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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:29:33.49 ID:HME2NOcf0
第0話
バイク乗りのヒーローの噂って知ってるかい?
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:31:00.07 ID:HME2NOcf0
川原沿いにある橋の下。
頭上では今も、ガタン、ガタン、と篭った低音を響かせ列車が走る。
そんな音に掻き消され、その悲鳴は誰にも届くことはなかった。
「誰か…!」
眼に涙を浮かべ、足をもつれさせながら女は走る。
その背後にあるのは の姿。
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:32:52.53 ID:HME2NOcf0
いつもヘルメットをしている、正体不明のバイク乗りの事さ
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:33:54.09 ID:HME2NOcf0
女はやがてつまづき転ぶ。
そしてふりむくなり小さく悲鳴を漏らす。
「ゃ……嫌、来ないで!!」
へたり込んだまま、逃げようと懸命に地面を蹴るが、砂利を舞わせるだけに終わる。
女はここまで逃げてきた疲労と、迫り来る恐怖に身がすくみ動けない。
背後より迫る の姿は、ゆっくりと女へと近づいていく。
その近づき方は二足歩行、人間であるかのように歩く。
だが、その足は鱗に覆われ、ぬらりとした粘膜が濡らす両足には光沢が不気味にぎらついている。
続けて、ぽたり、地面に落ちたのは の姿の頭部から零れ落ちる、糸を引く液体。
本来ならば耳があるべきはずの場所には眼があり、口は大きく裂けていた。
背には刺々しいヒレがあり、その姿を構成する全てが、およそ人間の代物ではなく。
その姿は。
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:35:10.61 ID:HME2NOcf0
悪意が氾濫するこの街で、弱きを助ける、その在り方は正にヒーロー
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:37:46.19 ID:HME2NOcf0
その姿は異形。
未確認生命体、怪物、化物、言い表せばそれらの言葉が当てはまる。
けれど人々は、その異形の姿の正体を知っていた。
何かが、人間をドーパントと呼ばれる怪物に変えてしまうという事実を知っていた。
「もう…もうやだ、もうやめてよ…私が、何したって言うのよ…!」
故に、女は追い詰められながらも、目の前に迫る怪物に語りかける。
すると怪物は立ち止まり、肩を震わせた。
『ヒ、ヒ、いんやぁ、あんたはなーーんも、悪いことぁないでやんす、ただ…』
そして怪物の口から、男の苦笑交じりの声が響く。
同時に、怪物は女へと腕を伸ばす。
女の表情がより一層こわばり、嗚咽を漏らす。
『運が悪かった、ってだけでやんすよ、まあ……よくある事でやんす』
「いや、いやぁ!! 誰か…誰か…!!」
『フヒッ、こんなとこ、誰も助けなんか来るわけ……』
『…って、ん? 何の音でやんすか?』
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:40:04.66 ID:HME2NOcf0
そして列車は通り過ぎ、音が遠ざかっていく。
だが、静寂が訪れる事は無く、聞こえてきたのは、けたたましい排気音。
その音に二人が気付くのとほぼ同時、前輪を上げたバイクが勢いそのままに怪物を撥ね飛ばした。
『やんすーーーーー!!??』
「か…!?」
女は、驚きと安堵に大きく口を開け、通り過ぎたテールランプを眺めて叫ぶ、
人々は、そんな彼をこう呼んだ
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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/04(金) 00:41:21.94 ID:HME2NOcf0
「仮面ライダー!!」
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