3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:25:30.32 ID:7Ar2wntN0

主な登場人物

  本体:( ^ω^)ブーン
スタンド:(`0ω0´)ビートルズ
能力:フルボッコにする能力

  本体:('A`)ドクオ
スタンド:(-Ψ-)ニルヴァーナ
能力:触れたものを透明にする能力

  本体:ξ゚听)ξツン
スタンド:州σДσ)スリップノット
能力:いかなる物質をも縫い合わせる能力
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:28:01.65 ID:7Ar2wntN0
第六話「ブラザー・オブ・ラブ」

とある休日の昼下がり。
デレに求愛し見事玉砕した男、セントジョーンズ。
彼は確かに見た。

(;'e')「……」




( ´_ゝ`)「今日は良い日だな、太陽が気持ちいい」

(´<_` )「だな、アニジャ」





アニジャと共に談笑するオトジャの姿を―――。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:30:26.03 ID:7Ar2wntN0
VIP高校、食堂。

( ^ω^)「実に不可解ですお、そうは思いませんかお」

('A`)「思いません」

( ^ω^)「ではなぜ!なぜこんなにカーチャンのお弁当は美味しいのですか!」

('A`)「知らんがな……」

( ^ω^)「うンまーい!」

そう言ってブーンはガツガツと弁当をかき込んでく。
ドクオはそれを見ながらズルズルと月見そばをすする。

('A`)「まぁお前のカーチャンが料理上手なのは認めるよ」

( ^ω^)「ありがとだお、ドクオが褒めてたってカーチャンに言っとくお」

('A`)「おうおう」




(#'e')「ほんとだって!嘘じゃないんだよ!」




賑やかな食堂が一人の怒号で静まり返る。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:33:25.97 ID:7Ar2wntN0
( ;^ω^)「な、なんだお?」

('A`)「さぁ……あれって、デレに告白して完膚無きまでに振られた奴じゃないっけ?」

( ;^ω^)「あ、ほんとだお……確か、セントジョーンズ君だお」

('A`)「お前よく覚えてんなぁ」

( ^ω^)「人の名前を覚える事だけは自信あるお!」

('A`)「なんつーか、トラブルメイカーってああいう奴の事言うんだろうな」

( ;^ω^)「んー…違うとも言い切れないお……」

二人がセントジョーンズを見ながら会話していると、セントジョーンズが二人を見た。

('e')「……」

(;'A`)「ちょ、こっち見てんぞオイ……」

( ;^ω^)「う……ドクオが失礼な事言うからだお……」

(;'A`)「マジかよ、どんだけ地獄耳だよアイツ」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:35:58.60 ID:7Ar2wntN0
セントジョーンズが二人に物凄い勢いで近づいてくる。

('e')カツカツカツカツカツカツ!

( ;^ω^)「(き、来てるお!)」

(;'A`)「(ちょ、こええって!)」

('e')「君達ッ!!」

( ;^ω^)(;'A`)「はい!」

('e')「オトジャ君と仲が良かったよね!」

その言葉を聞いた瞬間、二人の顔色が変わる。

( ^ω^)「オトジャ……」

('A`)「……」

('e')「そうだろ!?」

( ^ω^)「……それがどうかしたかお?」

('A`)「……アンタさ」

('e')「見たんだよ僕はッ!」

ドクオの呟きはセントジョーンズの声にかき消された。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:38:43.63 ID:7Ar2wntN0
( ^ω^)「何を見たんだお?」

(;'e')「……」

なぜか黙り込んでしまうセントジョーンズ。
自分でもわかっているのだ、それが如何に不自然で、あり得ない事だと。

(;'A`)「大丈夫か?」

(;'e')「あぁ、大丈夫…」

額からとめどなく流れる汗をハンカチで必死に拭いながら一呼吸置いてセントジョーンズは口を開いた。

('e')「オトジャが……」




('e')「オトジャが、生きてるんだ…」




( ^ω^)('A`)「……え?」

意味がわからない。
オトジャが生きている?そんなわけはない。


オトジャは二年前に死んだのだから。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:41:28.14 ID:7Ar2wntN0
('A`)「……アンタさ、何言ってんだ?」

( ^ω^)「……」

(;'e')「わかってる、僕が変な事を言ってるのはわかってるんだ……
    でも、でも……本当に見たんだ……」

('A`)「アンタよぉ……」

(;'e')「違うんだ!本当なんだ!」

( ^ω^)「セントジョーンズ君、死んだ人は生き返らないお……」

(;'e')「本当、なんだ……」

('A`)「アンタしつこいぞ」

(;'e')「うっ……」

ドクオが静かに言い放った一言は大いに怒りを含んでいた。
それを察したのかセントジョーンズは言葉を詰まらせる。

( ^ω^)「(死んだ人は、生き返らないんだお…)」

ブーンは中学生の頃の事を思い出していた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:44:06.27 ID:7Ar2wntN0
中学三年生の夏休み。

(´<_` )「ブーン、この問題はだな……」

( ;^ω^)「うー、わかんないお……」

('A`)「無駄無駄、オトジャ諦めろって」

模試の成績が正月に穿き替えたパンツのように
残念な意味で清々しかったブーンのために急遽として勉強会が開かれた。

(´<_` )「あの体力馬鹿のアニジャだって俺が勉強を教えて高校合格させたんだ。
     ブーンだって合格させてみせるさ」

( ^ω^)「オトジャありがとだお!頑張るお!」

('A`)「はぁ…マンドクセ。
    ちげーよブーン、その公式はここをだな…」

( ^ω^)「なるほど!さすがドクオだお!」

('A`)「ったく」

( ^ω^)「皆で絶対VIP高校に行くお!頑張るお!」




(´<_` )「あぁ、俺を信じろ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:47:00.27 ID:7Ar2wntN0
その数日後だ、オトジャが交通事故で死んでしまったのは――。

だから、ありえない。
ありえないのだ。
ありえない事は起こらない。



ありえない事は”スタンド無しでは”起こり得ない。



( ;^ω^)「(まさか…スタンドが関係してるのかお…?)」

(;'e')「……すまなかった、もういいよ……」

( ;^ω^)「ま、待ってだお!セントジョーンズ君!」

('A`)(;'e')「え?」

( ^ω^)「どこでオトジャを見かけたか、詳しく教えてほしいお」

('A`)「おいブーン、お前まで何言って……」

( ^ω^)「いいから!教えてほしいお」

('A`)「……」

('e')「ブーン君、ありがとう……信じてくれて……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:49:38.62 ID:7Ar2wntN0
( ;^ω^)「こちらこそさっきは冷たくしちゃってごめんだお、それで?」

('e')「あぁ、えっと……僕がオトジャ君を見かけたのは昨日の夕方なんだ」

( ^ω^)「ふむふむ」

('e')「場所は、そうだな……えっと、工場だよ、なんだっけ……
   今は使われてないんだけど……えっと……」

('A`)「靴工場?」

('e')「あぁ!それだ!靴の製造工場だ!その近くで見たよ!」

( ^ω^)「オトジャは……何かしてたかお?」

('e')「いやぁ……ただ楽しそうにアニジャ先輩と話してただけだったよ……」

( ^ω^)('A`)「!!」

(;'A`)「(オトジャだけなら見間違いだと思ったが……兄貴までいただと……)」

( ;^ω^)「(やっぱり何かあるお……)」

('e')「僕が見たのはそれだけ……何か見てはいけないものを見た気がしてすぐにその場から
   逃げるように帰っちゃったんだ……聞かせておいて、こんなのでごめん……」

( ^ω^)「いやいや……」

('A`)「ありがとう、充分だよ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:52:16.82 ID:7Ar2wntN0
( ^ω^)「セントジョーンズ君が言ったようにブーン達はオトジャと仲が良かったお。
      だから二人でいろいろ調べてみることにするお、だおねドクオ?」

('A`)「あぁ、だからアンタも気にしないでくれ。なんかあったら教えるからさ」

('e')「あぁ、そうするよ……ありがとう」

セントジョーンズが少しだけ微笑んでそう言った。
何も進展はしていない、ただ聞いてもらい信じてもらったことで
セントジョーンズの重くのしかかっていた不安は払われた。

セントジョーンズが去った後、二人の顔付きは険しいものに変わった。

('A`)「……どう思う?」

( ;^ω^)「スタンドが関係していないとは思えないお……」

('A`)「だよな」

( ^ω^)「どうするお?もうアニジャ先輩に直接聞いちゃうほうが……」

('A`)「その先輩がスタンド使いだったら?」

( ;^ω^)「!」

('A`)「もし俺達を狙う悪意あるスタンド使いならどうする?」

( ;^ω^)「それは……」

('A`)「直接は危険だ」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:55:00.74 ID:7Ar2wntN0
( ^ω^)「じゃあどうするお?」

('A`)「そりゃお前……あれだ、尾行」

( ;^ω^)「尾行なんてブーン出来ないお!」

('A`)「大丈夫大丈夫、いざとなったらニルヴァーナで透明にしてやっから」

( ;^ω^)「でもニルヴァーナって人間はあんまり透明には出来ないんだお?」

('A`)「人間っていうか”動くもの”な。例えば机とか動かない物ならかなりの時間透明にしておけるけど
    人間やら動きのある物に関しては動きの激しい物ほど透明にしておける時間が短いんだ」

( ^ω^)「なるほど……」

('A`)「まぁ透明にした物は俺にも見えなくなるからあんまり使わないようにしたいところだけどな」

( ^ω^)「わかったお!ブーンの力で見事尾行を成功させてみせるお!」

('A`)「どう考えても失敗フラグなわけだが、まぁいいか。頼むぞブーン」

( ^ω^)「任せるお!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 21:57:46.14 ID:7Ar2wntN0
放課後。

('A`)「おーし、じゃあ尾行実行するぞ」

( ^ω^)「ラジャー」

('A`)「まずは先輩を探さねーとな、靴箱でさりげなく待ってようぜ」

( ^ω^)「ラジャ!」

('A`)「ノリノリで大変よろしい」

二人はそういって靴箱へ向かった。
ブーンは意気揚々と先頭を切って歩いていく。

( ^ω^)「ドクオ急ぐおー!」

('A`)「おい、ブーンあんまり急いでっと……」

ブーンは曲がり角に差し掛かったところで丁度そこから人が現れた。

(;'A`)「おいブーン!危な」

ドン!

( ;^ω^)「あいたた……」

ドクオの警告も虚しく曲がり角で思い切り人とぶつかってしまう。

( ;^ω^)「うぅ、すいませんでしたお……」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:00:13.80 ID:7Ar2wntN0
ぶつかった人に謝罪しながらブーンが顔を上げる。

( ´_ゝ`)「いや俺こそすまんすまん。うっかりエロいことを考えていた。大丈夫か?」

( ;^ω^)「あー!」

不意のアニジャ登場にブーンは思わず声を上げてしまった。

(;'A`)「(こいつ…馬鹿!)」

( ;^ω^)「(し、しまったおーー!)」

( ´_ゝ`)「”あー”って、どうかしたのか青年?」

( ;^ω^)「……」

( ;^ω^)「いー!うー!えー!おー!」

(;'A`)「(えええー!)」

( ´_ゝ`)「なんだ…ただの五十音の練習か…」

そう言って何事も無かったかのようにアニジャは自分の靴箱へと向かっていった。

(;'A`)「……」

( ;^ω^)「ふぅ……」

( ^ω^)「発想力の勝利!!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:02:57.54 ID:7Ar2wntN0
(;'A`)「頭の中が大勝利だよ先輩もお前も」

( ^ω^)「あ、そんなことよりドクオ、今……」

('A`)「ほらほら!もう先輩靴箱にいんだぞ、急げ!」

( ;^ω^)「あ、了解だお!」

すぐさま二人も靴を履き替えてアニジャの動向を伺う。

( ´_ゝ`)「……」

( ^ω^)「何事も無く靴箱を後にし校門へ向かっていますお隊長」

('A`)「よし、じゃあ付かず離れずで行くぞ」

( ^ω^)「ラジャ!」

校門を出ていくアニジャの後を二人は10mほど距離を空けながら尾行を開始した。

壁|ω^)「ドクオ、尾行ってなんだかワクワクするお」

壁|A`)「わからんでもない」

アニジャは二人に気付くことなく一人歩いていく。

壁|ω^)「隊長、アニジャ先輩に不審な点は見当たりませんお」

壁|A`)「馬鹿者、油断するな」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:05:52.59 ID:7Ar2wntN0
そしてアニジャの足取りを追ううちに二人はある事に気付いた。

壁|ω^)「このまま行くと……」

壁|A`)「あぁ、靴工場に向かってるな……」

そして二人の予期した通り、アニジャは靴工場の前で止まった。
靴工場はバブル期に建てられた四階建ての大型工場で
主にスポーツシューズを製造する工場としてかつては多くのヴィプ王町の市民が
そこで働き、町は一層活気づいた。しかし不況の煽りを受け、
多くの企業が事業を縮小撤退する中、倒産。社長役員は一夜にして消え、
そこに残ったのはもう動く事のない工場だけだった。
解体される事もなく、塀にはツタが生い茂り、壁はひび割れ所々穴が空いている。
窓ガラスは割れ、只でさえ冷たいコンクリートを更に冷やしていた。

そんな工場の前でアニジャは立ち止っている。

( ´_ゝ`)「……」

壁|ω^;)「……」

壁|A`;)「……」

二人は思わず息を呑んだ。

もしも、万が一、ひょっとしたら……会えるかもしれない。
もしも、もしかしたら、また一緒に笑って、話して……。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:08:40.56 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「すまんな、待たせて」

靴工場に向かって言葉を発するアニジャ。
工場の中はブーン達のいるところからは塀が邪魔をして中を伺うことは出来なかった。

壁|ω^)「誰かに、話しかけてるお……」

壁|A`)「くそ、遠くてよく聞こえないな……」

( ´_ゝ`)「すまんなずっとこんなところに居させて。寒かったろ?」

「―――。」

( ´_ゝ`)「はははw そりゃそうか」

壁|ω^;)「うー、聞こえないお……」

壁|A`)「誰かと話してるのは間違いない……誰だ……」

( ´_ゝ`)「さ、行こうぜ」

「―――。」

( ´_ゝ`)「大丈夫、俺が何とかしてやるよ」

「―――。」

( ´_ゝ`)「俺が喧嘩で負けたことあるか?」

「―――。」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:11:27.29 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「母者とのあれは喧嘩では無い、ノーカンだ」

「―――。」

( ´_ゝ`)「ほら、さっさと出てこいよ」

壁|ω^;)「……」

壁|A`;)「……」

すると工場の中から見覚えのある人影が姿を現した。

壁|ω゚;)「あ……あ……」

久しぶりに見るその人は全くあの頃と何も変わっていない。

壁|A`;)「嘘だ……」

今だけは素直にその事だけを二人は思った。

( ´_ゝ`)「ほれ行くぞ」

( ´_ゝ`)「”オトジャ”」



(´<_` )「あぁ、そうだな」


アニジャの横に立つ男は見間違えようもないオトジャその人だった。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:13:45.82 ID:7Ar2wntN0
( ; ゚ω゚)「オトジャ!!」

( ´_ゝ`)「!!」

気付けばブーンは隠れることもなくオトジャに向かって叫んでいた。
尾行なんて言葉はもう頭のどこにも残っていない。
ドクオも静かに壁から離れ二人の前に姿を現した。

(;'A`)「オトジャ、どうして……」

( ;´_ゝ`)「お前らどこから……オトジャ!逃げろッ!」

(´<_` )「わかった」

オトジャはアニジャに言われるがままにその場から走り去ろうとする。

( ; ゚ω゚)「オトジャ待つお!」

走り去ろうとするオトジャの元に必死に駆けるブーンだが、尾行で距離を取っていたせいか
一向にオトジャには追い付かない。

( ; ゚ω゚)`0ω0´)「ビートルズゥゥ!!」

(´<_` )「!」

ビートルズがブーンから飛び出しオトジャの腕を掴もうと手を伸ばす。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:16:10.38 ID:7Ar2wntN0
(´<_` )「くっ!」

バシン!

ビートルズの伸ばした手はオトジャによって払いのけられた。

( ; ゚ω゚)「え……」


”スタンドに触れられるのはスタンドだけ”


ブーンは思わず一瞬足が止まってしまった。
あれはオトジャでは無いのか?
やっぱりスタンド、なのか。
でもあれはオトジャなのだ、もし違っても今追いかけている背中はオトジャだ。
ブーンにはそう思えた。

( ; ゚ω゚)「オトジャ!待つお!」

ブーンは再びオトジャを追いかけた、今度は立ち止ることは無かった。

( ; ゚ω゚)「オトジャー!なんで逃げるんだお!!」

(´<_` )「……」

必死に追いかけ話しかけるブーンからオトジャは無言で逃げ回った。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:18:42.72 ID:7Ar2wntN0
必死のブーンは次第にオトジャとの間を詰めていく。

(´<_`; )「くっ……」

それを背中で感じ取って焦ったのか、オトジャは何度も曲がり角を曲がって
ブーンを引き離しにかかる。

( ; ゚ω゚)「オトジャ!なんで!」

商店街に入り、人混みの中をオトジャは強引に人にぶつかりながら通り抜けていく。
ブーンもオトジャを見失わないことに必死で人混みを掻き分ける。
その二人に商店街にいる人々は当然のごとく冷たい視線を浴びせかける。
そこでブーンの頭にまた一つ疑問が生まれた。

みんながオトジャを見ている。

そうだ、そういえばセントジョーンズもオトジャを目撃したのだ。

スタンドはスタンド使いにしか見えない。
そしてスタンドに触れられるのはスタンドだけ。

その矛盾がブーンの頭を一瞬で埋め尽くす。
しかしブーンは止まらなかった。

そのまま商店街を潜り抜けてもまだ二人の追走劇は終わらない。
オトジャはそのままその先にあったデパートの中に入っていった。

( ;^ω^)「亀友デパート……またあんな人の多い所に!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:21:26.28 ID:7Ar2wntN0
それを追うようにブーンもデパートの中に入っていく。
中は夕飯の食材を買い求める主婦や学校帰りの学生で埋め尽くされ
ここでオトジャを見つけることは困難を極めた。
しかしブーンの決意はその程度では揺らぐものではない。
すぐさま近くにいた女の人に声を掛けた。

( ;^ω^)「すいません!これくらいの背丈で何かから逃げるようにして
     走ってた僕くらいの歳の男の子見かけませんでしたかお!?」

身振り手振りで必死に特徴を伝えようとするブーン。

('、`*川「あぁ、その子ならさっきエレベーターで上にあがっていったわよ?」

( ;^ω^)「ほんとですかお!!ありがとうございますお!」

ブーンはすぐさまオトジャを追ってエレベーターで上の階を目指した。

('、`*川「……」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:24:00.36 ID:7Ar2wntN0
そして工場前にはオトジャとドクオの二人が対峙していた。

('A`)「スタンドに触れられるのはスタンドだけ……」

( ´_ゝ`)「……」

('A`)「あれはオトジャじゃねぇ……スタンドだ……」

( ´_ゝ`)「……オトジャだよあれは」

('A`)「違う!」

( ´_ゝ`)「オトジャだ」

('A`)「俺はアイツとは友達だった!あれはオトジャじゃねぇ。
    オトジャはブーンを置いて逃げるような奴じゃねぇんだ!」


( ´_ゝ`)「俺はアイツの兄貴だッ!!」


(;'A`)「ッ!」

( ´_ゝ`)「ハァ……」

( ´_ゝ`)「……もういいよ、青年……オトジャを信じないんだな……」

('A`)「違う。オトジャを信じてるから俺はあのオトジャを信じねぇ」

( ´_ゝ`)「来いよ、青年に見せたいものがある……」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:26:28.71 ID:7Ar2wntN0
('A`)「あ?」

( ´_ゝ`)「オトジャの秘密、知りたいだろう?」

('A`)「……」

アニジャは頑なにオトジャだと言った。
もしかしたら本当にオトジャ本人なのだろうか。
スタンドに触れられるくらいどうでもいい事、なのか?
オトジャが戻ってきたのならそれでいいじゃないか。

ドクオの頭の中は理性と理想が混在していた。

( ´_ゝ`)「来いよ、知りたくないのか?」

(;'A`)「……」

ドクオは黙ってアニジャの後を歩き、工場の中へと入っていった。
中は外よりも寒く、壁は穴とヒビだらけで置き去りにされた機械は
一目で故障していると分かるほどに廃びれていた。

( ´_ゝ`)「……よし」

広い工場の奥、長いベルトコンベアーのある場所でアニジャは止まった。

(;'A`)「秘密ってのは……」


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:29:06.73 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「あぁ、秘密だ」

(;'A`)「あ?」

( ´_ゝ`)「オトジャの秘密は秘密だ……でも見せてやる」

( ´_ゝ`)「ドラァ!!」

(;'A`)「!」

突如としてアニジャがドクオに殴りかかった。
ドクオは反射的にのけぞったがアニジャの拳が頬をかすめドクオは尻もちをついた。

( ´_ゝ`)「よォーく見ておけ青年!ここがお前の死に場所だ!!」

(;'A`)「くっ!てめぇ!やっぱり敵か!!」

( ´_ゝ`)「あァ!?敵はお前らだァ!!」

軽快なステップでドクオの元に追撃の拳が振り下される。

('A`)-Ψ-)「ニルヴァーナ!!」

ガシィィン!

( ;´_ゝ`)「なっ!」

ニルヴァーナの腕がアニジャの拳を完全に防いだ。

('A`)-Ψ-)「ニルヴァーナが見えてるな……やっぱりアンタもスタンド使いか!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:32:39.47 ID:7Ar2wntN0
('A`)-Ψ-)「無駄ァ!」

今度は逆にニルヴァーナの拳がアニジャの顔面へと打ち出される。

(#´_ゝ`)「ぐおぉ!」

ニルヴァーナの拳をモロに受けたアニジャは後ろに吹き飛び壁に叩きつけられた。

('A`)-Ψ-)「出せよ……アンタのスタンド」

(#´_ゝ`)「ぐぅ……」

('A`)-Ψ-)「無駄だァ!」

壁伝いに立ち上がるアニジャに追撃の拳が降り注がれた。

(#´_ゝ`)「うぉぉぉぉ!」

('A`)-Ψ-)「なっ!?」

アニジャはその拳に自ら突っ込んでくる。
体でラッシュを受けとめながらそれでも止まる事はない。

(#´_ゝ`)「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

(;'A`)「!!」

アニジャの全力疾走から放たれた右ストレートがドクオの顔面を的確に捉えた。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:35:11.56 ID:7Ar2wntN0
( A )「かはっ!!」

ドクオの体は先程のアニジャのように吹き飛び、今度は逆に壁に叩きつけられた。
一瞬、あまりの衝撃に意識が頭の中から飛び出しそうになる。
視界が真っ白に染まり、ドクオは咄嗟にニルヴァーナで前方をガードした。
時間にしてはほんの数秒ではあったが、この無防備の瞬間は
ドクオにとっては途方も無く肝を冷やす時間だっただろう。
そして徐々に鮮明になっていく視界、それに伴ってドクオの全身の力が抜けていく。
なぜならアニジャが消えていたからだ。

(;'A`)「ぐっ……はぁ…はぁ…ど、どこにいった……!!」

ニルヴァーナで消したわけではない。
逃げられたのだ。
その事にどこか安堵を覚えながらもドクオはアニジャを探した。

(;'A`)「敵なんだ……逃がすわけにはいかない……!」

一階にはコンベアーと機材があるだけで人が隠れられるような場所は無い。

(;'A`)「上に逃げたか……」

(;'A`)-Ψ-)「フゥ……」

ニルヴァーナで警戒しながら慎重に階段を上っていく。
一段一段を踏みしめながら確実に、先程のような事はもう許されない。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:37:49.42 ID:7Ar2wntN0
二階はオフィスになっていた。
階段を上ると目の前にある一本の廊下を挟んで左右に幾つもの個室が並んでいる。
しかしどの部屋の壁にも大小細かな穴が空き、所々扉は壊れていた。
ドクオはさらにゆっくりとした足取りで廊下を歩き出した。

その時、先程登って来た階段から物凄い勢いで誰かが上がってくる足音がした。

(;'A`)「ッ!!」

すぐさまその音の方に向き返りニルヴァーナで足音の主に備えた。

( ;^ω^)「ドクオ!!」

階段を登り顔を出したのは予想だにしていなかった人物、ブーン。

(;'A`)「ブ、ブーン!?」

( ;^ω^)「大丈夫かお!?」

(;'A`)「おまっ、オトジャはどうした!」

( ;^ω^)「見失ったお……で、敵は!?」

(;'A`)「あ、あぁ!気をつけろ!先輩は敵だ!」

( ; ゚ω゚)「ほ、ほんとかお!?」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:40:26.38 ID:7Ar2wntN0
(;'A`)「あぁ……ん?ブーンお前、なんで俺が戦ってるって……」

( ^ω^)「早いな」

(;'A`)「!」

( ^ω^)「ドラァ!!」

ドクオに向けられたブーンの拳を構えていたニルヴァーナが何とか受けとめた。

( ^ω^)「チッ!」

(;'A`)-Ψ-)「ブーンお前……!」

( ^ω^)「……」

一方その頃の亀友デパート。

( ;^ω^)「うぅ……見当たらないお……」

ブーンはオトジャを探して二階を隅々まで探し回った。
しかしオトジャはどこにもいない。

( ;^ω^)「亀友デパート5階建て……全部探すしかないお!!」

エスカレーターに乗り込んで3階を目指しながらブーンはドクオの事を考えていた。

( ;^ω^)「ドクオ、今頃アニジャ先輩と一緒かお……
      多分大丈夫だとは思うけど……」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:43:06.31 ID:7Ar2wntN0
靴箱の前でアニジャとぶつかった時にドクオに言いかけたアニジャへの違和感。

( ;^ω^)「アニジャ先輩、なんだか凄く”軽かった”んだお……」

ぶつかった時、小さな子供にぶつかったのかと思うくらいに衝撃が軽かった。
その事だけがブーンの中で引っかかっていたが、まさか二人が戦っているなど夢にも思わず
今はオトジャの捜索を最優先に考えた。



場所は戻って靴工場。

(;'A`)-Ψ-)「ブーン!なんでだ!」

( ^ω^)「ブーンじゃない」

(;'A`)「?」

(´_ω^ )グチャ

(;'A`)「ッ!?」

ブーンの顔が歪んでいく。
人とは思えぬ造形にまで変形していくその光景はこの世のものとは思えぬおぞましいものだった。

('、`*川^)グチャグチャ…

(;'A`)「何者だ、お前……!!」

( '<_ )「俺だよ……」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:45:54.44 ID:7Ar2wntN0
次第に変化していく顔は見覚えのあるものへと変わっていく。

(´<_` )「俺さ……ドクオ」

(;'A`)「オト、ジャ……」

幾つもの顔に変化したそれはオトジャの顔を作りだした。

(;'A`)「ブーンは!?お前を追っていったブーンはどうした!!」

(´<_` )「さぁな」

(;'A`)「くっ!」

「それが――」

ドクオの背後で声がした。
ドクオが振り返るとそこにはアニジャが立っていた。

( ´_ゝ`)「それがオトジャの秘密だ」

(;'A`)「どういう事だ……」

( ´_ゝ`)「オトジャは俺の弟ってことさ、なぁオトジャ?」

(´<_` )「だな、アニジャ」

(;'A`)「誤魔化すな!」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:48:29.67 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「誤魔化しちゃいないさ……」

( ´_ゝ`)「青年、兄弟ってのは何だと思う?」

(;'A`)「……」

( ´_ゝ`)「それは”繋がり”だ。血肉すらも兄弟のためなら惜しまない。
      恋人のように愛や、親友のように絆なんてものは求めない。
      なぜならそれは元々にして持ちえているからだ」

(;'A`)「……」

( ´_ゝ`)「オトジャが俺の前に現れた時はまだオトジャでは無かった。
      だから俺の肉を与えたんだ、俺の肉がオトジャをオトジャにした」

(;'A`)「何を……言ってる……」

( ´_ゝ`)「俺の体の半分をオトジャに分け与えたって言ってるんだ。
      青年のソレ、なんて言ったっけ……スタンド?」

(;'A`)-Ψ-)「……」

( ´_ゝ`)「オトジャはそんな感じだった、魂だけの存在だ。
      しかし俺の血肉を分け与えた事でオトジャは帰って来た」

(;'A`)-Ψ-)「スタンドに自分の肉を与えた……?」

(´<_` )「それが俺の能力だ、ドクオ」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:51:06.91 ID:7Ar2wntN0
(´<_` )「アニジャの肉を纏い、それを自在に変化させる能力」

( ´_ゝ`)「オトジャはオトジャだが……スタンド、か……それも面白いな」

(;'A`)「肉を纏っているスタンドだからスタンド使いじゃない人間にも見えて、スタンドにも触れられる……」

( ´_ゝ`)「オトジャ、スタンドとしての名前を決めてみないか」

(´<_` )「そういうの本当に好きだなアニジャ」

(;'A`)「そんなの反則だ……」

( ´_ゝ`)「反則?反則か……気に入った」

(´<_` )「酷い事を言うなぁドクオ」

( ´_ゝ`)「だが反則では無い、反則ギリギリのスタンドだ……レッドカードでは無い」

( ´_ゝ`)「なぁ、”イエローカード”」

(´<_` )「反則ギリギリのイエローカードか、いいセンスだなアニジャ」

( ´_ゝ`)「だろ」

(;'A`)-Ψ-)「……」

ドクオを無視して悠長に会話する兄弟。
ドクオの事を忘れているわけでも話に夢中になっているわけでもない。
既に勝利を確信しているのだ。
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:54:47.76 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「さて……」

(;'A`)ビクッ!

( ´_ゝ`)「名前も決まったところだし、青年……」

( ´_ゝ`)´<_` )「続きをしようか」

(;'A`)-Ψ-)「う、うおおおおお!」

二人に向けてドクオはニルヴァーナでラッシュを仕掛ける。

(´<_` )「ドクオ、俺達には勝てないッ!!」

(´<_` )「ドラララララララァ!!」

オトジャがニルヴァーナから飛び出したラッシュを全てラッシュで受け止める。
ニルヴァーナの拳は全て弾かれた。

(;'A`)-Ψ-)「なっ!」

( ´_ゝ`)「俺を忘れてないかー青年?」

いつの間にアニジャが距離を詰めドクオの目の前に立っている。
ニルヴァーナはオトジャとの戦闘でドクオの近くには居ない、無防備。

( ´_ゝ`)「ドラァ!!」

( A )「がはぁ!!」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 22:57:42.31 ID:7Ar2wntN0
どてっ腹に鋭い一撃が突き刺さる。
ドクオは思わず地面に倒れ込んだ。

( ´_ゝ`)「オトジャと青年のスタンドのパワーは互角ってところか……」

(´<_` )「ふむ、そのようだ」

( ´_ゝ`)「だが俺と青年の差は一目瞭然のようだな」

(´<_` )「だな」

( ´_ゝ`)「流石だな俺達」

(´<_` )「だなアニジャ」

(;'A`)「ハァ…ハァ…(ブーン、いやツンにも連絡を……)」

( ´_ゝ`)「立て青年、そして大志を抱け」

(´<_`; )「え?」

( ´_ゝ`)「言ってみたかったんだ、スルーしてくれ」

(´<_` )「OK」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:00:36.35 ID:7Ar2wntN0
兄弟がまた話し出したのを聞きながらドクオはその間、うずくまりながら頭を回転させた。

(;'A`)「(ダメだ……悠長に連絡なんて取ってる暇はねぇ……俺一人で乗り切るしか無ぇんだ……)」

(;'A`)-Ψ-)「(これを、ニルヴァーナ……)」

そしてドクオはゆっくりと立ち上がった。
それを見て兄弟も会話をやめドクオに意識を集中させた。

( ´_ゝ`)「青年、次はもっと痛いぞ」

(;'A`)「あ!」

( ´_ゝ`)「!」

ドクオはアニジャのはるか後ろにまで続く廊下の先を指差し声を上げた。

カラァン……

すると廊下の奥で何かが落ちる音がした。

(;'A`)「馬鹿!隠れてろ!!」

( ´_ゝ`)「仲間か!オトジャ!」

(´<_` )「わかってる」

オトジャが音のした所へと駆けていく。
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:03:11.27 ID:7Ar2wntN0
ピロリロ…ピロリロ…

(´<_` )「!」

音がしたところから聞こえる電子音、携帯電話の着信メロディ。

( ´_ゝ`)「気をつけろオトジャ!」

(´<_` )「わかっている!」

オトジャは音に完全に気を取られ、アニジャはオトジャに気を取られていた。

(;'A`)-Ψ-)「今だ!ニルヴァーナァァ!!」

( ;´_ゝ`)「しまっ……!」

ニルヴァーナのラッシュが油断していたアニジャに数発ヒットする。
不意をつかれたアニジャは後方に吹き飛んだ。

(´<_`; )「アニジャ!!」

バキッ!

アニジャのピンチに駆け付けようと踵を返したオトジャはその時何かを踏みつけた。

ピロリロ…ピロ…

何かが壊れる音と共に鳴り止む電子音。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:06:09.59 ID:7Ar2wntN0
(´<_` )「な、なんだ……?」

アニジャは辺りを見渡すがドクオの仲間はおろか、踏んだ物すら見当たらない。

(;'A`)「(今のうちに逃げる!)」

ドクオは更に上の階、3階を目指した。
1階では無く3階へ。
逃亡では無く、勝利のための前進。

( ;´_ゝ`)「ぐぅ……クッソ……」

(´<_` )「アニジャ!大丈夫か?」

( ´_ゝ`)「あぁ……油断した……」

三階に到着したドクオ。
三階も四階も二階同様に個室が並ぶオフィスになっている。

(;'A`)「クソ……俺の携帯電話……機種変したばっかりだったのに……」

ドクオはアニジャの攻撃を受け、ただうずくまっているだけではなかった。
うずくまりながら携帯電話でブーンにワンコールして電話を切っていたのだ。
そして携帯を透明にし手の中に忍ばせ、驚く演技で廊下の奥を指すと共に携帯を投げる。
ブーンは良いタイミングでかけ直して来てくれた。
これでドクオは自身の異変をブーンに知らせると共に、ブーンの安否を確認し
なお且つあの危機的状況を脱することが出来た。

(;'A`)「面と向かって勝つのは無理だ……考えろ俺……」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:10:53.08 ID:7Ar2wntN0
ドクオはひとまず近くの部屋に入った。
廊下では階段から上がって来た二人に丸見えですぐに追撃されてしまう。その事を恐れた。

(;'A`)「よし、これだけ壁に穴が空いてりゃ通れる……」

ここも二階同様に壁には大小穴が空いていて
スマートなドクオがなんとか通り抜けられるサイズの穴も見受けられた。

カツンカツン……

(;'A`)「!」

階段をゆっくり登ってくる二人組の足音。

( ´_ゝ`)「オトジャ、右を頼む」

(´<_` )「あぁ、アニジャは左の部屋を頼む」

二人で分担して一つ一つ部屋をしらみ潰しに探していく算段のようだ。

(;'A`)「(好都合だ……)」

ドクオは音を立てないように静かに穴を使って奥へ奥へと部屋を移動していった。

ドクオの数個後ろの部屋の扉の開く音が聞こえる。
そして聞き覚えのある声。

( ^ω^)「ドクオー、どこにいるんだおー?」

(;'A`)「(ブーンの声!?もう駆け付けてきてくれたのか?)」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:13:43.89 ID:7Ar2wntN0
しかしドクオは大きく首を横に振りながら考え直した。

(;'A`)「(あの二人がいるってのにあんな悠長なわけがねぇ……あれはオトジャだ……)」

( ^ω^)「ドクオ!騙されちゃダメだお!さっきのは偽物だお!」

(;'A`)「!?」

( ^ω^)「今のブーンは本物だお!」

(;'A`)「(本物?本当にブーンか?)」

( ^ω^)「ドクオ!あの二人は今二階に下りてったお!今のうちにあの二人を倒すお!」

(;'A`)「(なんで下りる理由があるんだよ……下手くそな嘘つきやがって……)」

( ^ω^)「ほんとなんだお!信じてくれお!」

(;'A`)「(偽物だ!でも……もし本当なら……今が最大のチャンス……)」

( ^ω^)「ドクオー!」

('A`)「……ブーン!」

いくつも穴が空いている部屋はお互いの位置はわからくても部屋の隅々までよく声が通った。
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:16:14.42 ID:7Ar2wntN0
( ^ω^)「ドクオ!?今どこだお!」

('A`)「メール見て来てくれたのか!」

( ^ω^)「だから駆け付けてきたんだお!!」

(;'A`)「!」

(;'A`)「(くっそぉぉぉ……!オトジャめ……!!)」

無論ドクオはメールなど出していない。
ブーンは偽物、オトジャだ。

( ^ω^)「……ドクオ?」

ブーンの問いかけにドクオが答える事は無かった。

(´<_ω^)「ちっ……カマをかけられたか……」グチャグチャ…

(´<_` )「しかしこれでドクオはブーンを呼んでいないことがわかった……」

( ´_ゝ`)「……」

一つずつ部屋を見て回る兄弟。
次第にそれはドクオのいる部屋へと迫っていた。
そしてドクオのいる部屋の隣の扉が開かれた。
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:19:13.23 ID:7Ar2wntN0
ドクオは自分自身を消すことは出来ない。
なので万が一にも壁の穴から自分が見えないよう細心の注意を払い
息を殺しながら壁にへばりつくようにして隠れた。

心臓の鼓動で周りの音が聞こえない。
そう錯覚するほど心臓が緊張で高鳴っている。

(´<_` )「……」

オトジャがドクオのいる部屋の隣を見渡していた。
勿論そこには誰もいない。
そしてオトジャはその部屋を後にし扉を閉めた。

(;'A`)「(今だ……戻る!)」

ドクオはオトジャが隣りの部屋から今いる部屋に向かうところで
再び穴から今来た道を引き返し隣りの部屋へと移動し始めた。
これで二人はドクオを完全に見失う。

(;'A`)「……」

そして隣りの部屋に移動したドクオは先程いた部屋の様子を壁越しで伺った。

バタァァンッ!

(;'A`)ビクゥッ!

その時”ドクオのいる部屋”の扉が物凄い勢いで開かれた。

(´<_` )「わかってるよ、そんな浅知恵……」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:23:04.86 ID:7Ar2wntN0
(;'A`)「くっ!」

(´<_` )「いたぞアニジャ!」

( ´_ゝ`)「わかった!」

遠くでアニジャの声がした。
もうすぐここへ向かってくる、もう躊躇している時間は無い。

(;'A`)-Ψ-)「ニルヴァーナ!」

(´<_` )「俺とソイツのパワーは互角だって言っただろうッ!」

再びお互いの拳がぶつかり合う。
しかし今度は違った。


(;'A`)-Ψ-)「透明になれ……!」


(´<_`:;.:... 「なっ……」

接触した拳から腕、体、そして顔と透明になっていくオトジャ。

( ´_ゝ`)「青年!これで終わりだな!」

駆け付けてきたアニジャが見たのはオトジャのいないドクオだけがいる部屋。

( ;´_ゝ`)「オトジャ!?オトジャどこだ!」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:26:57.88 ID:7Ar2wntN0
「俺はここだアニジャ!」

( ;´_ゝ`)「ど、どこだ!?」

     「奴のスタンドは相手を透明にする能力だ!」

(;'A`)-Ψ-)「遅ぇんだよ!ニルヴァーナ!壁をぶち抜けッ!」

     「逃がすかぁ!ドララララァ!」

(;'A`)-Ψ-)「ぐおぉぉ!無駄無駄無駄ァ!!」

背後から見えないオトジャからの追撃を浴びながらドクオはニルヴァーナのラッシュで壁をぶち抜いた。
ニルヴァーナのパワーはさほど強力ではないが、ヒビ割れ老朽化していたのが幸いし、ニルヴァーナの
ラッシュでも充分に壁をぶち抜き退路を確保する事が出来た。

ドクオは背後からの追撃を浴びながらもぶち抜いた穴から一目散に部屋を脱出し
振り返る事無く階段へと向かった。

( ´_ゝ`)「待てぇッ!」

ドクオを追いかけようとアニジャが息まいたその時。

     「待てアニジャ!」

( ´_ゝ`)「どうした?」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:29:59.94 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「お!」

(´;...:::;.. .「少しずつ見えるようになってきた、万全を期そう」

( ´_ゝ`)「……そうだな」

(´<_;.... 「頭の良い男だ……舐めてかかると足元を掬われる……」

( ´_ゝ`)「あぁ、分かれるのはダメだな、二人がかりで確実に行こう」

(´<_` )「だな」



(;'A`)「ハァ…ハァ…ぐっ……!」

なんとか逃げることは出来たが追撃で受けたダメージは余りに大きかった。
少し体が揺れるだけで骨が軋む。
そしてドクオはなんとか力を振り絞り四階に辿り着いた。
もう後は下る事しかできない。
事実上、退路は断たれてしまった。

(;'A`)「考えろ考えろ考えろ考えろ……!」

ドクオはこれまでの事を思い返した。
自分自身の限界、環境、全てを考え直す。
全てを駆使しなければあの兄弟は倒せない。
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:32:38.37 ID:7Ar2wntN0
(;'A`)「(なんで逃げなかったんだ俺……!)」

突如として襲ってくる焦燥感からの後悔。

(;'A`)「(なんで下りずに登っちまったんだ俺は……)」

だが違う。

(;'A`)「(……俺が階段を下りる時はアイツらをぶっ倒した時だけだッ!)」

ドクオはそれを乗り切る精神力を持っている。

カツーン…カツーン…

再びドクオの耳に聞こえてくる二人の靴音。
その靴音は絶望へのカウントダウンにも聞こえた。

(;'A`)「……!」

( ´_ゝ`)´<_` )「警戒しながら一つずつ部屋を探すぞ……」

兄弟が一番手前にあった部屋の扉を開く。
その部屋は他の部屋に比べ、幾分か広く感じた。
そして部屋の真ん中にドクオが立っていた。

( ´_ゝ`)「青年、かくれんぼは終わりか?」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:35:25.67 ID:7Ar2wntN0
(;'A`)「ハァ…ハァ…終わりだ……」

(´<_` )「立っているのもやっとってところだな」

( ´_ゝ`)「確実に仕留めるぞオトジャ」

(´<_` )「だな」

(;'A`)-Ψ-)「ぐぅ……正真正銘、最後だ……」

( ´_ゝ`)「?」

(;'A`)「俺はもう逃げも隠れもしねぇ……」

(´<_` )「逃げも隠れも出来ないの間違いだろう?」

( ´_ゝ`)「そう言ってやるな、青年は最後に男を見せようとしているんだ」

(´<_` )「それで勝てれば苦労はしない」

( ´_ゝ`)「まぁその通りだが」

(;'A`)-Ψ-)「フゥ…フゥ…」

ドクオはニルヴァーナで前方をガードしたが、それはどこか頼りなく見えた。
息をするのも苦しそうなドクオの足腰は極度の疲労から小刻みに痙攣している。
限界。それは誰が見ても明らかだった。

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:38:37.19 ID:7Ar2wntN0
( ´_ゝ`)「行くぞオトジャ」

(´<_` )「だな」

( ´_ゝ`)「油断も手加減もしないぞ!うおおおおおおおッ!!」

兄弟が同時にドクオに向かってくる。
ドクオと兄弟の距離は一瞬で縮まり、兄弟の拳がドクオへと放たれる。

(;'A`)-Ψ-)「くっ……!!」

ドゴォォンッ!

(# _ゝ )「ぐはっ!?」

( <_ #)「うごっ!!」

殴る事はおろか、二人はドクオに接触も出来ずに何かと激突した。

(;'A`)-Ψ-)「ハァ…ハァ…”俺は”逃げも隠れもしねぇ……気付かなかったのか?」

(;'A`)「この部屋に扉が”二つ”あることに」

( <_  )「まさか……この部屋、は……」

見えない何かに激突し、ズルズルと地面に滑り落ちながらオトジャは呟いた。

(;'A`)「そうだ……ニルヴァーナで部屋と部屋を隔てている壁を透明にした……!」

(;'A`)「この部屋は一つじゃない……部屋は二つあった!!」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:42:05.90 ID:7Ar2wntN0
兄弟とドクオは隣りの部屋同士、壁を挟み会話していたのだ。
壁には無数の穴が空き、声がよく通るため気付けない。

(#´_ゝ`)「ぐぉぉぉ……!!」

アニジャが見えない壁に手を付きながら咆哮する。
不意の一撃というものは想像以上のダメージを生み出す。
アニジャはそれを乗り越えるため、自分を奮い立たせているのだ。

(´<_`#)「ぐぅぅぅ!!」

オトジャもそれに応えるように咆哮し、立ち上がる。

('A`)-Ψ-)「無駄だ!無駄無駄ァ!!」

(´<_`#)「俺とお前のスタンドの力は互角……!忘れたかぁ!!」

('A`)-Ψ-)「ニルヴァーナァァァァ!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

(´<_`#)「うおおおお!!全て打ち落とすッ!!」

(#´_ゝ`)「うおおおおおおお!!」

オトジャもアニジャもドクオと同様に最後の力を振り絞り拳を繰り出す。
しかしダメージを負ったばかりの二人の拳よりもドクオの一撃がスピードで勝った。

ビシッビシビシッ……!!

(´<_`; )「!!」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:45:07.54 ID:7Ar2wntN0
ニルヴァーナのラッシュによって見えない壁がけたたましい音と共に崩壊する。

ドゴォォォォォンッ!!

砕け散った見えない壁は”見えない弾丸”となって兄弟へと撃ち込まれる。

( ;´_ゝ`)「うおおおおおお!!」

(´<_`; )「ドララララララァッ!!」

オトジャは必死にニルヴァーナのラッシュを打ち落とした。
しかし”見えない弾丸”を防ぐ術を兄弟は持ち得ていない。
弾丸は兄弟に容赦なく突き刺さった。

('A`)-Ψ-)「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

(## _ゝ ) <_ #)「ぐっ、ぐぎゃあああああああああ!!」

部屋のど真ん中から兄弟は一気に壁際まで吹き飛び、床に崩れ落ちた。

(;'A`)-Ψ-)「ハァ…ハァ…」

ドクオも最後の力を振り絞り、地面に力無く座りこむ。

(##´_ゝ`)「ぐ……ぐぅ……」

地面に崩れ落ちたアニジャが痛々しく体を震わせながらドクオのほうを睨みつけた。

(;'A`)「まだ、動けんのか……」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:47:58.85 ID:7Ar2wntN0
ドドクオも一応は出来る限りの臨戦態勢を取ったがもはや一歩も動く力は残っていなかった。

(´<_`##)「う……ぐぅ……」

地面に伏していたオトジャがアニジャのほうに手を差し出しながらなんとか動こうと力を振り絞っていた。

(;#´_ゝ`)「(クソ……もう、一発のパンチを打つ余力も残っていない……)」

(´<_`##)「アニ、ジャ……」

ドクオには聞こえない程度の蚊の鳴くような声でオトジャはアニジャを呼んだ。
しかしそれはアニジャの耳には十分なほどに響いた。

(##´_ゝ`)「…?」

(´<_`##)「そこの窓から……逃げ、よう……」

オトジャの視線の先にはガラスの貼られていない窓というよりは穴のようなものがあった。
かろうじてそれを窓と認識できたのは真四角にかたどられていたからだろう。

(##´_ゝ`)「馬鹿野郎……ここは四階だぞ……」

(´<_`##)「わかってる……でもその窓の下の地面には除去された雑草が積まれているはずだ……
      アニジャなら……大丈夫、いけるさ……」

(;'A`)「ハァ…ハァ…」

(##´_ゝ`)「オトジャ、お前は?」

(´<_`##)「俺は、もうすぐ消えそうだ……大丈夫、アニジャの精神が回復すれば……俺は戻れる……」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:51:13.14 ID:7Ar2wntN0
(##´_ゝ`)「オトジャ……俺のせいだ、すまん……」

(´<_`##)「今逃げれば次がある……次こそアイツを倒そう……その前に肉を返すよ……」

(##´_ゝ`)「……あぁ!絶対だ!」

オトジャの手がアニジャに触れるとオトジャの姿が薄くなった。
肉を受け取ったアニジャが叫び力強く立ち上がるのを見てオトジャは微笑み、そして消えた。

(;'A`)「!」

(##´_ゝ`)「青年、俺はもう戦う力は無い……今回はお前の勝ちだ……」

('A`)「……」

(##´_ゝ`)「だが次は俺達、流石兄弟が勝つ」

('A`)「やめろ、無駄だ……」

(##´_ゝ`)「じゃあな!!」

アニジャはそう言って勢いよく窓に向かって飛び込んだ。

('A`)「無駄なんだよ無駄無駄……」

バコォンッ!!

(##_ゝ(#)「ふべっ!?」

('A`)「そんなところに窓は無ぇよ」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:54:15.33 ID:7Ar2wntN0
言葉無くズルズルと崩れ落ちるアニジャに向かってドクオは続けた。

('A`)「前もってニルヴァーナでそこの壁を”部分的に”透明にして窓を作った」

('A`)「人ってのは成長する生き物だ、過去にすがるアンタに俺は負けたりしない」

('A`)「それに……」



('A`)「イエローカードに二度目は無ぇんだよ」




意識の無いアニジャの元へドクオが足を引きづりなら歩み寄る。

('A`)「オトジャ、頭の良いお前なら気付くと思ってたよ……窓の下に雑草が積み上げられてる事」

('A`)「最後の策だけはお前をオトジャって信じてやったんだぜ……」



('A`)「おかえり、オトジャ……」



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 23:57:52.91 ID:7Ar2wntN0
そういってドクオは仰向けに倒れた。

(;'A`)「ぐはぁ……もう動けねぇ……ブーンまだかよ……おっせぇな……」

丁度その時外から声が聞こえた。

( ; ゚ω゚)「ドクオォォォォォーーー!!」

そう叫び続けながら一目散に工場内へ入っていくブーン。

(;'A`)「またオトジャじゃねぇだろうな……」

ブーンは叫びながら徐々に階を上がっていく。
そして四階のドクオのいる部屋の扉が勢いよく開かれた。

( ; ゚ω゚)「ドクオオオオオオオッ!!」

('A`)「よう」

仰向けに寝ながら片手を上げるドクオ。
そしてそのすぐそばで気絶しているアニジャ。

( ; ゚ω゚)「ふ、二人で喧嘩でもしたのかお?」

(;'A`)「あぁ〜…お前本物だな」

( ; ゚ω゚)「え?」

('A`)「フゥ……何でも無ぇ」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:02:08.20 ID:9T3Fu/eZ0
ドクオは事の顛末をブーンに話した。

( ; ゚ω゚)「じゃあオトジャは……アニジャ先輩の、スタンド……?」

('A`)「あぁ、そういう事だな……」

( ´_ゝ`)「違、う……」

(;'A`)( ;^ω^)「!」

(;'A`)「どんだけタフなんだアンタ……」

頬を地面につけながらアニジャは二人を見ていた。

( ´_ゝ`)「オトジャはスタンドじゃない……オトジャなんだ……」

('A`)「死んだ人間は生き返らないんだよ……」

( ´_ゝ`)「違う!生き返る!!」

( ^ω^)「ブーンだってオトジャに生き返って欲しいおッ!!」

( ´_ゝ`)「……!」

( ;ω;)「でも……でも……」

('A`)「……アンタはなんで俺達を狙う?
    アンタもスタンドがいるってだけで戦ってておかしいと思わないのか?」

( ´_ゝ`)「何を言ってる……尾行までして先に狙ったのはお前らだろう……」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:06:01.84 ID:9T3Fu/eZ0
( ;^ω^)「え、いやそれは……」

(;'A`)「……じゃあなんでオトジャを逃がしたんだよ」

( ´_ゝ`)「見つかって変な噂を流されると困るからだ。
      死んだ人間がうろついているなんて言えば、馬鹿な奴らがオトジャを
      見世物のように扱うだろう、そんなこと俺が許すと思うか?」

(;'A`)「俺達がそんなことするわけねーだろ!オトジャは親友だ!」

( ´_ゝ`)「……そうなのかもしれない。
      だが今は俺だけがアイツを守ってやれるんだ。
      誰が敵でも俺だけはオトジャの味方なんだよ」

兄弟愛という言葉を口にするのは余りに容易く、もろい。
しかしアニジャの言葉には重みと意志が感じられた。
死別した兄弟と再会するという奇跡、アニジャはそれをもう二度と逃したくはないのだ。

(´<_` )「……アニジャ」

( ´_ゝ`)「オトジャ!!」

アニジャに寄り添うようにしてオトジャが現れた。
姿形はボロボロで何とか精神を振り絞り現れたといった状態だった。

( ´_ゝ`)「良かった……戻ってきてくれたか……」

(´<_` )「アニジャ……」

( ´_ゝ`)「なんだ?」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:09:01.70 ID:9T3Fu/eZ0



(´<_` )「俺は、スタンドだよ……」



( ´_ゝ`)「何言ってる……お前はオトジャだ!そうだろう!!」

(´<_` )「アニジャの肉を借りてオトジャの形をしているだけなんだ……」

( ´_ゝ`)「馬鹿言え……お前は昔の俺達の事だって覚えてたじゃないか!!」

(´<_` )「それは、アニジャの精神の具現化だからだ……」

( ´_ゝ`)「嘘だ嘘だ、そんなわけない……お前はオトジャだ」

(´<_` )「すまない、アニジャ……」

(  _ゝ )「……」

( #´_ゝ`)「うるせええええええええ!!」

(´<_`; )「!」

(;'A`)( ;^ω^)「!」

( #´_ゝ`)「お前は俺の弟だ!誰が何と言おうとお前が違うと言おうと!
      お前は俺のたった一人の弟なんだよ!!」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:11:47.89 ID:9T3Fu/eZ0
(´<_` )「……」

( #´_ゝ`)「フゥ…フゥ…」

(´<_`; )「……」

( #´_ゝ`)「……わかった、もういい……」

(´<_`; )「ごめんアニジャ……」

( ´_ゝ`)「どうしても弟じゃないって言い張るなら……」



( ´_ゝ`)「今日から俺の弟になれオトジャ」



(´<_` )「!……アニジャ……」

( ´_ゝ`)「今日から俺とお前は兄弟だ!どうだ!名案だろう!!」

( <_  )「……」

(´<_` )「……あぁ、名案だな」

( ´_ゝ`)「あぁ!流石だろ?」

( <_  )「だな、アニジャ……」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:15:06.03 ID:9T3Fu/eZ0
そういって寄り添う二人は誰が見ても兄弟そのものだった。

( ;ω;)「うぅ……」

('A`)「……つまりアンタ達は敵じゃないんだな?」

( ´_ゝ`)「あぁ、敵ってのがよくわからんがお前達を狙う意味はもう無い」

( ^ω^)「じゃあ仲間だお!ブーンもドクオもオトジャもアニジャ先輩も!」

( ´_ゝ`)「喧嘩して仲間か……最高に青春だな!」

( ^ω^)「青春ですお!!」

('A`)「ほんと単細胞な二人だ、そう思わないかオトジャ?」

(´<_` )「あぁ、全くだなw」

('A`)「オトジャ……俺達は仲間、信じていいんだな?」

( ^ω^)「……」




(´<_` )「あぁ、俺を信じろ」



( ; ゚ω゚)('A`)「!」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:18:12.63 ID:9T3Fu/eZ0
( ; ゚ω゚)「今……オトジャ……」

('A`)「あぁ、あれはオトジャだよ誰が何と言おうと……」

廃工場の窓から外を見渡すと外はすっかり赤く染まり、工場内も徐々に闇が落ちていた。

( ´_ゝ`)「痛てて……じゃあそろそろ帰るか……オトジャ、家帰るぞ?」

(´<_` )「え?いいのか?」

( ´_ゝ`)「何言ってんだ、兄弟なんだから帰る家は一緒だろう」

(´<_` )「でも……」

( ´_ゝ`)「母者びっくりして死んじまうかもしれないなw」

(´<_` )「死なれては困る」

( ´_ゝ`)「あぁ、その通りだ。じゃあブーンにドクオ、また明日学校でな」

( ^ω^)「はいだお!」

('A`)「ういっす」
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 00:20:59.85 ID:9T3Fu/eZ0
('A`)「……よし、俺らも帰るか」

アニジャとオトジャが帰るのを見送りながらドクオが言った。

( ^ω^)「うん!」

その日、一つの家庭に普段より一人分多く食事が並んだ。


第六話「ブラザー・オブ・ラブ」終わり。


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. <   To Be Continued... | |
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(´<_` )イエローカード(Yellowcard)
能力:本体(アニジャ)の肉を分け与えてもらい、
    その肉を使って自由自在に姿形を変える能力。
    本体の肉を使用するためスタンド使い以外にも
    視認する事が出来る。

    一応アニジャはイエローカードと名付けはしたがオトジャと呼ぶことにしているようだ。
    オトジャ自体がスタンドなのかオトジャの魂が宿っているのかは誰にもわからない。


 アメリカ出身のロックバンド。
 メンバーの中にヴァイオリニストがいるという事でも有名。
 代表曲「Ocean Avenue」など

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