- 2 :
スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土)
22:36:48.94 ID:mGOx5AbE0
- 第十二話
从 ゚∀从 「……そうか、本当にブーンには悪いことをしたね」
( ゚∀゚)「……ええ。しかし、仕方の無いことです。遅かれ早かれ、あの少女本来の意識は消えるはずでしたから」
从 ゚∀从 「悲しいね。本当に悲しいね。なんてものを、我々はつくってしまったんだろうね」
( ゚∀゚)「過ぎ去ったことよりも、これからのことを考えましょう。
どうにかしてでも、あの人造細胞は我々が止めなくてはなりません」
从 ゚∀从 「……そうだね。
で、だ。兄者と弟者が開発しているという例の『あれ』、どうなりそうだ?」
( ゚∀゚)「明日には、完成できるようです。どうやって使うか、次はどこにあの少女が現れるか、などと色々と問題はありますが」
从 ゚∀从 「……そうか。だけど、問題はそれだけじゃないだろ?」
( ゚∀゚)「……実際に使うかどうか」
从 ゚∀从 「人造細胞を実際に作ったのは我々ではないが、今人造細胞に責任を持っているのは我々だ。
『あれ』を使って決着をつけるのは、筋が通ってないことだとあたしは思う」
- 4 :
スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土)
22:38:41.49 ID:mGOx5AbE0
- ( ゚∀゚)「自分もそう思います。しかし、もうそんな悠長なことを言っている場合でもありません」
从 ゚∀从 「……まぁいいよ。そのことをいまここで決断しようとは言わない。『あれ』の存在を、当人に知らせる事が先だよ」
( ゚∀゚)「はい。局長の解析が終わり次第会議を開きましょう。それで、自分が」
从 ゚∀从 「……任せたよ。悪役を買って出させるなんて、あんたにも悪いことをしたね」
( ゚∀゚)「いえ。仕事ですので。……じゃあ、自分は戻ります」
从 ゚∀从 「おう」
ジョルジュは局長室を出て、クーたちのいる休憩室に向かった。
ーーーー悪役を買って出る。
ハインはそういったが、実際自分は悪役ではないかと思う。
- 5 :
スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土)
22:39:17.38 ID:mGOx5AbE0
- 当人がどんな決断をしても、結局『あれ』を使わないことにはツンをとめられないのだと、自分は知っていたからだ。
( ゚∀゚)「(まるで茶番だな……)」
ドン、と、廊下の壁を叩いた。
近くにいた技本の職員がこちらを見たが、そんなもの気にもならなかった。
(;゚∀゚)「(俺だって…まだ悩んでるんだ。だからあいつらを拾ってきたんだ)」
だが思う。そのことも結局言い訳にしか過ぎないのだと。
やつらがどんな決断をしようと、『あれ』しか自分達には少女をとめられるす術を持たないのだ。
(;゚∀゚)「(……一体、どうすればいいんだ……)」
頭の中はまとまらないが、そうこうしているうちに休憩室についた。
- 6 :
スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土)
22:41:08.14 ID:mGOx5AbE0
- *
ドクオは休憩室からぼんやりと外を眺めていた。
特に何かを見ようとして外を眺めているのではなく、何もすることがないのでそうやっているだけだ。
('A`) 「……」
なにも考えていない。いや、何も考えられないといったほうが正しい。
あの、ブーンの取り乱した姿をみてからは、ブーンのことも、ツンのことも考えたくなかった。
そんなことをしているうちに部屋のドアが開く音が聞こえた。
ジョルジュだ。
( ゚∀゚)「……ブーンは、まだあの調子か?」
局長の部屋から休憩室に帰ってきたジョルジュは、開口一番にそう言った。
(;'A`) 「ええ。で、でも、しかたがないですよ……」
( ゚∀゚)「……そうだな」
ツンからの最後のメールが届いた後、ブーンは屋上で空を見上げているだけだった。
なにを言っても、なにも答えなかった。
- 8 :
スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土)
22:44:29.17 ID:mGOx5AbE0
- 川 ゚ -゚)「……今は、そっとしておこう。時間の経過しか、彼を救うことは出来ないからな」
(;'A`) 「そうっすね……」
(´・ω・`)「……」
(;'A`) 「で、でも」
( ゚∀゚)「ん?」
(;'A`) 「ツンは、ほんとに消えてしまったんでしょうか?」
川 ゚ -゚)「……おそらく、な」
(´・ω・`) 「……!」
ここで、ずっと黙っていたショボンがテーブルを叩いた。
バンッと、乾いた音が部屋中に響いた。
(;゚∀゚)「……ショボン」
(´・ω・`)「……なんで、ブーンとツンがこんな目にあわないといけないんですか」
(`・ω・´)「なんで!あなたたちがつくったもので!こんなにも苦しまなきゃいけない人が出るんですか!!」
- 9 :
スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土)
22:45:22.23 ID:mGOx5AbE0
- (;'A`) 「……ショボン」
ショボンがこんなにも感情をあらわにするのを見るのは、ドクオは初めてだったので驚いた。
だが、確かにショボンが言うとおりなのだ。
自分達は、何事も無い平穏な生活が送れていたはずなのに。
人造細胞だがなんだかわからないもののために、その平穏はこんなにも乱されてしまった。
(`・ω・´)「あんたたちは……!!」
(;'A`) 「俺、ブーンのところに行ってくる!!」
(;゚∀゚)「あっ、おい!ドクオ!!」
ドクオは走って部屋を飛び出した。目指すは屋上。ブーンのいるところだ。
気の利いたことはなにも言えないかもしれない。だが、いっしょにいてやらねばならないと、ドクオは思った。
エレベーターの前に着いた。ボタンを押す。押す。
何度押しても、すぐに到着するわけではない。じれったい。
エレベーターの階数を示すランプは、まだ1階を示していた。
- 10 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:46:34.18 ID:mGOx5AbE0
- (;'A`) 「くっそ!」
ドクオは階段に向かって走った。途中、技本の職員と何度もぶつかりそうになった。
息も絶え絶えに階段を駆け上がり、屋上へを続くドアを勢いよく開けた。
(;'A`) 「はぁはぁ……」
車の走る音やクラクションが耳に入った。
上を見れば、青い空に、雲がまばらに浮いている。
せかせかと動く町とは対照的に、雲はゆっくりと動いている。
その、空の下。屋上の真ん中あたり。洗濯物を干してある物干し竿の隣で、ブーンは床に直に座っていた。
足を投げ出して、手は後ろについていた。隣には携帯電話が画面を開いたまま置いてある。
人影に気づいたらしく、ブーンは振り返った。
( ^ω^)「……ドクオかお」
(;'A`) 「はぁはぁ……よう、ブーン」
ドクオは歩いてブーンに近づいて、隣に座った。
目の前のビルの、窓ガラスが目に入った。
- 11 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:48:01.39 ID:mGOx5AbE0
- ( ^ω^)「……なんの用だお」
(;'A`) 「い、いや、別に用は無いんだけど」
( ^ω^)「……そう、かお」
ブーンはまたぼんやりとし始めた。
ドクオは、どうしていいかわからずとなりに座っていることしかできない。
そのまま、しばらく時間が過ぎた。
ゆっくりとした風が、ブーンとドクオの頬を撫でた。干してあった白いシーツがかすかに揺られた。
('A`) 「ブーン」
( ^ω^)「……」
('A`) 「俺、2週間くらい前かな」
( ^ω^)「……」
('A`) 「渡辺さんに告白してふられたんだ」
(;^ω^)「なっ……ほんとかおっ!?初耳だお!」
('A`) 「……ほんとうさ」
(;^ω^)「……なんで黙ってたんだお」
- 13 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:48:36.45 ID:mGOx5AbE0
- (;'A`) 「だっ、だってかっこ悪いだろ!?ふられたなんてさ」
(;^ω^)「い、い、いや、そんなことはないおっ!」
(;'A`) 「気休めはよせよ」
(;^ω^)「……」
苦し紛れに言ってしまった。
話題が無かったので思わず言ってしまったが、ドクオは激しく後悔した。
(;'A`) 「(そんなことはないっていわれても……)」
かっこわるいに決まっている。
(;'A`) 「(しかもショボンは渡辺さんとカラオケいったんだろ……俺死にてえ)」
はぁっ、と、ドクオはため息をついた。
そのせいで、場の空気がさらに気まずくなってしまったような気がした。
再び会話が無くなった。前のビルの中で人が動いているのを見ているしかない。
しばらくすると、「でも」、とブーンが口を開いた。
- 14 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:50:31.80 ID:mGOx5AbE0
- ( ^ω^)「……僕はドクオがうらやましいお」
(;'A`) 「はぁ?」
うらやましい。この俺が?
キモイとは言われたことがあったが、うらやましいと言われたのは初めてだ。
(;'A`) 「なんでおれが?」
( ^ω^)「好きな人に、好きだと伝えることができたんだお」
(;'A`) 「……あ」
( ^ω^)つ「これをみるお」
ドクオは手渡されたものを受け取る。ブーンの携帯電話だ。
(;'A`) 「……いいのかよ?」
( ^ω^)「……お」
開かれている画面を見た。
メールの文面が表示されている。
ドクオは、一通一通読んで確認していった。
ツンからブーンへのメッセージ。
そのどれもが悲痛な程胸に染みた。
- 16 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:52:01.86 ID:mGOx5AbE0
- しばらくして最後のメールを見終わると、顔を上げた。
('A`) 「……ツンが、お前を好きだって言ったことは、今までなかったな」
( ^ω^)「そうだお。僕はツンはいつもいっしょにいて当然と思っていたから、今更言い合って確認することもないと思ってたんだお」
('A`) 「……ブーン、それは違うぜ……」
( ^ω^)「……ツンは、僕に好きだって言ってくれたお」
携帯電話をブーンに返した。ブーンはそれを受け取り、胸に抱いた。
( ^ω^)「ようやくわかったお。僕は、ツンが好きなんだお。離れてみて、そばにいられなくなって、ようやく」
ドクオは何もいえない。
黙ってブーンの話を聞くだけだ。
( ^ω^)「僕は馬鹿だったお……本当は前から好きだったのかもしれないお……」
いや、と、ブーンは首を振って自分で言ったことを否定する。
( ^ω^)「僕は、ツンが好きだお。ドクオや、ショボンが思っている以上に。ツンが思っている以上に」
言いながらも、ブーンの肩は震えていた。
(;'A`) 「ブーン……」
( ;ω;)「でも、もう、ツンはいないんだお。好きだって、僕は伝えられないんだお……!!」
ブーンはポロポロと涙を流した。落ちた涙が床にしみを作っていった。
- 17 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:52:49.47 ID:mGOx5AbE0
- 涙はとどまることを知らない。次から次へと、流れては落ちていく。
そのしみが、丸い大きな円を作ったころ、ドクオは口を開いた。
('A`)「ブーン」
( ;ω;)「おっおっおっ……」
('A`) 「前に、ショボンが言ってた気がする」
( ;ω;)「おっおっおっ……」
('A`) 「犯した過ちに気づけないことこそ、最大の過ちだと」
( ;ω;)「おっおっおっ……」
('A`) 「お前はそれに気づいた。お前は過ちは犯していない」
( ;ω;)「お?」
('A`) 「だが、過ちに気づくだけじゃ駄目だ。もう二度と過ちを犯さないようにしなければならない。
取り返しがつくのなら、全力で挽回しなくてはならない」
( ;ω;)「……」
('A`) 「ラウンジ山では俺とショボンはお前に耐えろと言った。なにかをするために、踏みとどまれと言った」
( ;ω;)「……」
- 18 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:54:33.76 ID:mGOx5AbE0
- ('A`) 「だが、今は違う。踏みとどまっていては駄目だ。駄目と判っていても、退いてはいけないときだ」
( ;ω;)「……ドクオ」
('A`) 「お前はこれからやるべきことがあるだろう」
( つω;)「……」
('A`) 「お前がやるべきこと、わかるだろう?」
ドクオの言葉がブーンの頭の中で反芻する。
僕のやるべきこと……
ブーンは考える。
('A`) 「いいか、ブーン。それはつらくて、とても厳しいことだ。そして、悲しいことだ。
でも、お前なら出来る。お前にしか出来ないことだ。
存分に、悩め。悩んで悩んで、悩みぬいて結論を出せ。間違いじゃないと、信じられる結論を出せ。
それはきっと間違ってはいない。
でももし、悩んで、悩んで、それでも駄目だったら、俺に言え。俺を頼れ。俺が、お前に道を示してやる」
( ^ω^)「……」
- 19 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:56:03.68 ID:mGOx5AbE0
- ('A`) 「俺はお前を信じている。お前なら、きっと出来る。
……って、少し、偉そうに言い過ぎたな。俺は戻るぜ」
ドクオは立ち上がる。しりについた汚れを手で払った。
( ^ω^)「あ、ぼ、僕もい」
立ち上がろうとしたブーンを、ドクオは手で制した。
('A`) 「駄目だ。やるべきこと、それを決めろ。ます、お前が一番にしなきゃいけないのは、それだ」
( ^ω^)「……ドクオ」
('A`) 「待ってるぜ」
それだけ言うとドクオは階段に向かって歩いていった。
ブーンはしばらくその後姿を見ていたが、すぐに向き直った。
ーーーー僕が、すべきこと。
ブーンは考える。
僕がやるべき、僕にしか出来ないこと。
そんなことは、ひとつしかなかった。
- 20 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:57:07.85 ID:mGOx5AbE0
- *
从 ゚∀从 「……ブーンの姿が見えないね」
(;゚∀゚)「……彼は、ちょっと今は」
从 ゚∀从 「なら、仕方ないね。データの解析も完了した。会議を始めよう」
(´・ω・`)「……」
解析が完了したと、ハインから連絡があったのは十分ほど前。そして会議室に集まれと言われた。
だが時間になっても、ブーンは姿を見せなかった。
長方形の形が作られた長机を、ハイン、ジョルジュ、クー、ドクオ、ショボン、兄者、弟者の六人と、技本の職員が五名ほどで囲んでいた。
从 ゚∀从 「説明は、あたしがやる」
手元の資料に目を落とした。
从 ゚∀从 「まず、昨日のデータでわかったことだ。目標である少女には、通常兵器は一切効かない」
用意されたスクリーンに、映像が映し出される。
少女に向かって飛ぶミサイル。回避しようとする少女。だが、その回避行動も虚しくミサイルは直撃。空中で爆発している。
从 ゚∀从 「これは、海自の護衛艦が少女に対してミサイルを放ち、直撃を食らわせたところだ。
……だが、この次」
- 23 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:58:18.01 ID:mGOx5AbE0
- ハインはコンピュータを操作した。止まっていた画面が動き出す。
从 ゚∀从 「この、羽だ」
羽を全身に広げ、爆発から身を守る少女。その体には傷一つついていない。
从 ゚∀从 「この羽は浮力を生み出しているのではなく、専らシールドとして使われていると思われる。
この羽を突き崩さないことには、少女に攻撃は届かない」
川 ゚ -゚)「で、どうするんですか?」
从 ゚∀从 「羽を貫くだけなら、兄者が開発した特別鉄鋼弾がある」
( ´_ゝ`)「だが、それも今のところ一発しか用意出来ていない」
从 ゚∀从 「しかも特別鉄鋼弾は大きいものは作れない。余りにも大きいと自身の質量のせいで飛ぶことができないからね」
川 ゚ -゚)「限界サイズは?」
( ´_ゝ`)「ハンドガンサイズだ。デザートイーグルでのみ発射できる」
川 ゚ -゚)「……デザートイーグルか。ハンドガンといっても大砲だぞあれは」
从 ゚∀从 「だが、貫くだけでは何の意味もなさない」
( ´_ゝ`)「表面に傷がついて、終わりだ。まぁよくて羽だけは貫通するかもしれないが」
川;゚ -゚)「そう……か」
- 24 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 22:59:20.85 ID:mGOx5AbE0
- 部屋中がため息をついた。
じゃあ、どうすればいいというのか。
通常兵器が効かない。海自のミサイルですら駄目だった。
特別鉄鋼弾をもってしても傷がつくだけだと言う。
しばらくの沈黙があった。そして、それを破ったのはハインだった。
从 ゚∀从 「……有効な手段が一つだけある」
川;゚ -゚)「本当か!?」
( ゚∀゚)「……」
川;゚ -゚)「局長!」
('A`) (´・ω・`)「……」
部屋中の視線がハインに集まる。
- 25 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:00:59.84 ID:mGOx5AbE0
- 从 ゚∀从 「ウイルスさ」
川;゚ -゚)「ウイルス?」
( ゚∀゚)「……」
从 ゚∀从 「少女の体は現在人造珪素細胞が広がり、ほぼ機械化している。それを無力化するウイルスは、十分に開発可能だ。
そしてーーー」
( ゚∀゚)「局長」
ハインの言葉をジョルジュが遮った。
ハインはジョルジュを見ると、その意図がわかったというように頷くと椅子に座った。
今度は、ジョルジュに視線が集まる。
川;゚ -゚)「ジョルジュ…?」
ジョルジュは一瞬クーを見やった。だが、すぐに視線を戻すと口を開いた。
( ゚∀゚)「人造細胞による身体の珪素化による弊害を一点についた作戦を提案します」
(´・ω・`)「……」
( ゚∀゚)「兄者と弟者が現在開発しているウイルス…これは明日までには完成します。これを使って、目標を無力化させます」
从 ゚∀从 「……」
- 27 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:01:55.03 ID:mGOx5AbE0
- ( ゚∀゚)「人造細胞とはいえ、結局は機械。先ほど出てきた特別鉄鋼弾……これにウイルスを込めます。これは可能です。
その弾丸を、海自の協力を得ながら目標に撃ち込みます。
羽には人造細胞の中枢はないので、羽を貫通するほどの至近距離から撃ち込む必要がありますが」
川;゚ -゚) 「それで、なんとかなるのか?」
( ゚∀゚)「おそらくは。
ただ、どうやってあの少女に近づくのか、次に少女がどこに現れるのか、を、検討する必要がありますが」
从 ゚∀从 「……」
('A`) (´・ω・`)「……」
( ゚∀゚)「ここまでで、何か質問は?」
川 ゚ -゚)「ある。そのウイルスによって人造細胞が無力化されるのはわかった。
……で、その場合の少女ーーーーツンの生還は可能なのか?」
( ´_ゝ`)(´<_` )「……」
川 ゚ -゚)「もし駄目なら、わt」
( ゚∀゚)「98パーセントの確率で」
川;゚ -゚)「む」
クーの言葉を、ジョルジュは言葉で遮った。
言葉に詰まったクーを見て、ジョルジュは続けた。
- 28 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:03:14.81 ID:mGOx5AbE0
- ( ゚∀゚)「少女は死亡します」
98パーセント、死ぬ。ジョルジュは、確かにそう言った。
(;'A`) (;´・ω・`)「な」
( ゚∀゚)「……このウイルスを使った場合、少女の体は完全に使えなくなります」
クーが叫んだ。
川♯゚ -゚)「ふざけるな!ジョルジュ!!
98パーセント死ぬだとっ!?お前は何を考えている!? そんなもの、実際に使う気か!?」
( ゚∀゚)「……」
川♯゚ -゚)「人造細胞がツンとの共生を選ぶようなウイルスとか……人造細胞のみを破壊するウイルスとか…。
やりようはいくらでもあるだろっ!」
( ゚∀゚)「……」
川♯゚ -゚)「黙ってないで、なんとか言え、ジョルジュっ!
……返答次第では、私はお前を許さない……!!」
クーがジョルジュの胸倉をつかんだ。
- 29 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:03:58.96 ID:mGOx5AbE0
- (;゚∀゚)「……俺だって!」
川♯゚ -゚)「…」
(;゚∀゚)「俺だってこんなの使いたくねぇよ!!でも……でも俺たちにはこれしか人造細胞を止める手段はないんだよっ!」
川♯゚ -゚)「人造細胞を止めるためなら、ツンは死んでもいいというのか!?」
(;゚∀゚)「……そうしないことには、更に被害がおおきくn…!」
川♯゚ -゚)「っ!!」
クーがジョルジュを殴った。吹っ飛んで倒れるジョルジュ。
(;´・ω・`)「!」
从 ゚∀从 「……」
( ´_ゝ`)(´<_` )「……」
川♯゚ -゚)「人の命を天秤にかけるな!命に大きいも小さいもない!彼女を殺して、ほかの人が生き残ればそれでいいのか!?
見損なったぞ!ジョルジュ!」
(メ;゚∀゚)「ぐ、なんとでも言え。 じゃあ、ほかにどうすればいいんだ!?」
ジョルジュはよろよろと立ち上がった。
- 30 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:05:31.70 ID:mGOx5AbE0
- (メ;゚∀゚)「俺が、ブーンたちを拾ったのは、その最終決断をさせるためだ」
(;´・ω・`)「……!」
川♯゚ -゚)「私は絶対に認めない。
私達が生き残り、ブーンたちが生き残り、そしてツンがもとに戻るのが、最善の帰結だ。
彼女を殺すことで、すべてを解決するのは駄目だ」
(メ;゚∀゚)「……そんなものは机上の空論だ。現実を見……」
川♯゚ -゚)「……貴様!」
クーが再びジョルジュに殴りかかろうとした。
その間に、ドクオとショボンが割って入ってとめた。
(;'A`) 「クーさん!」
(;´・ω・`)「クーさん!落ち着いて!」
川♯゚ -゚)「離せっ!私は……私は」
クーは二人に押さえつけられてもしばらくじたばたしていたが、落ち着きを取り戻すとこう言った。
川 ゚ -゚)「……もし、今度の作戦にそのウイルスが使われるのなら、私は参加しない」
从 ゚∀从 「クー!」
川 ゚ -゚)「無駄です。局長。もう、決めました。……私はこれで失礼します」
言い捨てると会議室の出口に向かって歩いていく。
- 31 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:06:43.53 ID:mGOx5AbE0
- (;'A`) 「クーさん!」
(メ゚∀゚)「……」
ドクオの呼びかけにも応じずクーはドアを開けた。部屋の誰もがその背中を見ていた。
そしてその時、新たな人影が部屋の中に入ってきた。
「うわっ!びっくりしたお!クーさんかお!」
川;゚ -゚)「ぶ、ブーン!?」
(;^ω^)「どうしたんだお?そんな大きな声をあげて……」
現れた人影は、ブーンだった。
ドアの前に居た、と、いうことは……
川;゚ -゚)「まさか……すべて聞いていたのか?」
人造細胞を止めるために、ツンの命が奪われるウイルスが開発されていること。
そして、そのウイルスが実際に使われそうなこと。
- 32 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:07:28.53 ID:mGOx5AbE0
- ブーンはゆっくりと頷いて言った。
(;^ω^)「……はい、ですお」
川;゚ -゚)「ブーン!だが、そのウイルスh」
( ^ω^)「ジョルジュさん!」
クーが言い終わる前に、ブーンはジョルジュの名前を呼んだ。
ジョルジュは顔を上げてブーンを見た。
ブーンの、目を見た。
(メ;゚∀゚)「……ブーン」
ブーンが目の前まで歩いてくる。
殴られることを、ジョルジュは覚悟した。
実際、ドクオとショボンはブーンを止めようとしていた。
だが、ブーンはこう言ったのだ。
( ^ω^)「ジョルジュさん……。その、ウイルスを撃つ役目、僕がやりますお」
川;゚ -゚)「な」
(メ;゚∀゚)「!」
ブーンの顔を見る。
- 33 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:08:20.53 ID:mGOx5AbE0
- 僕がやる。
確かにそう言った。
川;゚ -゚)「なにを言っているんだ!ブーン!正気か!?」
( ^ω^)「僕は正気ですお」
川;゚ -゚)「だが……!」
( ^ω^)「考えたんですお。僕は今、何をすべきか」
(メ゚∀゚)「……」
( ^ω^)「そして判ったんですお。僕がすべきこと、それは一つしかない。
これ以上ツンの体で人を殺させないこと。これ以上、ツンの体を好き勝手にさせないこと」
川;゚ -゚)「……」
( ^ω^)「ドクオ、ありがとうだお。僕は道を踏み外すところだったお。泣いて終わりになるところだったお」
('A`) 「……ああ」
もう決めたのだ。すべてを、自分の手で終わらせることを。
ツンを人造細胞から解放することを。
ツンを、自分の手で殺すことを。
- 34 : スカイダイバー(千葉県):2007/03/31(土) 23:09:31.97 ID:mGOx5AbE0
- ( ^ω^)「僕が、ツンを止めるお」
ブーンは力強く言った。
(メ゚∀゚)「……」
返す言葉の見つからないジョルジュは黙ったまま、ブーンの顔を見ていることしか出来なかった。
そして、その顔に涙の跡があることに気づいたのだった。
部屋の窓が風に揺られてがたがたと揺れて、止まった。
ーーーーーーーーー第十二話「final option」完
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