6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:12:58.48 ID:+k9Mb27k0
( ´∀`)「そんじゃ頑張れ〜」

( ^ω^)「あ、ゴッド! 待ってくださいお!」

( ´∀`)「まだ何かあるのか?」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「僕のことを覚えてくれる人がいたら… どうなるお?」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「ふふん」

( ´∀`)「なんでも望みを叶えてやる」

( ^ω^)「神っぽいこと言うお」

( ´∀`)「だって神だもん」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:15:31.67 ID:+k9Mb27k0
( ^ω^)「それじゃ、本当に僕が忘れられていたら?」

( ´∀`)「雲の上で言った通りだ。 貴様は輪廻のサイクルから外されるのだよ」

( ´∀`)「きっと私の記憶からもスポンと抜け落ちるだろう」

( ^ω^)「そ、そんなことは… 嫌だお!」

( ^ω^)「絶対! 見つけだしてやるんだお!」

( ^ω^)「そして、無事に天国に行くんだお!」

( ´∀`)「せいぜい頑張ってみたまえ」

( ´∀`)「それじゃあ今度こそサヨナラだ」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:19:41.85 ID:+k9Mb27k0
神様は再び雲の上へと飛んでいきました。
ブーンは両手を広げて、走りだします。


⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃『僕は、生きているとき、どんな僕だったか、まだよく思い出せないお』

⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃『だから、この町を歩き回って、生きていたときのことを少しずつ… 思い出していくんだお』


( ^ω^)「ん?」


( ^ω^)『この駄菓子屋は…… 見覚えがあるお』


(  ゚ω゚)『!!』
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:22:37.50 ID:+k9Mb27k0
( ^ω^)『ここはよく通ってた駄菓子屋さんだお!』

( ^ω^)『時々お菓子を盗んでたおwwwwうめえwwwww』

( ^ω^)『待てよ? 駄菓子屋さん… ということは…』

( ^ω^)『ぼくんちも近くにあるはずだお!』

ヒョイッ

( ^ω^)『むしゃむしゃ』

( ^ω^)『コーンポタージュうめえwwwww』



魂になってもおかしは食べられるようです。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:25:17.31 ID:+k9Mb27k0

( ^ω^)『腹ごしらえもすんで、頭が冴えてきたお!』

( ^ω^)『えーと、僕の家は……』


「…」


( ^ω^)『たまにはおばちゃんに金払うかww』

ごそごそ

( ^ω^)『サイフねぇwwww わりぃおばちゃんwww』


ピキッ!!


(  ゚ω゚)『あっばぶばばぶびぼえべべ』
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:28:45.16 ID:+k9Mb27k0
空から声が聞こえてきました。


( ´∀`)『コラァァアアア!! 下界で悪事を働くんじゃない!
       地獄に強制送還してやるぞ!!!』


(  ゚ω゚)『ごごごめんなしああああああ』

( ^ω^)『…ふう』

( ^ω^)『お金払えないからケツから出すお』

( ^ω^)『どうどうと野グソができるのも魂のとっけ(ry』

(  ゚ω゚)『あっびゃばばぶびぼあばべべぼば!!!』



(;^ω^)『…ったくゴッドの野郎め』

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:30:43.69 ID:+k9Mb27k0
( ^ω^)『素直に謝るしかなさそーだお』

( ´ω`)『おばちゃん、ごめんなさい だお』

ぺこり



「…」

「あ、これは30円だよ」





( ^ω^)『…』

( ^ω^)『なんだか、むなしいお』


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:33:44.49 ID:+k9Mb27k0
魂になったブーンの声は、駄菓子屋のおばちゃんには届きません。


( ^ω^)『ま、いいお』

( ^ω^)『今のショックでぼくんちの場所が鮮明に思い出されたお』

( ^ω^)『家に行けば、かーちゃんとかとーちゃんがいるお』

( ^ω^)『親が、自分の息子のこと忘れてるはずがないおwwww』

( ^ω^)『だからもうミッションクリアwwww 天国行き決定! やったおwww』

( ^ω^)『ようし!』



⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『ぶーーーん!』

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:35:53.81 ID:+k9Mb27k0

たたたた・・・

⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『ここの信号を右だお!』

たたたた・・・

⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『橋を渡って…』

たたたた・・・

⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『交差点を突っ切る!』

たたたた・・・

⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『しばらく坂が続いて…』

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:37:41.80 ID:+k9Mb27k0

たたたた・・・

⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『おじぎをしているヒマワリが見えたら…』

たたたた・・・

⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃『もうすぐだお!』

ぴたっ

⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃『着いた!!!!』





( ^ω^)『…』








(  ω )       ^ ^
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:42:19.92 ID:+k9Mb27k0
(  ゚ω゚)『…』

(  ゚ω゚)『ど、どういうことだお これは』


ブーンの目の前に広がるのは、想像していた立派な一軒家ではありませんでした。

少し大きな犬小屋と見間違うような、汚い汚いコンテナ式の小屋。

ブーンは少し近付いて、入り口を見てみることにしました。




(  ゚ω゚)『表札が、ついてあるお』

(  ゚ω゚)『ない… とう……』




(  ゚ω゚)(そんなバカな)

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:45:40.74 ID:+k9Mb27k0
( ^ω^)『ここは本当に僕の家? なんだか変だお』

( ^ω^)『ベルを鳴らしてみるお』

( ^ω^)『…って こんなボロ家に呼び鈴なんかないお』

( ^ω^)『ドアを少し開けて、呼んでみるんだお』


( ^ω|  『かーーちゃーーん! かーーちゃーーん!!』


( ^ω^)『おかしいお!! かーちゃんが出てこないお!』

(;^ω^)『あ、魂だからか』



( ^ω^)『でも… おかしいお。 だって、人の気配さえしないんだお!!』

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:48:35.71 ID:+k9Mb27k0
ブーンは意を決して家の中に入ることを決めました。
家に入ることについて、ブーンは大きな大きなためらいを感じていました。

なんとなく、真実がわかりかけていて、

それを、確かめるのがとても怖かったからです。




( ^ω^)『床を一歩踏みしめるごとに、記憶が戻ってくる気がするお』

( ^ω^)『相変わらず、小汚い家だお……』

(  ω )『人が… 住むところじゃない…』
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:51:34.05 ID:+k9Mb27k0

何時の間にか、ブーンの右手はノートを掴んでいました。

表紙にはもちろん、見慣れた筆跡で、見慣れた名前が書かれてあります…




( ^ω^)『2年4組 内藤ホライズン だお』

( ^ω^)『僕の、本名だお』

( ^ω^)『滅多にない名前だお』

( ^ω^)『…』




(  ω )『た、だ、い、ま』






しかし、「おかえり」と言ってくれる人物など、そこにはもはや、居ませんでした。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:54:27.50 ID:+k9Mb27k0
ブーンは家の外に出ました。



( ´ω`)「…」

「ワンワンッ!!! ワンワンワンワンッ!!」

( ´ω`)『ひょえっ! びっくりしたお…』


「こら太助! そっちに行くんじゃありません!」

  「元気ねえ」

「腕白ですいません。…ところで、この家には誰が住んでいるんですか?」

  「ああ、山田さんは最近越してきたから、分からないのね」

「ええ」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 13:59:37.38 ID:+k9Mb27k0
  「そこは、今は空家になってるの」

  「少し前まで、母子家庭の親子が住んでたんだけど…」

  「あんまり他人の不幸をこうやって話すのは好きじゃないけど」

( ´ω`)(そういえば… かーちゃんはどこに行ったんだお?)


ブーンは主婦たちの会話を盗み聞きしていました。


  「息子のホライズン君は、事故で無くなっちゃって」

  「おかあさんの…さんは」

「? …さんってまさか」

  「ホライズン君が亡くなる少し前に、男と一緒に逃げちゃって…」

「…さんって、 それで苗字が内藤でしょ?」


( ´ω`)「…?」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 14:03:55.04 ID:+k9Mb27k0
「ニュースでやってた、ヤクザ絡みの殺人事件ってもしかして…」


主婦の一人が、こくりと頷きました。




( ´ω`)『…』

( ´ω`)『そんなあ』





その瞬間、ブーンは記憶を一気に思い出した気がしました。
もっとも、家族のことについてだけですが……

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 14:06:47.69 ID:+k9Mb27k0
ブーンは再び家に入りました。
それから、薄くボロボロになった畳みの上に腰を下ろしました。



そして、ひとり言をぽつりぽつりと呟くのです。



( ^ω^)『全部思い出したお』

( ^ω^)『僕は、母子家庭だったんだお』

( ^ω^)『かーちゃんは、僕を嫌ってたんだお』

( ^ω^)『”あんたなんか、早く死ねばいいのに”』

( ^ω^)『それが口癖だったお』

( ^ω^)『……うぜーwwwww』
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 14:14:32.32 ID:n7/AQzR10
( ^ω^)『それでも、僕にとっては必要な人間だったお』

( ^ω^)『あいつがいなきゃ学校に行けなかったから』

( ^ω^)『でも… あいつがカケオチして…』

( ^ω^)『学校なんかやめて、これからは一人で生きていくお! ってときに…』

(  ω )『僕は、死んでしまったお』




( ^ω^)『あんな奴でも、今でも生きてここにいれば……』

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/06(金) 14:17:03.31 ID:n7/AQzR10
( ´ω`)「…」



ブーンは狭くて暗い部屋の中で一人、ちょこんと体育座りをして座っていました。
窓からさし込む午後の光が、ブーンを照らしていました。

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