- 2 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:19:35.20 ID:J1NsWxHM0
- 第二話
空調の音の上に、下校途中の生徒の声が重なる。
僕は白いシーツの筒に向かって歩いている。
あと、数歩の位置。
そこで、足を止めた。
(;^ω^)「(…なんか、すごーく嫌な予感がするお…)」
よく考えればこの部屋に人の気配はない。
それが僕の気持ちを躊躇させた。
(;^ω^)「(ツンのプリンを間違って食べてしまったときと同じような感じ
がするお・・・。防衛本能がこの筒を拒んでるお…)」
僕はもう一度その筒をまじまじと見てみる。
長さは170cmくらい。1枚のシーツではなくて、複数のシーツで凹凸が出来ないように
包まれてる感じだ。
- 3 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:20:14.53 ID:J1NsWxHM0
- (;^ω^)「(でも、やっぱり気になるお…)」
僕は手を伸ばした。
(;^ω^)「や、やっぱりやめとくお!一回教室に戻るお!」
一人だと言うのに僕は声を出し、手を下ろして振り返った。
振り返った先。
そこにツンがいた。
- 4 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:20:57.46 ID:J1NsWxHM0
- (;^ω^)「わっ!!ツン!!ツンかお!びっくりしたお!」
ξ;゚听)ξ「え?どうしたの?あたしはちょっとトイレにいってきただけよ。
ブーンこそなにをしt……!!」
ツンの目が鋭く動き、僕の後ろの一点で固まった。
(;^ω^)「どうしたのかお?あ、この筒かお?
僕も気になってたんだお!」
ξ;゚听)ξ「ちょ!!!駄目!!それは触っちゃ駄目!
………って伊藤先生が言ってた!」
(;^ω^)「そ、そうなのかお?危なかったお…
もうちょっとで触るところだったお!
…そういえば、伊藤先生はどこだお?姿がみえないお…」
ξ;゚听)ξ「い、伊藤先生は急用が出来たってさっき出ていったわよ」
- 6 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:21:57.49 ID:J1NsWxHM0
- ( ^ω^)「そうかお…。お礼を言いたかったのに残念だお…。
ま、明日でもいいかお。
じゃあツン、いっしょに帰ろうだお。
勉強、教えてお」
ξ;゚听)ξ「あ、ブーン、そのことだけど…今日は無しにして!!
ちょっと、用事が出来たの!先に帰ってて!」
( ^ω^)「そうなのかお?じゃあ、僕待ってようかお?」
ξ;゚听)ξ「い、いいわよそんなの!すごく時間かかるみたいだから!じゃあね!」
(;^ω^)「ちょ、ツン、わかったから押すなお。
っと、じゃあ、先に帰っとくお。勉強しててわからないことがあったら
メール送るお。
じゃ、また明日だお!」
ξ;゚听)ξノシ「う、うん!また明日!バイバイ」
- 7 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:23:00.63 ID:J1NsWxHM0
- ーーーガラガラ
ピシャリ
(;^ω^)「(変なツンだったお…そういえば頭痛はいいのかお?
まぁ、見た感じ大丈夫そうだったし、きっと治まったんだお)」
鞄を取りに教室に戻り、教室に残っていた友達と少だけ話した。
時間を見ると結構経っていたので、別れを告げて僕は家路についた。
- 8 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:24:35.21 ID:J1NsWxHM0
- *
('A`) 「なぁ、ショボン」
(´・ω・`)「なんだい?」
('A`) 「お前って、格ゲーうまいのな」
(´・ω・`)「そうかな。今回はたまたまさ」
(;'A`) 「たまたまだぁ…?」
ゲームセンターに入っていきなりショボンは格闘ゲームで厨キャラを使って
連勝しているオタクゲーマーに挑戦、3対0で勝利した。
(たぶん)プライドを傷つけられたオタクゲーマーは次々とコインを投入して
ショボンに挑戦するも、目下10連敗中だった。
- 9 :
名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:25:10.91 ID:J1NsWxHM0
- (´・ω・`)「んーー、筋肉隆々。
これだから格ゲーはやめられない」
デュクシ、ガスガスボカボカチュドーンデュクシデュクシチャリーンデッテイウデッテイウ
ドーンデュクシ、ガスガスボカボカチュドーンデュクシデュクシチャリーンデッテイウデッテイウ
ドーン
K.O
(´・ω・`)「あ、また勝っちゃった。今日は運がいいなぁ」
(;'A`)「(決して弱そうな相手じゃないんだけどなぁ…ショボン恐るべし)」
デュクシ、ガスガスボカボカチュドーンデュクシデュクシチャリーンデッテイウデッテイウ
ドーンデュクシ、ガスガスボカボカチュドーンデュクシデュクシチャリーンデッテイウデッテイウ
ドーン
- 10 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:26:06.39 ID:J1NsWxHM0
('A`)「…頭文字Dでもやるかな…」
チャリーン
('A`) 「(今日こそ拓海に勝つ!勝つ!勝つ!
前回は油断したが、今度こそ!)」
ブイーンブゥーンブワァーンブヒーンプシューギャギャギャドカブシャー
゙イーンブゥーンブワァーンブヒーンプシューギャギャギャドカブシャー
ワァーンブヒーンプシューギャギャギャドカブイーン
you lose…
('A`) 「…」
小学生「兄ちゃん、負けたんならどいてよ。後ろ詰まってるよ」
('A`) 「…ああ」
小学生「よーし!今日こそ文太を倒すぞーーーー!!」
小学生2「この前の拓海は楽勝だったよなーー!!」
- 11 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:26:46.33 ID:J1NsWxHM0
- ('A`) 「(…外の風でも、あたりにいくかな…)」
外に出て、風を浴びた。
店内のタバコのにおいから開放されて、すこし気分がよくなった。
少し遠い目をして景色を眺めた。
そのドクオの姿は、正直、キモかった。
- 12 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:27:38.63 ID:J1NsWxHM0
- *
もうなにも考えたくなかった。
自分になにがあったか。ここでなにがあったか。
もう、なにも。
ξ;;)ξ「うっ…うっ…」
あふれる涙はとどまることを知らない。
次から次に溢れては、床を濡らしていく。
考えたくもないのに、脳は勝手にイメージを作り出す。
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…」
- 13 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:29:22.51 ID:J1NsWxHM0
- 頭が痛くなって、もう、たえられないくらい痛くなって、
どうなった?
世界の色が変わって、時がとまって、
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…うっ…」
振り返ると、小さな女の子がいて、
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…」
その子が笑いかけたと思ったらまた頭痛が始まって、
そして、世界が元に戻り始めて、
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…」
- 14 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:30:27.35 ID:J1NsWxHM0
- 時間が戻って、
シーツが白くなって空が青になって、
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…」
自分の手が音を立てて形が変わっていって、
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…」
助けを呼ぼうと、呼んだ伊藤先生に向かって、
ξ;;)ξ「うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…うっ…」
黒くて光る、得体の知れない弾丸のようなものを発射した。
ξ;;)ξ「うぁぁぁぁぁぁあああああああああああぁあああん!!!」
もう、泣くしかなかった。
- 15 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:31:42.11 ID:J1NsWxHM0
- 私が、伊藤先生を殺した。
今はもうもとの姿に戻っているが、紛れもない、この手で。
心臓を撃ち抜かれた伊藤先生は糸が切れたマリオネットのように倒れた。
それを、私は、まるでブラウン管から覗くように見ていた。
先生が崩れ落ちる間際、一瞬だけだったが、また世界が暗転した。
そこで、私は脳裏に響く女の子の声を聞いた。
『あ な た は も う の が れ ら れ な い』
ξ;;)ξ「うぁぁぁぁぁぁあああああああああああぁあああん!!!」
もうなにも考えたくなかった。
自分になにがあったか。ここでなにがあったか。
そして、これからどうなるのか。
もう、なにも。
- 16 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:33:14.36 ID:J1NsWxHM0
- *
(;^ω^)「Did you know that that that that that boy
used was wrong?
な、なんだおこれ…こんなの訳せる訳ないお…」
模範解答を取り出す。
( ^ω^)「あの少年がつかったあのthatが間違っていることにあなたは気付いていましたか?」
(^ω^)…
(;^ω^)「この問題作ったやつ冗談抜きで十回死んだほうがいいお…。
大体、僕にとってアルファベットは武器でしかないのに」
お腹がグーっと鳴いた。
( ^ω^)「お腹空いたお。もう六時だお。カーチャンにご飯作ってもらうお」
- 17 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:34:04.81 ID:J1NsWxHM0
- 勉強に没頭しているうちに外はすっかり暗くなっていた。
カーテンを閉めて電気をつけた。そして大きく伸びをした。
1階に下りていこうとしたとき、ベッドの上で携帯電話が振動し始め、ライトが青く光った。
( ^ω^)「(メールかお…。あ、ツンかお?今日はごめんね、今度お返しするね♪みたいな
ところかお。フヒヒ)」
from:(−_−)
to:内藤
sub:big news!!
本文:早く学校来い!大ニュースだ!
保健の伊藤先生が死んだらしい!今学校にパトカーとか警察とかすげぇいっぱいいるよ!
うわさでは、どうも伊藤先生は殺されたかもしれないらしい…
どうせテストは中止になるだろうよ!
勉強なんてやめて学校来い!!
- 19 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:35:15.31 ID:J1NsWxHM0
- (;^ω^)「(…そんな、伊藤先生が…?!
しかも…殺された…?)」
脳が自動的に事態の解釈を進めていく。
今日保健室で何があった?僕も不審に思ったことがあったじゃないか。
あの、白い筒。
あれに包まっていたのは伊藤先生だったのか?
考えはそこでとまらない。その後起こったことを思い出す。
(;^ω^)「(…まさか…!!)」
僕は最悪の想像をしてしまっている。
絶対に信じたくない。…だけど、もうそのことで僕の頭はいっぱいになっていた。
(;^ω^)「(ツン…!!君なのかお…!!??)」
携帯電話をポケットに突っ込み、上着を1枚取り出すと僕は家を飛び出した。
- 21 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:36:38.53 ID:J1NsWxHM0
- *
外は寒かった。
鞄は教室に置きっぱなしで私は学校を出て、制服のままで町を歩いてる。
ξ 凵@)ξ「…」
一体…私はどうすればいいのだろう?
家にももう帰りたくない。学校にも、もう行けない。
枯れたと思っていた涙がまた溢れてくる。
ξ;凵G)ξ「ブーン…ねぇ、あたし、どうすればいいの?」
ブーンに会いたかった。さっきは咄嗟に突き放してしまったけど、今はどうしようもなく
ブーンに会いたかった。
声が聞きたかった。
- 22 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:37:49.02 ID:J1NsWxHM0
- 自然と計帯電話に手が伸びる。
電話…してみようか?
ぜんぶ、ブーンに話してみようか?
ブーンなら、私を救ってくれるかもしれない。
発信ボタンを押すのをためらっているうちに、着信音と共にメールが届いた。
ξつー;)ξ「ブ、ブーンかしら?…あ、あれ、違う。
ヒッキー君・・・?」
本文:早く学校来い!大ニュースだ!
保健の伊藤先生が死んだらしい!今学校にパトカーとか警察とかすげぇいっぱいいるよ!
うわさでは、どうも伊藤先生は殺されたかもしれないらしい…
どうせテストは中止になるだろうよ!
勉強なんてやめて学校来い!!
- 23 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:38:56.17 ID:J1NsWxHM0
- ………
町の喧騒が増した。
晩御飯の仕度を急ぐ主婦、学校帰りの学生が笑いながら歩いている。
電車の走る音、車の走る音、自転車のベルの音。
もう、すべてが鬱陶しかった。
ξ 凵@)ξ「……」
携帯電話の電源を切った。
画面が消える間際に見た時間は、六時を示していた。
- 24 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:40:33.71 ID:J1NsWxHM0
- *
(-_-)「内藤!!こっちだ!」
(;^ω^)「ハァハァ、走って来たから疲れたお・・!」
学校にはパトカーに警官、そして野次馬の人だかりが出来ていた。
警察によって学校の門は封鎖され、その門の前にはテレビ局のカメラマンもいた。
(;^ω^)「ヒッキー、事の顛末をkwsk」
(-_-)「校内を巡回していた警備員が保健室で伊藤先生が死んでるのを発見したんだって!
シーツに包まれてた…とか」
(;^ω^)「(シーツ…やっぱり…)」
(-_-)「警察が門封鎖してっから中に入れないんだよ。くそう…気になるよなぁ!」
('A`) (´・ω・`)「ブーン!ヒッキー!!」
- 25 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:41:51.05 ID:J1NsWxHM0
- (;^ω^)「ドクオ!ショボン!」
(;'A`) 「伊藤先生が亡くなったってのは、ほんとか!?」
(;^ω^)「どうやら…本当らしいお…」
(;'A`)「……」
(;´・ω・`)「でも、なんで…?」
(;^ω^)「そ、それは…」
僕は知ってるんじゃないのか?
これは、ツンがやったことなんじゃないのか?
- 26 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:42:51.42 ID:J1NsWxHM0
- (-_-)「今それを警察が調べてると思うんだけど…あれ、内藤?どうした?
顔色悪いぞ?」
(;'A`)「顔色悪いって言ったら、ツンはどうしたよ?ヒッキー、ツンにもメール
送ったんだろ?」
(-_-)「うん。送ったんだけど…」
('A`) 「あぁそうか…風邪だっけか?これないのかもな」
(´・ω・`)「ブーン?ツンのこと送っていったんだよね?」
皆の視線が、僕に集まる。
(;^ω^)「…みんな、悪いお。僕はちょっと用事を思い出したお!!
先に帰るお!!」
- 28 : 名無しさん@(不明なsoftbank):2007/03/16(金) 14:45:48.50 ID:J1NsWxHM0
- (;'A`)「ぁあ!?…っておいブーン、待てって!!」
待ってなどいられるか。
僕は振り返って走り始めた。
どこに行くなんてきまってない。
ただ、ツンを探さなければならない。
携帯電話を取り出し、ツンの番号を引っ張り出す。
(;^ω^)「頼むお!ツン!出てくれお!!」
陽はすでにおちていて空は暗く、持ってきた上着1枚では肌寒く感じた。
ーーーーー第二話「僕とツンと(2)」完
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