75 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 13:34:51.30 ID:fMNMHW7CO
六話・九人の童貞

VIPタワービル。ここからはこの街の風景が一望できる

/^^\「……………」

そうして萬田銀次郎は一人ジョジョ立ちで佇む。時刻は既に夕方。辺りは夕焼けで真っ赤に染まっていた

/^^\「薄汚いこの街も……夕焼けに照らされると美しい……」

自らが薄汚いのも忘れ、萬田はバーコードになっている髪をサッとかきあげた

今頃メンバーは何処にいるのだろう?もう暴れているのか?

――――壊せ

神からその言葉を聞いた時、萬田は心底嬉しかった。やっと暴れる時が来た………と

/^^\「醜いこの街も我等が浄化すれば少しは美しくなるだろうか……」

いや、そうしなければならない。ラブホテルという悪の軸を全て壊せば……

そして萬田はビルから飛び降りる。壊しに行く為に。神の命令を実行する為に
85 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 13:53:47.36 ID:fMNMHW7CO
街を行く一人の変態。ビルが建て交うこの都会で、彼を見ぬ通行人はいなかった
( ^^)「デビルウイーングゥ!!!」

ただの変態ならそれ程見向きもしなかっただろう。
だが彼は傍から見てもただの変態ではなかった

ノ ゝ゚ -゚ν「おぉ……神様じゃ……空を飛びなさってる……」

( ゚∀゚)「お前……あれが神様に見えるのか……?」

そう。彼は超低空飛行で移動していたのだ。時々通行人に頭がぶつかるが、避ける必要は無い。
何故なら頭がぶつかった瞬間、相手は100m先まで吹っ飛ぶからだ

( ^^)「ストップ!」

そして田中はある所でブレーキをかける。
田中が止まった所……そこはラブホテル街だった

( ^^)「………」

田中は辺りを見渡した。見るだけで不愉快になるピンクのネオン。意味不明な名前のホテル
全てにおいて不愉快だった
94 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 14:06:18.64 ID:fMNMHW7CO
そうして彼の怒りは頂点に達した。
それと同時にポーズをとりながら彼は叫んだ。
我が必殺技の名前を。神の為に開発した自慢の技を。

( ^^)「デビルイヤー!!!!!!!!!」

デビルイヤー―――――――――地獄耳を越えるデビルイヤー。半径100kmの全ての音を拾い、一つ一つ判別する事が出来る。例え50km先のアリが歩く音さえ………
ちなみに叫ばなくとも出来たりする

( ^^)「聞こえる………カップル達の声が……今まさにピー(自主規制)している声が……」

――――ただし人間は殺すな

田中の頭の中で神の言葉が何度も響いた。だが……

( ^^)「神よ……お許し下さい……その約束、守れそうにありません……」

そして彼は飛ぶ。獲物を狩りに。デビルウイングで彼は飛ぶ。死神のように
106 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 14:20:02.02 ID:fMNMHW7CO
あるホテルのある部屋……。そこでは今、コトを終えたばかりの一組のカップルがいた

(=゚ω゚)ノ「ふぅ……」

「シャワー浴びてくんわー」

(=゚ω゚)ノ「おぅ」

彼は煙草を口にくわえる。ここで彼は道を間違った。
今、この時死神が迫るこの部屋から全力で逃げなければいけなかったのだ。だが、この男にそんな考えは思いつかなかった

不意に、窓から物音がし、男は窓に振り向いた。

(=゚ω゚)ノ「なんだぁ!?」

不振に思い、男は窓に近寄る。だがここは4階だ。ゴミでも当たったのか?
そう思いながら男は窓を開けた……

―――窓の外。其処には腕を組み、鬼のような形相をしたデビルマンがいた―――


( ^^)「SEXするなーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

(=゚ω゚)ノ「ぬぉぉぉぉ!!!???」
118 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 14:36:28.56 ID:fMNMHW7CO
(=゚ω゚)ノ「あああ悪魔!?」

( ^^)「 悪 魔 は お 前 等 だ !!!!!!!!!」

この時点で彼の死は決定していた。これから如何に速く逃げようとも、死神からは逃れられない

( ^^)「ふんっ!!!デビルビーム!!!!」

デビルマン田中が叫んだと同時に、田中の目から光線が発射された。
それはガンダニウム合金すら一瞬で蒸発させる破壊の光。文字通り光速で発射されるデビルビームは男に……いや、人間に防ぐ手だては無かった

(=゚ω゚)ノ「がっ!?」

そして男は破裂する。それも内部から。
それと同時に部屋に男の臓物が飛び散った

( ^^)「イカ臭い部屋だ………」

デビルマンは部屋に降り立つ。獲物を狩る為部屋に降り立つ。そう、この部屋にはまだ獲物がいる………

( ^^)「デビルマンが………誰なのかー………誰もー知らないー……知られちゃー……行けないー………」

田中は風呂場に向かう。だが獲物を辱める事だけはしない。そんな事をしても意味は無い

( ^^)「だが……絶対に殺す……」

そう言う田中の頬からは、一粒の水が滴り落ちていた…………
129 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 14:47:45.95 ID:fMNMHW7CO
( ー∀ー)「………」

(  ゚ ゚)「……」

デビルマンが奮闘している時、ブーンは矢上が寝ているソファーに座り、屋敷を見渡していた

何年ぶりだろうか。ここに来るのは

(  ゚ ゚)「………」

廃屋敷。ここから全てが始まった。いや……終わったのか
ブーンは震えながら拳を握る。
もしも今の100分の1……1000分の1の力でもあったらあの人は死なずに済んだのだろうか。
ブーンはここに来るたびそんな事を考えていた。そしていつもある結論に達するのだ

(  ゚ ゚)「(いや、考えるのはよそう……もしも、の話は意味が無い……)」

再び屋敷を見渡す。だが、その時、横で何かかモゾモゾと動く感触がした

( ・∀・)「ん………」

(  ゚ ゚)「…………」
140 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 15:02:00.98 ID:fMNMHW7CO
目が覚めた時、矢上の視界にはブーンの姿が入っていた

( ・∀・)「…………!!」

(  ゚ ゚)「おはよう。どうだ?気分は」

瞬間、矢上は理解する。横のソファーに座っている白いコートを着た男
気を失う前に見た顔とは違うが、矢上には分かった。仮面を被っていても………どんなに姿形が違おうとも………
矢上には分かったのだ

”このお方が神………!!“

そして矢上はバッとソファーから飛び上がり、床に膝をつき神に頭を下げた

( ・∀・)「か、神よ……。見苦しい所をお見せして申し訳ありません……!!」

(  ゚ ゚)「そんなに堅苦しくしなくていい。それよりも君に頼みたい事がある」

( ・∀・)「はは!!何なりと……!!」

堅苦しくしなくていいと言っているのに未だに堅苦しい矢上。そういう教育をされてきたのだろうか

だが……嫌いではない、こういう礼儀正しいのは。

(  ゚ ゚)「実はだな……」
161 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 15:20:52.83 ID:fMNMHW7CO
(  ゚ ゚)「……と言う訳で他のメンバー達は既に行動している」

ブーンの話を聞いた矢上は、他のメンバーと同じようにニヤリと口元をつり上げた

(  ゚ ゚)「寝起きでスマンが……行ってくれるな?」

矢上にとってそれは愚問だった。下げていた頭を上げ、矢上はスッと立ち上がる

( ・∀・)「お任せ下さい……神よ……」

そして消える。何処に向かったのかは神も分からない。だが彼は任務を全うするだろう。必要以上に………他のメンバー同様に……

(  ゚ ゚)「今回は何人の人間が死ぬか……」

廃屋敷に取り残されたブーンは一人呟く。
人間を殺すな、と命令しといてこう呟くのも変だがあの連中が人間を殺さない訳が無い。

(  ゚ ゚)「さて、私も行くか。壊しに……」

廃屋敷。其処は全てが始まった場所。其処は全てが終わった場所。
180 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 15:40:05.83 ID:fMNMHW7CO
街。デビルマンとは違った所。他のメンバーとは違った場所

/,'З「くかかかかか!!!!!!!!」

黒服「………」

彼等が通り過ぎた後には何も残らない。彼等は最早、暴風だった。

50人程の黒服を従える長は不適に笑う。
通行人。住宅。ビル。ホテル。全て意味が無い。この暴風の集団にかかれば
彼等は道行く者を全て殺し、目に入る建物は全て破壊する。

/,'З「次だ!!くかかかかか!!!」

荒巻の周りを囲むように、守るように布陣している黒服の男。その一人一人に紫の靄が渦巻いていた。

何もかも壊す。殺す。神もそれを望んでいるだろう
老人は再び周りの男に命令する。周りの男にとってはブーンも神だが荒巻も神なのだ

/,'З「神よ!!見てて下され…!!くかかかかか!!!!!!!!!」
192 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 15:59:32.46 ID:fMNMHW7CO
だがしかし、暴風に殺される者もいれば、また暴風に感謝する者も存在していた
それは勿論善良な市民では無い。かといってソレは人外の者でも無かった


|・∀・|「外が騒がしいな。何だろう……」

そこでは皆、鉄の柵と廊下を挟んで会話をしていた

「さぁーね。暴動でもあったんじゃないのー?」

其処は犯罪者だけが集まる建物。凶悪な犯罪者だけが入れられる牢獄。
暴風は此処にまで影響を及ぼした

|・∀・|「………!?」

その鉄の牢獄に衝撃が響く。大きな揺れ……まるで台風の中にいるような大きな揺れ

「な、なーにコレ?」

|・∀・|「…………」

最早牢獄が崩壊するのは時間の問題であった
196 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 16:09:32.15 ID:fMNMHW7CO
そして牢獄は崩れる。それは当然の事だった。
だが犯罪者が逃げられるかはまた別だ―――――

|・∀・|「ぬ、ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「お、おいおいおい!ちょっちヤバイんじゃないの!?死亡フラグっ!?」

天井が落ちてくる……
そう思った時に既に、天井は落ちてきていたのだ
202 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 16:18:23.96 ID:fMNMHW7CO
ガラガラガラガラ………

暴風によって崩れた建物。普通なら生き残る筈は無い
だが例外も存在する事も確だ

|・∀・|「く……くく……!!俺は運がいい……!!!!」

瓦礫の山。暴風の後。そこに彼は立っていた。全てを踏むように、全てを感じるように。

|・∀・|「はは、はーっはっはっはっは!!!」

彼は向かう。かつての活動拠点へ。かつての仕事をする為。その名に恥じぬ事をする為

そう。彼の名は―――――――――


幼姦万!(ようかんまん!)



ガラガラガラガラ…………だが彼は気付かなかった。自分以外にも生き残った者が存在する事を。

「んー………ラッキー」
211 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 16:26:17.16 ID:fMNMHW7CO
彼は………いや、彼女は瓦礫に埋もれている看守の死体のポケットから煙草をとりだし、口にくわえた。

が……

「あ、火ねーや……」

久しぶりの煙草だってのに。まるで拷問だ

そう思いつつも火のついてない煙草をくわえたまま彼女は歩き出す
行くアテはある………いや、あると言っていいのか分からないが

「とりあえずアイツの所に行くかなーっと」

そうして彼女は一旦止まり、大きく背伸びをした後、再び歩き出した――――――
246 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 16:52:40.38 ID:fMNMHW7CO
武器等ない方がいい。いざとなるのは己の肉体だ。

これが流石(兄)の口癖だった。弟も口では言わないものの、兄と同じ気持ちだった

( ´_ゝ`)「ぬぅぅぅ!!!!!」

いつの時代も肉体の限界に挑戦する漢達は存在している。ただそれの使い方は人それぞれだ

(´<_` )「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

流石兄弟はホテルの壁を、抱き上げるようにして持ち上げていた。
メキメキ………と唸りを上げる外壁。周りの通行人達はただポカーンと口を開けている

(´<_` )「ぬぁぁぁ!!!!!」

( ´_ゝ`)「はぁぁぁ!!!!!」

そしと流石兄弟がシンクロした時、ホテルは流石兄弟の手の上に存在していた。最早地にはついていなかった

( ´_ゝ`)「行くわよっ!!!」

(´<_` )「了解よ!!お兄様!!!」

だがこれで終わりではない。持ち上げたホテルを流石兄弟は全力の力を持って、すぐ近くにあるホテルに投げつけるのだ―――

流石兄弟は掛け声と共に、持ち上げていたホテルを物凄い速さで近くにあるホテルに接触させる―――

その瞬間、ドォォン、と轟音を立て両方のホテルは崩れさった。勿論、中には人がいたままだった
265 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 17:07:13.10 ID:fMNMHW7CO
その様子を見て、流石(兄)は満足げに腕を組む。
だが弟はというとパンツの中から取り出したハンカチをカジッて不満げに叫んでいた

( ´_ゝ`)「以外に重かったわね」

(´<_` )「やっぱり掴みにくいわ!!取っ手がついてればあんなの軽く持ち上げられたのにっ!!!キィィィィ!!!!」

悔しげに叫ぶ流石(弟)を横目に、流石(兄)は遠くの方を指差しながら弟の肩を叩いた

( ´_ゝ`)「ね、次アレいってみない?」

弟は兄の指差す方向を見る。そこには都内最大の高層ビル、VIPタワービルが王者の風格を備えながらそびえたっていた

(´<_` )「……本気?」

( ´_ゝ`)「本気よぉ……」

ホテルとは桁違いの大きさ。何tあるのかも想像がつかない

(´<_` )「イク?」

( ´_ゝ`)「イッちゃう?」

流石兄弟は見つめあいながらニヤリと笑い、VIPタワービルへと向かった………
284 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 17:28:04.81 ID:fMNMHW7CO
その時だった。VIPタワービルに向かって歩いた時。
流石兄弟が、男が幼女を追い掛け回している所を見たのは………



|・∀・|「舐めて」

幼女「いやっー!!」

男は下半身を露出し、幼女に勢い良く迫っていた。
流石兄弟はそれを見て顔をしかめる

(´<_` )「なーにあの男。ピー(自主ry)小さいわね」

( ´_ゝ`)「ほんとぉ。なぁにあれ。皮しか無いじゃない」

(´<_` )「アタシああいうのって嫌いなのよねぇ。」

( ´_ゝ`)「アタシもぉ。見ててイライラするわぁ」


この世は因果応報だ。何事も過程があるから結果がある。この男もこんな事をしなければ幸福に暮らしていけたのかもしれない……

|・∀・|「舐めて!!!舐めてぇぇぇぇ!!!!!!!」

そう、こんな事をした時点で彼はもう既に終わっていたのだ
299 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 17:37:47.27 ID:fMNMHW7CO
もう少しだ、後一歩進めば………!!

|・∀・|「はぁ、はぁ、はぁ!!!!」

そして男が一歩を踏み出す。だが自分の位置は変わらない。いくら足を動かしても前に進まない。

|・∀・|「あれ?あれ?」

男が違和感に気付いたのはその時だった。後ろを見ると、自分の体は何者かによって、首根っこを捕まれ宙に浮いていたのだ

|・∀・|「誰だゴルァ!!!!!!」

幼姦万はドスのきいた声で後ろに振り向く。だが強気なその表情は、後ろに振り向いた瞬間、恐怖の表情へと変化した

(´<_` )「こんにちわぁ………」

|;・∀・|「あ、こんにちわー」

流石兄弟の体を見た途端、男の体からは穴という穴から汗がドバッと出た。

( ´_ゝ`)「どうしたのぉ?汗でべっちょりじゃないの」

|;・∀・|「そ、そうですね。はははははい。それで僕にななな何か御用でしょうか?」

( ´_ゝ`)「………」

(´<_` )「………」
309 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 17:51:00.96 ID:fMNMHW7CO
その瞬間    幼姦万は      星になった―――――――――


::.'∀・|「ぐもっちゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


物凄い速さで空に飛んでいく幼姦万。宇宙に行く程の勢いだったのだが、途中で空中分解して彼は消えた。彼は星になったのだ………………

それを満足げに眺める流石兄弟。それを唖然とした表情で見つめていた子供

(´<_` )「結構壮快ね、コレ」

( ´_ゝ`)「あぁ……ハマりそぅ……」

そして流石兄弟が再びVIPタワービルに向かって歩み始める。その時、後ろにいた子供が話しかけてきた

幼女「おじちゃん達すごいねー!!」

(´<_` )「あら、ありがとお嬢さん」

( ´_ゝ`)「私達の魅力が分かるなんて貴方将来有望よ。どう?今の内から筋トレしたらあたし達みたいになれるわよぉ?」

幼女「んーん。なるのは気持ち悪いからやだ」

( ´_ゝ`)「ぬがっ!!」

その言葉を聞いた瞬間、流石(兄)は勢い良く後ろにのけぞった

(´<_` )「お、お兄様!!しっかり!!所詮はガキの嘘れ言よ!!」
328 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 18:07:21.15 ID:fMNMHW7CO
気持ち悪い。流石(兄)の頭にこの言葉が延々と響く。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…………


彼は、中学生の時から今のようなマッチョだった。自分でも美しいと思っていたし、周りの男もカッコイイと言ってくれた
だが、ある日。ある日流石(兄)が初恋の女子に告白をした。勿論断られる訳が無い、と思っていた。だが――――――


「気持ち悪い…………」


(*´_ゝ`)「――――――――――――え?」



その日から彼の人生は変わった。狂ったように筋肉を鍛え続け、まるでその女子に嫌がらせをするようにパンツ一丁で自慢の筋肉を見せつけるように生活するようになった
そしてそれ以来……それが彼のトラウマになった………

( ´_ゝ`)「こ、このガキャァァァァァァァァァ!!!!!!!許さねぇ!!!!!許さねぇぇぇ!!!!!!!!」

(´<_` )「お兄様!?」
345 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 18:23:45.49 ID:fMNMHW7CO
大の大人ですら粉々に吹き飛ぶその剛腕。それが子供に向かって放たれた――――――

(´<_` )「またか…………」

弟は兄のヒステリックにウンザリしながらも、いつもの事なので幼女を助けようとはしなかった。
コイツが死ねばお兄様は元に戻る………。その為なら安い犠牲だ。こんな子供の命等……

当然、子供は反応できない。何も見えない。流石兄が腕を自分に向かって放った事すら

その瞬間、轟音が辺りに響きわたった

(´<_` )「(死んだな……)」

辺りは土埃りで何も見えない。だが、アレを受けて死なない奴等いない。

土埃りが晴れ、流石は兄の様子を見る
その時だった、流石(弟)が信じられない光景を目にしたのは

(´<_` )「な………に?」

幼女は生きていた。いや、そんな事はどうでもいい。
あれは……誰だ?

土埃りが完全に晴れる。そこには兄の剛腕を細い刀の鞘で受け止めていた一人の男がいた………!!

\(^O^)/「………」
497 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 22:42:05.54 ID:fMNMHW7CO
この男は誰だ。いや、何故この刀は折れない?
黄金竜渦巻く黒光りする鞘……
ヒステリックになっていたとはいえ、自分の剛腕を止められた

( ´_ゝ`)「…………」

普通なら流石兄は怒り狂うだろう。だが怒りはなかった。
疑問だけが兄の頭を占めていたるのだ。いや、疑問だけではない。感心もある

( ´_ゝ`)「(こんな細い刀で……私の……パンチを……?)」

気が付くと、流石兄のパンチを防いだ男は既に構えていた。後ろに子供はいない。多分色々考えている内に逃がしたのだろう

( ´_ゝ`)「すごいわねぇ、その日本刀……。どこで売ってるの?」

(´<_` )「………?」

流石兄が第一声を発した時、弟は何か違和感を感じた
兄、自慢のパンチを止められた上、幼女も逃げてしまった。

だが………

(´<_` )「(何故あんなに冷静でいられるのだ……?)」

自分の知ってる限り、普通ならここで兄の取る行動はヒステリックになりながら、目に入るモノ全てを破壊する……
だが目の前の兄は至って冷静なのだ

 

514 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 23:01:40.33 ID:fMNMHW7CO
その理由は流石兄にもわからなかった。

だが

この男の事は不快では無かった。むしろ、こうなるのが当然だったような。こうなるのを望んでいたよな気持ちだった

( ´_ゝ`)「お前、名は?」

\(^O^)/「無い」

その侮辱とも取れる答えに流石兄はそうか、と一言だけ頷いただけだった

(´<_` )「お兄様?」

弟の問い掛けに兄は反応しなかった。兄とその男………ゴロリはお互いに見つめあったまま、ピクリとも動かない

( ´_ゝ`)「(なんだろうな、この気分……)」

兄は思った。この懐かしいとも嬉しいとも取れるこの気分。血湧き肉踊るこの高揚感。まるで宿命のライバルと対決する感じ

\(^O^)/「(コイツァ………変態だ……)」

ゴロリは流石兄弟の姿を見て思った。何故コイツ等はこんな姿で街を歩き回っているのだろう、と

\(^O^)/「………」

だがそれと同時に恐怖も覚えていた。平然とした顔をしているが、流石兄弟のパンチを須執ッ雉万で受け止めた瞬間……体全体に衝撃がゴロリに伝わってきたのだ。
勿論須執ッ雉万は無傷だ。だが……これでは体がもたない
530 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 23:21:36.48 ID:fMNMHW7CO
そして流石兄は構えを取る。流石兄が構えを取る時は、敵に出会った時だけだ。
自分と戦う資格がある……それが獣であれ、人間であれ関係無い。

( ´_ゝ`)「貴方は手を出さないで頂戴」

兄の言葉に、流石弟は小さく頷くと少し離れた場所にドンッと腰を降ろした

\(^O^)/「………」

ゴロリもまた、構える。鞘から刀身を抜きその切っ先を流石兄に向けるようにして。鞘は左手に、刀身は右手に

( ´_ゝ`)「行くわよっ!!!!!!!」

\(^O^)/「オワタッ!!!!!!!!!」

最早二人に言葉はいらなかった。ただ、ひたすら殺し合うのみ。
それがゴロリが踏み込んだ世界。それが流石兄弟がいる世界。それが嫉妬の世界
552 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/23(木) 23:43:47.66 ID:fMNMHW7CO
掛け声を上げた瞬間、もう既に二人の殺し合いは始まっている
先に動いたのは流石兄の方だった

( ´_ゝ`)「ぉぉぉおお!!!」

その巨大な肉体に似合わぬ俊敏さは、最早人の動きではない。
常軌を逸したその動き……流石兄はまさに音速の速さでゴロリに近付くと、流れるような動作で剛腕を繰り出す

\(^O^)/「おぉぉぉぉ!!!」

普通の人間なら対応する前に頭を吹き飛ばされて終わりだ。流石兄が消えた瞬間死ぬのだ。

だがしかし、ゴロリは違った。音速の速さで放たれた流石兄の剛腕を、左手に持った鞘で受け止めたのだ。
勿論流石兄の動きも見えていた。それが須執ッ雉万のお陰なのかは分からない

\(^O^)/「ぬぁっ!!!」

この時……流石兄のパンチを鞘で受け止めた後、流石兄には隙が出来た。残った右腕の刀でゴロリが切りつければ間違いなく当たっただろう
だがそれは無理だった。先程と同じようにパンチを受け止めた瞬間、体中に衝撃が走りとても反撃どころでは無いのだ
569 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 00:02:53.22 ID:fzVGwkDBO
だがしかし、衝撃が収まった時には流石兄はもういない。
ゴロリが慌てて流石兄がいた所に刀を振り落とすが、虚しく風を斬っただけだった

\(^O^)/「(いない!?)」

そう思ったその瞬間、後ろから物凄い殺気が迫ってくるのにゴロリは気付いた
しまった、と思いつつも全速で後ろを向き鞘で防御せんとするゴロリ。だが少し……ほんの僅か少し遅かった

( ´_ゝ`)「ぉぉぉおおお!!!!!!!!!」

後ろを向いた瞬間、ゴロリの目の前には流石兄の拳が迫っていた。当然防御は間に合う筈もなく、ゴロリ流石兄のは剛腕によって勢いよく吹き飛ばされたいた

\(^O^)/「……!!」

その勢いは凄まじかった。まるで自分が大砲から発射された玉のような錯覚に捕われる

( ´_ゝ`)「ヒット……!!」

そうしてゴロリは100m先の地面にザザーッと転がった。だが……

\(^O^)/「ゴホッゴホッ!!!」

( ´_ゝ`)「!?」

通常ならぐもっちゅになる程の流石兄のパンチ。だがゴロリは生きていた。
咳をしながら、ヨロヨロと立ち上がる。その様子は100m離れた流石兄弟にもはっきりと見えたのだ
587 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 00:16:49.44 ID:fzVGwkDBO
ただ殴るだけの攻撃。誰でも出来るただのストレートのパンチ。だがだからこそ恐ろしい

\(^O^)/「ゴホッ……!!」

どうして死んで無いのか自分でも分からない
100m先まで吹き飛ばす程の剛腕。それをまともに食らって何故生きているのか

\(^O^)/「ゴホッ、ゴホッ……!!」

だがゴロリにはそんな事を考える余裕は無かった。今にも吐血しそうな感じ。内臓が全て内から破裂したような感じ。

だがまだ決着はついていない。まだ足は動ける。ならば俺は戦おう、この命、燃えつきるまで。わくわくさんの仇を討つまで

\(;O;)/「オワテナイッ……まだ……オワテナイ………」

そしてゴロリが移動しようとしていた時、いつの間に其処にいたのか。何故殺さないのか
そこには流石兄がゴロリの目の前に腕を組み、立っていた。ゴロリを見下ろすようにして……

( ´_ゝ`)「貴方、本当に人間?」

それはゴロリが聞きたかった。コイツは本当に人間なのかと

\(^O^)/「まだ……オワテナイ……!!」
606 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 00:31:48.15 ID:fzVGwkDBO
( ´_ゝ`)「終わったよ。もう」

だがゴロリの言葉を遮るように。ゴロリの言葉をかき消すように。流石兄はそう言い放った

( ´_ゝ`)「ちなみに言っとくけど、私まだ20%の力しか使って無いわよ」

\(^O^)/「……なら俺は10%だ」

だがゴロリの冗談に流石兄は笑わなかった。ただただ真面目な顔でゴロリを見下ろしているだけだった

( ´_ゝ`)「………」

流石兄の言葉をゴロリはただの冗談だと思っていた。だからこそ自分も冗談で返したのだ
――あの姿をみるまでは

\(^O^)/「………一つ聞きたい事がある」

( ´_ゝ`)「なぁに?」

最早ゴロリが戦えないと思ったのか、流石兄は既に構えを解いていた

\(^O^)/「わくわくさんを………わくわくさんを殺したのは……誰だ?」

無駄だと分かりなからもゴロリは問う。コイツにわくわくさんを殺した奴を聞いても知ってる筈は無い。
いや、知ってても教えないだろう。
だが……聞かずにはいられなかった。問わずにはいられなかった
624 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 00:47:56.70 ID:fzVGwkDBO
( ´_ゝ`)「わくわくさん?誰よそれ。芸人?」

\(^O^)/「N〇kにいた……メガネをかけた人だ。二日前にお前等に殺された。ぬいぐるみを着た奴に……」

うーん、と唸っていた流石兄はぬいぐるみ、というキーワードを聞いてポン、と手を叩いた。

\(^O^)/「知ってるのか!?」

( ´_ゝ`)「思い出した!思い出したわっ!」

\(^O^)/「誰なんだ!?どこにいるっ!?名前は!?」

( ´_ゝ`)「聞きたい?」

早く言え!早く言え……!

その名前を一生胸に刻みつける。そいつを一生追い掛ける。


( ´_ゝ`)「それはねぇ………」

自分でも心臓の鼓動が早まるのが分かった。今にも破裂しそうなくらい
それでもゴロリは流石兄を見続ける。憎いその名を聞くために。憎いその言葉を聞くために。

そして流石兄は言った。笑いながら。ゴロリを嘲笑うようにニヤケながら



「  私  よ  」
644 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 01:01:05.37 ID:fzVGwkDBO
その瞬間だけ心臓が止まった。その瞬間だけ周りの物が止まって見えた

\(^O^)/「………な…に?」

最初は聞き間違えたかと思った。
だが………聞き間違えでは無い

( ´_ゝ`)「手で握り殺したのよ。こう、ぐも!っとね。やっぱ人間って脆いわねぇー」

流石兄が拳を握るジェスチャーを繰り返す。わくわくさんを殺した時のように。ゴロリを侮辱するかのように

\(^O^)/「……人間?わくわくさんの事か?」

( ´_ゝ`)「そう言ってるじゃないの。頭悪いわね、アンタ」

その時――――――――ゴロリは叫んだ。目の前の敵に向かって。憎い仇に向かって。すべてをぶつけるように――――


\(;O;)/「わくわくさんの事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

瞬間、ゴロリは刀を流石兄に向かって突き出した。だが流石兄は、それを指の先で止めた。
ゴロリの怒りの一撃を。たった一本の指で……
673 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 01:16:01.99 ID:fzVGwkDBO
それでもゴロリは叫んだ。絶対に勝てないと分かってもゴロリは刀に力を入れ続けた

\(;O;)/「殺す!!殺す………!!わくわくさんのように頭を吹っ飛ばして殺してやる!!!!!!!!!!」

( ´_ゝ`)「無理よ。だって貴方、ここで死ぬんだもの―――」

そしてゴロリは見た。見てはいけない物を。流石兄の力の一部を

\(;O;)/「……!!!」

瞬間、流石兄の筋肉が膨れ上がる。限度等無い。限度等という言葉は人間の中で通用する言葉
この人外の者には通用しない―――――

( ´_ゝ`)「50%よ………どう?この美しい筋肉。素晴らしいでしょう?」

それは最早人間ではない。ただの筋肉の塊だった。これが筋肉を鍛えた先に行き着く力。これが人間を捨てた恩恵。

そしてゴロリは流石兄のアッパーを食らう。反応等できはしない。音速を越えるそのアッパー。
ゴロリはそれを顎に食らい空高く打ち上げられた

\(;O;)/「わくわくさん………!!」

力が……力が欲しい………
わくわくさんの仇を討てる程の力。その為には悪魔にでも魂を売ろう
せめてコイツを倒せる力が――――
697 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 01:31:06.38 ID:fzVGwkDBO
打ち上げられたゴロリが、落下する。そして、流石兄が構えた。ゴロリに止めを刺すために。地面に落ちる時を狙って

\(;O;)/「絶対に………絶対に………殺゛し゛て゛や゛る゛!!!!!!!!!生き延びて………生き延びてお前を――――!!!!!」

( ´_ゝ`)「死ぬんだよ。今」

瞬間、ゴロリは消え去った。音速を越える光速の早さで繰り出された流石兄の剛腕。それと同じようにゴロリも光速で吹っ飛んだのだ
見える筈が無い。生きてる筈がない

( ´_ゝ`)「………ふぅっ」

そして流石兄は元の姿に………人間の姿に戻った。
それと同じくしてその様子を見ていた流石弟が兄にパンツの中のハンカチを手渡した

(´<_` )「お疲れ様、お兄様」

( ´_ゝ`)「疲れたわ………」

だが、流石兄はハンカチを手に持つ前に地面に膝をついた

(´<_` )「お兄様!?」

( ´_ゝ`)「少し……はしゃぎすぎたわ……」

流石兄はそう言いながら再びゴロリの飛んでいった方向を見た。

( ´_ゝ`)「……………」
721 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/24(金) 01:40:44.34 ID:fzVGwkDBO
見ると夕日が落ちかかっていた。あまりに戦いに夢中で、時間の事は気にしていなかった


(´<_` )「お兄様、大丈夫?」

( ´_ゝ`)「平気よ。それより……夜になる前に戻りましょう」

そう言い、流石兄は立ち上がる。一瞬、グラッと倒れかけたが流石弟がそれを受け止めた

(´<_` )「さ、廃屋敷に行きましょ」

( ´_ゝ`)「VIPタワービルはお預けね……」

そうして二人は廃屋敷に戻る。神の命令はあまり遂行できなかったが、兄は満足げにゴロリが吹っ飛んだ方向を見つめ続けていた
何かを期待するように
何かを待っているように

( ´_ゝ`)「(死んでたらお前はそれしきの奴だったという事だ………)」
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