- 2
名前: ◆aYo30Ks4N6
:2009/12/13(日) 23:50:51.49 ID:1AEH2vXH0
前回のお話は。
/^o^\「現れましたね仮面ライダー!!」
街に出没した、マグマのガイアメモリを持つ怪人。
( ^ω^)「お前の罪は、これで終わりだ」
難なく撃退する仮面ライダーこと、ブーンドーパントである内藤。
从 ゚∀从「ああ、星の司書デレ、お前はあとでおしおきだねぇ」
そして現れたのは、タブードーパント。
ζ(゚ー゚*ζ「悪魔と相乗りする勇気……ある?」
そして、内藤は謎の少女、デレから渡されたベルトを使い、新たな変身を果たした。
- 3
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/13(日)
23:52:39.06 ID:1AEH2vXH0
変化したその全容は、紫色の模様が描かれたスリットの目立つ黒い甲冑姿。
だが何より特徴的なのは、ボディ中央を分断するかのように走る銀の帯。
そして多重に重なるカメラレンズのような赤く輝く瞳、額から生えたV字のアンテナ。
両手足に存在するアンクレットは、今も尚ぼんやり紫の光帯を纏わせていた。
(;0ω0)「…この感じ、これは…!?」
从;゚∀从「…その姿は…まさかデレ、貴様VIPメモリを!?」
怪物、と称するにはおよそ似つかわしくないその姿は、人が鎧をまとった様。
そんな姿を前にして、ツンの隣にたたずむ少女は彼をこう呼んだ。
ζ(゚ー゚;ζ「ブランク…ジョーカー……?」
- 4
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/13(日)
23:53:33.03 ID:1AEH2vXH0
ξ;゚听)ξ「黒い……ドーパント? いや、それにしては随分と…」
ζ(゚ー゚;ζ「え、え? なんで?
どうして!? どうして記憶が消えているの!!?」
ξ;゚听)ξ「……なんだって?」
ζ(゚- ゚;ζ「そんな……駄目……これじゃ適わない……」
ζ(゚Δ゚;ζ「ブーン! 逃げて、早く!!」
( 0ω0)(逃げる……逃げる?)
やや離れた位置、それも囁くような小さな声だった。
しかし内藤はその声をはっきりと認識していた。
その上で、少女の言葉に疑問が浮かぶ。
今の内藤が感じているのは、前方への敵対心ではなく、背後への使命感でもない。
ただ、その身から溢れ出るような、かつてない全能感。
人の身では考えられない程の広大な視野は、頭の至る所に目がついているようにさえ思える。
正面で認識できる世界はどこまでもクリア、遥か遠くを飛ぶ小さな羽虫一匹さえも捕らえられる。
身体は軽く、全力で飛び上がれば果たしてどれほどの跳躍が可能か、自身ですら計り知れない。
- 5
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/13(日)
23:55:13.89 ID:1AEH2vXH0
ドーパント体に変身していた時とは比べ物にならないほど、力が身体に満ち溢れる。
この力があれば、例え相手がなんであろうと負ける訳がない、ならば、と。
( 0ω0)「おい、そこの箒頭」
内藤は後ろから聞こえてくる声を無視して、宙に浮んだままの赤い怪物を指差す。
すると、先ほどまで若干の戸惑いを見せていた怪物の様子が一変、
内藤の後ろに居る二人をひるませるほどの威圧感を以って、内藤へと向きなおした。
从 ゚∀从「…それは私の事を言っているのかい?」
( 0ω0)「一つ聞く、お前は組織の……ミュージアムの一員か?」
从 ゚∀从「一員? ……ああ、そうか貴様はただメモリを借りただけの、末端も末端だったか」
( 0ω0)「…?」
从 ゚∀从「だが、例えそうでも無知すぎる……少し、組織体制も見直しが必要だな」
( 0ω0)「妙な事言ってないで、こっちの質問に答えろ」
从 ゚∀从「何処までも生意気な奴め……ナスカの所持者から聞かされなかったのか?」
(#0ω0)「ナスカ…! お前、ジョルジュの事を知ってるのか!?」
- 6
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/13(日)
23:57:09.63 ID:1AEH2vXH0
从 -∀从「フッ…当然だ、奴にベルトを渡したのは…この私なのだから」
一笑に目を伏せるタブードーパント、対する内藤はレンズ越しの奥で怒りに目を細めた。
そして次の瞬間、地を蹴る姿が砂煙をまきあげ、風切る影が宙を翔け、空に居る赤い怪物を目指す。
( 0ω0)「そうか…!!」
从 ゚∀从「来るか、仮面ライダー!!」
タブードーパントの居る空へと飛び上がった内藤は、勢いそのままに殴りかかる。
しかし、赤い怪物はひらりとそれを避け、雷纏う赤い球体を放つ。
迫る凶弾。内藤は身を翻しながら片腕で殴りつけるように弾いた。
(#0ω0)「お前が…お前のせいでジョルジュは!!!」
从 ゚∀从「勘違いしてもらっては困る、私はあくまで贈り物をしただけ、
それをどう使うか、あるいはどうなるかは、あくまで本人が決める事……」
飛び上がった内藤の身体は、到達点を越えて慣性に流され落ちていく。
そんな身動きの取れない姿へ向けて、勝機とばかりにタブーは多量の赤い雷弾を放つ。
- 7
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/13(日)
23:59:44.47 ID:1AEH2vXH0
从 ゚∀从「奴は、自分でそれを決断し、その意思を持って我等の―――幹部の一人となった」
(#0ω0)「それを『そそのかした』と言うんだ!!」
从 ゚∀从「いや『気付いた』のさ」
雷弾は壁を作るように広がり、ただでさえ動けない内藤の逃げ場を更に無くし、
内の一つが足元へと迫る、と、内藤はその雷弾を後ろに蹴り、足場として自身を浮き上がらせる。
続けて、正面から迫る雷弾を先と同じように払い落とす。
二つ三つと続けて弾くと、横へそれたいくつかの雷弾が衝突し、空に閃光が走る。
中空に残るのは、大きな煙雲。
その塊から、赤い二つのレンズアイを輝かせる姿が飛び出した。
从 ゚∀从「人の意思は弱い……多数に流され、大声に影響され、ゆらゆら揺れては原因を他に探す、
これの意味することは一つ、民衆は大きな力によって支配される事を望んでいる、という事だ」
( 0ω0)「……ああ、そうだったな―――」
从 ゚∀从「だが、今の現実に世を支配しているのは、腐ったエリート達だ、
他を見下し、自分がエリートだからを理由に私腹を肥やすばかり、それでは誰も救われない」
- 9
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:03:05.18 ID:TLNn3wID0
だから、と。
両者の距離が近づく。
(#0ω0)「そんな、自分勝手な解釈なんかを信じて、勘違いして、俺もあいつも…!!」
从 ゚∀从「気付いたのさ、そんな屑共はこの世界に必要ないと」
从 ゚∀从「だから、真に選ばれし人間が必要と」
(#0ω0)「だから、選ばれた人間以外は、すべて要らないんだろう!?」
从 ゚∀从「その通り、そして貴様もその一つ、だったであろ?」
(#0ω0)「それが、自分の言ってる事がおかしいって、わかってんのか!!」
从 ゚∀从「さあ、どうかな」
激昂のままに拳を振り上げる内藤だったが、その姿を前に赤い怪物の唇がつり上がる。
そしてあろうことか両手を広げ、その身を捧げるような仕草を見せ、ただ一言だけを口にした。
从 ゚∀从「我に触れるな」
- 11
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:04:42.61 ID:TLNn3wID0
(;0ω0)「ッッ!!!!!!」
瞬間、内藤の背筋に全身が凍りつくような悪寒が走る。
そして出しかけた手を引っ込め、赤い怪物のすぐ横を自ら避けるように通り過ぎた。
从 ゚∀从「おや、どうした仮面ライダー、何もしてこないのか?」
(;0ω0)(今の……そうだ、最初にこいつを見た時と同じ…!)
着地した内藤はすぐさま自らの腕を見る。
まだ悪寒は止まらない、それを示すように手は細かく震えていた。
从 ゚∀从「はは、さっきの威勢はどこに行ったのだ?」
(;0ω0)「く…」
更に、内藤は声のするほうを見ようとしない。
まるでその先に、目を逸らしたくなる様な物でもあるかのように。
ξ;゚听)ξ「何だ…? 今、何かされたのか?」
ζ(゚- ゚*ζ「……あれは禁ずる言霊…やっぱり、コンセプトクラスに正面から向かっても……」
ξ゚听)ξ「……何か、知ってるんだな?」
ζ(゚- ゚*ζ「………」
- 12
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:06:17.57 ID:TLNn3wID0
そんな二人が見守る目の前で、いくつかの閃光が走り、爆発が辺りの空気を震わせる。
攻防が再び始まった、だが先とは違い、内藤は逃げ回るばかりで一向に立ち向かおうとしない。
(;0ω0)(くそ、くそっ、どうなってんだ!?
何でこんなに不安なんだ!?)
从 ゚∀从「みっともないなぁ、正義のヒーロー、そんな様でいいのかい?」
いくつもの雷弾が連続して降り注ぐ中、どうにか避ける内藤だったが、
裁けるのも僅かな間だけ、ついには被弾し、その場で倒れ伏せる。
(;0ω0)「……いってぇ」
一つのダメージは大した物ではない、だが転倒したその姿は、上から見るにはあまりに無防備。
続けざまに放たれた雷弾は、その周囲に大きな穴を空けながら飛来し、砂煙の中にその姿を隠してしまう。
从 ゚∀从「もう限界だろう?」
やがて煙が晴れると、倒れたままピクリともしない内藤の姿が現れた。
タブードーパントは嘲笑うように話しかけるが、それにも反応は無い。
遠めに見守る二人は、その姿に小さく悲鳴を漏らした。
- 13
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:07:42.87 ID:TLNn3wID0
ζ(゚- ゚;ζ「だから…だから逃げてって言ったのに……!」
ξ;゚听)ξ「……おい、お前!」
ζ(゚- ゚;ζ「でも、どうしてなの……どうして変化した筈のメモリが消えているの…?」
ξ#゚听)ξ「おい!! 聞いてんのか!!」
ζ(゚- ゚;ζ「ひゃい!? な、何ですか!?」
ξ#゚听)ξ「お前には聞きたい事が山ほどある!
だが今はそれどころじゃないから単刀直入に聞く!」
ζ(゚- ゚;ζ「は、はい!」
ξ#゚听)ξ「お前はここに来る前、言ったな、このVIPドライバーがあれば何とかなると」
ζ(゚ー゚;ζ「ええ、でも、それはメモリが揃ってる時の話で……」
ξ゚听)ξ「そんな私の知らない事はいい、何でも良いから、この状況を打破できる手段はないのか?」
ζ(゚ー゚;ζ「何とかできる方法……は、ある、ますけど」
ξ゚听)ξ「よし、それを奴に教えてやれ」
ζ(゚ー゚;ζ「……駄目なの」
- 14
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:09:17.17 ID:TLNn3wID0
ξ;゚听)ξ「はあ?」
ζ(゚Δ゚;ζ「…制限解除を使えば、確かにVメモリはFクラス以上の力を一時的に引き出せる、
でも、相手がタブーだから、ブーンがあのままじゃ、どうしようもないの…」
ξ゚听)ξ「……よくわからんが、あのまま、って…つまりどうなればいいんだ?」
ζ(゚- ゚;ζ「今、ブーンは禁忌に怯えてる……怯えは人の手足を痺れさせ、やがて呼吸も封じるもの、
だからブーンは自分であれに耐えるか、起き上がるかをしないといけない、
でも……あの絶対的な力に反抗するなんて…普通の人間には……」
ξ゚听)ξ「なるほど、つまりあの馬鹿にやる気を出させればいいんだな?」
ζ(゚Δ゚;ζ「そ、それはそうなんですけど…」
ξ--)ξ「……仕方ない、少々不本意だが……」
ζ(゚Δ゚;ζ「あの…何を?」
そう言って、ツンはしっかりと前を見据え歩み寄る。
視線の先では、未だ倒れたままの内藤と、その真上にて浮遊を続ける赤い怪物。
从 ゚∀从「手足の一本くらい吹き飛んでもおかしくは無いと思うんだが……それも、Vメモリの恩恵かい?」
- 15
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:11:38.44 ID:TLNn3wID0
( ω )「………」
从 ゚∀从「もう口も聞けないか、まあいい、そろそろ楽にしてやろう……ん?」
ξ゚听)ξ「……」
ツンは二人からやや離れた位置で立ち止まると、少しだけ嫌そうな表情を作った。
そして怪訝な目を向ける赤い怪物などお構いなしに口を開く。
ξ゚听)ξ「おい内藤、聞け」
从 ゚∀从「は…なんだ、最後の挨拶かい?」
ξ゚听)ξ「このオバサンみたいな怪物に勝ったら―――――」
( ω )
从#゚∀从「オバ…!!」
ξ゚听)ξ「――――今度、例のコスプレしてバイトに出てやる」
- 16
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:12:36.53 ID:TLNn3wID0
(( ω ))ビクッ
ξ--)ξ「だから」
( ω )「ま……」
ξ゚听)ξ「とっとと立て」
( ゚ω゚)カッ
( ゚ω゚)マジデ?
ξ゚听)ξマジマジ
- 18
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:14:15.70 ID:TLNn3wID0
その言葉に応えるように、身じろぎすらしなかった内藤の身体が震え、
まず手が地面を砕き、反動で一気に立ち上がると上天を仰ぎ雄叫びをあげた。
(#0ω0)「ぬうううああああああああああああああああああああああ!!!!!」
从;゚∀从「んな、なんですと!!??」
ξ゚ー゚)ξ「よし」
(#0ω0)「ふーっ! ふーっ! よくも妙な技をかけてくれたな!!」
从;゚∀从「馬鹿な!? そんな言葉一つで私の、いや、ガイアメモリの力が破れる筈が…!?」
( 0ω0)「ただの言葉じゃない、これは……」
(#0ω0)「そう、萌えの力だ!!」
ξ;-听)ξ「本当に嫌なヒーローだな……」
ζ(゚Δ゚;ζ「ぽかーん……」
ζ(゚ー゚;ζ「はっ、そ、そうだ、今なら……ブーン!
制限解除を!!」
( 0ω0)「リミッター……?」
ζ(゚Δ゚;ζ「そう、メモリを、ジョーカーのメモリを!
ベルトの横についてるスロットに挿れるの!!」
- 19
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:16:21.12 ID:TLNn3wID0
言われるままに、内藤はジョーカーのメモリを外した。
そして金色の端子が輝くメモリを、ベルトの右側に取り付けられたスロットに挿す。
【ジョーカー マキシマムドライブ】
音声が、先の言葉を告げる。
そして内藤は、右足に熱が宿るのを感じた。
( 0ω0)「……そうか、わかったぞ、カノンちゃん…こういう事なんだな」
熱の正体は、メモリスロットを通して伝わってくる力。
証明するように、右足のリングから紫と白、二つの光帯が浮かび上がる。
从;゚∀从(……不味い!)
右足に感じる圧倒的な力、これをどう使うか、内藤に浮かぶのはただ一つ。
これから放つのは特別な物ではなく、あくまで単純、全力で蹴るだけ。
自分が放つ、ただの蹴り。
故に、この技を名付ければ。
( 0ω0)「ライダー…キック!!」
- 20
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:19:30.13 ID:TLNn3wID0
助走をつけて、距離を詰め、飛び上がる。
その間に雷弾が再びその身に迫るが、内藤は被弾しながらも怯まず、ついには、赤い怪物の正面にまで到達し。
(#0ω0)「おぉ―――――」
从;゚∀从「チィ!?」
まず放つのは、全身全霊を込めた右の回し蹴り。
タブードーパントは、手のひらに雷の壁を展開させ、それを受ける。
衝突する、赤の雷と紫の光。
溢れ出るエネルギーの奔流が周囲に撒かれ、風圧が砂煙を巻き起こす。
从;゚∀从「こ、この私が……貴様如きに…ッ!!」
(#0ω0)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーっらぁあああああ!!!!!」
だが、均衡に至ったのはほんの僅かな間のみ。
内藤は蹴りつけた右足で反動をつけると、今度は左足を真上に持ち上げ、
斧を落とすが如く、続けざまに踵落しを叩き込む。
雷鳴が、轟く。
- 21
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:21:12.23 ID:TLNn3wID0
こうして、新たな仮面ライダー誕生と、その初戦闘は終わった。
だが、その当事者たちは誰一人として知らなかった。
「……す」
その戦いの一部始終を、危険を省みずに見つめる人影があった事など、知る由も無かった。
ノハ*゚听)「凄い……!!」
第二話 二人で一つ、Wで変身/平和を愛する熱血少女
- 22
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:22:39.82 ID:TLNn3wID0
人が行き交う駅の前、並ぶ店の前には色とりどりの看板と、名物を示す旗が立てられている。
そんな、何の変哲もない平穏な街の、街路樹がならぶ歩道を数人の女生徒が、制服のスカートを揺らし歩いていた。
ノハ*゚听)「それでね、もうすっごい高くまでジャンプして―――」
と、内の一人がタタッと駆け出し、その場で飛び上がり、
「てや!」と掛け声一つ。スカートを翻しながら誰も居ない空間に回し蹴りを放つ。
そして着地の際、スカートは盛大にめくり上がり、覗くスパッツに周囲の一部からの視線が注がれる。
だが彼女はそんな事はお構いなしに、楽しそうな笑顔を浮かべて友人達へと向きなおす。
ノハ*゚听)「そしたらどおーーーん!
バリバリィーーー!!って言ってさ!!」
('、`*川「赤い怪物を吹っ飛ばした、ってんでしょ?
もうその話はいいっての」
ノハ><)「嘘じゃない、ほんとだぞ!!
ほんとに見たんだよ!!」
('、`;川「誰も疑っとらん」
- 23
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:24:38.08 ID:TLNn3wID0
从'ー'从「ひっちゃんは本当に好きだよね〜」
('、`*川「仮面ライダーねぇ……でも、その戦いの跡ってまだ復旧できてないんでしょ?
怪物をどうにかしてくれるのはいいけど、それが戦いの結果ってんじゃちょっと迷惑よねぇ」
ノハ;゚Д゚)「め、めめ、迷惑ぅ!?」
('、`*川「ニュースでも言ってたよ、戦闘によって被害拡大、とか」
ノハ#゚ー゚)「ぐぬぬぬ……」
从'ー'从「でも〜、倒してくれなかったらもっと酷い事になってたかも〜」
ノハ*゚听)「うんうんうん!!
そうだよね! ステキだよね! 破壊なんか関係ないもんね!」
('、`;川「うるさい」
('、`*川「…それに、仮面ライダーってのも実のところ……ガイアメモリを使用した、ドーパントだって話じゃない」
从'ー'从「それはよく聞くね〜」
('、`*川「そうそう、だからもしかしたらさ……」
('、`*川「本当は、人間のことなんかどうでもよくて、ただ仲間割れしてるだけなのかもよ?」
- 24
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:26:19.52 ID:TLNn3wID0
ノハ )「………」
从;'ー'从「ひ、ひっちゃん?」
ノパ∀゚)「あははははははは!!!!」
('、`;川「おお、壊れた」
ノパ∀゚)「ばかだなぁもう! そんな訳ないじゃん!
仮面ライダーは間違いなく正義のヒーローだし!!」
('、`;川「いやだから」
ノパ听)「都村トソン」
('、`*川「はあ?」
ノパ听)「例の女の子ばかり狙ってたとかいう、暴行事件の最後の被害者の名前だよ」
('、`;川「……あんた、まさか」
ノパ听)「うん、その人にこないだ会って来たんだ、それで聞いたんだ、仮面ライダーに助けられたって逸話を」
('、`;川「……はあ、それで?」
- 25
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:28:08.00 ID:TLNn3wID0
ノハ*゚听)「半漁人みたいな化物に追いかけられて、本当にもう駄目かと思ったその時!!
ぶぉおおおん!!! と颯爽と現れたのは、マフラーをなびかせる仮面のライダー!!
そして、現れたライダーはその人にただ一言……!!」
ノパ ゚)「逃げろ」
ノハ*゚Д゚)「って言ったんだって!!
これはどう考えても彼女を守ったんだよ!!
しかも逃げろって一言だけ、かっこよすぎじゃないか!!
これを正義のヒーローと呼ばなけりゃ、いったいどうしろっちゅーんじゃああああああああああああい!!!」
('、`;川「あー……わかった、わかった、悪かったわよ」
从;'ー'从「で、でも…どんな人なんだろうね〜」
ノハ*゚听)「そりゃ勿論……子供よりも母親とか、特撮好きとかが夢中になっちゃう人だよ!!」
('、`;川「どんな奴よ」
ノハ*゚听)「だから、格好よくて、それで、普段はクールなんだけど実は優しくて、静かに燃える熱血漢、
平和をこよなく愛し…鳥や動物にも好かれ、ああっ、もうっ、とにかく素晴らしい人……!!」
ノハ*゚听)「だったらいいなあああああああ!!」
- 26
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:30:37.25 ID:TLNn3wID0
从;'ー'从「あ、あはは……まあ、理想像としては…ありかな〜」
('、`*川「無いっての……あんたもねぇ、正義のヒーローっても相手は人間だってわかってる?」
ノハ*゚听)「分かってるよ!」
('、`*川「駄目だこりゃ…」
ノパ听)「さて、それじゃ、私今日は稽古の日だから行くね!」
('、`*川「なんだ、遊びに行こうと思ってたのに」
从'ー'从「棒術…だっけ〜?」
ノパ听)「杖術だよ、わたっち!」
('、`*川「剣道とかならまだしも、何であんたそんな妙なの習ってんのよ」
ノハ;゚听)「み、妙なんかじゃないやい!
杖術は凄いんだぞ!?
昔から払えば薙刀、突かば槍と言ってだな、しかもその心は不殺……」
ノハ--)「まさに正義のためにあるような物で」
('、`*川「はいはい、うんちくはいいから、行くなら行きなさいな」
- 27
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:32:22.04 ID:TLNn3wID0
ノハ;゚听)「む、むうう………」
そうして、彼女は大通りを駆け出した。
背にあるのは、黒い包みに入れられた長い棒状の物。
走りながらも、頭にあるのは彼のヒーローの事。
ノハ*゚听)「……でも、ほんとに、どんな人なんだろう」
そんな期待ばかりを膨らませ、走る彼女の姿はやがて、人ごみに紛れて見えなくなった。
…………。
( ^ω^)「……ツン、一生のお願いがあるんだが……聞いてくれないか?」
ξ--)ξ「……なんだよ、改まって」
- 28
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:34:10.85 ID:TLNn3wID0
(;゚ω゚)「か、カノンお譲様とお呼び!!
って怒鳴ってみてくれ……!! 頼む!!」
ξ゚听)ξ「もう死ねよお前」
(こんな人)
穏やかなBGMが流れる昼下がり、喫茶VIPでは普段どおりの平穏な時間が流れていた。
しかし、一つ違うのはツンの着ている衣装だ。普段は私服や制服にエプロン姿なのだが今日は違う。
先日の戦いにおいて、うっかりしてしまったコスプレの約束。
それは、胸元が大きく開かれた、エロス満点の黒いフリル付きドレス。
内藤が大好きな二次元キャラの衣装だ。
- 29
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:35:33.65 ID:TLNn3wID0
それだけでも、彼をフィーバーさせるには充分なのだが、今はそれだけではない。
ζ(゚ー゚*ζ「店長、このお皿はどこに仕舞えばいいんですか?」
( ・∀・)「あ、それはすぐ使うからそこに置いといて」
(*゚ω゚)「ふ、ふひ……」
そのお熱になっているキャラにそっくりの少女が、こうして店の手伝いをしているからだ。
正に内藤にとってみれば、ここは入れない筈の二次元ワールド、もといパラダイス。
今日は朝からずっとにやけが止まらず、その怪しさに外出禁止を命じられた程。
だが内藤とて、それはむしろ好都合であり、喜ばしきこと。だが。
ξ゚听)ξ「……ほんっとに、阿呆な奴だぜ」
- 30
名前:第二話
◆aYo30Ks4N6 :2009/12/14(月)
00:37:21.69 ID:TLNn3wID0
( ^ω^)「……店長店長」
( ・∀・)「なんだい?」
( ^ω^)「……なんで、バイトにツンを選んだんだ?
もう少しこうさ、女の子らしい子にしようとか思わなかったのか?」
(;・∀・)「そうは言うけどね、しょうがないだろう?
僕だってあんな男勝りで男口調だとは思わなかったんだから…!」
(;^ω^)「なんで、面接の時とかわかるだろ…!」
(;・∀・)「あん時は物凄い笑顔で、しかも丁寧語だったんだよ!!」
(;^ω^)「うわ、詐欺だろそれ…!!
訴えたら勝てるレベル」
ξ゚听)ξ「おい、せめて聞こえないように喋れよ」
- 2 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:41:57.72 ID:p3HTvCYr0
( ・∀・)「まあいいじゃないか、だってほら、今はこうして……」
そう言って、モララーは下卑た笑みを浮かべて横を見る。
内藤もそれに習い、当社比2倍の笑顔で横へと視線を移した。
ζ(゚ー゚*ζ「?」
そんな視線に込められたHENTAI心を知ってか知らずか、少女は首をかしげるばかり。
店内には普段のBGMとは変わり、ラジオが野球の世界大会の様子をアナウンスしている。
ツンは呆れ気味に溜息を一つ、少女を見据えながら少し前のことを思い出していた。
ξ゚听)ξ(そういえば、あれからちょうど一週間か……)
……。
- 3 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:43:09.24 ID:p3HTvCYr0
- 一週間前。
あの戦いの後、どうにか敵を退けた内藤達は謎の少女デレを連れ、再び喫茶VIPへと戻ってきた。
そして内藤は少女からこれまでの経緯を聞かされる事になる。
( ^ω^)「―――-じゃあ、君も組織から抜け出してきたのか」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
( ^ω^)「しかも、VIPメモリを持ち出して……」
ζ(゚- ゚*ζ「本当はもう一つも必要だったんだけど……そっちは無理だったんだ、ごめんねブーン」
( ^ω^)「そんな事はいいんだよカノンちゃん、それより…たった一人で抜け出してくるなんて、なんて無茶を……」
内藤は少女の両肩にそっと手を置き、諭すように言う。
なんとなく背景にキラキラしたものが流れそうになるが、そこに割り込む声があった。
(;・∀・)「ちょっとごめんよ、もう一つだって…?!
デレちゃん、そのメモリってもしかして……『S』と描かれた物じゃ?」
ζ(゚- ゚*ζ「S……?」
( ^ω^)チッ
ξ゚听)ξジー
Σ(:^ω^)
- 4 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:44:57.65 ID:p3HTvCYr0
( ・∀・)「……どうなのかな?」
ζ(゚- ゚*ζ「……いえ、違いますよ、現存するもう一つのVメモリは『F』」
ζ(゚- ゚*ζ「雄々いなる牙、『野生』の記憶を秘めたメモリです」
( ∀ )「F……そう……そうか、違うのかい」
(;^ω^)「……店長? どうかしたのか?」
ζ(゚- ゚*ζ「……ただ、そのSには心当たりがあります……以前に消失したメモリの中に、スk」
少女が口にする話の最中、ふと表情に影を落としたモララーはその言葉を遮るように手を上げた。
そして影を払うように首をふると、また穏やかに笑みをつくる。
( ・∀・)「ありがとう、それだけ分かれば充分だ」
(;^ω^)「怪しさ満点だな、どうしたってんです?」
( ・∀・)「ははは、何でもない、としか僕には答えられないな」
(;^ω^)「またそれか……第一、そもそも店長がVドライバーを持ってた理由もまだ聞いてないんですけどね」
( ・∀・)「言ったろう? 何でもない、としか答えられないと」
- 5 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:46:17.13 ID:p3HTvCYr0
そんな答えに、内藤は肩を落として溜息をこぼす。
と言うのも、このモララーという男、なかなかどうして謎が多い。
件のVドライバーを所持していた事もそうだが、ガイアメモリの知識が妙に豊富であり、
ドーパントを脅威ではなく敵として認識している節がある。これは大きな一般人との違いだ。
それを知りながらも、内藤は深く追求しようとはしなかった。
語らないという事は話したくない、あるいは語れない事だからと、待つことを選んだのだった。
( ・∀・)「ほら、そんな事よりさぼってないで働いた働いた」
( ^ω^)「うぃ」
ξ゚听)ξ「……」
『ザワザワ空振りー! 空振り三振ーーーー!
ワーワー 五回の攻撃も終わりまして――』
ζ(゚ー゚*ζ「…? どうしたんですか?」
ξ゚听)ξ「いや、こっちのヒーローは不調か、ってな」
箱型の塵取りを持った少女が問いかけると、ツンは入り口のドアに手をかけたまま答えた。
ラジオから流れるのは野球中継、普段は音楽を流している店内だが、今は特別にこっちを流している。
何故なら今は、世界中が注目する大きな大会の真っ最中。そして彼らも例に漏れず、関心を向けていた。
- 6 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:48:32.48 ID:p3HTvCYr0
( ^ω^)「全然打ってないんだっけ」
ξ゚听)ξ「ああ、騒がれてた割にはどうもパッとしないぜ」
(#・∀・)「ちげーし! まだ帰国したばかりで本気じゃないだけだし!」
( ^ω^)「まあ、期待されてるのが明白な分、プレッシャーもあるだろうな」
ξ゚听)ξ「イッチローも人の子か」
と、その時。
『――番組の途中ですが、ドーパント情報です』
MCの鬼気迫る声が、穏やかな空気を一変させた。
モララーが内藤へと目をやると、内藤は頷くことで意思を示す。
そしてツンは場所を譲るように入り口から身を引いた。
『場所はニューソクプラス街、付近にお住まいの方、運転中のドライバーの皆様は十分ご注意ください』
( ^ω^)「行ってくる」
ζ(゚Δ゚;ζ「待ってブーン! 私もいく!」
( ^ω^)「駄目だお、カノンちゃんはここでお留守番だお」(イクとか…………ハァハァ)
- 8 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:50:45.75 ID:p3HTvCYr0
ζ(゚Δ゚;ζ「でも…相手がどんなメモリかも分からないんだよ、だから、私も一緒にいくの!」
少女は内藤の腕へすがるようにしがみつく。
すると内藤は優しく笑みを浮かべ、もう片手でデレの頭を撫でた。
( ^ω^)「カノンちゃん…君がすこし特別なのはわかるよ、メモリに詳しい事も」(一緒にいく、一緒…ハァハァ)
ζ(゚Δ゚;ζ「なら…いかせて、お願い…!
きっと役に立つから…!」
( ^ω^)「でも駄目だお、わざわざ君を危険な目に合わせるわけにはいかない」(そう、まだいくには早いよ、ふ、ふふ)
ζ(゚Δ゚;ζ「私なら大丈夫だから…ねえ、だから一緒に…」
( ^ω^)「駄目だお……これは、カノンちゃんだから、特別だから言ってるんじゃない」(来たね、これは来た、股間に)
ζ(゚Δ゚;ζ「え……?」
( ^ω^)「カノンちゃん、君がどう思っても、あくまでも君は僕にとって一人の女の子なんだお、
今ここに居て、僕が守りたいと思う、この街に生きる一人なんだお」(うおお静まれ三本柱マンーー!)
その時、背後から飛んできたコーヒーカップが内藤の頭に直撃。
盛大な音を立てて割れた破片がパラパラと落ち、デレは突然のことに身を縮ませた。
ξ゚-)ξ「静まったか?」
( ω )「……」
- 9 :二話
◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金)
23:53:50.75 ID:p3HTvCYr0
- ζ(゚Δ゚;ζ「ぶ、ぶーん!?
頭から血が! 血がっ!!」
(メ^ω^)「そして僕は…できる限り、すべてを守りたいと思ってるんだお、だから、君もそうだ」
ξ;゚听)ξ「む、何事もなかったように続けやがった、なんて野郎だ」
( ・∀・)「僕も神に感謝することがある、内藤君が敵にまわらなかった事だ」
(メ^ω^)「だから待ってて、大丈夫、心配要らない」
ζ(゚Δ゚;ζ「だ、大丈夫なの……?」
(メ^ω^)「もちろん…何故なら僕は仮面ライダー…人々を守る、正義のヒーローだお」
それだけ言い残し、内藤は喫茶VIPを出るとバイクにまたがり颯爽と駆けていった。
( ・∀・)「締まらないねぇ……何が足りないんだろう」
ξ゚听)ξ「突込みだな、ボケてばかりだから駄目なんだ」
( ・∀・)「成程……誰か、熱く突っ込んでくれる子さえ居ればねぇ」
………。
- 10 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/12(金) 23:56:50.64 ID:p3HTvCYr0
( ^ω^)「これは……」
ラジオが告げた現場に到着した内藤だったが、
そこに人の気配は既になく、街には静寂ばかりが広がっている。
普段ならば人の行きかう繁華街だったその場所は、もはや見る影もない。
だが、まずそれ以上に気がかりなのは。
吐息を白く濁らせるほどの異様な冷気と、地面を踏むたびに割れ音を立てる凍った大地。
そして内藤はバイクから降りると、辺りを探るように歩き始めた。
( ω )(誰も居ない……遅かったか……)
街路樹は雪化粧をほどこされ、歩道は氷の塊が作る傾斜に飲み込まれている。
車道を分かつ線上には、いくつもの氷の粒がわずかな光を受けて煌く。
そして、まるで雪降る夜のような静寂。そんな街並みはいっそ美しくもあった。
- 11 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:00:10.03 ID:p3HTvCYr0
やがて内藤は道の先にある物を発見し、表情を強めた。
それは、大きな氷塊の内側、ピンクに濁った氷の先、うっすらと浮かび上がる人型。
見るも無残に引き裂かれた布地と、おかしな方向に曲がりすぎて千切れかけた手足。
素肌の露出した部位の皮はあます事無く剥がれ、赤が全身を染めていた。
( ω )「…………っ」
ふと、内藤はかつての事を思い出した。
『人が争うことの無い世界を目指す』
『その為には―――――――――』
( ω )(これが、こんなのが……正しいって言うのか)
( ω )(一方的な理由を押し付けて、一方的に苦しみを与えて……)
( ω )(そんなものが…)
(#^ω^)「こんな事の上に成り立つ世界が……正しい訳ねぇだろジョr…!」
その時。パリン、と。
(;^ω^)「!?」
誰にともなく放たれた激情に反応するように、内藤の背後で足音が響く。
とっさに振り向いた内藤の視界に、長い髪を翻し、ビル影へと消えていく姿が映る。
- 13 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:02:20.18 ID:NN2543xx0
(;^ω^)「ちょ、君!!」
生き残りか、あるいは犯人と関係があるのか、それは分からないが放ってはおけないと、
内藤は怪しまれないようヘルメットを外し、その姿を追いかけた。
そして、人影が消えた路地へと足を踏み入れた先で見たものは、「うわ!?
うそこっち来」
(;^ω^)「ちょっと待っ………て?」
ノハ*゚Д゚)「わ、あわ、あわわわわ…!」
幕ノ内一歩を彷彿とさせる、見事なピーカブースタイルで驚きの声をあげる女の子の姿だった。
そして赤みがかった茶系の色をした、肩にかかる程度の長さの髪型に、内藤は頭の上に疑問符を浮かべる。
(;^ω^)(……あれ? なんか違う…?)
ノハ*゚Д゚)(ど、どどどど、どうしようーーーー!
見ちゃった上に声かけられちゃったよおおおお!?)
(;^ω^)(……すげえ挙動不審……)
(;^ω^)「えと……君は?」
ノハ*゚听)「あ、は、はい! 私は柊、柊
灯子です」
ノハ*><)「でもでも、みんなからは『ひー』とかってよく呼ばれて……
って、やだ、ごめんなさい!
何言ってるんだろ私!」
- 14 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:04:51.30 ID:p3HTvCYr0
(;^ω^)「はぁ……それで、君はこんな所で何を?」
ノハ*゚听)「それは……その、えっと」
ノハ*゚Д゚)o(仮面ライダーさんに会いたくて!)
ノハ*><)o彡゜「そんなの……だめ、言えないよーーーーー!!!」
(;-ω-)(なんでだろ……怪しい通り越して無関係な気がしてきた……)
( ^ω^)「…ところで、ここで髪の長い女の人を見かけなかった?」
ノハ*゚听)「え? ああ、黒髪の人ですよね、さっきこの路地を抜けていきましたけど」
( ^ω^)「…そっか」
ノハ*゚听)「顔は覚えてないですけど、なんかすごい速さで逃げていきましたよ!」
( ^ω^)(となると……もう追いつくのは無理か)
- 18 :そんな脱文、修正してやる ◆aYo30Ks4N6
:2010/02/13(土) 00:08:37.18 ID:p3HTvCYr0
- 路地の先を見据える内藤を、少女は呆けた表情で見つめていたが、
ふと、その額に赤い何かの跡を見つけてしまう。
ノハ;゚听)(これ……血の跡だ!
きっと戦ってたんだ、さっきまで…!)
ノハ;゚Д゚)(そして……さっきの女の人がきっと鍵になるんだ…!!)
当然ながら、これは出かける前のコーヒーカップ隕石衝突の痕跡なのだが、
彼女にそれを知る術もなく、その妄想に更なる磨きがかかっていく。
ノハ:><)(私の馬鹿! 隠されてるキーワードを見逃してしまうなんて!!)
( ^ω^)「…とりあえず、ここはまだ危ないから、早く逃げな」
ノハ;゚听)「はっ……え、あの!」
何かを言いかける少女だったが、遠巻きに反響するサイレンによってかき消され、
内藤はもう一度だけ早くここを離れるよう告げると、逃げるようにその場を後にした。
そうして一人残された少女は、余韻に浸るように呆けた表情のまま、
やってきた警察の人間に声をかけられるまで、走り去った彼の向かった先を眺めていた。
………。
- 19 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:10:19.13 ID:NN2543xx0
街の一角を襲った、謎の凍結事件はすぐに噂となって広まった。
そして現場は数日が過ぎた今でも、立ち入り禁止区域として閉鎖されている。
あれから同じ事件こそまだ起きていないが、尾ひれのついた噂は尚のこと人々の恐怖心を煽る。
誰もが不安を抱え、やがて一つの希望を口にするようになった。
ノハ*゚听)「ここで、ほんとに会ったんだなぁ……仮面ライダーさんと」
('、`*川「分かった分かった、分かったからもう行くよ」
从;'ー'从「そ、そうだよ〜……危ないよ〜」
立ち入り禁止のロープと、見張りの男がにらむ街角で、女生徒たちがたむろしていた。
人通りはまだほとんど見当たら無い為、その三人は特に目立つ。
事件後の現場だから、と言えば聞こえはいいが、実際にはまだ死体が片付けられていない、
という事実が閉鎖されている本当の理由であり、それを不気味に感じた人々は近寄ろうとはせず、
訪れるのは遺族たちか、興味本位の人間くらいのものだ、が。言うまでもなく、彼女らは後者だった。
- 22 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:14:45.53 ID:NN2543xx0
('、`*川「大体ヒート、いくら憧れの人に会えたからってさ…ちょっと不謹慎だよ」
ノハ;゚听)「ぅ……それは確かに……」
氷漬けにされた遺体は、下手に取り出そうとすれば氷もろとも砕けてしまう為、
まだ全ての人を解放できておらず、被害者の身元すら把握できていないのが現状であった。
そして三人は黙祷でもするかのように口を閉ざし、しばらくしてからその場を後にした。
元々は遊びに出かけていたのが、この現場を前にしたせいだろう、
すっかり気分も沈みこみ、誰からともなく今日は帰ろうかという流れになった。
そうして、駅へと続く通りを行く三人だったが、やがて一人は思い出したように口を開く。
从'ー'从「そういえば〜、ひっちゃん道場のほうはいいの〜?」
ノパー゚)「うん、今日は休みなのだー」
('、`*川「なんだサボタージュか」
ノハ;゚听)「ちげーし! 何なら今からだって行くし!」
- 23 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:16:11.97 ID:NN2543xx0
从;'ー'从「今からって……元気すぎだよ〜」
ノパ听)「疲れた時こそリズミカル!!」
そう叫びながら、空手に掴んだ物を振りまわすジェスチャーを始めた彼女に対し、
一人はやれやれと肩を落として呆れ顔、もう一人は愛想笑いを返していた。
('、`*川「何が面白いのかねぇ」
ノパ听)「別に面白いわけじゃないぞ」
('、`*川「はあ? 面白くも無いのにやってんのかあんたは?」
ノハ--)「うん、だってそういうのじゃないんだよ、楽しいとか楽しくないとかじゃなくて、
なんていうのかな、あの張り詰めた空気と、それを裂くような自分の鼓動とか、
そういうのが………えーと、」
ノハ;゚听)「好き……とはまた違くて、気持ちいい、というのも何か違うし……
それにほら、構えたときとか、撃ち込んだ瞬間とかも、こう何かが弾け飛ぶような……」
ノハ;゚听)「だからえーと……なんだっけ?」
('、`;川「うんうん、もういい、わかった、私が悪かったよ」
ノハ;゚听)「ちち、ちょっと待って!
今考えてるから!」
- 25 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:18:49.22 ID:NN2543xx0
从'ー'从「じゃあ、最後に何か食べながら考えよう〜」
('、`*川「そうねえ、どこ行く?」
从'ー'从「……あんまり、人目が少ない店がいいかな〜」
('、`*川「ああ…隠れ家的ってやつね、ていうか何でさ?」
从;'ー'从「えーと〜…」
ノハ#゚听)「そう、あれだ!! 心を鍛える為にやっているのだあああああ!!」
('、`*川「……成程ね」
こうして、三人は通りを抜けて裏道へと入っていった。
やがてどれだけ歩いただろう、その先に、一つのこじんまりとした喫茶店を見つける。
場所のせいもあるだろうが、英単語三つからなるその変な名前の店に客は見当たらず、
小奇麗な店先から覗く店内では、二人の女の子が椅子に腰掛け、店主と思われる一人と談笑していた。
- 26 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:20:15.45 ID:NN2543xx0
('、`*川「ここでいいんじゃない? まさに隠れ家って感じだし」
从'ー'从「びっぷ……でいいんだよね〜」
ノパ听)「前から思ってたんだけど、こういう店って経営どうなってんだろ」
('、`*川「まあ、金持ちの道楽なんでしょ」
扉を開ければ、穏やかなBGMとコーヒーの香りが出迎え、
カランカランと鳴るベルの音と共に、店員と思わしき女性の声が響く。
ξ゚ー゚)ξ「いらっしゃいませ」
从'ー'从(わ、綺麗な人〜…)
('、`*川(どんな化粧水使ってればこんな肌になるんだ……)
外からでは判別できなかったが、金色の髪を二つに纏めたその女性は大層美しく、
むしろ、それだけでも一部の客を呼べるのではないかとすら思わせる。
だが、やはり中にも客は一人も見当たらない。
思わず「営業中ですか?」と聞きたくなるような店内は、どこか空気も違っていた。
三人は奇妙な緊張を感じながら、促されるままにカウンター席へと腰掛けた。
- 27 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:22:10.38 ID:NN2543xx0
すると差し出されるのは、メニューとお絞り、そしてほのかに湯気を立てるコーヒーだった。
( ・∀・)「やあ、新顔さんだね、まあゆっくりしていってよ」
店主と思わしき人物は、三つのカップを静かに置きながらそう口にする。
それはまるで、自宅へ招きいれたお客をもてなすような仕草だった。
('、`*川「あ…どうも」
ノハ;゚听)「い、いただきます…」
流石にこの穏やかな空気にのまれたのか、はたまた緊張故にか、
先ほどまで元気にはしゃいでいた女の子も、礼儀正しく座っていた。
しかし、ふとカウンターの奥へと目をやれば、棚の影に隠れるように、
金色の髪を揺らしながらお皿を運ぶ、小さな姿があった。
ζ(゚ー゚*ζ「〜♪」
('、`*川「ん? 子供…?」
( ・∀・)「ああ、うちのバイト君その三だよ」
从;'ー'从「え、ええ〜っ?」イイノ!?
けれど、話を始めてみれば固かったのは最初だけ。
三人はすぐに打ち解け始め、しばらくの時間をそこで過ごした。
- 29 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:25:12.16 ID:NN2543xx0
そして陽も傾き始める頃。
( ・∀・)「近頃はいろいろ物騒だからね、暗くならないうちに帰ったほうがいいよ」
ノパ听)「……ドーパント」
( ・∀・)「まあ…そうだね、ニューソクであんな事があってばかりだし」
元々は都市伝説として扱われていた、ガイアメモリが起こす事件だったが、今や誰もが知る物、
そして近頃はその認知度に比例するように、被害もより大きな物が増えていた。
どこかで船が沈み、沢山の人が死んだ事でさえ対岸の火事であった人々も、
自分がよく知る場所や、居場所で起きた事件とあっては話が違う。
一応は警察なども見回りや警備を強化しているが、事件の起きる場所に規則性は存在せず、
さらに相手が人ならざる存在である以上、不安や怖れもあり、大々的にも動けずに居た。
( ・∀・)「実はこの辺りでも、見かけたって話があるんだよね」
ノハ;゚听)「そ、それも、氷の怪人が!?」
( ・∀・)「いや、なんでも……ババコンガが居たとか」
- 30 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:27:32.67 ID:NN2543xx0
ノパ听)?「ばば……」
( ・∀・)「…うん、キングコング、だね」
ξ゚听)ξ「女を捕まえてビルに登ってたとか、そういう話があったんですよ」
从;'ー'从「へ〜知らなかったです〜…」
('、`*川「なんか映画であったなそういうの…」
( ・∀・)「まあ、とにかくそんな話もあるから―――」
と、そこで外から聞こえてくるのは、バイクが鳴らす排気音。
それは店のすぐ横で停車し、メットを外した男が入り口のベルを鳴らした。
お客だろうか、と横目に見る三人を尻目に、小さな女の子はぱっと笑顔を浮かべ、
ただいま、と告げる声を出迎えた。そして、その男の顔を見るなり、一人が驚いた風に声を荒げた。
ノパд゚)「え………」
('、`*川「ん?」
( ・∀・)「バイト君その二が帰ってきたね」
- 31 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:29:43.21 ID:NN2543xx0
从'ー'从「ああ〜言ってた人ですね〜」
ζ(゚ー゚*ζ「おかえりブーン」
( ^ω^)「ただいまだお、カノンちゃん」
ζ(゚- ゚*ζ「もー! まだカノンって言う!」
(;^ω^)「てか、めっずらしいな……お客さんが居るじゃん」
ξ゚听)ξ「ああ、こりゃ明日は雪が降るぜ」
(;・∀・)「君らね……」
ノハ;゚Д゚)「ぁ、ぁ、あーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!???」
そして突然、奇声を上げながら立ち上がり、椅子を後ろへ転げさせながら指を向け、
何事かと動揺する周囲を気にも留めず、続けざまにこう言った。
ノハ*゚Д゚)「仮面ライダーさん!!!!!」
- 32 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:31:12.70 ID:NN2543xx0
ξ゚听)ξピク「………」
ζ(゚ー゚;ζ「!」
('、`;川「はあ!?」
从;'ー'从「ええーっ?」
( ^ω^)「……? ああそうか、こないだの子か」
ξ゚听)ξ「なんだ、知り会いなのか?」
( ^ω^)「いや、現場でちょっと会ったんだよ」
ξ-听)ξ「ふーん? 正体不明のヒーローさんが、そんな簡単にばれていいのかい?」
( ^ω^)「なるべく、隠してただけだって」
ノハ*゚听)「こんな所で会えるなんて……私、感動です!!」
('、`;川「いやいやいや、いや、ちょ、ちょっと待って!?」
从;'ー'从「ほ、本当なんですか〜……?」
ζ(゚ー゚*ζ「ほんとだよ、ブーンは仮面ライダーって呼ばれてる人だよ!」
- 33 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:34:46.71 ID:NN2543xx0
交通ルールを守っていると、わざわざ外す必要が無い。
そうして戦っている内に、気づいたら仮面ライダーと呼ばれていた。
気付けば、引っ込みがつかなくなっていた。
男は緊張感なく笑いながら、暢気にそう言う。
('、`;川「じゃあ、その……やっぱり、あなたもドーパントなんですか?」
( ^ω^)「ああ…まあ、ね」
('、`;川「……」
从;'ー'从「……」
( ^ω^)「同じ怪物だから、怖いかな」
从;'ー'从「そ、そんな事は……ない…ですけど」
('、`;川「……じゃあ、どうして、戦っているんですか?」
( ^ω^)「どうして、か……」
その質問に、男は少しだけ笑顔に陰りを見せた。
しばしの沈黙があって、男は続ける。
- 34 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:37:29.95 ID:NN2543xx0
( ^ω^)「……火狐、ファイアフォックスの件は、知ってるお?」
('、`*川「豪華客船フォックス号、謎の炎上によって沈没……ってやつですね、聞けばあれもドーパント絡みだとか…」
( ^ω^)「それそれ、それで…君らはその事をどう思う?」
ノパ听)(……許せないよね)
('、`;川「えーと、まあ……酷いなぁ、と」
从;'ー'从「私は怖いと思います〜…」
('、`*川「それが何か…?」
( ^ω^)「俺はね……それが、許せないって思う」
ノハ*゚听)「!」
( ^ω^)「あの事件の事もそうだけど、その結果として、誰かが悲しみ、誰かが泣いている、
そして君らみたいにただ平和に暮らす人まで不安にさせて、この街さえも泣かせているんだ」
('、`*川「…………」
从'ー'从「…………」
( ^ω^)「そんなのが正しい筈がない、これ以上、繰り返させたくない、だから―――」
- 35 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:39:32.57 ID:NN2543xx0
………。
斜陽の影が続く、オレンジの街並みを横目に、三人は再び駅をめざした。
なんとなく、暖かな感情に浸りながら、特に言葉も無いまま足音と喧騒だけが響くが、
やがて前を向いたまま、誰にともなく一人が言った。
('、`*川「やれやれ……なんていうか、絵に描いたようなヒーローっぷりだったわね」
ノハ*´凵M)「……うn」
从'ー'从「よかったね、ひっちゃん〜」
ノハ*´凵M)「…うn…うn」
('、`*川「駄目だこりゃ」
从'ー'从「メルアドもゲットだもん、これでいつでも会えるね〜」
ノハ´凵M)「……?」
('、`*川「そうねぇ…しかし、その辺はずいぶんと軽かったわね内藤さん」
- 36 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:42:53.12 ID:NN2543xx0
ノハ; )「……???」
从'ー'从「え〜? 何かあったら教えてって事でしょ〜?」
ノハ; )「……め?」
('、`*川「や、まあそうだろうけどさ、仮にも正体不明のヒーローよ?
そんな簡単に連絡先を教えていいものなのかと……ん?」
从'ー'从「ひっちゃん〜? どうし」
言葉も途中に、目を血走らせた彼女に両肩を掴まれ、渡辺は挙動不審に陥った。
しかし、それ以上に挙動不審なヒートは、そのまま掴んだ体を激しく揺すりながら叫ぶ。
从;'ー'从「わわわわーーー!」
ノハ;゚听)「メルアドってなに!??!?!?
どういうこと!?!??!??」
どうにか答えようとする渡辺だったが、がくんがくんと頭を揺すられ言葉にならない。
ノハ#゚Д゚)「いつでも会えるってなんだああああああああああああああああああああああああああ!!!」
从;'Д三д';从「あうあうあうあ〜〜〜〜」
('、`*川「落ち着け」
- 37 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:46:26.50 ID:NN2543xx0
と、そんな一言と共に放たれたのは、後頭部を貫く衝撃、いわゆる突込み的なチョップである。
そしてヒートは思いの他痛かったのかその場でうずくまり、渡辺はふらふらと壁に衝突した。
ノハ;凵G)「痛い」
('、`*川「二つの意味であんたが悪い」
从;@ヮ@从「ひっちゃん〜呆けて聞いてなかったんだよ〜」
ノハ;゚听)「な、な、なにしてるだァーーーーーーーー!!!!!!」
('、`*川「ほれ、アドあげるから携帯だしな」
ノハ;゚听)「……!! 要らない!!」
('、`;川「なんでよ?」
ノハ;゚听)「そんなの駄目だもん!!
私、自分で言わなきゃ、そうでなきゃ、ただのアドレス泥棒だよ!!
だから駄目! そんなの仮面ライダーさんに失礼オブジイヤーだよ!!」
('、`;川「いや、内藤さんもそれでいいって言ってたけどな…」
ノハ;凵G)「本名で呼ぶなあああああああああああああああああああああああああ!!!」
- 38 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:48:01.15 ID:NN2543xx0
('、`;川「泣くなよ……」
ノハ#゚听)「もう知り合い気取りか!
仮面ライダーと言ったら「ああ、内藤さんね」とか言っちゃうのか!!
そんで「え、知ってるの?」とか言ったら「まあ…ちょっとね、ふふっ」とか言うんだなああああああ!!??
くそ、なんだこの、いいなちくしょう!
いい気になりやがって! ぺっぺっ!」
('ー`*川(なんかめんどくさくなってきた…)
从;'ー'从(いっちゃん……絶対、めんどうくさいとか思ってるよ〜…)
ノハ#゚听)「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおお、覚えてろよおおおおおおお!!!!」
('、`;川「って、どこ行くんだ!?」
ノハ#゚听)「もらってくる!! ここは私に任せて先に帰るんだ!!」
こうしてヒートは一人、来た道を駆けていく。
人ごみは夕暮れ時というのもあって、皆駅の中を目指していた。
残された二人も、そんな彼女の背中をしばらく見送ってから構内を目指す。
- 39 :二話 ◆aYo30Ks4N6 :2010/02/13(土) 00:49:43.60 ID:NN2543xx0
そして、そんな中に一人。
( ><)
道行く人々を眺めながら、卑しく笑みを浮かべる男が居た。
ジーンズの前と後ろを膨らませ、主に見るのは制服姿の女生徒たち。
やがて、男は立ち上がると、駅へと向かう人の流れの中へと消えていった。
第二話 おわり
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