8 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:39:43.31 ID:DEKAF8T90

三本目 〜幻赤花〜


第一打 天武



長岡が渋澤道場を出てから約三月。

内藤はちょくちょくと道場に顔を出していた。

剣術に興味がある。

と偽りの理由を付けて、入門せずに見物に来ている。


ζ(゚ー゚*ζ「あら内藤さん、いらしてたんですね」

( ^ω^)「令殿、お邪魔してますお」
10 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:41:03.29 ID:DEKAF8T90

長岡がいなくなった道場は、どこか活気が無く、
寂しいものだった。


( ^ω^)「……」


そして内藤の視線の先には、ある男が写っていた。


( ,,゚Д゚)「甘い!」

門下生「うっ!」



11 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:43:58.70 ID:DEKAF8T90


その動きも、身に纏う空気も、存在感さえも、
他者とは一線を画していた。


そう

内藤の狙いは義虎。

渋澤の弟子であれば、茂羅ノ助に対し恨みを抱いているであろうと。

長岡との出会いで悟った。
村正と切り結ぶためには、
所有者である茂羅ノ助に恨みを持つ者が良い。

そう考え、渋澤道場を覗きに来て、見つけた人材だった。


13 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:47:40.44 ID:DEKAF8T90

だが


( ,,゚Д゚)「大丈夫か?」

門下生「あ、はい」


義虎は心優しい人間だった。

いや、優し過ぎると言っても過言ではない。
こんな男が人を斬れるのか?

否定の言葉しか思いつかなかった。



14 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:50:37.90 ID:DEKAF8T90


( ,,゚Д゚)「はっ!」

門下生1「かぁっ」

( ,,゚Д゚)「たぁっ!」

門下生2「のぉぅ!」

( ,,゚Д゚)「しぃっ!」

門下生3「おぅ!」


次々と門下生の木剣を叩き落としていく義虎を、
内藤はジッと見つめていた。


( ^ω^)(美しい……)

16 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:52:41.21 ID:DEKAF8T90

実に勿体無い。
此れほどの才能があって、何故?

剣術の大会にでも出れば、一躍、名を上げられるだろうに。


( ^ω^)(歯がゆいとは、この事か)


何度か帯刀を勧めた事もあったが、

「私には過ぎた物です」

と、一蹴されてしまった。



17 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:57:07.50 ID:DEKAF8T90

ζ(゚ー゚*ζ「義虎さん、お疲れ様」

(*,,゚Д゚)「あ、かたじけない……」

( ^ω^)「……」


なるほど、彼は現在に満足してしまっているのだ。

大きな要因は、恐らく彼女。

道場主が居ない今、実質やりくりしているのは、
義虎、そして令。

二人三脚で手を取り合っているのが楽しいのだろう。
剣の道よりも。


18 : ◆3m0SptlYn6 :2008/05/07(水) 17:59:23.87 ID:DEKAF8T90

( ^ω^)(だが、諦めんお)


自分もしかり。
天に与えられた才を使わぬ事は、罪である。

自分は鉄を叩き、彼は人を斬る。

そう在るべきなのだ。



賊が渋澤道場を襲ったのは、それより二日後の事だった。



第一打 〜了〜

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