68 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:47:42 ID:QU2cOa5o0
Act-3 序幕−終

狭いコックピットにハインリッヒを乗せたドクオは暗闇の中、勝手知ったる『トロル』のシステムを手際よく立ち上げる。
コックピット内が次第に明るくなる中、視線を左右に滑らし、計器類を素早く見やった。
徐 々に駆動音が大きくなる中、鎮座する機体を立ち上がらせつつ、計器類の数値が全て安全値を指している事を確認し、右手元のコンソールを操作する。起動形式 を、設定されてある行軍用の[低駆動]から近接戦闘用の[ハイマニューバ]へと変更させつつ操縦桿を引き、機体のバランスをとった。

从 ゚∀从「すげえな」
一切の余分なくトロルを操縦するドクオの動きを後ろから眺めていたハインは、感嘆の声を漏らした。

69 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:48:42 ID:QU2cOa5o0
('A`)「そうか?」
素っ気ない返答を返しつつ、ドクオは格納庫の奥に立て掛けられているMD用の装備へと機体を移動させ、大盾と軽機関銃をトロルに持たせる。

从 ゚∀从「いやいや、ベテランの機装兵も顔負けの起動の速さだ、うちの大尉以外なら皆褒めるよ」
ハインリッヒは手放しで称賛してくれるが、彼からすればこれ位は出来て当然の事だった。
現在、戦争の花形兵器であるMDはやって出来ない事はないが、既存の兵器では撃破は非常に困難だ。
高速で戦場を駆け巡り、あらゆる局地にも対応するように作られたこの巨大な人型兵器の相手できるのは同じMDだけだ。
そんなMDだが起動前は只の鉄塊。
いかに素早く戦闘状態に移行させるかが、MD搭乗者である機装兵の命題の一つだとドクオは思っている。

70 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:49:27 ID:QU2cOa5o0
('A`)「その大尉はすごいのか?」
ドクオは反論しそうになるが、純粋に称賛してくれる彼女に悪気を感じ、話題をすり替えた。

从 ゚∀从「ああ、ギコっていってな、真面目で頑固だが凄腕の機装兵だ。ラインハルトっていやぁ分かるか?」
彼女の口からさっきまで談笑していた友人の名前が出てくると、ドクオは内心驚きつつも平静を装った。

('A`)「あぁ、知ってるよ、昔一緒に戦った事がある」

从 ゚∀从「何だ、じゃあ説明する必要はないか、っと、地図を出してくれ」
そこで思い出したかのようにハインリッヒが言う。
ドクオはコンソールを叩き、周辺の立体地図を表示させると、彼女は現地点から北北東にある場所を指し示した。

71 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:50:21 ID:QU2cOa5o0
从 ゚∀从「ここだ。あたしにとって命より重要な資料がある。死んでも回収したい。」
切実さが篭る声でハインリッヒは訴える。

('A`)「分かった、全速で向かうよ」
それだけ言うと、ドクオは再び右手を閃かせ、コンソールを叩き、設定を弄る。
現在90%を指しているが、彼は構わずリミットを150%へと引き上げる。

[その設定変更はアドミニストレーターモードへの移行を要求します]

警告と共にその下部に認識IDと指紋要求欄が表示されるが、ドクオは一瞥もくれずに更にその下部にある空白に記憶してある8ケタの番号を打ち込んだ。

72 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:51:37 ID:QU2cOa5o0
[承認しました]

すると承認の表示がなされ、出力設定が150%へと変更される。
続いてトルク値も限界値まで引き上げた。

从;゚∀从「驚いた……そいつを知っているとは、あんた一体何者だ?」
急速にうねりを上げるエンジン音と共に、爆発的にトロルの移動スピードは跳ねあがる。
−本来、MD管理者設定は大抵、選任のメカニックスタッフが行うが、連続使用と現場における緊急性を考慮したトロルの開発者は、ちょっとしたお遊びのつもりで機装兵にも管理者設定を扱えるように8ケタのパスコードを設けた。
最も管理者設定の殆どが専門の知識を要する事と設定を弄ると操縦の要領が大きく変わる為、それを知っている者自体少なく、使用する機装兵士は彼を含め極少数しかいなかった。

73 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:52:21 ID:QU2cOa5o0
('A`)「彼女いない歴年齢のラウンジ民ですが」
軽口を叩きつつ、ドクオは周囲を観察する。既にあらゆる施設が炎上しており、一目で相当の被害が出ている事が分かった。

('A`)「そうだ、さっき『うちの』って言ってたけど、ギコと直接連絡取れる?」

从 ゚∀从「ああ、とれるぞ。」
ハインリッヒが指示するチャンネルと周波数に無線を変更している間に、トロルは目的地に到着した。

('A`)「こちら、ドクオだ、ギコ、聞こえるか?ん、このチャンネルであってんの?」
チャンネルを合わせ呼びかけるが、返答が無い。
トロルを座らせながら、コックピットハッチの開閉ボタンを押しつつ、ハインに尋ねた。
空気の通り抜ける音と共に重々しくコックピットハッチが開く。

74 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:53:03 ID:QU2cOa5o0
从 ゚∀从「合ってるから、これがラインハルト大尉直通の回線だ」
狭い搭乗室から抜け出したハインリッヒに向かって、ドクオは外部スピーカーで呼びかける。

('A`)「ハインリッヒ、掌に乗れ」

(,,゚Д゚)「ドクオ!?それにタカオカ博士」
ドクオがハインリッヒに指示を出すのと同時にギコから驚きの声と共に通信が入った。

('A`)「あー、あってんのな。じゃ、気をつけて」
器用にトロルの掌に移動したハインリッヒを素早く地面へと運び、彼女がトロルから少し離れた所で手を振るのに応えながらハッチを閉鎖し、再びトロルを起こした。

(,,゚Д゚)「どういう事だ?」
怒気を含んだ声音で、ギコはドクオに尋ねる。

75 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:53:55 ID:QU2cOa5o0
('A`)「ハインリッヒが0番格納庫に行きたいって言うからアッシーやっただけだ。」
ドクオはギコの本質的な問いを避け、事実を口にする。

(,,゚Д゚)「…馬鹿が……」
たった一言、ギコはそれだけを言う。
直後に轟音。
どうやら激戦のようだとドクオは理解した。

('A`)「いやいや、お前らが思ったより頼りにならないせいだぞ?後でもみ消してくれよ、大尉なら出来るだろそれくらい。で、ギコ、俺はどうしたらいい?」

(,,゚Д゚)「ふん、手を貸せ!」
−誓ってもいいぜ?お前は俺と一緒。戦争から離れられないさ−

いつだったか、酒場でジョルジュが笑いながら言った言葉を、ドクオはふと思い出した。

76 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:54:53 ID:QU2cOa5o0

 (,,゚Д゚)「気をつけろ、相手はあのショボン=バランタインだ」
アークナイトの刺突の一撃を、ギコは機体の上半身だけを捻らせ、半身で避ける。戦斧が機体が元居た位置を通過した瞬間、ギコの乗るクレイドに大きな衝撃が走った。すぐさま左上にある機体情報をすぐさま確認すると右肩部分が赤く点滅している。
機体の反応が間に合わず、くらったのだとギコは理解した。

('A`)「あのしょぼくれか、なら納得のやられっぷりだな。」

(,,゚Д゚)「ちなみに敵機はナイツ系の新型だ。同じ三世代と言えど初期型のクレイドでは手も足も出ん。」
ドクオの陰気な声に応えつつ、自機を後方へと退かせつつ、短機関銃を掃射させる。

77 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:55:36 ID:QU2cOa5o0
(,,゚Д゚)「機体は?」

('A`)「トロルだ」

(,;゚Д゚)「話にならんぞ…」

('A`)「やるだけやるさ、大尉殿と違って武器や状況を選べるほど俺は偉くないからな」

(,,゚Д゚)「相変わらずの皮肉屋だな。俺達、教導班の回線を教える、そちらを手伝ってやってくれ、無理はするなよ」

('A`)「了解っ」
ギコとドクオが連絡を交わしている間に、ショボンの乗るアークナイトは施設の壁面を利用し、三次元的な動きで銃弾を避けつつ巧みにギコ機へと接近してくる。

78 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:56:16 ID:QU2cOa5o0
(´・ω・`)「我が好敵手と言えども、やはりこの性能差を埋める事は出来ないか。残念だよ。さようなら、ラインハルト卿」

(,,゚Д゚)「ッッ、まずい!」

「教導班!!」
巨大な戦斧の腹で銃弾を受けつつ、肉薄してくるアークナイトに対し、更に後退するか接近戦を移動むか、ギコは一瞬、逡巡する。刹那、ギコ機への呼び掛けと共にアークナイトに銃撃の嵐が飛来した。

「良く粘ってくれた、後は俺達に任せろ」
ギコは横手から現れたMDを見る。

79 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:57:06 ID:QU2cOa5o0
『ハイクレイド』−自分の乗るクレイドの後継機。
それが5機高速で接近してきている。
機体性能はクレイドと比べるべくもないが、それでもアークナイトの足元にも及ばないだろう。

(,,゚Д゚)「オキノ大尉か、援護感謝する。だが相手はかなり手強い。俺もこのまま続行させてもらう」

「了解した。さっさと終わらして君の部下の援護に向かおう」
すかさず四機編成のハイクレイドとギコの乗るクレイドが銃弾をアークナイトに放つが、軽やかにショボンはかわした。

(´・ω・`)「嬲るのも飽きたし、当初の目的は達成したし、時間も時間だ。そろそろ全力で行かしてもらおうか」
ちらりとデジタル表示の時計に目をやったショボンはそう呟くと急速にギコらへと接近した

80 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:57:57 ID:QU2cOa5o0

( ^Д^)「ツン、邪魔だっ!射線上に入ってくるなよっ」
ξ゚听)ξ「はぁ?あんたがあたしに合わせなさいよ!!」

(;^Д^)「無理言うなよ」
ξ#゚听)ξ「そうね、なら一人一機抑えれば問題なしでしょ」

( ^Д^)「なんでお前はそう無茶苦茶なんだよ」
ツンの無謀ともとれる提案にプギャーは呆れた声を返す。

ξ゚听)ξ「何よ、男の癖にやる前から尻込みするの?」
(;^Д^)「そういう問題じゃな」

(*゚―゚)「二人とも、終わってからにしなさいっ」

81 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:58:41 ID:QU2cOa5o0
プギャーとツンが口論をしている最中にも戦闘は激化していた。
否、一方的に追い立てられていた。
三機のアークナイトは鮮やかな連係で中距離からプギャー機とツン機を追い込んでいく。プギャーとツンも何とか反撃するも、その全ての銃弾は大地を穿つだけであった。

( ^Д^)「しぃ姐、ちょっとまずいぜ、どうすりゃ」
ξ゚听)ξ「だから、一人一機ずつ各個撃破でいいじゃない!」

( ^Д^)「頭湧いてんのか?無理に決まってんだろうがよ」
ξ#゚听)ξ「なんですって!!あんたね」

(*゚―゚)「ツンちゃん!六時の方向、倉庫から来るわよ」

82 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 22:59:23 ID:QU2cOa5o0
同時に一機のアークナイトが倉庫を飛び越し、銃剣でツン機へと刺突を放つ。
間一髪その一撃に反応したツンはフットペダルを前方へと蹴りつけ、機体を後退させ回避する。すかさず突出してきたそのアークナイトにプギャーは反撃するが、すでにその場には居らず、再び物陰へと移動していた。

( ^Д^)「しぃ姐、このまま後退して増援と合流しよう。あいつらさっきまでは遊んでたのか、まるで動きが違う。捉えられない。」

(*゚―゚)「そうしましょう。各機Hラインまで後退、恐らくそこまで下がれば増援も到着しているはず。プギャー君、けん制お願いね。ツンちゃん下がるわよ、ビロード君聞こえてる?あなたも下がりなさい!」
しぃの指示を聞き、即座に四機は後退する。

83 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:00:18 ID:QU2cOa5o0
(´<_` )「合流するつもりか……だが、そう思い通りにいくと思っているのか?ヒート、右側からアタックをしかけろ、本気でいくぞ」
しぃ達の意図を察したオトジャ達は先程より苛烈な攻撃を加える。
必死に捌くプギャーだったが、オトジャ機の放つ銃弾が遂にプギャーのクレイドを捉える。

(;^Д^)「ちぃっ」
機体情報では軽機関銃を持つ右手が赤く点滅していた。
前腕を持って行かれた事を理解したプギャーは即座に胸部に備え付けられている機銃を放つ。
しかし、近接用の対人武器であるその機銃ではけん制にもならない。

ξ゚听)ξ「プギャー替わるわ!」
(*゚―゚)「大丈夫!?」

( ^Д^)「うるせぇ、お前はさっさと下がれ!しぃ姐、大丈夫だ」
プギャー機の状態を把握したツンは殿の後退を提案するが、自分よりも劣るツンが捌き切れるとは思えず、プギャーは怒声を返す。

84 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:01:16 ID:QU2cOa5o0
「あー、聞こえてるかー?」

右前腕を失ったバランスを懸命にとりながら回避と後退をこなすプギャーの耳に、その声は入った。
場違いではあるが、プギャーはふと、軍学校の眠たくなる歴史学の時間が近づいた時、この種の声音で、そう、やる気のなく悪態を付いていた事を思い出した。

(*゚―゚)「誰ですか?この回線は教導班の回線です。所属と階級を」

攻撃の手段を失ったギコ機へと援護射撃を行いながら、しいは詰問の口調で尋ねる。

「所属?そんなもんはない」
すぐさま同じ調子でやる気のない声が返ってくる。

(#゚―゚)「ふざけないで!!」
「ふざけてないさ、あんたらの敵じゃない。」
直後、後退するしぃ達と入れ替わる形で一機のMDが駆ける。
そのMD、トロルからフルオートで銃弾が横一文字に吐き出された。

85 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:02:45 ID:QU2cOa5o0
「ラインハルトは手が離せない。指示も出せないほど劣勢だ。ギコの代わりにはならんが、一瞬奴らの足を止める」
そう告げるとトロルは正面のアークナイト、オトジャ機へと猛襲を駆ける。

ξ;゚听)ξ「馬鹿っ」
いくらなんでも無謀過ぎる。
トロルにしては異常な速度ではあるが、そもそもの基本性能が圧倒的に違うのに真っ向から突撃するなんて。
そう思うツンの眼前で、トロルは銃床で自機の腰部を払う。
備え付けられている三つのハンドグレネイドが大地へと落下するよりも先に構えなおしたトロルは銃を乱射する。
そこからは一瞬の出来事であった。
正面のアークナイトはその射撃を回避しつつ反撃し、左右のアークナイトも射線をトロルへと集中させる。

86 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:04:14 ID:QU2cOa5o0
しかしトロルは左右の起動しているRBを不規則に止めることによりイレギュラーな回避運動を行い、三機の射撃を悉くかわした。
高速で交錯する瞬間、正面のアークナイトの銃撃がトロルの片脚を捉え、破壊する。
破壊されたトロルは転倒する瞬間に射撃を行っていた。
アークナイトはその射撃を跳躍してかわすが、トロルの射撃はその先にある、先程払い落したグレネイドを捉える。
グレネイド三つ分の爆風をもろに受けたアークナイトは機体のバランスを崩して着地する。
その動きに合わせ、左右のアークナイトも減速していた。
「トロルじゃこれが限界だ、すぐ後ろに増援が来ている。捕まるなよ」
その間に距離を稼いだしぃ達に投げやりな声がかけられ、通信が途切れた。恐らくは脱出したのだろう。

87 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:05:04 ID:QU2cOa5o0
( ^Д^)「良く分からねえがラッキーだ、援護に感謝しようぜ」

「教導班、遅れてすまない。200メルト後ろで防衛線を構築した。そのまま下がれ。」
かろうじて追撃を振り切っているしぃ達に朗報が入った。
彼らが胸を撫で下ろしたその時、赤い信号弾が夜空に瞬いた。

88 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:05:44 ID:QU2cOa5o0


(・∀ ・)「はぁー?撤退?今からだろうがよー」
銃剣でハイクレイドの搭乗部を串刺しにしつつ、またんきはその光源をちらりと見やる。

( ∵)「残弾も少ない、妥当だろう。というより、お前とヒートが施設を破壊した所で作戦は概ね完遂だ。」
こちらも三点射撃でハイクレイドのコックピット部分穿ちながら、ビコーズが諭した。

89 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:06:33 ID:QU2cOa5o0


(´<_`#)「ちっ、仕留めきれなかったか…」

( ´_ゝ`)「あのトロル良い動きしたなー、てかトロルとかまだ使えんだな、感心だわ」

ノパ听)「えーと、オトジャさん……」

(´<_` )「ん、直ちに撤退するぞ。」
再び追撃を開始しようとした刹那、夜空に瞬いた信号弾を見た各々はすぐさま撤退を開始する。

90 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:09:17 ID:QU2cOa5o0


(´・ω・`)「ゴキブリのようにわらわらやってきて、いい加減飽きたよね」
戦斧でハイクレイドを両断しつつ、呟く。ショボン機に集まってきたハイクレイドを8体撃破した所で彼は信号弾を打ち上げた。

(´・ω・`)「今回はこれで失礼。次に会うときは武運を祈りますよ、ラインハルト卿」
アークナイトの首を少し捻りつつ器用に手刀をきったショボン機はオープンチャンネルでギコへとそう語りかけると撤退を開始した。

91 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:09:59 ID:QU2cOa5o0


(,,゚Д゚)「よせ、追いつかん」
追撃をかけようとする友軍にそう呼びかけると、ギコは握ったこぶしを勢いよくコンソールに叩きつける。

(#,゚Д゚)「…ふがいない……」
部下の安否の確認すら忘れ一人歯を食いしばる。
精鋭とはいえ、たった六機に好いようにされた事がギコの兵士としての矜恃に大きな傷をつけていた。

92 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/06/29(火) 23:11:28 ID:QU2cOa5o0


('A`)「……ついてない……」
「黙って歩け!」

ヴィッパーが撤退し、ギコが嘆く中、ドクオは両手を拘束され、連行されていた。
片脚を破壊されたトロルからすぐさま脱出したドクオは、とりあえず身を隠すために基地施設へと走った。
すぐに施設の消火に赴いていた兵士達に発見されるが、頼みの綱の基地内見学許可証も何処かで落としてしまっていた為、不審に思ったラウンジ兵に拘束される形になっていた。


この日行われたVIP王国によるラウンジ西方面軍基地への奇襲作戦が、新たな戦乱の幕開けにるとはこの時、誰の知る由もなかった。

−続く−

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