123 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 18:16:38.49 ID:xN3+gbIOO
十話・居候


車を走らせる事20分。
三人はようやく小笠原の家に到着し、慌ただしく車から降りる

小笠原の家。住宅街にある他の家と同様、良くも悪くも普通の家だった

「普通の家だっ」

(,,゚Д゚)「悪かったな」

「馬鹿にしてんわけじゃないよーっ。褒めてるわけでもないけど」

そんな事を言っている梅を無視し、小笠原はスタスタと玄関まで歩く。
そして小笠原は玄関の横にある上木鉢を持ち上げ、その下にあった鍵を取り出した

(´・ω・`)「そんな所に鍵を置いているのか?」

(,,゚Д゚)「彼女と共有してっからな」

そう言い小笠原はドアを開け、中に入る。覇道と梅もそれに続いた

「彼女とぉぉ共有してるぅからなぁ〜、何て偉そうに……」

(,,゚Д゚)「そんな言い方してねぇよ……」
132 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 18:31:34.46 ID:xN3+gbIOO
「へぇー。中に入ると狭いね。良い意味で」

そう言い、梅は玄関で煙草を口にくわえる
だがそれを由井の時同様、小笠原は梅の口から煙草を一瞬で奪い取った

「………嫌がらせ?」

(,,゚Д゚)「違う。ここは禁煙だ」

自分を睨む梅を横目に、小笠原はドアから煙草を投げ捨てる

「あれ、一本15円するんだよっ」

小笠原につっかかろうとする梅。だがその時、後ろからゲンコツが放たれた

「いでっ」

(´・ω・`)「人の家で煙草を吸うな、馬鹿」

小笠原はそんなやりとりを呆れながら見ていた。
梅は子供っぽいが、覇道は常識人、と言った所か

(,,゚Д゚)「玄関にいんのもアレだろ。リビングに来いよ」

(´・ω・`)「そうさせて貰うよ」
137 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 18:46:23.49 ID:xN3+gbIOO
リビングは意外に広かった。
それにキチンと整頓、整理されていて清潔そのものだ

(´・ω・`)「綺麗じゃないか。彼女が掃除してくれたのか?」

「そらそうだ。コイツに掃除するなんて概念は無さそうだしっ」

(,,゚Д゚)「んだと!!」

そんな事を言いながらソファーに座る二人。
小笠原は冷蔵庫を開けながら二人に問う

(,,゚Д゚)「何か飲みもんいるかー?」

「ビールっ」

瞬間、梅の声に連動するようにゴツン、とゲンコツの音が家に鳴り響いた

「ぐぇっ!!」

(´・ω・`)「お構い無く。水とかでいいさ」

そんな事を言われたが、客に水を出すわけにもいかない。
小笠原は一ヶ月前に買った安売りのコーラをコップに注ぐ
安かった為、つい買ってしまったのだが(2Lで50円)
よく見ると見たことも無いようなラベルが貼ってあり、それにも増して毒々しぃ色をしていたので飲まずにいたのだ

……水の方が良かったか?

コップに注ぐと更に毒々しく泡立つコーラ。だがもう遅い。小笠原はコレを出す事にした
146 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 18:56:08.03 ID:xN3+gbIOO
「…………」

(´・ω・`)「…………」

ソファーの前のテーブルに出されたコーラ。梅は何の躊躇もなく飲んでいたが、覇道は飲まなかった

「飲まんのっ?」

黙って頷く。じゃあ貰うよー、と言いつつ自分の分まで飲む梅。

(´・ω・`)「…………」

覇道は何故かこのコーラを飲む気にはならなかった。
直感、というやつだろうか。これはヤバい、と覇道の体が告げていた

大体、何故小笠原は飲まないのだ?
毒が入ってる訳じゃないと思うが、どうせスーパーで買った怪しげな飲み物をいい機会だから出してしまえ、という事だろう

「あぁー!うめーっ!!ビールだったらもっと良かったかけどーっ!!」

(,,゚Д゚)「………」

(´・ω・`)「………」

そんな梅を二人は、半分感心したような、半分呆れたような目で見ていた
153 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 19:07:08.09 ID:xN3+gbIOO
(,,゚Д゚)「それでだな……」

不意に小笠原が真面目な表情になる。
その雰囲気に気付いたのか、二人は小笠原の方に振り向いた

(,,゚Д゚)「テロリストの件なんだが……」

(´・ω・`)「ストップ!」

だがそんな小笠原の言葉を遮るように覇道が大声を上げる

(,,゚Д゚)「……?」

(´・ω・`)「まず、アンタの話を聞きたいね。親友の話……親友を助けたい、と言ってたじゃないか」

「…………」

それを聞き、小笠原は無言で頷く。

そうして小笠原は話した。神田の事。仮面と初めて出会った日の事。
それから神田がおかしくなり、気付けばいつの間にかテロリストになっていたという事を
それを無言で聞き入る二人。いつもは騒がしい梅も、小笠原の話を真面目な顔で聞いていた
160 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 19:24:38.87 ID:xN3+gbIOO
(,,゚Д゚)「こんな所……か」

小笠原が全てを話終わった時。二人は目を瞑りながら天井を見上げていた

「嫉妬……だね」

(´・ω・`)「あぁ。間違いない……」

小笠原は見た。話終わった時の二人の顔を
それは悲しげな、それは昔を懐かしむような、それは自分がその苦しみを味わったかのような表情だった

「でも、まだ救える」

(,,゚Д゚)「……本当か!?」

その言葉を聞いた瞬間、小笠原はその場で立ち上がった。
その言葉を聞きたかった。誰でもいい、神田は救える、と。その言葉が

(´・ω・`)「救えるさ、うまく行けばな。それに…ブーンとは……違う」

(,,゚Д゚)「………」

だがそんな明るい小笠原の表情に対して、二人の表情は暗かった。
それを見て小笠原は再び椅子に座る。そして二人に問いかける。
ずっと前から、聞きたかった事。気になっていた事。

(,,゚Д゚)「聞かせて貰おうか。テロリストが何なのか。あの力が何なのかを」
172 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 19:49:18.87 ID:xN3+gbIOO
二人はその言葉に無言で頷いた。

(´・ω・`)「まず初めにテロリストのあの力」

(,,゚Д゚)「………!」

(´・ω・`)「あの力。見える者には見える紫の靄。
       あれを俺達は、嫉妬と呼んでいる」

「まんまだけどねっ」

紫の靄?嫉妬?
どうもよく分からないが、小笠原はそのまま二人の話に耳を傾ける

(´・ω・`)「嫉妬………紫の靄が発生する理由。それは勿論、嫉妬心からも発生する。だが怒り、悲しみからも紫の靄が発生する」

(,,゚Д゚)「………?」

よく分からない、といった表情の小笠原。
それを見て、梅がもう少し分かりやすく説明する

「ようするにさ、感情が高ぶった時に誰にでも紫の靄は発生するんだよ。微量だけどねっ」

(´・ω・`)「紫の靄が見えるか、操れるかは別の話だけどな」

「そうそう。感情が高ぶっても、靄が操れなかったら意味無いしねっ。ま、ほとんどの人間がそうなんじゃないかな」
187 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 20:05:50.26 ID:xN3+gbIOO
(´・ω・`)「紫の靄に対抗する力はただ一つ。目には目を。紫の靄には紫の靄を」

(,,゚Д゚)「……じゃあ、俺も嫉妬を……使えば……」

「厳密に言うと嫉妬じゃ勝てないよっ。アイツ等……テロリストの嫉妬は異常だからねっ
大体、アンタに嫉妬なんか理解できる?」

(,,゚Д゚)「う……」


(´・ω・`)「同じ紫の靄でも違う気持ちで対抗すればいい。例えば………怒り、とかでな」

(,,゚Д゚)「怒り……か」

テロリストに親友を奪われた怒り。確かにそれは誰にも負けない。

「神田君、だっけ?」

(,,゚Д゚)「あぁ」

その名前を聞き、思わず体がビクっと揺れた。
コイツ等の話が本当だとすれば……神田は……

「神田君の力の源。それは………」

(,,゚Д゚)「嫉妬、か?」

「………よく分かってんじゃん」
198 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 20:15:03.30 ID:xN3+gbIOO
(,,゚Д゚)「そうか、神田は俺に嫉妬……してたのか……」

だが小笠原のその言葉を聞き、二人はガクッと体を滑らせる

「やっぱ分かってない……こいつ……」

(,,゚Д゚)「え?」

その様子を見て、再び小笠原は混乱する。
自分に嫉妬していたんじゃないのか?では誰だ?
だが幾ら考えても思いつかない。アイツが嫉妬するような奴………自分以外には考えられなかった
そんな小笠原を見て、覇道は溜め息をつきながら言った。

(´・ω・`)「……いいか?神田君が嫉妬しているのはな……」

(,,゚Д゚)「………」

(´・ω・`)「 君 の 彼 女 だ 」

(,,゚Д゚)「へぇー………」






( ゚д゚ )

「こっち見んなっ!」

211 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 20:26:02.45 ID:xN3+gbIOO
(,,゚Д゚)「え、え?えぇぇぇぇ!!!!!」

思わずその場から飛び退いて驚く小笠原。
だがしかし、二人は当たり前のように平然としていた

(´・ω・`)「………?」

(,,゚Д゚)「じゃ、じゃあまさか神田は……ホモ!?しかも俺の事が………!?」

その言葉を聞き、再び二人はガクッ体を滑らせた。

「あー……。そんな風に解釈するかっ……」

(´・ω・`)「言い方がマズかったみたいだな」

(,,゚Д゚)「………?」


「いいっ?嫉妬って言っても色んな種類があるわけよっ。異性に、出世に、幸運に……まぁ妬み、って言った方がいいかもしれないけどっ」

(,,゚Д゚)「……じゃあ、神田は………」

(´・ω・`)「そうだな………。大体、彼女に君を取られるとでも思ったんだろう。昔からの親友を取られる………しかも後からきた女にだ」

「アンタも悪いのよ?最近彼女ばっかと遊んで、神田君の事構ってあげなかったでしょっ?」

(,,゚Д゚)「………」

それを聞き、小笠原は深くうなだれる。
確かに最近は神田と遊んではいなかった。確かに警察に入ってからは夜の街を一緒にバイクで走る事も無かった
224 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 20:36:51.92 ID:xN3+gbIOO
あの神田が着ていた特攻服。あれだって、神田とお揃いで作ったのに今はクローゼットの中で埃を被っている

(,,゚Д゚)「………どうしたら………神田を救える……?」

それを聞き、梅が笑いながら小笠原の下っ腹に勢い良くパンチを放った

(,,゚Д゚)「うぐっ!?」

「ぶつけるんだよっ!!お前の気持ちをっ!!こう、ガツーンってねっ!!」

(,,゚Д゚)「………!!……はは、そうか……そうしたら……目…覚めるかなアイツ……」

(´・ω・`)「覚めるさ。きっと」

そうして小笠原はその場に倒れこむ。梅に殴られたからではない。
ただ倒れたかった。やっとテロリストを倒す方法………やっと神田を倒す方法が見つかったのだ

(,,゚Д゚)「はは……やっと………、やっと……!!!」

236 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 20:50:12.58 ID:xN3+gbIOO
(,,゚Д゚)「でも………俺に紫の靄は操れるのか?」

「うーん………それは非常に難しい。元々紫の靄を操るというのは生まれつきの個人差があって、更に育った環境、親の教育更に更にその負の感情を
見える程にしなくてはならなくて、しかしそれは………」

(,,゚Д゚)「………一言で言うと?」

「無理」

(,,゚Д゚)「おい!!!」

瞬間、覇道のゲンコツが梅に放たれた。

「いって!!!!」

(´・ω・`)「嘘を言うな嘘を。いいか?鍛練次第では操れる。」

(,,゚Д゚)「なんだ……」

小笠原はホッと胸を降ろすと、頭を抱えていた梅を睨みつける

「なんだよーっ!!どっちにしても時間無いんだから……」

(´・ω・`)「………確かに。鍛練次第では操れるが少し時間が足りないかもしれん……」
246 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 21:05:27.76 ID:xN3+gbIOO
(,,゚Д゚)「頼む!!教えてくれっ!!鍛練の方法を!!」

そう言い小笠原は覇道に迫る。今にも胸ぐらを掴みそうな表情。
だが覇道は無表情で小笠原に問いかける

(´・ω・`)「……もしかしたら間に合わないかもしれんぞ?それに、お前に耐えられるか……」

(,,゚Д゚)「それでもいい!!やらないよりはマシだ!!」

その言葉を聞き、覇道は目を瞑る。そしてソッと、小笠原の肩に手を置く

(´・ω・`)「……クリスマスまで……泊まらして貰うぞ?お前を鍛える為に」

(,,゚Д゚)「……じゃあ!!!」

(´・ω・`)「鍛えてやる、靄を操れるまで。それまで外に出られると思うなよ?」

(,,゚Д゚)「あぁ!!んなもん屁でもねぇ!!」
258 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 21:18:30.51 ID:xN3+gbIOO
「(クリスマスまで寝床ゲッツ!!)」

梅はそんな事を思いながらはしゃぎ回る小笠原を見ていた。
だがそんな梅の考えも知らず小笠原は覇道に問いかける

(,,゚Д゚)「いつから始める!?」

(´・ω・`)「今だ。今すぐ。そこの和室でやるぞ」

その瞬間、小笠原は勢い良く和室へ走る。「先に行ってるぞー!」と叫びながら
そしてリビングには二人。覇道と梅が取り残された

(´・ω・`)「おい、神倉」

「何?」

(´・ω・`)「俺達が鍛練してる間、暇だろうがお前もあまり外に出るなよ」

「わかってるって」

そう言い神倉……もとい梅はソファーに横になりながらリモコンでテレビの電源を付ける

(´・ω・`)「……」

本当なら梅にも鍛練してもらいたい所だが、(外に出さない為に)梅の紫の靄を操る技量はもう完璧だ
もう鍛練しても無駄だろう。

そんな事を思いながら、覇道は小笠原のいる和室に向かって歩み出した
266 : ◆xkpIzaNQBI :2006/11/28(火) 21:28:31.88 ID:xN3+gbIOO
その頃………丁度、小笠原と覇道が鍛練をしている頃………

(*゚ー゚)「あ、徹に電話しきゃ」

Trururu…………

(*゚ー゚)「出ないなぁ………」

ピッ!!

(*゚ー゚)「あ、徹?今からそっちに……」

「突けえぇぇぇぇ!!!!!突くんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

「押忍!!!!!!!!」

「もっとぶつけろ!!!お前の気持ちを俺にぶつけろぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

「ふん!!ふんふんふん!!!!!!!」

「いいぞ!!!!そうだ!!!そのままの体勢で突けえぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!いいぞぉぉぉ!!!!!!!!!」

「アッーーー!!!!!!!!!アッーーー!!!!!!!!」

「イケ!!!イクんだぁぁぁぁぁ!!!!!!(紫の靄)を出せぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

プツッ………ツー……ツー………

(;゚ー゚)「…………」

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