今回のお題
・「ツーが受け」
・「渡辺×ドクオ」
- 2 :
◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:29:04.37 ID:uW+hOffz0
- 普段の笑みを捨て、怒りを露わにするツー。
パリパリと、雷のように光を放つ魔力を纏った体で、ズカズカと渡辺たちに歩み寄る。
从 ∀从「……ショボンは、アタシが殺したようなもんだな。結果論だけど」
ハインリッヒが、涙を拭きながら立ち上がり、ツーと目を合わせる。
過程はどうあれ、ショボンはハインリッヒと関わったために死んだ。
(#゚∀゚)「ほう……素直な奴は大好きだぜ。オレは」
寿命だとか心臓病だとか、そんな事はツーだって知っていた。
それでも許せない。主に歯向かったこいつらが許せない。
(#゚∀゚)「ただ……それとこれとは別問題だ」
ツーが手に青白い光の球を生成する。
その大きさは顔よりも大きく、威力は絶大だ。
ハインリッヒ目がけ、ツーが掛け声と共に光の球を放つ。
(#゚∀゚)「死ねぇっ!!」
しかし。
その球は、ハインリッヒに届く前に遮られた。
ハインリッヒの前には、手をかざし防御魔法を展開する渡辺が立っていた。
从'ー'从「……止めなよ」
(*゚∀゚)「……何すんだよ、ワタナベ」
- 3 :
◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:32:22.89 ID:uW+hOffz0
- *******************
―――――あらすじ
どこにでもいるごく普通のドジっ娘天然女子高生、渡辺。
しかし、彼女の真の姿とは!
異世界の存亡を賭けて勇ましく戦う、正義の魔法少女『魔法少女ワタナベ』なのだ!
「从'ー'从はsnegな魔法少女のようです」第二十七話
******************
- 5 :
◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:35:23.52 ID:uW+hOffz0
- (*゚∀゚)「いくらワタナベと言えど、今のオレの前に立つなら……容赦しねぇぜ」
从'ー'从「望むところだよ」
ツーが近づいてくる。
しかし、渡辺は慌てることなく、ドクオが握っている魔法の杖に手を伸ばす。
从'ー'从「ドクオ、ちょっと貸してね」
('A`;)「ちょっ、渡辺!?!?」
油断していたためか、あっさりと渡辺に杖を取られてしまうドクオ。
ツーと渡辺が、申し合わせでもしたかのように同時に空中へ飛び上がる。
(*゚∀゚)「はあぁっ!!」
从'ー'从「『フレイムアロー』!!」
(*゚∀゚)「甘ぇよ!!」
ドーム球場ほどの高い天井を持つ研究所の中を、縦横無尽に飛び交いながら、両者とも魔法を飛ばす。
ツーが手から光を放ち、渡辺が杖の先に炎を纏わせる。
(*゚∀゚)「逃げんなよワタナベ!!」
渡辺のほうが若干移動スピードが落ちている。
しかし、だからといってツーが手加減してくれるわけではない。
動けない分は、数で勝負する。
- 6 :
◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:39:15.21 ID:uW+hOffz0
- 从'ー'从「もういっちょ!!『フレイムアロー』!!」
(*;゚∀゚)「ちっ!!」
2、4、8、16……と数が増えた炎の球を、一気に開放する。
数撃ちゃ当たる、では無いが、そのうちの数個が動き回るツーに当たった。
(*;゚∀゚)「ぐううぅっ!?!?」
从'ー'从「『クリムゾン・インパルス』!!」
止まった隙に、渡辺がチャンスとばかりに杖の先から紅の雷撃を放つ。
まともに食らってしまったツーは弾かれ、壁際にずらりと並ぶ生体ポットを一つ壊し、墜ちた。
(*; ∀ )「ぐはっ!!」
ガシャンと音を立て壊れた生体ポットから、中の培養液が床に漏れる。
渡辺がツーに近づき、床に倒れているツーの顔の横に、魔法の杖の斧のようなデザインの部分を突きたてた。
(#゚∀゚)「……畜生」
培養液で濡れたツーが、ギリッと歯を食いしばる。
渡辺は、そのまま何もせずツーへと話しかけた。
从'ー'从「ツー……あなた、ショボンさんの事」
(* ∀ )「……ああ、好きだったとも」
ちょっとの間目を閉じたツーが、ショボンとの日々を思い出しながら語る。
顔を染めながら、ツーの目に培養液とは違う液体が溜りだしていた。
- 8 :
◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:41:32.78 ID:uW+hOffz0
- (* ∀ )「大方ショボン様からオレの役目でも聞いてたんだろ?ああそうさ。前にお前の事を『性玩具』なんて言ってたけど」
(* ∀ )「……オレのほうがよっぽど玩具だったさ」
そこまで言うと、ツーは渡辺を蹴り上げ急に立ち上げる。
从'ー';从「くひゃあっ!?」
不意をつかれ、蹴られた腹を押さえたままうずくまる渡辺。
その頭上に、青白い魔法の光を纏ったツーが浮いていた。
(#゚∀゚)「だからなんだ!!オレがショボン様を好きになったらダメか!!あぁん!?!?」
手に、新たな魔力の球を生成する。
今度は、さっきよりも更に大きな球。
(#゚∀゚)「ちくしょぉぉっっ!!こんな物……こんな物!!」
天井から、ショボンの愛用していた装置たちを見下ろす。
大きな培養スペースから、小さな遠心分離機まで。
すべてに、ツーの思い出が詰まっていた。
(#゚∀゚)「ショボン様が居なくなっちまったんなら、ぶっ壊してやるよぉぉぉ!!」
ツーが放った光は、研究所の真ん中の、一番大きな生体ポットの根元に当たる。
その瞬間、根元にあった装置から、ツーの物とは別の光が勢いよく漏れ出した。
- 9 :
◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:44:01.93 ID:uW+hOffz0
- ('A`;)「く……!?やべぇ!!」
研究所を震源として、魔族の城自体が大きく揺れる。
从 ∀从「……装置用のエネルギーが……暴走しだしやがったか……」
('A`)「ハイン?」
从 ゚∀从「こりゃあ高濃度の魔力か。確かに高火力の燃料も電力も無い、この時代なら妥当だな」
天井がパラパラと崩れだした。
生体ポット群は振動で割れ、中から培養液を噴出する。
('A`;)「くっ!!おい渡辺!!逃げるぞ!!」
ハインリッヒを防御魔法で守りながら、ドクオが渡辺に近づく。
从 ー 从「……ドクオは、ハインと先に出てて」
('A`;)「……何だと?」
从'ー'从「私は、ツーと最後まで決着付けるよ」
('A`;)「渡辺……!?何言ってr」
そこまで言ったドクオ。
次の瞬間、言葉を発する事ができなくなる。
- 11 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:46:45.05 ID:uW+hOffz0
- ('A`;)「んぶぅぅっ……!?」
渡辺がドクオの口の中に舌を入れてくる。
ピチャピチャと頭の中にダイレクトに、いやらしい音を響かせながら、渡辺がドクオの舌をまさぐる。
从*///从「ん……っ……む……はぁ」
すぐに渡辺が口を離し、ドクオと渡辺の口の間に涎のアーチができる。
从'ー'*从「……続きは、帰ってからね」
('A`*)「渡辺……?」
それだけ呟くと、渡辺はドクオとハインリッヒを防御魔法の盾で吹っ飛ばした。
入り口付近の制御装置の辺りまで飛ばされた二人。
更に追い討ちをかけるように、天井から大きな岩が落ちてきた。
('A`;)「ぐうっ!?」
从;゚∀从「うわあぁあっっ!!」
二人が岩に押しつぶされる事は奇跡的に無かったが。目の前は完全に岩のみ。
これで、完全に研究所とドクオたちのいる通路が寸断された。
後はエレベーターを使って地上に戻る事しかできない。
('A`;)「わたなべぇぇぇっ!!」
- 13 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:48:59.98 ID:uW+hOffz0
- *******************
(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャ!!テメーもバカだねぇ!!」
二人きりになったツーと渡辺。
崩壊が進む地下の研究所で、地に足をつけて対峙する。
(*゚∀゚)「こんな国一つ捨ててとっとと自分の世界に帰ってれば、こんな地中でのたれ死ななくてもよかったのによぉ!!」
狂ったように笑うツー。
ショボンを失った悲しみを紛らわすように、渡辺へ叫ぶ。
从 ー 从「……『こんな』、かぁ」
从 ー 从「私とあなたがやってる事は、似たようなもんだよ」
(*;゚∀゚)「何だ……と?」
そんなツーを、渡辺がにらみ返した。
戦斧を模した魔法の杖をギュッと握り締め、精神を集中しだす。
从 ー 从「あなたは、愛する人がいなくなった世界を壊そうとしている」
从'ー'从「私は……愛する人のために、この世界を守る……!!」
- 15 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:50:51.54 ID:uW+hOffz0
- イメージは、魔法を覚えたての頃に使っていた『ピンチになると出る光』。
直感で、魔力がものすごい勢いで漏れ出す、壊れた装置に手を掛ける。
从゚ー゚从「はぁぁぁ……っ!!」
(*;゚∀゚)「なっ……!?何だこりゃぁ!?」
渡辺の体の中に、異質な魔力が流れ込んでくる。
さっきのツーのように、いや、それ以上の魔力の光を身に纏う。
強い風のような魔力の流れに、渡辺の魔力甲冑がめくれ上がり、髪は逆立っていた。
从゚ー゚从「おああぁぁぁああぁ―――――っ!!」
渡辺の体に、あまりにも過大な魔力が注がれていく。
しかし、甲冑をボロボロにしながらも、渡辺は倒れない。
(*;゚∀゚)「なっ、これは……っ!?!?」
魔力をコントロールする。
いつもの朝鍛錬の延長線上だ。
- 16 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:52:47.71 ID:uW+hOffz0
- 从゚ー゚从「はぁぁぁぁぁああぁあ……」
戦斧風の魔法の杖の先から、ドクオの『スパーキング・エッジ』のような光が噴き出す。
(*; ∀ )「力が抜けていく……!?魔力があの光に奪われていくようさね……っ」
渡辺の体の周りに魔力が集まっていくのと反比例するように、
ツーの体は弱っていく。
(*; ∀ )「……流石ワタナベ」
从゚ー゚从「はぁぁああああぁ―――――!!」
最後に、渡辺が高く魔法の杖を掲げ、叫んだ。
从゚ー゚从「―――――『セイクリッド・レイ』!!」
渡辺の体から光の柱が噴き出し、その光はツーをも飲み込んだ。
(*; ∀ )「あひゃああぁぁぁああああ―――――っ!?!?」
- 18 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:55:12.95 ID:uW+hOffz0
- ******************
从;゚∀从「くっ!!まだこいつらが残ってやがったか」
('A`#)「おらぁ!!クーとツンから離れろ!!」
エレベーターが登りきると、そこは当然クーやツンが魔族の出来損ない達に輪姦される空間だった。
ドクオとハインリッヒが必死になって追い払うが、数が違いすぎる。
ξ;///)ξ「はぁぁっ……あ……くっ……!!」
川;●-//)「くっそ、足が笑ってしまって……っ!!」
ツンとクーも助太刀しようとするが、体が思うように動かない。
特にクーは、絶頂を何度も迎えてしまっている分、もう一人分体重が増えたかのような足取りだ。
从;゚∀从「ち、囲まれたか」
魔力は尽き、甲冑はボロボロ、肌には傷が走る。
無数の魔族の群れが輪になって四人を囲み、襲い掛かるチャンスを伺っていた。
川;●-゚)「万事休す……なのか」
絶望的な状況でクーが吐いた弱音を、ドクオがたしなめる。
- 19 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
01:57:25.05 ID:uW+hOffz0
- ('A`)「いや、渡辺がまだ下で戦ってる。俺らが諦めてどうする?」
ξ゚听)ξ「……それもそうね」
4人が気合を入れなおし、魔族たちの襲来に備えて構える。
その時、ドクオが何かに気付いた。
('A`)「待てっ!!」
ドクオが皆を止めた瞬間、魔族たちの後ろから光の柱が勢いよく噴き出した。
川;●-゚)「なっ……!?これは何だ!?!?」
当然、地下からの物である。
何が起こったのかと混乱するクー。
从 ゚∀从「すげぇ魔力を感じる……渡辺か」
ξ; )ξ(あっ……まずいわね、この魔法は……)
ハインリッヒはその光の主を即座に当て、
ツンはなぜかその場に膝をついて倒れこんだ。
- 22 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
02:01:12.95 ID:uW+hOffz0
- *******************
その光の柱は、遠く離れたν速国城からでもはっきりと見えた。
⌒*(・ω・;)*⌒「なっ、何やあの光は!?」
どんよりと雲がかかっていた空を突き抜けるような光。
ツイン=テルコは見張りの役目も忘れ、その光に見とれていた。
( ^ω^)「……『浄化の光』に限りなく似てるお」
⌒*(・ω・)*⌒「ブーン王!?」
いつの間にか、ブーン王が見張り台まで来ていた。
ここが一番ν速国城で見晴らしがいい。
( ^ω^)「ν速国最古の魔導書の、最後のページにある高等魔法だお」
雲を切り裂く光の柱を見ながら、ブーン王は呟いた。
( ^ω^)「……ワタナベ。君はまさにこの国の救世主だお」
- 23 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
02:03:58.75 ID:uW+hOffz0
- *******************
瓦礫の山となった、元・研究所。天井には大きな穴が開いている。
その穴は魔族の城の中央をぶち抜き、地下からでも空が見えていた。
(*; ∀ )「はぁ……あ……く……」
瓦礫の上に弱々しく転がるツー。
『フェイズ2』とは言え、魔力も生命力もごっそり削られたツーはもはや虫の息だ。
从 ー 从「……ツー、私はあなたを助けたい」
ボロボロの渡辺が、ツーの視界に入ってきた。
ここで渡辺が魔力を供給すれば、ツーは生き残れる。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、そんなお情けまっぴらゴメンだね。オレはこのままショボン様のところまで行くよ」
笑いながら、ツーが渡辺の助けを拒む。
『魔族』としての最後の意地がそうさせた。
(*゚∀゚)「ただ……最期に一つ、頼んでいいか?」
从'ー'从「なぁに……?」
渡辺が膝をつき、ツーへと顔を近づける。
- 27 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
02:07:20.61 ID:uW+hOffz0
- (*゚∀゚)「オレに……キs」
何かを言おうとしたツーの唇を、渡辺が奪った。
(*;゚∀゚)「んむぅぅぅっ!?!?」
从*///从「んっ……はっ……むぅぅっ……」
唾液を交換しながら、ツーの舌と渡辺の舌が絡み合う。
まるで恋人同士のディープキスのように、時間をかけた。
(* ∀ )「ふぅぅっ……ちゅ……むっ……」
从 ー *从「ん……ふぁ……ん」
唇が離れると、きょとんとしたままのツーがやっと口を開いた。
(*゚∀゚)「あ……ワタナベ……?」
从'ー'从「ツーなら『最期にオレとキスしろ』って言うような気がしたんだぁ……」
- 30 : ◆xHu6Zz1VAI :2008/01/27(日)
02:11:04.56 ID:uW+hOffz0
- (*゚∀゚)「アヒャ、敵わねぇなぁ」
いつものような笑みを残し。
ツーの体が粒子になって、サラサラと消えていった。
ぶち抜いた天井から青空が見える。
从;ー;从「……さよなら」
空を見上げながら、渡辺が呟いた。
戻る