- 36
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 15:59:57.30 ID:bpcYmJ3A0
- ( ФωФ)「輪廻というのは、生死のサイクルだ」
( ФωФ)「魂は、肉体から離れたら、天国か地獄にたどり着く」
( ФωФ)「そこで何年か過ごし、まあお前らの世界の時で言えば数百年だな」
( ФωФ)「そしてまた輪廻のサイクルに乗っかって、新しい肉体を持つのだ」
( ^ω^)「じゃ、じゃあ僕もいつか生まれ変われるお?」
(*^ω^)「今度は超可愛い女の子がいいおwwww 一生遊んで暮らせるおwww」
( ФωФ)「人間はむずかしいぞ」
( ФωФ)「来世を決めるのはドラフト制なんだ。 人間はいつも一番人気だ」
( ^ω^)「ちょwwwwwwwwwwwwwww」
- 37
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:03:36.64 ID:bpcYmJ3A0
- ( ФωФ)「…んで、貴様はその輪廻のサイクルにさえ乗れないってことワケだよ」
( ФωФ)「魂さえ消えて、なにも、ない。 お前は”いなかったこと”になるんだ」
( ;ω;)「そんな!!!!! そんなバカな話があるかお!!!!!」
( ФωФ)「あるさ。ちゃんとした理由があるからね」
( ;ω;)「なんだお?」
( ФωФ)「みんながお前を忘れているからさ」
( ;ω;)「…え? どういうことだお?」
- 42
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:08:58.81 ID:bpcYmJ3A0
- ( ФωФ)「現世でお前を知る人物が誰もいない。誰の記憶にも残っていない」
( ФωФ)「それはすなわち存在の否定だ」
( ФωФ)「誰もお前を知らないってことは、お前が消えたって、こっちもあっちも別に困らないってことなんだよ」
( ;ω;)「そんなあ」
( ФωФ)「私と神ちゃんが管理できる魂の数にも限界はある。”無限”なんて言葉は雲の上にも存在しないんだ」
( ФωФ)「だから時々こうやって…」
( ФωФ)「お前みたいな”存在”を”間引き”しなくちゃならないんだよ」
( ;ω;)「おーん!!!! そんなあ!!! 悲しいお!! 生まれ変わることさえできないなんて!」
- 44
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:12:05.68 ID:AcqZuUAY0
- ( ;ω^)「消えていい魂なんて一つもないはずだお!!!」
( ФωФ)「耳が痛い…」
( ФωФ)「悪いな」
そう言って閻魔は手をパンパンと二回叩きました。
すると隣にカマを持った死神が現れました。
( ・∀・)「どうもです」
( ・∀・)「今日はこの方ですか?」
( ФωФ)「ん。 ピーピーうるさいから早くズバッとやっちゃってくれ」
( ・∀・)「はい」
( ;ω;)「おーん!!!!! うごけないお!!」
- 45
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:15:28.84 ID:AcqZuUAY0
- ( ・∀・)「……」
( ФωФ)「どうした。早くしたまえ」
( ・∀・)「この魂、若いですね」
( ・∀・)「まだ数周しかサイクルを巡っていない」
( ФωФ)「あ、ああ。 かわいそうな奴よ。魂を粗末にしおって」
( ФωФ)「もっと器用に現世を過ごせば、こんなことにはならなかったのではないか?」
( ;ω;)「うるせー!!!! ばか!!!! おーん!!おーん!!!」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「この魂を間引きするのは、何かの間違いでは?」
- 48
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:19:04.21 ID:AcqZuUAY0
- ( ФωФ)「いや、だがしかし…」
( ・∀・)「現世には、この子の存在をまだ覚えている人がいるかもしれませんよ」
( ФωФ)「いないから、さっき神ちゃんから通達がきたんだろうが」
( ・∀・)「何かの手違いかもしれませんよ」
( ФωФ)「お前、いつから私にそんな口を……」
( ;ω;)「おーーーーーーーん!!!!!!」
( ・∀・)(ФωФ ) 「ビクッ」
( ;ω;)「うっ… うっ…」
( ФωФ)「なんだか可愛そうな気もしてきたわい」
( ・∀・)「でしょう」
- 52
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:23:38.82 ID:AcqZuUAY0
- ( ・∀・)「それに、この子が現世に残した罪は……」
( ФωФ)「……」
( ФωФ)「よかろう」
閻魔はブーンの金縛りを解いて、こう言いました。
( ФωФ)「お前に一ヶ月、お前がいた世界の時間でいう一ヶ月、時間をやる」
( ФωФ)「その間に、お前の存在を覚えている人間を見つけろ」
( ФωФ)「もし見つけられなかったら、それまでだ」
( ФωФ)「見つけたら…」
( ;ω^)「うっうっ」
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- 53
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:25:21.69 ID:AcqZuUAY0
- 死神は、ブーンを乗せて地獄の空をバサバサと飛んでいきます。
( ・∀・)「…」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「死神さん」
( ・∀・)「なんだい?」
( ^ω^)「ありがとうですお。僕にチャンスをくれて」
( ・∀・)「ちゃんとお礼が言えるんだな。地獄行きのくせに」
(;^ω^)「うう」
- 55
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:28:44.78 ID:AcqZuUAY0
- ( ・∀・)「…」
( ・∀・)「死神ってのは酷な仕事だよ」
( ・∀・)「君らの世界で言えば死刑執行役というか」
( ・∀・)「いや、それより重いかもしれない」
( ・∀・)「このカマは存在自体消してしまうんだからね」
( ・∀・)「普通、死神は非情で残忍な悪魔が就くもんだけど…」
( ・∀・)「ぼかぁ、ダメだね」
( ^ω^)「…」
( ・∀・)「着いたよ」
- 58
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:30:51.94 ID:AcqZuUAY0
- ( ・∀・)「この蜘蛛の糸をずっと登っていけばそのうち辿りつくよ」
( ・∀・)「それじゃあ」
( ^ω^)「ありがとうございますお」
死神はブーンを残して飛んでいきました。
ブーンは糸が伸びる赤黒い空を見つめました。一点の光が見えます。
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「よし、行くお!」
- 62
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:33:29.40 ID:AcqZuUAY0
- (;^ω^)(よーいしょ、こーらしょ…)
(;^ω^)(現世の人たちが僕を忘れているなんてウソだお!)
(;^ω^)(そんなはずないお! 僕は… 僕は…)
( ^ω^)「あ、光が、だんだん、大きく…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
- 67
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:37:27.47 ID:AcqZuUAY0
- 気がつくとブーンは、アスファルトの上を歩いていました。
( ・ω・)(今日の晩御飯なにかなー?)
( ^ω^)『おーい! そこの君ー! チャックが開いているおー!』
(;^ω^)『きこえないお』
(;^ω^)『ぼく、ほんとうに… 死んだんだお』
(;^ω^)『たましいなんだお』
( ^ω^)『まあ、そんなこと今更くよくよしたって仕方ないお!』
( ^ω^)『さあ、行くお!』
(;^ω^)『…どこに?』
- 70
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:40:25.19 ID:AcqZuUAY0
- ( ^ω^)『ああ、そうだ! 自分んちに行くお!』
( ^ω^)『かーちゃんととーちゃんなら僕のことを知っているはずだお!』
(;^ω^)『…でも、生きてたときの記憶はほとんどないお……』
(;^ω^)『いったい、どうすれば……』
( ^ω^)『あれ? あそこにいるのは』
( ´∀`)「ねー、そこの可愛い子ちゃん。ワシとお茶しない?」
- 73
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:44:33.50 ID:AcqZuUAY0
- ( ^ω^)『ゴッド! ゴッド! そこでなにしてるんだお!』
( ´∀`) 「あ? ちょっと息抜きに下界に下りてるんだよ」
( ´∀`) 「君こそなぜここに? 今頃死神に首を刈られているはずじゃ…」
(#^ω^)『僕は忘れ去られてなんかいませんお!!!!!』
(#^ω^)『僕のことを覚えている人を、探しているんですお!!!』
( ´∀`) 「へぇ、そうなの。無理だと思うけど」
(#^ω^)「むきー!!!」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「…あ、あの」
( ´∀`) 「なんだい?」
(;^ω^)「僕の記憶を、少し返してくれませんかお?」
- 74
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/27(日) 16:46:46.33 ID:AcqZuUAY0
- ( ´∀`)「あーそういうこと。 簡単だよ」
そう言って、神さまはさっきのバットを取り出してブーンの頭を殴りました。
( ゚ω゚)「ぎゃああ! 魂になっても痛みは感じるお!!!!」
( ^ω^)「…あ、なんだか、いまの衝撃で少し思い出したかも…」
( ´∀`)「神のバットだからな」
( ´∀`) 「それじゃ、また雲の上で会おう」
神さまは空へとゆらゆら飛んでいきます。
ブーンはそれを見送って再び町を歩くのでした。
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