- 32
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:25:32.01 ID:8Mx01AeYO
- (;'A`)「ハァ、ハァ、ハァ………」
バナナボートに乗ったドクオは、沈んでは浮いて、沈んでは浮いてと、死にもの狂いでオールを漕ぎまくった。
(;'A`)「つ、着いたのか……?」
やがてドクオは海岸線に敷かれた真っ白な砂浜に辿り着くと、疲労困憊の体を打ちつけてすぐに意識を失った。
- 33
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:26:07.66 ID:8Mx01AeYO
- ('A`)が地図に無い島へ行くようです・第2話
- 35
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:27:21.92 ID:8Mx01AeYO
- 〜('A`)が砂浜に辿り着く1ヶ月前〜
( ・∀・)「よーしお前ら! 今日の仕事はここまでだ!!」
親方が高台の上で、叫びながら鐘を鳴らした。
( ><)「皆さんお疲れ様なんです!!」
( ´_ゝ`)「流石に今日も疲れたな」
それまで忙しそうに動いていた者達が、鐘の合図とともに一斉に伸びをしたり隣りの者とお喋りを始めた。
(*゚ー゚)「何言ってるの。兄者くんはいつも仕事手抜きしてるじゃない」
突然、人混みの中から1人の少女が背の高い男の背中をひっぱたいた。
( ´_ゝ`)「アウチ!」
( ><)「相変わらずしぃちゃんは兄者さんに手厳しいです」
同僚の中で笑いが起こると、少女も明るい笑顔を振る舞った。
- 36
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:29:28.34 ID:8Mx01AeYO
- (*゚−゚)「失礼します」
先程の笑顔とは違い、緊張の面もちで少女はドアを叩いた。
( ・∀・)「おう、しぃ。まぁ緊張せずに入れよ」
しぃと呼ばれた少女が部屋に入って行くと、先程鐘を鳴らしていたガッシリとした体格良い親方が椅子に座っていた。
( ・∀・)「ほれ、今月分の給料」
(*゚ー゚)「ありがとうございます」
しぃは親方から紙包みを受け取った。
( ・∀・)「それにしてもお前は大変だな。
早くして親兄弟を亡くして、まだ若いし女なのにこんな肉体労働しなきゃいけないなんて……」
(*゚ー゚)「……行く宛も無いところに、モララー親方のご好意で困っている私を拾ってください、本当に感謝してます」
しぃがモララー親方に向かって頭を下げた。
( ・∀・)「やめろよ、別に俺は当たり前の事をしただけさ。
お前の親父にも色々と世話になってたし、これで恩返しができたかなって思ってるんだ」
- 37
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:30:30.92 ID:8Mx01AeYO
- モララー親方は窓の外の遠くを覗き込んだ。
しぃも一緒になって、遥か彼方を見つめていた。
(*゚―゚)「……私がまだ幼かったころ、家に何者かが押し入り私意外の家族を皆殺しにしていきました。
特に部屋を荒らされた様子も無く、未だに犯人が何の目的で私達を襲ったのかわかりません」
語り続けるしぃの目が、にわかに潤んできた。
(*;―;)「なんで私だけ生きているのか……、今でも答えはわかりません。私が寝てる間に死んでいったお父さんやお母さん、お兄ちゃんが、ただただ天国報われることを毎日祈って……」
(;・∀・)「あぁ、すまない。嫌な事を思い出させてしまったようだ。
……とにかく、これから亡くなった家族の為にも明るく生きていかなきゃ!」
どんどん落ち込んでいくしぃを見かねて、モララーはしぃの話を無理矢理に遮った。
- 38
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:33:31.33 ID:8Mx01AeYO
- (*゚ー;)「……はい、そうですね」
親方の心遣いに感謝しつつ、しぃは涙を拭って笑ってみせた。
( ・∀・)「それはそうと、しぃはよく働くから今月の給料オマケしといたぞ」
(;゚−゚)「えっ!? そんな悪いですよ! 親方には食と住まいも提供してもらってるのにそこまでしてもr」
( ・∀・)「ほれ! ……お年頃の女の子なんだし、これで好きな服でも買ってきなさい」
突然の告白に動揺したしぃの言葉をモララーが遮った。
(;゚−゚)「で、でも……」
( ・∀・)「さぁ、俺はまだ仕事がたんまり残ってるんだ。邪魔だからさっさと出ていきな」
モララーはそう言うと、回転椅子を回してそっぽを向いた。
(*゚ー゚)「………ありがとうございます、親方」
しぃは机から離れると、ドアの前でモララーの方へ振り向き、深く一礼した。
- 40
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:35:27.77 ID:8Mx01AeYO
(*゚ー゚)「ふぅ、今日も疲れたなぁ」
しぃはふかふかなベッドに寝転がった。
(*゚―゚)「……お母さん」
今日モララーと話した事により、ちょっと気分が落ち込んでいた。
(* ― )「……お父さんもお兄ちゃんも、なんで死んじゃったの?」
しぃは枕元のランプの灯をそっと消した。
すると、ランプの優しい光に包まれていた部屋が、一切の闇に飲み込まれる。
何も見えないその部屋では、吹きかける風に窓がガタガタと音をたて揺れるだけであった。
(* ― )「やっぱり1人は寂しいよ……」
暗い部屋の中で、しばらく少女のすすり泣く声がしていたが、やがてその声も止んだ。
真っ暗な空の上にぽつんと浮かぶ月が傾いてきた頃。
真っ暗な部屋に響く窓の擦れた音が突然止み、おもむろに窓が開いた。
- 41
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:37:06.22 ID:8Mx01AeYO
- (*-ー-)「ん〜」
何者かが入ってきたようだが、しぃは眠っていて気づかない。
「…ぃ……しぃ……」
何者かがしぃに語りかける。
(*-ー゚)「ん〜、だれ〜?」
「しぃ……起きなさい」
自分の名を呼ぶ声に反応しぃは目を覚ました。
( )「しぃ、あなたは選ばれたのです」
何者かが、しぃに語りかける。
(;゚ー゚)「!? 誰っ!?」
- 43
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:38:02.66 ID:8Mx01AeYO
- はっきりと目を覚ましたしぃの目には、眩い光に包まれた女が立っていた。
( )「私は神の世界に住まう女神。今日はあなたにお告げをしに来ました」
しぃが目を凝らして女の顔を見ようとするが、あまりの眩しさに確認することができない。
( )「1ヶ月後の夜、南の浜辺に三日月に乗って天の遣いがやってきます」
(;゚ー゚)「ちょ、ちょっと待って! いきなりで何言ってるかわかんないんだけど。てゆうか鍵締めてたのにどうやって入って来たの?」
( )「それまでに、トウハト草原に大きな屋敷を作りなさい」
(;゚ー゚)「華麗にスルーされたww」
- 44
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:40:29.56 ID:8Mx01AeYO
- しぃの動揺を気にも止めず、女神と称する者はその後数分に渡って、淡々としぃに告げ続けた。
( )「……しぃ、私はあなたならやれると信じています。励みなさい」
(;゚ー゚)「……とりあえず私のしなきゃいけない事ってのはわかったけど……」
しぃは動揺しながらも、何者かの言うことを素直に受け止めていた。
( )「わかってくれて嬉しいわ。……では、お別れの時間よ」
何者かがそう言うと、突然何かをしぃに向けた。
(;゚ー゚)「な、何を……!」
しぃが言い終わらないうちに、何かが弾けたような乾いた音が辺りにこだました。
- 45
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:41:42.07 ID:8Mx01AeYO
- 静かに佇む窓から、朝の光がしぃに降り注いぐ。
(*-ー゚)「…むにゃ、あれ、朝?」
目を覚ましたしぃは、ベッドから起き上がると気持ちよさそうに伸びをした。
(;゚ー゚)「あっ! そういえば!」
しぃはとっさに部屋のドアや窓の鍵を確かめた。
しかし、やはりどれも閉まったままであった。
(;゚ー゚)「おかしいな……、じゃあやっぱり昨日のは夢? てことは本当に神のお告げなのかな?」
昨日女神とやらが去る前、頭部に衝撃を受けたような気がするが、鏡で見てもなんともなかった。
(*゚ー゚)「よくわからないけど……
とりあえず、職場の仲間に相談しようかな……」
- 47
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:43:45.24 ID:8Mx01AeYO
(*´_ゝ`)「ぬははははww しぃが狂ったwww」
(;><)「ちょっと兄者さん! 流石に酷いんです!」
しぃは職場の仲間に昨夜の事を話してみたが、誰からも相手にされなかった。
(*´_ゝ`)「だって有り得ねぇよwww 女神とか(笑)」
(;><)「……兄者さんのように神を冒涜するわけではないですけど、確かに僕もちょっと信じられないんです」
しぃ自身もにわかに信じられないのだが、やはりあれを体感していない他人には尚更のようだ。
(;゚ー゚)「うん……やっぱりそうだよね…」
しぃが少し落ち込んだ表情をする。
- 49
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:45:39.73 ID:8Mx01AeYO
- ( ・∀・)「おいテメェら、仕事もしないで何騒いでるんだ?」
と、突然モララーが騒がしい仕事場に降りてきた。
(;゚ー゚)「あっ、いえ! 私が悪いんです!」
(*´_ゝ`)「そうそう、コイツが全部WRY」
( ・∀・)「テメェは少し黙ってろ」
やたら興奮している兄者の顔面を、突進しながらのモララーの鉄拳が炸裂した。
( ・∀・)「マッパ!」
(#)_ゝ`)「あべし」
( ><)「親方のステップが速すぎて一瞬目に見えないんです!」
(*゚ー゚)(親方は相変わらず無敵付加が巧いなぁ…)
- 50
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:48:15.48 ID:8Mx01AeYO
- ( ・∀・)「はしたないようだが(ry
とりあえず、しぃ、訳を話しなさい」
(;゚ー゚)「は、はい……」
モララーは兄者をフルボッコにし終わると、何事もなかったのようにしぃに問いかけた。
(*゚ー゚)「……、……、……って事が昨日あったんです」
( ・∀・)「そうか。それなら直ぐに屋敷の建設に取りかからないとな。よしおまえら、村人全員集めてこい!!」
Ω<な、なんだって――!?
思いもよらなかったモララーの言葉に、その場にいた者全てが思わず声をあげた。
(#)_ゝ(#)「お、親方!? その話を間に受けるんですか!?」
( ・∀・)「何寝ぼけたこと言ってんだテメェら。しぃが今まで嘘ついたことあるか?」
数々に噴出する疑問の声を、モララーが一喝し、場を静まらせた。
- 51
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:50:24.14 ID:8Mx01AeYO
- (;><)「確かにそうなんです……」
(;゚ー゚)「で、でも私もはっきり言って信じられないないし……
それに、村人全員でやるって言ってもその間仕事とかはどうするんですか!?」
( ・∀・)「なぁに、俺が全員の給料払うさ」
(#゚―゚)「親方!!」
しぃがモララーの悪い素振りの無いような態度に、思わず声を荒げた。
( ・∀・)「……お前はまだ自分はひとりぼっちだと思っているようだが、違う。俺はお前を信じている。
それになんだかんだ言って、こいつらみんな、色々苦労しているお前の事心配してるんだよ。なぁ?」
モララーに促され、しぃは皆の方へ振り返った。
( ><)「……確かに、そうなんです! 僕はしぃさんのこと、応援してるんです!!」
Ω「……そうだっ! 俺らもしぃちゃんのこと応援してるぞ〜!!」
沈黙を破り、集団の中から突然1人が叫ぶと、我先にと皆がしぃにエールを送りはじめた。
(*゚ー゚)「みんな……」
- 52
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:52:20.97 ID:8Mx01AeYO
- ( ・∀・)「わかったか、しぃ?
お前以外汗臭い男だらけだが、俺らは家族同然なんだ。お前が困ったらみんなが助けてくれる。いつまでも1人でうじうじしてないで、もっと俺らに心を開け!」
皆の前で呆然とするしぃの頭を、モララーがポンと軽く叩いた。
(*゚ー゚)「みんな……、こんな落ち込みやすい私だけど、仲良くしてくれる?」
Ω「モチのロンロンダブロンでさ――!」
しぃの問いかけに、皆が勢いよく答える。
(*^ー^)「……ありがとう!」
- 53
名前:第2話
◆ZB7B4XJvSk :2007/10/22(月)
12:53:22.25 ID:8Mx01AeYO
( ・∀・)「さぁて、これから忙しくなるぞ。よし、兄者、今すぐ材料の手配しろ」
改まったモララーが、床に寝転がっている兄者に命令した。
(#)_ゝ(#)「え―、何で俺がしぃなんかの為に」
( ・∀・)「マッパイルの味を忘れたのか?」
(#)_ゝ(#)「ハイワカリマシタ」
面倒くさそうに渋っていた兄者であったが、モララーが腕をブンブン回しているのを見て、すぐに立ち上がると逃げるように去っていった。
(*゚ー゚)「ふふ……兄者くんも相変わらずね」
今まで曇っていたしぃの顔には、明るい活気と笑顔に包まれていた。
〜第3話へ続く〜
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