- 57 :「んなもんベン図描けば一発だろが。」
◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土)
12:59:35
第七話 『序章、終章へ』
朝。
(* -゚)「……ん? 朝か…………」
今日はしぃが先に起きた。
( ,,-д-)「………………」
ギコ君、…………
夢では私のこと愛してるだなんて言ってくれてたっけ……
何言ってんだろ……昨日だって大事だって言ってくれていたじゃない……
抱きしめあっていたじゃない……あのときは………………精神的に滅入っていたのよね…………
でも……幻想の恋。じゃないよね。
……こんな気持ちになったの初めてだな……
ミ,,゚Д゚彡「起きましたか?」
(*゚ー゚)「あ、はい。今日は本当にありがとうございました……今は何時ですか?」
( ,,゚Д゚)「……5時45分だね」
(*゚ー゚)「あれ、いつの間に起きたの?」
( ,,゚Д゚)「今だよ。ありがとうございました」
ミ,,゚Д゚彡「どういたしまして」
二人は店を出た。
- 58 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:00:26
Σ( ,,゚Д゚)「あっ!!」
(;゚ー゚)「どうしたの?」
( ;゚Д゚)「朝飯貰うの忘れた」
(*゚ー゚)「…………大丈夫よ、歩いていればまたどこかにコンビニはあるから……」
とはいっても、二人は逃げ出した始めよりも少し痩せている。
ただでさえ、痩せ型の二人には辛い状況だ。三度の飯が、逃亡生活に密接に関わることになる。
( ,,゚Д゚)「……あっそうだ、今日は言っておきたいことがあるんだ」
(*゚ー゚)「何?」
しかし、そういう思考を打ち破る黒い車が現れる。
( ;゚Д゚)「い、行くぞ!」
(;゚o゚)「え?! うん……ってちょっと待ってよ!」
ギコがいつにも増して速いように感じた。なにか別のものがスピードアップさせているかのように。
「……ちょ、ちょっと待ってよ!」「何?」
「一体どこに行くの?」「……決めたんだ……」
「何を?」「……それよりも今は奴らを撒かなきゃな……」
黒い車、自分達を追いかける。
(*゚o゚)「……でも、なんで今教えてくれないの?」
( ,,゚д゚)「……ちょっとな…………」
(//д/)(……言おうと思ったけど……やっぱり恥ずかしいんだよな……あんなこと頼むの……)
- 59 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:01:01
しかし、すぐに黒い車はギコ達についてくるのをやめた。
( ,,゚Д゚)「……あれ? あんなに真っ黒だからてっきり……」
(*゚ー゚)「……よくよく考えてみれば真っ黒な車はいくらでもあるわよね」
安堵感と絶望感。二人が追われていた冒頭部分は二人の勘違いだった。
時も場所も変わって、
( ・∀・)「クー、内藤さん、集まってもらったのは他でもないよ。これからあの二人の御家族を捕まえに行く」
川 ゚ -゚)「やっとご決断なさいましたか。最初っからそう仰ればいいのに……」
( ^ω^)「これですぐに仕事は終わりそうですお」
( ・∀・)「すまなかったな──」
シャキン、お父さんはね、これから今までよりももっと悪い人になるからね。
それでもどうか嫌いにならないでおくれ。
まあ、仕事の内容も教えないから後にも先にも嫌われないだろうけど。
でも、これだけは願わせてくれ。
お前には、人を悲しませてまで幸せを欲しがらない、立派な人間になってほしいんだ。
誰にも許してもらおうなんて思っていない。
ただ、お前がこれからも生きて、立派な人間になってくれればそれでいいんだ。
おかしな話かい? それなら笑ってもいいからね。
悪行から善人が作れるはずないって? そうかもしれないね。でも、──
三つの、鈍い音が連続で響いた。
──それはやってみなくちゃ分からないだろ?
- 60 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:01:56
(*゚ー゚)「ギコ君? 言いたかったことって何?」
( ,,゚Д゚)「ああ、それはな…………病院を探そうと思うんだ」
(*゚ー゚)「病院?…………どうして?」
( ,,゚Д゚)「どうしてって……決まっているだろ……とにかく、あのおっさん……
モララーの息子さんを探すんだよ、この名刺を使って……」
ギコは最初に貰った名刺を取り出した。
(*゚ー゚)「なるほどね…………でも、そんなことしてどうするの?」
( ,,゚Д゚)「……そりゃあ、もちろん助けるんだけどさ……」
(*゚ー゚)「……助けるあてが見つかったの?」
( ,,゚Д゚)「…………まあね……」
(*゚ー゚)「どうするの?」
( ,,゚Д゚)「……うん、……それは着いてからのお楽しみってことで……」
(*゚ー゚)「…………変なの……」
明らかに不自然である。
('A`)「……まさか、ギコの奴……」
(*゚∀゚)「……その可能性もあるかもね」
出番の無い観客席のお前らは黙っていろ。っていう出番がある罠。
- 61 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:02:32
ギコとしぃは三時間ほど病院を虱潰しに当たった。
そして、
( ,,゚Д゚)「すみません、ここに……あっ!!」
(;´∀`)「あっ…………どうなさいました?」
(;゚ー゚)「……あなたコンビニの店員だったんじゃ……」
(;´∀`)「受付は簡単なんでバイトなんです、コンビニバイトだけじゃやっていけなくて……」
いくつものバイトを一気にやる時点でいかにもやっていけそうだが。
( ,,゚Д゚)「……そうなんですか、ところでここに■■って言う名字の人は入院していますか?」
( ´∀`)「……ああ、そんな人いたような気がしますね……珍しいんで忘れられませんよ……」
『気がする』じゃあ忘れているのと同じじゃないのか?
( ´∀`)「……ああ、いましたいましt────
突如、急患を知らせるアラームが鳴り響いた。これは大量の重症患者の場合だ。
(;´∀`)「やばい! こりゃ大変だ!!」
受付の男は、一目散に駆け出していった。
医療技術でもあるのか? それよりもこっちの質問に答えてもらってないんだけど……
二人は同じ疑問を抱いていた。
- 62 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 13:03:13
(;#´∀`)「三人来ましたーー!! いずれも重症でーす!! 頭から血が出ていて止まりませーん!!」
( ;゚Д゚)(;゚ー゚)「………………あれは……」
モララー、内藤、クー。あの三人が、ストレッチャーに乗せられ、手術室へと消えていった。
とんでもない重症らしく、何人もの医師がそこに殺到した。
何があったんだ? ギコ達の脳裏に、そんな疑問も浮かんだが、それはすぐに消え去った。
( ,,゚Д゚)「………………行こう、今がチャンスだ……注射器ある?」
(*゚ー゚)「……ちょっと待ってね……あったわ。はい」
しぃが近くの棚から素早くそれを見つけ、ギコに手渡した。
( ,,゚Д゚)「……OK、注射器ゲットだ。流石だな、しぃ…………」
しぃの顔が赤くなる。今までで一番。
(//Д/)「あ……ご、ごめん……呼び捨てにしちゃった……」
(//ー/)「…………いいの。はやく行きましょ……」
二人は病院内を駆け回った。そして、ついに一つの個室に着いた。
──■■ シャキン──
ここだ。
二人は面会謝絶の看板を無視し、部屋へ侵入した。
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