4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:05:31.73 ID:NpEkyIxy0
主な登場人物

  本体:( ^ω^)ブーン
スタンド:(`0ω0´)ビートルズ
能力:?

  本体:('A`)ドクオ
スタンド:(-Ψ-)ニルヴァーナ
能力:触れたものを透明にする能力

  本体:ξ゚听)ξツン
スタンド:州σДσ)スリップノット
能力:いかなる物質をも縫い合わせる能力

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:07:17.17 ID:NpEkyIxy0
第五話「幸福への条件」

学校の食堂、昼休み。

( ;^ω^)「……」

ブーンはそわそわしながら辺りをキョロキョロと見渡していた。

('A`)「落ち着けって」

( ;^ω^)「なんでドクオはそんなクールでいられるんだお…」

ドクオは落ち着きの無いブーンを尻目に、かけそばをすすっている。

('A`)「自分に言い聞かせてんだよ、焦って何になる?」

( ;^ω^)「それはそうだけど…誰かがブーン達の命を狙ってるんだお!?」

('A`)「わーってるよ、でも敵も馬鹿じゃない。こんな白昼堂々は襲って来ないさ。」

( ;^ω^)「うー…」

('A`)「だからってモララーの時みたいに一人でのこのこと接触したりはするなよ?
    落ち着いて、気を引き締めろ。」

( ;^ω^)「……」

( ^ω^)「…わかったお、ふぁ…ふぁっくしょん!」

('A`)「んお、なんだブーン風邪か?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:09:37.73 ID:NpEkyIxy0
('A`)「おいおい、スタンド使い以前に風邪にやられてちゃ世話ないぜ?」

( ;^ω^)「それもそうだお…気をつけるお…」

('A`)「(…にしてもモララーめ、マンドクセーこと植え付けやがって…)」


   (# #∀・)「何にも言わねぇ…言ったら俺は、殺される…」


(;'A`)「(俺達が苦戦したあのモララーを簡単に殺せる奴が俺達を狙ってるってことだろ…クソ…
    俺達が何をしたってんだ…あーあ、鬱だ死にたい…)」

( ^ω^)「―クオ!ドクオ!」

('A`)「ん、あ?すまん、聞いてなかった…」

( ;^ω^)「いや、大した話じゃないからいいんだお、大丈夫かお?」

('A`)「あぁ、全然大丈夫だ。話ってなんだ?」

( ;^ω^)「あー、えっと、ブーンの数学のテストが31点だったから足りないのが69点で
      69ってなんかエロいよねって話だお。」

(;'A`)「今世紀最大のどうでもいいだな…お前急に落ち着き過ぎだろ…」

ξ゚听)ξ「何の話?」

そんな二人の元へ、ツンがお弁当を持参して話しかけてきた。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:12:07.92 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「え!?い、いや!こ、今世紀最大の…事件は何かなって話してたんだお!」

('A`)「そうそう」

ξ゚听)ξ「21世紀なんて始まったところじゃない、まぁでも個人的な事件でいえば…」

そう言いながらブーンの横の席へ腰を下ろす。

( ;^ω^)('A`)ξ゚听)ξ「スタンド…」

( ;^ω^)「ですおねー…」

('A`)「まぁツンがいりゃ安泰だけどな…」

ξ゚听)ξ「なんでよ」

( ^ω^)「ワカッテマスもモララー先輩もツンが倒したようなもんだお」

ξ゚听)ξ「まぁそうかもしれないけど私のスリップノットは攻撃は全然ダメだから」

( ^ω^)「そうなのかお?」

ξ゚听)ξ「えぇ、パンチしても壁に穴はおろかヒビも入らないわね」

('A`)「んーまぁ純粋な破壊力ではビートルズが一番だろう。
    …ブーン、ノート貸してくれ。」

( ^ω^)「ん?はいだおー」

ドクオはブーンからノートを受け取ると適当なページを開いて何かを書き始めた。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:14:59.74 ID:NpEkyIxy0
('A`)「Cを人間レベルとして…」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「おぉ〜…」

('A`)「で、次は…」

ドクオはぶつぶつと呟きながらノートに文字を書き殴っていく。

ξ゚听)ξ「…よくもまぁ、そこまで分析してたわね」

('A`)「まぁな、よしこんなもんだろ」

( ^ω^)「見せてだお!」

ニルヴァーナ
破壊力-C スピード-B 射程距離-C
持続力-B 精密動作性-C 成長性-B


スリップノット
破壊力-D スピード-C 射程距離-10mくらい
持続力-A 精密動作性-A 成長性-C


ビートルズ
破壊力-B スピード-A 射程距離-C
持続力-C 精密動作性-C 成長性-A

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:17:49.94 ID:NpEkyIxy0
ξ゚听)ξ「成長性っていうのは?」

('A`)「あー、スリップノットはもう完成されてると言ってもいいからな。
    これに関しては希望的観測って感じ、だな…」

ドクオの視線がブーンの方へと移る。

('A`)「……」

( ;^ω^)「ん、なんだお?」

('A`)「…いや、頼りにしてるぜ特攻隊長」

( ^ω^)「! 任せるお!」

そして暫しの昼食タイム。

ξ゚听)ξ「はぁ…嫌になるわ」

お弁当の中の卵焼きを箸でつかみ取りながらツンがそう呟いた。

('A`)「どうしたんだ?」

ξ゚听)ξ「うちのクラスってモララーのファンが多くてね、モララーが入院したのを聞いて
      朝っぱらから落ち込んで、泣いてる子もいるのよ…信じらんない…」

('A`)「で、少なからず罪悪感を抱いてると?」

ξ゚听)ξ「別に罪悪感は抱いてないけど、気分の良いものではないわね」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:20:18.86 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「ツンが落ち込むことないお」

ξ゚听)ξ「デレまで落ち込んでるし…」

('A`)「ん、デレもモララーのファンだったのか?」

ξ゚听)ξ「いや、そうじゃないけど…んーそうだったのかな…」

( ^ω^)「?」

('A`)「一緒に帰るほどの仲なのにいい加減だな」

ξ゚听)ξ「別に…一緒に帰ることになったのはここ数日だけよ。
      学校ではたまに話してたけど、ただのクラスの友達の一人。」

('A`)「なんだ俺達はてっきり、なぁ?」

( ^ω^)「うん、親友だと思ってたお」

ξ゚听)ξ「そこまでじゃないわ…いろいろ相談受けててね」

('A`)「へぇ…」

( ^ω^)「……」

デレの相談内容には大いに興味はあったが二人は聞くことが出来なかった。

ξ゚听)ξ「あ、そういえば数学のテスト何点だったの?」

('A`)「なんだよ急に」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:22:51.97 ID:NpEkyIxy0
ξ゚听)ξ「数学で欠点出だった人は補習あるみたいだから聞いてみただけ」

( ;^ω^)「えっ」

('A`)「俺は84点だよ」

ξ゚听)ξ「あら、ドクオなら90点台は固いと思ってたけど意外ね」

('A`)「暗記物は好きだけど計算は途中でマンドクサくなんだよ…」

ξ゚听)ξ「へー」

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「そっかー84点かー」

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「へー」

(;'A`)「(聞いてほしいんだな…)何点だったんだ?」

ξ゚听)ξ「え、91点だけど?」

(;'A`)「(うぜええええええ)」

ξ゚听)ξ「あ、ブーンは何点だったの?」

( ;^ω^)「……」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:25:47.85 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「31点…」

ξ゚听)ξ「……」

ξ;゚听)ξ「…そ、そう…」

ξ;゚听)ξ「…あれよね…の、残りの点が69点ってちょっと卑猥よね…」

(;'A`)「(…お前らの思考回路どうなってんだ)」

放課後、案の定ブーンは同じく数学で欠点を取った同級生達と共に補習を受けることになった。

( ´∀`)「いやー、はっはっはw 今回は満点は難しくても
      欠点は出ないように作ったつもりだったんですけどねーw」

( ;^ω^)「……」

( ´∀`)「というわけで今回は補習者も少ないので二年と三年は合同で補習を受けてもらいますので」

そうして10分もしないうちに教室には二年と三年の生徒十数名が集まり席を埋めた。

( ´∀`)「えーそれでは各自配ったプリントを終わらせた者から帰宅して下さい。」

( ´_ゝ`)b「OK!俺に任せて下さい!」

皆が暗い雰囲気で補習を受けようとしている中、親指を突き立て自信満々に答える生徒が一人。

( ^ω^)「(あ、確かあの人は…アホで、いや陽気で有名なアニジャ先輩だお…)」

( ^ω^)「(そしてオトジャの…)」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:28:24.96 ID:NpEkyIxy0
( ´∀`)「はっはっはw 任せた結果が、この補習なわけですが、
      相変わらず愉快ですねアニジャ君は、はっはっはw」

( ´_ゝ`)「褒めても飴は出てきませんよ先生!」

( ´∀`)「いやーそれは残念ですねぇw」

( ´_ゝ`)「そういえば先生!もしこの補習のプリントが欠点だったらどうなるんですか?」

( ´∀`)「んー、考えていませんでしたしねぇw …明日も補習、ですかねぇ。」

( ;^ω^)「…」

( ´_ゝ`)「それに気付いた俺に点数10点追加というのはどうでしょう!」

( ´∀`)「んーそうですねぇ…ダメ、ですねw はっはっはw」

( ´_ゝ`)「さすが聖職者!よっ、先生の鑑!」

( ´∀`)「いやーアニジャ君はお上手ですねーw」

( ;^ω^)「(開始まだかお…)」

( ´_ゝ`)「……先生、早くして下さい。」

( ´∀`)「いやーはっはっはw すいませんすいませんw ではスタートで。」

( ^ω^)「(よーし!どれもテストでやった問題だお!頑張るおー!)」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:30:58.54 ID:NpEkyIxy0
―5分経過。

( ^ω^)「(ろくご30!)」

―10分経過。

( ^ω^)「(16×55は…)

( ;^ω^)「(に、28!)」

―15分経過。

( ;^ω^)「(…パス。)」

―20分経過。

( ^ω^)「(あー、カレー食べたいお…)」

―25分経過。

( ^ω^)「(ナンで食べたいお、ナンで。)」

―30分経過。

( ;^ω^)「(完全に終わったお…悪い意味で…)」

ピピピピ…

30分が経過したところでモナー先生の腕時計のアラームが鳴った。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:33:26.82 ID:NpEkyIxy0
( ´∀`)「はい、ここまでー」

( #´_ゝ`)「うおおおおお!この俺のド低能めがああああッ!!」

自分の頭を机に幾度となく打ちつけながらアニジャは絶叫した。

( ´∀`)「えーと、それでは採点して明日お伝えいたします。
      ここでも欠点だった方は明日も補習となります。」

補習者の机を周りながらモナーが答案用紙を回収していく。

( ´∀`)「と、言いたいところですが答案用紙を見たところ…ブーン君とアニジャ君。
      明日も補習のようですねぇ、飴をあげるので明日も頑張りましょう。」

( ;^ω^)( ;´_ゝ`)「はい…」

補習を終えたブーンは、もらった飴を握りしめて校門へと向かっていた。

( ;^ω^)「はぁ…明日も補習かお…」

そんな事を呟きながら肩を落として校門をくぐる。
そこでブーンは思わず立ち止まってしまった。

( ; ゚ω゚)「あ…」

ブーンの視線の先には一人の少女。

ミセ*゚ー゚)リ



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:36:19.74 ID:NpEkyIxy0
その少女の後ろに見えるのは…

ミセ*゚ー゚)リ Φ皿Φ]

( ; ゚ω゚)「スタンド…」

ランドセルを背負った少女はブーンには目もくれず、ブーンの前の道をただ歩いていた。
そんな少女が着ている制服は、近くの小学校のものであった。

( ;^ω^)「(て、敵かお…!?)」

しかし少女には敵意が全く感じられない。
どこからどう見ても、ただの登校中の小学生だ。

( ;^ω^)「(ドクオが言ってたように一人でスタンド使いと接触するのは危ないお…
      ここは、この子が気付かず通り過ぎてくれればそれが一番だお…)」

少女がブーンの目の前を通り過ぎ、そのまま去っていくだろうと思ったその時。


[  Φ皿]


[Φ皿Φ]


( ; ゚ω゚)「ッ!?」

スタンドだけがブーンのほうを振り向いた。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:38:48.88 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「オ前、私ガ見エテルナ」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

スタンドの声を聞いて驚いたように少女もブーンのほうを振り向く。

( ;^ω^)`0ω0´)「ビートルズッ!」

ミセ*゚ー゚)リ「あ!」

少女はブーンが繰り出したビートルズに恐怖するでもなく嬉しそうな顔で指差し言った。

ミセ*゚ー゚)リ「一緒!ミセリと一緒!」

( ;^ω^)`0ω0´)「お?」

ミセ*゚ー゚)リ Φ皿Φ]「ミセリはね、ミセリって言うの!よろしく!この人は…」

[Φ皿Φ]「みざりーびじねす」

ミセ*゚ー゚)リ「そ!よろしく!」

( ;^ω^)「よ、よろしくだお…」

場の雰囲気に流されて思わず呑気な挨拶を交わしてしまう。

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃん!友達になろ!」

( ;^ω^)「えっ」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:42:16.14 ID:NpEkyIxy0
ミセ*゚ー゚)リ「友達!」

( ;^ω^)「えっと、えーと…ミセリちゃんは小学生かお?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!小学五年生!」

( ;^ω^)「ふーむ、なるほど…」

ミセ*゚ー゚)リ「?」

( ;^ω^)「(小五の純粋無垢なおにゃのこ…可愛い…ただただ純粋に可愛いお…)」

ミセ*゚ー゚)リ「友達…だめ?」

( ;^ω^)「うーん、でも(スタンド使い…)いきなり友達は早いお…」

ミセ*゚ー゚)リ「そっかぁ…わかった!」

ミセ*゚ー゚)リ Φ皿Φ]「じゃあ、おにーちゃんの失敗を成功に変えたげる!」

( ;^ω^)「お?」

[Φ皿Φ]「オ前ノ運命ヲ変エテヤル。みせりハ、ソウ言ッテイル。」

ミセ*゚ー゚)リ「ミザリービジネスはね、”人の過去を変える”力を持ってるの!」

( ; ゚ω゚)「えぇ!?」

ミセ*゚ー゚)リ「例えば、おにーちゃんがアイスクリームを落としちゃったとするでしょ?
      ミザリービジネスはそのアイスクリームを落とさなかった事に出来るんだよ!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:45:08.62 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「か、過去を変えるなんて…」

[Φ皿Φ]「アラユル運命ダ、オ前ノ人生全テヲ変エラレル。」

( ; ゚ω゚)「人生……全て……」

ミセ*゚ー゚)リ「だから友達になろ!」

( ;^ω^)「えっ…いや、でも…えっとぉ……」

ミセ*゚ー゚)リ「えー…だめ?」

( ;^ω^)「ミセリちゃんは、なんでそんなにお友達が欲しいんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリはね、友達と大きなクマのヌイグルミが欲しいの!」

( ;^ω^)「……」

[Φ皿Φ]「みせりハ、両親ガイナイ。幼少期ヲ親戚ノ家デ肩身ノ狭イ生活ヲ送リ、
      物心ガ、ツイタ頃ニハ施設ニ預ケラレ、ヨウヤク養子ニモラッテクレル夫婦ガ
      ヴィプ王町デ見ツカリ、ココヘ越シテ来タノガ一月前ナノダ。」

ミセ ゚ー゚)リ「……」

( ;^ω^)「……」

スタンドの口から突如として語られたミセリの生涯に、ブーンは言葉を詰まらせた。
そしてミセリはそれをどこか寂しそうな顔をしながらただ聞いていた。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:48:03.19 ID:NpEkyIxy0
ミセ*゚ー゚)リ「…だからね!友達が欲しいな!」

( ;^ω^)「……」

( ^ω^)「わかっ…」

ミセ*゚ー゚)リ「だからね!まずはミセリがプレゼントする番!
       そのプレゼントが嬉しかったらお友達ね!」

( ;^ω^)「え、あ…わかったお!」

[Φ皿Φ]「ドノ過去ヲ変エタイ。」

( ;^ω^)「そんなこと言っても…んぅー…」

ブーンが顎に手を当てながら考え事をしようとすると、手の中にあるものがそれを邪魔した。

( ^ω^)「あ、飴握りっぱなしだったお…飴…あ…」

ミセ*゚ー゚)リ「なになにー!」

( ;^ω^)「テストの点数って変えられるかお…?」

[Φ皿Φ]「簡単ナ事ダ。」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょー簡単!」

( ; ゚ω゚)「ほんとかお!凄すぎるお…」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:50:35.67 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「デハ”代償”ヲ決メヨウ…」

( ; ゚ω゚)「えっ!だ、代償!?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、えっとね。過去を変えるにはそれに見合った何かが必要なの!
      ミセリ達が過去を変えて、変えてもらった人は何かを渡す!」

[Φ皿Φ]「ソレガ取引、びじねすダ。」

( ;^ω^)「…何を渡せばいいんだお?」

[Φ皿Φ]「みせりガ決メル。みせりノ価値観ガ絶対ナノダ。」

ミセ*゚ー゚)リ「んーテストの点数かぁ…そうだなぁー…んー、決めた!」

( ;^ω^)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんが持ってる飴と交換でいいよ!」

( ;^ω^)「……」

( ;^ω^)「へ?」

ミセ*゚ー゚)リ「飴と交換!ダメ?」

( ;^ω^)「え、いやいや!そ、そんなのでいいのかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:52:58.91 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「取引成立カ?」

( ;^ω^)「あ、じゃあこれ…」

ブーンはミセリに飴を手渡す。
それをミセリは嬉しそうに受け取り言った。

ミセ*゚ー゚)リ「取引成立ー!」

[Φ皿Φ]「……」

( ^ω^)「……」

[Φ皿Φ]「完了ダ、今過去ハ変ワッタ。」


( ;^ω^)「も、もう変わったのかお?」

ブーンはカバンの中に小さく折りたたみ仕舞い込んでいたテストを取り出して広げてみた。

( ; ゚ω゚)「…ッ!」

答案用紙は丸で埋め尽くされ、名前の横には100と書かれていた。

( ; ゚ω゚)「ひゃ、百点…」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:56:16.55 ID:NpEkyIxy0
ミセ*゚ー゚)リ「おめでとー!」

ミセリはその答案用紙を見て自分の事のように嬉しそうにその場で飛び跳ねブーンを祝福した。

( ;^ω^)「あ、ありがとだお…」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあまた明日ね!」

( ;^ω^)「え?」

ミセ*゚ー゚)リ「ばいばーい!」

ミセリはそう言うと、手をブンブンと振りながら走り去ってしまった。

( ;^ω^)「ば、ばいばいだお…」

( ;^ω^)「……」

一人校門の前で立ち尽くすブーン。

( ;^ω^)「百点…」

テストをもう一度見てみる、更にもう一度。

( ^ω^)「何度見ても百点…」

( *^ω^)「ひゃああくてええんだおーーーー!いやっほーう!」

ブーンは両手を広げ、嬉しそうに駆けながら家路に着いた。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 21:58:54.58 ID:NpEkyIxy0
―翌日、登校中。

(;'A`)「はぁ…」

( ^ω^)「どうしたんだお、溜め息なんかついて。」

(;'A`)「あァー?そりゃ溜め息もつくだろうよ…」

( ^ω^)「?」


('A`)「お前が俺よりテストの点が上で、しかも学年唯一の百点なんて取られた日にはよぉ…」


( ; ゚ω゚)「え…」

('A`)「何驚いてんだよ、そりゃ俺だってお前に負ければ、ちっとは悔しいんだよ。」

( ; ゚ω゚)「(本当だお…百点になっただけじゃなくて、過去そのものが変わったんだお…)」

('A`)「ここまでくると、それがビートルズのスタンド能力じゃねーのかって思えてくるぜ。
    テストで百点取る能力。」

( ;^ω^)「ま、まさかーw 何言ってるんだお、マグレだおマグレw」

('A`)「まぁ、冗談だけどな。すげーよブーン。」

( *^ω^)「ありがとだお(ミセリちゃんのおかげだけど…悪い気しないお♪)」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:01:48.44 ID:NpEkyIxy0
( ^ω^)「あ、てことは補習は…?」

('A`)「補習ぅ?そんなのお前が補習なら学年全員が補習だぜ。」

( ^ω^)「ですおねー♪」

学校が近付き、生徒達が校門をくぐっていく中、一人肩を落としている生徒が一人。

( ;´_ゝ`)「はぁ…」

( ^ω^)「あ、アニジャ先輩だお。」

('A`)「ん、お前あの先輩と知り合いなのか?」

( ^ω^)「再補習者仲間だお!ちょっと声かけてくるお!」

そういってブーンはドクオを置いてアニジャの元へと駆け寄っていった。

(;'A`)「再補習…?」

( ^ω^)「アニジャ先輩!おはようございますお!」

( ´_ゝ`)「ん、え?おはよう。」

( ^ω^)「今日の再補習頑張ってくださいお!」

( ;´_ゝ`)「え…君なんで知ってんの?」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:04:31.64 ID:NpEkyIxy0
( ^ω^)「なんでって…昨日一緒に補習受けましたお!」

( ´_ゝ`)「あれ、君いたっけか?すまん、覚えてないわ。」

( ;^ω^)「……?」


( ; ゚ω゚)「…あ!(そうだ点数が変わったから過去が変わっちゃって
     補習を受けてないことになってるんだお…)」

( ;´_ゝ`)「君大丈夫か?何か変だぞ?宇宙人に脳でも改造されたのか?」

( ;^ω^)「い、いえ!すいません!勘違いでしたお!」

( ´_ゝ`)「おっけー。もし良かったら知り合いの宇宙好きな奴紹介してやるからさ、
      挫けず頑張れよ、後輩君。」

( ;^ω^)「はい…ありがとうございますお…」

そそくさとブーンがドクオの元へと戻ると、ドクオが不思議そうな顔でブーンを見つめていた。

(;'A`)「お前どうした?なんか変な感じに見えたけど…それに再補習って…」

( ;^ω^)「ただのブーンの勘違いだお…はっくしゅん!ズズ…気にしないでくれお…」

(;'A`)「なんだ、風邪治ってないのか?」

( ;^ω^)「んぅーちょっとだけ頭がフラフラするお…」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:07:36.06 ID:NpEkyIxy0
('A`)「まぁ、百点取るほど勉強したんだから知恵熱も出るか…」

( ;^ω^)「う、うーん…そうかもしれないお…」

('A`)「まぁ今日は安静にしとけよ、な?」

( ;^ω^)「うん、そうするお…」

―放課後、下校中。

( ;^ω^)「うぅ…本格的にしんどくなってきたお…」

('A`)「おいおい、顔色悪いぜブーン。」

( ;^ω^)「体が熱いお…ふぅ…」

('A`)「そっかぁ…じゃあやっぱ無理だなぁ」

( ;^ω^)「お?」

('A`)「いやさ、もし放課後までに回復してたら映画行こうと思ってたんだよ。
    実はタダ券二枚もらってな、ほら観たがってたろ?『劇場版ピンクダークの少年』。」

( ;^ω^)「マジかお!見たいおー!うっ…」

大声を出すと思わず立ち眩みしてしまう。

('A`)「ほら、無理すんなよ。でもこれ期限が今日までなんだよなぁ…
    まぁ仕方ないよな、俺が観に行って教えてやるよ。」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:10:14.00 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「そんなぁ…」

ブーンが落胆していると目の前に女の子が通りかかった。


ミセ*゚ー゚)リ「あ!おにーちゃん!」

( ;^ω^)「あ、ミセリちゃん」

(;'A`)「お、お兄ちゃん!?」

( ;^ω^)「あ…そうだお!ドクオ!ちょっと待っててお!」

(;'A`)「え、あ、おう…」

( ;^ω^)「ミセリちゃん、ちょっと来てほしいお!」

ミセ*゚ー゚)リ「え?うん!」

ブーンはミセリちゃんの手を引っ張って、路地を曲がって人気のいない道に入った。

(;'A`)「未成年者略取…」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:13:28.29 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「はぁ…はぁ…ミセリちゃん…」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんは、性犯罪者予備軍なの?」

[Φ皿Φ]「みせり、タッタ今コノ男ハ予備軍ヲ卒業シタヨ。」

ミセ*゚ー゚)リ「卒業おめでとー♪」

( ;^ω^)「ブーンは永遠に予備軍だお!そんなことよりミセリちゃん!」

ミセ*゚ー゚)リ「なーに?」

( ;^ω^)「ブーンが風邪を引き始めた過去を変えられるかお!?」

[Φ皿Φ]「……」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!できるよー!」

( ;^ω^)「! ぜ、是非お願いしたいお!」

ミセ*゚ー゚)リ「おっけー!」

[Φ皿Φ]「代償ハ?みせり…」

ミセ*゚ー゚)リ「んー…」

( ;^ω^)「……」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:16:21.73 ID:NpEkyIxy0
ミセ*゚ー゚)リ「抱っこ!」

( ;^ω^)「えっ?」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリをね、抱っこして高い高いーってして♪」

( ;^ω^)「そ、そんなのでいいのかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん♪」

ブーンはミセリの両脇に手を添えて抱え上げ、頭の上まで一気に持ちあげる。

( ^ω^)「たかいたかーい」

ミセ*゚ー゚)リ「わーい!もっと高くー!」

( ^ω^)「任せるおー!空高くー!」

ミセ*゚ー゚)リ「わーい!」

( ^ω^)「スカイハーイ!」

ミセ*゚ー゚)リ「楽しー!」

ミセリが束の間の疑似飛行を楽しんだ後、ミザリービジネスが呟いた。

[Φ皿Φ]「…取引成立、過去ハ変ワッタ。」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:19:32.04 ID:NpEkyIxy0
その瞬間、ブーンの体のダルさが一瞬で消え去る。

( ^ω^)「! おぉー!全然しんどくないお!ありがとだおー!」

ミセ*゚ー゚)リ「こちらこそ♪」

( ^ω^)「ほんと凄いスタンドだお!ミザリービジネスなんてとんでもないお!
      ハッピービジネスに改名したほうがいいくらいだお!」

[Φ皿Φ]「みざりーびじねすダ。」

( ;^ω^)「いやそうじゃなくて…まぁいいお。ミセリちゃんほんとありがとだお!」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃん遊ぼうよー」

( ;^ω^)「うー、ごめんだお。今日はちょっとドクオと用事があるんだお。」

ミセ*゚ー゚)リ「そっかぁ、わかった…じゃあミセリ、公園で遊ぼっと!またね!」

( ^ω^)「うん!まただお!」

ミセリに別れを告げブーンは軽快な足取りでドクオの元へと向かった。

(;'A`)「お、おいブーンお前ついに犯罪者予備軍を卒業でもしたのか…?」

( ^ω^)「その下りはさっきやったお!さぁ映画行くお映画ー!」

('A`)「映画たってお前その体調じゃあ…」

( ^ω^)「完治!」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:22:59.33 ID:NpEkyIxy0
('A`)「……」

( ^ω^)「キリッ」

('A`)「元気そうだな…おし、映画行くか!」

( ^ω^)「やっほーう!」



…映画鑑賞中。



映画館の扉が開き、客が一斉に外へと雪崩れ出てくる。
その中にブーンとドクオもいた。

( ^ω^)「あー、おもしろかったおー」

('A`)「ダークの中にあるピンク加減が絶妙だったな」

( ^ω^)「あの躍動感とストーリーは、さすが作者自らが制作指揮をとっただけあるお!」

('A`)「だなー作者の完璧主義加減が遺憾なく発揮されてたわ。」

映画館を出て横断歩道が青に変わるのを待ちながらも二人の映画談議は続く。

('A`)「しかしまぁよくあんな展開思いつくよなぁ」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:26:15.31 ID:NpEkyIxy0
( ^ω^)「ほんと溜め息出っぱなしだったお」

('A`)「全くだ」

信号が青に変わり、ドクオが一歩道路へと足を進めた。

キキキキィィィーーッ!

けたたましいブレーキ音と共に周囲がヘッドライトの明かりで一瞬で真っ白に変わる。




('A`)「え」




( ; ゚ω゚)「ドク―――」

ドゴォォーンッ!

金属が衝撃によって破壊される音が辺りに響き渡り、ドクオが宙を舞う。
まるで子供が悪戯に投げた人形のように力無く、宙をくるくると回りながら、ベシャリと落ちた。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:28:42.45 ID:NpEkyIxy0


     「ちょ!ええ!?」    「マジかよ!」

「事故だッ!男の子が一人轢かれたぞ!」  「見た今の!?」

   「おい!動かすな!」  「きゃー!」 「超飛んだ!飛んだよ!」

「救急車ー!」  ( ; ゚ω゚)「ドク…オ…」     「うわー…」

 「誰か119番!」   「急げ!」    「死んだなアレ…」

     「吐きそう…」   「うわああ!」



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:31:21.08 ID:NpEkyIxy0
ドクオは動かない。
冷たい地面に横たわったままピクリとも動こうとしない。

( ; ゚ω゚)「ドクオ…?」

( A )

( ; ゚ω゚)「ドクオ…」

( A )

( ; ゚ω゚)「ドクオ!」

( A )

( ; ゚ω゚)「ドクオォォォーーーッッ!」

ブーンの必死の呼びかけにも全く答えない。
このギリギリの状況で、ブーンは一つの事を思い出した。

( ; ゚ω゚)「そうだお!心臓マッサージだお!」

(;-@∀@)「君!勝手に近付いちゃダメだ!危ないよ!」

その場に居合わせた男がブーンの前に立ち塞がった。

( ; ゚ω゚)「ドクオは親友なんだお!どいてくださいお!」

男を押しのけブーンはドクオの元へと駆け寄る。
ワカッテマスとの戦いで行った心臓マッサージをもう一度…

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:34:00.92 ID:NpEkyIxy0
そうすればドクオはきっと助かる。
そう思いブーンはビートルズを出し、ドクオの体の中へと腕を侵入させる。

( ; ゚ω゚)`0ω0´)「ドクオ…ドクオ…」

ビートルズの腕がドクオの中を探っていく。
しかし、無い。
どこにも、心臓が無い。

( ;ω;)「……グチャグチャだお…ドクオの中が…」

外見の綺麗さとは違い、中は事故の悲惨さを物語っていた。
骨折、その他内臓損傷による、即死。

( ;ω;)「嘘だお…そんな…ドクオ…」

授業中に眠るドクオをどれだけこうして揺すって起こしただろう。
しかし今はドクオをいくら揺すっても起きることはない。

( ;ω;)「なんでこんな事に……ドクオォーッ!」

永遠に起きる事は無いドクオ。

( ;ω;)「こんなの…無いお…なんでドクオが…」

とめどなく流れる涙がブーンの頬を伝う。

( ;ω;)「折角、風邪を治してもらって…それで、映画を…楽しく…」

…過去を変えてもらおう。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:37:00.71 ID:NpEkyIxy0
ブーンの頭をその言葉が貫いた。

( ; ゚ω゚)「過去を変えるんだお…」

ミセリに頼んでミザリービジネスに過去を変えてもらう。
ブーンが出来る事は、もはやそれしか残されてはいなかった。

( ; ゚ω゚)「ミセリちゃん、公園で遊ぶって言ってたお!まだいるかもしれないおッ!」

ブーンはドクオに再び視線を送る。
ドクオは変わることなくただ横たわっている。

( ;^ω^)「ドクオ…すぐに過去を変えてくるお!」

動かないドクオにそう言ってブーンは公園へと急いだ。
荒々しく呼吸しながら公園までノンストップで駆け抜ける。
肩で息をするようになり膝が笑いだした頃にはすっかり日も落ち
辺りは暗くなっていたが、ブーンはなんとか公園に辿り着いた。

( ;^ω^)「はぁ!はぁ!ミ、ミセリちゃん!」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、おにーちゃんだー!」

誰もいなくなった公園でミセリは一人遊んでいた。
滑り台のてっぺんに立っていたミセリがブーンを見つけて滑り降りてきた。

ミセ*゚ー゚)リ「どーしたの!遊んでくれるの?」

嬉々としてブーンの元へと寄ってくるミセリ。
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:39:29.01 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「ち、違うんだお…ミセリちゃんまた過去を変えてほしいんだお!」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、うん!いいよ!」

( ;^ω^)「ほんとかお!ありがとだお!」

ミセ*゚ー゚)リ Φ皿Φ]「何を変えたいの?」

( ;^ω^)「ドクオを死なないようにしてほしいんだお…」

ミセ;゚ー゚)リ「だ、誰か死んじゃうの!?」

[Φ皿Φ]「みせり、代償ハ?」

ミセ;゚ー゚)リ「んー…」

( ;^ω^)「良かったお…これでドクオが助かるお…」






ミセ*゚ー゚)リ「命かな」




98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:42:06.62 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「え?」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんの命!それかおにーちゃんが好きな子の命か、お母さんの命でもいいよ!」

( ; ゚ω゚)「え、ちょっと…」

[Φ皿Φ]「……」

ミセ*゚ー゚)リ「誰の命にする?」

( ; ゚ω゚)「で、でも…テストと風邪の時は…」

ミセ*゚ー゚)リ「んーとねぇ…」

ミセリは先程の楽しそうな雰囲気から一変し、静かに落ち着き払った声で話しだした。


ミセ*゚ー゚)リ「ミセリはね、そんなのって凄く小さくてどうでもいいことだと思うの。
      命に比べればテストも風邪も、飴みたいにどうでもいいと思うでしょ?」


( ; ゚ω゚)「そんな…」

ミセ*゚ー゚)リ「どうする?おにーちゃん。」

( ; ゚ω゚)「そんなの…選べないお…そうだ!
      今度クマのヌイグルミをプレゼントするお!だから!」

ミセ*゚ー゚)リ「んぅ…それは出来ないよぉ…」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:46:16.94 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「な、なんで…」

[Φ皿Φ]「みせりハ、純粋ナ価値観ヲ持ッテイル。ソレハ決シテ揺ルガナイ。
      ダカラコソ、ソレハ代償ニナリウル。」

( ;^ω^)「なんでだお…なんでミセリちゃん…幸せな能力じゃなかったのかお…」

ミセ*゚ー゚)リ「?」

[Φ皿Φ]「人生トハ…」

( ;^ω^)「?」

[Φ皿Φ]「幸セト不幸デ差引0ナノダ。
      不幸ナ事ガ続イテモ、ソノ分イツカキット幸セニナレル。トカ言ウダロウ。
      ソウイウ事ナノダ、ぷらすまいなす0ガ世界ノ基本。」

( ;^ω^)「……」

[Φ皿Φ]「シカシ、オ前ハ幸セヲ自ラ呼ビ寄セタ。
      オ前ノ人生ハ歪ナ幸福ヲ受ケ入レタ事デ、同時ニ歪ナ不幸モ招キ入レタ。」

[Φ皿Φ]「ソレガ、コノ結果ダ。」

( ; ゚ω゚)「そんなの…テストと風邪だけでドクオが死んでたまるかおッ!」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:49:22.58 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「オ前ガてすとノ点ヲ変エタ事デ世界ハ微カナガラモ確実ニ、ズレタ。
      元々一位ダッタ者ガ、オ前ガ一位ニナッタコトデ二位トナリ、
      オ前ノ同級生ノ人生ノ順位ガ一瞬ダガ狂ッタノダ。」

( ; ゚ω゚)「そんな大げさな…」

[Φ皿Φ]「本来一位ダッタ者ガコレデ自信ヲツケテ数学者ヲ目指シタカモシレナイ。
      モシクハ両親ト一位ニナレバげーむヲ買ッテモラウ約束ヲシテイタカモシレナイ。」

( ; ゚ω゚)「……」

[Φ皿Φ]「オ前ハ、ソレヲ歪メタノダ。」

[Φ皿Φ]「歪メタ幸福ノ分ダケ歪ンダ不幸ガノシカカル、”悲惨ナ取引”」


[Φ皿Φ]「ソレガ私、みざりーびじねすダ。」

( ; ゚ω゚)「だからってドクオがなんで死ななきゃならないんだおッ!」

[Φ皿Φ]「今不幸カ?」

( ; ゚ω゚)「当たり前だおッッ!」

[Φ皿Φ]「ナラバ、ソウイウ事ダ。」

( ; ゚ω゚)「……」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:53:10.66 ID:NpEkyIxy0
ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃん、どうする?やめとく?」

( ; ゚ω゚)「ミセリちゃん…」

ミセリの問いかけには一片の悪意も感じられない。
ただ純粋に聴いているのだ、純粋な意思で純粋な代償を。

( ;^ω^)「ブーンか、ツンか、カーチャン…」

選べるわけがない。
そんな事は言葉に出す前からわかりきっていることだ。
そして選択肢があるとすれば一つしかない。

( ;^ω^)「(ブーンしか、ありえないお…)」

ミセ*゚ー゚)リ「決めた?」

( ;^ω^)「……」

死にたくない、死にたくない。
でもドクオはもっと死んでほしくない。

( ;^ω^)「……決めたお。」

[Φ皿Φ]「……」

( ;^ω^)「…ブーn」


そう言いかけてブーンは口を真一文字に閉じた。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:56:19.58 ID:NpEkyIxy0
( ; ゚ω゚)「(ちょ、ちょっと待つお…過去を戻せるなら…)」

( ; ゚ω゚)「(ミセリちゃんと会わなかったことにしてもらえばいいんだおッ!
     そうすれば、こんな事にはならずに済むお!)」

[Φ皿Φ]「……」

( ;^ω^)「ミザリービジネス…ミセリちゃんと会わなかった事に出来るかお…?」

ミセ ゚ー゚)リ「えー!なんでー!」

( ;^ω^)「うっ…」

[Φ皿Φ]「可能ダ、可能ダガ…」

( ;^ω^)「?」

[Φ皿Φ]「オ前ノ不幸ハ変ワラナイ。会ワナカッタ事ハ幸福デモ不幸デモナイカラダ。
      オ前ガ歪ナ幸福ヲ手ニシタ事ニハ変ワリハナイ。」

( ;^ω^)「そんな…」

ミセ*゚ー゚)リ「会わないことなんてヤダー!おにーちゃんはミセリと友達になるんだもん!」

( ;^ω^)「……」

( ;^ω^)「(会わなかっただけじゃ不幸は変わらない…
      でも誰かの命なんて差し出せるわけがないんだお。)」

( ;^ω^)「(不幸を、変えるしか…ッ!)」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 22:59:32.79 ID:NpEkyIxy0
ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃん、大丈夫?」

[Φ皿Φ]「……」

(   ω )「(今思えばテストで百点なんてほんと下らないお…皆自分で頑張ってるんだお…
       それに風邪だって…映画は我慢すればよかったんだお…)」

(   ω )「(そのせいで、ブーンのせいでドクオは事故に遭ったんだお…)」

(   ω )「(ブーンの歪んだ幸福のためにドクオが不幸に……)」

ミセ*゚ー゚)リ「ねぇ、ミザリー。おにーちゃん固まってるけどどうしたのかな?」

[Φ皿Φ]「悩ンデイル。ソレガ正シイ生キ方ナンダ。」

ミセ*゚ー゚)リ「ふーん、難しいね!」

[Φ皿Φ]「アァ。トテモ難シイ。」

(   ω )「ミザリービジネス…」

[Φ皿Φ]「ナンダ」

(   ω )「不幸と幸福は釣り合っているんだお?」

[Φ皿Φ]「アァ。」

( ;^ω^)「だったら!ブーンを体が動かなくて入院しちゃうくらいの病気にしてくれお!」

ミセ*゚ー゚)リ「え!?」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:02:22.24 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「……」

( ;^ω^)「ブーンが招いたの歪な幸福が全て不幸に変われば、
      ドクオが死んじゃう歪な不幸も変わる…そうだお?」

[Φ皿Φ]「アァ」

( ;^ω^)「ミセリちゃん、ブーンが何日も何日も寝込んで死にそうなくらい
       苦しい風邪をひく代償は何だお…?」

ミセ ゚ー゚)リ「そ、そんなの何ももらえないよぉ!だっておにーちゃん幸せじゃないもん!」

[Φ皿Φ]「…みせり、代償ハ必要ダ。」

ミセ ゚ー゚)リ「うぅ…やだよぉ…」

( ;^ω^)「ミセリちゃん、お願いだお…」

ミセ ゚ー゚)リ「だってそんなの道端の石ころだってもらえないよ!」

[Φ皿Φ]「道端ノ石コロ、ソレデイイナ?」

ミセ ゚ー゚)リ「…うぅ、ぐすん…」

[Φ皿Φ]「みせり」

( ;^ω^)「ミセリちゃん、お願いだお…」

ミセ ゚ー゚)リ「…わかったよ!二人のバカァ!」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:05:01.90 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「あっ…」

ミセリは一人遠くのブランコの方へと走り去ってしまった。
ブーンが苦しむ事を容認しなければならない自分が嫌になったのだろう。

[Φ皿Φ]「ソノ風邪ハ、イツカラニスルンダ?」

( ;^ω^)「数学のテストの前日から…」

[Φ皿Φ]「…正解ダナ。」

( ;^ω^)「ごめんだお…友達になる約束守れなくて…」

[Φ皿Φ]「アノ子ハ優シイ。イズレみせりノ周リハ常ニ人ガ集マルヨウニナルダロウ。
      ソレガ少シ、遅レルダケダ。」

( ^ω^)「うん!それは絶対にそうだお!」

[Φ皿Φ]「コレデオ前ハ数日間学校ニモ行ケズ、数学ノテストモ受ケラレズ、
      当然、映画モ観ル事ハ出来ナカッタ事ニナルダロウ。」

[Φ皿Φ]「ソシテみせりハ、当然オ前ト出会ワナカッタ事ニナリ、オ前ノ事モ忘レル。」

( ;^ω^)「うん…それが一番つらいお…」

[Φ皿Φ]「実ニ不幸ダナ、ぶーん。」

( ;^ω^)「本当に…胸が張り裂けそうなくらいだお…」

[Φ皿Φ]「…代償ヲモラオウカ。」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:08:00.78 ID:NpEkyIxy0
ブーンは足元に落ちていた小石を一つ掴んでミザリービジネスに手渡した。

[Φ皿Φ]「……取引成立、過去ハ変ワッタ。」

その瞬間、ブーンの頭に金槌で殴られたかのような鈍い衝撃が走った。

( ; ゚ω゚)「はぁ…かっ…頭、が…!」

次第に手足は痺れ出し、体は小刻みに震え体内を熱湯が駆け巡っているような熱さを感じた。

( ; ゚ω゚)「う…ハァ…ハァ…」

視界も徐々にぼやけてきて、立つことすらままならない。

( ω )「ぁ……」

そしてブーンは意識を失った。

ミセ*゚ー゚)リ「…あれ?なんでミセリこんなところで泣いてるんだろう…」

ブランコに座り泣いていたミセリはブーンに関する全てを忘れていた。

[Φ皿Φ]「サァ、ソロソロ帰ロウカ。」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!あれ、ミザリー…あれって!」

[Φ皿Φ]「……」

ミセ;゚ー゚)リ「ひ、人が倒れてるよー!!」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:13:08.69 ID:NpEkyIxy0
真っ白な世界に佇むブーンに誰かが話しかけてくる。
いや、呼びかけてくる。それもよく知っている声で。
ブーンは徐々に鮮明になる声に耳を傾けた。

「――ン!ブーン!」

(  ω )「お…?」

「ブーン!ブーン!」

( ^ω^)「お…?」

ブーンが目を開けると目の前には白い天井、そしてそれを覆うようにして…

J( 'ー`)し「ブーン!!」

( ^ω^)「あ、カーチャン…ここ、どこ?」

J( 'ー`)し「病院よ!アンタあんな高熱のまま外出して…死んだらどうするの!バカ!」

そういって力一杯に抱きしめられる。
その温もりの中でブーンは今までの事を思い出していた。

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:16:13.03 ID:NpEkyIxy0
ここは…病院かお…そっか、ミザリービジネスのおかげで…あれ、なんで覚えてるんだお…

会ワナカッタ事ハ幸福デモ不幸デモナイ

だから、かお…?
わからないことだらけだお…
ブーンはテストの前日で高熱で寝込んでいたことになって…
それなのに外出して倒れた…ってことになってるのかお…?
ミセリちゃん、友達になる約束守れなくてごめんだお…
ミザリービジネス、ありがとだお…優しいスタンドだったお…
映画も、あれ…内容覚えてないお…そっか、観てない事になったのかお…
それに、ドクオ…ドクオは……

( ; ゚ω゚)「ドクオはッ!?」

J(;'ー`)し「な、何よ急に!ドクオ君?ドクオ君なら…」

J( 'ー`)し「さっきお見舞いにバナナ持ってきてくれてたわよ、ツンさんと。」

( ; ゚ω゚)「ほんとに…?」

J( 'ー`)し「嘘ついてどうすんのよw ほら。」

そういってカーチャンはテーブルに置いてあったバナナを指差した。

(   ω )「良かった…」

(  ;ω;)「本当に良かったお…」

J(;'ー`)し「ど、どうしたのブーン!まだしんどいの!?」
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:19:13.18 ID:NpEkyIxy0
―数日後。

ピンポーン。

( ;^ω^)「ふおー!遅刻するおー!」

そう言いながらブーンは朝食をがっつく。

J( 'ー`)し「アンタ病み上がりなんだからあんまり騒いじゃダメよ?」

ピンポーン。

( ;^ω^)「わかってるお!モグモグ!
      カーチャンのクネドリーキはほんと最高だお!何につけても合うお!」

J( 'ー`)し「はいはい、喉詰まらせないでよー」

ピンポーン。

( ;^ω^)「ごちそうさまでしたおォッ!いってきますおー!」

全ての皿を綺麗に平らげてブーンは制服の上着を羽織りながら
妙に大きく膨らんだカバンを持って家から飛び出した。

( ;^ω^)「遅くなってごめんだお!」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:21:42.24 ID:NpEkyIxy0
( A )「ったくよー」

('A`)「何度俺にチャイム鳴らせんだ、気付いてないのかと思ったじゃねーか。」

いつも通りのドクオがいる、それだけで今までの病床での苦しみの全てが救われた。

( ^ω^)「ごめんだお!」

('A`)「ったく毎度毎度…はぁ…」

( ;^ω^)「うー…」

('A`)「…おはよ。」

( ^ω^)「! おはようだお!」

こうして二人で学校へ向かうことも久しぶりのことだった。
自然と会話が弾んでいく。

('A`)「そういやお前昨日電話した時は元気だったじゃねーか。なんで昨日来なかったんだよ。」

( ^ω^)「あー、ちょっと用事があったんだお」

('A`)「ふーん、まぁお前はこれから追試地獄だけどな。テスト期間に風邪引くなんて運がねぇなぁ」

( ;^ω^)「おっおっおっ、仕方ないお…」

('A`)「ま、ツンが勉強教えてやるって言ってたぜ」

( *^ω^)「ほ、ほんとかお!やったー!」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:24:26.57 ID:NpEkyIxy0
('A`)「アイツ何点取ったと思う?」

( ^ω^)「え?91点だお?」

('A`)「あれ、なんで知ってんだ?あーツンに聞いたのか?」

( ; ゚ω゚)「(あ!ブーンはあの日も休んでる事になってるから知らないはずなんだお…)」

('A`)「?」

( ;^ω^)「そ、そうそう…ツンに電話で聞いたんだお!」

('A`)「なるほどな」

( ;^ω^)「ふー…(なるほど…幸福や不幸に繋がる事以外は覚えてるんだお…
      だからテストの内容が思いだせないのかお…)」

その時、いつぞやのように一人の少女がブーンの目の前に現れた。


ミセ*゚ー゚)リ


( ; ゚ω゚)「……」

少女はブーンには一切気付かずにただ歩いている。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:27:38.91 ID:NpEkyIxy0
(;'A`)「ど、どうしたお前…あんな小さい子を凝視して…」

少女はどんどんと離れていき、角を曲がって見えなくなってしまった。

( ;^ω^)「ドクオ!ちょっと先行っててくれお!」

(;'A`)「え、お前…まさかついに犯罪を…」

ブーンはドクオにそう言うとミセリの元へと一直線に駆けて行った。

(;'A`)「……」



( ;^ω^)「ミセリちゃん!」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

[Φ皿Φ]「何ノ用ダ。」

ミセ*゚ー゚)リ「え?ミザリー…この人ミザリーが見えてるの!?」

ミセリは完全にブーンに対する記憶を忘れている。
しかしミザリービジネスだけはブーンを覚えているようだ。

( ^ω^)「見えてるお、一緒だおミセリちゃん。」

( ^ω^)`0ω0´)ズズズ…

ミセ*゚ー゚)リ「あー!ほんとだー!一緒ー!」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:30:42.02 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「何ノタメニ、アレホド苦シイ思イヲシタト思ッテイル。」

( ;^ω^)「わかってるお、ミザリービジネス。」

ブーンはパンパンに膨らんだカバンのファスナーをなんとか降ろし、
中を漁って大きなクマのヌイグルミを取り出した。

[Φ皿Φ]「……」

ミセ*゚ー゚)リ「あー!可愛いー!」

( ^ω^)「大きなクマがどこにも無くて昨日一日探し回っちゃったおw」

[Φ皿Φ]「…マタ過去ヲ変エニ来タノカ?」

( ;^ω^)「もう過去を変えるのは懲り懲りだお!」

ミセ*゚ー゚)リ「いいなぁ…ヌイグルミ…」

ミセリはブーンが持っているヌイグルミに夢中でミザリービジネスとブーンの会話はおろか、
あらゆる町の雑踏すら耳に入っていない様子だった。

( ^ω^)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「可愛い…触ってもいい?」

( ^ω^)「もちろんだお、これはミセリちゃんへのプレゼントだお。」

ミセ*゚ー゚)リ「え!ほんと!?」
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:33:27.59 ID:NpEkyIxy0
( ^ω^)「ほんとだお。そのかわりっていうのは変な話だけど…」

ミセ*゚ー゚)リ「え?何何?」

ミセリは手渡されたヌイグルミを体全部で嬉しそうに抱きしめている。


( ^ω^)「ブーンと、友達になってほしいお」


ミセ*゚ー゚)リ「え…」

[Φ皿Φ]「……」

( ^ω^)「ダメかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「ダメじゃない!ミセリね、クマのヌイグルミも欲しかったけど友達はもーっと欲しかったの!」

( ^ω^)「ほんとかお!じゃあお友達になってくれるかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

クマのヌイグルミを抱きしめながら、今までで一番の笑顔を浮かべるミセリ。
その表情はとても幸福に満ち溢れていた。
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:36:04.91 ID:NpEkyIxy0
[Φ皿Φ]「…ドウシテダ?」

( ^ω^)「お?」

[Φ皿Φ]「ナゼ、コンナ事ヲスル。」

( ^ω^)「ブーンは風邪を引いて追試になって映画も行けなくて、とーっても不幸になったお。
      でもそれはブーンのせいで誰も責めようなんて思わないし、思えるわけないお。」

[Φ皿Φ]「……」

( ^ω^)「でも…幸福と不幸が釣り合ってるなら」


( ^ω^)「ブーンの代わりに誰かが幸せになってくれればブーンはとっても嬉しいお!」


[Φ皿Φ]「…ソウカ。」

( ^ω^)「それだけだお!」

キーンコーンカーンコーン

( ; ゚ω゚)「はっ!チャイム鳴っちゃったお!遅刻するおー!」

( ;^ω^)「ミセリちゃん!また今度一緒に遊ぶお!」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!おにーちゃんありがとー!」
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:39:21.10 ID:NpEkyIxy0
( ^ω^)「おっおっおっw じゃあ今日はこれでバイバイだお。」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!バイバイ!」

( ; ゚ω゚)「遅刻するー!」

ブーンが去った後もミセリは嬉しそうにヌイグルミを抱えていた。

ミセ*゚ー゚)リ「……」

[Φ皿Φ]「ドウシタ?みせり…」

ミセ*゚ー゚)リ「……」

[Φ皿Φ]「みせり?」

ミセ*゚ー゚)リ「ヌイグルミを持ったまま学校に行っちゃうと先生に怒られちゃうし
      ヌイグルミを家に置いたら遅刻しちゃうかもしれないね…」

[Φ皿Φ]「……」

ミセ*゚ー゚)リ「うー、どうしよう!難しいね!」

[Φ皿Φ]「フフ、ソウダネ」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:42:00.57 ID:NpEkyIxy0
(;'A`)「おい急げよブーン!」

学校へと駆けていると閉まりかけの校門の前でドクオが叫んでいた。

( ;^ω^)「ドクオ!待っててくれたのかお!?」

(;'A`)「お前が犯罪に走るんじゃねーかと思うと心配で学校入られねーんだよ!」

( ;^ω^)「ブーンは永遠に予備軍だお!」

そんな事を言いながら、なんとか二人して校内へと滑りこむ。

( ;^ω^)「せ、セーフ…」

(;'A`)「ふぅ…」

( ;^ω^)「今日は一時限目から体育だからそのまま更衣室行っちゃうお!」

('A`)「だな」

再び今度は更衣室へと走り出す二人。
その途中、何かを思い出したようにドクオが話し出した。

('A`)「あ、そういえばよぉ…映画のタダ券、また手に入ったんだが行く?」

( ;^ω^)「ほんとかお!何何?」

('A`)「鉄塔男っていう映画なんだけど、どうよ」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/04(金) 23:44:52.10 ID:NpEkyIxy0
( ;^ω^)「鉄塔で女の子救って掲示板でアドバイスもらって最後はイチャイチャするのかお?」

('A`)「いや、鉄塔に住みついてる男に密着したドキュメンタリー映画。」

( ;^ω^)「……」

('A`)「どうする?」

( ;^ω^)「行く!」

('A`)「おっしゃ、じゃあ放課後な。ほれ更衣室まで急ぐぞー」

( ;^ω^)「ふおー!」

第五話「幸福への条件」終わり。


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. <   To Be Continued... | |
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[Φ皿Φ]ミザリービジネス(Misery Business)
スタンド:代償と引き換えに過去を変える能力。
     代償はミセリの純粋な価値観で測られ、
     歪めた幸福は歪んだ不幸を引き寄せる。
     そして命の代わりは命でしかない。

 アメリカ出身のエモ系ロックバンド「Paramore」のアルバム「Riot!」収録曲。
 女性ヴォーカル、ヘイリーの力強い声で歌われる攻撃的な一曲。

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