2 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:07:56.42 ID:KO4QocrY0
第六話


横須賀基地は海上自衛隊横須賀地方隊と、アメリカ海軍第七艦隊の基地だ。
地方隊としての規模は最大で、第21護衛艦隊を柱として第41掃海隊、横須賀警備隊などを有する。

また、アメリカ海軍第七艦隊は旗艦ガイルをはじめとして空母ザンギエフ、ミサイル巡洋艦
などを有するアメリカ海軍の中で最大の艦隊だ。

横須賀地方隊の司令室。PM21:10

( ・∀・)「それでだね、ギコ君。私はそいつに言ってやったのだよ」

(;、、゚Д゚)『あの…モララー司令官…』

( ・∀・)「いいのいいの気にするなこんな通信傍受しているやつはおらんよ」

(;、、゚Д゚)『そういう問題ではないのでは…?』

( ・∀・)「ギコ一等海佐。君は上官に逆らうのかね」

(;、、゚Д゚)『い、いえ、そんなつもりは…』

海自の回線を使って部下と楽しくお話しているこの困った男、実は横須賀地方隊の司令官なのだ。
伝統を重んじる海自の中ではかなり浮いた存在となっているが本人は気にしている様子はない。
こう見えてもかなり敏腕な司令官で部下からの信頼は厚いのだ。

ただ、保守派の海自高官や米軍の司令官からはその態度が原因で気に入られていなかった。

そのことに関しても本人は気にしていなかったが。
4 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:09:03.91 ID:KO4QocrY0
( ・∀・)「じゃぁつべこべ言わず私の話を聞きたまえ。で、だな…」

(;、、゚Д゚)『はぁ…』

そしてこの司令官のお話し相手になっているのはギコ一等海佐。
第21護衛艦隊の中核、こんごう型護衛艦『ひろゆき』の艦長。

こんごう型とはイージスシステムと呼ばれる強力なレーダーとミサイル攻撃能力を装備したまさに
専守防衛の要となる艦だ。

その艦長のギコはモララーより年は若く同期でもないが、何故かモララーに気に入られていた。

この光景はここではもう馴染みの光景だった。これが原因でモララーは何度か叱責を受けたことがある。
しかし、いっこうにやめようとしない。
モララーと共にいつも叱責されるギコはいい迷惑であったが、ギコ自身モララーのことを嫌いにはなれないでいた。

20分程してモララーの話が尽き、ギコは開放された。

(官゚ヾ゚)「今日もお疲れでしたね」

( ,,゚Д゚)「いやいや、毎日となれば慣れるもんさ」

(官゚ヾ゚)「さすがはギコ艦長」

そのとき、艦の警報がけたましく鳴った。照明が赤くなり、モニターにノイズが入った。


5 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:09:52.74 ID:KO4QocrY0
( ,,゚Д゚)「どうした!?」

(官゚ヾ゚)「わ、わかりません!」

ギコはモニターを凝視した。

(;、、゚Д゚)「(このノイズ…妨害電波か!?)」

(官゚ヾ゚)「艦長!『やまざき』からSOS信号が出ています!」

(;、、゚Д゚)「なに!?」

SOS?

攻撃を受けているのか?一体どこから?そして誰から?


6 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:10:41.90 ID:KO4QocrY0
(;、、゚Д゚)「『やまざき』に回線をつな…」

(;官゚◇゚)「レーダーにミサイルの反応!!」

言い終わる前にレーダーを操っていた自衛官が叫んだ。

一気に汗が噴出した。

(;、、゚Д゚)「ミサイルだと!?他の艦の誤射か?!」

(;官゚◇゚)「見方の識別表示は出ていません!おそらく敵襲です!!」

(;、、゚Д゚)「ーーーー!!」

こうなれば、相手は誰とか考えている暇はない。回避に全力を尽くさなければならない。

(;、、゚Д゚)「数は!?」

(;官゚◇゚)「じゅ、十八発です!!」

(;、、゚Д゚)「ーーーー十八発だと!?」

叫ぶか早いか近くで爆発音が聞こえた。
その爆風が波を作り、ギコの乗る『ひろゆき』の艦体を揺らした。



7 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:13:44.60 ID:KO4QocrY0
*

時はほんの数分さかのぼる…

ツンーーーー今となってはしぃーーー人造細胞C。

彼女は東京湾上空を高速で飛行していた。

低空飛行なので海上には跡がついていく。

ラウンジ山では、あと少しのところでツンの妨害にあったが、今はもう大丈夫。
ツンの意識は完全に押さえ込んである。

ξ 凵@)ξ『 見 つ け た 』(*゚ー゚)

目標を見つけたしぃは更に高度を下げた。相手に見つからないためだ。

羽を大きく展開し、機銃を構えた。

ξ 凵@)ξ『 さ あ 』(*゚ー゚)

『 は じ め ま し ょ う か 』

背中から放たれたミサイルは高速で目標に向かっていった。


8 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:15:57.76 ID:KO4QocrY0
*

炎上する艦。

消火に当たる消火艇が次々に出動していく。

岸では燃えているドッグを自衛官が消火ホースを持って懸命に消そうとしていた。

『これは訓練ではない!繰り返す!これは訓練ではない!』

『駄目です!『としゆき』がやられましたぁ!!どこだ!?どこからの攻撃だ!?』

(;・∀・)「『のりゆき』と『くにゆき』は避退!『ひろゆき』は敵の捕捉に全力を挙げろ!」

司令室の中で、モララーは大声をあげた。さっきからずっとこの調子だった。

すでに被害は甚大で、護衛艦『やまざき』はミサイル攻撃で大破していた。

(;・∀・)「(く…中国軍の潜水艦か?あれの対艦ミサイルなら…。だが、原潜を湾内にいれてしまうとは…
     この国の国防システムはいったいどうなってしまったんだ!?)」

(;官゚ゝ゚)「モララー司令!第七艦隊のプギャー中将から入電です!」

(;・∀・)「(このくそ忙しいときに!入電なんて入れてる場合か!?)…ち、判った!出る!」

モララーは受け取った受話器に耳を当てる。

(;^Д^)「モララー司令!これはなんだ!?わが軍が攻撃を受けている!」

(;・∀・)「我々も同じです!!」
10 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:18:06.55 ID:KO4QocrY0
(;^Д^)「何故敵の接近に気がつかなかった!日本の艦のイージスシステムは飾りか!?」
     どうして先制攻撃を仕掛けなかった!?」

(;・∀・)「これはまったくの不意打ちでした!大体、我々自衛隊は専守防衛が任務です!
     憲法上、先制攻撃は出来ません!」

(;^Д^)「…ち、何が専守防衛だ!そんなくそみたいな理念のせいでこちらの兵士がいくら死んだと思っている!
     使えんやつめ!!」

そう言い放たれると通信は切れた。

(;・∀・)「…くっそ」

あんたらのとこのタイコンデロガ級もイージスだろうが。全部こちらに押し付けるな!

モララーは心の中でそう毒づいた。
もともと、モララーはプギャー中将が好きではなかった。

(;通゚ゝ゚)「『ひろゆき』が目標をレーダーで捕捉!モニターに表示します!」

通信を担当する自衛官が叫んだ。その声で、モララーは反射的にモニターに目をやる。

そして、映し出された目標に、言葉を失った。


11 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:20:50.90 ID:KO4QocrY0
(;官゚е゚)「!」

(;通゚ゝ゚)「?!」

(;・∀・)「…な」

背中から突き出した羽とアフターバーナー。

右腕の変わりに巨大な機関銃を装備し体中から光を発して空に浮いている。

だが、あれは紛れもなく…

(;・∀・)「…女の子、だと!?」

そう、空に飛んでいるのは女の子なのだった。

制服を着て、そこら辺を歩いていそうな女の子なのだった。

(;・∀・)「『ひろゆき』!!こちら司令室!これは何かの間違いではないのか!?
     こちらのモニターには少女がうつっている!」

(;、、゚Д゚)『こちら『ひろゆき』!これは間違いではありません!我々を攻撃しているのは、
      あの少女です!』

12 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:22:14.85 ID:KO4QocrY0
(;・∀・)「…」

(;、、゚Д゚)『どうしますか!?』

戦場では一瞬のためらいが命取りになる。地方隊最大の横須賀地方隊を預かるモララーは、
やはり司令官として優秀だった。すぐに状況を把握した。

(;・∀・)『全艦に通達!目標は少女だ!ためらう必要はない!全力で応戦しろ!
     『やまざき』の二の舞だけは避けろ!』

復唱が聞こえた後、各艦からの返事が入る。

『了解』

『了解!』

『了解!ファランクス、撃ち方始めぇ!!』

モララーはモニターをにらみつける。少女の右腕がチカチカと光り弾丸が発射されると同時に、
彼女の背中からミサイルが発射されるのを彼は見た。


13 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:23:42.26 ID:KO4QocrY0
*

『ザー…『や…ざき』…破!ザー…タイ…ンデロガ…も…上して…ぞ!』

(;゚∀゚)「くっそ、よくきこえねぇ!!」

川;゚ -゚)「妨害電波か?!もうそんなものまで…」

無線機に向かって二人が毒づく。僕たち三人も彼らに駆け寄った。

(;^ω^)「ジョルジュさん!どうしたんですかお!?」

(;゚∀゚)「横須賀基地が、攻撃を受けている。…おそらくツンによって」

(;^ω^)(;'A`) (;´・ω・`)「!!」

(;'A`) 「横須賀って東京湾挟んで対岸じゃねぇかよ…」

(;゚∀゚)「…まさかこれほどとはな」

さっきまでラウンジ山にいたツンが、もう横須賀まで到達した。

ツンから逃げて、公園に来て、ジョルジュたちの話を聞いていた約一時間。

この時間で、ツンは横須賀に到達したのだ。

(;´・ω・`)「どうするんですか?ジョルジュさん」


14 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:26:14.01 ID:KO4QocrY0
(;゚∀゚)「…横須賀はたぶん駄目だ。あそこの司令官は敏腕で有名だったが、無線を聞く以上
     状況が良いとはいえない」

川;゚ -゚)「私たちはこれから横須賀に向かう。被害状況を調べて技本で対策を練る必要があるからな」

焦りの表情を浮かべながら、二人が車のドアに手をかけた。

(;^ω^)「…」

僕はどうすればいい?戦場に行くのは怖い。怖い。
だが、あそこにはツンがいる。
ツンを一人にしてはいけない。意識が残っているときに助けを求めていたのを忘れたのか?
僕らに最後まで逃げろと、人造細胞の侵食に耐えながら僕たちに必死に叫び続けていたツンを見捨てるのか?

いや、出来ない。出来るはずがない。

僕はツンのところに行かなくてはならない。ツンを、助け出さなければならない。
ツンを平穏な昨日までの生活に、戻してやらなければならない。

でも、どうやって?

僕たちには武器はない。情報もない。まず、横須賀までどうやって行く?

バイクを見る。駄目だ。とてもバイクでは横須賀にはいけない。
ドクオのスカイウェイブはまだしもショボンのZXは原付でしかない。


15 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:28:09.12 ID:KO4QocrY0
(;^ω^)「ジョルジュさん!クーさん!」

二人を見つめる。

頼れるのは、今はこの人たちしかいないんだ。
どんなにかっこ悪い頼み方をしてでも、この人たちについていくしか道はないんだ。

( ゚∀゚)「…」

ジョルジュがこちらを見る。僕の目をみつめる。
負けじと見つめ返す。いや、僕はほぼ睨んでいた。

('A`) (;´・ω・`)「…」

ドクオとショボンもジョルジュを見る。

(;^ω^)「ドクオ…ショボン…!」

('A`) 「ツンが心配なのはおまえだけじゃねーんだ。俺たちだってツンを助けたいんだよ」
(´・ω・`)「僕も君たちと同じ意思さ」

( ゚∀゚)「…」

一瞬の沈黙。

辺りに風が吹き、さっきの空き缶がまた風に吹かれて音を立てた。


16 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:32:05.19 ID:KO4QocrY0
( ゚∀゚)「…判ってるよ。お前らも一緒に行きたいんだろ?」

(;^ω^)「!じ、じゃあ」

川 ゚ -゚)「あそこまで話して連れて行かないのは蛇の生殺し状態だろうしな」

( ゚∀゚)「乗れよ。後ろ、開けるぜ」

(;^ω^)「ありがとうございますだお!」

乗り込みざま、ジョルジュは僕たちに向かって言った。

( ゚∀゚)「…さっきな。俺たちがツンちゃんから逃げられたのは、多分お前らのお陰じゃないかと思ってるんだ」

(;^ω^)「僕たちの…?」

( ゚∀゚)「人造細胞の本来の力はこの無線の内容でわかるとおりさ。本当は俺たちが逃げられるはずがなかったんだ。
    だけど逃げられた…。どうしてだか判るか?」

(;^ω^)「…」

( ゚∀゚)「多分、ツンちゃんは人造細胞の意思と戦ってたのさ。たった一人でな。
    体を乗っ取られても、まだ。お前たちを救おうとしてたんだ」

(;^ω^)(;'A`) (´・ω・`)「…!」

19 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:35:50.39 ID:KO4QocrY0
肩が震える。

ツン…!

あんな体になっても、やっぱりツンはツンだったんだ。
僕たちを救おうと必死だったんだ。

( ゚∀゚)「…お前たちならもしかしたらツンちゃんを止められるかもしれない。俺の勝手な妄想かもしれないがな。
     さぁ、行くぞ。乗れ」

( ^ω^)「はいですお!」

ツン…君は、僕が必ず…!

(´・ω・`)「で、どうやって横須賀までいくんですか?まさかこの車で?」

川 ゚ -゚)「まさか。ここには陸自の駐屯地があるからな。そこに行って、武器弾薬を補給してからヘリに乗る」

(´・ω・`)「それって…僕らみたいな部外者でも大丈夫なんですかね?」


20 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:37:43.37 ID:KO4QocrY0

( ゚∀゚)「まぁなんとかなんだろ。ヘリが落ちて騒ぎになってるんだろうから隙をついて奪うようなもんさ。
     大体俺らもう自衛官じゃないし。さっきの武器だって勝手に拝借してきたやつだからな。
     クーだって何が補給だよ。強奪の間違いだろww」

川 ゚ -゚)「ああ、そうだったな。言葉は相手に伝わって初めて意味を成すんだったな」

(;^ω^)(;'A`) 「ちょwww」

(´・ω・`)b「いい…いいですね。それ」

( ゚∀゚)「お前ノリ良いなショボン!確かにお前は真っ向に生きてそうで生きてない感じがしてたのよ」

(´・ω・`)「確かに僕はゲイですね」

(;゚∀゚)「ちょwwwそうだったのか。じゃぁ尻は守っとくぜ」

ジョルジュの運転する車は走り出す。
外はもう真っ暗だった。
22 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:41:45.78 ID:KO4QocrY0
*

(;官゚ヾ゚)「ギコ艦長!目標、本艦の目の前です!」

(;、、゚Д゚)「ファランクス撃ち方始め!弾幕を張れ!ミサイルがくるぞ!」

(;官゚ヾ゚)「目標!ミサイルを発射!弾幕展開!」

少女が発射したミサイルが艦に近づく。ファランクスの弾丸が展開されミサイルを次々に撃ち落とす。
爆発の煙があたりを覆う。

(;、、゚Д゚)「やったか!?」

(;官゚ヾ゚)「やりました!!ミサイルはすべて撃墜!」

よし、今度はこっちの番だ、とギコは心の中で叫んだ。

(;、、゚Д゚)「対空ミサイル!目標をロック出来次第すぐに撃てぇ!」

連装ランチャーに装填されたミサイルが轟音とともに少女に向かって放たれた。

白い煙を噴出しながらミサイルは目標に向かって飛んでいく。

アフターバーナーに点火。少女は回避行動を取る。

上へ、かなりの速度で上昇していく。


23 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:43:59.49 ID:KO4QocrY0
だが、ロックオンしたミサイルをかわすのに十分な速度ではなかった。間に合わない。

ξ 凵@)ξ『…!!』

直撃。そして爆発。強烈な爆発音が響く。

その衝撃は艦まで届いていた。

(;官゚ヾ゚)「やった!あれならひとたまりもない!」

(;、、゚Д゚)「…」

最後まで油断してはならない、とギコは考えた。
大体、人が生身で空を飛ぶこと自体が間違っている。
しかもミサイルを出す始末。

この程度で、終わる相手には思えない。

じっと、モニターを見つめ報告を待つ。


24 : 共産党幹部(千葉県):2007/03/20(火) 19:46:20.89 ID:KO4QocrY0
(;官゚ヾ゚)「目標、未だ健在です!!」

(;官゚」゚)「馬鹿な!!」

報告の声とともに司令室に驚きの声が上がる。

モニターを見ると少女の羽が大きく展開。彼女の身を守っていた。

ギコもさすがに驚いた。
あの爆発に耐えるとは。通常兵装が効かないのか?

(;、、゚Д゚)「(こいつは…こいつはまずいな…!モララー司令に…)」

ここでギコは失敗した。

ギコは一瞬戦場から気をそらしてしまった。
モララーに頼ろうと、司令室に入電をいれようと受話器に手を伸ばしてしまった。

そのため、少女が煙の中からミサイルを放つのに気づくことが出来なかった。

(;官゚ヾ゚)「目標!ミサイルを発射!!…数…さ、30っ!!??艦長ぉっ!!」

(;、、゚Д゚)「ーーーーー!!ふ、ファランクス!!急げぇっ!!」

緊急事態のランプで赤く染まった艦の司令室の中で、ギコは叫んだ。



ーーーーーーーー第六話「横須賀、炎上」完

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