- 69 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:08:04
第九話(最終話) 『終わらない逃避行』
二人と、どこかの子供の三人だけの空間。
( ,,゚Д゚)「…………行こうか……」
(*゚ー゚)「……うん」
二人はそこを出た。
病院の外。夕焼けが二人を照らす。
ギコ達は帰る途中、あの三人は車に撥ねられて全員記憶喪失になってしまったと言うことを聞いた。
果たして、リスクを犯して、悪の心でシャキンを助けたのは吉だったのだろうか。
( ,,゚Д゚)「…………終わったのか……」
(*゚ー゚)「…………そうね、終わったわ……」
( ,,゚Д゚)「……パープルブラッド……一体何だったんだろうか……」
(*゚ー゚)「……生まれたときから私達はパープルブラッドよ……だから……終わりじゃないわ……」
そう。パープルブラッドは人に狙われるための物。
( ,,゚Д゚)「……そうだな、これからも重症の重病の
明日生きれるかも分からない人に出会うことになるかもしれない……
でも、絶対に血は譲らない…………バレたら……厄介だからな……」
(*゚ー゚)「……そうね…………それに、私達は存在自体が間違っているのよ……
最初は奇跡の存在とも思わせるようなことが連続で起きたけど……そうじゃないのよね」
- 70 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:08:48
( ,,゚Д)「……そう……俺達は保身しかできないただの人間、何もできないただの人間なんだ……」
上を向いて呟く。
そう、二人はただの人間。パープルブラッドとかいうふざけた体質の持ち主ではない。
( ,,゚Д゚)「……力を持つものは……その力を正しく行使する義務がある……なんて言葉があるけど……」
(*゚ー゚)「……誰が決めたのよね?……そんなわがままな言葉……」
( ,,゚Д゚)「……多分、俺達のほうがわがままなんだろうけどな……」
(*゚ー゚)「……あら、そんなことどうでもいいんでしょ?……昨日言ってくれたじゃない……」
( ,,゚Д゚)「……そう。……言ったさ。君が恐怖や災難に巻き込まれなければそれでいい
……一緒に、楽しく、いくら背徳行為を犯しても、君と一緒に生きていければ問題ない……
話が早いかもしれないけど……いつか結婚してくれないか?」
(*゚ー゚)「…………何言ってんのよ……当り前じゃないの
…………あんなことまでして、結婚しないなんて言うわけないじゃない…………」
二人とも、落ち着いてる。
( ,,゚Д゚)「…………ありがとう……そうだ、そこの丘に登ろうよ」
(*゚ー゚)「なんで?」
( ,,゚Д゚)「……ほら、だって……景色……最近気にしなかっただろ?」
周りはどこもかしこも綺麗な景色、二人の目には、今までそんなものを目に入れる余裕は無かった。
- 71 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:09:18
ξ゚听)ξ「モララーさん?……分かりますか?」
(メ・∀・)「はい?……」
ξ゚听)ξ「お子様が回復されました」
(メ・∀・)「……病気だったんですか?」
私にも何が起こったのかは分からない。モララーさんの手術が終わってシャキン君の病室に来てみれば
シャキン君は全快。
看護士はとにかくモララーをその子供の病室に連行する。
そこには、完全に一人で立ち上がっているシャキンの姿があった。
(`・ω・´)「お父さん、どうしたの? その傷」
(メ・∀・)「……え? 私の息子なのか?」
(`・ω・´)「なに冗談言ってんのさ。僕はシャキンだよ。お父さんが毎日見舞いに来てくれたから
ショボン病も治ったんだよ」
(メ・∀・)「………………よ、良かったな……」
なんでだろう、知らないはずなのに、涙が出てくる。
(メT∀T)「……よかった、よかったな……本当に良かった……」
そこには、父親が息子を抱きしめる姿があった。
親と言うものは凄いものである。
記憶を無くしたのに、────凄いものである。
- 72 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:09:53
小高い丘の上。
太陽も、もうすぐ沈みそうだ。
( ,,゚Д゚)「……一応、これで今回の事件は終わりなんだよな……」
(*゚ー゚)「……どうしたの?」
( ,,゚Д゚)「……いや、…………しぃと……なんか、終わったら離れ離れになってしまうような気がして……」
(*゚ー゚)「何言ってるのよ、…………結婚するって約束したし、離れるわけないじゃない……」
(//ー/)「離れられないのよ」
なぜか、しぃの顔が赤くなった。途端に夢から醒めたようだ。
そして、ギコに抱きついた。
(,,*゚д゚)「……離れられない……か……俺もだ……」
抱きしめ返した。
太陽が沈んだ。
( ,,゚Д゚)「……それからさ…………これからどうする……?」
- 73 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:10:19
(*゚ー゚)「…………そうねえ……とりあえずお互いの家を紹介しないとね……」
( ,,゚Д゚)「……じゃあ、今日は俺のうちに来てよ……それで、携帯電話の番号を交換して……それで……」
(*゚ー゚)「またそのときになって考えましょ」
( ,,゚Д゚)「そうだね……じゃあ、行きますか」
(*゚ー゚)「あらあら、随分余裕じゃない」
当り前だ。
(*゚ー゚)「…………こんなふうに呼ぶのはまだちょっと早いけど…………あなた……」
( ,,゚Д゚)「……何?」
(*゚ー゚)「…………………手、つないで帰ろう?……」
( ,,゚Д゚)「……そう言えばなんか順番がバラバラだな……今初めて手つないで歩くんだろ?」
(*゚ー゚)「手つかんで走ったのを除けばね」
二人は、楽しそうに笑いながら、ゆっくり歩き出した。
決して走らず。長い休暇をとるように
- 74 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:10:47
( ,,゚Д゚)「………………」
俺達はいつか再び走らなければならなくなるかもしれない。
また狙われるかもしれない。
隠れながら、隠しながら生きなければならない。
俺としぃにとっては人生はそのものが逃避行。
それは、誰にでも当てはまるのかもしれない。
そう、逃げる、逃げる、逃げ続ける。
君と一緒ならいつまでもどこまでも
逃げてやる。
天空から二人を照らす月。
繋がれた手。
二人は、ゆっくり歩いて、逃げた。
( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)が逃避行をするようです 終わり
- 83 :後日談 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:16:44
後日談
クーと内藤は、記憶を失い、戻る見込みは無いという。
ただ、二人が恋人同士だったことはわずかに忘れていないようで、一緒にリハビリを続けている。
モララーも、記憶は蘇らないそうだ、だが、これまでの仕事はやめ(やめざるおえないが)、
家族で幸せに暮らしているそうだ。
兄者と弟者達、この結社の部下達は、ボスの記憶喪失を受け、解散した。
誰も、パープルブラッドについて調べるほどの暇人はいなかったという。興味も無かったそうだ。
ギコとしぃについては……………………俺も知らない……。
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