- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:03:27.99 ID:1ZPj6Gal0
- 7月の頭、当然のように激しく照りつける太陽が競技前から体力を奪っていく。
アスファルトは熱く、まるで鉄板の上に立っているようだった。
以前も思ったことだが、トライアスロンというのはなかなか見ている方もあつい。
あついとは暑いであり、熱いでもあるが。
今回泳ぐのは湖、しかし実に汚い。
10cm先が見えないほどの茶緑色、こんな所を本当に泳ぐのだろうか。
無味無臭がさらに気持ち悪かった。
『選手の皆さんは、スイムチェックを終了して……』
いよいよだ。
この上ない緊張が体にのしかかった。
早くスタートしてくれ、早くスタートしてくれ……そればかりだった。
『選手の皆さんは、スタートラインへ……』
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:05:23.43 ID:1ZPj6Gal0
- 今回も前回同様水に浮きながらスタートの合図を待つ、フローティングスタートだ。
これがなかなか難しい。
一度沈む。
ぶくぶくぶく……ぷはっ。
そして2〜3秒浮いているとまた疲れてくるので、再び息を大きく吸って沈む。
ぶくぶくぶく……ぷはっ。
泳ぐ前から腕は疲れるし息は乱れるし……これで本当にこの先競技をやっていけるのだろうか?
(;^ω^)「ドクオ、大丈夫かお?」
(;゚∀゚) 「初めては辛いだろ、俺もそうだった」
(;'A`)「ちょっと辛い……スタートまだか……」
『スタート3分前です』
耳を疑った。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:07:18.36 ID:1ZPj6Gal0
- スタートまで残り1分、既にドクオは息をぜぇぜぇ言わせ、苦しさを露にしていた。
ブーンは大外から自分のペースで泳ぐと言って、外側へ一人行ってしまった。
( ゚∀゚)「そろそろだぜ?」
(;'A`)「はひっ」
ドクオはまだ潜って、浮いて、息を吸って、潜って……そんな動作を繰り返していた。
腕の筋肉が、肩がもうだるい。
ダメだ。
プア〜
相変わらずの気の抜けるようなスタート音、しかしドクオはその時潜っていて音を聞き逃した。
水中から顔を出すと泳ぎだしている周り、後ろからぶつかられる。
慌ててドクオも泳ぎ出した。
息を整えている余裕なんて無い、既に疲労を感じている腕を頑張って動かして進んだ。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:09:23.61 ID:1ZPj6Gal0
- 泳ぎだすとその人数に驚愕する。
後ろからすごいスピードで追い抜く者に、少しでも得をしようと前からスタートして次第に落ちてくる者。
選手の上に乗っかったりもしたし、自分が乗っかられて息継ぎすらままならない時もあった。
まるで格闘だ、前の選手の足に手が当たろうものなら、バタ足を思いっきりされた。
足を引っ張られて思わずその場で泳ぎをやめてしまった。
(;'A`)(誰が……!?)
そう思って見ても、結局犯人は誰なんだか分かりはしない。
既にトップグループはずっと先まで行っていた。
今回のコースは一周500mを3周回のコースだ。
スイムでの一周抜かしだってありえる、ドクオはそうならないようにと頑張って泳いだ。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:11:26.81 ID:1ZPj6Gal0
- (;゚∀゚)(やっぱりコースが小さいと面倒だな……)
ジョルジュは良い感じで泳いでいたが、小さいコースでは少しでも短く回ろうと内側に選手が集まる。
その勢いがものすごく、少し大回りをしていたのだがそれでも何度と肩がぶつかったし頭を叩かれた。
トップグループは既に小さくしか見えない、きっとそのどれかがブーンなのだろう。
(;゚∀゚)(遠いな、ちょっとペースアップいくか……)
人波がペースアップをじゃまする。
もう少し行けば若干人の少ない場所がある、何とかそこに行こう……ジョルジュは腕に力を込めて泳ぎ出した。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:13:10.03 ID:1ZPj6Gal0
- (;^ω^)(よし、いい位置だお!)
誰ともぶつかり合う事無く、ブーンは早々にトップグループに追いついた。
大外を回ったので当然泳いでいる距離は多いわけだが、精神的な余裕があるのは大きかった。
泳ぎにだけ集中できる。
ブーンは2位の選手と並んで泳いでいた。
今回は前回と違いバタ足も多用していない、腕の力でしっかりと泳げている。
500mを3周で、前回よりも距離感覚がつかめるのも良かった。
水だって前回のような塩水じゃない、汚さなんて気にしなければどうってこと無い。
(;^ω^)(今日はデレが見に来ているお、絶対にいい所見せるんだお!)
精神的にブーンは強く、しっかりと泳いだ。
残り水泳距離、900m。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:14:52.07 ID:1ZPj6Gal0
- ジョルジュは一周目が終わる頃には集団から逃げて人の少ない場所にいた。
が、急なペースアップはやはり体に響いた。
次第に元の集団に追いつかれてくる。
(;゚∀゚)(くそ……でもスイムで無理はできない……)
2周目に入るとすぐ、ジョルジュは集団に飲み込まれた。
そしてその集団の一人として、改めて泳ぎ出した。
(;゚∀゚)(これ以上は落ちないようにしないとな……)
残り水泳距離、950m。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:16:45.10 ID:1ZPj6Gal0
- (;'A`)「はぁッ! んん……ッぷはぁッ!」
呼吸は早くも限界だ。
息を吸っても吸っても足りない、もっと、もっと……止まってでも一気に息継ぎをしたい。
腕が痛い、水が重い、沢山水を掴もうものならその負担は腕に驚異的な負担をかけた。
息継ぎがしたいんだ、そのためには腕の回転を早くするしかない。
ドクオはわざと水を掴まないようにして腕の負担を減らし、腕を沢山回転させた。
(;'A`)(もっと、空気、もっと……空気がいる、酸素、酸素……ッ!!)
これでまだ1周目なんだ、精神的な負担がさらにドクオを追い詰めた。
残り水泳距離、1000m。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:18:27.29 ID:1ZPj6Gal0
- ドクオは運動経験は皆無に等しかった。
小学校こそ野球クラブに所属していたが、必ずどこかの部に入らないといけなかったからであり望んだ事ではない。
実際ほとんど部活には行っていなかった。
高校、大学では人見知りするおどおどした性格のためにろくに友達付き合いもできず、一人だった。
部活やサークルも怖くて入らずに、そのまま今の小さな印刷会社に入った。
(;'A`)(何で俺こんなことしているんだろう?)
そう思いながらも真面目な彼の性格が地道な努力を積み重ねさせた。
他人のいる所で努力できない性格の彼は、常に隠れて一人練習した。
おおよそ8ヶ月、この間にドクオは見る見る成長した。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:20:00.52 ID:1ZPj6Gal0
- 決して覚えが良かったわけでは無い。
初めは25mを泳ぐのもままなら無いドクオはひたすら会員登録した温水プールで毎日泳いだ。
会社後に30分だけでもと練習を繰り返した。
それでも誰か知っている人に鍛えてもらったのならまだしも、自己流では効率は悪い。
フォーム、水の掴み方……様々にあるがドクオはそれらを無理矢理自分に詰め込んだ。
2ヶ月経って、ようやく500mを泳げるようになった。
毎日泳いでいたのにこんなものだ、運動の才能は無かったのだと挫折しかけた。
しかしそれから絶えず頑張り続けた。
そして前回のブーンの大会を見て自分も出たいと思った。
やる気を出して頑張ったのに……その結果がこれか。
成長を重ねた結果がこんなものなのか。
ほとほと自分の情けなさに呆れるばかりだった。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:21:33.68 ID:1ZPj6Gal0
- ( ゚∀゚)『初心者が一番つまずくのがスイムだ。
他はどうにかしようと思えばどうにでもなるが、スイムだけはそうもいかない』
(;'A`)(ちくしょう……!)
辛くて泣きそうだった。
努力でどうにかなる事を信じてドクオは努力をした。
負けるかと頑張った。
そうじゃないのか。
自分はただのピエロなのか。
(;'A`)(くそ、くそ……ッ!!)
無茶苦茶な顔をしていた事だろう。
ドクオは今すぐにでも止めたいと思いながら泳ぎ続けた。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:23:07.67 ID:1ZPj6Gal0
- ξ*゚ー゚)ξ「ブーンは泳ぎはトップの方で来るって言っていたけど……」
デレは目を凝らして見たが、やはりどれがブーンか分からない。
選手はナンバーカードのほかにナンバリングと言って肩や足に油性マジックでナンバーを書く。
これで水泳から上がった選手の番号は把握するのだ。
が、泳いでいる時の腕をかく動作ではナンバーを見ることはできない。
ξ*゚ー゚)ξ「あ、あれがなんだかそれっぽいかも……!」
そう思って見た選手は、現在2番手で並んで泳いでいる。
正にそれがブーンだった訳だが、デレは半信半疑といった様子でその選手を追っていた。
それにしても夏は暑い、応援も楽じゃないなとペットボトルのお茶を飲んだ。
そして目を選手に戻すと、2番手を競う二人の選手の内どちらがブーンか分からなくなっていた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:25:17.46 ID:1ZPj6Gal0
- (;^ω^)(ふぅ、ふぅ……呼吸は短いけど、いい感じだお……!)
ラスト1周になるとブーンはまたスピードを上げて、2位に浮上した。
前の1位の選手までは少し離れている程度、追いつけなくも無い。
(;^ω^)(……!!)
どうする、どうする。
一瞬頭に過る恋人の姿。
いいのか、いい所見せたいがばかりにここで無理をしてもいいのか?
実際腕はかなりピキピキと悲鳴を上げている、バタ足だってまったく使っていないわけじゃない。
体への負担は間違いなく大きくなる。
悩みながらもスピードは落とさない、ゆっくりとではあるがブーンは1位の選手へと近付いていった。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:26:59.23 ID:1ZPj6Gal0
- (;'A`)「はぁ……はプッ!!」
他の選手によって起こされた波が息継ぎを妨害する。
今は少しでも空気が必要だというのに……慌ててその場で顔を上げて息継ぎをした。
フォームが崩れる、ゆっくりとそれを元に戻したがリズムは戻らない。
一気に腕に負担がのしかかってくる。
(;'A`)(死ぬ……死ぬ……死ぬ……)
一かきする度にそんな言葉が頭を舞った。
筋肉はパンパンで、力を入れることすら出来ない。
ただ回転させて、ただ前に進むだけだ。
(;'A`)「ふばはぁっ!」
息継ぎも大分大袈裟になってきた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:28:31.68 ID:1ZPj6Gal0
- 『トップグループがいよいよスイム競技を終えようとしています。
皆さん、拍手で迎えてあげて下さい!』
沸き起こる歓声、疎らな拍手。
ただでさえ熱気こもったこの空間がさらにヒートアップした。
ξ*゚ー゚)ξ(ブーン、頑張って……)
『一位選手と二位選手の差は僅かです。
少し離れて三位の選手が、それ以降はまた少し離れております』
ブーンは一位なのか、二位なのか。
それとも三位なのかそれ以下なのか。
一周抜かしの人達と重なってから、トップがどの選手か見ていても分からなくなってしまった。
どれがトップでどれが二位か、その差はどれだけあるのか。
全ては湖から出てきた時に判明するのだ。
『一位の選手が今、スイムを終えました!』
いよいよ高まる観客のざわめき、熱気。
ツンが心配で見守る中、いよいよ一位の選手が姿を表した。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:30:20.95 ID:1ZPj6Gal0
- 『スイムを一番で上がったのは、ゼッケンナンバー001番フサギコ選手です!』
歓声が一層強さを増す。
頑張れ、ファイト、様々な言葉が沢山疎らに響き渡った。
ξ*゚ー゚)ξ「あ、頑張れ……」
ついついデレも応援してしまう。
この一帯にそんな雰囲気があったのだ。
『続いてはゼッケンナンバー077番、えー……ブーン選手、ブーン選手です!』
再び巻き起こる声援の数々、デレはそれに驚きを隠せないでいた。
一社会人、きっと誰もブーンのことは知らないだろう。
なのに……誰もがトランジットエリアに走っていくブーンに声をかけていた。
ξ*゚ー゚)ξ(寂しいな)
そんな嫉妬を覚えてしまうほどの空間だった。
ξ*^ー^)ξ「ブーン!!」
ブーンはこちらを見ると、軽く手を振って走って行った。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:31:54.47 ID:1ZPj6Gal0
- 『フサギコ選手は1週間後に全国2chトライアスロン大会を控えていながらこの大会に参加し……』
実況の人が言葉を続ける内にも早々にフサギコはバイクをついて、乗車ラインからバイクに移っていった。
ブーンも今回は迷わず自分のバイクを見つけると、すぐに準備してバイクを押して走る。
乗車ラインに到着すると、すぐに乗車して行ってしまった。
ξ*^ー^)ξ「頑張れー!!」
その言葉に今度は反応が無い、少し悲しかった。
同時、ブーンのその懸命な姿に心打たれた。
沢山の人から応援されるその姿に。
『4位、5位の選手も続々と……』
気付けば3位の選手ももうバイクの準備をしていた。
デレは慌ててバイクの応援場所へと移動した。
ブーン:
スイム 19'09"(2位)
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:33:50.65 ID:1ZPj6Gal0
- 今回のコースは6.5kmを6周の周回コース。
プラスその周回コースまでの片道500mが2回で計40kmだ。
走り出しはやはり気分がいいし調子も悪くない。
疲労とは裏腹に足の回転は良好、スピードも全然出る。
(;^ω^)(ここで油断してはいけないお……)
分かってもいるが、色々な事がフラッシュバックする。
前回ジョルジュに抜かれて一気に精神的なダメージが来て減速したこと。
前半飛ばしすぎて後半でだれた事。
(;^ω^)(どうすればいいんだお……)
考えながらも動く足は止めようが無い。
そのままブーンは快調なペダリングでバイクを走らせた。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:35:24.31 ID:1ZPj6Gal0
- (;゚∀゚)(もうトップグループはバイクに移っている頃だろうな……)
ジョルジュは想像以上に周りとぶつかった影響で、ペースは悪くないにしても疲労していた。
腕も疲れているし、バタ足も威嚇のために何度と使った。
(;゚∀゚)(大丈夫だ、疲労よりも精神的な面の方が大きいからな、トライアスロンは)
そう自分に言い聞かせて泳ぎ続ける。
スイムゴールまではあともう少しだ。
(;゚∀゚)(スパート、行くぞこのヤロウ!!)
無理矢理気合を入れてスピードアップするが、周りも同様にスピードアップをする。
ほぼ同じ速さの者が集まっているのだ、当然といえば当然だろう。
結局ダンゴのまま水泳から上がった。
(;゚∀゚)(ち、トランジット勝負か……!)
なまじ実力がある者達はプライドも高い、我先にと歓声の轟く会場を走った。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:36:50.01 ID:1ZPj6Gal0
- 同時に4名ほどが岸に上がり、我先にと走り出す。
その闘争は見ている者をより熱くした。
「負けるなー!」
「いけー!」
(;゚∀゚)(わーってるよ)
そんな事を思いつつ応援に励まされながら、ジョルジュはすぐにウェットスーツを脱いでバイクの準備をした。
が、既に一人はバイクを押して乗車ラインへ向かっている。
(;゚∀゚)(はぇえええ!! ウエットスーツ着てたよなアイツ?)
そう思いながらジョルジュもそれに続いた。
ジョルジュ:
スイム 25'22"(21位)
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:38:57.06 ID:1ZPj6Gal0
- トップとはかなり離れているだろう、それでもジョルジュはマイペースを保ってバイクをこいでいく。
(;゚∀゚)(とりあえずはブーンだな、ブーンさえ見つけれれば抜いて精神的に楽になる。
それまではマイペースでじわじわと追い詰めていくか)
先にバイクをスタートした前の選手に追いつくとそのまま抜き去る。
が、相手も負けじと後ろに付いて来る。
(;゚∀゚)(ったく、ドラフティングは禁止だろ……!)
バイクでは相手の真後ろについて風除けにする『ドラフティング』というテクニックがある。
しかしこれは技術の無い人には危険なため、エリート大会でなければ禁止されている場合が多い。
が、そのルールもあってないようなものだったりする。
ドラフティングをしている人は大会でも事実多い。
そもそもドラフティングの定義が極端であり、狭いコースでは致し方ない場合が多いのだ。
(;゚∀゚)(とりあえずコイツと一緒に前を追いかけるか……)
そしてバイクでは協力が重要である。
これはエリートに限った事ではない、ある一定の速度で走り続けれる仲間を見つける事が重要なのだ。
付いていく相手を誤れば自滅したりタイムが悪いなどざらだ。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:40:39.03 ID:1ZPj6Gal0
- (;'A`)「ッパハァッ!」
ドクオもとうとうスイムのラストに差し掛かっていたが、いかんせん人が多い。
まさか最後の最後までこんなに沢山の人間にもまれると思っていなかった。
場所が悪い、そう言ってしまえばそうかもしれない。
隣に一人、前に二人、後ろに三人。
これらが固まってゴールに向かっていた。
(;'A`)(終わりだ、終わりだ……!!)
ラスト数十メートルが長い。
力が入らない。
進まない。
そんな思いを様々に交錯させながら、ようやくドクオはスイムを終わらせた。
陸に到着し、力を込めて一歩を踏みしめる。
(;'A`)「!!」
そのまま地面にぐしゃりと潰れてしまいそうな感覚だった。
足に力が入らない、むしろ足の感覚が無い。
地面に本当に着いているのだろうか、自分の体を支えられているのだろうか。
(;'A`)「く……ッ!」
それでも止まるわけにはいかない、腰を折り曲げて無理矢理ドクオは走り出した。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:42:22.41 ID:1ZPj6Gal0
- 沢山の声援が聞こえる、しかしそれが全て別世界の事のように感じる。
周りを見渡す余裕なんて無い。
(;'A`)(ブーンも、前回は……こんなだったな……)
そう思いながら途中にある給水で水をもらい、少し口に含んであとは頭からぶっ掛けた。
ウェットスーツを腰まで脱ぐと、そのまま自分のバイクの所まで走る。
走るのが遅い、一緒に上がった集団の中でもっとも遅かった。
(;'A`)(くそ……走れるかよ、こんな足で……!!)
ランニングが3種目めに残っている、それすら忘れてドクオは悪態をついた。
バイクに着くとウェットスーツを脱ぎ捨て、バイクの準備に掛かった。
いざやってみると自分の遅さに苛立つ。
ブーンを見ていた時はもっと早く出来るなどと思っていたのに……甘い考えだった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 20:43:57.23 ID:1ZPj6Gal0
- それでも何とか準備を終わらせるとすぐにもバイクを押して乗車ラインへ向かう。
トランジションで数人抜かしたようだ、トランジットエリアでのんびりしている人を数人見かける。
(よし、頑張るぞ……)
スイムが終わったんだ、一番のネックだと思っていたスイムが終了したんだ。
後は知らない、ひたすらに突っ走るのみだ。
ブーンやジョルジュとは相当な差がついているだろう、もう知ったこっちゃ無い。
ドクオはバイクにまたがると、一気にスピードを出した。
ドクオ:
スイム 28'40"(40位)
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:05:09.97 ID:1ZPj6Gal0
- ('A`)(……?)
体全体がだるい、疲労は感じる。
ペダルをこぐ足に力は入らない。
しかし不思議とバイクは速く進んだ。
(;'A`)「……これならいけるかも……」
体全体で息をしている状態だ。
それでもバイクは不思議にもぐいぐいと進んだ。
既に選手は2人も抜いている。
そうだ、練習は積み重ねたんだ。
幾度も挫折しそうな中頑張ったんだ。
自分の努力を自分が信じなくてどうする。
(;'A`)「光る風、を追い、越したら、君に、きっと会えるね……」
ドクオは歌を軽く口ずさみながらバイクをこいだ。
フォームなんて知らない、体に染み付いている。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:07:01.63 ID:1ZPj6Gal0
- 『ただ今、トップが1週目を通過します』
ξ*゚ー゚)ξ「!!」
また歓声が一際大きくなった。
まだ水泳をしている選手も僅かにいる、それでもどんどんと進んでいくんだ。
トップ選手が目の前をすごいスピードで去って行った。
追うように数人がまとめて目の前を通り過ぎる。
ξ*゚ー゚)ξ「……」
その迫力はすごい。
それもそのはず、何の区切りも無い目の前のコースを選手が40km/h近いスピードで去っていくのだから。
車椅子に乗った自分でも簡単にコースに出て妨害できる、そんな事を考えた。
ξ*゚ー゚)ξ「……すごいな、羨ましいな」
だれかれ構わずに贈る熱い声援、そして区切り無い世界に共存する選手と応援者。
一歩間違えれば大怪我だ、そんな信頼の世界で成り立っていた。
トライアスロンにとって応援者と選手の距離は想像を絶するほど近い。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:08:41.66 ID:1ZPj6Gal0
- そんな『トライアスロン』という競技に呆然としていたが、すぐにも頭をブーンに戻す。
ξ*゚ー゚)ξ「そういえば、2番目に上がったのに……どうしたのかしら」
中々ブーンが来ないな、そう思った矢先に見た事ある姿がこちらに向かってきた。
ブーンだ、辛そうにしながらもバイクをこいで別の選手に必死に喰らいついている。
ξ*^ー^)ξ「頑張れーッ!」
区切りの無い選手と応援者。
その距離が1mも離れていないことは珍しくない。
ブーンは軽く目線を向けて、すぐに通り去ってしまった。
ξ*゚ー゚)ξ「……すごい……」
ポカンとしてデレはその様子を見ていた。
これが……たった一刹那であるが、応援者と選手が近づくその瞬間。
なんとも言えない、言葉では表せない喜びと興奮。
拳を強く握り締めながら過ぎていく選手を眺めていた。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:11:03.76 ID:1ZPj6Gal0
- (;^ω^)「とりあえず1周終了だお……、やっぱり辛いお……」
1周目は調子がいい、そしてまだ足は動かないことは無い。
このままいけるのではと少なからず考えた。
その一方で、このまま行けば前回の大会のようになるような予感がした。
最悪な考えが浮かぶのは人らしい、根拠は無いが自信があった。
このままだと……無理だ。
しかしここでペースを落としても落ちていくばかりだ。
いくしかないのだ。
だったら挑戦してやる、限界まで。
ジョルジュに抜かれるまで、それまで根性でこのままこぎ続けてやる。
(;^ω^)「光る風を、追い越したらー……」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:12:32.15 ID:1ZPj6Gal0
- ジョルジュは好調にバイクを進めていた。
リズムがいい、正直にそう思った。
(;゚∀゚)(これなら……いいタイムでバイクを終わらせてランにも繋げられるな)
今回のコースは6周だ、できれば5周目にブーンを捉えたいと考えていた。
ブーンはバイクがかなり苦手だ、スイムの分は十分にここで取り返せるだろうと思っていた。
(;゚∀゚)(スイムで思ったよりも疲れたからな……調子にだけは乗らないようにしないとな)
1周、そして2周と調子よくこいでいった。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:14:30.30 ID:1ZPj6Gal0
- (;'A`)「フッ、フッ、ヒュッ、フッ!」
息が早く荒い。
体中に疲労が溜まり切っている。
足なんてガクガクだ、バイクを降りたら立てるかどうかも怪しい。
それでもドクオは頑張ってペースを守り続けた。
力の入らない足を回転させ続けた。
(;'A`)(くそっ、くそがっ、……!!)
そんな良く分からない蟠りをぶつけながらひたすらにこいでいた。
どれだけ抜いたか分からない、どれだけ抜かれたか分からない。
ブーンやジョルジュに追いつけるなんて思ってもいない。
運動経験の無かった自分に、順位やタイムのプライドはない。
それでも……努力と根気だけは負けないと自分で自分を信じていた。
努力しても不甲斐ない自分が嫌で、だから自分に鞭打っていただけかもしれない。
(;'A`)「ヒュッ、ヒュぅ、ヒュッ!」
この上ないMだ。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:18:42.35 ID:wAkA1VEB0
- 『トップがいよいよラスト、6周目に入ります』
アナウンスがかかるとすぐにも三人ほどの塊が目の前を過ぎていった。
観客は再び水を得た魚のように歓声を上げた。
ξ;゚ー゚)ξ「ふあー、やっぱりすごいなぁ……」
トップがきた時に歓声が大きくなるのは分かるが、
誰か選手が来るたびに大きな声で応援している人は少なく無い。
自分もそうしていたが、すぐにも疲れて応援が止まってしまった。
ξ;゚ー゚)ξ(皆どこから声出しているんだろう……?)
そんな事を思いながらペラペラと大会のプログラムをめくっていた。
ブーン達が出た種目の参加者は142人。
スタートは年齢で数分程度ずれるそうだが、ほとんど同時スタートに近い。
ξ*^ー^)ξ「そういえば、同じ会社の人も出るって言ってたよね」
ブーンはゼッケンナンバー077番。
その前後を見ると、ジョルジュは076番、そしてドクオが078番。
ξ*゚ー゚)ξ「確かこんな名前の人達だったわよね」
そうこうしていると、時間的にそろそろブーンが通るのではないかという時間になった。
デレはプログラムを閉じると、目を選手たちに向けた。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:20:17.12 ID:wAkA1VEB0
- (;゚∀゚)(捉えたぞ……ブーン!)
予想よりも捉えるのが遅くなり精神的に厳しかったがジョルジュだったが、5周目で何とかブーンを目視できた。
そして5周目も終わろうという時、そのブーンに並びかける。
すぐにもブーンはそれを振り切った。
(;^ω^)(今抜かれたら……精神的に厳しいお、もう少しだけでも、何とか逃げないと……!)
(;゚∀゚)(逃がすか!)
ジョルジュがさらにもう一度畳みかけようとするが、またブーンは逃げる。
そのまま6周目に突入した。
(;^ω^)(残り7キロ……それだけ逃げ切るのは無理だお、だけど出来る限り……!)
(;゚∀゚)(どこまで持つかな?)
正直ブーンはジョルジュに追いつかれる前までは、
前大会と同様30km/hを切るようなペースでしか進めないほど疲労していた。
ジョルジュに反抗して一気に力を込めてスピードを上げるが、限界はもうすぐそこだった。
(;^ω^)(くおっ、おッ!)
争う二人に、さらに他の選手も混ざってくる。
三つ巴での争いとなった。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:21:53.19 ID:wAkA1VEB0
- デレの前を通過したブーンだったが、必死の形相で自分に気付いてくれなかった。
同じ会社の人と並んでの勝負となっており、その目はコースの先だけを見ていた。
応援もしたが、こんなに近くから応援したが……届かないほどに集中していた。
ξ*゚ー゚)ξ「……あーあ、やっぱり妬いちゃうな」
そう思った目の前をまた選手が通り過ぎていく。
見た事のある人なんてそうそういない、百人以上の参加者があるのに覚えてもいられない。
すぐにも次の種目であるランの応援場所に移ろうとした。
ξ*゚ー゚)ξ「……ん?」
ここでデレは少し考える。
ξ*゚ー゚)ξ「さっき通過した人って……あれ? もしかして……」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:24:30.47 ID:wAkA1VEB0
- (;'A`)「ハヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!!」
(;^ω^)(ドクオ……!?)
(;゚∀゚)(コイツ、バイクで来るか……!?)
ブーンとジョルジュの争いに絡んできたもう一人の選手、それはドクオだった。
スイムでかなりの差をつけられたにも拘らず、彼はここまで登ってきたのだ。
精神的なアドバンテージがあった。
(;'A`)(絶対に……抜く、ここまで来たら二人とも抜く!!)
(;゚∀゚)(ち、コイツ……速い、ペースが崩される……)
ジョルジュは太ももに力を入れてペースを上げるが、それも長くは続かない。
ブーンを振り切るもすぐにドクオに飲まれた。
(;'ω`)(ダメだお、とてもじゃないけど……もう足はカラカラなんだお……)
ブーンのスピードメーターは再び30km/hを割った。
そして二人から次第に離れていった……。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:25:56.92 ID:wAkA1VEB0
- ブーンをまいてからもまだ二人の争いは終わらない。
ジョルジュは緩急をつけてドクオのペースの破綻を誘うが、ドクオはまったくのってこない。
失敗したという精神的なダメージ、そして緩急をつけるのにはかなりの体力を消耗する。
ジョルジュはとうとうドクオに前を譲った。
それでも喰らいついていく。
(;゚∀゚)(残りは4km……ちょっと辛いか!?)
(;'A`)(このままのペースで、このままのペースで行けば絶対にジョルジュさんは落ちる!
このままのペースでいけ、根性と忍耐は負けないだろうドクオ!)
自分で自分に活を入れてドクオはペースを守った。
そして読み通り……ジョルジュとの距離は次第に広がった。
(;゚∀゚)(ドクオ……くそっ!)
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:27:31.22 ID:wAkA1VEB0
- デレはトランジションエリアで、後に来るだろうブーンが良く見える場所に移動していた。
ブーンの番号は077番、その番号が記されたバイクの台。
ここがブーンが次の種目に向かって準備する場所なんだ。
次々に来る選手、まだかまだかとデレはブーンを待った。
ξ*゚ー゚)ξ(……あれ、もしかして……)
ブーンと似た番号の選手がやってくると、そのままデレの前でバイクを置いて靴を履き替えだした。
78番の選手、すぐにプログラムで確認した。
ξ*゚ー゚)ξ(……ドクオさん?)
やっぱり同じ会社の人だった。
その男は靴を履き替えるとその場で止まった。
走り始めないのか、そう思っているとまた一人やってくる。
ξ*゚ー゚)ξ(76番……ジョルジュさん、さっきブーンが競っていた人ね)
ジョルジュが来たと同時に、ドクオはすぐにドスドスと滅茶苦茶に走り出した。
上半身はグラングランとぶれている、見ているデレでさえ心配になった。
ξ;゚ー゚)ξ(大丈夫かしら……)
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:29:20.82 ID:wAkA1VEB0
- ドクオは首に力も入らない、そんなグラグラした走りでランのスタートラインを跨いだ。
(;'A`)(やった、勝った、ジョルジュさんとブーンに、勝った……)
ラインを超えたと同時、すぐに膝に両手をついた。
その場で肩で息をした。
走れない。
膝を折り曲げて座り込んだ。
(;'A`)(勝った……くそ、勝ったのに……)
その後何とか立ち上がると、力無い足を、安定しないままに前へと出していった。
とても走れていない、今にも倒れそうだった。
ドクオ:
スイム 28'40"(40位)
バイク 1:07'58"(9位)
スプリット 1:36'38"(18位)
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:30:51.21 ID:wAkA1VEB0
- ジョルジュがトランジットに行くと、ドクオは今にも倒れそうにその場に立ちすくんでいた。
それでも彼と目が合うと、それに反応して逃げるかのように走り出した。
(;゚∀゚)(ドクオ、確かに良くやったが……頑張りすぎだ。
せいぜい熱射病で倒れるなよ?)
荒れる息を落ち着けながら、かつ慎重に靴を履き替える。
一度大きく息をした。
(;゚∀゚)(うし、行くか!)
そしてジョルジュも走り出し、勢い良くランのスタートラインを超えた。
ジョルジュ:
スイム 25'22"(21位)
バイク 1:11'25"(19位)
スプリット 1:36'47"(19位)
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:32:27.73 ID:wAkA1VEB0
- ドクオが倒れそうになりながらも走ろうと足を動かした直後、背中をポンと叩かれる。
(;゚∀゚)「ファイト!」
(;'A`)(……ジョルジュさん)
そのまま言葉を発する前にジョルジュは走り去った。
どこにそんな足があるというのか、どうやって追いつけというのか。
足を前に出すのすら出来ない、ガクガクで、体の疲労が激しくて、今にも倒れそうで。
精神的に一気に追い詰められて本当に倒れそうになった。
それでも……何とか頑張ろうとドクオは足を進めた。
(;'A`)(走らなきゃ……ランニング、走らなきゃ……)
とぼとぼと、歩くようなスピードだったが決して歩いていなかった。
彼は必死の形相で、今にも折れ曲がりそうな足を動かして走った。
(;'A`)(くそ、いつもの練習ならもっと速く……くそ、くそッ!!)
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:33:58.21 ID:wAkA1VEB0
- 先行した二人に少し遅れてようやくブーンがトランジットエリアに到着した。
それを見てデレも安心する。
事故でもあったのじゃないかと少なからず心配になっていたのだ。
そしてデレの前で準備を始めた。
ξ*^ー^)ξ「ブーン、頑張って!」
そんなデレをチラと見て、軽く笑って見せた。
ただそれ以上の反応は無く、歓声の中ランニングへと移って行った。
ξ*゚ー゚)ξ「……あーあ、やっぱり悔しいな」
ブーン:
スイム 19'09"(2位)
バイク 1:19'04"(60位)
スプリット 1:38'13"(22位)
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:36:35.75 ID:wAkA1VEB0
- 今回のランニングは、片道5kmのコースの往復だ。
前や後ろとの距離が折り返しの時に確認が出来る。
しかし距離感の無いボロボロの足で一度に5kmというのは精神的にきついものだ。
前回のように2往復なら2.5kmを4回と区切れたが、今回は1往復で5kmを2回としか区切れない。
5kmを走るだけの集中力、闘争心、それらを最低限維持しなくてはならない。
(;゚∀゚)(5km折り返しか……それまでブーンたちとの距離が分からないのは辛いな。
追いつかれることは無いだろうが、正直自分もかなり辛いからな……)
膝がガクガクとする。
モモは上がらず地面を蹴っても全然前に進まない。
足を前に出すのですら一苦労だ。
そう、いつも通りのトライアスロンのランだった。
そんなボロボロの極限状態で最後の順位を競う、貪欲な争いだった。
(;゚∀゚)(くっそ、足の裏が痛ぇ……腕も全然振れんな、今回はやばいかもしれないな……)
ジョルジュはペースを落としながら、一歩一歩といった調子で走って行った。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:37:42.86 ID:wAkA1VEB0
- ブーンが走り出すと、すぐにも体は限界を示した。
ぐっと地面を踏みしめるたびに筋肉が悲鳴を上げる。
(;^ω^)(相変わらずバイクの後は地面に慣れないお……)
腰が低くなって地面との接地が分からない。
力の入れ方が分からない、走り方が分からない。
そう思いながらもブーンは何とか足を前に出していった。
そう、ずっと見えているドクオを目標として。
歩いているほどのスピードしか出せていない、そんな彼に向かって進んで行った。
(;^ω^)(ドクオ、流石に負けれないお……!)
そしてブーンはドクオを抜き去った。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:39:07.29 ID:wAkA1VEB0
- (;^ω^)「ほら、最後だお!」
ブーンがこう声をかけてドクオの隣を過ぎていく。
(;'A`)(ブーンに……抜かれた……)
そしてドクオはその足が一気に重くなるのを感じた。
今までこんなに足が重くなった事なんて無い。
あんなに頑張った練習はどうしたんだ。
負けないほど、どんな状態でも走れるほど練習をしたのに……。
(;'A`)「ハヒュ、ハヒュゥッ!」
呼吸音が自分の思考を遮る。
ダメなんだ、もう限界なんだ。
とうとうドクオはその足を止めてしまった。
走る事を止め、歩き出した。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:40:21.20 ID:wAkA1VEB0
- 暑い。
なのに汗をかかない体、そんな事をブーンが言っていたのを思い出した。
トライスーツについた多量の塩分。
動かす気にもならない腕。
(;'A`)(もう……無理だ、無理なんだ俺には……)
否定的な言葉ばかりが思いついた。
ノロノロと、項垂れた体を前へと動かしていく。
歩く事がもどかしかったが、走る事など到底考えられなかった。
(;'A`)(無駄な努力だったんだな……ああ、バカみてぇ……)
虚ろな目でその先に長く続くコースを見て、またネガティブに浸った。
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:41:56.60 ID:wAkA1VEB0
- (;゚∀゚)(くそ、そろそろ5km地点だろ? とっくにそれくらい走っただろ?)
ジョルジュはそう思いながら、息を切らして走り続けていた。
想像以上の疲労があった。
相手の事を考える余裕が無い、自分がどのように完走するかばかり考えていた。
(;゚∀゚)(次のカーブで折り返しあるだろ、無かったら完走できないぜ?)
そう思いながらカーブすると、その先に折り返しなど見えない。
軽く文句を口にしながら走って、カーブになるとまた同じように考えながら曲がった。
それの繰り返し、ただ繰り返しというのは精神的には意外に楽だったりもする。
その内にようやく折り返し地点がジョルジュの前に見えた。
やっとかとそこに用意されたコーンを曲がる。
(;゚∀゚)(来た道を帰るのか……あー骨が折れる、できるかねぇ?)
そんなふざけた事を考えながら、少しづつゴールへの残り距離を縮めていった。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:43:16.90 ID:wAkA1VEB0
- 普段応援者が近く、沢山いるトライアスロンにおいて、
ラン種目で片道5kmもの距離を走るのは孤立を意味する。
流石に応援者もそこまで離れた場所へは向かわないし、ゴールを見ようと構えているものだ。
1kmも走れば誰もいなくなる、給水に辛うじてスタッフがいるだけだろう。
一気に応援が無くなり、周りは選手だらけになる。
誰も見ていないという隙、そういったところからも簡単に気力は散っていく。
ドクオも例外ではなかった。
(;'A`)(今止まっても、誰にも気付かれないよな……。
っていうかもういいじゃん、良くやったよ自分、もうリタイアすればいいよ……)
当然リタイアする気など無い。
ただ何か考える事が欲しいんだ、そうすると大抵そんなことばかり考えてしまうんだ。
(;'A`)(ちくしょう、バッカみてぇ……)
ドクオは走る気などまったく見せずに、ひたすらに悪態をつきながら歩いた。
もう何人に抜かれたかなんて知らないしどうでも良かった。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:44:51.31 ID:wAkA1VEB0
- (;^ω^)「ハァッ……はぁ!」
応援のなくなった地帯をブーンは必死に走った。
喉が痛い、体が重い。
動かない。
(;^ω^)(もう少しだお、もう少し……)
(;゚∀゚)「ブーン!」
折り返しを曲がったジョルジュさんとすれ違う。
(;^ω^)「おっふぉっ! ファイトだっおッ!」
(;゚∀゚)「おう!」
ジョルジュさんとすれ違ったという事はもうすぐ折り返しだろうか。
そう思っても所詮は折り返しだ、まだまだ先は長い。
ただ、ジョルジュさんと軽く声を交わしたことで幾分元気にはなった気がする。
(;^ω^)(頑張るお、頑張るお……!)
最後だ、そう思いながらひたすらに前に進んだ。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:46:40.17 ID:wAkA1VEB0
- (;'A`)(痛い……もう無理だ、くそ!)
足が痛い、腰も臀部も痛い。
歩いていても呼吸は短く苦しい。
地面に足が着くたびなんとも言えない筋肉の悲鳴があった。
(;'A`)(……くあっ!)
突然足が攣りそうになり、その場でアキレス腱を伸ばした。
一度攣りそうになった足はその後ずっとドクオを苦しめ続けた。
同じ場所だけが何度と攣りそうになり、少し進んではストレッチ……といった様子だった。
(;'A`)(……あんなに頑張ったのにな)
練習ではもっと速くもっと楽に走れたはずだ。
バイク練習の後に走る練習だってした。
誰にも頼らずに、一人で必死に頑張ったんだ。
なのに……この仕打ちか。
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:48:49.71 ID:wAkA1VEB0
- (;゚∀゚)「ドクオッ!!」
短い叫び声、向くと復路のジョルジュさんがいた。
辛そうな顔、くちゃくちゃになった顔でそれでも叫んだ。
(;゚∀゚)「おいっ、頑張れ、走れッ!」
大きく叫ぶと、息を乱して減速した。
それでも叫ぶのをやめない。
(;゚∀゚)「走れ、もう最後だぞ!」
(;'A`)「……あ、はいッ!!」
そうだ、何を甘い事をしているんだ自分は。
皆が辛いに決まっているんだ、皆が歩きたくて皆が止めたいなんて雑念と戦っているんだ。
何のための練習だ、走りきる為だろう。
速い遅いじゃない、走りきる為だろう。
(;'A`)「はいッ!」
多分ジョルジュさんにはもう聞こえていないだろう、大きく一度声を出して足を進めた。
やはり遅いスピードだった、とてもこれ以上はペースアップできない。
それでも構わない、ドクオは攣りそうな足を気遣いながら、ゆっくりと走った。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:50:24.62 ID:wAkA1VEB0
- (;'ω`)(もう限界だお、いい加減にして欲しいお……)
ブーンは折り返しを曲がったが、それでも精神的に楽になることはなかった。
むしろまた残り5km何も目印が無いのかと思うと、うんざりしてネガティブになっていった。
(;'ω`)(歩きたいお、きっと歩いたってドクオには負けないお……)
そんなブーンを、ラン重視の選手は軽く抜き去っていく。
呼吸は短いも、安定したフォームで到底抗えない。
それはまたブーンを追い詰めた。
(;'ω`)(僕は泳ぎたいんだお、だから別にランは歩いたって構わないんだお)
ラン自体は、前大会に比べればよっぽど楽でいいペースだった。
それでも……だから頑張れるかというとそうではない。
前回の記録は抜きたい、だからと言って自分をこれ以上追い込みたいとは思わない。
既に限界には達しているんだ、それ以上追い込むことなんて容易では無い。
アゴが上がる。
顔をしかめる。
そんなブーンは、ようやくドクオとすれ違った。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:52:11.53 ID:wAkA1VEB0
- ドクオはバテバテだった。
見ていて大丈夫かと言いたいくらい。
足もフォームもばらばらで、目に力は無い。
体など今にも転びそうなほど揺れていた。
それでも彼は走っていた。
折り返しもまだ曲がっていない。
そんなまだまだ先だろうゴールへ向けて、一歩一歩を踏みしめていた。
(;'A`)「ブーン、ファイトッ!!」
(;^ω^)(……ドクオ、彼よりは全然マシだお、頑張れ僕!)
(;^ω^)「おっおっ、ファイトッ!」
ペースアップは容易に出来ない、それでもこのままのペースを頑張ってキープした。
足が熱い、激しい熱を持っている。
それでも……ブーンは頑張って走った。
残りは少しだ、そう思って走った。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:53:16.17 ID:wAkA1VEB0
- ゴールまでおおよそ100m、そこまで来てようやくジョルジュの表情にも笑顔が出た。
これで最後だ、最後の力を振り絞って走った。
(;゚∀゚)(あとと、これは……ちょっとスパート早すぎたな、調子乗った……!)
笑顔を再び潰しながらも、もう少しだと走った。
足はもうこれ以上上がらないというくらいまで上げた。
腕もこれでもかというくらい振った。
(;゚∀゚)「それ見ろぉッ!」
ガッツポーズでゴールテープを切った。
季節的なものもあるが前回よりも辛いレースだった。
それだけにゴール後の達成感はまた格別だ。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:54:29.33 ID:wAkA1VEB0
- そのまま一段落したかったがそうもいかない。
給水をして体を休めたら、すぐにも来るであろうブーンのためにドリンクや補助の準備をしなくてはいけない。
レース慣れしている、仕事としてもアスリートとしても先輩であるジョルジュの気遣いだった。
(;゚∀゚)「あー……ふぅ、とりあえず飲み物もらってくるか……ふぅ」
ξ*゚ー゚)ξ「ジョルジュさん?」
そんなジョルジュに、車椅子に乗った女性が声をかけた。
そしてドリンクを手渡ししてくれる。
ξ*^ー^)ξ「お疲れ様です」
(;゚∀゚)「あー……ああ、どうも」
とりあえず渡されたドリンクを一気に飲み干した。
(;゚∀゚)「それで、どちらさま?」
ξ*^ー^)ξ「はじめまして、ブーンの恋人のデレです。
改めてお疲れ様でした」
(;゚∀゚)「ブーンのね、はいはい」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:56:37.67 ID:wAkA1VEB0
- ジョルジュはうんうんと一人で頷いた。
(;゚∀゚)「ブーンならもう少し後になりますよ」
ξ*^ー^)ξ「はい、親切にありがとうございます」
デレもそれくらい知っていたのだろうが、笑顔でお礼を返した。
いい人だ、ジョルジュはすぐにもそれを感じた。
二人でドリンクのサービス場所へ行くと、ジョルジュはこれでもかと飲み物を体に注ぎ込んだ。
デレはブーンの分とカップを一つずつ両手に持って、また二人でゴール地点へと移動した。
( ゚∀゚)「そこまで遅れてなかったから、もうじきに来るんじゃないかな?」
ξ*^ー^)ξ「すみません、色々と。それにレースが終わったばかりなのに……」
( ゚∀゚)「全然いいよ、大会に出る仲間が増えて俺自身も嬉しいんだ」
( ゚∀゚)(ブーンのヤロウ、いい人見つけてんじゃねぇか……今度おちょくってやるか)
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:57:52.51 ID:wAkA1VEB0
- しばらく待っていると、ようやくブーンが現れた。
残りは100m、しかし彼も相当バテバテなのだろう、ラストスパートをする事無く走ってくる。
ξ*^ー^)ξ「ブーン、がんばれー!」
( ゚∀゚)「ほらラストだぞ頑張れッ!」
二人の方を見てふっと笑うと、そのままペースを上げずに走ってきて力無い腕を上げてゴールテープを切った。
そのままアスファルトにごろんと倒れる。
(;^ω^)「ハヒュ、ヒューッ! ……ヒューッ!」
前回よりもいいタイムで走れただろうが、前回よりももっと頑張った。
足全体がカクカクと笑っている。
そんなブーンの元に二人は駆け寄った。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 21:59:27.73 ID:wAkA1VEB0
- ξ*^ー^)ξ「ブーン、お疲れ様。はい、飲み物」
(;^ω^)「ありがとう、だお……」
飲み物を受け取ると、一気に口から流し込んだ。
汗腺からぷつぷつと汗がにじみ出てきた。
( ゚∀゚)「お疲れ」
(;^ω^)「はい、……ですお」
口端を引き攣らせて、苦笑いした。
( ゚∀゚)「ドクオはもっと後だよな?」
(;^ω^)「結構後ろだったお、もうちょっと……かかると思います、お」
話をしながら、次々にブーンはドリンクを飲み干した。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 22:01:14.67 ID:wAkA1VEB0
- 地面に足が着くたびに、体全体が崩れそうだった。
傾く体、自分でもどうしてこれほど上半身が横になっているのかと疑問に思うほどだ。
ゴールが近付くとポツリポツリと応援者が出てくる。
「頑張れ、もうちょっとだー!」
自分に向かって見ず知らずの人が応援してくれる。
笑いを返す余裕すらなかった。
ゴールという言葉にもまったく反応できなかった。
(;'A`)(何やってんだろ……もう、終わりたいよ……もう何でもいいよ……)
それでもドクオは歩かなかった。
絶対に走り続けようと足を動かした。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 22:02:54.29 ID:wAkA1VEB0
- 前に歩いている選手がいる。
自分は走っているのにまったく距離が近付かない。
悔しかったが、それでもやはりドクオは歩かなかった。
(;'A`)(くそ……あちぃ)
太陽はギラギラと照りつける。
アスファルトからの熱気が体を追い詰める。
脹脛やモモは異常なほどの熱を持っていた。
体全体がこれほどまで熱くなった事などなかっただろう。
(;'A`)(はぁ、ゴール……見えているのに……)
もうゴールゲートは見えていた。
見えていたが……距離が全然近付かない。
遠かった。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 22:04:33.82 ID:wAkA1VEB0
- ξ*゚ー゚)ξ「大丈夫?」
(;^ω^)「大丈夫だお、ドクオには走ってて力をもらったから応援したいんだお」
( ゚∀゚)「あー、そういう中腰体勢を見ていると膝カックンしたくなるな」
(;^ω^)「勘弁して下さいお……」
ブーンはしばらく休んでいて体の疲れをとると、立ち上がって二人と一緒にゴールゲートに移動した。
そしてドクオのゴールをまだかと待ち望んだ。
そしてしばらくすると、小柄な体形をした男がこちらに走ってきた。
(;^ω^)(ドクオ……)
最後まであきらめずに、体を傾けながらひたすら走るドクオにブーンは感銘を受けた。
頑張れ。
心の底からそう思った。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 22:06:17.86 ID:wAkA1VEB0
- ( ゚∀゚)「ドクオー! ほらもう少しだ踏ん張れ!」
( ^ω^)「ドクオ、ラストもうちょっとだお頑張るお!」
ξ*^ー^)ξ「ドクオ君、最後よ頑張って!」
三人はまだ遠いドクオへ向かって大きく声を出したが、その声すら薄れるほど沢山の声がドクオを応援していた。
見知らぬおばさんが。
子供が。
老夫婦が。
その声に合わせるように、ドクオの足は止まる事無くゴールに動いた。
ゴールはすぐそこだ、ラストスパートをかけようという気にはならなかった。
ただ……もっとこの声援の中で走っていたいとは思った。
ドクオはゴールテープを切った。
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 22:07:42.00 ID:wAkA1VEB0
- ゴールテープを切ると二、三歩歩いてドクオはその場に座り込んだ。
(;'A`)(終わった、ようやく……)
喜びとかそういう感情に浸る余裕は無かった。
むしろ悔しさばかりが湧き出た。
(;'A`)(くそ……情けねぇ、くそ……)
そんなドクオの元に駆け寄る3人がいるのを発見すると、思わず笑みが出てその場にごろんと寝転がった。
( ^ω^) ゚∀゚)*^ー^)ξ「お疲れ様!」
そう言ってドクオに水をかけるブーンにジョルジュ。
デレはドクオにドリンクを渡した。
そのドリンクを飲み干して一息つくと、ドクオは叫ぶ。
(;'A`)「あー、えれぇッ!! もうぜってートライアスロンなんて出ねぇえええッ!!」
( ゚∀゚)「はじめは皆そう言うんだよ」
倒れるドクオの横で、皆は笑って見せた。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 22:10:36.49 ID:wAkA1VEB0
- トライアスロン選手権大会 in ニューソク
ショートの部:51.5km(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km)
参加者 142人
ジョルジュ:
スイム 25'22"(21位)
バイク 1:11'25"(19位)
スプリット 1:36'47"(19位)
ラン 47'00"(29位)
総合 2:23'47"(25位)
ブーン:
スイム 19'09"(2位)
バイク 1:19'04"(60位)
スプリット 1:38'13"(22位)
ラン 53'24"(60位)
総合 2:31'37"(46位)
ドクオ:
スイム 28'40"(40位)
バイク 1:07'58"(9位)
スプリット 1:36'38"(18位)
ラン 1:14"07(138位)
総合 2:50'45"(96位)