食べていただくまでここから動きません」

(;<●><●>)「わかりましたよ」モグモグ
  つ

( ・∀  ∀・)「「魔王さまー。書類ですー」」

(;<●><●>)「うう……」

川д川「サンドイッチの上に書類置かないでくださいっ!」

( ・∀  ∀・)「「これは失礼。もうお昼ですか。お腹がすきましたね」」

( <●><●>)「君も1つ食べていきなさい」

(*・∀  ∀・)「「ごちそうさまです!」」
 つ□  □と
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:02:31.49 ID:tSvbTPsh0
(i|ii<●><●>)「ごちそうさまです……一気に食べたら気分が……」

(*・〜  〜・)「そうですか? しかし、このサンドイッチうまいですね」

川д川「あらあら、ありがとうございます。お茶をお持ちしましょうか?」

( <●><●>)「人食い花のハーブティーでお願いします」

川д川「かしこまりました」

( ・∀  ∀・)「僕は仕事に戻りますよ」

( <●><●>)φ,,カリカリ

川д川「どうぞ」

( <●><●>)φ「ありがとうございます」

川д川「このあたりの書類、選別をお手伝いしましょうか?」

( <●><●>)「あ、お願いします」

川ー川「はい、かしこまりました」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:07:56.08 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)φ,,カリカリカリカリカリ

チリンチリーン

( <●><●>)「もう晩餐ですか……」

( ・∀  ∀・)「魔王さまー」

( <●><●>)「今行きます」

( ・∀  ∀・)「おっ、もう書類がこんなに少なく! 流石はデスクワーク派の魔王さま!」

(;<●><●>)「それって褒めているのですか?」

( ・∀  ∀・)「勿論です! 処理が終わった分は運んでおきますね」

( <●><●>)「どうもありがとう」

( ・∀  ∀・)「今日の晩餐はミノタウロスのハンバーグだそうですよ」

( <●><●>)「ほほう……心躍りますね」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:10:55.07 ID:tSvbTPsh0
*食堂


川д川「さぁどうぞお召し上がりください」

( <●><●>)「それではみなさん、手を合わせて」

川д川( ・∀  ∀・)【+  】ゞ゚) イタダキマース
  人     人       人

( )<●><●>)゛「美味しいです」

川*д川「ありがとうございます」

【+  】ゞ゚)「食事と睡眠が一番楽しい……」

( ・∀  ∀・)「トイレ休憩とか心が躍りますよね」

( <●><●>)「今日は300年前の東の大戦被害者の書類をやっつけました。
        来週からはそちらに資材を回して。あの土地は慢性的な穀物不足ですから」

川д川「あの大戦で農地が奪われてしまいましたからね」

【+  】ゞ゚)「ほとんど移民してしまっているのでは?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:15:44.07 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「東に棲んでいるのは沼地ヒルと残酷ネズミです。
        ネズミ族は大地を信奉していますから故郷は離れられませんし
        ヒル族は干からびてしまうでしょうから沼から動けません」

( ・∀  ∀・)「「うひゃあ。300年もほっといちゃったんですか」」

( <●><●>)「悪いことをしました」

川д川「あの、ヒル族だけでも肥沃な中部に移転できませんでしょうか?」

( <●><●>)「それに関しては150年前に運河をつくる計画がありました。
       運河を東の沼地まで伸ばして水路にします」

【+  】ゞ゚)φ,,「なるほど」メモメモ

( ・∀  ∀・)「「あ、そういえば今日で西塔の書類が全部無くなりましたよ」」

(*<●><●>)「本当ですか!」

( ・∀  ∀・)「「はい。残っていた数十箱を執務室に運んだらもうすっかり!」」

( <○><○>)「数十!?」

川д川「明日から西塔の掃除に取り掛かりますわ」

【+  】ゞ゚)「うむ。魔王城が書類に押しつぶされて実質5LDKとは情けないからな」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:21:30.64 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「ごちそうさまでした」

川д川「お粗末さまでした」

【+  】ゞ゚)「ウフフフ……さぁ仕事だ仕事」

( ・∀  ∀・)「「ワーイ ボク オシゴト ダイスキー」」

( <○><○>)「数十箱……数十箱……」ブツブツ

川д川(ワーカーホリックって奴だわ)

川д川「私も食器を片づけて、明日の大掃除の準備をしなくては」


【+  】ゞ゚)φ,,カリカリカリ

( ・∀  ∀・) セッセッ

川д川 ジャブジャブ

( <○><○>)φ,,,ガリガリガリガリガリガリ
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:29:18.55 ID:tSvbTPsh0
(ヽ<●><●>)φ「ふふ……また徹夜してしまいました」

( ・∀  ∀・)「「おはようございます魔王さま。書類のおかわりです」」

(ヽ<●><●>)「もう書類はたくさんです」

【+; 】ゞ゚)「魔王さま! 大変です!」

(ヽ<●><●>)「私はいつだって大変です」

【+; 】ゞ゚)「非常事態なんです!
       昨日の話に出ていた東の残酷ネズミが人間の国に攻め込むつもりです!」

(;<●><●>)「なんですって!」

【+; 】ゞ゚)「食堂……じゃなかった、謁見の間に伝令の使者が来ていますから、お急ぎください!」

( <●><●>)「わかりました! 王冠どこでしたっけ?」

【+  】ゞ゚)「一番下の引き出しに魔王さまキットが入っています。
       後で貞子がアイロンかけたシャツ持ってきますから、その事務用の腕カバー外して!」

( <●><●>)「あぶないあぶない。このまま行く所でした」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:36:58.42 ID:tSvbTPsh0
*食堂……じゃなかった、謁見の間


【+  】ゞ゚)「魔王さまが謁見をお許しになった。表を上げよ」

ξ゚听)ξ「はい」

( <●><●>)「はじめまして、ネズミ族の方だとか。
        東の果てからのわざわざの運び、御苦労さまです」

ξ゚听)ξ「魔王さま。単刀直入に申し上げましょう。私たちはもう我慢ができませぬ」

【+  】ゞ゚)「無礼者!」

( <●><●>)「かまいません。続きを」

ξ゚听)ξ「私はネズミ族の長の娘ツンデレ。
      私の元にはネズミ族の将来を憂う自警軍の若者が数千おります」

( <●><●>)「姫でしたか。ご無礼を」

ξ゚听)ξ「いいえ魔王さま。……私たち自警軍は、魔王軍の一部。
      命を御身に預けた存在です。今日は進軍の許可をいただきに参りました」

( <●><●>)「いけません」

ξ;゚听)ξ「なっ!?」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:43:35.31 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「私が18年前の停戦協定を結ぶのにどれほどの苦労をしたか。
        あなたはまったく分かっていませんね」

ξ゚听)ξ「何が停戦か。薄汚い人間は私たちの大地を砂粒一つ返しませぬ」

( <●><●>)「あくまでも停戦です。
        今は人間の王国と、北の湖の利権をめぐって交渉中でもあるのです。
        北の湖の利権を引き渡せば、交換条件に東の農地を取り戻すことも……」

ξ#゚听)ξ「北の同胞の生命である湖の大地を売り渡して
       それで大地を取り戻すなど、私たちは我慢なりません!」

【+# 】ゞ゚)「仮にも当代魔王さまに、口のきき方に気を付けられよ!」

ξ#゚听)ξ「だまれ! 文官の分際で!」

( <●><●>)「私の部下を悪く言わないでいただきたい」

ξ;゚ -゚)ξ「! ……失礼いたしました」

( <●><●>)「オサム、下がっていてください」

【+  】ゞ゚)「しかし魔王さま」

( <●><●>)「私だって魔王です」

【+  】ゞ゚)「わかりました」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:54:43.55 ID:tSvbTPsh0

( <●><●>)「さて、ツンデレ姫」

ξ゚听)ξ「ツンで結構です」

( <●><●>)「ツンさん。あなたの言い分はわかります。
        先代魔王は好戦的なタイプでしたし、実際に国内でも人間の王国との間にも
        沢山の戦を起こしました。机につく暇がないほどに戦いました」

ξ゚听)ξ「その通りです」

( <●><●>)「沢山の魔族が死にました。人間も死にました。
        魔王の直轄地が増えて、人間の土地もどんどん侵略しました」

ξ゚听)ξ「ええ、その通りです。素晴らしい時代でした」

( <●><●>)「そして、先代魔王は勇者に暗殺されました」

ξ )ξ「今思い返しても憎々しい出来事です! 私たちが東で勇者の侵入を食い止めておけば!」

( <●><●>)「そう思い悩まないでください。
        まあ、ともかく。それで統制がとれなくなった魔王軍が
        どんどん人間に滅ぼされて数が激減したのはご存知ですね?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:04:59.23 ID:tSvbTPsh0
ξ゚听)ξ「はい……しかし、その後生まれた子供たちももう戦える年。
      あの時に滅ぼされた氏族の敵を討ち
      数百年前に失われた大地を取り戻すのに何の問題もありません!」

( <●><●>)「あなたはやはり何も分かっていません」

ξ゚听)ξ「?」

( <●><●>)「停戦協定は、あなた方魔族と魔物を守るための協定なのです」

ξ゚听)ξ「えっ?」

( <●><●>)「あなた達の土地は素晴らしいものでした。
        それが奪われた300年前の大戦で、一体どれほどの魔物が殺されたのですか」

ξ゚听)ξ「たくさんです。たくさん殺されました。勇敢にたたかった私たちの先祖は……」

( <●><●>)「7割のネズミ族が殺されましたね。
        残りの3割は池から逃げ出したヒル族と樹海を超えて今の荒れ沼地に逃げこみました。
        人間たちは樹海の手前で侵略を止めました」

ξ゚听)ξ「やはり私たちはあの土地を取り戻すべきです!」

( <●><●>)「そんなことはできません」

ξ#゚听)ξ「馬鹿にしないでいただきたい!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:13:07.82 ID:tSvbTPsh0

ξ#゚听)ξ「私たち自警団は訓練をくりかえした、戦士です!
       18年間人間の王国に媚びへつらって戦一つしない魔王に何が」

( <●><●>)「魔族は弱いのです」

ξ#゚听)ξ「!」

( <●><●>)「個体能力は人間よりも高いでしょう。しかし好戦的すぎます。
        軍として弱いのです」

ξ゚听)ξ「何を! 強い兵士がたくさん集まれば強い軍になるに決まっております!」

( <●><●>)「いいえ。だから大戦で負けたのです。
        だから18年前に魔王が死んだ時にこれほど魔族が減りました。
        トップが居なくなったから」

ξ゚听)ξ「そんな……」

( <●><●>)「進軍は許可しません。今人間に攻め込まれたらこの国はおしまいです」

ξ゚听)ξ「しかし、私たちの大地を……!」

( <●><●>)「あの大地が1000年前誰のものだったか教えてあげましょう」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:23:13.81 ID:tSvbTPsh0
ξ゚听)ξ「え?」

( <●><●>)「当時大飢饉で弱っていた人間を虐殺した当時の魔王が奪ってきたんです。
        あそこは元々彼ら人間の大地です」

ξ )ξ「!?」

( <●><●>)「執務があります。私はこれで。くれぐれも進軍は許可しません」

ξ )ξ「そんな……そんな! 魔王様!」

川д川「お帰りはあちらです」

ξ# )ξ「くっ、どきなさい! 召使いが」

川д川「魔王さまはお忙しいのです。
     あなたのために割いた時間……またお昼を食べながらお仕事なさいます」

ξ# )ξ「机の上の仕事など! 魔王のすることではない!」

川д川「あなた達を守るためです。お引き取りください。
     これ以上魔王さまにご迷惑をおかけするつもりなら」

川д川「あなたを呪い殺します」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:29:13.29 ID:tSvbTPsh0
*執務室


( <●><●>)φ,,カリカリ

川д川「魔王さま……」

( <●><●>)「お昼は仕事しながら食べられるものがいいです」

川д川「かしこまりました」

( <●><●>)「いつもすみません」

川д川「……魔王さま?」

( <●><●>)「なんでしょう」

川д川「晩餐は、魔王さまのお好きなワイバーンのシチューにいたします」

( <●><●>)「がぜんやる気が出てきました」

川ー川「お茶とお菓子でもお持ちしますね」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:33:31.57 ID:tSvbTPsh0

*ネズミ族の村


( `ハ´)「姫さま戻ってきたアルか!」

<ヽ`∀´>「どうだったニカ? おっけーニカ!?」


(( <●><●>)「あそこは元々彼ら人間の大地です」)

ξ )ξ「……」

( `ハ´)「姫さま?」

ξ゚听)ξ ハッ

<ヽ`∀´>「お腹痛いニカ? 旅で疲れちゃったニダね」

ξ゚听)ξ「い、いいえ」

<ヽ`∀´>「?」

ξ゚听)ξ「魔王さまは……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:40:00.99 ID:tSvbTPsh0

( `ハ´)<ヽ`∀´> ドキドキ

(( <●><●>)「魔族は弱いのです」)

ξ )ξ「進軍の許可を、くださいました」

\(*`ハ´)人<*ヽ`∀´>/「やったああああ!」


*魔王城


(*<●><●>)「それではみなさん」

川д川( ・∀  ∀・)【+  】ゞ゚) イタダキマース!
  人     人       人

(*)<●><●>)゛「美味しいです! 美味しいです!」

( ・∀  ∀・)「「またワイバーンのシチューか……」」

【+  】ゞ゚)「魔王さまが好きなんだから仕方ないだろう。旨いからいいじゃないか」

(*<●><●>)「おかわり!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:45:19.43 ID:tSvbTPsh0

*執務室


( <●><●>)「フフ……昨日はしっかりベッドで眠れました……」

( ・∀  ∀・)「「毎日ベッドで寝ましょうよー」」

( <●><●>)「書類がすべて消えたらそうしましょう」

【+; 】ゞ゚)「魔王さまー! 大変ですっ!」

( <●><●>)「どうしました? また使者ですか?」

【+  】ゞ゚)「そのネズミ族が! 軍になって樹海に踏み込みました!」

( <●><●>)「……」

【+  】ゞ゚)「人間の王国を攻めるつもりです!」

( <●><●>)「あれだけ言ったのに……」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:52:58.37 ID:tSvbTPsh0

【+  】ゞ゚)「伝令コウモリが見た所によりますと、あと5時間で最初の人間の村に」

( <●><●>)「魔王さまキットは一番下でしたね」ガラッ

【+  】ゞ゚)「えっ?」

( <●><●>)「ちょっと出かけてきます。……半日ほど」

川д川「魔王さま」

( <●><●>)「なんでしょう?」

川ー川「アイロンをかけたシャツと、お弁当のサンドイッチをお持ちしました」

( <●><●>)「……ありがとう」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:02:50.05 ID:tSvbTPsh0
*東の樹海


ξ#゚听)ξ「はぐれないように隊列をしっかり組め!」

<ヽ`∀´>「我らの土地はすぐそこニダ! 樹海を抜けたら一気に駆けるニダ!」

( `ハ´)「人間を食らいつくすアル!」

ズズズズズ

ξ゚听)ξ「!? 伏せてっ!」

i|li( <●><●>)i|il「伏せる必要はありませんよ」ヒュッ

ξ;゚听)ξ「!?」

<#ヽ`∀´>「な! 何者ニダ!」

(#`ハ´)「姫さま!」

( <●><●>)「私は当代魔王です。ツンさん。あなたはわかっていますよね?」

(;`ハ´)「ま、まま魔王さま!?」

ξ゚听)ξ「……どうしてここに」

( <●><●>)「魔王ですから。魔法くらい使えます」

ξ゚听)ξ「……」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:12:57.21 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「あれだけ言っても、正直聞き入れてもらえるとは思いませんでしたが。
        ここまで早るとは。私はあなたがもう一度直訴にくるとばかり」

ξ#゚听)ξ「こいつは魔王じゃない! 敵だっ! 攻撃!」

(;<●><●>)「えっ」

<#ヽ`∀´>「魔王さまの名を騙るとは……詐称は最低の罪ニダー!」

(;<●><●>)「ちょっ、」

(#r゚パ)r+「残酷爪裂きをくらえアル!」

(#r゚パ)r( <●><●>)「おっと」

(#r゚パ)r(<○><○> )「やめてください」

(;r゚パ)r「ぐっ!?」

<#ヽ`∀´>「何してるニダ!」

(;r゚パ)r「体が、動かないアル……」

<#ヽ`∀´>つ||ニニフ「シナーに何したニダ!」

( <○><○>)「やめてくださいと言っているでしょう」

<;ヽ゚∀゚>「ひっ!?」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:25:32.56 ID:tSvbTPsh0

ξ;゚听)ξ「!?」

( <●><●>)「だから、魔王なんですから魔法くらい使えます。上級魔法でもなんでもね。
        戦をしないからって、魔王が弱いわけありません」

ξ;゚听)ξ「う……」

( <●><●>)「人間の国を攻めるなと言ったでしょう。あまり勝手なことをしないでください。
        先代時代はどうしていたか知りませんが、この行為は法に触れるのですよ」

ξ゚听)ξ「法?」

( <●><●>)「そうです。
        もしこのままあなた達が人間の国を攻めたら、私は酷いことをしなければなりません」

ξ゚听)ξ「何をするつもり?」

( <●><●>)「あなた達を全員捕えて魔王城の地下牢に閉じ込めて、首謀者のあなたを殺します」

ξ゚听)ξ「!」

( <●><●>)「あなた達が人間を殺したら、あなた達を拷問にかけます。
        あなた達が大地を奪ったら、あなた達が今住んでいる荒れ沼地から
        残ったネズミ族もヒル族も追い出し、その土地を人間の国に渡します」

ξ;゚听)ξ「そんな!」

(#<●><●>)「そうしないとあなた達を守れない!」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:35:01.54 ID:tSvbTPsh0

ξ゚听)ξ「でも、でも……! 私たちは!」

( <●><●>)「それとも今ここで私を倒して先に進みますか?」

ξ゚听)ξ「……」

( <●><●>)「人間は私よりも強い。あなた達はあの荒れ沼地でも生きていけるでしょう。
        中央部から穀物を支給します。新しい水路も。ですから……」

ξ゚听)ξ「私たちは、あの土地に戻りたい……」

( <●><●>)「しかし」

ξ゚听)ξ「私はネズミ族の長の娘です。
      だから、ここで魔王さまに逆らって殺されようとも
      あの土地を取り戻しに行かなければなりません」

(;<●><●>)「!」

ξ )ξ「私たちの氏族は確かに弱いかもしれないけれど。私たちの土地くらいは、守れる長でありたいから!」

ξ )ξ「自警軍を捕えないでください! すべて私の責任です! 自警軍を作ったのも、この攻撃を指揮したのも……」

(;<●><●>)「待ってください、今ならまだ」

ξ;凵G)ξつ+― 「魔王さまに刃を向けて殺そうとするのも私が!」

『ツーン! やめるんだおおお!!』
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:02:44.83 ID:tSvbTPsh0
ザザザッ

⊂二二二(;^ω^)二⊃「侵略なんて! 馬鹿な真似はしちゃいけないお!」

ξ;凵G)ξつ+― 「ブーン……どうしてここに……」

( <●><●>)「ブーン? あなたは……沼地ヒルですか?」

(;^ω^)「おっ!? その冠は」

( <●><●>)「私は当代魔王です」

(;゚ω゚)「おおおっ! 失礼いたしまし……」

(;<●><●>)「いいんですいいんです!
        それよりヒル族がこんな所に、干からびてしまいますよ!」

(ヽ´ω`)「お? そういえばさっきからだんだん気が遠k」

ξ;凵G)ξ「いやあああ! ブーン!」

(;<●><●>)「回復魔法! 初級水魔法!」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:11:28.49 ID:tSvbTPsh0
(0゚^ω^)+「ありがとうございましたお!」ツヤツヤ

( <●><●>)「いいえ……しかしどうしてヒル族がこんな樹海に?」

( ^ω^)「僕は沼地ヒル族の長の息子で、ブーンといいますお。
      ツンとは幼馴染で、今日ネズミ族の若者たちが人間の土地を奪いに行くと聞いて
      慌てて追いかけてきたんですお」

( <●><●>)「なるほど。そしてあなたは攻撃に反対しているのですね」

(;^ω^)「そりゃそうですお! 人間は怖いし、火矢を射ってきますお。
      ヒル族もネズミ族も火が苦手だし、樹海が燃えたら荒れ沼地が枯れますお」

ξ゚听)ξ「そんなもの、勇気でなんとかなるわ」

( ^ω^)「氏族の民に怪我はさせられないお」

( <○><○>)゛(平和的な人だ……!)ジーン

( ´ω`)「でも……実は、この攻撃は僕のせいでもあるんですお」

ξ;゚听)ξ「! ち、違っ!」

( <●><●>)「どういうことです?」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:18:52.07 ID:tSvbTPsh0
( ´ω`)「実は、僕たちが昔暮らしていた池が埋め立てられることになったようなんですお」

( <●><●>)「池? 300年前の大戦で人間の領土になった、あの大池ですか?」

( ´ω`)「そうですお。去年から樹海の向こうは干ばつで、池は干上がったらしいんですお。
      それで、その池を埋めて、新しい農地にするらしくて。
      これは友達のドラゴン族に聞いたから間違いないですお」

( <●><●>)「あの大池が干上がるとは……いえ、あの農地を維持するのに使ったんでしょうか」

( ´ω`)「農地に住む人間は増えていますお。300年前より、ずっとずっと多いですお」

ξ゚听)ξ「あの池を埋めてさらにはびこる前に、人間なんて追い払ってしまえばいい!」

( ^ω^)「ツン、でも、自警軍よりも人間の方が多いお」

ξ゚听)ξ「魔族の方が強いわ」

( ^ω^)「火矢を射かけてくるお。怖いお?」

ξ゚ -゚)ξ「怖くない。池を取り戻す。あそこは雪解けの湧水が出るの。
      今は干上がっていても、埋め立てなければ100年後には……」

( ^ω^)「ツン、もう、いいんだお。」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:28:44.12 ID:tSvbTPsh0
ξ゚听)ξ「良くないっ!」

( ^ω^)「人間たちはこの樹海に棲む魔物が怖くて、荒れ沼地までは来れないお。
      停戦協定もあるし……」

ξ゚听)ξ「樹海の向こう側は荒れ沼地よりも肥沃じゃないっ!」

( ^ω^)「住めば都だお。僕は、あの狭い沼地でネズミ族と共存している関係も悪くないと思うお」

ξ゚听)ξ「でも……」

( ^ω^)「魔王さま」

( <●><●>)「なんでしょう?」

( ^ω^)「僕を捕まえてくださいお」

ξ;゚听)ξ「!?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:34:01.08 ID:tSvbTPsh0

( -ω-)「僕がツンに池が埋め立てられると話さなければ、彼女はこんな事をしませんでしたお。
      自警軍は樹海からたまに出てくる人食い花を退治するための組織で」

ξ;゚听)ξ「ちが……私は、自分で決めて……」

( ^ω^)「僕が発起人ですお。ですから」

ξ;゚听)ξ「ブーン、だめ、それは!」

( <●><●>)「わかりました」

( ^ω^)「……ありがとうございますお」

( <●><●>)「それでは」


( <●><●>)「本日は樹海での人食い花退治の演習ご苦労」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「へ?」

( <●><●>)「氏族の自警軍を訓練し、自らの土地を守る。素晴らしい心がけです。
        私、当代魔王はその訓練に同行しました。
        あなた達ならば、あの荒れ沼地と氏族を守れるでしょう」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:44:27.48 ID:tSvbTPsh0
( ^ω^)「荒れ沼地と氏族を……」

ξ゚听)ξ「ま、もれる?」

( <●><●>)「ええ、感謝します。あなた達魔族の氏族すべて、魔王の民ですから」

( <●><●>)「私の民を守ってくれて、ありがとう」


i|li( <●><●>)i|il ヒュッ


(;^ω^)「あ、魔王さま!」

ξ;゚听)ξ「行っちゃった……」

(;^ω^)「無罪放免、って事かお?」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:47:16.76 ID:tSvbTPsh0
<ヽ`∀´>「酷い目にあったニダ……」

( `ハ´)「姫さま、大丈夫アルか?」

ξ゚听)ξ「みんな」

<;ヽ`∀´>「魔王さまだったニカ?」

( `ハ´)「ホンモノアルな」

ξ゚听)ξ「……みんな!」

( `ハ´)<ヽ`∀´>「!」

ξ゚听)ξ「ごめんなさい……私、私たち、あの」

<ヽ`∀´>「姫さま」

( `ハ´)「今日は、帰るアルよ」

ξ゚听)ξ「え?」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 19:54:49.87 ID:tSvbTPsh0

<ヽ`∀´>「姫さまは良い姫さまニダ。ウリ達と、大地を守ろうとしてくれるニダ」

( `ハ´)「良い姫さまを守るのが我らの使命アルよ。
     謀反人として処刑されるのは、大地を奪われるよりも恐ろしいアル」

<ヽ`∀´>「大地は永遠ニダ。池はまた掘れるニダ」

( `ハ´)「姫さまは死んだら戻ってこないアルからな」

ξ゚听)ξ「みんな……ありがとう、ごめん」

( ^ω^)「さ、ツン。帰るお。僕たちの大地に」

ξ゚听)ξ「ブーン……」

ξ゚ー゚)ξ「うん。帰りましょう」



|○><○>)゛「イイハナシダナー」コソコソ
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 20:00:41.42 ID:tSvbTPsh0

( <●><●>)「みんなちゃんと帰ったみたいですね」

( <●><●>)「私もお弁当を食べて帰りましょうか」

アギャアアアア!!

( <●><●>)「ん? この鳴き声は、人食い花?」

『うああああ! う、うわああああん!』

( <●><●>)「!」

i|li( <●><●>)i|il ヒュッ


*樹海最深部


(;><)「うわあぁぁあぁあ!!」

(*;ω; *)「うぁああん! うえええええん!」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 20:08:50.26 ID:tSvbTPsh0

アギャァアアア!!

(*;ω; *)「あうっ!?」 ベチャッ

(;><)「ちんぽっぽちゃん!? は、早く起きるんです!」

(*;ω; *)「い、いた……うわああん!」


i|li( <●><●>)i|il ヒュッ


(;><)「ひっ!?」

( <●><●>)「中級火炎魔法」

ギャアアアアアア!!

(;><)「え、たすかっ……?」

(*;ω; *)「うっ、うっ、いたいっぽ……」

( <●><●>)「小さいお嬢さん、足を見せなさい」

(*;ω; *)「ぽ?」

( <●><●>)「回復魔法」

(*;ωう *)「あれ……いたくない、っぽ」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 20:17:32.44 ID:tSvbTPsh0
( ><)「あ、あの、危ないところをありがとうございます、なんです」

( <●><●>)「どういたしまして。君たちはどうしてこんな所にいるのです?
        氏族はどこの?」

( ><)「え……し、しぞく?」

( <●><●>)「わからないのですか?」

( ><)「よく、わかんないんです」

( <●><●>)「では、あなたは何の魔族ですか?」

(;><)「!? 僕は魔族じゃないんです! 人間なんです!」

(;<●><●>)「えっ? どうしてこの樹海に人間の子どもが」

アギャアアアアア!!

( <●><●>)「! 人食い花たちが血の臭いを嗅ぎ付けましたか。ここは危険ですね」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 20:22:57.04 ID:tSvbTPsh0

(;><)「ひ、ひとくいはなって、さっきの?」

( <●><●>)「あれは乾燥させてお茶にするとなかなか美味しいのですがね。
        さ、捕まって。小さいお嬢さんも」

(*゚うω‘ *)「ぽ……?」

( ><)「どこか、にげられるんですか? どこに行くんですか?」

( <●><●>)「魔王城です」

( ><)「へ?」


i|li(;>)( <●><●>)(ω‘ *)i|il ヒュッ



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 20:27:52.04 ID:tSvbTPsh0

*魔王城


川;д川 ソワソワソワ

【+  】ゞ゚)「貞子、落ち着いて」

川;д川「で、でも……停戦協定が破れるんじゃないかと思うと……」

( ・∀  ∀・)「「魔王さまが直々におでましになったんだ。きっと大丈夫だよ」」

【+  】ゞ゚)「ああ、きっと。すぐ土産でも片手に持って……」


『ただいま戻りました』

川*д川「あっ!」

【+  】ゞ゚)「……ほらな?」

( ・∀  ∀・)「「ハハハ。お土産ありますかねぇ?」」


(;><)つと( <●><●>)つと(*‘ω‘ *) タダイマ


川д川( ・∀  ∀・)【+  】ゞ゚)「えっ」
153 名前:>>152本当だ逆だ ごめんなさい:2010/09/25(土) 21:10:20.76 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「いやぁ疲れました。お昼も食べていないんですよ。
        すみませんけどお茶をいただけますか。この子たちの分も」

川;д川「あの、魔王さま」

( <●><●>)「なんでしょう」

川;д川「隠し子ですか?」

(;<●><●>)「ち、ちがいますよ! 拾ったんです!」

【+  】ゞ゚)「地獄犬や毒猫の子じゃあるまいし。子どもが落ちているわけないでしょう」

(;・∀  ∀・)「「魔王さまが、ゆ、誘拐だなんて……」」

(;<●><●>)「ちがいます! 誤解です!」

(;><)「ま、魔族なんです……! おじさん、何でこんな所!」

←( <○><○>)―(オジサン)―「ある程度若くないことはわかってますが……
                  実際言われると破壊力がすさまじいです」

←【+  】ゞ )―(トバッチリ)―「魔王さまはまだお若いですよ……
                  私なんかよりも全然……ハハハ……」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 21:20:17.57 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「あれ、もしかして、君は私を人間だと思っているんですか」

(;><)「ま、魔族じゃない人は人間なんです!」

( <●><●>)「私は魔族です」

(;><)「うそです! だってあの女の人みたいにすけてないし!」

川д川「あら、油断するとすぐに……」

(;><)「あの男の人みたいに体が2人分じゃないし!」

( ・∀  ∀・)「「正しくは1.5人分って感じだけどね」」

(;><)「あのオジサンみたいに羽も牙もないし、耳もとんがってないんです!」

←【+; 】ゞ )―(オジサン)―「ああ……もうだめだ……逆になにも感じなくなってきた」

( <●><●>)「それは私が上級魔族だからですよ」

( ><)「?」

( <●><●>)「私は当代魔王。この魔王城の主です」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 21:26:45.28 ID:tSvbTPsh0

(;><)「ま、まおう!?」

(*‘ω‘ *)「ぽっ!」クイクイ

( <●><●>)「ん? なんですか?」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ。5つ」

( <●><●>)「ふふ、よろしく」

(*‘ω‘ *)「っぽ!」

( <●><●>)「君は?」

(;><)「!? 魔族に名前をしられたら、すりかわられちゃうんです!」

( <●><●>)「それは変身スライムですね。魔物ですよ。ここにはいませんから」

( ><)「……う、えと、ビロードです……8歳なんです……」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 21:36:10.66 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「ふむ。それで、あなた達はどうしてあんな樹海の中に?」

(。><)「……う……っ」

( <●><●>)「ん?」

(。つ<)「うぇっ、ぐすっ!」

(;<●><●>)「!? ど、どうしたんですか!」

( ・∀  ∀・)「「あーあー。魔王さま。泣かしたー」」

(;<●><●>)「えええっ!」

(。つと)「うっ、うえぇっ、ふっ、」

(*うω; *)「う、い、うぇえええん!」

(;<●><●>)「あーっこっちも! 誰かー! ホットミルクとお菓子持ってきてくださーい!」

川;д川「食堂にお持ちします」
169 名前:>>168 http://riceballman.fc2web.com/AA-Illust/Data/KikeiMorara-.html:2010/09/25(土) 21:43:51.08 ID:tSvbTPsh0
*食堂


(。つ<)「ううっ……」ポリポリ
   ○と

(*;ω; *)「ぽっぽ……」チビチビ
つc旦と

(;<●><●>)「ふぅ」

( ><)「さっきは、ごめんなさいなんです……
      もうお兄ちゃんなのに、泣いちゃって恥ずかしいんです」

( <●><●>)「仕方ありませんよ。急に魔族の中に連れてこられて不安でしたね」

( ><)「それもあるけど……僕とちんぽっぽちゃん、もう帰れないんです」

( <●><●>)「え?」

( ><)「僕たち、あの魔物の森の近くの村にすんでるんです。
      村はすっごくびんぼーなんです」

( <●><●>)「そういえば、あの辺りは近頃干ばつだとか」
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 21:53:03.10 ID:tSvbTPsh0
( ><)「雨が、ふらないんです。お水もごはんもないんです。
      村では、仕方のない人から魔物の森に行くって決まりだから……」

( <●><●>)「仕方のない人って、君たちはまだ若いですし、元気そうですし」

(。><)「……お父さんとお母さんは、ラドンねつにかかって、死にました」

( <●><●>)「ラドン熱!? あの伝染病は薬が見つかって、もう死ぬような病気では……」

(。つと)「おくすりを買うお金がなかったんです! 僕たちが、僕たちのごはんを買ったから!」

(;<●><●>)「!」

(*;ωう *)「ぽっぽ、わるいこ?」

(。><)「ちんぽっぽちゃん……」ギュウ

( <●><●>)「なるほど。村で育てる余裕もなかったのですか。しかし酷いですね」

( ><)「それに、もしかしたら僕とちんぽっぽちゃんもラドンねつにかかっているかもしれないって」

( <●><●>)「失礼、御両親が亡くなったのは、いつ?」

( ><)「1週間前です」

( <●><●>)「それなら多分もう大丈夫でしょう。よかった。
       子どもは潜伏期間が短いんです。その分治療が難しくて」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:03:48.71 ID:tSvbTPsh0
( ><)「でも、村にはもどれないんです」

( <●><●>)「どうして?」

( ><)「村はびんぼーですし、そうじゃなくっても、村に身寄りがないんです。
      うちは移民なんです……」

( <●><●>)「……」

( ><)「あの森にもどされるのはこわいんです……でも、行く所がないんです……」

(*;ω; *)「ぽっぽ……おうち、かえりたいぽ……」

( ><)「おうち、ないんです……」

( <●><●>)「……」

川д川「あ、魔王さま、どちらへ?」

i|li( <●><●>)i|il「ちょっと出かけてきます」ヒュッ

川;д川「魔王さま!?」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:14:46.84 ID:tSvbTPsh0
*東の大池あと


i|li( <●><●>)i|il ヒュッ

( <●><●>)「本当に枯れていますね……」

( <●><●>)「最上級、水魔法」

ザアアアアアアア!!

( <●><●>)「人間の王国は、この農地に支援をしないのでしょうか……」

ザアアアアアアア!!

( <●><●>)「最上級樹木魔法」

メキメキメキ

( <●><●>)「人間が森を開墾して、貯水できなくなってしまったんですね」

( <●><●>)「村の方にも、雨が降るといいですね」

i|li( <●><●>)i|il ヒュッ
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:23:22.67 ID:tSvbTPsh0

*魔王城


i|li( <●><●>)i|il ヒュッ

川д川「あ、もう帰ってらした」

( <●><●>)「ただいま。子どもたちは?」

川д川「よっぽどお腹がすいていたみたいですよ。クッキーもおかわりしてます」

( <●><●>)「夕飯は何か、子どもが好きそうなもので。
        あの、魔物のツメとかが見えないようにしてくれませんか」

川д川「はい。ではロプロス肉のオムライスにいたしましょう」

( <●><●>)「ありがとう」

川ー川「旗も立てておきますね」

( <●><●>)「あなたはとても優秀な召使いさんです」

川д川「光栄です。魔王さま」
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:29:29.91 ID:tSvbTPsh0
( <●><●>)「ビロード、ちんぽっぽ」

(;><)「! はい、なんです」

( <●><●>)「あなた達は行くところが無いと言いましたね」

(*‘ω‘ *)「ぽ……」

( <●><●>)「覚悟はできているんですか」

( ><)「仕方がないんです。死んでも仕方がないから、森に行かされたんです」

( <●><●>)「そうですか。それでは仕方がありません」

( ><)「はい、なんです」

( <●><●>)「今日から私があなた達のお父さんです」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:39:54.83 ID:tSvbTPsh0
( ><)「え!?」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( <●><●>)「あなた達は私の子どもになりなさい。ここはあなた達のお家です」

(;><)「ええ!? でも、でもここは魔王のおしろで、魔王……」

( <●><●>)「魔王の息子は嫌ですか?」

( ><)「……魔族は、こわいんです。でも、魔王さんはこわくない、んです」

(*‘ω‘ *)「? おうち?」

( <●><●>)「大きくなるまでの間だけでも構いません。ここで私を手伝いなさい。
        一緒にご飯を食べなさい。大きなベッドで眠りなさい」

(。><)「魔王さん、ありがとうなんです……」

(*‘ω‘ *)「? ありがとっぽ!」

( <●><●>)「もうすぐ晩餐です。お腹、まだ入りますか?」

(*><)「もちろんなんです!」
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:47:21.71 ID:tSvbTPsh0

( <●><●>)「それではみなさん、手を合わせて」

    ( ><)(*‘ω‘ *)
       人   人
                        イタダキマース
川д川( ・∀  ∀・)【+  】ゞ゚) 
  人     人       人


(*><)「おいしいんです! ごはんがあったかいんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽ……スープにぐがはいってるっぽ……」

川*д川「ふふ、おかわりありますからね」

( <●><●>)「何故私のオムライスにも旗が立っているのですか」

川д川「魔王さま万歳オムライスです。旗は魔王軍の旗ですよ」

( <●><●>)「……美味しいですね」
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:52:03.67 ID:tSvbTPsh0

【+  】ゞ゚)「ところで魔王さま。今日はほとんど執務室にいらっしゃいませんでしたね」

(;<●><●>)「あ!」

【+  】ゞ゚)「また明日から処理していただきませんと。
       私のところで書類が止まって部屋が埋まります」

(;<●><●>)「うう、今晩この子たちが眠ったら、やります!」

( ・∀  ∀・)「「今日は僕手が空いたので、久しぶりに庭の手入れをしましたよ」」

( <●><●>)「北の湖の条約の手紙は?」

( ・∀  ∀・)「「人間の国が断るそうです。魔族の内地は移民がいないそうで。
          東の運河の設計図は机の上に出しておきましたよ」」

( <●><●>)「ありがとう」


( ><)「ちんぽっぽちゃん」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( ><)「魔族って、ぜんぜんこわくないんです」

(*^ω^ *)「ぽっぽ!」


( <●><●>)魔王さまが養子をとるようです 1話 おわり

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