31 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 20:55:43.19 ID:MQLjvyfrO

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―…

驚きのあまり、僕は一瞬動けなかった。
けど、ここで彼女と鉢合わせるのは気まずすぎる。
その一念が、僕を物陰へと走らせた。

( ゚∀゚)「しかし、俺は幸せもんだなー。まさか椎名さんとこんな関係になれるなんて」

(*゚ー゚)「そんな……私こそ、あの長岡くんが………」

(*゚ー゚)「でも……私…もうすぐいなくなるんだよ?それでも…いいの?」

( ゚∀゚)「何言ってんの!距離なんて問題ないよ!愛があればね!」

(*゚ー゚)「長岡くん……」

(´・ω・`)「…………………」

僕が言えなかったことを、平然と言ってのけた。
悔しいけど、その時の僕には長岡に対抗出来る術なんてありはしなかった。
ワガママとエゴで彼女を傷つけて…それで終わり。
そんな状態で、彼女に新しい男が出来たのなら、僕にはもうどうしようもなかったんだ。


33 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 20:58:01.16 ID:MQLjvyfrO

(´-ω-`)「…………………」

僕は静かにそこから立ち去った。
これでいい。
長岡が彼女を幸せにしてくれるんなら、それで構わない。
所詮は青春の淡い恋物語。
そう思い、僕は彼女を忘れ…生きることに決めた。
35 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 20:59:31.08 ID:MQLjvyfrO

それからの僕の心は、真っ直ぐ夢にだけ向いて行った。
卒業後、進学せずに劇団に入る決意をしたのもこの頃だ。
何か心のよりどころが欲しかったんだと思う。
がむしゃらに将来のことを考えてると、他のことは忘れられたからね。
この傷心のパワーを、全て夢に費やしたおかげで、今の僕があると言っても過言じゃないよ。
もちろん部活は続けていたよ。
彼女とは完全に疎遠だったけど。
周りも空気を読んでか、あまり僕らのことに口出しはしなかったね。

そして…クリスマスも近付いたある日、僕はツンさんとシューさんに呼び出された。



36 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:04:24.95 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「悪いわね。部活終わりで疲れてるところ」

(´・ω・`)「いえいえ…大丈夫ですよ。それよりどうしたんですか?ふたりして…」

lw´‐ _‐ノv「うむ。それは絶壁おっぱいのツンに説明してもらおう」

ξ゚听)ξ「絶壁おっぱいってもはや何かわかんないわよ」

lw´‐ _‐ノv「ツンの胸板に、船越英一郎がよくロケに来るのは企業秘密じゃ」

ξ゚听)ξ「来ねぇよ」



37 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:06:37.79 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「全く…今日はあんまりふざけた話じゃないってのに……」

lw´‐ _‐ノv「ごめんぬ」

ξ゚听)ξ「さて、本題」

ξ゚听)ξ「ショボンくん…しぃちゃんと何があったか…ちゃんと聞かせてもらいたいの」

(´・ω・`)「…………」


40 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:08:36.10 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「今、彼女、長岡って子と付き合ってるわよね?私達、部活の方に顔出せてなかったからよく知らなかったんだけど…」

lw´‐ _‐ノv「うむ。ふたりからもなんの相談もなかったしな」

ξ゚听)ξ「お節介かもしれないけど…ショボンくんもしぃちゃんも、大事な後輩なの。だから心配で…」

lw´‐ _‐ノv「無理にとは言わんが」

(´・ω・`)「………………」

ふたりからは、明らかに心配の眼差しが向けられた。
特にシューさんのこんな表情は、あまり見たことがなく、驚いた。
そして……僕は忘れ去ろうとしていた、彼女とのいざこざを洗いざらい話した。



41 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:11:30.26 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「………そんなことが」

lw´‐ _‐ノv「むう…」

(´・ω・`)「……けど…もう終わった話です。僕はもう……」

ξ゚听)ξ「ショボンくん」

(´・ω・`)「……はい」

ξ゚听)ξ「…確かに……ショボンくんの意見は…自己中心的な意見だと思うわ」

(´・ω・`)「…………」

ξ゚听)ξ「でもね、それはそれ。あなたはその意志を、迷うことなく貫いたんだから。それを責めることは、誰にも出来ないわ」

lw´‐ _‐ノv「うむ。それにその気持ち、愛あらばこそだろう。過ぎ去ったこととはいえ、間違いではないぞ」

(´・ω・`)「………ツンさん…シューさん…」

ξ゚听)ξ「問題はね、ショボンくん。これからなのよ」

(´・ω・`)「……これから?」



42 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:16:16.64 ID:MQLjvyfrO

lw´‐ _‐ノv「今のお前は、しぃに彼氏が出来た、だから終わり、と決めつけているだけだろう?」

ξ゚听)ξ「そう。あなたはまだ、彼女のさよならに返事をしてないんだから」

(´・ω・`)「………………」

押さえつけていた気持ちが、溢れてくるのがわかった。
あの日、ヒーちゃんに諭された直後のあの気持ち。
非常階段で、儚く砕けたあの気持ち。



43 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:20:12.32 ID:MQLjvyfrO

(´・ω・`)「………でも、僕は…」

ξ゚听)ξ「ま、すぐには結論出さなくてもいいわ。でもね」

ξ゚听)ξ「後悔は…どんなに押さえつけても、ふとした時に思い出されるの。それはずっと人生をついて回る」

ξ゚听)ξ「今のあんたは、それに苛まれて行くと思うの。……そうなって欲しくないから…」

lw´‐ _‐ノv「まぁ結局はショボン、お前次第だ」

lw´‐ _‐ノv「悔いのない青春にしろ、ってことさ。ボーイズビーアンタレス!!夏に輝く一等星!!」

ξ゚听)ξ「うるせぇよ」



44 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:25:54.96 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「あんたはどうしてそうふざけた人間なのかしらね」

lw´‐ _‐ノv「それが素直クオリティ。イヤッフゥゥウウウ!!」

lw´‐ _‐ノv「まぁ、そういうことだ。もういっぺんよく考えんしゃい(キリッ」

(´・ω・`)「…………はい…」

まだ、はっきりとはわからないモヤモヤした気持ちが息を始めた。
彼女に何か…伝えていない言葉があるはず…。
それは…………。



45 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:27:43.81 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「それと…実はそれに伴って、ひとつ心配なことがあるのよ……」

(´・ω・`)「……心配なこと?」

lw´‐ _‐ノv「うむ…それは私から説明しよう」

lw´‐ _‐ノv「実はな…あの長岡という男、外面はいいが……裏では悪い噂があるのだよ」

(´・ω・`)「………悪い噂?」

lw´‐ _‐ノv「少し前まで、長岡は照本という娘と付き合っていたんだが…」

lw´‐ _‐ノv「彼女は……体目当てにされていたらしいんだ。しかも、半ば無理やりにな」

(´・ω・`)「……………!!」


47 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:32:14.62 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「やるだけやって、飽きたらポイ、って訳ね」

(´・ω・`)「で、でも!それが本当なら……もっと大事になってるんじゃあ!」

lw´‐ _‐ノv「捨てられた当初は、彼女も懸命に訴えたらしいんだが…しかしそこはやつの方がしたたかだった」

lw´‐ _‐ノv「持ち前のビジュアルとおもて面で…やつには大勢のファンがいる。その上、先生からも信頼されてるだろ?」

lw´‐ _‐ノv「そうなると彼女の意見は、振られた女の狂言にしかとられないのさ」

ξ゚听)ξ「長岡のファンからの圧力も結構あったらしいしね…泣き寝入りよ」

(´・ω・`)「…そんな……」



48 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:34:12.08 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「まぁ…信憑性はないただの噂だし…過去の話だけど……」

lw´‐ _‐ノv「もしも、しぃがそんな目に遭ったら…と、考えるとな……」

(´・ω・`)「………………」

lw´‐ _‐ノv「一応、しぃに直接言ってもみたんだが…ダメだった。恋は盲目ってやつだな」

lw´‐ _‐ノv「やつの外面が相当いいか、はたまた本当にただの噂か……」

(´・ω・`)「………………」



49 名前: ◆OrZwbhoQDU :2010/01/31(日) 21:39:00.62 ID:MQLjvyfrO

ξ゚听)ξ「本当は……ショボンくんに言うつもりはなかったんだけど…やっぱり、あんたは知っておくべきことだと思ってね」

lw´‐ _‐ノv「ま、後はお前次第だ。ただ、確証のない事実だ。早まるなよ」

(´・ω・`)「………………はい……」

(´・ω・`)「……………………」

僕は、考えていた。
どうすべきなのかを。
あの長岡が、そんな悪人には…本当に見えなかった。
僕自身、会話したことはなかったけど、いつ見ても爽やかで、人当たりの良さが滲み出ているやつだったからね。
しかし…その噂が、僕にはどうしても噂とは思えなかった。
そこで僕は、照本さんにことの真相を直接聞きにいくことにしたんだ。


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