- 3
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:30:57.71 ID:AheiblmhO
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―…
…その話をする前に…2年になった訳だし、少し、後輩についての話をしとこうか
从'ー'从「ショボン先輩、おはようございます〜」
(´・ω・`)「おはよう、渡ちゃん」
僕のパートには渡辺さん、通称・渡ちゃんが入ってきた。
例年、うちのパートは1人しか後輩が入らないんだ。
チューバなんていっぱいいても邪魔なだけだしね。
- 4
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:32:21.43 ID:AheiblmhO
从'ー'从「ショボン先輩〜。低い方のFの音が出ないんですよ〜」
(´・ω・`)「あー、あれは辛いよね。出来るだけ喉を開いて、腹式をしっかりやれば出るよ」
从'ー'从「ふぇえ〜…辛いです…」
なんだかふわふわして、シューさんとはまた違った意味で捉えどころがない子だった。
僕は一人っ子だから、妹が出来たみたいで毎日練習が楽しかったな。
うちの吹奏楽部は、基本的に2年で引退だから…ツンさんがいないのはさみしかったけどね。
まぁ時々、ちゃちゃ入れには来たけど。
- 5
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:34:24.97 ID:AheiblmhO
あぁ…ちなみに、しぃのパートにも、強烈な子が入ってきてね。
ノパ听)「しぃ先輩ぃいい!!ハイBが出ないぞぉおおお!!」
(*゚听)「気合いだけじゃダメよ!落ち着いてぇええ!!」
ノパ听)「わかったぞぉおおおお!!落ち着け私ぃいいいい!!うぉおおおおおおお!!」
(*゚听)「だから落ち着けぇええええええ!!」
素直ヒート…そう、シューさんとクーさんの妹だった。
シューさんに憧れて、このニュー速高校吹奏楽部に入ってきた訳だけど…。
物事をハッキリ言うこと以外は全く似てない姉妹だったな、うん。
- 8
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:39:06.38 ID:AheiblmhO
あぁ、それと、その年のコンクールも去年と同じく金賞だったよ。
ただ県大会にはまた届かなかったけどね。
ツンさんは、受験勉強を理由に出場を辞退したけど、シューさんは3年ながらコンクール出てたから…ちょっと悔しそうだったな。
lw´‐ _‐ノv「悔しくなんかない…私が私である限りッ!アイルビーバック!ルビーの鞄!ルビーバック!!」
とか言ってたな。
- 9
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:41:11.36 ID:AheiblmhO
そんなこんなで特に大きな変化もなく、僕らも相変わらず順調な付き合いを続けてたんだけど…。
(´・ω・`)「引っ越し…?」
(*゚ー゚)「うん…」
忘れもしない。
あれは2年の9月。
コンクールが終わって、一段落した新学期。
その言葉は、突然放たれた。
- 10
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:44:14.27 ID:AheiblmhO
彼女の父は大手電子産業の社員だったんだけど、その能力を買われて、都会の本社に異動することになった、ということだった。
(´・ω・`)「……何月…?」
(*゚ー゚)「来年の春…だから新学期から新しい学校、ってことになるみたい」
(*゚ー゚)「幸い、近くに3年からでも受け入れてくれる高校も見つかってさ。レベルもうちとあんまり変わりないし…そこんとこは問題なさそう」
- 11
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:47:35.54 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「…単身赴任って訳には行かないの?」
(*゚ー゚)「うん…多分そっちにいったら、そこからの異動はもうないみたいなの。よほど父さんの能力が買われたみたい」
(´・ω・`)「でも…3年だけ違う高校なんて……あんまりじゃないか!」
(*゚ー゚)「うん…父さんもすごく申し訳なさそうだった」
(*゚ー゚))「でもこんな出世話、めったにないから…私の高校生活のためだけにふいには出来ないよ」
(´・ω・`)「……そんな…」
(*゚ー゚)「でも、大丈夫だって!私は、愛に距離なんか関係ない、って思ってるから!」
(´・ω・`)「……………」
- 12
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:50:12.08 ID:AheiblmhO
何度も言うけど、この時の僕は、恋愛に関してド級の初心者だった。
当時の僕にとって、彼女はあまりにも大きな存在となっていた。
そんな僕に、そう簡単に事を呑み込めるほどの寛容さはなかったんだよ。
(´ ω `)「………だよ……」
(*゚ー゚)「?」
(#´・ω・`)「…綺麗事だよ!そんなこと!」
(*゚ー゚)「えっ…」
(#´・ω・`)「言うのは簡単だよ!だけど実際はそんなに甘くはないよ!!会えないってことがどれだけ大きなことか…君は……君はわかってない!!」
(*゚ー゚)「なッ……!」
- 13
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:53:09.08 ID:AheiblmhO
(#´・ω・`)「いつでも近くにいる、だからこそ想いは霞まずに繋がっていられるんだよ!…人間は……“忘れる”ことが出来る………忘れてしまう生き物なんだよ…」
(*゚ー゚)「うッ……!」
(*゚ー゚)「…そんなこと…そんなことないよ!!私は…私は…ッ………」
(#´・ω・`)「……………」
(* ー )「……嫌だよ…そんなの…私だって…でも……」
(* ー )「………でもッ…どうしようも…ないから…」
(´・ω・`)「…………しぃ……」
(´・ω・`)「……いや…悪かった…ただの僕のワガママだ…言い過ぎた……」
(* ー )「………………」
(*゚ー゚)「………ううん…ショボンくんは、悪くないよ…」
- 14
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:55:39.00 ID:AheiblmhO
- それ以上は…何も言えなかった。
自分の中でも、上手く表現出来ない気持ちが、心の中を渦巻いていた。
(*゚ー゚)「……じゃあね、また明日」
(´・ω・`)「うん、気をつけて…」
あの日…有耶無耶にしたことが、間違いだったのかな。
あの時に、ハッキリと別れていれば、彼女はただの思い出になったのかもしれない。
- 15
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:58:28.60 ID:AheiblmhO
あの日を境に、僕らはなんとなくぎこちなくなっていった。
僕は彼女の引っ越しについて、あくまで納得がいかなかった。
それほどまでに彼女を愛していたから。
そんなエゴだけじゃなんの意味もないんだってことを、当時の僕は理解していなかった。
そして…彼女が引っ越しの事実を話してから一週間後、彼女から久しぶりにデートに誘われたんだ。
(´・ω・`)「……おはよう」
(*゚ー゚)「おはよう」
(´・ω・`)「行き先…決めてないけど…どうする気?」
(*゚ー゚)「行きたいとこがあるの。ついて来て」
(´・ω・`)「………うん」
- 16
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 20:59:59.03 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「……………」
(*゚ー゚)「ごめんね。行き先言わないで…お金、大丈夫だった?」
(´・ω・`)「…まぁね」
特に弾まない話をしながら着いた先。
それは…あの日の遊園地だった。
(*゚ー゚)「…久しぶりだね、ここ来るの」
(´・ω・`)「…うん。あの日以来だね」
僕にはこの時、ある予感があった。
彼女に別れ話をされるんじゃないか、って予感がね。
ズルズルと微妙な関係を続けてた矢先に、こんな思い出の場所に連れてくるなんてさ、そうとしか思えなかったんだ。
- 17
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:04:24.69 ID:AheiblmhO
(*゚ー゚)「とりあえずさ、今日は純粋に楽しみたいの。行こっ、ショボンくん」
(´・ω・`)「…うん。わかった」
(*゚ー゚)「さーッて!そうと決まれば、行くよッ!ショボンくん!」
(´・ω・`)「うわわッ!引っ張るなよ!痛い痛い!」
子供みたいにはしゃぐ姿は、あの時と同じだった。
あの日はまだ片想いだったんだな…なんて感傷に浸りながらも、僕らの…最後のデートは始まった。
- 20
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:07:13.69 ID:AheiblmhO
(*"゚□゚")「はーッ…はーッ……」
(´・ω・`)「…あのさ…大丈夫?」
(*"゚ー゚")「ッ何がかしら?全然!全然恐がってなんかいないんだからねッ!」
(´・ω・`)「まったく…お化け屋敷の何が怖いん…」
('A`)「バァッ」
(;´・ω・`)「うわぁああああああああああああ!!」
(*""□"")「いやぁああああああああああああ!!」
(゚A゚)「ひゃぁああああああああああああ!!」
- 21
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:08:43.21 ID:AheiblmhO
(;´・ω・`)「はぁ…はぁ…びっくりした…なんだあのお化け役の人……」
(;゚ー゚)「な…なによ!ショボンくんだって恐がってるじゃない!」
(;´・ω・`)「恐がってるんじゃなくて驚いただけだし!君とは違うよ!」
(*゚皿゚)「きー!私だって驚いただけだもん!!恐いものなんかないよ!!」
(´・ω・`)「へぇ…言ったね?」
(*゚ー゚)「………え?」
(´・ω・`)ニヤニヤ
- 22
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:13:30.07 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「さっ、行こうか」
(*゚ー゚)「ねぇ…ショボンくん………本気…?」
(´・ω・`)「恐いもの、ないんでしょ?じゃ、ジェットコースターくらい余裕でしょー」
(*゚ー゚)「いやでも…絶叫系は私………」
(´・ω・`)「あれ?やっぱり恐い?だよね〜。やっぱりしぃには無理だよね〜。怖がりしぃちゃ〜ん!」
_,
(*゚∧゚)ムッ
(#゚□゚)「やってやるぁあああい!!しぃちゃんに怖いものなんか…なぁあああああああい!!」
(´・ω・`)(……単純バカ…)
- 24
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:20:17.31 ID:AheiblmhO
(*゚ー゚)「…ふぅ……ふぅー………」
(´・ω・`)「……大丈夫?今ならまだ…」
(*゚ー゚)「なッ…なめないでよ!これくらいなんともないわよ!チャラ!ヘッチャラよ!」
ガタタン!
(´・ω・`)「あぁ…始まっちゃった…」
(*゚△゚)「はぁああああああああ…」
ガタタン、ガタタン
(´・ω・`)「…しぃ?」
(*゚ー。)「…………………」
(;´・ω・`)「あれ!?白目剥いてる!?」
- 26
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:24:21.33 ID:AheiblmhO
ガタンッ!!
(;´・ω・`)「しぃ!しぃってば!!」
(*。ー。)「……………………」
ゴォオオオ オ オ オ オ オ オ ! !
(;´・ω・`)「しぃいいいいいいいいいい!!」
(*。p。)「あばばばばwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ギュオオオ オ オ オ オ オ オ ! !
(;´・ω・`)「しぃいいいいいいいいいい!!」
(*゚゚∂゚゚)「せんしたちが〜wwwwwwwwwかえってきたぞ〜いwwwwwwwwwwwwwwww」
しぃいいいいいいいいいい!!
しぃいいいいいいいい…
しぃいいいいい…
- 27
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:31:08.78 ID:AheiblmhO
(*´ -`)「……………………」
(´・ω・`)「………大丈夫?」
(*´ -`)「…うん」
(´・ω・`)「ごめんね。まさかそこまで苦手だとは…」
(*´ -`)「ほんと…失禁しなかっただけでも表彰モノだよ……うぇ……」
(´・ω・`)「でも結局、恐いものなしじゃなかったね、君」
(*゚ー゚)「…うー…こればっかりは認めざるを得ない…」
(*゚ー゚)「でも!いつか克服してみせるもん!お化けは無理でも、ジェットコースターくらいなら!」
(´・ω・`)「お化けも頑張ろうよ」
(*゚ー゚)「無理。どう考えても無理」
(´・ω・`)「なんだよソレ…」
(*^ー^)「えへへっ…」
楽しそうだったな…あの時の彼女は。
久しぶりに心から笑ってるのを見た気がした。
そして、僕自身も。
- 28
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:33:58.56 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「…時間、そろそろ…」
(*゚ー゚)「あッ、ほんとだ。…時間経つのはアッと言う間だね」
(´・ω・`)「流石は夢の国ってことだね」
(*゚ー゚)「…違うよ」
(´・ω・`)「え?」
(*゚ー゚)「好きな人と一緒にいるから…死ぬほど楽しいからだよ。時間が経つのを忘れちゃうのは…」
(´・ω・`)「………しぃ」
(*゚ー゚)「……最後は、やっぱりアレ乗ろう」
(´・ω・`)「……………」
観覧車。
彼女が僕に弱い部分を見せた場所。
別れ話には、絶好の密室空間だ。
僕は正直、それでいいと思ったんだ。
幸せだから。
彼女といると幸せだから。
それが距離なんかであやふやになるくらいなら、いまの幸せな気持ちのまま別れた方がいいって…その瞬間は…そう思ってたんだ。
- 29
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:39:38.60 ID:AheiblmhO
(*゚ー゚)「…久しぶりだね、ココも」
(´・ω・`)「うん……」
(*゚ー゚)「あの日のこと、はっきり覚えてる?」
(´・ω・`)「あぁ、もちろんだよ。あの時は…いろいろとドキドキしたなぁ…」
(*゚ー゚)「…私ね、もうあの時から…ショボンくんが好きだったんだ」
(´・ω・`)「……そうなの?」
(*゚ー゚)「…うん。だからさ、ショボンくんがデートしてくれ、って言った時はほんとビックリした」
(´・ω・`)「あぁ…僕の黒歴史じゃないか…忘れてくれよ」
(*゚ー゚)「えへへ…懐かしいや」
- 30
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:41:55.34 ID:AheiblmhO
(*゚ー゚)「プレゼントを一緒に買いに行けるだけでも嬉しかったのに…まさかデートなんて…ほんと嬉しかったな」
(´・ω・`)「あの日、やたらと張り切ってたのは、やっぱり…嬉しかったからなの?」
(*゚ー゚)「うん。内心、舞い上がってたよ。全然抑えきれてなかったけどね」
(´・ω・`)「じゃあ、あの観覧車での質問も……」
(*゚ー゚)「…うん。ショボンくんだから…好きな人だから、したの」
(´・ω・`)「………………」
(*゚ー゚)「ずっと…ずっと引きずってた言葉。それを、ショボンくんはいとも簡単に消し去ってくれた」
(*゚ー゚)「ほんとに…ショボンくんに会えて…私………」
(´・ω・`)「………………」
(´・ω・`)「だったら…僕のそばを離れないでよ」
(*゚ー゚)「………え……」
- 31
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:45:09.84 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「こんなに…お互い、想い合ってるんだ。離れ離れになるなんて……そんなの…そんなのおかしいよ!!」
(*゚ー゚)「……ショボンくん…」
(´・ω・`)「行くな…しぃ!」
今、この瞬間、確かに僕らは強く愛し合っていた。
だから僕は…そのままで時が過ぎて欲しかったんだ。
何も変わらず…………そのままで……………
- 32
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:48:22.27 ID:AheiblmhO
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―…
从 ゚∀从「…意固地だなー、てめぇも。どうしても遠距離は嫌だったのか?」
(´・ω・`)「嫌と言うより、恐かったんだよ。彼女の心が離れてしまうんじゃないか、って」
(´・ω・`)「そんな別れ方をしちゃうなら、幸せな気持ちなままでお別れしたかったんだ」
从 ゚∀从「………へぇ…」
(´・ω・`)「結局、僕は彼女を信じてなかったんだよ。ただの妄想に恐怖を抱いて、彼女を信用しなかった」
(´・ω・`)「彼女を愛しているからこそ、そう思うんだって、自分を正当化してさ…」
(´・ω・`)「けど…それは、ただのエゴだったんだよね……」
从 ゚∀从「………………」
- 33
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:49:54.45 ID:AheiblmhO
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―…
(*゚ー゚)「…それはダメだよ。それは…絶対にダメ」
(´・ω・`)「なんでだよ!君は今、確かに幸せなんだろ!?ならなんで…そんなの…」
(*゚ー゚)「……離れてたって…そんなの関係ないよ!!私がショボンくんを好きなことは、変わらない!!だから……」
(*゚ー゚)「……ショボンくんは……私を…信じれないの…?」
(´・ω・`)「………………………」
(*゚ー゚)「…ショボンくんッ…!」
(´・ω・`)「……………………」
何も、言えなかった。
微かでも、その可能性が頭をよぎったから。
僕は、彼女の愛より、自分の妄想を先行させてたんだ。
どうしても引っ越しの件を譲らない彼女に、その罪を押し付けて…。
- 34
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 21:57:19.31 ID:AheiblmhO
(*゚ー゚)「……………」
(´・ω・`)「……………」
(*゚ー゚)「……わかった」
(*゚ー゚)「……でも…私は…それでも…………」
(* ー )「……………………」
(´ ω `)「……………………」
僕らの言葉はそこから続かなかった。
お互いに、別れを切り出すことが出来なかった。
いや、本来、彼女はそんなつもりはなかったのだろう。
改めて、遠距離恋愛の覚悟を僕に説こうとしてたんだ、と思う。
でも僕は、それを頭から否定してしまっていたんだ。
- 36
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:00:36.67 ID:AheiblmhO
結局、なんの結論も出ないままだった。
けど…あの日を境に彼女の心に僕に対する影が差したのは間違いないだろう。
そして…決定的な事件が起きたんだ。
(´・ω・`)「はぁ…………」
从'ー'从「……ショボン先輩、元気ないみたいですけど…大丈夫ですか〜?」
(´・ω・`)「…そんなことないよ!大丈夫、大丈夫」
从'ー'从「…………しぃ先輩とのことですか…?」
(´・ω・`)「……………!」
彼女が転校する、という話はすでにみんな知っていた。
さらに僕らの関係が徐々に冷えていっていることも、見れば明らかであり、周知の事実であった。
- 37
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:02:11.33 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「…………………」
从'ー'从「あの……余計なお世話かも…しれないですけど……」
从'ー'从「私でよければ…話…聞かせてくれませんか?」
(´・ω・`)「…………え?」
从'ー'从「最近のショボン先輩…なんだかずっと辛そうで、見てられなくて…誰かに話せば気が楽になるかもしれないですし」
(´・ω・`)「……渡ちゃん…」
正直、この頃の僕は精神的に相当参っていた。
自分がどうすべきか、何が2人にとっての幸せか。
考えれば考えるほど、わからなくなり、ストレスになっていた。
だから全部話してみよう、と思ったんだ。
渡ちゃんはぼんやりしてるけど、意外と聞き上手だったし。
自分が、彼女の転校に反対なこと。
それが叶わない事実だってこと。
それでいてもなお、彼女を愛し、転校を認めきれないこと。
それがいかにエゴであるか、理解していること。
その時の僕の全てを話した。
- 38
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:06:53.32 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「…………って訳……」
从'ー'从「…………………」
(´・ω・`)「自分でもさ、よくわかんないんだよ。第三者的な目線で自分を見たとき…バカなのは僕だって、そう思うんだよ」
(´・ω・`)「けど…それでも譲れないほど、僕は…彼女を愛しているんだ」
从'ー'从「…………確かに…ショボン先輩の考えは…少しエゴが過ぎるかもしれないです…」
从'ー'从「……けど……うらやましいです。そこまで想ってもらえるしぃ先輩が…」
(´・ω・`)「………そうかな…」
从'ー'从「そうですよ…こんな優しい先輩に想われて………ずるいです」
从'ー'从「私だって………」
(´・ω・`)「……渡ちゃん…?」
- 39
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:08:11.96 ID:AheiblmhO
从'ー'从「……ショボン先輩、私…」
忘れもしない。
从'ー'从「私………」
僕は渡ちゃんから
从'ー'从「先輩のことが好きです」
告白されたんだ。
(´・ω・`)「……は…?」
これもまた青春の1ページ、なんだよね。
思ってもみなかった。
渡ちゃんが僕のことを好きだったなんて。
確かに、よくなついてくれているとは思っていたが、まさかそれが恋心だとは…。
- 41
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:13:07.49 ID:AheiblmhO
(´・ω・`)「……いや…あの…その…好きっていうのは……」
从'ー'从「好きは好きです。愛してる、ってことです」
渡ちゃんからまさか「愛」なんて言葉が出るとは思わなかった。
僕は完全に気が動転し、頭は真っ白だった。
(´・ω・`)「あ……そんな…急に………」
从'ー'从「…ずっと…伝えたかったんです。でも…お二人はずっと仲良しだし…私なんかの想いは届きそうもなかった」
从'ー'从「…けど……やっぱり黙っておけませんでした」
从'ー'从「ショボン先輩、私なら…私ならどんなことがあったって、先輩のそばを離れません」
(´・ω・`)「……渡ちゃん…………」
こんなあったかい言葉をかけられたのはいつぶりだっただろうな。
なんだか胸がいっぱいになった。
疲弊しきった僕の心に、渡ちゃんの言葉は優しすぎたんだ。
- 42
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:15:14.47 ID:AheiblmhO
(´ ω `)「…渡ちゃん……うっ………」
从'ー'从「泣いていいですよ。誰もあなたを咎めたりしないですよ。だから…さぁ…」
(´;ω;`)「うっ………うわぁ…あぁああ……」
僕は渡ちゃんに縋って、泣いた。
張りつめていた緊張の糸は、一気に解けて行った。
そして……
从'ー'从「…ショボン先輩………」
(´;ω;`)「うぅ………ん……………」
気付けば…僕は、彼女に唇を奪われていた。
けど、そこに驚きとか戸惑いはなかった。
今はただ…この優しさに、肩まで浸かっていたい。
それだけだった。
けど…神様は見てるんだなぁ。
いつだって幸せは、奪いさられるだけなんだ。
- 43
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:17:37.94 ID:AheiblmhO
(´;ω;`)「うぅ……うぅ………」
(´;ω;`)「…………う……!!」
(* ー )「……………」
よくもまぁ、僕の人生をいたぶって…楽しいのかい?と聞きたいくらいだよ。
どんな言い訳も通用する訳ない状況さ。
再び、僕の頭は真っ白になった。
(´;ω;`)「あ………しぃ……………」
从'ー'从「…………………」
(* ー )「……………………」
(´;ω;`)「…違うんだ……しぃ…違う…………」
なんとか言い繕いたかった。
けど、なんにも浮かんでこない。
一瞬でも、僕の心が渡ちゃんに靡いたのは事実だからね。
そんな折、うつむく彼女に向かい、渡ちゃんが語り始めた。
- 44
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/10/07(水) 22:24:37.09 ID:AheiblmhO
从'ー'从「しぃ先輩…わかりましたか?」
从'ー'从「あなたは…いたずらにショボン先輩を弄んで、こんなボロボロにして……」
(* ー )「…………………」
从'ー'从「あなたが……ショボン先輩の気持ちに、応えられないなら…これ以上、ショボン先輩を苦しめないで下さい」
(´・ω・`)「わ…渡ちゃん……それは…………」
(* ー )「……わかった」
(´・ω・`)「!」
(´・ω・`)「し……しぃ…?」
(* ー )
(*゚ー゚)「ごめんね…ショボンくん………」
(*^ー^)「さよなら…………」
(´・ω・`)「………………」
そう言い残し、去って行く彼女に、僕は何も出来なかった。
結局、最後まで僕は彼女にエゴを貫いてしまったんだ。
儚く微笑んだ彼女の目に、涙は無かった。
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