5 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:09:10.70 ID:vGcp0eCqO
第一話

ξ゚听)ξ「今日もよろしくお願いします」

真っ白な白衣を着た女性が軽く頭を下げる。
彼女の名はツン。
3日前からこの市の死体安置所で働いている女子大生だ。

(´・ω・`)「大分慣れてこれたかな。まぁよろしく」

その彼女の挨拶に優しく答える男性はショボン。
少し濃い髭が印象的な彼はこの安置所の所長を努めている。
ショボンが言うにはここは他とは違い市が運営しているらしい。

(´・ω・`)「そう言えばまだここで死体を扱う仕事はしたことがないよね」

コーヒーをツンに渡しながら「最初は辛いけど頑張ってね」と少し苦笑いをしてツンに話しかけるショボン。
ツンは頑張りますとだけ答える。
7 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:10:39.31 ID:vGcp0eCqO
ショボンとツンが事務所で軽い雑談を交わしているとそこへ一本の電話が入る。
ショボンは手を伸ばして受話器を取る。

(´・ω・`)「はい…はい…えぇ…わかりました」

ショボンは何回か返事をしたあと「お願いします」と言い受話器を戻す。

ξ゚听)ξ「今の電話は?」

(´・ω・`)「あぁ。今から死体が運ばれてくるそうだ。辛いかもしれないが初仕事、頑張ってくれよ」

ξ;゚听)ξ「はい。わかりました」



8 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:11:51.19 ID:vGcp0eCqO
待つこと数十分。
安置所の重たい扉が開かれる音が聞こえた。
その音を聞き事務所から安置所の方へと向かうショボンとツン。

(´・ω・`)「お疲れさまです」

(警`д´)「お疲れさまです」

警察官が担架の様な物を押しながら安置所へと入ってきた。

(´・ω・`)「身元と死因は?」

鼠色の遺体袋を開けながら質問を投げかける。
中からは綺麗な女性の遺体の姿が現れた。

(警`д´)「ハインリッヒ高岡、24歳です。死因は交通事故で頭を強く打ち即死です」

(´・ω・`)「わかった。ありがとう」

ショボンに数枚の紙を渡すと警察官は軽く会釈をして安置所をあとにする。

(´・ω・`)「VIP通りで…午前10時死亡ね…」

紙をめくりながらぼそぼそと呟くショボン。
ツンはその内容を耳にしていたがあまり気にもとめていなかった。


9 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:13:25.40 ID:vGcp0eCqO
ξ゚听)ξ「この人…可哀想ですね」

亡くなった女性の赤みを失った顔を見ながらそっと呟く。

(´・ω・`)「うん、でもこの仕事をしているからには感傷に浸ってる場合じゃないんだ。やらなきゃ行けないこともたくさんあるからね」

ショボンはそう言葉を残すとそそくさと事務所へと向かう。
これから忙しくなる雰囲気だ。


10 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:14:33.98 ID:vGcp0eCqO
ツンもショボンの作業を手伝おうと事務所へと足を運ぼうとする。

「た……けt」

ξ゚听)ξ「え?」

「何か」が聞こえた。
確かに耳にその「何か」が聞こえてきた。
ツンは音が聞こえてきた方を振り向く。
しかし、振り向いた先にはなにもなかった。

ξ゚听)ξ「気のせい…か…」

小さく呟く。
そして寝かせられた女性の遺体へと目をやった瞬間だった。

从 ゚∀从「助けて」




11 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:15:05.18 ID:vGcp0eCqO


ξ゚听)ξ「朝…?」

カーテンの隙間から朝日が差し込む。
その差し込む光には見覚えがある気がした。

ξ゚听)ξ「なんだったのかしら…夢?」

実にリアルな夢だなぁとツンは思った。
目が覚める少し直前、走馬燈のように一日の出来事が目に映ったのでハッキリと内容を覚えている。

('A`)「おはよう姉貴」

聞き慣れた声が聞こえた。
声の持ち主は弟のドクオだ。

ξ゚听)ξ「おはよう」

('A`)「姉貴今日は仕事か?」

ξ゚听)ξ「まぁ一応ね」

少ししてからツンはドクオとの会話のやり取りが夢の中とそっくりだと感じる。
まさか、と思いドクオにとある質問を投げ掛ける。

ξ゚听)ξ「あんたの今日の予定は?(もしドクオが競馬だと答えたら…あの夢は…)」
13 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:17:17.52 ID:vGcp0eCqO
ツンの予想は見事に的中した。

('A`)「今日は久々の競馬だよ?なんで?」

ドクオの答えに少し寒気を覚えた。

夢と同じ。
そしてあの夢は夢ではないのではないかと。
ツンは一人で考え込む。

ξ゚听)ξ「確かめに行かなきゃ…」

('A`)「?」

ξ゚听)ξ「ごめん私出かけてくる!」

困惑気味のドクオを後目に家を出るツン。
ツンは微かな記憶を手繰り寄せながらショボンの言っていたことを思い出す。

ξ゚听)ξ「VIP通りで…10時に…」

腕時計を確認する。
15 :>>12 元ネタがそうなっています :2007/01/03(水) 20:18:11.91 ID:vGcp0eCqO
時刻は9時を指していた。

ξ゚听)ξ「急がないと…」

ツンは小走りでVIP通へと向かう道のりを歩み進んで行った。






16 :あわわ 最初に言っておけばよかった…:2007/01/03(水) 20:20:17.08 ID:vGcp0eCqO
ξ゚听)ξ「やっと着いた…」

時刻は10時5分前。
なんとか間に合ったと思い胸を撫でおろす。
しかしツンにはのんびり落ち着いてる暇はなかった。

ξ゚听)ξ「あの女の人は…」

辺りをキョロキョロと見回す。
すると夢の中で見た女性が歩いているのを確認する。

从 ゚∀从「でさーwwwあぁwうんうんww」

電話をしながら信号待ちをしている女性。

ξ゚听)ξ(あの人だ…)

ツンはその女性の姿を確認すると腕時計の時間を見る。
時刻は…10時一分前。

ξ゚听)ξ(夢かどうか…!)
18 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:21:03.10 ID:vGcp0eCqO
ツンは自分の勘を信じて女性に近寄った。
そして手を握り走り出した。

从;゚∀从「え?ちょwなんだ!?」

ξ゚听)ξ「早く来て!」

ツンは女性を引き連れて交差点から離れるように走った。

从#゚∀从「おい!なにすんだよてm」

手を振り払い、女性がツンに怒鳴ろうとした直後。
辺りに大きな音が響きわたった。
二人はほぼ同時に振り返る。

从;゚∀从「な…」

ξ゚听)ξ「うわ…」

二人の目の前に広がった光景はガードレールにぶつかっている状態大型のトラックだった。
しかもその場所はちょうど女性が立っていた場所にあたる。

幸いにもこの事故に巻き込まれた人はおらず運転手も軽傷だったらしい。

从;゚∀从「その…ありがとな…」

ξ゚听)ξ「……どういたしまして」


20 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:22:30.89 ID:vGcp0eCqO


ξ゚听)ξ「ふぅ…」

(´・ω・`)「どうしたんだいツンちゃん」

コーヒーを両手に持ち事務所へとやってきたショボン。

ξ゚听)ξ「今日は大変なことがありまして…」
(´・ω・`)「仕事前に疲れてちゃあなぁw」

ショボン苦笑いをしながらコーヒーを啜る。
そして何かを思い出したかのようにツンに訪ねる。

(´・ω・`)「そう言えばまだここで死体を扱う仕事はしたことがないよね」

ツンはショボンの言葉に恐怖を覚えた。
そして確信した。


21 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:23:31.51 ID:vGcp0eCqO





あれは…夢なんかじゃない…






現実なのだと







22 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:24:22.52 ID:vGcp0eCqO
(´・ω・`)「どうしたんだい?まぁ最初は辛いけど―」

ξ゚听)ξ「あの…ショボンさん」

(´・ω・`)「ん?」

ξ゚听)ξ「あ…いえ、なんでもないです…」

ショボンは少し疑問を持ちながらも話を進める。
しかしツンの耳にはショボンの話などは聞こえていなかった。


自分の能力に気付いてしまった。
ツンは自分に恐怖感を抱く。

(´・ω・`)「大丈夫かい?」

ξ;゚听)ξ「え?あぁ…はい…」

コーヒーを飲んで落ち着こうとカップを口元に運ぼうとする。
しかし、その手は小刻みに震えていた。



23 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:24:47.01 ID:vGcp0eCqO
(´・ω・`)「何があったかはわからないけど大分疲れているようだね」

「今日は早く帰って休むといいよ」とツンに告げるショボン。
ツンはショボンの言葉に甘えることにした。




24 :わけぎ:2007/01/03(水) 20:25:22.18 ID:vGcp0eCqO


ξ゚听)ξ「ただいまー」

暗い室内に響き渡る自分の声。
ツンはその声がなんだかおかしくて笑ってしまった。

ξ゚听)ξ「ははは…あードクオはまた遊びか」

コートをソファーに掛けてベッドに直行。
そのまま倒れ込む。

ξ゚听)ξ「あー…疲れた…」

ツンはそのまま夢の中へと行ってしまった。

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