597 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 16:42:19.71 ID:by0DLVQTO
八話・対抗勢力


―――12月16日

昨日のテロ事件。どこのテレビ局を見てもそれしかやっていない。
最早日本で俺達を知らない人間はいないだろう

( ^ω^)「……」

殺り過ぎ?それもまた予想通り。
たった一つを除いてはすべてが予想通りだ。
だが一つ……予想外の出来事。あってはならない出来事。


それは………

( ^ω^)「神田……何故人を殺さなかった?」

他の七人と違ってただ一人、人を殺していない。まだ完全に殺人鬼の世界には入っていない

だがそれも時間の問題だ。もう神田を想う人間はいなくなった。
それで十分

( ^ω^)「おっ………?」

ふと、テレビを見る。そこには議会の様子が映しだされていた。
だがこれもやはり、テロ事件についての議論
605 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 16:56:06.89 ID:by0DLVQTO
(^O^)「総理!昨日のテロ事件について対策はあるのですか!!
 | 
\|/

ミ゚∞゚彡「前向きに善処します」

(^O^)「ワシの息子も」
 | 被害にあって
\|/いるのですぞ!

ミ゚∞゚彡「成程……前向きに善処します」


「軍隊を出すべきではないのでしょうか?」

ミ゚∞゚彡「うーん。前向きに善処します」

「外国の目を気にしてテロリストごときに軍隊は出せないと仰るのか!!」

ミ゚∞゚彡「おぉ!成程!!前向きに善処します!!」

( @∀@)「中国様の属国になる代わりに中国様に助けてもらうのはどうでしょうか」

ミ゚∞゚彡「…………」

(^O^) 「………」
 |
\|/

シーン………
621 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 17:09:19.29 ID:by0DLVQTO
殺人鬼。それは人間の成れの果て
故に殺人鬼とて一般人。いや、一般人になりすます

川 ^ー^)「ぎゃははは!!中国様だって!!」

ミ,,゚Д゚彡「(コイツは殺しておいた方がいいな)」

気付かない。気付かれない。
もし気付かれたとしても、気付いた人間を消し去ればいいだけの事。
実に単純だ

川 ^ー^)「テロリストってどんな奴なんだろーねー。やっぱり爆弾とか使うのかな」

ミ,,゚Д゚彡「以外に変態が多かったりしてな」

川 ^ー^)「有り得ねーよwwww変態テロリストだったらデビルマンのコスプレした奴なんかいそーwwww」

ミ,,゚Д゚彡「ブッ!!!」

他のメンバーもまたしかり。何事も無かったかのように今日を過ごしている
顔は見られてはいない。見られる筈は無い
人間に、彼等の顔は見える筈が無いのだから
632 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 17:24:42.13 ID:by0DLVQTO
その頃。童帝とは遠い………遠い所の出来事


\(^O^)/「……っ!」

そうしてゴロリは目を覚ました。いや、目を覚まさなければならなかった

\(^O^)/「ここは……?」

辺りを見渡す。そこは誰かの家の中だった。相当古く、木造の小さな家。
いや、小屋と言った方が正しいかもしれない。
そして自分は布団に寝かせられていた。

\(^O^)/「誰かが……助けてくれたのか……?」

ゴロリは立ち上がろうとする。しかしその瞬間、腹部に激しい痛みが電撃のように走った

\(^O^)/「いっ!!」

まるでまだ内臓が破裂しているような感触。あの時の記憶が蘇るような鮮明な痛み

\(^O^)/「ぐもっちゅに……ならなかったのか……」

ふと、ゴロリは何かに気付いたように再び辺りを見渡した。
そう、須執ッ雉万が無い。いくら辺りを見渡してもその影すら見えなかった

須執ッ雉万は何処へ行った?アレが無ければ……戦う事すら出来はしない……!!
650 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 17:37:16.12 ID:by0DLVQTO
辺りを見渡しても須執ッ雉万は見当たらなかった。
仕方無くゴロリは布団にごろりと横になる

\(^O^)/「……」

古臭い小屋の天井を見てゴロリは思った。思い出していた
あの流石兄との戦いを。あの一方的だった戦いを。

\(^O^)/「十年………早いな……」

自然にポツリと呟く。
だが十年どころではない。桁が……いや、次元が違った。しかもアレで50%なのだ。

そして流石兄のあの姿を思い出す。思い出したく無かったが、ゴロリの脳裏には流石兄の姿が焼き付いていた
あの筋肉の塊。ただの人間が彼処まで辿りつく事は出来るのか?

\(^O^)/「アイツは……人間じゃない」

そうだ。あれは人間ではない。元が人間だった、ただの怪物だ。


―――だからこそ倒さなければならない


わくわくさんの仇を打つのもある。だがあの怪物はもっと人を殺すだろう
そうすれば自分みたいな大切な(?)人を失った人が出てくる。
それだけは阻止しなくては………自分……いや、人間としてアイツを倒さなければ――――――
660 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 17:49:22.91 ID:by0DLVQTO
その時、ゴロリは小屋のドアが開く音を聞いた
ゴロリがその方向に振り向くと、ドアの前には一人の年老いた男性がいた。
年老いたといっても50半ばだろうか。着物を着て、渋めの顔は厳格な雰囲気をかもしだしていた

(`-ω-)y-~「目が覚めたか?」

\(^O^)/「……貴方が助けてくれたんですか?」

男性は小さく頷くと、布団の横にあったタンスの中から見覚えのある刀を取り出し、ゴロリに差し出す

\(^O^)/「これはっ………!!!!」

(`-ω-)y-~「君のだろう?君が気絶していた所に一緒に落ちていた」

男性の手に握られているのは紛れもなく須執ッ雉万だった。


だが―――


\(^O^)/「ボロボロに……砕けてる……」

男性の手の中にある須執ッ雉万。それは見るも無惨にボロボロになっていた
もうあの神々しいオーラも、黒光りする鞘も既に過去の事

そこにあるのはただの古びた刀だった
678 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 17:59:06.68 ID:by0DLVQTO
\(^O^)/「須執ッ雉万…………」

思わずゴロリはその名を呟く。だが須執ッ雉万、という言葉を聞いた瞬間男性の体がピクリと動いた

(`-ω-)y-~「須執ッ雉万………!?これが……須執ッ雉万だと言うのか!?」

その鬼のような形相に、ゴロリは恐怖を覚えたが恐る恐る男性を見上げ、尋ねる

\(^O^)/「………須執ッ雉万を知っているんですか?」

(`-ω-)y-~「知ってるも何も……これは……」

男性が震える手で須執ッ雉万を見つめる。

(`-ω-)y-~「これは……私の弟が受け継いだ……家宝の刀ではないか…………」

\(^O^)/「……………」







\(゚д゚)/
695 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 18:10:59.07 ID:by0DLVQTO
その言葉を聞いた時、一瞬理解できなかった。
だがそれは一瞬だけだ。

\(^O^)/「じゃ、じゃあ貴方は……わくわくさんの……!!!」

(`-ω-)y-~「ウム。私はわくわくの兄  ちょめちょめ  だ」

\(^O^)/「―――――――――――――――――」


何というネーミングセンス………一言聞いただけで吹き出してしまった。この人の親は間違いなくDQN……

ゴロリがそんな事を考えていると、ちょめちょめさんがゴロリの布団に座り、真面目な顔でゴロリを見つめてきた

(`-ω-)y-~「さぁ……聞かせてくれるな。君がこの刀を持っている訳を」

ゴロリもそれに真面目な顔で応える

\(^O^)/「はい。ちょめちょめさん」

正直、この人に話すのは少し辛い。実の弟を殺されたなんて聞かされたらどんな気持になるだろう
それも顔をぐもっちゅにされて………

だが話さなければならない。この人には聞く権利がある
712 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 18:24:58.51 ID:by0DLVQTO
そしてゴロリは話した。クリスマス中止委員会の事。流石兄弟に須執ッ雉万で勝てなかった事。
そしてわくわくさんが流石兄に殺された事………
その間も、ちょめちょめさんは表情を変えずに自分の話を聞いてくれた

(`-ω-)y-~「そうか……そんな事が………」

\(^O^)/「………」

再び、ちょめちょめさんは須執ッ雉万を見つめる

(`-ω-)y-~「わくわく……」

\(^O^)/「……僕が……頼り無いばかりに……」

その言葉にちょめちょめさんは首を横に振る。

(`-ω-)y-~「君が悪い訳じゃ無い……。その流石兄という奴が強すぎるだけだ」

そう言い、ちょめちょめさんは立ち上がった。ボロボロの須執ッ雉万を手にして。
何かを決意したように

(`-ω-)y-~「君はよく頑張った。だが……他人の為にそこまでする必要はない」

\(^O^)/「……!!」

ちょめちょめさんはゴロリが何かを言おうとするのを遮り、喋り続ける
ゴロリを諦めさせる為。ゴロリをこれ以上この世界に入れさせない為

(`-ω-)y-~「帰りなさい。仇は私が取る。ここから先は君がいていい世界じゃあないよ」
731 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 18:41:37.15 ID:by0DLVQTO
\(^O^)/「そんな!!俺は……!!」

だがしかし、ちょめちょめはゴロリの言う事を無視して喋り続ける

(`-ω-)y-~「こんな事はいいたくは無いが……須執ッ雉万が壊れたのは君のせいだ。君が須執ッ雉万の力を引き出せずに流石兄にやられてしまった………
     須執ッ雉万は君を守って壊れたんだよ

\(^O^)/「――――――」

ゴロリを黙らせるのにはこの言葉で十分だった。押し黙るゴロリにちょめちょめは更に続ける

(`-ω-)y-~「殺しの道は修羅の道。失礼ではあるがギャグキャラに修羅を生きれる保証は無い」

だがその言葉を聞いた瞬間、ゴロリはうつ伏せていた頭を上げる
その目からは涙が出ていた。悲しみからではない。怒りからではない

\(;O;)/「ギャグキャラじゃ……ない………!!」

(`-ω-)y-~「………」

それは流石兄弟にやられた時と同じ涙。わくわくさんの仇を取ると誓った時の涙

\(;O;)/「俺は……ギャグキャラ………じゃない!!!まだ……まだオワテナイッ!!!!!!!!!」
750 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 18:58:17.26 ID:by0DLVQTO
(`-ω-)y-~「ならば……見せてみろ!!君がギャグキャラではない証拠を!!!熱き心を持ちながら、クールな存在であるシリアスキャラであるその証拠を!!」

ちょめちょめは、そう言うとゴロリに須執ッ雉万を手渡した。
そしてゴロリに背を向け、ドアにスタスタと向かって行く

(`-ω-)y-~「外に来るんだ。君がドッチなのか……見極めてやる」

\(^O^)/「……!!」

ゴロリはその言葉に須執ッ雉万を握り締めながら頷いた
そして布団から立ち上がり、ちょめちょめさんの後を追う

勿論、まだ流石兄から殴られた傷は塞がっていない。
一歩歩く度に電撃が体全体に流れる感じだ。
だがそんな事は関係ない。わくわくさんの味わった苦しみに比べればこんな痛み等無いに等しい

\(^O^)/「わくわくさん……!!」

自分でも不思議だった。
わくわくさんの事を思うだけでどんな苦しみも乗り越えられる気がする
わくわくさんの苦しみを想像しただけで怒りがこみあげてくる
756 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 19:08:07.51 ID:by0DLVQTO
ゴロリが外に出た時、初めてここが山の中だと気付く

\(^O^)/「……」

見渡す限り木しかない。だがここ一帯は平地のように傾いてはいなかった

(`-ω-)y-~「………」

ふと後ろから殺気を感じた。慌てて振り返ると、そこには刀を持ち、構えているちょめちょめさんの姿があった

\(^O^)/「………」

ゴロリも須執ッ雉万を無言で構える。
ちょめちょめさんの実力がどれ程なのかは知らない。だが、ここで負けるようならばあの怪物にすら勝てないのだ

―――勝たなくては。シリアスキャラにならなくては―――――


(`-ω-)y-~「(……これが若さか……)」

ゴロリの顔を見て、ちょめちょめは、ふと思い出す。
自分にもあんな時期があった。その頃ギャグキャラだった自分はシリアスキャラになれなくて、がむしゃらに敵と戦ったものだ
負ける度に悔しさをバネに立ち上がり、何度も何度も戦った
それのお陰か、自分はシリアスキャラになれたのだ。
だが……引き替えに若さを失った。
シリアスキャラになれた時、既に彼は年老いていたねだ
761 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 19:21:15.66 ID:by0DLVQTO
だがゴロリは知らない。ちょめちょめさんの持っている刀こそ、須執ッ雉万と対を成す破壊の刀
須執ッ雉万と違い、破壊だけを目的とした悪魔の刀。

ゴロリが勝つ道理はない。何故ならちょめちょめさんが持つ刀の方が刀のしての完成度が高いからだ

故に須執ッ雉万はその刀に勝てはしない。勝ってはいけない

白く輝く鞘。そこに渦巻くは二匹の竜。
これこそがわくわくさんの家の真の家宝。これこそが人間を凌駕し、怪物に対抗できる刀。


(`-ω-)y-~「人裏出出鬼流紋…………(ひとりでできるもん………)」


そうして二人は対峙する。そうして二つの刀は対峙する。
こうなる事が決まっていたように

(`-ω-)y-~「行くぞ!!須執ッ雉万!!!」

\(^O^)/「須執ッ雉万………もう一度だけ……力を………!!!!!!!!」
809 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 19:48:11.11 ID:by0DLVQTO
人裏出出鬼流紋が須執ッ雉万に負ける道理はない。
ましてや須執ッ雉万は既にボロボロなのだ

(`-ω-)y-~「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

瞬間、ちょめちょめが刃の先をゴロリに向けながら一直線に向かってきた。
ゴロリもまた、同じようにちょめちょめに刃の先を向けながら走る

\(^O^)/「オワタッ!!!!!」

流石兄とは違うちょめちょめの動き。流石兄が力なら、ちょめちょめは技。
刃同士が触れる瞬間、ちょめちょめは須執ッ雉万に人裏出出鬼流紋を絡めさせ、須執ッ雉万の角度を変え受け流す。
そしてそのまま人裏出出鬼流紋を向かってきたゴロリに向けて振りかざした

だがしかしゴロリも須執ッ雉万を受け流された後、左手の鞘でちょめちょめの攻撃を受け止める

(`-ω-)y-~「舐めるなっ!!!!」

\(^O^)/「!?」

だがこれで終わりではない。ちょめちょめはゴロリ同様左手に持っている白い鞘をゴロリの腹めがけて突き出した。
両手共塞がれているゴロリに防ぐ手だては無く―――

\(^O^)/「っ………!!」

鞘はゴロリの腹に……流石兄に殴られた所に当たった。その瞬間、ゴロリの全身に耐え難い痛みが流れこむ
830 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 20:06:58.54 ID:by0DLVQTO
だがゴロリは倒れなかった。それを見てちょめちょめは再び距離をとる

(`-ω-)y-~「……」

\(^O^)/「まだ………まだやれる!!!」

そう言った時、ゴロリは離れているちょめちょめに再び接近した
そして無茶苦茶に須執ッ雉万を振り回す。
だがその全てがちょめちょめには届かなかった。いや、当たらなかった

\(^O^)/「ふんっ!!ふんっ!!!」

それでも尚、ゴロリは須執ッ雉万を振り回す。何度も何度も、何度も……

(`-ω-)y-~「はぁっ!!!」

だがしかし、ちょめちょめは避けるのも面倒臭くなったのかそれを片手で勢い良く弾き返し、ゴロリはその一撃で後ろに吹き飛ばされてしまった

\(^O^)/「………まだオワテナイっ!!!」

再びゴロリが立ち上がる。だがちょめちょめはその様子を見て、はぁ、と溜め息をつきながら言った

(`-ω-)y-~「………君は何か勘違いしてないか?オワテナイ?違うね。私は君を殺そうと思えばすぐに殺せるんだ
      故に本当なら君はもう終わってるんだ」

\(^O^)/「………!!」
840 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 20:19:50.15 ID:by0DLVQTO
(`-ω-)y-~「それでもまだ……続けるか?」

それは愚問だった。
ゴロリは小さく頷くと、ちょめちょめは、そうか……と一言言い放ち刀を下に降ろした

\(^O^)/「………?」


(`-ω-)y-~「今から君を………いや、お前を人裏出出鬼流紋の真の力で………………………殺す。」

それでもやるか?彼の顔はそうゴロリに問いかけていた
それでもゴロリは彼を見つめ続けていた。それは半分意地に近かったのかもしれない

(`-ω-)y-~「…………」

瞬間、ちょめちょめは人裏出出鬼流紋を天を刺すように掲げた。それと同時に刀身の部分が光り輝く

それは光の粒子だった。人裏出出鬼流紋は際限無く光を吸収し続ける

\(^O^)/「………わくわくさん……!!!!」

そして彼が人裏出出鬼流紋を自分に向かって振りかざす瞬間。
彼がゴロリに向かって光を投げ掛ける瞬間

―――――――――光の中にアイツの顔が見えた。憎い憎いわくわくさんの仇。忘れたくても忘れられないあの顔が―――――
847 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 20:34:46.95 ID:by0DLVQTO
「死んでたらお前はそれしきの奴だったという事だ………」

今は聞こえる筈が無い宿敵の声。それが確かに聞こえた―――――――――



\(^O^)/「アッーーーーーーーー!!!!!!!!!アッーーーーーーーー!!!!!!!!!」

瞬間、ゴロリは叫んだ。全てを吐きだすように、全てを賭けるように
そしてゴロリは人裏出出鬼流紋と同様に、須執ッ雉万を天に向かって掲げる

\(^O^)/「ストレッチパワー!!!!!!!!!」

何故そうしたのか分からない。何故そう叫んだのか分からない
もしかしたら須執ッ雉万が自分を導いてくれたのかもしれない

そうしてゴロリの体は黄色い靄に包まれた

黄色い靄―――嫉妬とは違う……全く違うこの力―――

この力が何なのかは分からない。だが今はこの力を信じるしか無かった

(`-ω-)y-~「人裏出出鬼流紋ーっ!!!!!!!!!」

\(^O^)/「ストレッチパワーっ!!!!!!!!!」

光の塊が放たれたのはほぼ同時―――――――――
871 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 20:52:38.90 ID:by0DLVQTO
光の中でゴロリは耐える。光の中でちょめちょめは耐える
二つの光りはまったく同じ。ならば勝敗を決定するのはその使い手であった

\(^O^)/「ギャグキャラは………ギャグキャラは…………!!!!」

(`-ω-)y-~「………!!!」

ゴロリは叫ぶ。今まで言いたかった事を。全身全霊をかけてゴロリは叫ぶ――――――――

\(^O^)/「ギャグキャラは―――――――お前だァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

光の中でちょめちょめは見た。ゴロリの顔が、変わっていた事を。
さっきまでの表情と違い、紛れもなくシリアスキャラになっていたゴロリの顔を――――――――

(`-ω-)y-~「ぬわっーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」



Ω<どうだ―――――――――ストレッチパワーが溜ってきただろう―――――――――
888 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 21:04:07.05 ID:by0DLVQTO
それは神の声だった。それは刀の声だった
幻聴だったのかもしれない。だが確かに聞こえたんだ―――――――――



そして光が収まった時。立っているのは一人だけだった

(`-ω-)y-~「……………」

\(^O^)/「…………」

ゴロリは見下ろす。ボロボロになり、倒れた彼を

彼は見上げる。まるで新品になったかのような、須執ッ雉万を手に握るゴロリを

(`-ω-)y-~「……行け」


その言葉にどんな重い意味が込められていたのか。
その言葉をどんな気持ちで言ったのか

ゴロリはそれに頷くと、静かに彼に背を向けて山を下る。
その後ろ姿をちょめちょめはいつまでも見つめていた
まるで実の子の巣立ちを見るように。暖かい目で、最後まで…最後まで………



そしてゴロリは振り向かない。それが彼に対しての礼儀。
これがシリアスキャラに覚醒した自分
894 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 21:11:16.11 ID:by0DLVQTO
そうしてゴロリはあの場所へ戻る。
彼奴を再び探す為に。
彼奴を殺しに行く為に。

もう彼は戻れない。

平和な生活。平和な日常。
それは最早過去の話

\(^O^)/「わくわくさんの仇を……討つ!!」

その為なら修羅の道にも入ろう。その為なら平和な日常等捨て去ろう



ここにまた一人



魔人の群れに対抗する人間が生まれた


その名は




―――――――――ゴロリ―――――――――
41 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 23:14:04.93 ID:by0DLVQTO
下は荒れ狂う海、上は断崖絶壁。そこに彼等はいた
一人は黒いコートを着た長身の男。そしてもう一人は女だった。
腰まで伸びた長い髪、服はスウェットの上下。女はだるそうに黒コートの男と喋っていた
道路に横たわる、水浸しの男を見下ろしながら


「助かる?」

(´・ω・`)「さぁ、知らんよ。お前がコイツに人工呼吸をするなら助かるかもしれんが」

「喜んでっ!」

(´・ω・`)「冗談だ馬鹿」

ちぇーっと膨れ顔をする女。それに対して黒コートの男は笑いながら女に言った

(´・ω・`)「膨れ顔が似合うのはせいぜい20代前半までだ。やめといた方がいい」

「んだとっ」

再び黒コートの男は下に寝そべっている男を見る。息はしているようだが、目を覚ます様子はない

「どうすんの、コレ」

(´・ω・`)「せっかく海から助けたのに、放っとく訳にもいかんだろう?」

そう言い、黒コートの男は水浸しの男の横に腰を降ろした。女もブツブツ言いながらも、腰を降ろす
52 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 23:28:30.14 ID:by0DLVQTO
暗闇。暗闇。暗闇。
上下左右が暗闇だった
光り等ない。光り等あったら暗闇では無くなるから

その暗闇の中で小笠原は目が覚める

何処だ?此処は。何故俺はこんな所にいる?

周りを見ても暗闇。上も暗闇。下も暗闇
ふと、後ろに気配を感じた。小笠原はゆっくりと後ろに振り向く

そこには神田がいた。特攻服を着た神田だ。
神田は自分を睨み続けていた。

どうしたんだ?そんな服着て。何故俺を睨むんだ?

だが神田は答えない。そうして見つめ合う事暫く。
突然、神田が小笠原に背を向け歩き出す。
小笠原も慌てて後を追うが、何故かいくら走っても追い付かなかった

神田………お前は………お前は何処に行くんだ……?

そうしてやっと、追い付き肩に手をかけた瞬間。神田が振り向いた瞬間。

「お前を………………………殺しにだよ―――――――――」
60 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 23:39:49.06 ID:by0DLVQTO
(,,゚Д゚)「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

「うぉ!?」

そうして水浸しになり道路に横たわった男……小笠原は勢い良く叫びながら上半身を起こした
横にいた女と黒コートはその叫び声に驚いたのか、ビクンと体を揺らした後、小笠原に目を向ける

(,,゚Д゚)「はぁ…………はぁ………!!!」

小笠原はキョロキョロと周りを見渡した後、安心したのか再び道路に倒れ込む

「大丈夫ー?」

(,,゚Д゚)「………アンタ等は?」

(´・ω・`)「通りすがっただけだよ」

「通りすがりにアンタを助けたんだけどね」

瞬間、黒いコートの男は女の頭にゲンコツを放った

「いってっ!!!」
67 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 23:51:30.79 ID:by0DLVQTO
(,,゚Д゚)「そうか……アンタ等が助けてくれたのか……」

「そう。言わば君の命の恩人。そして、恩人には謝礼が必………」

その瞬間、再び女の頭にゴツンっとゲンコツが放たれた

「ぬぉぉ!?」

そのまま、女は頭を抱えながらその場に蹲った
そして黒コートの男は女のスウェットを無理矢理引っ張ると、小笠原に背を向け歩き出した

(,,゚Д゚)「お、おい!!!どこ行くんだよ!!!」

(´・ω・`)「………」

だが黒いコートの男は答えない。そのまま歩み続ける。

「お礼よろー!!!!」

引きずられながら女が何やら叫んでいたが、またも男からゲンコツを食らっていた

「そんなに叩いたらアホになるからやめろよー……」

(´・ω・`)「もうアホだろ」

「何を抜かすか、この童貞めっ!!」

この後、女に四発目のゲンコツが放たれたのは言うまでもない
78 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/25(土) 23:58:49.58 ID:by0DLVQTO
そして小笠原が見えなくなった後も、そのやりとりは続いていた

「何でそんなにぶつんだよっ……」

(´・ω・`)「お前………あの服が何の服か見えなかったのか?警官だぞ?」

「なんだよっ!お礼くらい貰ったっていいじゃんか!」

(´・ω・`)「そりゃナイスアイデアだ。そんなにブタバコが愛しいのか?」

「ぬぅぅ………」
86 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 00:13:24.61 ID:IjvLSq6iO
(,,゚Д゚)「………」

小笠原は道路に寝転がりながら空を見上げていた。

昨日、ここで自分は神田を見失って……海にパトカーごと落ちたのだ

(,,゚Д゚)「情けねーな……」

ふてくされたように呟く。誰に言うわけでも無く、ただ一人で
だがまだ諦めてはいない。まだ諦めてはいけない。

(,,゚Д゚)「神田……捕まえてやっよ。だから……それまで大人しくしてろよ?」


ふと、あの黒いコートの男が脳裏によぎる。
一体何者だ?どう見てもただ通りすがった感じではなかった
大体どうやって自分を助けたのだろうか

(,,゚Д゚)「……ま、助かったんだからいっか!」

そう言い小笠原は立ち上がる。まだ終わっちゃいない。まだ勝負はついちゃいない

だがその前に警察署に帰らなくては。帰って体勢を立て直さなくては
96 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 00:26:13.63 ID:IjvLSq6iO
(,,゚Д゚)「でもどうやって帰るかなー」

その時、向こうから一台のジープが向かってくるのが見えた。
何というタイミングの良さ。小笠原はウキウキと道路の真ん中で、ジープの目につくように手を振り続けた




新品のジープ。ピカピカの車内。

(^O^)「光るかーぜを
\|/追い越したらー
   君にきっと会えるねー♪

彼はお気に入りのCDを聞きながら、この車の初のドライブをエンジョイしていた
美容室は壊れたが、その代わりに親父に買って貰ったこのジープ。
美容室も今、再建している途中だ。

(^O^)「毒攻撃www」
\|/

彼は今、幸せだった。


―――――――――小笠原が乗り込むまでは
109 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 00:40:29.55 ID:IjvLSq6iO
ふと、彼は道路に人が立ち、手を振るのが目に入った
普通なら、無視するのだが相手は警官の服を着ていた。
何だ?この車に何か問題でもあるのだろうか?
彼はそう思いつつ、警官の横に車を止める

(^O^) 「………?」
\|/

その瞬間、警官が突然助手席のドアを開けて乗り込んできたではないか
しかもビチョビチョに濡れて……

(^O^)「し、新品の
\|/シートが!?」

そんな慌てる彼の様子を無視し、警官は濡れた警察手帳を彼に見せながらこう言った

(,,゚Д゚)「警察だ………ってオメーあの時のパックンフラワーじゃねーか」

(^O^)「あ……あなたは」
\|/あの時の…!!

相手がパックンフラワーと分かった小笠原は警察手帳をしまい、笑いながらパックンフラワーの肩に手を置いた

(,,゚Д゚)「ははは!まさかオメーだったとはなぁ!」

(^O^)「水がぁぁっ!?
\|/アルマーニのスーツがぁぁぁっ!!!」
119 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 00:53:50.41 ID:IjvLSq6iO
そんな彼の困惑をヨソに、小笠原は笑いながら喋り続ける

(,,゚Д゚)「さ、行こーぜ」

(^O^)「い、行くって?
\|/どこに?」

(,,゚Д゚)「警察署だよ」

(^O^)「そ、そんな!
\|/ここから警察署に行くまで何分かかると思ってるんです!!」

正直、そんなに長くこの人を乗せてしまえば車内はもう………

(^O^)「びちょびちょに…
\|/なってしまう…」

(,,゚Д゚)「いいから早くしろ。俺は帰ってしなくちゃならん事があるんだ。ぐだぐだ言ってっと……」

(^O^)「………」
\|/

(,,゚Д゚)「これだ、これ」

神田はパックンフラワーに手錠をかけるジェスチャーを見せた。
その瞬間、パックンフラワーは顔が真っ青になり、震えながら車を発進させた

(^O^)
\|/(何という脅し………コイツは間違い無くヤクザ)
134 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 01:04:56.14 ID:IjvLSq6iO
そして車を走らせる事数十分。街の中に入りかけた時車内に携帯のコール音が鳴り響く

(,,゚Д゚)「オメーか?フラワー」

パックンフラワーは慌てて電話を取ろうとするが、小笠原はそれを手で制した

(^O^)
\|/「何か……?」

(,,゚Д゚)「あのな……運転しながら電話しちゃ駄目だろ……」

(^O^)
\|/「そんな!?」

そして、小笠原はパックンフラワーから携帯を奪い取った後、電源ボタンを押した。
瞬間、車内に響いていたコール音が止む

(,,゚Д゚)「さぁ、オメーは運転に集中しれ」

(^O^)
\|/「はぁ……」


その頃電話の相手は――――――――――

川^O^)
\|/「キィィィ!!信じられナーイ!!電話切るなんて!!!もう別れる、別れるわっ!!!!!」

145 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 01:22:23.15 ID:IjvLSq6iO
それから暫くして、見慣れた建物が小笠原の目に入った
あれが目的の地、あれが第二の故郷

(^O^)
\|/「つきましたよっ!ずいぶん遠かったですねっ!!」

フラワーは皮肉を言いながら警察署にジープを止め、たがその時小笠原は既にジープから降りていた

(^O^)
\|/「………」

そして小笠原はジープから降り、大きく背のびをしながら警察署を見上げる。

(,,゚Д゚)「うーん!!帰ってきたー!!」

小笠原はそのまま後ろを振り向かずに警察署へ入っていった。
だが悪気があるわけではない。既に小笠原の頭からはフラワーの事が忘れ去られていただけなのだ
そう、小笠原は興味が無い事はすぐに忘れる男だった

一人残されたフラワーはブツブツ言いながらも車を発進させる。
こんな所で時間を費やしてる暇は無いのだ
この後は彼女とのデート。久しぶりのデートなので遅刻は許されない

(^O^)
\|/「待っててねフラ美ちゃーん!!」

だが彼はまだ知らなかった。もうフラ美はこの男に興味が無くなったという事を………………………
157 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/26(日) 01:43:01.81 ID:IjvLSq6iO
街中の街頭テレビ。そこに、大量の野次馬が出来ていた。
道行く者すべて立ち止まり、テレビを凝視する
そしてその野次馬の中には黒いコートの男と女の姿もあった――――

テレビ「えー、たった今ーテロリストに対して自衛隊を派遣する事に………」

ザワザワとざわめく野次馬。だがその二人だけはまるで予想していたように、ピクリとも体を動かさなかった

「軍隊だって」

(´・ω・`)「あぁ」

「ブーン、大丈夫かな?」

(´・ω・`)「………」

そうして二人は踵を翻す。騒ぐ野次馬に背を向けて
まるでそんな事に興味は無いと言ったそぶりで

「クリスマスまであと9日。今のままじゃ、ブーンに勝てないんじゃない?」

(´・ω・`)「そうだな。数が違いすぎる」

そう言い、黒コートの男は歩みを止め空を見上げる。その目に灯るは焦りか、それとも苛立ちか

(´・ω・`)「仲間を……集めなきゃなぁ……」

いや、集めなければならない。集めなければクリスマスは終わる
そんな事を考えながら、二人は街を歩き続ける―――――――――
inserted by FC2 system