4 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:35:32.16 ID:IZTySI4u0
第二十二話


(*゚ー゚) 「……」

目の前に現れたこの女の子。

その声は、ラウンジ山で聞いたあの声そのものだ。

( ^ω^)「君は、誰なんだお」

(*゚ー゚) 「しぃ」

( ^ω^)「……しぃ?」

しぃ……聞き覚えがある。
ジョルジュさんたちが言っていた、人造細胞の個別名称。不明になったのは人造細胞Cだと言っていた。

そして、確か……

ツンが僕にメールをくれたとき、その文にはたしかにしぃ、と書いてあった。

( ^ω^)「君が……」

すべての元凶、人造細胞C?
こんな、小さな小さな女の子が?

(*゚ー゚) 「あたり。私が人造細胞。……名前は、しぃ」


5 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:37:11.58 ID:IZTySI4u0
僕はとっさに銃を引き抜こうとする。

(*゚ー゚) 「無駄だよ。現実世界で、あなたの銃は落としてしまったじゃない」

(;^ω^)「……ぐ」

銃を探していた手は空をつかみ、そのまま力なく落ちる。

(;^ω^)「何が目的なんだお?僕をどうするつもりなんだお?」

(*゚ー゚) 「別に」

ふふふ、としぃは笑う。

(*゚ー゚) 「私の宿主のツンが、その存在が消えるまで名前を叫び続けていたブーンっていう男の子は、いったいどんな人だろうと思ってね」

(;^ω^)「……」

(*゚ー゚) 「それで、ツンの意志を汲み取って、最後くらいはあなたをツンにあわせてあげようと思ったの」

(;^ω^)「……」

(*゚ー゚) 「でも、失敗ね。あなた、私が偽物だって気づいちゃったし」

しぃはブラブラさせていた手の動きを止め、僕を鋭くにらみつけた。

(*゚ー゚) 「だから、こうするわ」

(;^ω^)「……!」


6 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:38:22.15 ID:IZTySI4u0
再びしぃの姿が変わっていく。

(;^ω^)「なんなんだお……?」

そして、その変化が止まったとき、そこに居たのはツンだった。

人造細胞に支配された、兵器となったツン。

ξ 凵@)ξ『この姿で、あなたを殺してあげる』(*゚ー゚)

その右腕が、ぐん、とこちらを向き、僕の足元の地面がはじけた。

(;^ω^)「……!」

落ちる空薬莢。煙があがる右腕。

ξ 凵@)ξ『次は当てるわ』(*゚ー゚)

(;^ω^)「……」

右腕の機銃が僕に向けられる。
どう見ても当たるコース。

反射的に逃げる。僕が元居た場所に、弾丸の雨が降り注ぐ。


(;^ω^)「ぐ……」

どうすればいいんだ?

7 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:40:25.21 ID:IZTySI4u0
自分の居場所もわからない。おまけに丸腰。
そして相手は兵器。

ξ 凵@)ξ『どこに行くつもりなのかしら?』

(;^ω^)「……」

逃げ場所などない。自分でもよくわかっていた。
機銃が向けられた。口元を歪めるツンの顔。

そんな死の淵に立たされているというのに、僕は何故か落ち着いていた。
いや、落ち着くというよりは、もうどうでもよくなっていた。

いいや、もう。

殺すなら殺せ。僕はもう、疲れた。

君に殺されて、僕はツンのところに行くよ。

ξ 凵@)ξ『さよなら』(*゚ー゚)

( ^ω^)「……」

これで、終わりか。



『ブゥーーーーーーーーーーーン!!』

放たれた弾が当たる間際、誰かの叫び声が僕の聴覚をいっぱいにした。

8 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:41:29.18 ID:IZTySI4u0
(;'A`) 「馬鹿野郎!何ぼさっと立ってやがる!」

いきなり現実に引き戻された。火の熱を感じ、ドクオの手の感触がした。

(;^ω^)「なな……」

(;´・ω・`)「走れ!」

直後、僕がつい数秒前までいた所に火柱があがる。

足元に熱を感じて、そして視界がブラックアウトした。そこまで記憶がある。

あの一瞬、へんな夢をみていたのか?
そして、ドクオとショボンが僕を助けてくれた……?

(;'A`) 「逃げるぞ!」

手を引かれる。ドクオの力とは思えない。

(;^ω^)「わ、わ」

『どこに行くつもりかしら?』

逃げ場所など、ない。

周りは既に火の海だったし、車は既にばらばらになっていた。

すぐに火の壁に行く手を遮られた。そこに迫るのはツン。


9 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:42:50.68 ID:IZTySI4u0
(;'A`) 「これはもう駄目かもわからんね……」

(;´・ω・`)「……」

(;^ω^)「……」

『もう、いいのかしら?』

相手は兵器。それも、火力が根から違う兵器。

僕達には、どうしようもなかったんだ。

『もう、あなたたちと遊ぶのもあきた。じゃあ、そろそろ、死んでね』


ツンが弾を放とうとした、その時。
タイヤのスキール音が聞こえてきた。

『……?』

ツンが不思議そうに周りを見渡す。

そして次の瞬間、黒い塊が視界にに飛び込んできた。

(;^ω^)「!」

軍用車。それも米軍のマーク。

その運転席に座っているのは、僕達の知っている顔だった。

10 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:44:41.06 ID:IZTySI4u0
(;゚∀゚)「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

(;^ω^)「ジョルジュさん!?」

火の中を飛び出してきた軍用車は、そのままツンに突撃した。
流石に人間対車の交通事故のような吹き飛び方はしないが、それでもツンとの距離は開く。


(♯゚∀゚)「馬鹿野郎!なんでてめぇらここにいるんだ!?」

(;^ω^)「だ、だって……」

(;゚∀゚)「クー!兄者!」

後ろのハッチからクーと兄者が飛び出してきた。

クーはスティンガーミサイルを、兄者はグレネードランチャーを肩に担いで。

(;´_ゝ`)「らっ!」

川;゚ -゚)「!」

同時に放たれた二発の弾は命中する。
その爆煙を背景に、ジョルジュが僕に言った。

(;゚∀゚)「……ブーン!」

(;^ω^)「は、はいですお!」
13 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:48:16.91 ID:IZTySI4u0
(;゚∀゚)「ほら!お前の仕事だ!」

(;^ω^)「え?」

渡されたのは一挺の銃、デザートイーグル。

(;゚∀゚)「あのウイルス弾だよ!ここは、お前に任せるって言ってんだ!」

(;^ω^)「……!」

川;゚ -゚)「ジョルジュ!もう動きだすぞ!」

(;゚∀゚)「ああ!……わかったか?!ブーン。もう悩んでる時間はないぞ!」

(;^ω^)「は、はい!」

(;゚∀゚)「俺がやるつもりだったが……。やはりそれはお前の仕事だ。俺たちはお前を信じている。……頼んだぞ!」

僕は無言で頷いた。

渡された銃を両手に持ち、銃口を煙にまかれるツンへと向けた。

足を肩幅に開き、軽く前後させて衝撃に耐えられる体勢を取る。

右手で銃を押し出し、左手で引く。そして引き金は、

( ^ω^)「絞り込む……!」

自分への言い聞かせを含めて、言葉に出した。
引き金に指をかける。
15 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:49:35.68 ID:IZTySI4u0
照準機はぴったりだ。
このまま撃てば、確実に当たる。

( ^ω^)「……ツン」

今、僕が君を、止めてみせる。


もう、迷いなんて存在しなかった。


僕は引き金を絞った。




トリガーを引くことによってハンマーが落とされた。そのハンマーはファイアリングピンを押し出し、雷管を叩いた。
そのエネルギーで薬莢内の火薬が急速に燃焼を始める。発生した燃焼ガスによって、バレル奥の弾は撃ち出された。
銃口初速は毎秒425mにも達する。有効射程は60m。

この至近距離。破壊力は申し分なかった。

ツンの体に着弾したその弾は、その運動エネルギーによってその身の中へと食い込んでいった。

えぐり込んだ瞬間、内含していたウイルスが飛び出し、半機械化されていたその体の0と1の組み合わせを書き換えていった。

絶叫が、こだました。

『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!』
18 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:51:03.79 ID:IZTySI4u0
(;^ω^)「……」

外しっこないとは思っていたが、実際に当たったとなると流石に驚いた。
僕もこう上手く当たるとは思わなかった。

(;゚∀゚)「……」

川;゚ -゚)「……」

固唾を呑んで見守る。

ツンは、弾を受けた状態のままで叫んでいた。

『あああああああああああああああああああああああああっ!何をした?!私に何をしたぁ!?』

(;^ω^)「……ツン」

違う、アレはツンではない。
ツンの体を借りた、何か。

そうは思っている。
でも、その見た目はツン。声が違っても、僕の好きな人であるツン。

彼女が、叫んでいる。

( ;ω;)「ツン……」

(;'A`) 「おい!ブーン!」

(;゚∀゚)「危険だ!」

19 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:52:17.82 ID:IZTySI4u0
自分でも気がつかないうちに、叫んでいるツンに向かって僕は駆け出していた。
制止する声も聞こえるが、そんなもの完全に聞き流していた。

ツン。今、僕が君の側にいく。

もう、叫ばなくてもいいように。

『あああああああああああああああああああああああああっ!!』

( ;ω;)「ツン!僕はここに居るお!ツン!ブーンだお!」

『やめろ!私に触るなぁっ!』

ツンの体に触れた瞬間、弾き飛ばされた。

僕は倒れこむ。打ち所がわるかったらしい、血が出ている。
でも僕はそんなことおかまいなしに、再びツンに近づく。

( ;ω;)「ツン!僕だお!」

『来るなっ!あ、ああっ!!……な、なんで、また……』

頭を押さえて、ツンが暴れる。
僕はそれを上から抱きとめた。腕の中でも、ツンは暴れ続ける。

(;゚∀゚)「……なんだ?様子がおかしいぞ」

从;゚∀从 「……あれは……」

『あ、くっ、なんでまたあなたが……完全に、消したはずなのに……ああ、駄目!私の居場所を取らないで!』
22 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:53:29.81 ID:IZTySI4u0
( ;ω;)「ツン……?」

『駄目!あなたはもう死んだの!この体は、あたしのものなの!やめて!』

誰かと争っている?
僕らの見えないところで。

(;´_ゝ`)「……まさか」

『ああああああああああああああああああああああああああああああっ!』

ひとしきり暴れたあと、ツンは僕の腕の中でぐったりと脱力した。
倒れそうになるのを必死で押さえた。そして、名前を呼びながら揺すった。

( ;ω;)「ツン!ツン!」

揺する。何度も、何度も。

僕の涙がツンの頬に落ち、伝い、地面に落ち、しみをつくる。

( ;ω;)「ツン!ツン!」

何度呼んだかわからない。

( ;ω;)「ツン……!」

僕が諦めかけたとき。


23 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:54:12.74 ID:IZTySI4u0




       「……ブー……ン?」

       聞き慣れた声が、聞こえた。




25 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:55:34.49 ID:IZTySI4u0
*


東京ごと、少女を吹き飛ばす。

無線の向こうの声の主は確かにそう言った。

(;、、゚Д゚)「どういうことだ?!」

『言葉……おりの意味だ!プギャーが……った潜水艦は、元々第七艦隊……秘密……に日本に持……込んでいた原潜な……だ!
非核三……則なんて……の男が守る……思うか!?あいつはもう周……が見えてない!どんな手を使ってくるか』

(;、、゚Д゚)「……じゃあ」

『十中八九……違いない!奴……原潜の核ミ……イルで少女を東京ごと吹……飛ばす気だ!』

(;、、゚Д゚)「!」

『早く撃沈……ろ!あいつは、自分を負かした……女に異常な程固執し……いた。核くら……なら喜んで使う……ずだ。早く!
取……返しが……かなくなる前に!』

『それで言いたいことは全部か?セント・ジョーンズ』

『……!』

(;、、゚Д゚)「中将……!」

乱入してきた通信。
その声の主は、プギャー中将だった。


26 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:56:51.63 ID:IZTySI4u0
( ^Д^)『東京など私には関係ない。研究者拿捕も、もういい。私はプライドを優先する。
     あの少女でも、流石に核ミサイルには敵うまい。
     ついでに、私を裏切ったお前と、逃げ回っているという研究者。まとめて始末してやる』

(;、、゚Д゚)「中将!」

( ^Д^)『黙れ!イエローが私に指図するな』

(;、、゚Д゚)「……!」

(;・∀・)『中将!正気ですか?!』

( ^Д^)『モララーか?……ククク、残念だったな。お前の味方のアサピーは死んだ。誰のせいだかはわからんがな』

(;・∀・)『中将……!』

(;、、゚Д゚)「てめぇ……いい加減に……!」

( ^Д^)『何もかもおせぇんだよ。イエローども。どいつもこいつも私をコケにした罰だ』

(;官゚ゝ゚)「ミサイル発射口の開口音確認!」

開口音―――。

ギコの体を恐怖が支配した。
核ミサイルが、発射される……!
29 名前:第二十二話 ◆GoKuglY1Jo :2007/06/24(日) 20:58:29.28 ID:IZTySI4u0
( ^Д^)『これで、終わりだ。撃てぇ!』

(;・∀・)『ギコぉ!』

(;、、゚Д゚)「対潜ミサイル発射!」

プギャー、モララー、ギコの三人はほぼ同時に叫んだ。

『こなゆき』の甲板に設置されたアスロック対潜ロケットの八連装ランチャーが動き、八発のミサイルを空中に射出した。
ミサイルはマッハ1の速度で目標の上空を目指し、そこで短魚雷を切り離した。
海中に落とされた魚雷は右旋回をしながら目標を目指す。

だが、目標となった原潜に魚雷が命中する直前、潜水艦の甲板のミサイル発射口が開き、巨大なミサイルが飛び出してきた。

わずかに遅れて魚雷が潜水艦の艦体に命中する。初弾で爆発し、追い討ちをかけるように残りの魚雷が艦体に突き刺さり、艦体は爆散した。

そして、その爆発の真上を、核ミサイルは海上を目指して進んでいった。




――――第二十二話「核」完

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