- 29 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 12:37:07
第四話 『道徳放棄の日 前編』
全く目立たない建物の側。
太陽が東から乱暴に二人を照らす。
( ,,-Д゚)「……ん? もう朝か……どうやら奴らにも見つからなかったようだし、…………なあ……
…………?」
朝日に照らされたしぃの顔。
かわいい。とギコは思った。
(,,*゚д゚)「……………………」
昨日の彼女はこんな感じだったっけ……?
変な感覚だ。華奢な体に長ズボン。
おしゃれらしき物は一切していない。服もとびきりセンスが抜群というわけではない。
髪は真っ黒だし、装飾品も一切着けていない。化粧だって見たところやってないように思える。
だからどうだということは無いが、とにかくそういう方面に対して無頓着だといっていい。それだけだ。
もととも顔立ちはいいからあまり関係の無いことだが、
ギコにはそれがよりいっそう美しく映った。
(,,*゚д゚)「……………………」
自然とギコの顔がしぃの顔に近付く。
もっとよく見たいと思ったのだろうか。
はたまた…………? ギコは硬派だからそんなことはしないだろう。
- 30 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 12:38:07
(* - _ ゚)「……ん? どうしたの?」
突然しぃが起きた。
(*;゚Д゚)「え?! いや、何でもないんだ……」
(//Д/)(………………………………)
( *゚-゚)「…………変なの……」
ギコはそれから十五分は顔が赤熱していた。
そりゃそうだ。
(//-/)(……それにしても……あんなに覗き込むこと無いでしょ…………)
二人の顔の距離は十五センチだった。
('A`)「近づき過ぎだ! こりゃあギコの奴を少し〆にゃあなりませんなあうわなにをするくぁwせdrftgyふ」
観客席のドクオ〆ときました。では続きをどうぞ。
- 31 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 12:38:54
ギコの顔が冷えてきた。
( ,,゚Д゚)「……さて、逃げますか……」
(*゚ー゚)「そうね。随分心に余裕ができたみたいじゃないの」
空元気に決まっているだろ。
しぃもそれは承知の上か。
でも、実際は本当に元気が出ていたのかもしれない。
二人はまずは朝食をとることにした。
昨日と同じように、他のコンビニでもやる。
( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)「………………おいしい……」
昨日ほど腹は減っていなかったので上品な食べ方だ。
ギコについては他のこともそれを強制させていただろう。
うわなにをする目がああ、目がああああぁぁぁぁ!
わざわざそういうのに言及しすぎるのもよくないのでばるすしておきました。
しかしやはり、言及する。
( ,,゚Д゚)「……………………」
ギコはふと、しぃを見てしまい、やはり釘付けになってしまった。
- 32 :耽美主義とかを意識していた
◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土)
12:40:30
それにしても人の食事の風景をまじまじと見るのはなんとも恥ずかしい。見られるのもまたしかり。
しかしまた、その理由というか、変な話にはなるが、私はこんな話を聞いたことがある。
うろ覚えではっきりしないが、この世界では正しいとしてくれ。
『深層心理学上、食べるという行為にはエロチシズムがある場合がある。』
あまり変なふうには考えないでいただきたい。
ただし、たしかにギコの眼にはコンビニ弁当を食べるしぃの姿は美しく、妖艶に映った。
(*゚ー゚)(………ギコ君の眼……なんか変だな…………それに、昨日に増してかっこいいというか……)
(//-/)(………………なんだろう……)
それはしぃもしかりだった。
それに芥川龍之介も言っている。こちらもあまり深く考えないでいただきたいが、
『恋愛とは、ただ性欲の詩的表現を受けたものである』と。
ようするに、二人はお互いを意識し始めているわけだ。
そんなことは見ているだけで分かるし、わざわざ何行も使って説明するようなことではない。
ただ、不思議な感情に深層心理学に言及して説明を付けてみたまでだ。
ちなみに、このことは二人とも知っているので、
もしかしたらお互いの感情に気付いているかもしれない。
作者も二人の深層心理までは解析できないのであしからず。
- 33 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 12:41:28
食事が終わって
( ,,゚Д゚)「これからどうしよう」
(*゚ー゚)「……まあ、逃げることに変わりは無いわよね」
( ,,゚Д゚)「ただの作戦会議ってわけじゃないんだ。」
ギコが言いたくないことを言う。
( ,,゚Д゚)「……どんな結末がいい?」
(*゚−゚)「……………………え?」
( ,,゚Д゚)「……あのおっさんの息子さん…………病気なんだろ?……放っておいたら……」
それ以上は言わなかった。言わずとも分かる。
(*゚−゚)「……それは……治ってもらいたいとは思うけど……」
( ,,-Д-)「……うん、そうだな………………でも、だからってあそこに戻るわけにもいかない……
単純にあの親子が幸せになれば、嬉しいことでそりゃいいんだけど……
まだ気になることがあってな……」
(*゚ー゚)「…………もしかして、あの白い服の男?」
二人とも頭脳明晰だ。
- 34 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 12:42:03
実際はギコの逃げ口上だ。ただ、今はためらっている為に、なんとか戻らない方法を見つけようとしていた。
( ,,゚Д゚)(………………俺は……馬鹿で……卑怯だな……)
死にかけている人間がいるというのに、下らないことに頭が回る。
あのマッドサイエンティストのことは確かに要注意だが、戻りたくない理由にすぐに挙げるとは。
俺達が戻る義務は無い。あんなことまでされて戻る理由は無い。
わざわざ危険なところに行って人助けまでしたくない。
それが本心なんだ。
俺は、…………ただ格好をつけているだけ……。
( ,,゚Д゚)「とにかく、あのマッドサイエンティストは何か企んでいるな
……もしかしたら俺達を研究に使うのかもしれない。」
(*゚ー゚)「……そうねぇ……他にも考えられることがあるんだけど……」
( ,,゚Д゚)「え?」
(*゚ー゚)「あの人……私達を売ろうとしているのかもしれないわ」
( ,,゚Д゚)「!!」
- 35 :極夜 ◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土) 12:42:34
(*゚ー゚)「だってそうでしょ?……私達の血は病気に苦しんでいる人間にとって生唾物」
( ,,゚Д゚)「………………そういえば、あの研究員……『殺すな』って言ってたな……それなら永久に血を
……でもそれはただ単に研究材料を破損したくないからとも……」
(*゚ー゚)「ええ、そうね。でも、彼が本当にマッドサイエンティストだったらね」
( ,,゚Д゚)「……違うのか?」
(*゚ー゚)「……よく分からないわ……でも、そんなに狂ってる感が漂っていたかなあ……」
( ,,゚Д゚)「………………ちょっと待って。…………やっぱり奴は……そうだよ、正気だよ
あのおっさんが銃を俺達に向けたとき……かなり焦っていた……けど、冷静な対処をしていた。
マッドだったら『ぅわああぁぁぁ!! ややめろおおおおぉぉぉぉ!!』とか言うんじゃないのか?」
(;゚ー゚)(ギコ君……少し上手いじゃないの……)
( ,,゚Д゚)「それに、側にいた幹部かな? 女がいた。そいつも慌てていただろ?……穏便派ならともかくだが
本当に俺達を捕まえるだけが目的だったらあんなことは言わなくてもいいはずだ……」
(*゚ー゚)「……あの女幹部らしき人間もあの医者とつるんでいる……?」
( ,,゚Д゚)「俺達の推理が正しければ、そんなところだろうな……」
そんな二人を
やはりあの二人が見張っていた。
- 36 :一心不乱に投下しております
◆y1TBgQ3JzI:2007/01/27(土)
12:43:19
( ´_ゝ`)「おおっと! あの二人は」
(´<_` )「流石だよな、兄者」
あの二人は流石じゃねえぞ。
確かに、この兄弟だけが二人に遭遇することができるのは流石だ。
( ´_ゝ`)「今日はゆっくり近づくぞ」
(´<_` )「当然のことをわざわざ説明するとは流石だな兄者」
( ,,゚Д゚)「……あいつら……」
バレていた。当り前だ。
朝から足音を消してもほとんど意味は無い。
(*゚ー゚)「気づかない振りして逃げましょ」
( ,,゚Д゚)「分かった」
二人は逃げた。
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