91 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:19:28.12 ID:W8fZlT2d0
鞠子でとろろを独特な方法で堪能し、二人は駿府へついた

頃もよし、まずは宿を確保した


( ^ω^)「ふー、一息つけますお」

( ´∀`)「おお、今日はなんか脚も楽じゃ」

( ^ω^)「とろろのせいですかおw」

( ´∀`)「さもありなん。うまいメシじゃったもの」

92 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:20:57.44 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「うまかったですかお・・・」

( ´∀`)「む、まあなんじゃ。どこにでもあるようなうまさじゃった」

( ^ω^)「・・・」

( ´∀`)「・・忘れろ」

( ^ω^)「は・・・」

93 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:22:01.81 ID:W8fZlT2d0
とろろのせいで元気になったのがひとつ
とろろをやはりズルズルと食べたかったのがひとつ

二つの理由で、ブーンはモナーが寝付いた後
町へくりだした

( ^ω^)「鞠子とは近所だから、きっととろろ屋もあるお!」
95 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:23:27.04 ID:W8fZlT2d0
岡場所、飲み屋街、武家屋敷・・・

さまよえどとろろ屋はみつからず

いつの間にか、ブーンは駿府城のあたりへ来ていた


( ^ω^)「そういえば、昼の貧相な百姓が何か言ってたお。みかんの木がなんとか・・・」

96 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:25:35.72 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「・・・ひと目みておくかお」


⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン

ダッ!


お堀を飛び越えて城壁へへばりつくブーンであった

打ち首モノである
98 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:27:39.80 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「えいおえいお、よじよじ、えいおえいお・・・」


城壁を登りきったブーンは、そのまま城壁の上を歩いた。

歩きながら、城壁の内側を見ていた。


( ^ω^)「みかん、みかんと・・・」


バカである

99 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:29:03.83 ID:W8fZlT2d0
侍「ねむ・・・・ん・・・ん!?」


マヌケ面が堂々と城壁の上を歩いている


侍「え・・・・・・おいそこの不審者あああ!!!」

( ^ω^)「なにっ!?不審者がいるのかお!?」


バカである

100 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:30:58.03 ID:W8fZlT2d0
周りを探すが不審者は見当たらない

( ^ω^)「恐れ多くも神君が幼少期を過ごされたこの駿府城に不審者など・・・!!」


わらわらと人が集まってくる。

手には武器


( ^ω^)「・・・・・・」

( ^ω^)「しまったお」

101 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:33:12.61 ID:W8fZlT2d0
神速をもって聞こえたブーンである。

一歩で犬に追いつき、二歩で馬に・・・とにかく逃げた。

城壁の上をブンブン走り、武士を振り切ったと見るや暗がりに飛び込んだ。

ただ、暗がりは城壁の内にあった


( ^ω^)「また!またもしまったお!ああ、外に出ればよかったお!」

102 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:35:05.55 ID:W8fZlT2d0
すぐに人があつまってくる!

どうする!どうする!?


と焦るも、なぜか人が集まる気配もなし。

遠くにざわざわと聞こえるのみである


( ^ω^)「・・・どうしたんだお」

103 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:36:40.62 ID:W8fZlT2d0
バカなのでざわざわの正体を確かめようと、足音たてずに近づいてみる

城の北、なんの変哲もないところに、武士たちは集まっていた


その武士の輪の中心に、一本の木があった
105 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:39:29.80 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「あれは・・・あれが?」


不審者が現れたときに、追うより先に守るべきものがあるとすれば

城主の身である。

しかし、ここの武士たちは城主の代わりに木を、みかんの木をまもっている。


( ^ω^)「・・・なんだおこの城・・・」


ブーンはひっそりと身を翻した。

106 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:40:29.99 ID:W8fZlT2d0
暗がりを選んで町を走り、宿に戻れば一安心であった

とにかくブーンは寝た。

バカだから。


翌朝、たたき起こされるまで寝た。
108 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:44:03.02 ID:W8fZlT2d0
「御用改めである!」


家屋全体に響くその声は、当然モナーにもきこえた


( ´∀`)「うごっ!? ・・・え、なんじゃ?御用あらため?」

( ^ω^)「おーっ・・・おーっ・・・おーっ・・・」

( ´∀`)「珍妙な寝息を立ててよく寝ておるのう・・・おい、起きろ」

( ^ω^)「おーっ・・・は。おやモナーさま、ずいぶんお早いですな」

( ´∀`)「む、なんか御用改めとか下で叫んでおるでな。目覚めてもうた」

109 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:46:43.29 ID:W8fZlT2d0
( ;^ω^)「ごごごご、御用改めですかお!?」

( ´∀`)「なんじゃ・・・?・・・心当たりがあるのか?」

( ^ω^)「いささか」

( ´∀`)「あほうめ。夕べか。」

( ^ω^)「はいですお」


( ´∀`)「・・・もうよい、寝ておれ」

110 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:48:46.75 ID:W8fZlT2d0
一人で階下へ降りるモナー

それを心配そうにみているブーン

顔を出すなと怒られるブーン

すまんこ、と布団の中でつぶやくブーン


モナー、一世一代の大芝居の始まりである

111 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:53:47.39 ID:W8fZlT2d0
モナーはにこにこと玄関へ
そこに集うはいかつい武士

 番頭さん、どうしたんです

 はいそれが、御用改めとかで

 御用改め、はあ、いったいどんなヤツをお探しで?

 それははあ、いまから伺うところでして・・・

「身が軽く、おそらくは他国の者。刀は佩びておらぬ。心当たりはないか?」


 はあはあ、ありますとも。それは私のツレでしょう。

112 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:55:52.48 ID:W8fZlT2d0
「なに!?部屋へ案内せい!」

 は、ではご案内いたします

と、と、と、階段を上る

 ここでございます

ガラッ「御用改めである!」


( ^ω^)「え?」

113 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 14:58:19.84 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「(なななな、なに案内してんの若君!!??)」

 こやつではございませんか?

「顔を見たものはおらぬでな、おいそこの寝てるお前、ちょっと立て」

( ^ω^)「(ええええええ!!!??)」

 立て、文太。

( ^ω^)「(文太じゃないですお!ていうか、なに?売られるのかお!?)」


ガクガクブルブル、ブーンは呼吸もままならない
115 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 15:02:08.37 ID:W8fZlT2d0
 立たぬか文太。

( ;^ω^)「(立たた立た立てませんお!昨日は帰ってきてそのまま寝ましたお!
       脇差だって枕の下に入ったままですお!まままくらひっくり返されたら、
       脇差二本ですお!モロに不審者ですお!!)」

 ふむ・・・やはり立てぬようですな

「ぬ、どういうことだ?」

116 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 15:05:24.26 ID:W8fZlT2d0
 実は昨日、宿についてから急に熱を出しまして。
 ようやく汗がでてきましたが、まだ寒気を感じるとかで震えております

( ^ω^)「ガ・・・ガクガクブルブル・・・」

「む、確かに震えておるな。汗もひどい」

 お武家様、その身軽なヤツがいつ何をしましたので?

「昨夜遅くだ。しかし・・・この汗の具合からすると、昨夜こやつは・・」

 臥しておりました

「であろう。演技で出る汗と震えではない」

117 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 15:07:03.38 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「(演技じゃないからだお・・・)」

「しかもこやつ、ぶよぶよとしてとても身軽とは思えん」

 お武家様、それはひどいですな。身内で一番の身軽者ですぞ。

「いや、こいつではない。こいつ・・・太りすぎだ」


嵐は去った

118 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 15:08:03.96 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「・・・・・・」

( ´∀`)「・・・・・・」

( ^ω^)「なんで事前にひとこと・・」

( ´∀`)「お前に演技はできぬ」

( ^ω^)「・・・」

( ´∀`)「できぬわ」

119 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 15:09:37.05 ID:W8fZlT2d0
二年ほど前

モナ次郎の剣術を家来に見せたことがあった

12歳の腕前である。たいしたものではない

しかし家臣はみな一様に誉めた

そんななか


( ^ω^)「その・・・あの・・・なかなか・・・この・・・」


世辞の言えぬバカがいた

120 名前:靴下右 :2006/12/09(土) 15:10:50.30 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「お前に演技はできぬよ。知っておる」

(#^ω^)「・・・」



できるもん、きっとできるもん。

心でつぶやくブーンであった。
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