- 678 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
18:04:01.79 ID:tFgYaNv2O
- 九話・漢
――――12月18日
人。人。人。辺りは一面人間で覆われていた。
だがただの人混み等ではない。一人一人背筋をピーンと伸ばし、綺麗に整列させられている
皆、同じ服の男。不意に先頭にいた、大柄の男が後ろに振り向き、後ろの男共を一人一人睨みつける
(#゚;-゚)「そこのお前っ!!」
('A`)「はい!!」
(#゚;-゚)「何故我々が収集させられたのか言ってみろっ!!!!!!」
大柄な男は、怒鳴りながら一人の男に問いかける。
だがしかし、その男もそんな怒鳴り声に対抗するよいに叫ぶように大柄の男に答えた
('A`)「我々が収集された理由はっ!!!!凶悪な、それでいて非道なテロリスト共をっ!!!殲滅する為でありますっ!!!!!!!!!」
(#゚;-゚)「よろしいっ!!!!では何故我々だったのか!?」
その質問に、またも男は即答した。勿論叫びながら
('A`)「我々はっ!!柊二尉の隊は、漢っ!!!!!!であるからでありますっ!!!!!!!!!」
漢、と聞いた瞬間大柄の男は一瞬口元を緩ませたが、それも一瞬。
すぐに元の厳しい顔に戻る
- 687 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
18:18:51.83 ID:tFgYaNv2O
- だがそんなやりとりを呆れながら見ていた男が二人
( ^Д^)「なーにが漢じゃ。コントやってるんじゃねーんだぞ馬鹿」
( `八´)「そうアル!!同じザパニーズと恥ずかしいアル!!」
(;^Д^)「…………」
だが大柄の男はその二人の様子を横目で見ていた。
(#゚;-゚)「………」
そしてドスドスと足音を立て、威圧しながら大柄の男は二人の男に近付いた
二人は瞬間、背筋を伸ばしさぼっていた敬礼のポーズを慌ててとり直す
二人の目の前に立った男はふと、妙な匂いが鼻についた
(#゚;-゚)「おい」
( `八´)「アル!!」
(#゚;-゚)「お前……香水をつけているな?」
(;`八´)「!?」
- 700 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
18:32:24.36 ID:tFgYaNv2O
- その瞬間、大柄な男は香水をつけていた男に向かってゲンコツを放つ
そして男は、アルー!と叫び声を上げる男から、制服を無理矢理奪いとった
( `八´)「な、何するアル!!」
(#゚;-゚)「香水というの下らん物は軟弱者が使う物だ!!!!!!」
そう怒鳴った後、男はそのまま奪い取った制服を自分の脇に擦りつける。
何度も。何度も………
(#゚;-゚)「ふん、ふん、ふん!!!!!!」
( `八´)「な、なんという事を………!!!」
そうしてその制服は完全に香水の匂いが消え……………
いや、その香水の代わりに、その制服にはある匂いがこびりついていた
(#゚;-゚)「うむ!!軟派な匂いは消えた!!漢らしい!!!」
( `八´)「ぬぁーーーーっ!?」
大柄な男は制服を再び男に押し付ける。その制服には漢の匂いがこびりついていた。
それはその大柄の男にとっては麗しい匂いだが、一般人にとってはただの悪臭であった
(;^Д^)「(なんというカメレオン……)」
- 705 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
18:39:14.19 ID:tFgYaNv2O
- (#゚;-゚)「行くぞーっ!!!!」
そうして男が叫びながら歩み出す。
それに呼応するように後ろの男……いや、漢達は一斉に歩み出した
( `八´)「臭いアル………せっかく女のいる所に行くから気合入れて来たのに……」
( ^Д^)「まぁそう言うな。元気だ………おっと、近寄るなよ?」
( `八´)「…………」
彼等は向かう。前線基地に。本隊がいる基地から離れ、先発隊として
急場凌ぎの前線基地へと………
- 716 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
18:53:19.31 ID:tFgYaNv2O
- 慌ただしく動く警官。目の前で、自分のデスクの前で走る回る同僚
だがそんな事はどうでもいい。
(,,゚Д゚)「むーっ………」
署内の様子がおかしいのにも気付かず、何時ものように机に寝そべる小笠原
そう、彼はずっと考えていた。
どうやったら神田を捕まえられるのか。どうやったらあの怪物の集団を倒せるのか
だがいくら考えても答えは出ない。いや、出る筈が無い
(,,゚Д゚)「アッーー!!!ちきしょう!!!!」
そう叫び、顔を上げる小笠原。だがそんな小笠原の叫びを気にする者等いない
(,,゚Д゚)「ん?」
ここでようやく小笠原は署内の雰囲気がおかしい事に気付く。
ざわめく警官。その原因。それは警察署の入口にあった。
いや、来ていた……
- 725 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
19:12:40.27 ID:tFgYaNv2O
- (,,゚Д゚)「なんだぁ?」
小笠原は不思議に思いながらも窓から外を見る。
だがそこには…………
(,,゚Д゚)「……………………軍隊?」
そう。警察署の周りを囲む様にして、軍人らしき集団がテントを張っていた。
そしてその周りには軍用のジープ、トラック。果ては戦車の大軍がこの警察署の周りに集結していた
(,,゚Д゚)「おいおいおいおいっ!?」
思わずそう突っ込みたくなるような風景。一面軍人に埋め尽された窓からの景色
小笠原は駆け足で玄関に向かう。そこには案の定、警官の集団と軍人の集団が何やら言い争っていた
(#゚;-゚)「だからっ!!お前達はこれから我々の指揮下に入るんだっ!!」
(゚Д。)「聞いてねーよそんなの!!!大体有り得る訳ねーだろそんな事ー!!!!」
(#゚;-゚)「そうなっているんだから仕方ないっ!!警察予備隊が警察署にいて違和感はないっ!!!」
(゚Д。)「いつの話だそりゃ!!自衛隊が警察署にいたら違和感ありまくりだろうが!!!!」
中には軍人の胸ぐらを掴む警官もいたが、そんな事をした警官は10m先に吹っ飛ばされていた
- 735 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
19:32:04.25 ID:tFgYaNv2O
- その様子を呆然と小笠原は見つめていた。
(,,゚Д゚)「……………」
( `八´)「オラ!!黙って柊様に従うアル!!ここは今日から前線基地アルっ!!」
('、`*川「ヤダ、この人何か臭ーい!!!」
(;`八´)「なっ!!!!!」
益々混乱する集団。
だがその時、大柄な男がその場を静める為か集団に向かって怒鳴り声を上げた
(#゚;-゚)「とにかくっ!!!!!!!この周辺には……テロリストが潜んでいると言われているこの地域の周辺には自衛隊の基地が少ないのだっ!!!!
貴様等も漢なら大人しく親方日の丸の命令に従えーっ!!!!!!!!!」
その叫び声のお陰なのか、辺りはシーンと静まる。
軍人も、警官も。全員が押し黙った
(#゚;-゚)「我々もこの警察署内にはあまり入らないようにする。それでいいだろう?」
その言葉を聞き、渋々警官達はその場から立ち去る。
舌打ちをしながら立ち去る者もいたが、ほとんどの警官は「警察署には入って来ない」という条件をのんだようだった
- 743 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
19:57:30.77 ID:tFgYaNv2O
- 警察署の周りに群がう軍人。だが彼等は気付かなかった。
もう既に、自分達が追っているテロリストに。討つべき敵に監視されていた事を
/,'З「くかかかかか!!!!呑気なものよのぉ!!!!!」
それは……いや、その集団はあるビルの上から警察署を見下ろしていた
一人の高笑いする老人に、その服従者である黒服
「殲滅しますか?」
彼等にかかればあんな集団、ただの一般人と変わりない
それが例え戦車でも。それが例えアパッチでも
だが………
/,'З「いや………少し数が多すぎる。今はまだ様子を見た方がよかろう」
「御意………」
そうして老人とその集団は彼等を監視し続ける。
戦力を分け、油断した時が彼等の最後。それがこの老人に標的にされた者の末路
/,'З「愚かよのぉ!!!勝って当然というその態度!!我等をただのテロリストとしか見ていないその態度!!!」
老人は笑い続ける。延々と
下にいる集団に聞こえるように、邪悪に笑う
- 757 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
20:16:00.59 ID:tFgYaNv2O
- あの後。警官が解散した後小笠原はまた机に寝そべっていた
(,,゚Д゚)「とんでもねぇ事になったな……」
一人、小笠原はそんな事を呟く。
だが内心、どうでも良かった。軍隊が来ようと、槍が降ろうと自分は神田を捕まえたいだけなのだ
(,,゚Д゚)「………」
しかし、ふと思う。軍隊が動いたという事は、国がテロリストを武力制圧する為に軍隊をここへ派遣したのだ
まさかとは思うが、あの戦車でテロリストを……神田を撃つのだろうか?
戦車に撃ち抜かれて死なない人間等いない。それはあのテロリストも例外では無いだろう
(,,゚Д゚)「やっべぇ……」
早く、早く神田を捕まえないと。
だがいくら考えてもいい案は浮かばなく、焦りだけがつのるだけだった
(,,゚Д゚)「…………どうすんの……どうすんのよ、俺………」
- 766 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
20:26:50.20 ID:tFgYaNv2O
- そんな時、何故か小笠原の脳裏にあの二人の姿がよぎった
あの時………海に車ごと沈んだ自分を助けてくれた男と女。
不思議な雰囲気を持っていたあの二人。
(,,゚Д゚)「………あの男なぁ………なーんか知ってそうなんだがなぁ………」
考えても考えても何もアイデアが浮かばない。となると、あとはあの二人の事が気になるのだが………
(,,゚Д゚)「そう簡単に会える訳………」
小笠原がそんな事を考えながら呟いている時だった
何やら聞き覚えのある叫び声が聞こえたのは
「やめろよっー!!!!!!」
(,,゚Д゚)「……………」
嘘だろ?マジで?
唖然としながらも小笠原は窓から外を見る。そこには軍人に取り抑えられながらも、叫んでいる女の姿があった
28 :前スレ>>773
◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 01:48:32.61
ID:xN3+gbIOO
- ( `八´)「柊二尉!!警察署の前でウロウロしていた怪しい女を捕まえましたアル!!!」
「やーめーろっつってんだよー!臭いんだよ、アンタ!!!」
( `八´)「これは俺の体臭じゃねぇ!!!!!!」
バタバタと暴れる女に、その男は覆い被さるように押さえ付けていた
そこへ柊が、ドスドスと威圧感たっぷりの足音を立てて女の前にやってきた
(#゚;-゚)「何だお前は?」
「お前等がなんなんだよーっ!!!!!ここ、警察署だろー!?」
再びバタバタと暴れだす。
だがしかし、その時次々と他の軍人が女の上に覆い被さった
「くぇっ!!!」
( `八´)「こ、コラ!!!重いアル!!!」
('A`)「お前ばっかりにいい思いはさせんっ!!!」
('A`)「臭いんだよ!!お前!!!」
('A`)「女ぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
その様子を柊は半分呆れ、半分羨ましそうに見ていたのは誰も知らない
- 780 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
20:55:54.99 ID:tFgYaNv2O
- 次々と覆い被さる軍人。今にも窒息しそうな女。
だが女は、最後の力を振り絞り全力で上の軍人に向かって叫んだ
「や゙め゙ろ゙……!!童貞共ぉ…………!!!」
('A`)「―――――――」
('A`)「―――――――」
('A`)「―――――――」
( `八´)「―――――」
その瞬間、上に乗っかっていた男共は放心状態になりながら、風にさらわれて吹き飛ばされた
「げほっ、げほっ……!!!あー、重かったー………」
(#゚;-゚)「成程。あぁ言えばコイツ等は言う事を聞くのだな」
(;^Д^)「…………」
柊が頷きながら感心していると、後ろから何やら警官が走って来るのに気付いた
(,,゚Д゚)「やっぱり……!!」
(#゚;-゚)「何だ?貴様の知り合いか?」
女は、咳をしながら上を見上げた。
そして小笠原の顔を見た瞬間、あ!と叫びながら勢い良く立ち上がった
「おーっ。やっぱりいたーっ」
(,,゚Д゚)「やっぱりって………アンタ、俺の事探してたのか……?」
- 788 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
21:16:27.65 ID:tFgYaNv2O
- カプセルホテル。それは格安の簡易な寝床
だが、その名の通りカプセルのような狭い所で寝なければならなくて、お世辞にも寝心地はいいとは言えないのだ。
(´・ω・`)「………ん?」
その男が目覚めたのは昼過ぎだった。ふと、違和感を感じ横のカプセルを覗く
(´・ω・`)「……!!」
横のカプセル部屋。そこはは空っぽだった。昨晩までは人がいた、よく知る人がいたその寝床
そしてその寝床には、ポツンと置き手紙らしき物が置いてあった
「泊まり場所 探してくる 待っててくり」
手紙には小さく、そう書いてあった。
それを見た男は、手を震わせながらその手紙を破り捨てる
(´・ω・`)「馬鹿っ……!!!」
- 792 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
21:27:31.91 ID:tFgYaNv2O
- 昨日の会話を思い出す。夜、この寝床に入る前の会話
「またここかよーっ!!何が嬉しくてこんな所に泊まんなくちゃならんのだ!!」
(´・ω・`)「しょうがないだろう。ここは俺の家からは遠いし、かといって金も無駄には出来ん」
「くっそー………」
(´・ω・`)「そんなに高級なホテルに行きたかったらラブホテルにでも行くか?時間制限付きだが安く寝られるぞ」
「行くか馬鹿。死ねっ」
(´・ω・`)「そうだろう。分かったら早く中に入って寝ろ」
「くそ、あの警官にお願いすれば………泊まらせてくれたかもしれなかったのに………」
(´・ω・`)「早くっ!!!!!」
「はいはい!!分かりました、分かりましたよ覇道さん!!!」
確かそんな下らない会話をしたような気がする
(´・ω・`)「あの警官の所に行ったな……あの馬鹿!!!」
- 826 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
22:50:40.35 ID:tFgYaNv2O
- あの後――――小笠原と女は軍人を押し退け、応接室に来ていた
「椅子だ!フカフカの椅子だ!!」
椅子の上で跳ね回っている女に、小笠原は真面目な顔で話し掛ける
(,,゚Д゚)「それで、何の用なんだ?まさか椅子の話をしにきた訳じゃねーだろうな」
その小笠原の真面目な雰囲気に、女はピタッと跳ね回るのを止めた
そして小笠原と同じく真面目な表情で喋り始める
「実はですねっ」
(,,゚Д゚)「…………」
その遊んでいた表情から一転、真面目な表情に変わった女を見て小笠原は唾を飲み込む。
一体何の用事だろうか。いや、俺に何の用があるのだろうか。
まさか本当にテロリストに対抗する手段を……
そんな事を思いながら小笠原は黙って女を見つめる。
そして……………
「―――――――――泊まらしてくり」
(,,゚Д゚)「―――――――――」
- 844 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
23:08:59.39 ID:tFgYaNv2O
- (,,゚Д゚)「………はぁ?」
「いや、正確に言うとアタシとあと一人。アンタを助けた時にいた黒コートの男もだけど……」
何言ってんだコイツ。
「なぁ、お願いだよーっ。アタシ等今ホームレスなんだよぅ」
そう言い、女は小笠原の肩を叩きながら喋り続ける
だがそんな事はもう小笠原の耳には入って無かった
「なあ、助けると思って………」
(,,゚Д゚)「帰れ」
「………はい?」
(,,゚Д゚)「帰れ馬鹿ヤロー!!!!!!!!」
小笠原はそう叫びながら肩に掛かった女の手を振りほどき、立ち上がった
「な……それが命の恩人に取る態度かーっ!!!!」
だが女もそう簡単には引き下がらない。今夜の布団がかかっているのだ
女を睨みつける小笠原に対して、女もまた小笠原を睨みつける
「おぉ・・何という非道な男・・・。恩人に対してそんな態度を取るなんてーっ!!お前本当に警官かーっ!?」
- 861 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
23:21:11.30 ID:tFgYaNv2O
- 小笠原は目の前でギャーギャー騒いでいる女に、流石に呆れたのか、頭を抱えながら再び叫ぶ
(,,゚Д゚)「やかましい!!お礼が欲しかったら菓子でもやるから!!俺は今テロリストの事で忙しいんだ!!!」
だがしかしテロリストという言葉を聞いた瞬間、それまで騒いでいた女はピタっと黙った
「テロリスト?」
(,,゚Д゚)「そうだ!!あの仮面ヤローの正体……いや、あの仮面ヤローに勝つ為の方法を……」
「―――――え?ブーンの事知ってんの?」
そして、女が動きを止めたように。
小笠原もまた、同じようにその言葉を聞いた瞬間、動きを止めた
(,,゚Д゚)「………え?」
だが女はそんな小笠原の反応をよそに、しまった、という表情で口を閉じた
「ごめん、忘れて」
(,,゚Д゚)「お、おい!!今何て言った!?」
小笠原が女に近寄る。だが女は小笠原に背を向ける
「何も言ってない」
(,,゚Д゚)「………!!!」
- 872 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
23:36:58.79 ID:tFgYaNv2O
- 小笠原が必死に女の顔を見ようとするが、その度に女は顔を背ける
(,,゚Д゚)「おい!!こっち見ろ!!」
「こっち見んなっ」
(,,゚Д゚)「話し合おうではないか!!な、な!?忌憚の無い意見を聞かせてくれたまえよ!!な!?」
「いいやっ、限界だ。話さないねっ!」
その後もそんなやりとりが何回か続いた後、ふと女が何かを思い付いたのか、急に小笠原に振り返った
(,,゚Д゚)「聞かせてくれるのか!?」
「そんなに聞きたい?」
小笠原は無言で頷く。
すると女は笑顔でこう言ってきた
「二人。アンタの家に泊めてくれるんなら、聞かせないでもない………ボソ(かもしれない)」
(,,゚Д゚)「本当か!?泊めたら聞かせてくれんのか!?」
「うんうん!聞かせてあげようっ!……ボソ(かなー)」
小笠原はその言葉を聞いて嬉しそうにガッツポーズを取る
女がその陰でガッツポーズをしていたと知らずに……
- 892 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/27(月)
23:52:53.08 ID:tFgYaNv2O
- そして落ち着いた後、再び二人は椅子に向かって向き合っていた
(,,゚Д゚)「そう言えばお前、名前は?」
「え゛……」
それを聞かれた瞬間女はマズイ、と思いつつ下にうつ向いた。
それを不思議に思ったのか、小笠原は女をジーッと見つめる
黙っていては怪しまれる。しかし本当の名前は言えない。
ここは何でもいいから何か言わなくては……
「ろ……ロザミア……」
(,,゚Д゚)「何言ってんだお前」
冷静な小笠原の反応に、女は死にたくなったがまだピンチは逃れていない。
何でもいいから名前……名前は……!
「こ、金剛梅………」
(,,゚Д゚)「……………」
言った瞬間。オワタと感じた。
自分でも惚れ惚れする程のネーミングセンス。………金剛梅。
んな奴いねーよ、と心の中で思いながらも、騙されてくれるのを祈るだけだ
- 911 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
00:06:21.03 ID:xN3+gbIOO
- (,,゚Д゚)「変な名前だな。」
「そ、そうかなっ?」
女は小笠原の馬鹿さに感謝し、胸をホッと下ろした
(,,゚Д゚)「それでだ、金剛」
「………」
自分で言った名前なのだが、いざ言われると物凄く不愉快だった。
「(くそっ。アイツの名前みたいに覇道とかそんなのにしとけば良かったっ)」
(,,゚Д゚)「どうした?金剛梅」
「……なんでも」
そんな梅を横目に、小笠原は喋り続ける
(,,゚Д゚)「それでな、その黒コートの男ってのはいつ来るんだ?」
「あー、やべっ。ここに来る事言って無かったっ」
(,,゚Д゚)「……あのな…」
その言葉を聞いて、心底呆れたように睨む小笠原を梅は軽く受け流す
「大丈夫だって!もうすぐ来るからっ!」
- 923 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
00:23:01.70 ID:xN3+gbIOO
- 小笠原がその言葉を聞き首を傾けていると、梅が思い出したように喋り出す
「あーあとさっ。アタシがテロリストの情報をアンタに教えるって事、覇道に言わないで欲しいんだ」
(,,゚Д゚)「覇道?」
「あ、黒コートの男の名前ね。覇道玲二」
(,,゚Д゚)「ふーん。で、お前は金剛梅か」
「ぐっ……!!!」
一瞬、目の前の男を殴りそうになったがこれも全て自分のせい
梅は自分のネーミングセンスの無さを恨んで拳をしまった
(,,゚Д゚)「覇道にテロリストの事を言ったらどうなるんだ?」
「アタシにゲンコツの雨が降り注ぐ。500発くらい。オラオラで」
(,,゚Д゚)「………」
「…………?」
不意に梅は小笠原の視点が自分の後ろの何かを見上げているのに気付いた
梅は嫌な予感がしながらも、そろりそろりと首を後ろに向ける。
そして梅は見た。いつの間にそこにいたのか、覇道が自分に向かって薄ら笑いをしながら睨んでいるのを
そして額には青筋が浮かんでいた
「―――――――――――――――――――――」
- 936 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
00:33:31.81 ID:xN3+gbIOO
- 瞬間、梅は小笠原の方に物凄い勢いで振り返り、覇道を見ないようにうつ向いた
「……右?」
(´・ω・`)「……」
「……左?」
(´・ω・`)「………」
「もしかして………オラオラですかっ?」
(´・ω・`)「イェス」
その瞬間。
応接室に
悲鳴と
怒号と
ゲンコツの音が
鳴り響いた―――――――――
「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
- 944 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
00:46:29.54 ID:xN3+gbIOO
- (,,゚Д゚)「…………」
目の前のゲンコツショーを見ながら小笠原は覇道の事を考えていた。
なんだ?どうやって入った?いつ来た?
勿論ドアは空いて無い。まるで最初からそこにいたかのような感覚
そしてその姿を見た時の威圧感。この前、助けられた時は感じなかったのだが、今回ははっきりとその威圧感が感じられた
―――――小笠原は前にもこんな感覚を味わった事があった。そう、それは―――――
(,,゚Д゚)「あの………仮面のヤローと初めて会った時の………あの……感じ………!」
そんな事を考えていると、どうやらゲンコツショーが終わったらしく梅が頭を抱えながら、ジタバタともがいているのが目に入った
(´・ω・`)「馬鹿女が失礼した。この女、時々意味不明な事を口走るのだが、
今から窓の無い病院に連れて行こうとしたのを逃げられてしまってね………」
(,,゚Д゚)「あ、あぁ………」
- 951 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
01:00:25.15 ID:xN3+gbIOO
- そう言い覇道は梅の首を掴み、ズルズルと引きずりながら応接室のドアに向かう
(,,゚Д゚)「おい!覇道さんとやら!!」
(´・ω・`)「……!!」
その名を呼ばれ、覇道はピクッと止まった。そして小笠原に振り返る
(´・ω・`)「何か?」
(,,゚Д゚)「お願いだ!!教えてくれ!!アイツ等の正体を!!アイツ等の倒し方を!!!」
(´・ω・`)「知らん」
そして再び、覇道は歩き出す。だが引きずられていた梅が、突然立ち上がり覇道の手を掴んだ
「ちょっと、覇道。アンタまたあのカプセルに戻る気?」
(´・ω・`)「あぁ」
「それよりもさ、コイツが家に止まらせてくれるんだってさ」
瞬間、覇道の動きが再び止まる
(´・ω・`)「………しかし、ブーンの正体を警察に教える等……」
「馬鹿っ!!話を引き伸ばして、隙を見て逃げればいいじゃんっ!!」
- 31 :前スレ>>957 ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 01:50:51.84 ID:xN3+gbIOO
- 覇道は小笠原を横目で見る。
そこで覇道の目に入ったのは涙目の小笠原が応接室の入り口で仁王立ちをしている姿だった
(,,゚Д゚)「アンタ等が……アンタ等が最後の頼りなんだよっ……!!」
(´・ω・`)「………」
その小笠原の危機迫る表情を見て、覇道は梅に問いかける
(´・ω・`)「騙すのか?アイツを」
「………うーん……」
梅も小笠原の涙目に、罪悪感を感じたのか首を横に傾けながら目を瞑る
(´・ω・`)「……何故そんなにテロリストの事を知りたいんだ?」
この男のこの気迫。
もしかしたらコイツが自分が探し求めていた人物なのかもしれない
(,,゚Д゚)「親友を……助けたいんだ………」
(´・ω・`)「――――――――」
「―――――――」
- 973 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
01:20:40.46 ID:xN3+gbIOO
- それから何分経っただろうか。覇道はその場で立ちながら、目を瞑っていた
その様子を梅と小笠原が見つめ続ける
(´・ω・`)「…………」
親友か。久しく聞かなかったこの言葉。久しく見てないあの姿
その言葉が覇道にどんな事を思わせたのかは分からない
(´・ω・`)「………一つ、条件がある」
(,,゚Д゚)「何だ!?」
(´・ω・`)「家に着いたら、その親友とやらの話を聞かせて貰う。話次第によってはテロリストの正体………テロリストの力の正体を教えてやってもいい」
「覇道!?」
その瞬間、小笠原の顔が笑顔に変わる。だが梅は覇道の言った事に驚きの表情を隠せなかった
「覇道……本気?」
(´・ω・`)「俺が冗談を言うと思うか?」
「いつも言ってるじゃん」
だが、そんな梅の言葉を無視し覇道は小笠原に喋りかける
(´・ω・`)「案内してくれるんだろ?君の家に」
(,,゚Д゚)「……!!あぁ!!コッチだ!車で、パトカーで行く!!」
- 17 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火)
01:36:53.53 ID:xN3+gbIOO
- そうして三人はパトカーに乗り込んだ。
途中、軍人にジロジロと見られたがそんな事はどうでもいい
(,,゚Д゚)「行くぜ。乗ったか?金剛、覇道」
(´・ω・`)「金剛?誰だそれは?」
(,,゚Д゚)「誰だって……アンタの横に座ってる女だよ」
(´・ω・`)「……?コイツは神倉………」
「アッー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
瞬間、その言葉を遮るように梅が叫ぶ。そしてそのまま覇道の耳にボソボソと耳打ちをした
(´・ω・`)「あぁ………成程……」
(,,゚Д゚)「?」
「分かってくれたっ?」
(´・ω・`)「あぁ。よーく分かったよ、金剛梅さん」
「うぐっ!!!」
そんなやりとりを耳にしながらも小笠原は車を発進させる。ようやく掴んだ手掛りを乗せて。神田を救えるかもしれない希望を乗せて
闇の中に浮かぶたった一筋の光。小笠原にとっては、まさに彼等がその光だった
(,,゚Д゚)「神田………待ってろ……!!待っててくれよ………!!!」
絶対捕まえてやるから―――――――――