- 2 :試合のデータ
◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日)
22:26:06.98 ID:s7BeKB2f0
- スコア
|1|2|3|4|5|6|7|8|9||R|H|E|
ROK|1|0|0|0|1|0|0|0|2||4|12|0|
VIP .|1|0|0|0|0|2|0|0|-||3|6.|1|
投手成績(個人成績は試合開始前のもの)
内藤( ^ω^)
-勝 -敗 防御率-.-- 奪三振-- 投球回--- 完封-- 完投--
投球回:9 打者:41 被安打:12 被本塁打:1 奪三振:6 四死球:5 失点:4 自責点:2
畑(^・J・^)
21勝 3敗 防御率2.15 奪三振191 投球回213
1/3 完封4 完投9
投球回:8 打者:33 被安打:6 被本塁打:1 奪三振:13 四死球:5 失点:3 自責点:3
- 3 :試合のデータ
◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日)
22:28:01.42 ID:s7BeKB2f0
- 野手成績(個人成績は試合開始前のもの)
ヴィッパーズ
一番センター 長岡( ゚∀゚) 8年目 26歳 .306
11HR 54打点
1.右安 2.三振 3.空振 4.四球
二番レフト 荒巻/ ,' 3 17年目 37歳 .288 15HR
65打点
1.犠打 2.三ゴロ 3.空振 4.右安
三番ライト 毒田('A`) 10年目 31歳 .329
28HR 111打点
1.中安 2.空振 3.右二塁打 4.中直
四番ファースト ニダ<ヽ`∀´> 3年目
29歳 .280 35HR 107打点
1.左安 2.四球 3.右飛 4.空振
五番キャッチャー ショボン(´・ω・`) 9年目
30歳 .312 18HR 115打点
1.四球 2.一ゴロ 3.中本 4.空振
六番サード 笑野( ^Д^) 13年目 36歳 .256
21HR 69打点
1.投併 2.四球 3.空振 4.空振
七番セカンド 椎名(*゚ー゚) 5年目 26歳 .275
6HR 43打点
1.二ゴロ 2.犠打 3.四球
八番ショート 津村ξ゚听)ξ 5年目 26歳 .246
8HR 31打点
1.三振 2.空振 3.空振
九番ピッチャー 内藤( ^ω^) 1年目 18歳 .---
--HR --打点
1.空振 2.空振 3.空振
- 8 :試合のデータ
◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日)
22:30:24.22 ID:s7BeKB2f0
- ロケッターズ
一番ショート 井蓋(◎´∵`◎) 14年目
32歳 .328 8HR 31打点
1.右本 2.中安 3.左安 4.中飛 5.空振
二番ライト 高掛(['][,]) 10年目 28歳 .276
26HR 75打点
1.左飛 2.空振 3.右二塁打 4.一ゴロ 5.二失
三番センター 近城( ´金`) 9年目 30歳 .316
18HR 61打点
1.遊ゴロ 2.左安 3.右飛 4.左飛 5.四球
四番レフト 榊彡 ´ー`) 19年目 40歳 .309
45HR 124打点
1.空振 2.二併 3.左安 4.四球 5.三振
五番サード 村者(ムΘラ) 8年目 26歳 .284
36HR 106打点
1.中飛 2.中安 3.中安 4.四球 5.右二塁打
六番ファースト 古者[`↓´] 7年目 25歳 .268
34HR 98打点
1.右飛 2.空振 3.四球 4.中飛
七番セカンド マムウェイ(0´く`0) 4年目
29歳 .298 21HR 89打点
1.四球 2.遊併 3.遊ゴロ 4.一ゴロ
八番キャッチャー 哀歌(^亮^) 12年目
30歳 .241 9HR 42打点
1.右二塁打 2.投内安 3.三振 4.三直
九番ピッチャー 畑(^・J・^) 13年目
31歳 .205 2HR 8打点
1.三振 2.犠打 3.空振 4.左安
- 9 :第14話
◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日)
22:32:40.16 ID:s7BeKB2f0
- 【第14話『判定』】
ξ゚听)ξ「次の私の打席……そこで、代打を出さないでほしいんです」
喪名は一瞬、何を言われたのか分からなかった。
発言を飲み込むまでに時間を要した。
( ´∀`)「……あぁ……お前に代打を出すつもりはない……大事な場面でのお前の一打には、期待しているからな」
ξ゚听)ξ「ありがとうございます」
喪名は、小さく息を吐いた。どうしようもないことだと分かっていながら、期待してしまっていたのだ。
( ´∀`)「頑張ってくれ……お前の打席が大事だ、津村」
ξ゚听)ξ「分かっています。打てる自信はあります」
( ´∀`)「何か秘策でもあるのか?」
ξ゚听)ξ「そんな大げさなものじゃありません。でも、今までの三振を無駄にはしません」
ξ゚听)ξ「それに、私が打てば、内藤もヒットを打てるはずです」
喪名は再び耳を疑った。今度は、先ほどよりも更に理解するまで時間がかかった。
(;´∀`)「どういう意味だ?」
ξ゚听)ξ「私が打たせます。だから、内藤も打席に立たせてください。内藤じゃなきゃ打てません」
(;´∀`)「……しかし……」
ξ゚听)ξ「内藤に、タイムリーを打たせます……必ず」
- 10 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:34:53.66 ID:s7BeKB2f0
- 椎名が打席に立っている。
初球、カーブに全くタイミングが合わず、空振り。
ξ゚听)ξ「……椎名が打ってくれれば、私が点を取りたいところですが……」
(;´∀`)「無理だろうな……全部バラバラだ……しかし、守備力を考えると、椎名に代打を出すわけにもいかないし……」
ξ゚听)ξ「私がヒットで出ます。絶対に。そして、内藤のワンヒットでホームに還ってきます」
喪名は何も考えられなくなり始めていた。津村の自信がどこから湧いてくるのか、分からなかったからだ。
しかし、信じたかった。直感を守ることこそ、勝利に近づくと喪名は思っていた。
( ´∀`)「控えめなお前が、絶対という言葉を使うとはな……よほどのことなんだな」
ξ゚听)ξ「優勝決定戦ですから」
( ´∀`)「あぁ……そうだな」
椎名への二球目は、内角に外れるボール球。しかし、椎名のバットは出掛かっていた。ハーフスイングはとられずに、ボール。
喪名は、再び津村に視線を向けた。
( ´∀`)「お前に任せよう、津村。期待しているぞ」
ξ゚听)ξ「ありがとうございます」
津村は頭を下げてすぐ、内藤の許に駆け寄った。
内藤は半ば放心状態でグランドを見ている。
- 11 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:37:23.54 ID:s7BeKB2f0
- ξ゚听)ξ「内藤、次の打席について、話したいことがあるの」
( ´ω`)「……お? 次の……?」
ξ゚听)ξ「この回、確実に内藤まで回るわ。その打席よ」
( ´ω`)「代打が出ますお……僕は打席には立ちませんお……」
ξ゚听)ξ「立つのよ。代打は出ないわ。いいから聞きなさい」
津村は口早に全てを伝えた。最初はまともに聞けていない風だった内藤も、次第に瞳がはっきりしてきていた。
ξ゚听)ξ「そういうことだから」
最後の一言を軽く残して、津村はネクストバッターズサークルに向かった。
内藤は、困惑していた。
(実・Д・)『空振り三振!! ミスをカバーしたいところでしたが椎名、全くタイミングが合いませんでした!!』
(解´Д`)『先頭打者が出塁すると流れも動くんですが……あっさりアウトを取られると、ヴィッパーズは苦しいですね』
項垂れて椎名がベンチに戻る。誰も、声をかけられなかった。
椎名はすぐにベンチ裏へと消えていった。
(実・Д・)『打席には八番津村。今日は全打席三振を喫しております!』
(解´Д`)『ロケッターズバッテリーは上手く攻めてますね。フォークが非常に効果的です』
(実・Д・)『打点こそ31ですが、同点や逆転といった貴重なタイムリーやホームランが光る津村、果たしてこの打席はどう出るか』
右打席で地を均す津村。哀歌は、早めにサインを出していた。畑が頷く。
津村が構え、初球が投じられる。低目に決まったカーブ、ワンストライク。
- 12 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:39:24.23 ID:s7BeKB2f0
- 畑はテンポよく二球目を投げる。アウトローへのストレート、これもストライク。
津村が追い込まれた。
(実・Д・)『二球、あっさり見逃した津村ですが……』
(解´Д`)『フォークが来ますよ、このままじゃ。一球外して、決め球……津村は一体何を考えているのやら』
三球目、高目のストレートが外れてボール。
(^亮^)(よし……決めましょう)
哀歌がサインを出す。畑が頷き、振りかぶる。
四球目、低目に落ちるフォーク。
(実・Д・)『打ったッ!! センター前ヒット!!』
畑の顎から汗が滴り落ちた。
苦もなく、打ち返された。穏やかだった畑の心が、色を変えつつあった。
(解´Д`)『完璧に読みきっていましたね……フォークの落ちも良くなかった』
(実・Д・)『慢心、というものもあったのでしょうか』
(解´Д`)『今日3つ三振を奪っていましたからね……そこを上手く津村が利用した、ということでしょう』
(実・Д・)『さぁ、同点のランナーが出ましたヴィッパーズ!
次の打者は……』
(実;・Д・)『……え!? な、内藤ですか!?』
まずライトスタンドが、それからレフトスタンドが騒然となった。
打席の外で内藤が素振りしている。そのスイングは、今までの三打席とは別人のようだった。
- 13 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:41:54.99 ID:s7BeKB2f0
- (解´Д`)『……喪名監督は……一体、何を考えているのやら……』
(実;・Д・)『内藤、そのまま打席に立ちます!
つまり、延長を見越して内藤を打席に送ったということですが……』
(解´Д`)『ヴィッパーズの中継ぎは悪くない。抑えの大木戸だって居る。なのに何故……』
(実;・Д・)『代打なら伊藤も居ますが……喪名監督、この試合を内藤に託しました!
果たしてこの策の結果は!』
内藤が打席に入る。鋭い瞳が、畑を突き刺した。
畑の手から、そして再び顎から、汗が滴った。
(;^亮^)(くそ……一塁の津村は足が速いし、ランナーの警戒もしなきゃいけない……内藤をわざわざ送ったってことは無策じゃないだろうし、そっちの警戒も……)
哀歌が立ち上がった。そして、ゆっくりとマウンドへ向かう。じっくり間を取るかのように。
内野手もあまり急がずにマウンドへと歩み寄ってきた。
(^亮^)「畑さん、内藤はバントの可能性が高いと思います」
(^・J・^)「……俺はヒッティングだと思ったが……しかし、セオリーならバントだな……」
(◎´∵`◎)「僕も送ってくると思います。次の長岡はチャンスに弱いバッターじゃないですし」
(ムΘラ)「どうします? 送らせてアウトを稼ぎますか?」
(^・J・^)「……監督の指示を仰ごうか……」
外野から、榊が走り寄ってきた。村者が一歩引いてその場を空ける。榊の息が少し切れていた。
- 14 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:45:32.52 ID:s7BeKB2f0
- 彡 ´ー`)「打ってくるような気もしますが、やはりバントが一番考えられるパターンです。ここは初球を高目に外して様子を見ましょう」
(^・J・^)「二球目以降は、低目に投げてヒットを防ぎます。バントされても、ツーアウトなら点は入りにくい」
彡 ´ー`)「そうですね。とにかく初球で様子を見てください。送ってきそうなら、送らせても構わないでしょう」
(^・J・^)「分かりました」
野手が散って守備位置へと戻っていく。畑は白球を握り締め、プレートに足を置いた。
哀歌が一応サインを出し、畑も一応頷く。息を短く吐いて、セットポジションを構えた。
内藤は、バントの構え。
(^・J・^)(やはり送ってくるか……?)
高目のボール球で、まずは様子見。そう決めた。
しかし、あからさまに外す必要性はない。ストライクゾーンをかすめるくらいのボール球で、内藤がバットにボールを当ててくれれば儲けものだ。畑は、ボールを握りなおした。
哀歌の構えより、少し下。そこに投げて、内藤のバントを打ち上げさせる。上手くいけばゲッツーが取れ、試合終了。やるなら今しかない、と畑は思った。
畑が、左足を踏み出した。
- 15 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:49:04.07 ID:s7BeKB2f0
- (実・Д・)『内藤はバントの構え!
畑、初球を――――おぉーっと!! 津村、走ってきたァァァ!!』
津村がスタートを切った。畑は僅か、ほんの僅か、ボールから指を離すのが、遅れた。
直球が、真ん中高目へ。そして、畑と哀歌、ロケッターズナインの血の気が引いていく。
内藤が、バントの構えを崩し、足を上げた。
(実`・Д・)『バスタァァァァァァ――――――――!!
バスターエンドランッ!!!』
快音。
畑の左を、白球が駆け抜けた。
セカンドの頭上を越え、右中間に、ボールが落ちた。
ライトフェンスへと、転がっていく。
(実`・Д・)『抜けた!! 抜けた!!
右中間を破ったァァ!! 津村は二塁を蹴って三塁――――そして三塁コーチは腕を回している!!』
津村は躊躇なく三塁ベースを蹴った。
センターの近城がボールを捕球。すぐさま、バックホーム。
津村が懸命に駆ける。マウンドの横を、返球が駆ける。
二つの競争が、ホームでぶつかりあう。
哀歌がボールをキャッチ、津村の頭にタッチ。
ヘルメットが、はたき飛ばされた。
津村の体は、明らかにホームからは遠かった。
しかし、頭にタッチされる寸前、津村の左手はホームの端を叩いていた。
- 16 :第14話 ◆azwd/t2EpE :2006/06/04(日) 22:52:53.09 ID:s7BeKB2f0
- 哀歌が自分の足の影からその左手を確認し、一瞬、落胆した。
畑がホームの後ろで呆然としていた。
(審`゚O゚)「アウトォォォォォォォォ――――――――――――――ッッ!!!」
刹那、球場が静謐に満ちた。
球審の突き出された右手を、疑った。
(実;`・Д・)『ア、アウト!! 津村ホームで憤死ッ!!
ツーアウトォォ!!』
ヴィッパーズナインが、ベンチから飛び出した。
津村が猛然と審判に抗議していた。
(実;`・Д・)『津村が抗議しています!
すかさず喪名監督も球審の許に向かいます!!』
(解´Д`)『……セーフにも見えましたが……』
(実;`・Д・)『微妙なタイミングではありましたが、津村の左手が早かったようにも……』
(解´Д`)『……球審の位置取りが悪かったのかも知れません……あの位置からだと、津村の左手がキャッチャーの足に隠れてしまったのでは……』
喪名が球審に詰め寄る。
ライトスタンドからの大ブーイング、そしてレフトスタンドからの大歓声が球場を埋め尽くしていた。
第14話 終わり
〜to be continued