27 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:31:08.16 ID:4GUObZgM0

第2打  選択



(; ^ω^)「!!」


ハッと目覚める。

いつの間にか気を失っていたらしい。

まず何よりも最初に、鉄の確認をした。


(; ^ω^)(ホッ)


鉄は変わらず、美しいまま其処に在った。

30 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:32:26.53 ID:4GUObZgM0

再び見ると、惹きこまれてしまう程の出来。
用途は考えるまでも無く、決まっていた。


( ^ω^)「そういえば……腹が減ったお」


この鉄を鍛錬している間、干し肉や芋しか口にしていない。

そう思ってしまうと、気も下がってしまった。
このままでは良い刀は打てない。


( ^ω^)(町に出るかお)


ふと鉄に写った自分を見ると、乞食のような薄汚れた顔になっている。

流石の内藤もこれは、と思い滝で体を洗い流すのであった。

32 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:34:38.11 ID:4GUObZgM0

―城下町―


ワイワイと人が往来し、相変わらずの泰平ぶりを見せる城下町。

内藤は底の付いた食料と、ボロボロになった着物を調達するため
町へと降りてきていた。

だが、鉄だけは一時も肌身離さず背に負っていた。


(* ^ω^)(蕎麦うめぇwwwwww)

(* ^ω^)(甘露うめぇwwwwww)


久々に俗の食に舌鼓を打ち、
味のあるものを堪能していた。

35 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:37:25.91 ID:4GUObZgM0

  _
(* ゚∀゚)(蕎麦うめぇwwwwww)


ずるずる と並んで蕎麦をすする2人。


( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」


何かを感じるところがあったのだろうか、
2人はふと目が合い、動きが止まる。

と思いきや


(# ^ω^) ズルズルズルズルズルズル
  _
(# ゚∀゚) ズルズルズルズルズルズル


早食いの死合いが始まった。


36 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:39:31.53 ID:4GUObZgM0

( ^ω^) プハー
    _
Σ(; ゚∀゚) ズルズルズ……

( ^ω^) ニヤリ


その勝ち誇ったツラに妙に腹立った。

  _
(# ゚∀゚)「おい!おっさん!最初からあんたの方が少なかっただろうが!」

( ^ω^) ピーピー、シーシー


口笛を吹きながら、楊枝で歯を突く男。

  _
(# ゚∀゚)「……表出ろや」

(# ^ω^)「餓鬼が……」

38 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:42:59.15 ID:4GUObZgM0

2人同時に立ち上がった瞬間、内藤の背荷が滑らか過ぎたため、
スルリと落ち、長岡の足の上へと圧し掛かった。


  _
(  ∀ )     ゚  ゚ 「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

( ^ω^)「おっと」


ケンケンと足を抑え、飛び跳ねる長岡を尻目に、
内藤が鉄に付いた砂をほろう。

  _
( ;∀;)「おぉぉぉぉふぅぅぅぅ!!」


この痛みの捌け口に、目の前の男を殴ってやろうと思った瞬間、
長岡の目に写ったのは見紛う事なき純鉄だった。
41 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:44:59.56 ID:4GUObZgM0

  _
(; ゚∀゚)「お、おっさん、鉄商人か!?」

フーフー ( ^ω^)「ん?」
  _
(; ゚∀゚)「そ、その鉄……」

( ^ω^)「あぁ、僕は鍛冶屋だお」
  _
(; ゚∀゚)「!!」


齢にして十八の長岡は、まだ自分の一振りを持っていなかった。

威勢良く道場を飛び出したはいいが、修行と言えども刀が無ければ
ただの旅で終わってしまう。
43 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:46:52.37 ID:4GUObZgM0

  _
(; ゚∀゚)「無礼をすまねぇ!俺は渋澤道場の長岡……あ!」

( ^ω^)(渋澤……)
  _
(; ゚∀゚)「……訳あって、今は道場の人間じゃぁねぇが……」

( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「頼む!俺に刀を打ってくれ!!」


縁があるのか
道場の弟子と名乗る男に刀の依頼。

だが、自分がこれから打とうとしている刀は、
誰が使ってもいい訳では無い。
47 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:48:14.83 ID:4GUObZgM0

茂羅ノ助と戦い……いや村正と刃を合わせることのできる者にしか、
託すことができない。

後に銘刀と言われようが、村正を折ることができなければ、
悲願は果たされることが無い。


( ^ω^)「……長岡と言ったか」
  _
( ゚∀゚)「おう!」

( ^ω^)「何のために刀を欲する?」
  _
(  ∀ )「……」


少しの沈黙の後、長岡は口を開いた。
51 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:50:01.57 ID:4GUObZgM0

  _
( ゚∀゚)「……討ちたい奴がいる」

( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「師匠の仇……茂羅ノ助を討つ」

( ^ω^)「お前にそれができるのかお?」
  _
( ゚∀゚)「……」


また少し黙る。

大方の予想は付いていた。

渋澤道場の弟子で、この期で、
刀が欲しいという事は、仇を討つつもりなのだろう、と

54 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:51:13.60 ID:4GUObZgM0

だが、つもりでは話にならない。
実際に打ち合って貰わねば。

託したとして、その試合でこの小童が死のうが、知ったことでは無いが、
村正だけは打ち破って貰う。


( ^ω^)「答えろお」
  _
( ゚∀゚)「……今はできねぇ」

( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「だが、俺は修行に出る!
     必ず腕を上げて、茂羅ノ助を討ってみせる」


その目には強い意志を感じた。
59 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:52:51.05 ID:4GUObZgM0

そして、一度考えてみる。

現時点で茂羅ノ助と戦える者など、殆ど存在しない。

ならば、先を見越して茂羅ノ助と戦える様になる武者に、
息を掛けておく事は無意味ではない。

この鉄塊があれば、刀は後2,3本は打てる。

なるほど、先行投資か。


( ^ω^)「付いて来いお」
  _
( ゚∀゚)「!打ってくれんのか!?」
62 名前: ◆3m0SptlYn6 :2008/03/30(日) 18:55:06.16 ID:4GUObZgM0

のれんを潜り、店を出る内藤を
長岡が追いかける。


店主「おーい!勘定!!」

  _
( ゚∀゚)(チッ!)(^ω^ )



第2打  〜了〜


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