15 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/05/13(土) 23:50:58.29 ID:Tl5RE6et0
スコア
   |1|2|3|4|5|6|7|8|9|R|H|E|
ROK|1|0|-|-|-|-|-|-|-|-.|4.|0|
VIP .|1|0|-|-|-|-|-|-|-|-.|3.|0|


投手成績(個人成績は試合開始前のもの)

内藤( ^ω^)
-勝 -敗 防御率-.-- 奪三振-- 投球回--- 完封-- 完投--
投球回:2 1/3 打者:12 被安打:4 被本塁打:1 奪三振:3 四死球:1 失点:1 自責点:1

畑(^・J・^)
21勝 3敗 防御率2.15 奪三振191 投球回213 1/3 完封4 完投9
投球回:2 打者:9 被安打:3 被本塁打:0 奪三振:2 四死球:1 失点:1 自責点:1

16 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/05/13(土) 23:52:21.98 ID:Tl5RE6et0
野手成績(個人成績は試合開始前のもの)

ヴィッパーズ

一番センター 長岡( ゚∀゚) 8年目 26歳 .306 11HR 54打点
1.右安

二番レフト 荒巻/ ,' 3 17年目 37歳 .288 15HR 65打点
1.犠打

三番ライト 毒田('A`) 10年目 31歳 .329 28HR 111打点
1.中安

四番ファースト ニダ<ヽ`∀´> 3年目 29歳 .280 35HR 107打点
1.左安

五番キャッチャー ショボン(´・ω・`) 9年目 30歳 .312 18HR 115打点
1.四球

六番サード 笑野( ^Д^) 13年目 36歳 .256 21HR 69打点
1.投併

七番セカンド 椎名(*゚ー゚) 5年目 26歳 .275 6HR 43打点
1.二ゴロ

八番ショート 津村ξ゚听)ξ 5年目 26歳 .246 8HR 31打点
1.三振

九番ピッチャー 内藤( ^ω^) 1年目 18歳 .--- --HR --打点
1.空振

17 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/05/13(土) 23:52:42.85 ID:Tl5RE6et0
一番ショート 井蓋(◎´∵`◎) 14年目 32歳 .328 8HR 31打点
1.右本 2.中安

二番ライト 高掛(['][,]) 10年目 28歳 .276 26HR 75打点
1.左飛 2.空振

三番センター 近城( ´金`) 9年目 30歳 .316 18HR 61打点
1.遊ゴロ 2.左安

四番レフト 榊彡 ´ー`) 19年目 40歳 .309 45HR 124打点
1.空振

五番サード 村者(ムΘラ) 8年目 26歳 .284 36HR 106打点
1.中飛

六番ファースト 古者[`↓´] 7年目 25歳 .268 34HR 98打点
1.右飛

七番セカンド マムウェイ(0´く`0) 4年目 29歳 .298 21HR 89打点
1.四球

八番キャッチャー 哀歌(^亮^) 12年目 30歳 .241 9HR 42打点
1.右二塁打

九番ピッチャー 畑(^・J・^) 13年目 31歳 .205 2HR 8打点
1.三振

18 :第7話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/13(土) 23:54:27.10 ID:Tl5RE6et0
【第7話『平衡』】


(実・Д・)『ファ――――――ル!!!』

 榊の打球。毒田が飛び込んだ、その打球。
 ライト線の僅か外に落ち、ファール。レフトスタンドから大きな溜息が漏れた。

(実・Д・)『命拾いしました、内藤!』
(解´Д`)『これは何とも惜しい……ロケッターズは、辛くなりましたね』

 榊が舌打ちしてライト線を眺めていた。ストライクゾーン高め、半端な速度のストレート。それがファール。明らかな打ち損じだった。
 そして、一度は覚悟した失点を免れたことで、内藤は右腕から重みが取れたような気分になっていた。

(実・Д・)『あーっと! 榊、これは完全な当たり損ね! 内野ゴロゲッツー!』

 上手く低目に投じられたスライダーを引っ掛けてしまい、ゲッツー。スリーアウトとなった。

(実・Д・)『内藤、ピンチを脱しました! さぁ、その内藤を援護できるか! ヴィッパーズ!』


 スリーアウトの安堵の後、内藤は違った不安と戦い始めていた。
 マウンドから、ベンチまでの僅かな距離。たったそれだけの間、内藤はひたすら考え続け、そして答えが見出せずにいた。
 喪名監督の顔を見るのが、眼を合わせるのが、怖かった。
20 :第7話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/13(土) 23:56:31.05 ID:Tl5RE6et0
(;^ω^)(三回……二失点……)

 試合前、監督に言われていたのは、三回を二失点までに抑えろ、だった。
 その三回は、投げ抜いている。二失点と言われていたのを、一失点に抑えた。
 内藤は、まだ投げたい気持ちが強かった。しかし、監督が交代と言えば従わざるを得ない。試合前に、言われていたことだからだ。
 抑えられる、と自信を持って言うことはできなくとも、投げたい。自分勝手に近い感情とも、内藤は戦っていた。

 ベンチに戻り、内藤は、一瞬だけ監督の顔を伺った。
 喪名監督は、打席に入った長岡を見ている。三振に倒れた長岡に対し、残念そうな表情を浮かべていた。
 二番荒巻がサードゴロを打ってツーアウトとなっても、内藤に言葉をかけることはない。ベンチの外でキャッチボールを開始しても、やはり視線はバッターボックスだった。
 三番毒田が空振り三振に倒れ、畑が簡単にスリーアウトを取った。そして、内藤は続投。
 内藤は、気が昂ぶっていた。

(実・Д・)『マムウェイ、完全に詰まらされました! ショートゴロゲッツー!』

 村者にピッチャー返しを喰らいまたもノーアウトからランナーを出すが、古者から三振、マムウェイからゲッツーを奪って三人で回を終わらせた。軽やかな足取りで内藤はベンチに帰っていく。

(実・Д・)『両者好投を見せています! このまま均衡状態が続くのでしょうか!』

 外野席の応援の熱が更に高まっていく。球場全体が熱気に包まれていた。


( ´∀`)(三回二失点、ととりあえず言ったが……四回を一失点とは、期待以上だ)

 四回裏。先頭のニダはファールで粘ったあとフォアボールで出塁。ノーアウトからランナーを得て五番のショボンが左打席へと向かう。
22 :第7話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/13(土) 23:58:26.19 ID:Tl5RE6et0
( ´∀`)(ロケッターズには内藤の情報が全くない……それがかなりプラスとなってるみたいだな。あの強力打線では考えられないほどの拙攻だ)

 ショボンは三球目のシンカーを打ってファーストゴロ。セカンドには投げられず進塁打となり、ワンナウト二塁のチャンスを掴む。

( ´∀`)(ルーキーがプロ初登板、ということで野手はみんな張り切っている。今のところ、守備では良い方向に出ているな)
( ´∀`)(……あとは、攻めか)

 打席に三冠王・笑野が入った。さすがに畑は攻めが慎重になり、ボールが先行している。
 追い込まれてからはファールで粘り、そして八球目が低めに僅かに外れてフォアボール。ワンナウト1・2塁となる。

(実・Д・)『ランナー二人を置いて打席には七番椎名が入ります! 女性のような顔立ちから男性ファンが多い椎名! 同じく女顔で人気の高い津村選手との二遊間は間違いなく12球団1でしょう!』
(実・Д・)『もちろん二人とも男として登録されていますが、二人の着替えを見た者は誰もいないそうです』


(*゚ー゚)(……ベンチのサインは……)

 コーチのサインを確認して、打席でバットを構える椎名。一球目のカーブを、空振った。

(実・Д・)『打率こそ2割7分台ですが、今季はチャンスで3割以上の数字を残しています! ここは期待のかかる打席です!』
(解´Д`)『本当に成長しましたね。これからもまだまだ伸びていく選手でしょう』

 二球目、シンカーが低目に外れてボールとなる。椎名は配球を考えていた。
23 :第7話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/14(日) 00:00:51.82 ID:j1BLN+cm0
(*゚ー゚)(哀歌は変化球とストレートをバランスよく混ぜたがる。畑自身もその傾向が強い)
(*゚ー゚)(なら、次は……いける)

 第三球。
 低目に投じられた、ストレート。椎名は、ストライクゾーンに顔を近づけた。

(実`・Д・)『セーフティバント! 椎名ここでバントです!』

 三塁側にボールが転がる。ピッチャー畑が捕球し、即座にファーストに送球。全力で一塁に向かっていた椎名は、あと僅かなところでアウトとなった。

(解´Д`)『アウトになりましたが、今のは上手い……畑はちゃんと低目に投げたんですが、それが却ってバントさせやすくしてしまいましたね』
(実・Д・)『ヴィッパーズ、ツーアウト2・3塁のチャンス! 勝ち越しなるか! 打席には八番津村が入ります!』
(解´Д`)『この人は大事な場面での活躍が多い……ここは、重大な局面ですよ』

 畑の初球、まずはカーブから入ってストライク。続いてストレートがアウトローに決まってツーストライク。津村は早くも追い込まれた。

(実・Д・)『今日の畑はかなりストライクが取れてますね』
(解´Д`)『元々制球のいいピッチャーですからねぇ』

ξ゚听)ξ(普通なら次は外してくるだろうけど……)

 ロケッターズにとって、ここは絶対に点をやれない場面。普通を考えていると、思わぬ球を投げられて対応できない可能性がある、と津村は考えていた。
25 :第7話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/14(日) 00:03:44.88 ID:j1BLN+cm0
(実・Д・)『さぁ、どんな球でスリーストライク目を取るのでしょうか、畑』

 畑が白球をグラブの中に隠し、キャッチャーミットを見据えた。
 第五球。ボール球では、なかった。

ξ゚听)ξ(やっぱり、三球勝負!)

 一番制球のいいストレート。その直球でストライクを取りに来ることを、津村は待っていた。
 ボールを、捉えに行く。待ち望んでいた球。スイングとボールが、重なった。

 そう思った直後、レフトスタンドからの歓声が津村を貫いた。

(実`・Д・)『空振り三振!! 出ました、伝家の宝刀フォークボール! 津村三振でスリーアウト!』
(解´Д`)『これは、流れが動きますね』

ξ;゚听)ξ(……相変わらず凄いフォーク……)

 ストライクと思った球が、地面近くまで落ちていた。球界屈指のフォーク。完璧な球だった。
 ヴィッパーズはチャンスを活かせず無得点。そして、試合は五回表へ。
26 :第7話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/14(日) 00:07:41.58 ID:j1BLN+cm0
彡 ´ー`)(危ない展開を、何とか凌いだ)
彡 ´ー`)(流れがこちらに傾きつつある。何とか点が欲しい)

(^亮^)「監督。次の僕の打席なんですが……"あれ"、やってもいいですか?」
彡 ´ー`)「哀歌……そうですね……畑も調子を上げてますし、とにかく勝ち越し点が欲しい場面ですしね……」

 榊は投球練習をしている内藤を一瞥した。球のキレは、変わっていない。むしろ、試合に慣れてきたせいか、調子が良くなっている。腕がしっかり振れていて、ボールの制球力が上がっていた。
 一度スコアボードを見て、それから再びマウンドを。そして、哀歌に視線を移した。

彡 ´ー`)「やってみてください」
(^亮^)「頑張ります」

 哀歌がゆっくりバッターボックスへ向かう。
 榊は、再び内藤に視線を固定させていた。


(´・ω・`)(五回か……リードしている場面ではないし、勝ちを意識して固くなることもないと思うが……)
(´・ω・`)(とにかく、先に点はやれない。頑張ってくれよ、内藤)

 右打席に哀歌が入ってバットを構えている。その表情は、いつものような笑顔ではなかった。
 ショボンは、少しだけ不穏さを感じた。






 第7話 終わり

     〜to be continued
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