- 143 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:08:14.88 ID:hvKNCeZT0
- 第四話
暗くて寒い夜空に、大きな花火が出来上がった。
空を飛んでいたヘリコプターが、突然爆発したのだ。
爆風が破片を運び建物に傷を与え、風圧で割れたガラスの音に人々は悲鳴をあげた。
(;'A`) 「 おいおい、なんかやべぇぞ!!」
(;^ω^)「…ヘリコプターが爆発した…?」
つんとした燃料のにおいが風に流されて鼻に届く。
(´・ω・`)「ラウンジ山の方向だね」
(;^ω^) 「ツン…!!」
- 144 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:09:27.11 ID:hvKNCeZT0
- ツン、もしそこにいるのならば無事でいて欲しい。
僕が、今すぐ…!
(;^ω^)「ドクオ!もっとスピード出すお!!」
(;'A`) 「おお!しっかりつかまれ!」
(´・ω・`)「こっちが近道だよ!」
空を見上げるために止まっている車の間を縫って、
僕たち三人はラウンジ山を目指してひた走る。
- 145 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:09:50.00 ID:hvKNCeZT0
- *
今度は、羽が生えた。
そして、空を飛んだ。
少女の声が脳裏に響いた直後、私は自分の体のコントロールを失った。
体が光りはじめたと思ったら、右腕がメキメキと音を立てて形を変えていった。
そして、夢で見た、あの機関銃の形になった。
その大きさに制服の袖は耐え切れずに破れた。
次いで、背中に異変を感じた。
もぞもぞとした感触の後に、制服が破れ、そこから羽が飛び出してきた。
それは羽というよりは羽のように加工されている金属の板で、その根元には
戦闘機のアフターバーナーを小型化したようなものがついていた。
- 146 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:10:55.37 ID:hvKNCeZT0
- 私は抗った。
嫌だ。
こんなの嫌だ。
何故私がこんな目にあうのか、と再び脳内で叫ぶ。
パニックに陥りながらも、手足を動かすために力を入れようとする。
意識はあるが、体に力が入らない。体が言うことを聞かないというのはこのことだった。
そしてまた声が響いた。
『さ ぁ 、は じ め ま し ょ う』
ξ 凵@)ξ「…!!」
その言葉で、しぃが何をしたいのかが判ってしまった。
上空のヘリコプターに向かって、必死で叫んだ。
- 147 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:11:22.56 ID:hvKNCeZT0
- お願い、逃げて!
もう、私にはどうしようもならない。
お願いだから、逃げて!
飛び上がって、右腕を構える。巨大な機関銃なのに軽く感じる。
空薬莢を撒き散らしながらの連射。ヘリコプターは避けることもできない。
爆発して煙を上げる。
アフターバーナーに点火、加速。
あっという間にヘリコプターのコックピットに張り付き、操縦士に向かって機銃を突きつける。
- 148 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:13:38.73 ID:hvKNCeZT0
- しぃ!お願いだからやめて!!
涙が流れた。
空薬莢を再び撒き散らして弾丸が発射され、操縦士二人の体を破壊した。
私は、ごめんなさい、としか言えなかった。
二人の断末魔は、爆発の音にまぎれて聞こえなくなった。
- 149 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:16:04.21 ID:hvKNCeZT0
- *
ξ;;)ξ「しぃ!!あなた…!!」
『あ な た が う る さ い っ て い た ん で し ょ ?』
ξ;;)ξ「だからって、殺すなんて、そんな…!!」
『わ た し は 殺 す た め に 生 ま れ た 。
破 壊 と 殺 戮 だ け が 私 に 与 え ら れ た プ ロ グ ラ ム』
ξ;;)ξ「プロ、グラム…?」
『プ ロ グ ラ ム は も う 起 動 し て し ま っ た 。』
ξ;;)ξ「何を…訳のわからないことを…」
『私 は す べ て を 破 壊 す る 。
あ な た は も う 逃 れ ら れ な い 。』
なんなんだ、一体。
- 150 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:18:04.71 ID:hvKNCeZT0
- プログラム…?
破壊と殺戮だって…?
ξ;;)ξ「あなたは…一体なんなの…!?」
『しぃ。人造細胞、しぃ。』
ξ;;)ξ「人造、細胞…?」
そこで、声は聞こえなくなった。
体は地上に近づき、羽と機関銃はまだそのままだったが、
段々と体のコントロールが戻ってきた。
まるで金縛りから解かれたようだった。
その時、遠くから聞きなれた声が聞こえてきた。
- 151 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:19:57.24 ID:hvKNCeZT0
- 私の名前を呼んでいる。
??「ツン!!ツン!!いるのかお!?いたら返事してお!」
ξ;;)ξ「ブーン…??」
??「ツーーーーン!!」
ξつ;)ξ「ぶ、ブーン!!私はここにいr…」
そこまで言って、思い出した。
今の自分の姿を。
??「返事が聞こえたお!!ツンはここだお!!」
ξ;;)ξ「い、嫌っ…」
自分のこんな姿を、見られたくない。
ましてブーンに。
(;^ω^)「ツン!!」
- 152 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:23:05.84 ID:hvKNCeZT0
- ドクオのバイクに乗って、ブーンが現れた。
後ろにはショボンも続いていた。
(;'A`)「…!!」
(;´・ω・`)「!!??」
右腕は機関銃。
背中には羽。
こんな姿が普通に見える訳がない。
(;^ω^)「ツ…ツン…その姿は…」
ξ;;)ξ「い、嫌…」
(;^ω^)「その右腕と…背中の羽は…」
ξ;;)ξ「嫌ああああああああああああ!!!
見ないでぇぇぇぇえええええええ!!!!」
ラウンジ山に、私の叫び声が響く。
ヘリコプターの消火のために出動している消防車の音が、それにかき消された。
- 154 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:24:37.69 ID:hvKNCeZT0
- *
(;^ω^)「ツン!!」
ようやく見つかったツンの姿に、僕は目を疑った。
いつも僕をぽかぽか叩いていた彼女の右腕は機関銃に成り代わり、
いつもくすぐっては笑わせていた背中からは羽のような金属板が突き出していた。
そのどれもが彼女の皮膚を突き破って生えていた。
そして、体は空に浮いている。
ξ;;)ξ「お願い…見ないでよ…」
(;^ω^)「ツ、ツン…!!」
(;'A`) 「さすがの俺でもこれは理解できねぇぞ!」
(;´・ω・`)「……」
僕はどうすればいいんだ?
僕には、一体何ができるんだ?
- 156 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:25:37.36 ID:hvKNCeZT0
- ξ;;)ξ「ブーン…私…こんな、こんな体に…」
(;^ω^)「ツン…」
そのとき、
『あ な た た ち は だ れ ?』
(;^ω^)「…!?」
(;'A`)「!!」
(;´・ω・`)「!」
不意に頭に鳴り響く声。
(;´・ω・`)「なんだ…?頭に直接声が…!?」
ξ;;)ξ「やめて!!しぃ!ブーンたちだけはだめ!!」
(;^ω^)「ツン…いったい何を言って…!?」
- 157 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:26:07.47 ID:hvKNCeZT0
- 『私 の プ ロ グ ラ ム は 殺 戮 と 破 壊』
ξ;;)ξ「お願いだからしぃ!もうやめて!
逃げて!ブーン!!早く!!」
(;^ω^)「ツ、ツン…?」
何のことだか判らない。
まず、この声はなんだ?
そして、しぃってなんだ?
逃げろって、誰から?
頭の解釈が追いついていかない。
(´・ω・`)「…!!」
- 158 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:26:58.30 ID:hvKNCeZT0
- ブォォォォォン!!
ショボンが急にバイクのエンジンをふかす。
(´・ω・`)「ドクオ!早くエンジンを回せ!逃げるぞ!!」
(;^ω^)「ショボン!何言ってるn…!!」
言い終わる前に、ドクオはセルを回してバイクを急発進させた。
あわててドクオの背中にしがみつく。
そして、次の瞬間にはさっきまで僕らが止まっていたところの地面がめくれ上がった。
(;^ω^)「!!」
ツンの右腕がこちらを向き煙を出し、、彼女の足元には空の薬莢が転がっていた。
- 160 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:27:42.36 ID:hvKNCeZT0
(;'A`)「急げ!!山を降りるぞ!しっかりつかまっとけブーン!!」
(;^ω^)「止めるお!!ドクオ!まだツンが…!!」
(;'A`) 「馬鹿かお前は!あの腕を見ただろう!!あれは…もうお前の知っているツン
じゃないんだよ!!」
(;^ω^)「そんな…!!」
(;´・ω・`)「ここで死んでしまってはもう何もできない…!ここは逃げるときだ!
耐えるんだ、ブーン!ここは踏みとどまるときだ!」
(;^ω^)「ショボン…!!」
後ろを振り返る。
そして叫んだ。
(;^ω^)「ツーーーーーーーン!!!!」
- 162 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:28:18.84 ID:hvKNCeZT0
- ξ;;)ξ「しぃ!お願いだからやめて!!みんな!早く逃げてぇ!」
ツンの羽が展開される。体に光があつまる。
ξ;;)ξ「お願い…もう、私にこれ以上…!!」
ツンとの距離が離れる。
登ってきた道を、僕たちはまた下り始めた。
命をかけて。
- 163 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:28:41.33 ID:hvKNCeZT0
- *
彼我の相対速度の差は圧倒的だった。
アフターバーナーに準じるものを背中に搭載したツンの速度に、
ドクオとショボンのバイク如きが敵うはずもなかった。
(;'A`)「ショボン!!追いつかれるぞ!」
(;´・ω・`)「くぅ…!!」
後ろでチカチカ光ったと思うと、 轟音とともに道がはげていく。
(;´・ω・`)「(まずいな…これではいつか必ずつかまる…!なにか…方法を…!!)」
( ;ω;)「おっ…おっ…ツン…ツン!!」
(;'A`)「泣くな!!ブーン!!諦めるな!諦めたらそこで試合終…って、ぅああ!!」
(;´・ω・`)「ドクオ!!」
- 165 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:30:37.91 ID:hvKNCeZT0
- 破壊された道路にバイクのタイヤが突っかかり、僕とドクオの乗ったバイクはバランスを崩した。
(;'A`) 「なにを…!!」
ドクオは必死でバランスを保とうとした、が、無理だった。
(;^ω^)(;'A`)「うぁぁぁああああああああああああ!!!」
そのままバイクから投げ出された。
(;^ω^)「痛…!!」
(;'A`)「いってぇ…」
路肩の茂みに落ちたのとヘルメットのおかげで死にはしなかったが、
体の痛みは激しかった。
そこへツンが迫る。
(;^ω^)「…ツン!」
(;'A`)「…こ、これはもう駄目かもわからんね…」
- 166 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:31:21.81 ID:hvKNCeZT0
- ツンは僕たちの数メートル手前でホバリングしている。右腕がこちらに向けられる。
ξ 凵@)ξ「…誰か…た、助けて…なんかもう、頭の中がはっきりしな…」
(;´・ω・`)「ブーーーーーーン!!ドクオーーーーーーー!!」
ショボンの叫び。
『 さ よ う な ら 』
またあの声が響いた。
もう、駄目なのか?
( ゚ω゚)「…ぁ、ああああ」
- 168 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:34:11.89 ID:hvKNCeZT0
- …ごめん、ツン。
僕はもう君を救えそうにないよ。
もっと君といっしょにいたかった。
怒られても叩かれてもいいから君と一緒にいたかった。
そういえばテスト期間中なんだったっけ?
また君に勉強教えてほしかったなぁ…
もう一度君が教えてくれるなら僕は100点だって取ってやるよ。
今まで、ずっといっしょだったのに…ここでお別れだね。
ねぇ…ツン、もしかしたら僕は…
そこまで考えて、
僕は目を閉じた。
- 169 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:35:13.25 ID:hvKNCeZT0
- *
その時、
???「ジョルジュ!!スティンガー!!」
その叫び声とともに、ツンの体が爆発した。
まぶたの裏側がいきなり明るくなった。
(;^ω^)「おおおおおおおおおおおおお???!!!」
(;'A`)「今度はなんだ!?」
爆風を感じて目を開けた。
ツンの羽が前方に展開され爆発から身を守っている。
(;゚∀゚)「ちぃっ!防御しやがったか!」
どこから現れたかわからないが、一人の背の高い男がバズーカみたいなものを
背負って僕らの前に立っていた。
- 171 : クリエイター(千葉県):2007/03/17(土) 21:35:55.16 ID:hvKNCeZT0
- 川;゚ -゚)「予想できたことだ。早く装填しろ!次がくるぞ!」
そしてもう一人、髪の長い女性。
( ゚∀゚)「あいよ!そうだ、クー!チャフだ!あいつにはそいつが効くはずだ!」
川;゚ -゚)「任せろ!ジョルジュ」
クーと呼ばれた女性が手榴弾のようなものを投げる。
破裂。
爆発は起らずにアルミホイルの切れ端のようなものがあたりに広がった。
( ゚∀゚)「よし!もう一発もらっときな!」
ジョルジュと呼ばれた男が、ツンに向かって銃口を向けた。
ーーーーーーー第四話「覚醒」完
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