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名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:39:18.43 ID:tW/qbL2QO
そんな僕の片思いが絶賛進行中な中、入部から4ヶ月近い月日が経った夏。
さて、吹奏楽部の夏と言えば、コンクールの季節だ。
僕らの高校は毎年、地区予選からなかなか抜け出せずにいたんだ。
ちなみに吹奏楽のコンクールは地区大会→県大会→支部大会→全国大会と勝ち進まなければならない。
一大会ごとに金、銀、銅賞があって、しかも金賞を貰った学校が全て次の大会に進める訳じゃないんだ。
金賞の中でも、より優れた数高だけが、次の大会に進める、という過酷な大会なんだよ。
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名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:40:24.10 ID:tW/qbL2QO
僕らの高校は市立だったから、楽器や設備も良くはなかった。
対して私立高校は部活にドンドンお金をかけてるからそれだけですでに優位だった。
その中で僕らが県大会へと勝ち進むのはなかなか難しかったんだ。
実際、僕らの高校は数年続けて銀賞に甘んじていた。
だから今年こそは金賞を、とみんな張り切っていたわけだ。
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名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:42:42.77 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「はぁ…今日も疲れに疲れたーッ」
(´・ω・`)「夏休みは連日丸一日練習ばっかだしね。くたくただよ…」
(*゚ー゚)「うん。でもここが正念場だよ。コンクールまで一週間きってるし」
(´・ω・`)「そうだね。みんなの集中力も高まってるし、このまま維持していきたいね」
(*゚ー゚)「うん」
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名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:45:26.51 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「…あのさ、ショボンくん」
(´・ω・`)「ん?」
(*゚ー゚)「…ショボンくん。ショボンくんはベタな展開とか好き?」
(´・ω・`)「…は?何を急に…ベタ?」
(*゚ー゚)「いや…うん。ベタというかロマンチックというか…」
(´・ω・`)「…?」
急に何を言い出すんだ、って感じだったよ。
この時は彼女の真意に全く気付かなかった。
思えばいつもそうだった。
僕らはお互いすれ違ってばかりだったんだ。
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名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:47:58.66 ID:tW/qbL2QO
(´・ω・`)「うーん…そうだな。別に嫌いじゃない、って感じかな」
(*゚ー゚)「何よそれ。中途半端な答えだなぁ」
(´・ω・`)「展開自体は別に問題じゃないと思う。けど僕としてはね、あくまで結果が重要なんだよ。だから過程は特に気にしないね」
(*゚ー゚)「…ショボンくんのバカ!」
(;´・ω・`)「え?なんで?」
(*゚ー゚)「やっぱり何にもわかってないんだから!もう!」
(´・ω・`)「いや、わかんないって!どこに怒ってんだよ!」
(*゚ー゚)「もういいです!好きなようにします!じゃあまた明日!」
(´・ω・`)「あ、しぃ!ちょっと待っ…」
(´・ω・`)「…なんだったんだ…一体…」
- 9
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:50:17.62 ID:tW/qbL2QO
その日はそのまま彼女と別れたんだけど…次の日から彼女に小さな異変が起こったんだ。
(*゚ー゚)「あ、ショボンくん。私、今日急ぐから先帰るね」
(´・ω・`)「え?あ…うん」
その日以来、ちょっぴりだけど彼女は僕を避けるようになった。
あの意味深なセリフに対して、僕の返答は彼女の癪に触ってしまったのだろうか?
そんなことがコンクール前の練習の疲れと相まって、僕は毎日疲れきっていた。
そんな僕の気も意に介さず、時は進む。
気づけばコンクール本番の日を迎えていた。
- 10
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 20:52:18.99 ID:tW/qbL2QO
(´-ω-`)(結局、しぃは変なまんまだし…はぁ…)
(´・ω・`)(けど、今は忘れよう。演奏に集中だ)
ξ゚听)ξ「ちょっと、ショボンくん」
(´・ω・`)「…ツンさん。なんですか?」
ξ゚听)ξ「練習ではいろいろ言ったけど…緊張しないで、いつも通りやればいいから」
ξ゚听)ξ「いまのあなたは随分レベルアップしたわ。焦らないでやればきっと大丈夫」
ξ゚听)ξ「穫りましょ、金賞」
(´・ω・`)「…はい!ありがとうございます」
すごく救われる言葉だった。
モヤモヤが一気に吹き飛んで、自然とリラックスした。
ツンさんにはこういう肝心な場面で、幾度となくお世話になったなぁ。
本当に…素敵な先輩だった。
- 13
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:01:40.10 ID:tW/qbL2QO
本番が終わった。
全てを出し切った。
後は結果を待つだけだった。
(´・ω・`)「いよいよ次か…」
(*゚ー゚)「…緊張する……」
ξ゚听)ξ「大丈夫よ。間違いなく、今までで一番いい演奏だったわよ」
lw´‐ _‐ノv「うむ。なるようになるさ。けせらせら」
(*゚ー゚)「……きたっ!」
「ニュー速高校…」
(´・ω・`)「……」
(*゚ー゚)「………」
ξ゚听)ξ「………」
lw´‐ _‐ノv「…………」
「金賞、ゴールド!!」
(´・ω・`)(*゚ー゚)「!!!!」ξ゚听)ξlw´
゚ 3 ゚ノv
- 14
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:05:08.61 ID:tW/qbL2QO
(´・ω・`)「や…」
「やったああああぁぁぁぁあああああ!!」
わああぁぁああああああ!!
僕らは見事、金賞を得た。
残念ながら県大会には進めなかったけどね。
それでも金賞を得たことは僕らの高校にとっては実に十数年ぶりの快挙だった。
(´・ω・`)「ツンさん!やりましたね!」
ξ;凵G)ξ「あぅ…やったよぉ…」
lw´‐ _‐ノv「ふはは。これも一重に肩パットのおかげだな。ツン」
ξ;凵G)ξ「入れてないわよ…ばかぁ…えぐっ…」
(´・ω・`)「ははは…あ…」
(*゚ー゚)「ショボンくん!やったね!」
(´・ω・`)「しぃ…」
こんなハイテンションで彼女に話しかけられたのは久しぶりだった。
それと同時に件のモヤモヤが思い出されることとなった。
- 15
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:07:18.75 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「金賞だよ!金!賞!ゴールドォオオ!!」
(´・ω・`)「テンション高いね…」
(*゚ー゚)「あったり前!!念願の金賞だよ!?頑張ったかいがあったよ!ほんとッ!」
(´・ω・`)「………うん!」
普段の彼女に戻っていた。
ホッとしたと同時に、ますます疑問が深まった。
一体、アレはなんだったのか…。
しかしそれも束の間、全てはその帰り道に明かされたんだ。
- 17
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:10:50.88 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「ふぃーッ…まだ興奮冷めやらないなぁ…」
(´・ω・`)「うん。ほんとうに嬉しいね」
(*゚ー゚)「はぁー…」
(*゚ー゚)「…………」
(´・ω・`)「…………」
(*゚ー゚)「あのさッ」(´・ω・`)
(´・ω・`)「あ…」
(*゚ー゚)「あう…なんてタイミング…」
(´・ω・`)「…いいよ、先言って」
(*゚ー゚)「…なら、同時に言おう?」
(´・ω・`)「はぇ?」
(´・ω・`)(なんで同時なんだ?)
僕は彼女に最近までのそっけなさの理由を聞こうとしていた訳だ。
対して彼女は僕に何を言うつもりなのか。
それは…正に青天の霹靂。
僕の想像の範疇に全くなかった言葉だった。
- 18
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:14:24.91 ID:tW/qbL2QO
(´・ω・`)「まぁ…いいけど…」
(*゚ー゚)「それじゃ、せーので言おっか」
(´・ω・`)「ん」
(*゚ー゚)「せーのッ」
(´・ω・`)「最近なんかそっけなくない?」
「私、ショボンくんが好きッ!」(゚ー゚*)
(´・ω・`)
(´・ω・`)
(´・ω・`)「は?…えぅいあ?」
(*゚ー゚)「え?…あ…あれれ?」
聞き間違いかと思った。
だっておかしいだろ?
僕はてっきり嫌われたかと思ってた訳だ。
いま、その理由を確かめて、改めて彼女に好かれようと努力しようと思っていたのに。
それがなんだ、僕のことが好き、だって?
簡単に信じられる訳がない。
まさかの展開に僕の思考は一旦停止し、再起動に時間を要した。
- 20
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:19:47.91 ID:tW/qbL2QO
(;´・ω・`)「…あ…の…いま…好きとか聞こえたんだけど…」
(;*゚ー゚)「あの…うん…言いました、好きって…」
(;´・ω・`)「え…あの…僕嫌われてたんじゃあ…?」
(;*゚ー゚)「ちっ、違うよ!えっとそれは…」
(*゚ー゚)「私、ベタがどうとか聞いたよね?あの日に決めたんだよ。コンクールが終わったら告白しようって」
(*゚ー゚)「そう思ってたら…なんだか緊張してさ…練習に手がつかなくなりそうで」
(*゚ー゚)「だからしばらく、ショボンくんと距離を置こうかと…」
(´・ω・`)「あ…そうだったんだ…」
- 21
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:23:58.58 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「…裏目に出ちゃったかな!?私…一度決めたら深く考えず突き進んじゃうから…」
(´・ω・`)「いや…えーっと…」
(´・ω・`)「僕としては、しぃ嫌われたとばかり思ってた訳で、まさか好かれているとは思いもしなかった訳で…」
(´・ω・`)「あの…えっと」
(´-ω-`)「僕も…しぃが…その、好きです…よ…」
(*゚ー゚)「…ひゃっ…!」
(´・ω・`)「だから…うん、よろしくね」
(*゚ー゚)「あ…はい!よろしくお願いしますです!!」
- 22
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:26:04.14 ID:tW/qbL2QO
(*´ー`)「ひゃあぁう〜…なんだか夢みたいだ…」
(´・ω・`)「それはこっちのセリフだよ…まさかまさかだよ」
(*゚ー゚)「でも私、実は同時に告白になると思ってたの」
(´・ω・`)「はい?」
(*゚ー゚)「だからさっきさ、同時に言おう、って言ったのは、そんなロマンチックな展開を期待したのよ」
(*゚ー゚)「それなのにショボンくんったら…」
(´・ω・`)「いやいやいや!僕、嫌われてるかもって思ってたんだよ?それなのに急に告白する訳ないじゃん!」
(*゚3゚)「そんなの知らないもん!!察してよ!」
(´・ω・`)「り…理不尽だ…」
- 24
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:29:04.50 ID:tW/qbL2QO
(´・ω・`)「あ、そういえばさ…ベタがどうたらって言ってたじゃん。アレは……」
(*゚ー゚)「あぁ、アレはね、コンクールで県大会行けたら告白しよう、って思ってたの」
(*゚ー゚)「私、結構ロマンチックにこだわりたい派なの」
(´・ω・`)「ロマンチックかは微妙だけど…まぁ美談にはなるね」
(*゚ー゚)「でしょ?なのにショボンくんに一蹴されたからさ…もう銀賞でも銅賞でも告白してやる!って躍起になりまして」
(´・ω・`)「あぁ…そうだったんだ。なんかごめんなさい」
- 25
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:34:34.83 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「うん。まぁ、いまとなっちゃあショボンくんの意見もわかるよ」
(´・ω・`)「ん?」
(*゚ー゚)「思いが届けばそれでいいよね!過程なんてどうでも!結果オーライッ!」
(´・ω・`)「よくもまぁ真顔でそんなことが言えるね…流石は青春バカと言ったところか」
(*゚ー゚)「バカって…まぁいいよ!今日は許す!私はご機嫌なのだ!」
(´・ω・`)「ふふ…まぁきみのそういうとこ、僕は好きだけどね」
(*゚ー゚)「……!!」
- 27
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:37:08.79 ID:tW/qbL2QO
(* ー )「………」
(´・ω・`)「どしたの?急に黙って…」
(*゚ー゚)「…なんか…んもう…バカ!!」
(´・ω・`)「えぇ…なんで」
(*゚ー゚)「もう!私もそういうとこ好きだよ!バカ!」
(´・ω・`)「どういうとこ!?あとバカはきみだから」
(*゚ー゚)「じゃあバカ同士バカップルを貫きましょう」
(´・ω・`)「お断りします」
- 29
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:44:06.53 ID:tW/qbL2QO
(*゚ー゚)「まぁバカップルとまではいかなくても…」
(*゚∨゚)「うふふ!」
(´・ω・`)「なんだよ…気味悪いよ」
(*゚ー゚)「…ショボンくん!」
(´・ω・`)「はい」
(*゚ー゚)「これから末永く、よろしくね!」
(´・ω・`)「…うん。こちらこそ」
- 30
名前: ◆OrZwbhoQDU
:2009/09/24(木) 21:45:58.86 ID:tW/qbL2QO
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―…
从 ゚∀从「ケッ、なんじゃそりゃ。うまくいきすぎだっつの」
(´・ω・`)「うん。まぁ改めて思い返すと、トントン拍子に事が運んだな、と僕も思うよ」
从 ゚∀从「なんだかつまんねーぞー。オレは他人の美談は嫌いなんだぜー」
(´・ω・`)「ひねくれてるね」
从 ゚∀从「ひねくれ上等だよ。さぁてさっさと別れるとこまで話してくれよ!」
(´・ω・`)「………」
从 ゚∀从「んぁ?どした?」
(´・ω・`)「彼女は………ほんとに強い子なんだ。でもそれは、分かってあげる人がいなきゃダメなんだ」
(´ ω `)「ごめんね……しぃ………」
从 ゚∀从「………」
(´・ω・`)「……続けよう」
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