189 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:29:26 ID:7U21tOKI0
Act-5.5ドクオとツンデレA


('A`)「最後に一つ聞いておこう……上等兵、お前は何のために戦っている?」

ツンデレの眉間に照準を定めたまま、ドクオは唐突に問う。

ξ--)ξ「………守りたい、だけよ」

暫しの沈黙の後にツンデレは端的に応えた。

ξ゚听)ξ「私は皆を守るの。もう誰一人傷付いて欲しくない」

意を決した面持ちでツンデレは言葉を続ける。

190 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:30:38 ID:7U21tOKI0
ξ゚听)ξ「何の罪もない人達が戦争で死んでいくなんて私は耐えられない」

('A`)(気高いな……どこまでも)

ドクオは彼女の瞳をみつめる。
彼女の答えは至極模範的な解答だが、その瞳には一切の穢れが無い真摯な感情がこもっていた。
恐らく、本気なんだろう。本気で言っているんだ。
彼女の過去に何があったかドクオには分からない。
だが、彼女が本気で見ず知らずの人々を守ろうとしている事だけは感覚的に理解した。

ξ゚听)ξ「だから私は軍に入った。ラウンジは勝ったのかも知れない。でもあなた達は守りきってくれなかった。だから私が守るの」

ξ゚听)ξ「だってそうでしょ?あなた達は守ってくれなかったもの。私がやるしかないじゃない」

191 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:32:04 ID:7U21tOKI0
任務中に上官から銃口を突き付けられるという異質な状態での心情の吐露は、ツンデレの思考を混乱させた。
脳内と紡ぐ言葉が支離滅裂になっていく。

ξ゚听)ξ「怠慢な奴が許せない。なんでそんなに呑気なの?この間にもどこかで誰かが死んでいるかもしれないのに」

ξ゚听)ξ「才能だと思う?私は努力しているわ。それを分かって才能だけの高慢な女だって陰口を叩いてるの?別に構わないわ。私はそんな」

('A`)「黙れ上等兵」

小さいが、迫力のこもった声音でドクオはツンの言葉を遮る。

('A`)「それで、勝手をする必要が無い状態で勝手をして、何を守れると思ったんだ?」

ξ;゚听)ξ「そ、それは」

正常に戻ったツンデレはドクオの問いに応えられず言葉を詰まらせる。

192 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:33:54 ID:7U21tOKI0
('A`)「力を誇示しないといけないとでも思ったのか?ただの女じゃない、気が強い。なめられない為にそれを示さないといけないと思ったのか?」

ドクオの口調が穏やかなものへと変わっていく。

('A`)「俺より出来ると言う事を示したかったのか?………ツン、俺はお前に対してそういう態度をとったつもりはない」

('A`)「お前が女性だからって軽視したつもりも無ければ、そんな発言をしたつもりもない、と思っている。違うかな?」

ξ;゚听)ξ「…い…いや…」

ドクオは銃口をおろす。

('A`)「だからって、俺に対する態度を全面的に改めろとか、そういう訳じゃない。生理的に受け付けない類の人間てのはいるもんだ。ツンにとって俺はその類の人間なのかもしれないな」

193 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:34:55 ID:7U21tOKI0
('A`)「俺が言いたいのはだな。要するに『空気をよめ』って事だ。任務外の時は何でもいいが、任務中は最低限の規律は守る。締める時は締める」

自動拳銃を腰に戻し、ドクオは肩をすくめる。
そこには先程までの殺意をまとったドクオはいなかった。

('A`)「俺の言っている事、分かるか?」

ξ--)ξ「………はい」

('A`)「よし、なら任務を続行するぞ。10時の方向、約40メルト先に敵兵が一人いた。恐らく哨戒中だろう。」

('A`)「まぁ予想通りだが、ここからは潜入作戦になる。迂回して、視界の悪い山脈方面からいくぞ」

そういうや否やドクオは歩き始めた。
その後をツンデレは黙ってついていく。

ξ゚听)ξ「……軍曹」

不意にツンデレはドクオに呼びかけた。

194 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:35:43 ID:7U21tOKI0
('A`)「何だ?」

ξ--)ξ「すみませんでした。申し訳ありません」

('A`)「ツン、もう少し肩の力を抜いて生きろ。そんなんじゃお前、しんどいだけだ」

ξ゚听)ξ「分かりました……さっきはどこまで本気だったんですか?」

('A`)「どこまで本気か……そういう意味では全く本気じゃなかったぞ」

ξ;゚听)ξ「は?」

ドクオの意味深な言葉にツンデレは疑問符を浮かべる。

('A`)「セーフティ、解除してないのにどうやって撃つんだよ」

呆れ声でドクオは答える。
突きつけていた自動拳銃の安全装置はかかっていたままだった事をドクオは暴露する。

ξ;--)ξ「やられたわ………」

195 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:36:32 ID:7U21tOKI0
('∀`)「まだまだだな」

ξ--)ξ「…精進します……」

ξ゚ー゚)ξ「それと笑顔が気持ち悪いから笑わない方がいいですよ、ドクオさん」

('A`)「………お前、やな奴だな」

気を落としつつ、ドクオは歩みを再開し始める。
辛辣な発言の後にツンデレが初めてドクオと呼んだ事に彼は気付いていなかった。



196 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:37:43 ID:7U21tOKI0
ドクオとツンデレがしぃと交信してから4時間が経っていた。

その間、ドクオ達は迂回した山脈ルートを突き進み、ついに渓谷跡地に辿り着いた。

('A`)「予定よりも大分遅れたが、まぁ、大丈夫そうだな」

ちらりと懐中時計を見てドクオは呟く。

ξ゚听)ξ「……」

その後をツンデレは黙ってついていく。
心なしかツンデレの呼吸は浅く身体の動きが先程よりも重たそうだった。

ξ;゚听)ξ(復隊したばっかりなのに、どういう体力してるのよ、それに、音もたてない歩法、身のこなし。……流石ってところね)

心中で、ツンデレは驚嘆する。

197 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:38:38 ID:7U21tOKI0
('A`)「さてと、予定じゃ後1時間以内にあそこを曲がっておもちゃの大行進が姿を現すはずだ」

ドクオの見つめる先は急な曲がり角だった。
まだ水が流れていたであろう頃に作られた地形はうねる蛇の如く、急なカーブが複数存在していた。

('A`)「さて、ちゃっちゃとポイント探すか…んー、あそこはどうだ?」

ドクオは呟きながら左右に視線を奔らせつつ、光学単眼鏡を取り出す。

ξ゚听)ξ「何を探しているの?」

これまでとは打って変わってくだけた口調でツンデレがドクオに尋ねる。

('A`)「あぁ、そうか、えとな、状況の確認が済んだ後、可能なら進軍を遅らせろって言われてるんだ」

暗視状態の光学単眼鏡で一点を観察しながらドクオはツンデレの問いに応える。

ξ゚听)ξ「それって……」

198 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:40:03 ID:7U21tOKI0
('A`)「おう、狙撃だ」

担いでいる多目的突撃銃の銃床をポンと叩いて事も無げに応える。

('A`)「俺が撃つからツンには観測手を頼みたい。一応訓練は受けてるだろ?まぁ正直色々無茶苦茶だと思うが……」

('A`)「留まって交戦するつもりはさらさらないから、ぽい所、野郎をちゃちゃっと撃ってずらかるぞ」

ξ゚听)ξ「はぁ、了解。でも、何で私には何も言ってくれなかったのかな?」

嘆息とともに、ツンデレは疑問を口にする。

('A`)「期待のルーキーに余計なプレッシャーを与えないようにって言う配慮だ、別に仲間外れとかじゃない、いじけるなよ」

軽口で応えつつドクオは違う場所に視線を移す。

ξ゚听)ξ「別にいじけてないわよ」

('∀`)「ちょっといじけてる癖に」

ξ゚〜゚)ξ「いじけてないっ!」

('A`)「はいはい、お、あそこがいいな。ツン、移動するぞ」

199 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:41:00 ID:7U21tOKI0
軽口の応酬をしながら、ドクオ達は素早く移動する。
ドクオ達が移動した場所は他の周りに比べて遮蔽物が多くいポイントだった。
発見されにくいが、同時に遮蔽物の多さの分だけ、狙撃態勢をとるのが困難でもあった。
岩と岩の間に銃を据え、ドクオは射撃体勢をとろうとする。
しかしドクオの右側にある岩が邪魔をして、思うように射撃体勢をとれない。
ドクオは躊躇なく逆側、左手でトリガーを引く体勢に構えなおした。

ξ゚听)ξ「ドクオって左利き?」

あまりにもスムーズに体勢を変えたのを見てツンデレは尋ねる。

('A`)「ん?いや、右利きだぞ。なんでだ?」

スコープを覗き込む体勢のまま事も無げにドクオは返答をする。

ξ゚听)ξ「いや、左に持ち直しても違和感がなさそうだから」

200 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:42:23 ID:7U21tOKI0
('A`)「あー、まぁ場所が俺に合わせてくれる事はないからな。俺が合わすしかない。……さて、まだ時間があるみたいだな、ツンも楽にしとけ」

スコープから目を離し、ドクオはツンに視線を投げかけながら、地面に胡坐をかいた。

ξ゚听)ξ「ねぇ、ラインハルト隊の事。聞かせてよ」

徐に、ツンデレはドクオに言葉を投げる。

('A`)「そりゃ別に構わんが…知りたいのか?」

ξ゚听)ξ「そりゃ、知りたいわよ。数々の戦場神話を生んだラインハルト隊とサンロード隊」

ξ゚听)ξ「そのうちの元ラインハルト隊の隊員がいるのよ。興味を持たない方がおかしくない?」

('A`)「基地案内の時はもの凄く当たってきた癖に」

ξ;゚〜゚)ξ「そ、それは」

('∀`)「冗談だ。っても何から話せばいいのか……」

腕を組みドクオは思案する。

201 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:44:27 ID:7U21tOKI0
ξ゚听)ξ「あ、じゃあ、隊の人達の事を教えてよ」

興味津津な眼差しを向けながらツンデレは質問する。

('A`)「そうだなぁ、まぁまずはギコからかな……知っていると思うが、ギコはMDの操縦技術もCQCも射撃も何から何まで万能にこなせる奴だ。しかも上手い、強い」

ξ゚听)ξ「前大戦のエースと言われるだけあるって思ったわ。あの人は本当に凄い」

('A`)「だがな、当時は性格に難があって俺達はかなり苦労したんだ」

ξ;゚听)ξ「性格に難が?あの大尉が?」

ドクオの告げる言葉にツンデレは驚きを隠せない。
彼女の知っているギコ=ラインハルトという人物は常に余裕があり、部下思い、頼りになる、上官としての理想を具現化した、そんな男であったからだ。

('A`)「生真面目すぎてな…規律に口うるさいし、それに熱血馬鹿で、納得いかなけりゃ上官にも喰ってかかった。よーく上と衝突するから大変だったんだぜ」

202 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:46:39 ID:7U21tOKI0
ξ゚听)ξ「規律に口うるさいって…想像できないわ」

('A`)「今ではそんな事も無いだろうが、昔は集合時間に1秒でも遅れたらおもっきりぶん殴られたわ……おかげで奥歯ないしな」

ξ;゚听)ξ「……」

('A`)「まぁ、丸くなったって言うか、大人になったって感じだな」

('A`)「何だかんだでギコがいたから俺達は生き残る事が出来た。あいつは人をまとめるのが上手い。親分肌だしな」

('A`)「んで、ギコと並んでツートップだったのがジョルジュだ」

ξ゚听)ξ「ジョルジュ=ネームレス……」

('A`)「ギコも凄いが、正直ジョルジュはやばかった。俺達とは次元が違う存在だったよ」

首をゆるゆると左右に振り、ドクオは空を眺める。
空には雲ひとつなく無数の星が煌めいていた。
何所かであいつも眺めているのかな、ドクオは旧友の顔を浮かべながら一瞬思いを馳せた。

203 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 20:48:07 ID:7U21tOKI0
ξ゚听)ξ「やばいって?」

('A`)「チートだよ、チート。イカサマだ」

ξ;゚听)ξ「はぁ?イカサマって……」

('A`)「それ程能力が突出していたんだ。何をさせてもあいつの右に出る者はいなかった」

ξ゚听)ξ「そんなに凄いの?」

余りにも突飛な事を言うドクオにいまいち共感できず、ツンデレは疑心を隠すことなくドクオに問う。

('A`)「そうだな……ツン、お前MDのシミュレーター訓練、何日かかった?」

ξ゚听)ξ「えーと、確か8日かな?」

唐突なドクオの問いに疑問符を浮かべたままツンデレは答える。

('A`)「優秀だな。………ちなみにジョルジュは1日で慣らした」

通常、機装兵は適正試験の後にシミュレーター機で訓練を行い、その後に実機で訓練を行う。
優秀なものでもシミュレーター訓練は約1週間行われる。
ドクオの語る内容はツンデレにとって信じられない内容だった。

204 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 21:15:38 ID:7U21tOKI0
('A`)「な、チートだろ?そんで−」

ドクオ達の居る場所が僅かに震える。
その瞬間にドクオは会話を中断し鋭い目つきで遥か先を見据えた。

('A`)「ツン、昔話はまた今度だ。来たぞ」

ドクオは光学単眼鏡を取り出し倍率を上げて遥か先を観察する。
ツンデレもそれに倣い、光学双眼鏡で遠方の急カーブを眺める。
二人は遮蔽物から出来る限り身を出さないようにして眺め続けた。
その姿勢のまま数分が経つ。
地鳴りと砂煙と共にドクオ達が見つめる急カーブから現れたのはMDを中心とする混成機甲部隊だった。

('A`)「………視認範囲内でMD約60、戦車40、輸送トレーラー25……」

ξ゚听)ξ「……速度は情報部の推測範囲内」

('A`)「ツン、数が多い。MDのカウントを頼む」

ξ゚听)ξ「了解」

205 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 21:32:19 ID:7U21tOKI0
二人は言葉少なに連携をとりつつ暫くの間、ドクオ達は偵察を続けた。

('A`)「……ツン、西方面軍基地の現在の保有MDの数は?」

ドクオは暗い声でツンデレに尋ねる。

ξ゚听)ξ「…………演習用のMDを含めるなら約130機」

('A`;)「………こいつは…厳しいんじゃないか」

ξ゚听)ξ「……厳しいどころか」

視認範囲内、誤差は約10機前後と仮定。確認MD数217、戦車86………

ξ゚听)ξ「確実に落ちるわね……」

無機質な声音で淡々とツンデレが応える。

('A`)「ったく、どっからこんな戦力持って来るんだよ……」

206 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 22:10:38 ID:7U21tOKI0
ξ゚听)ξ「これはれっきとした侵略よね」

('A`)「っとに……つくづく思うが、戦争に魅入られてんのかな?」

ξ゚听)ξ「冗談にしては面白くないわ」

('A`)「そりゃすまんな」

ツンデレと言葉を交わしながら、ドクオは横に立て掛けていた多目的突撃銃を手に取る。

('A`)「こいつは多少無茶してもやらなくちゃならないなぁ」

ぼやきながらドクオは狙撃態勢をとる。
ブローニングポジション、所謂伏せ撃ちの体勢をとり、ドクオはスコープを覗いた。

('A`)「ツン、部隊中心輸送の輸送トレーラー部隊、分かるか?」

207 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 22:12:28 ID:7U21tOKI0
スコープ内の十字線に標的を重ねつつドクオはツンデレに尋ねる。

ξ゚听)ξ「敵部隊中央、数8の輸送トレーラー部隊確認。宜しいですか?」

すぐさまツンデレは光学双眼鏡で部隊を見る。

('A`)「上出来だ。部隊中央、並走トレーラー2台、右側」

ξ゚听)ξ「中央右。確認」

光学双眼鏡を覗きながらツンデレは復唱する。

('A`)「測距、風速風向、トレーラーの速度」

身動ぎ一つせずドクオはツンデレに問う。

ξ゚听)ξ「射程724メルト、1時方向より時速3マイル、トレーラー時速18マイル」

ツンデレは指示に従い、すぐさま報告する。

('A`)「了解」

208 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 22:24:51 ID:7U21tOKI0
ツンデレの報告を耳にし、ドクオはすぐさま調整に入る。
手に持つ多目的突撃銃の零点規正は600メルトに合わしている。
風速と風向、それとトレーラーの走る早さ、を計算し調整。
ドクオは息を止める。
狙うは燃料部分。
凄まじい集中力と緊張感が拮抗した直後にドクオは引き金を引いた。
ドクオとツンデレの耳を銃声が貫いた次の瞬間、スコープの向こうで赤く光り、直後に轟音と共にトレーラーが爆発する。

ξ゚听)ξ「目標の爆発、炎上を確認」

ツンデレは光学双眼鏡を覗きながら間髪いれずにすぐさま報告を入れる。

('A`)「最前方MDベーゲルと並走する左側トレーラー」

狙撃の成功に踊る心を強靭な精神力で抑えつけつつ、ドクオは次の標的へと照準を合わせる。

ξ゚听)ξ「並走左側トレーラー確認」

('A`)「測距、風速風向、トレーラー時速」

ξ゚听)ξ「射程465メルト、一時方向より3マイル、トレーラー停止」

209 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 22:46:10 ID:7U21tOKI0
どうやら後方での爆発で、トレーラーは走行を中止したようだ。

('∀`)「好都合だ」
次の瞬間には激烈な銃声が先程と同じように二人を貫く。
遅れて爆発音と赤い光源が視界に入る。

ξ゚听)ξ「目標の爆発を確認」

('A`)「これ以上は危ない。次で撤退する。中央炎上トレーラーの手前3台」

ξ゚听)ξ「トレーラー3台確認」

('A`)「右端の測距、風速風向」

ξ゚听)ξ「右端トレーラー、射程683メルト、一時方向より3.3マイル」

('A`)「了解」

ドクオは冷静に、慎重に、しかし臆病にならずに引き金を引き絞る。
続けてスコープを少し左に向け
発砲。
発砲。
リズミカルに3台のトレーラーが爆発、炎上する。

ξ゚听)ξ「トレーラー3台の爆発、炎上を確認」

内心の感嘆を抑えつつ、ツンデレは事務的に報告をする。

210 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/31(火) 22:49:29 ID:7U21tOKI0
('A`)「よし、撤退する。遅れるなよ」

自分の成果を確認する事も無くドクオは立ち上がり背嚢を背負いなおして素早く移動を開始し始めた。

ξ゚听)ξ「了解です」

すぐさまツンデレはドクオの後を追いかける。
ラインハルト隊の戦場神話の1つに敵歩兵2中隊を、たった5人のラインハルト隊でその進行を止めたというのがある事をツンデレは唐突に思い出した。
当時は馬鹿馬鹿しい誇張の戦果だと同期の者と一笑に付していたが、その噂は事実であるのだろうと場違いながら確信した。

先に先にと素早く移動するドクオの背中は必要以上にそっけなく、何も語らないがツンデレにはとても頼もしく感じられた。


−続く

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