220 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 01:39:37.31 ID:O7ExuC280
(#^ω^)「コンラッドオオォ――――――――ッ!」

 雄叫びを上げながら、長い階段を駆け上がる。右手は仕込み刀、左手に銃剣を展開したレイ
ジングブルを持ち、地下に建てられた塔を駆け上っていく。

( ´∀`)「こざかしい……貴様如きがここまで来れると思うな!」

 吐き捨てるように呟いたコンラッドが指を鳴らすと、空中に現れた方陣から山羊の頭を持つ悪
魔――――ゴートリングが四体現れた。それは以前にラウンジビル屋上で交戦したものと同じ
ではあったが、一匹でも苦戦した悪魔が四匹、内藤目掛けて光弾を放ってくる。
 当たれば膚を焼き、肉を破り、骨を砕く、唯の、しかし極限まで凝縮された魔力の塊が、内藤
の肉体を破壊せんと飛来し――――その左手から放たれた白炎に焼き消される。

(#^ω^)「邪魔するなお!」

 内藤は弾丸と同じ速度で飛来する魔力の光弾を、レイジングブルの銃弾で撃墜すると言う神
業を見せた。単なる銃弾ならまだしも、内藤の放つエクスプローダーの炎は、魔力によって強
化されたものだ。悪魔の魔弾程度なら、タイミングさえ合えば撃ち落とせる。

(;^ω^)「おっおっおっ!」

 遠距離攻撃は効かないと悟ったゴートリングが、内藤を直接叩き潰さんと降りて来る。
 無論、内藤も黙ってそれを眺めてはいない。手にしたレイジングブルの照準を、正面に降り立
ったゴートリングの頭に向け、そのままトリガーを弾いている。
 轟音と共に銃口から噴き出した炎が、文字通りゴートリングの頭を燃やし、動く事の無い死体
に変える。一息つく暇も無く、その死体を乗り越えて二匹目が拳を振り上げている。

(;^ω^)「のおおおおおおおおおおおおおっ」

 素早く身を屈めて、顔面を砕きに来た拳を紙一重で避ける。今のは少し奇跡に近かった。

221 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 01:40:19.91 ID:O7ExuC280
 拳を掻い潜って懐に入り込み、そのまま仕込み刀の切っ先を突き出す。
 頑丈さだけが取り得の悪魔の肉体であるが、頑丈なのは骨だけであり、実際肉はそれほど
硬くない。上手く肋骨の隙間に差し込む事が出来れば、一撃で殺す事も出来る。
 一度血反吐を吐き、ゴートリングは息絶えた。数日前まで苦戦したのが嘘のようだ。

(;^ω^)「テラオモスwwwwwww」

 圧し掛かってくる屍体を脇に避けて、内藤は軽く床を蹴った。直後、内藤の居た辺りを三匹目
のゴートリングの拳が穿ち、仲魔の肉体まで破壊している。
 内藤は前方へ跳躍しつつ、ちょうど床を穿ったゴートリングの腕に沿うような形で、胴体へと迫
る。狙うは首――――どんな生き物も、首を断たれては生きられない。

 鈍い手応えと共に、仕込み刀の刀身が中ほどまで敵の首に埋まる。それを横に押し広げて
切開しつつ、レイジングブルの銃口をその傷口に押し当て、弾丸を叩き込んだ。
 発射された弾丸は内藤の思惑とは異なり、内部に侵入して頚骨を滑り、胴体の内部へと入り
込んで炸裂した。胴体の部分だけが吹き飛び、千切れた両腕と両脚が撒き散る。

( ^ω^)「最後の一匹だお!」

 残った最後の一匹の懐まで潜り込み、レイジングブルの銃剣を――――振り上げたところで
危険を察し、大きく一歩退く。直後、降り注いだ雷鳴が階段を破壊する。

(;^ω^)「ちょwwwwwwここ地下wwwwwwwwこれが魔術かお……」

 着地しながら、内藤は最上段からこちらを見下ろすコンラッドを睨む。単なる召喚師かと思っ
ていたが、どうやら簡単な魔術程度なら操る事が出来るらしい。
 若干最上部からは離れたものの、走れば充分に間に合う距離に居る。但し、その直線上に居
るゴートリングと、コンラッドの魔術さえどうにか出来れば、だが。

(;^ω^)「さーて、どうしたものk」

222 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 01:41:11.63 ID:O7ExuC280
 内藤が事態を打開するための手段を考えていると、

(+゚∀゚)『うっひょう』

 と言う暢気な声と共に、横合いから黒狼の形をしたジョルジュが横合いから飛来し、内藤の出
方を伺っていたゴートリングの頭蓋を噛み砕きながら反対側に落ちていった。

(;^ω^)「……………………」

 内藤が呆れている内に、ジョルジュはゴートリングの死体を放り投げている。

(+゚∀゚)『何ボサッとしてんだ内藤! 雑魚は俺に任せろっつったろ!』

Σ(;^ω^)「い、言われなくてもわかってるお!」

 ジョルジュの念話に大声で返しながら、内藤はコンラッドを見上げる。

( ´∀`)「クッ……真逆、ここまで成長しているとはな……!」

 動揺を見せるコンラッドに銃口を向けて、トリガーを弾く。銃弾は僅かに狙いを外れ、コンラッ
ドの頬を焼くに留まる。吸血鬼の青白い顔に、ぎり、と血管が浮かんだ。

(#^ω^)「コンラッド! そこで待ってろだお!」

 駆けながら、内藤は腰から抜いたシグザウエルを撃ちまくった。大して狙いをつけていなかっ
たのだが、何発かがコンラッドの周囲に当たり、破片を散らせる。
 魔術には詠唱が不可欠だ、とジョルジュから聞いていた。そして思った通り、内藤の銃弾に
よって集中を乱され、コンラッドは詠唱を行う事が出来ずにいた。

 そうして内藤は――――とうとう、コンラッドの目前に辿り着く事に成功したのである。

223 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 01:41:51.28 ID:O7ExuC280
(;´∀`)「チッ、しまった――――!」

 慌てて飛び退こうとするコンラッドに、内藤は右手の仕込み刀を叩き付ける。

( ゜ω゜)「死ね」

 一閃――――コンラッドの首を叩き落とさんとした強化チタニウムの剣先は、しかしその皮膚
を僅かに掠るだけで、致命傷を与えるには至らなかった。

( ^ω^)「運のいい奴だお……」

(;´∀`)「危ない危ない……全く、この半月でキミの力は相当あがtt」

(;^ω^)「ツン!」 (#´∀`)「聞けよ」

 コンラッドの口上をさらりと受け流し、内藤は寝台の上に横たわる少女の名を呼んだ。
 寝台は石で出来た棺のような代物に見えるが、蓋は無い。代わりに、ツンを縛り付ける拘束
具のような帯が伸び、ツンの身体をがっちりと固定している。

 ――――十日ぶりに再会した彼女は、少しだけやつれているように見えた。

ξ --)ξ「」 (;^ω^)「ツン! ツン!」

( ´∀`)「無駄だよ。結界の中に居る限り、彼女が目を覚ます事は無い」

(#^ω^)「コンラッド……テメェ――――」

 内藤の額に青筋が浮かぶ。自衛のためでない怒りから、目の前の吸血鬼に殺意を覚える。

 内藤の血と、肉と、骨と、臓腑が――――こいつだけは殺さねばならないと叫び出す。

224 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 01:42:57.70 ID:O7ExuC280
(#^ω^)「お前――――お前は、殺す――――! クルースニクとしてじゃなく、吸血鬼狩人で
もなく……僕が、僕の意思で、僕の怒りで、お前を殺してやるお!」

 これまでに感じた事の無い強い怒りに吼える内藤を前に、コンラッドもまた、その赤い瞳に静
かな怒りを湛えている。それは儀式を邪魔された事に対する苛立ちか。しかもそれが、半月も
前には単なる人間に過ぎなかった男によるものだと気付いた事への屈辱か。

( ´∀`)「ハハハハッ……私も同じように思っていたところだ――――!」

 哄笑を上げながら、コンラッドは腰のベルトに差していた鞘を抜いた。抜き放たれ、鈍色の輝
きを放つそれは、波打つ刀身が美しいフランベルジュレイピアである。

(#^ω^)「そんなオモチャでやりあう積もりかお! 後悔しても知らないお!」

 反射的に叫ぶが、武器に詳しい内藤は、それが決して侮れない事を知っていた。
 火器が発達した時代、軽装備が歩兵の主流となった時代に作られた刺突専用の剣であるレ
イピア(エペ=ラピエレとも)には、確かに大剣のような荒々しさは無い。代わり、その軽い刀身
から放たれる連続攻撃と、正確に急所を穿つ刺突こそが特色と言えるだろう。
 また、その波打ったフランベルジュの刀身は、元々剣が実用されなくなった時代に考案され
た儀礼用の剣ではあるが、その刀身は決して非実戦的では無い。むしろ突き刺した際にその
波刃が深く肉を抉り、引き抜いた時には傷口を広げると言う凶悪な効果がある。

( ´∀`)「それはこっちの台詞だ……内藤ホライズン! 貴様には――――」

 言いながら、コンラッドは片手を突き出したフェンシングの構えを取る。対して内藤は、レイジ
ングブルを手にした左手を前に、仕込み刀を出した右手を後ろに構えた。

( ´∀`)「並の人間じゃとても到達出来ない苦痛を、味わわせてやろう……!」 

(#^ω^)「やれるもんならやってみろだお――――ッ!」
236 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:16:37.17 ID:O7ExuC280
 赤い目だけを輝かせる黒い獣――――シャドウが、体表を変化させるよりも早く、その身体に
ジョルジュの振り下ろした前足の爪が叩き付けられる。

(+゚∀゚)『えーっと、今ので八十八、だったかなー。お、キリバンキリバン、と』

 黒々とした体表を蠢かしながら、ジョルジュは更に爪を振るう。一息に三匹のシャドウを薙ぎ
倒して、更に鎌状となって飛び掛かってきた別の一匹を真っ向から噛み砕く。
 あっと言う間にジョルジュを取り囲んだ五匹のシャドウが、一斉にその槍を伸ばす。その鋭い
切っ先は狙い過たず黒々とした毛皮に突き刺さり――――数センチで止まる。

(+゚∀゚)『懲りねーなぁ……その程度で俺を殺せるかよ』

 呆れたように笑いながら、その身体が横合いに飛ぶ。一匹目を踏み潰し、弧を描くように回転
しながら、向かって来る無数のシャドウ達を、逆に蹴散らしていく。

 クルースニクの力によって黒い狼に変身したジョルジュの身体は、一見するとシャドウを二回
り大きくした程度の狼である。だが、その耐久度とパワーはシャドウの比では無い。
 極限まで強化された体表は表面の皮膚こそ変身前と然して変わらないものの、数センチ内側
に入れば、艦載砲の直撃すら耐え得る強靭な筋肉と骨に覆われている。それだけ強靭な筋肉
であるから当然膂力も凄まじく、一撃で敵を叩き潰す威力を持っている。

(+゚∀゚)『それにしても、こいつら……全然減ってる気がしねー』

 今まさに百匹目のシャドウを叩き潰したジョルジュであったが、視界を埋め尽くす悪魔の数は
一向に減っていない。まるで無限に涌いてくるかのようだ。

 恐らくこの悪魔達は、地脈に蓄えられた力を使って呼び出されているのだろう。本来、世界と
契約してもいない一介の吸血鬼に、世界の力を使う事は出来ないが、この遺跡だか儀式場だ
かが、地脈の力を吸い上げているのだ――――ジョルジュはそう結論した。

237 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:17:26.06 ID:O7ExuC280
(+゚∀゚)『まぁ、こいつらが歴史の浅いシャドウで助かってるけどな』

 シャドウと言う悪魔は、個体として歴史を連ねる事で、初めて脅威となる。彼等は見聞した武
器の特質を理解し、自らのコアを覆う魔力の皮膚にその情報を転嫁する事で、その情報と合致
する武器による攻撃を無効化する、と言う凄まじい能力を持っている。
 但し彼等が学んだ情報は種族間で共有している訳ではなく、あくまで個体として保持している
に過ぎない。逆に言えば、シャドウと言う悪魔は重ねた歴史によって強さが異なる。

 流石にコンラッドもそこまで歴史の深いシャドウを大量に用意する事は出来なかったのか、襲
い掛かってくるシャドウの中には単なる爪や牙の攻撃で沈むシャドウも多かった。

(+゚∀゚)『百十三、と……あー、っつっても、流石にこれはマズイかもな』

 何しろ、この形態は非常に燃費が悪い。従来のクルースニクなら「自らの魂を還元しなけれ
ばならない」ほど、大量の魔力を消費するのだ。その使用量は、一時間変身し続けているだけ
でも、固有結界クラスの大魔術を個人で固定するほどの魔力が必要となる。
 ジョルジュは生物として桁外れの魔力を持つので、そこまでしないでも変身していられるのだ
が……それにも限界はあるし、魔力の使用はそれだけに留まらない。

(+゚∀゚)『百二十六――――と、っと。こいつは"効かない"奴か』

 振り下ろした爪が、「魔力の盾」に弾かれる。ジョルジュはすぐさま左手に魔力を通し、改めて
そのシャドウの顔面を引き裂く。特殊な秘術によって強化された爪が、古い攻撃を防ぐシャドウ
の「魔力の盾」の力を中和し、完全にレジストしたのである。

 形態を保つ以外に、ジョルジュはこうして攻撃に魔力を通す事で、シャドウの強みとも言える
「魔力の盾」を無効化していた。おかげで爪や牙と言った原始的な攻撃でも彼等を倒す事が出
来る訳だが、流石に魔力が無くなってしまえば、後はどうしようも無い。

(#+゚∀゚)『全く内藤め……弾薬全部使っちまうこたーねーだろうに』

238 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:18:25.05 ID:O7ExuC280
 ジョルジュが塔の上に向かっている筈の友人に毒づいたのと同時、

Σ(;+゚∀゚)『ぬおぅっ! な、なんだぁっ!?』

 一匹のシャドウがジョルジュの身体に張り付き、その肉体をジョルジュの体表に広げる。まる
でコールタールを塗りたくられたような不快な感触に、黒狼がばたばたと暴れる。

(;+゚∀゚)『あー、もう! 何だよ、離れやがれ!』

 びたんびたん、と身体を叩き付けてシャドウを振り落とそうとするジョルジュだが、引き剥がす
事が出来ない。逆にそのシャドウは体表の内側……つまりジョルジュの皮膚目掛け、肉体を変
化させて作った細かい針を、ちくちくと何だかとてもいやらしい刺し方で傷つけてくる。
 その程度の小さな槍が刺さるほどジョルジュの身体はヤワでは無いとは言え、当たれば痛い
し気持ちも良くない。何より何時までも敵に乗られているのは具合が良くない。

(;+゚∀゚)『いててててててっ! テメェ、調子のってんじゃねえ!』

 ジョルジュはシャドウを身体に張り付かせたまま、凄まじいスピードで走り出した。コースは塔
を中心とする円周だが、同時に終着点の存在しない軌道。

(#+゚∀゚)『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉはえええええぇぇぇぇぇっ!』

 その巨体からは想像も出来ないほどのスピードはやがて音速に達し、追いすがろうとするシ
ャドウ達を空気の断裂によって切り刻みながら、やがてその軌道を徐々に変える。
 肉体を剥ぎ取られながらも必死に張り付いていたシャドウが、やがてその意図に気付く。慌て
てジョルジュから離れようとしたものの、時既に遅く。

(#+゚∀゚)『死ねゴラアアアァアァァッ!』

 ジョルジュは何の躊躇いもなく、外周に当たる壁に思い切り激突した。

239 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:18:51.52 ID:O7ExuC280
 件のシャドウは壁に張り付いて動かない。どうやら思い切り叩き付けた衝撃で、完全に死亡
してしまったらしい。それでも、残りの敵は待ってくれない。

(;+゚∀゚)『あー、もう……どうだコノヤロー!』

 ふらつきながらも立ち上がったジョルジュだったが、生身で音速に達した代償は大きく、身体
が動かなくなり始めていた。左の後ろ足が折れているし、幾つかの内臓も傷付いている。特に
折れた骨の突き刺さった肝臓から伝わる激痛が、彼の意識を奪い去ろうとする。

(;+゚∀゚)『うー……こんなトコでやられる訳には……』

 躱そうとするジョルジュの前で、シャドウ達が槍を突き出してくる。動く事の出来ないジョルジ
ュにそれを避ける手立ては無く、冗談のような数の槍がその黒い毛皮に刺さる。

(;+゚∀゚)『いてっ! いててっ! こらっ! バカッ! やめろっ!』

 無論、槍の先がジョルジュの身体を死に至らしめる事は無いが、痛みはあるし限界もある。肉
まで達しなくとも、その衝撃は傷付いた肉体を痛め付けるには充分である。

(;+゚∀゚)『うー……痛い、痛い、痛い……やめてー……』

 ジョルジュの流した血が地面を汚していく。エーテルで構成された擬似血液とは言え、肉体を
動かすための血液であるから、当然流れていく内に意識が朦朧としてくる。

(;+゚∀゚)『弱いものイジメとか卑怯だぞー……恥ずかしくないのかー……』

 無論、クルースニクの間でしか通じない念話を使ったところで、悪魔達が止まる筈も無い。例
え音声としての言葉でも、彼等が止まる事が無いのも判っている。

 流石のジョルジュも、与え続けられる苦痛に意識を失い掛けて――――

240 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:19:38.68 ID:O7ExuC280
 唐突に、シャドウ達の攻撃が止んだ。痛みに目を閉じていたジョルジュが目を開けると、

( ゚∀゚)「ハロウ、ブラザー。モーニングコーヒーはいるかい?」

 背に大剣を差した赤いコートの偉丈夫が、双子の二挺拳銃を手に笑っていた。彼はジョルジ
ュに向けて突き出された槍の上に立ち、黒狼を護るように立ち塞がっていた。

(+゚∀゚)『コーヒーは苦手です、ダンテさん……って、通じてないのか』

 念話によるコミュニケーションに意味が無い事を悟り、ジョルジュは首を横に振った。

( ゚∀゚)「そういや、お前はコーヒーが苦手だったんだな……で、大丈夫か?」

 今度は頷く。よっしゃ、と安心したように笑い、ダンテは目前の悪魔達に顔を向ける。恐らく凄
惨な嗤いを浮かべているであろう悪魔狩人を前に、シャドウ達が一歩退く。

( ゚∀゚)「おいおい、クソネコ共。折角のパーティだってのに、つれないぜ?」

 言うが早いか、そのまま跳躍。足を空に、頭を地面に向けながら、床を這うシャドウ達に向か
って両手の二挺拳銃を突き出した。直後、マシンガンもかくやと言う勢いで吐き出された四十五
口径の銃弾が、恐慌状態に陥ったシャドウ達を穿ち、そのコアを露出させていく。

(;+゚∀゚)『く、おおおおおぉぉぉぉっ!』

 剥き出しになったコアを砕かんと駆け出したジョルジュの前に、新たな人影が現れる。

( ,' 3 )「無理をするなよ、ブラザー。お前は少し休んでいろ」

 言いながら、全身黒尽くめのデイウォーカーが、背負った長剣を縦横無尽に振るう。
 ――――並んでいた十二個のコアが、あっと言う間に細切れとなって霧散した。

241 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:20:00.18 ID:O7ExuC280
( ゚∀゚)「おいおい、オレの見せ場を取るなってんだよ。全く、お前はクールを判ってねぇ」

( ,' 3 )「お前の見せ場を取るのが俺の趣味だからな。下らん事言ってないで――――」

(#゚∀゚)「――――Fire!」 ( ;' 3 )「Rest in peace...!」

 同時に放たれた銃弾が、彼等の背後に迫っていたシャドウ達を撃ち抜く。コアを露出させたシ
ャドウに近付いて、それぞれ手にした剣を振り下ろしている。

(;+゚∀゚)『あの、流石に二人だけでこの数を相手にするのは無理だと……』

 そう言って彼等の後ろに立ったジョルジュに、ダンテが軽快な笑みを向ける。

( ゚∀゚)「ま、そう心配そうな声を出すな。援軍はオレ達だけじゃねえ」

 言うが早いか、別の扉から新たな人影が飛び出してくる。

(*゚∀゚)「やっほー! 来たわよー!」

 MP5Kを二挺振り回す赤毛のダンピィルと、

(*゚ー゚)「あら、ダンテ。お久し振り」

 イタリア語で闇と光の意味を持つ二挺拳銃を撃ち鳴らす金髪の魔人。

(,,゚Д゚)「俺達も来ましたよ、っと!」 ( ゚д゚ )「応! お前は適当に休んでろ!」

(#゚;;-゚)「……………………」 (メ・∀・)「なんかテンション低いな、ユースケ」

(;`Д´)「――――ってちょっと待て! もしかして俺達の出番ここまでか!?」

242 :腹痛の吸血狩人 ◆VAMP37WI2w :2006/03/26(日) 03:20:25.75 ID:O7ExuC280
 次々に現れる仲間達の姿に、ジョルジュは漸く変身を解いた。コートだけを羽織った姿で立
ち尽くしながら、シャドウを蹴散らす「"英雄"達」を前に微笑みを浮かべる。

(;+゚∀゚)「どうやら、パーティの幕が近いようですね……」

( ゚∀゚)「お、変身解いたのか。裸にコート一枚とか凄い変態クサイな」

(#+゚∀゚)「うっさいです。あなたも前は上半身裸にコートだったじゃないですか」

 ちなみにダンテの肌に直接触れたコートは、今丁度内藤が羽織っている最中だったりするの
だが、ジョルジュはそれを墓の底まで連れて行く積もりだった。むしろ忘れる気で。

( ゚∀゚)「まぁ、そういうワケだから。お前は暫く休んでろ」

(+゚∀゚)「そうしますよ……あなた達が居るなら、俺の出番は無いでしょうし」

 安心したように肩を竦めて、ジョルジュは壁に背を預ける。

( ゚∀゚)「辛いなら、一緒に居てやろうか?」

(+゚∀゚)「あー……トリッシュさんが睨んでるからいいです」

(*゚−゚)「…………………………………………」

(;゚∀゚)「……悪い……やっぱり一緒に居てやれねえみたいだ」

 怖いですからね、、と冗談半分本気半分に言って、ジョルジュは塔の天辺を見上げる。

(+゚∀゚)「大丈夫かなぁ、内藤……まさか、やられてるとは思わないけど」
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