- 2
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:33:04.63 ID:QM5/BA12P
ノハ )「……あ」
ノハ )「あ、あ…………」
- 3
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:38:15.42 ID:QM5/BA12P
ノハ;゚听)「暑いぞお〜〜……」
- 4
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:42:49.78 ID:QM5/BA12P
- (⌒ 、 .. . ... :.
.:.:.:.: .: .... ..:.:.:.:.. .:.:.:..
.. .. .... .:.:.:...
( ヽ⌒ヽ
、 / / ..
.:.:.:..: .:.:.:.. ....:.:...
( ) ... :. .:.:.:.: .: ..
___┐ / /ヽ
`ヽ /
|´ , へ
, ⌒ヽ . .. :. .:.:.:.: .: .... .:.:.:. . |___/ /
. ... .. | | .. .... .. .:.:.:.
( '
/ ./ ヽノ
ゝ `ヽ / ....
.:.:.:.:.:... / .:.:.:..:.:. .. | . ...... ..
.
(⌒ ... .... . /... :. .:.:. ..
/ |
.:.:.... ....
/ / .... .:.:.:. . .. | ...
:. .:.:.:.: .: ....
.. .... .. .:.:.:..:
/ / .
.....:.:.:.:.:.:.:.. ... | . .. ...:.:.
.. ..... .. ..:.:.:.. ..:.:.:.:.:.:... ...... ..
.... .. i
/ (⌒
、 .. .... .. .:.:.:..: .:.:... , ⌒ヽ
. :. .:.:...
. .. .... .. .:.:.:..: .:.. ... ( ヽ⌒ヽ
、 ( Y⌒ ヽ
夏、まっさかり。
昼前の空は真っ青で、太陽はぎんぎらぎんだった。
道路標識の向こうに浮かぶ太陽は真っ白で、アスファルトには真っ黒な影。
ブロック塀に垂れ下がった猫は、いまにもでろでろーんと溶けちゃいそうだ。
- 6
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:47:20.43 ID:QM5/BA12P
- ノハ;゚听)「……あうううう」
あごさきから汗が、ぽたり、と地面に落ちる。
ノハ;゚听)「と、とけちゃうぞおおぉ……」
手をひさしに空を見る。
もこもこ盛り上がった入道雲の隅っこで、セミが鳴いてた。
ノハ )「……」
地面で照り返した太陽の光が、からだじゅうに跳ね返る。
夏服の袖から出た腕が、ちりちりっと音をたてそうなほど。
太陽はお空のてっぺんにあるのに、スカートの内側まで暑い。
風は乾いてるけどぬるくて、やけた肌がぴりぴりする。
ノハ;゚听)「う、ううっ。
ま、まずいぞ……このままじゃ、遭難しちゃうぞおお!!」
- 7
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:51:16.95 ID:QM5/BA12P
- ノハ;゚听)「うちまでもうちょっとあるし……もう、死んじゃうぞ……」
ノハ;'兪)「……」
ノハ;゚听)「……あ!」
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
/ .`´ \
ノハ*゚听) そうだ!!
ノハ;゚听)「家に着くまであついなら……早く家に帰ればいいんだ!!」
ノハ*゚听)「よーしよしよしよしよしよしッ!! えらいぞわたし!
ディ・モールトッ(非常に)! えらいぞおおお!
そこに気づくとはわたし……天才かッ!!」
- 8
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:55:15.62 ID:QM5/BA12P
- ノパ听)「そうと決まれば……よしっ!!」
袖まくりをして、かばんを背中に背負う。
軽く両腕を回して、地面に片ひざと両手をついた。
ノハ--)「れでぃー…………」
- 9
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:58:23.55 ID:QM5/BA12P
ノハ#゚听)「GO!!!」
yソノヘ`
ドドドドド ノハ#゚听) うおおおおおおおおおおおおお!!
( ;; ヽと つ
( ( ;( ;; ; ミ三三彡
- 10
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:02:00.65 ID:QM5/BA12P
ノハ#゚听)「うおおおおおおおおおおおおおお!」
かげろうが立つ道路を、全速力で駆ける。
誰もいない道の真ん中を両手を広げて、革靴の底を鳴らして思い切り走る。
視界が大きく上下に揺れて流れた汗が眉から目に入りそうになる。
それを同じように汗が浮いた手の甲でぬぐって、角を折れた。
ノハ#゚听)「おおおおおおおおおおおおおおお!」
真っ白にハレーションを起こしてしまいそうな、乾いた、明るい空。
ときどき雲を見上げて、ひたすら走る。
ノハ*゚听)「あはははっ!
これはこれで、気持ちイイぞおおおおおお!!」
ぬるい風が、からだじゅうをなでで後ろに流れる。
- 11
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:07:42.03 ID:QM5/BA12P
家の玄関の前にたどり着くと、急カーブ。
ノハ#゚听)「はあはあはあ……うおおおおおお!」
玄関の引き戸を脚で開ける。
革靴を脱ぎ捨ててそのままダッシュ。
ノハ#゚听)「こなあああああああゆきいいいいいいいいいいいいい!」
ノハ '')「ねぇ」
走りながらソックスを、両方ともすぽーんと脱ぎすてる。
それを廊下に投げ捨てて、食堂のドアをぶち破った。
ノハ#`)「ぴこーんぴこーん……オペレーター! 熱量が限界だ!
冷却! れいきゃくううううううううう!」
冷凍庫を開けてひっかき回す。
白くて冷たいもやが、もわりと立ち上る。
てのひらが気持ちいい。
- 12
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:11:21.16 ID:QM5/BA12P
ノハ#`)「こちらアージェイト! ジェフティ、もっと高度を上げて!
脱がせたいからって溶鉱炉に突っ込むなあああ!」
冷凍食品の袋の下に、探してるものを見つけた。
ノハ*゚听)「お、あったあった! チューペット発見!
すうううううぅ〜〜〜……ふぬっ!」
ポキッ
真っ白に霜がおりた、きらきらひかる水色の氷のお菓子。
それが手の中できれいに二つに折れる。
ノハ*゚〜゚)「あむっ……ふひゃえひょひょおおお!」
その先っちょが飛び出たほうをほおばって、残りは冷凍庫に投げ捨てる。
そういえば、この飛び出た部分って……なんていうんだろ?
ノハ*゚〜゚)「んむむ……むひょひぇ?」
ま、いいか。
- 13
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:15:18.01 ID:QM5/BA12P
ノハ#`〜)「ん゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛!!」
流しの脇においてあったタライを洗い場につっこんで蛇口を全開。
じょろじょろ、と音を立てて、冷たい透明な水がタライに溜まってく。
勢いが強すぎて水しぶきがぱしゃぱしゃ跳ねて制服の襟や首元にかかる。
でも、それが気持ちいい。
ノハ*゚听)「うひゃふひゅへひょっ!」
なみなみ水を張ったタライを抱えあげてたぷたぷ揺らしながら、こんどは
居間のふすまを蹴り開けて外にでる。
縁側の下の一段低くなった敷石にたらいをがん! と音を立てて置いて、
そこに一気に両足を突っ込んだ。
じゃぷん、と水が跳ねる。
東側の縁側の太陽に照らされて、水滴がきらきらと、珠になった虹みたいに
飛び散った。
- 15
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:20:53.66 ID:QM5/BA12P
- ノハ*゚听)「んむぐっ、ちゅぽんっ。
ひゃあああああああ〜〜〜〜……」
くわえたままのチューペットを口から引き抜いて、大きくひと息。
ノハ;゚听)「あ゛〜〜〜〜……けっこう、汗かいちゃったぞ。
やっぱり、走ると暑いなあ」
制服は汗でびっしょりだ。
生地が汗でぬれておなかの脇ににへばりついて、肌色が透けちゃってる。
チューペットから垂れた冷たい水滴が、太ももに落ちた。
ノハ*゚听)「ひやっ!」
- 16
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:26:59.61 ID:QM5/BA12P
┼─┨| | | | | |、// |
┠─┼─
┼─┨| | | | | | //、 (~),,
... . ... .,.. ┠─┼─
┼─┨| | | | | |||ミ、 . ノ...
.. ..... . ┠─┼─
┼─┨| | | | | ||、m
.,.. ....,.. ┠─┼─
┼─┨| | | | | ||| ^ ..... ........ ......... .,...
┠─┼─
┷━┫| | | | | |||ミ ... ...┣━┷━
┃ /_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_..
┃
━━┛. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┗━━━
あらためて、縁側から外を見る。
軒下は日陰。足に伝わる水の、やわらかくて涼しい感触が、疲れた足に
気持ちいい。
縁側から見る中庭は、強い太陽の光に映されて鮮やかな写真みたい。
植え込みの影はくろぐろとして、強くて明るい光に照らされて揺れてる。
そして、目に映るものぜんぶ、輪郭が光ってぼやけてしまうような。
そんなわけないけど、太陽の光で、しいん……って、音がするみたいだ。
和室も多いし、古くさい家って言われることもあるけど。
わたし、このうちが好きだなあ。
タライにひたした足を、じゃぶじゃぶと動かしてみる。
きらきらの光をあふれさせた水面がゆるく波うって、水滴を庭に飛ばした。
- 18
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:30:10.01 ID:QM5/BA12P
みーんみんみんみんみんみん……。
セミの声が、あちこちからたくさん聞こえる。
足はちゃぷちゃぷと冷たくて、気持ちいい。
頭のなかまであたたかくなって、ぼうっとしてくる。
熱中症とかじゃなくって、ただ、眠くなってくる。
そういえば、お弁当を食べてからまだ、あまり時間もたってない。
ノハ∩')「なんか……思いっきり運動したから、つかれちゃったぞお……」
からだは、ぽかぽか。
日陰の風は涼しくて、足は冷たい。
ノハ*'')「そういえば……お姉ちゃんたち、まだかなあ……ふわああああああ。
あにゃ、アイス……」
チューペットをくわえて、そのままどさっと後ろに倒れる。
ひざから下を曲げた足はたらいにつけたまま、日陰で仰向けになった。
- 19
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:34:21.55 ID:QM5/BA12P
- 縁側の木の板の、硬くて冷たい感触。
腕で目を覆うと、すうっ……と、空に吸い込まれるみたいに気が遠くなった。
畳のにおいと、太陽のにおい。
くちびるには冷たくて、あまい味。
ノハ* ー )「……あむ。んにゃ…………」
腕のすきまから、まぶたごしの光で、目の前は赤くて暗くなる。
そのまま、ふ、と、意識がとぎれた。
戻る