2 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:28:51.28 ID:nJt/CfF30
スコア
   |1|2|3|4|5|6|7|8|9|10||R|H|E|
ROK.|1|0|0|0|1|0|0|0|2|--||4|12|0|
VIP .|1|0|0|0|0|2|0|0|1|--||4|9.|1|


投手成績(個人成績は試合開始前のもの)

内藤( ^ω^)
-勝 -敗 防御率-.-- 奪三振-- 投球回--- 完封-- 完投--
投球回:9 打者:41 被安打:12 被本塁打:1 奪三振:6 四死球:5 失点:4 自責点:2

畑(^・J・^)
21勝 3敗 防御率2.15 奪三振191 投球回213 1/3 完封4 完投9
投球回:9 打者:38 被安打:9 被本塁打:1 奪三振:14 四死球:5 失点:4 自責点:4

3 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:31:46.14 ID:nJt/CfF30
野手成績(個人成績は試合開始前のもの)

ヴィッパーズ

一番センター 長岡( ゚∀゚) 8年目 26歳 .306 11HR 54打点
1.右安 2.三振 3.空振 4.四球 5.遊安

二番レフト 荒巻/ ,' 3 17年目 37歳 .288 15HR 65打点
1.犠打 2.三ゴロ 3.空振 4.右安 5.三ゴロ

三番ライト 毒田('A`) 10年目 31歳 .329 28HR 111打点
1.中安 2.空振 3.右二塁打 4.中直

四番ファースト ニダ<ヽ`∀´> 3年目 29歳 .280 35HR 107打点
1.左安 2.四球 3.右飛 4.空振

五番キャッチャー ショボン(´・ω・`) 9年目 30歳 .312 18HR 115打点
1.四球 2.一ゴロ 3.中本 4.空振

六番サード 笑野( ^Д^) 13年目 36歳 .256 21HR 69打点
1.投併 2.四球 3.空振 4.空振

七番セカンド 椎名(*゚ー゚) 5年目 26歳 .275 6HR 43打点
1.二ゴロ 2.犠打 3.四球 4.空振

八番ショート 津村ξ゚听)ξ 5年目 26歳 .246 8HR 31打点
1.三振 2.空振 3.空振 4.中安

九番ピッチャー 内藤( ^ω^) 1年目 18歳 .--- --HR --打点
1.空振 2.空振 3.空振 4.中二塁打

4 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:34:15.79 ID:nJt/CfF30
ロケッターズ

一番ショート 井蓋(◎´∵`◎) 14年目 32歳 .328 8HR 31打点
1.右本 2.中安 3.左安 4.中飛 5.空振

二番ライト 高掛(['][,]) 10年目 28歳 .276 26HR 75打点
1.左飛 2.空振 3.右二塁打 4.一ゴロ 5.二失

三番センター 近城( ´金`) 9年目 30歳 .316 18HR 61打点
1.遊ゴロ 2.左安 3.右飛 4.左飛 5.四球

四番レフト 榊彡 ´ー`) 19年目 40歳 .309 45HR 124打点
1.空振 2.二併 3.左安 4.四球 5.三振

五番サード 村者(ムΘラ) 8年目 26歳 .284 36HR 106打点
1.中飛 2.中安 3.中安 4.四球 5.右二塁打

六番ファースト 古者[`↓´] 7年目 25歳 .268 34HR 98打点
1.右飛 2.空振 3.四球 4.中飛

七番セカンド マムウェイ(0´く`0) 4年目 29歳 .298 21HR 89打点
1.四球 2.遊併 3.遊ゴロ 4.一ゴロ

八番キャッチャー 哀歌(^亮^) 12年目 30歳 .241 9HR 42打点
1.右二塁打 2.投内安 3.三振 4.三直

九番ピッチャー 畑(^・J・^) 13年目 31歳 .205 2HR 8打点
1.三振 2.犠打 3.空振 4.左安

5 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:36:00.72 ID:nJt/CfF30
【第16話『序曲』】

 腕が軽い、と内藤は感じていた。
 軽すぎるような気もしていた。

 腕の感覚が明らかに今までとは違う。
 どう腕を振っていいのか、分からなくなるほどに。

(;^ω^)(大丈夫だお……抑えられるお……)

 初球を投げ込んだ。
 しかし、いきなり球が抜けて、ショボンが立ち上がり捕球する。
 続く二球目は、ワンバウンドする球になった。

(´・ω・`)(……マズイか……?)

 ショボンが三球目を要求する。
 ストレートが甘めに入ったが、古者は見逃してストライク。
 バッティングカウントからの四球目、ボールゾーンのスライダーを古者がファール。
 平行カウントとなった。

(実・Д・)『カウントは2−2。内藤、第五球を投げ――――打ったァァァァァァァァァァ!!!』

 ライト。
 大飛球。

 真ん中に入ったカーブ、完璧な当たりだった。

 誰もが呆然とするほどの、大きな打球。
 内藤の膝が崩れた。
8 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:43:05.03 ID:nJt/CfF30
(実`・Д・)『完璧! 完璧! 古者、勝ち越しホームラ――――』
(解´Д`)『……いや、これは』
(実・Д・)『……え?』

 ライトの毒田が、打球をキャッチした。
 球場が騒然とし、ライトスタンドの観客の何人かは天井を指差していた。

(実・Д・)『天井ですか? 天井に当たりました!』
(解´Д`)『屋外球場なら間違いなく場外弾でしたね。本当に完璧な当たりだった』

 一塁ベースを過ぎたところで、古者はしばらく固まっていた。
 当たりが完璧すぎたが故に、アウト。悔やんでも悔やみきれないのは、誰もが察することができた。
 内藤の冷や汗が、マウンドに点々と落ちていた。

(解´Д`)『内藤はちょっと苦しそうですね。危ないですよ』
(実・Д・)『あれほど大きな当たりを飛ばされるということは、やはり……』
(解´Д`)『疲労でしょうね。球数は、160ですか。普通なら当然代えるんですが……』
(実・Д・)『しかし、喪名監督は動きませんね』
(解´Д`)『点を取られるまでは確実に代えないつもりでしょう。あるいは、点を取られても内藤に託すかも知れません。半分、意地でしょう』
(実・Д・)『喪名監督の思惑は、果たしてどんな結果を生み出すのか……』


 打席には七番マムウェイ。
 ショボンはボール球を要求した。初球は外させたほうがいいという判断だった。

 しかし、マムウェイは強引に打ってきた。

9 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:44:59.73 ID:nJt/CfF30
(実`・Д・)『左中間破った! ヒット! マムウェイは二塁へ!』

 荒巻が内野に返球するも、マムウェイは悠々セーフ。
 ワンナウト二塁。

(実・Д・)『内藤、初球を叩かれました! ピンチとなって打席には八番哀歌!』
(解´Д`)『色んな攻撃が予測される場面ですから、難しいところですね』

 マムウェイは足が速く、哀歌は小技が上手い。
 ショボンはリードがまとまらずにいた。

(´・ω・`)(ボールからは入りたくない……相手に色々やられる可能性があるからこそ、ストライク先行で勝負したい)
(´・ω・`)(しかし、安易にストライクを取りに行けば、狙い打ちされる……内藤が厳しいところに投げられるかどうかだな……)

 コースを突けば、振ってこない。しかし、甘く入れば間違いなく点が入る。ショボンは中々サインを出せずにいた。
 しばらく間を置いたあと、要求した球はスライダー。
 ボールになっても仕方ない、アウトローへの球。ここでストライクが取れれば楽になるが、外れれば組み立てが難しくなる。
 この初球で、勝負が決まりかねない。

(実・Д・)『内藤、サインに頷いて第一球――――アウトローへのスライダー、ストライク!』

 哀歌のバットは出なかった。ワンストライク。
 ショボンは少し気が楽になり、すぐにカーブを要求した。
 哀歌がカーブを空振って、ツーストライク。
11 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:48:08.21 ID:nJt/CfF30
(実・Д・)『さぁ、内藤追い込みました!』

 ショボンは一球外させて、ツーストライクワンボール。
 ピッチャー圧倒的有利のカウント。
 しかし、哀歌の構えは柔らかく、気負いは全くなさそうに見えた。

(^亮^)(……ここだろうな)

 哀歌はベンチからのサインを確認した。
 すぐに眼を逸らして、内藤に視線を戻す。
 哀歌がバットを構えた。

(^亮^)(このカウントならショボンは間違いなく勝負してくる。球は、スライダーだろう)
(^亮^)(低目の変化球……そして、俺は右打席……)

 当てる技術には定評のある哀歌。自信も、あった。

(^亮^)(点が欲しい……仮に打点は挙げられなくても、最低限の仕事はこなしてやるさ)

 グリップを強く握り締めた。
 内藤がセットポジションから、四球目を、投じた。

 同時に、動き出したランナー。

12 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:52:35.38 ID:nJt/CfF30
(実`・Д・)『マムウェイ走ったァァァ!! このタイミングで走ってきました!!』
(解´Д`)『これはエンドラン……!!』

 哀歌が左足を踏み出す。
 漆黒のバットを、振った。


 はるか遠くのボールに向けて。


(実`・Д・)『読んでいた! ヴィッパーズバッテリー読んでいました! 外させたボール、空振り三振ッ!!』

 哀歌はバットを必死で伸ばしたが、届かず三振。
 そして、ショボンがすぐさま三塁に送球した。
 マムウェイのスタートは悪くなかったが、強肩ショボンの送球が完璧だった。
 笑野が送球をキャッチ、滑り込んでくるマムウェイの足にタッチした。

(実`・Д・)『アウトォォォ!! 三振ゲッツー!!』

 ショボンがガッツポーズを見せた。内藤はゆっくりベンチに戻っていく。
 レフトスタンドの落胆と失意が、哀歌とマムウェイを突いていた。
14 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 22:54:47.71 ID:nJt/CfF30
(;´∀`)(抑えたが……しかし、内藤はもうかなり厳しいか……)
( ´∀`)(この回だ……この回で、サヨナラといきたい……打順もクリーンナップからだ)

 三番の毒田が畑の投球練習に合わせてバットを振っている。
 鋭いスイングは変わっていなかった。

(実・Д・)『十回裏ヴィッパーズの攻撃は三番毒田からの好打順! この回でサヨナラなるか! 左打席で毒田がバットを構えます!』

 バットを一旦寝かせ、起こす。斜め四十五度に構えたバット、狭めに広げた足。
 肩を上下させてリズムを作り、畑の初球、ボール球を見逃した。

(実・Д・)『冷静に見ています、毒田。今日の成績は4打数2安打。対してロケッターズの井蓋は今日5打数で3安打を放っており、毒田は現在打率で僅かに井蓋に及びません』
(解´Д`)『しかし、この試合が始まるまで毒田のほうが上だったということは……』
(実・Д・)『この打席でヒットを放てば、再び毒田がバットマンレースのトップに立ちます』

 二球目、インコースを突くストレート。ロケッターズバッテリーの強気な攻めが球場を沸かせた。

('A`)(俺の首位打者なんてどうでもいい……この試合、この試合さえ勝てれば……!)

 優勝。それしか毒田の頭にはなかった。
30 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 23:30:20.73 ID:nJt/CfF30
 シーズン序盤は楽観的だった。
 投打が面白いように噛み合い、僅かな点数でも勝利を得られ、大事な試合も負け越すことはなかった。
 中盤、勢いが衰えてきてからも連敗は少なく、貯金が減ることもなかった。
 しかし、ロケッターズはそれ以上のペースで追い上げてきて、遂に九月に逆転を許した。

 あの序盤の余裕がいけなかったのだ、と毒田は思うことがあった。
 内容を顧みず結果だけを重視してしまい、後に繋がる戦いができなかった。
 そして、ロケッターズに逆転を許してしまうこととなった。

('A`)(キツイシーズンだった……が、これがラストだ……)

 三球目、アウトコースのシンカーにバットを当ててファール。
 追い込まれた毒田。

('A`)(勝てば優勝だ……優勝なんだ……!! 絶対に勝ってやる!!)

 四球目、アウトコースに入ってくるカーブ。
 毒田のバットが、自然に反応した。

(実`・Д・)『逆らわずに左へ! 三遊間、破ったァァ!!』

 ショートが横っ飛びで打球に飛びつくも届かず、レフト前ヒット。
 毒田が静かに、しかし喜びを隠しきれなさそうに、手を挙げた。

31 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/13(火) 23:31:29.64 ID:nJt/CfF30
(実・Д・)『ヴィッパーズ、ノーアウトからサヨナラのランナーを出しました!!』
(解´Д`)『いいめぐり合わせだ……この場面で四番とは……』
(実・Д・)『打席には四番ニダ!! 韓国の大砲、いや、アジアの大砲が打席に入ります!!』

 素振りの音がマウンドにまで届いていた。
 四番ニダが、打席にゆっくりと向かう。

 球場はかえって静けさが増していた。











 第16話 終わり

     〜to be continued
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