65 :VIP賢者:2006/11/19(日) 23:51:18.27 ID:wsPtyf+8O
二話・デビルマン

ガタンッガタンッ……

「ホームに電車が来ます、線の内側まで……」

山手線は今日も世話しなく動く。聞きなれたアナウンスも今日は何故か新鮮だった。
仮面を付けているからかな?

(  ゚ ゚)「……」

すれ違う人は俺の方を振り向く。いや、避ける。

無理も無い。今の俺はヤバイ。とてつもなくヤバイ。
コートには所々血が付いている。お気に入りのコートだったんだが仕方ない

(  ゚ ゚)「次は……渋谷でも行くかお」

あれほど高鳴っていた心臓も今ではもう落ち着いている。
68 :VIP神父:2006/11/20(月) 00:06:29.87 ID:tdOO9PbiO
その頃渋谷では……

「何だありゃ……」

「きもーいwwww」

渋谷の駅前……そこに一人のコスプレをした男がいた。
頭にとがった被りもの、体を青く塗り、背中には巨大な羽を付け、ブリーフ一枚で歩きながら歌っていた。

( ^^)「今日もどこかでぇ!デビルマーン!!!!!!」

彼……田中清晴は変態であった。
おまけに童貞でキモオタでほうけいで馬鹿でキ〇ガイで貧乏で臭かった

( ^^)「いいすぎだろ!!!!」


( ´Д`)「ヒソヒソ……」(´Д` )

71 :VIP神父:2006/11/20(月) 00:15:52.92 ID:tdOO9PbiO
彼は毎日渋谷駅で変態プレイをしていた。昨日はハチ公の上に乗りながら自慰をした筋金入りの変態だ

( ^^)「今日はここで野糞でもするか!」

彼はいきなりズボンを脱ぎ出し、ウンコ座りをした。
周りがキャーキャー言っているが、それすらも彼にとっては快感だった

( ^^)「………」

しかし今日は様子がおかしかった。いつもならここで警官が来る筈なのだ。
だが今日はいつまで立っても来なかった

( ^^)「………まぁいいや」

彼は不意に、大便が終わった後、辺りを見渡す。
彼の周りには人っこ一人いなかった。

( ^^)「………?」
79 :VIP神父:2006/11/20(月) 00:28:02.71 ID:tdOO9PbiO
よく見ると駅の方が何やら騒がしい。

( ^^)「ま、まさか私以上の変態がいるのか?」

彼は急ぎ駅へと走る。駅で何が起こってるか知らずに。


ここで彼の人生が左右されるとも知らずに……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

( <●><●>)「…………」

後藤はVIPタワービルの屋上から街を眺めていた。

この街のどこかで神が暴れている――。

そう思うと思わず嬉しくなる。

( <●><●>)「ここからなら………風に乗って隅々まで届くな……」

彼は横に大量に詰まれたチラシを見る。いよいよチラシをばら蒔く時がきた。
いよいよクリスマスと俺達の開戦の時がきた


( <●><●>)「糞野郎共ぉぉ!!!よく聞けぇぇ!!!!今年のクリスマスは…………」

この言葉を全身全霊で叫ぶ。日本全国まで届くように、世界へ届くように……!!

『 今 年 の ク リ ス マ ス は 中 止 だ ぁ ぁ ぁ ! ! ! ! ! ! ! ! !』
87 :VIP神父:2006/11/20(月) 00:35:11.70 ID:tdOO9PbiO
ミ,,゚Д゚彡「ん?」

(,,゚Д゚)「どうした?」


ミ,,゚Д゚彡「いや、今何か聞こえなかったか?」

(,,゚Д゚)「いや、何も聞こえねぇぞ」

ミ,,゚Д゚彡「そ、そうか………」


(,,゚Д゚)「それより早く行くぞ。救援要請出たんだから」

ミ,,゚Д゚彡「ちっ……面倒くせえなぁ……。何が嬉しくて殺人鬼の所に行かなくちゃならんのだ」

(,,゚Д゚)「そう言うな。俺だってやだよ」
90 :VIP神父:2006/11/20(月) 00:48:28.77 ID:tdOO9PbiO
「止まれー!!!」


( ^^)「……?」

駅に突入していった田中は様子がおかしい事に気付く。周りは警官だらけで一般人は一人もいない
更に何か緊急事態なのか、自分の姿を見ても警官はどうでもいい、といった感じだった

( ^^)「………」

何だ?何が起こっているんだ?
よーく周りを見る……。辺りには飛び交う悲鳴と怒号、それに大量の警官………

( ^^)「……となると………」


a.駅に凶悪な犯罪者がいる

( ^^)「―――」


  ( ゚д゚ )


その答えにたどり着いた時、彼の顔は一気に青ざめた。
94 :VIP神父:2006/11/20(月) 00:55:20.30 ID:tdOO9PbiO
( ^^)「ははは早く逃げななななきゃ……」

だが彼はその答えにたどり着くのが少々遅かったようだ。
あれほど大量にいた警官が一人もいない、あれほど響いていた怒号がまったく聞こえない。
辺りは静寂に包まれている

(;^^)「(やばい……死亡フラグだ……)」

ここに殺人鬼がいる。しかも辺りには自分一人しかいない。これは……

「アウアウ!」

( ^^)「!?」
103 :VIP盗賊:2006/11/20(月) 01:10:16.13 ID:tdOO9PbiO
(;^^)「………」

彼はソーッと後ろに振り向いた。そこには仮面を被り、血まみれのコートを着た男が銃を自分に向けて立っていた

(  ゚ ゚)「………」

( ^^)「 ジ ェ イ ソ ン ! ?」

彼は思わず尻餅を着く。だがジェイソン……もといブーンは微動だにしない

( ^^)「たたた助けて………!!!」

半狂乱になっている田中をブーンは見下ろす。
一方田中はいつ銃の引き金が引かれるか気が気では無かった。思わず目を瞑る。

( ^^)「……………?」

しかしいつまで経っても引き金は引かれなかった。
恐る恐る目を開けると、ブーンがしゃがみ込み、田中の顔をジーッと見つめていた

( ^^)「…………???」

(  ゚ ゚)「……………」
111 :VIP盗賊:2006/11/20(月) 01:19:42.60 ID:tdOO9PbiO
(;^^)「……」

(  ゚ ゚)「……」

そのまま見つめ合う事数十秒。不意にブーンが口を開いた

(  ゚ ゚)「お前……これが見えるか?」

( ^^)「………は?」

ブーンはそう言うと掌を田中の前に差し出した。

( ^^)「………?」

田中はブーンの掌の上に紫色の靄のようなモノが浮いているのが分かった。
何だろうこれは。炎に似ているが……

(  ゚ ゚)「何が見える?」

( ^^)「あ……その……紫の靄みたいなモノが……」

その言葉を聞いた瞬間、ブーンの体がピクっと動いた。

(  ゚ ゚)「………」

(;^^)「………」
115 :VIP盗賊:2006/11/20(月) 01:31:23.19 ID:tdOO9PbiO
(  ゚ ゚)「………お前、名前は?」

(;^^)「………へ?」

(  ゚ ゚)「名前だお、名前」

突然の事に田中はうろたえた。だがここで正直に名前を言う程彼は馬鹿ではない。

( ^^)「で、デビルマンです」

(  ゚ ゚)「殺されたいのか、お前?」

ブーンは銃を田中に向ける。田中はしまった、と思い慌てて訂正した

( ^^)「た、田中です!田中清晴です!」

(  ゚ ゚)「………」

ブーンはそれを聞くと銃を降ろした。そして田中の肩に手をかける

( ^^)「ひっ……!」

(  ゚ ゚)「…………」
119 :VIP盗賊:2006/11/20(月) 01:42:46.37 ID:tdOO9PbiO
やられる――――――田中は直感的にそう思った。
だが…………


(  ゚ ゚)「―――――――――俺に付いてこい。お前はコッチ側の人間だお」

( ^^)「―――――……」

一瞬、何を言っているのか分からなかった。何だ?この人は何を言っているんだ?

( ^^)「あ……あ?」

(  ゚ ゚)「………」

だが田中はブーンの目を見ると何やら胸の奥が熱くなる衝動に駆られた。
まるで何かに引き込まれるような感触…………

( ^^)「………」

その時……それを遮るように駅内に声が響き渡る

「そこまでだ!!動くな!!」

(  ゚ ゚)「……!!」
121 :VIP盗賊:2006/11/20(月) 01:53:37.96 ID:tdOO9PbiO
( ^^)「……!!」

田中はその声で正気に戻る。辺りを見渡すといつの間にいたのか、警官が二人の回りを囲んでいた

(  ゚ ゚)「……」


ミ,,゚Д゚彡「おっと……動くなよ?ジェイソン野郎」

(,,゚Д゚)「(横にいるデビルマンは何なんだろうか………)」


ミ,,゚Д゚彡「銃を捨てろ!それと手に持ってる紫の靄らしき物も捨てろ!!」

(  ゚ ゚)「……!!お前も……見えるのか……?」

(,,゚Д゚)「紫の靄……?」

127 :VIP奴隷:2006/11/20(月) 02:04:18.26 ID:tdOO9PbiO
(  ゚ ゚)「はは………ははは!!!」

ミ,,゚Д゚彡「な、何がおかしい!?」

(  ゚ ゚)「おかしいんじゃない。嬉しいんだよ」

(,,゚Д゚)「訳の分からねー事言いやがって!!早く武器を捨てろ!!」

小笠原が銃をブーンに向ける。だがブーンは銃等眼中には無かった。ただただ笑っているだけだ

(  ゚ ゚)「……お前…ドラゴンボール読んだ事あるか?」

(,,゚Д゚)「関係の無いことを喋るな!!!今すぐ……」

小笠原の言葉を遮りブーンは続けた

(  ゚ ゚)「……俺がサイヤ人だとしたら……お前はなんだろうな?」

(,,゚Д゚)「黙れ!!!本当に撃ち殺すぞ!!」



(  ゚ ゚)「そうだなぁ……さしずめ………戦闘力5のラディッツに殺されたいオヤジってとこか?」

(,,゚Д゚)「―――――――――」
131 :VIP奴隷:2006/11/20(月) 02:17:32.35 ID:tdOO9PbiO
ミ,,゚Д゚彡「ブッ……w」

ブーンの言葉を聞いて、小笠原の怒りは最高潮に達した。
一方神田は笑いをこらえるのに必死だった

(,,゚Д゚)「この野郎!!!!俺が戦闘力5だと!?」

その瞬間………駅内に銃声が響いた。

ミ,,゚Д゚彡「ばっ……!!」

(,,゚Д゚)「(やべ……!)」

だがブーンに弾は当たらなかった。いや……既にブーンはそこにはいなかった、と言った方がいい

ミ,,゚Д゚彡「いない…!?」

(,,゚Д゚)「ど、どこ行った?」

その時小笠原は誰かに後ろにから抱き締められた。
それと同時に声が聞こえる

(  ゚ ゚)「そういきりたつなお……。俺が言っているのは強さじゃなくてシチュエーションの話だ……」

(,,゚Д゚)「―――――!!」

抱き締められた瞬間……声が聞こえた瞬間……小笠原は動けなかった。一瞬何が起こったのかわからなかった
138 :VIP奴隷:2006/11/20(月) 02:35:01.14 ID:tdOO9PbiO
ミ,,゚Д゚彡「………」

神田は何が何だか分からないといった様子でブーンを見ていた。何だコイツは。いつ後ろにきた?いや、それ以前にどうやって銃弾を避けたのか
周りの警官も神田と同じように唖然としていた

(  ゚ ゚)「怖いか?恐ろしいか?」

(;゚Д゚)「あ……………」

(  ゚ ゚)「だがな……一つだけ覚えておけ。こんな恐怖等、童貞の苦しみには到底敵わないという事を」

そう言いブーンは小笠原を解放した。
小笠原はへなへなとその場に座り込む

(,,゚Д゚)「………?」

それと同時に駅内に大量の紙がなだれこんできた。

ミ,,゚Д゚彡「な、なんじゃこりゃ!?」

バサバサと大量に舞う紙はあっというまに駅内を埋め着くし、身動きも取れない程だ

( ^^)「!?」

ミ,,゚Д゚彡「ぐっ……!?」

その中で神田は必死にブーンを睨み続ける。コイツを逃がしてはいけない。何故だろう、コイツは明らかにただの犯罪者ではない
一方田中もブーンを見つめ続けていた。何かにすがるように、何かを期待するように
141 :VIP奴隷:2006/11/20(月) 02:47:19.02 ID:tdOO9PbiO
更に紙が駅内になだれこむ。最早立っているのがやっとだというのに、ブーンだけは平然と立っていた
それでも田中と神田はブーンの事を見つめつづけた。ブーンも二人を見つめる

(  ゚ ゚)「…………」

紙が荒れ狂う中、不意にブーンは仮面を外した。そして再び二人を見つめる

( ^ω^)「……」

( ^^)「……!!」

ミ,,゚Д゚彡「………!!!」


( ^ω^)「また………迎えに来るお…………」

( ^^)「!」

ミ,,゚Д゚彡「!」


そしてブーンは消える。まるで煙のように。まるでそこには何も無かったかのように

ミ,,゚Д゚彡「ポカーン……………」

( ^^)「……………」
142 :VIP奴隷:2006/11/20(月) 02:53:06.93 ID:tdOO9PbiO
ブーンが消えるて同時に紙の嵐も収まった。
そして紙に埋もれた警官達が続々と出てくる

(,,゚Д゚)「な、何が起こったのか……?あのジェイソンは?」

ミ,,゚Д゚彡「………」

(,,゚Д゚)「くそ!この紙さえ中ったら……!……ん?なんか書いてある」

小笠原は紙を見る。そこには………



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〜クリスマス中止のお知らせ〜

申し訳ありませんが今年のクリスマスは中止になります。皆様、家から一歩も出ないようご協力の程をお願い致します。


なおクリスマスの日、外にいると(特にカップル)反乱分子と見なし銃殺致しますのでくれぐれもご注意ください

〜クリスマス中止委員会――VIPより

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


143 :VIP神:2006/11/20(月) 03:01:48.17 ID:tdOO9PbiO
紙、紙、紙……

( <●><●>)「……」

後藤はまだビルから街を見下ろしていた。
たださっきと違うのは………ここから見える景色、全てチラシによって真っ白に埋まっている事だった

( <●><●>)「………しかし……」

後藤は横に置いてある箱を見る。

( <●><●>)「今回はコレの出番は無かったな……」

そう言い後藤は再び街を見下ろす

( <●><●>)「神よ……これでよろしいか……?」

後藤は勢いよく拳を天に突き上げる。拳にはブーンと同じ紫の靄が取り巻いていた―――――――――
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