- 10 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
11:52:44.09 ID:4aR5b+GJO
ξ*゚听)ξ「……しいちゃんのメイド服、いつ見ても可愛いわね」
( ^ω^)「うん、良く似合ってるお」
(*゚ー゚)「……ありがとう。久しぶりにこの服着たからちょっと装いを気にしてんだけど、何ともないようで良かったよ♪」
(;'A`)「イテッ!」
( ・∀・)(……おぃ、テメェ、なに前屈みになってるんだよ?
……しぃに変な気ぃ起こしたらシメルぞ?)
(;'A`)(わ、わかりましたから、さり気なく背中をつねるの止めて下さい!)
- 11 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
11:53:36.10 ID:4aR5b+GJO
('A`)は地図に無い島へ行くようです・第16話
- 13 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
11:58:07.39 ID:4aR5b+GJO
ジョルジュがはじまりの村を訪れてから1週間後、ドクオ達はラウンジの城へと向かっていた。
('A`)「……『神の国より送られし使い、ドクオ。それを予言した、女神に選ばれし巫女、しぃ。
次の祝日、ラウンジ大聖堂にてそなた達を歓迎し、洗礼を受けさせる催しを行う。前夜、城から使いの馬車を送る。それに乗って城まで来るべし。』」
ドクオが一週間前にジョルジュから受けとった手紙の内容を、狭い馬車の中で読み上げた。
('A`)「『尚、その際、同時にラウンジ聖騎士団第51代新規入団員、失踪を遂げていたブーン・トロッソの復帰祝いを行う。
当事者のブーン・トロッソ、その妻ツン・デレートの同席を許可する』」
- 16 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:00:59.95 ID:4aR5b+GJO
ξ;゚听)ξ「ちょ、私は別にブーンの妻なんかじゃないわよ!!」
ドクオの言葉を聞き、ツンが耳をつんざく音量で叫んだ。
( ・∀・)「……まぁ、似たようなもんだろ」
ξ;゚听)ξ「ちょ、親方!!」
モララーが無表情で突っ込みを入れるのをみて、ツンが更にヒートアップした。
( ^ω^)「……」
ξ#゚听)ξ「アンタも黙ってないで何か言いなさいよ!!」
( ^ω^)「……いや、ツンは僕のお嫁さんになるのが嫌なのかな、ってちょっと落ち込んでたんだお」
ブーンの少し寂しそうな顔を見て、ツンの心がキュンッと鳴った。
- 17 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:03:02.96 ID:4aR5b+GJO
ξ;///)ξ「ば、馬鹿! 私はそう言う事言った訳じゃなくて、ただ(ry」
('A`)「ハイハイごちそーさん」
ドクオが渋い面をすると、彼らのやりとりには興味無さそうにぼそりと呟いた。
ジョルジュから渡された手紙。
ドクオ、しぃ、ブーン、ツンが諸事情でラウンジに招待される事になった。
手紙を渡した後のジョルジュが言うには、
_
( ゚∀゚)「ラウンジの国王がお前としぃに興味持ったらしくてな、ここは1つ、特別に国王直々にお前らに洗礼をしてやりたいそうだ」
という事らしい。
ちょうどしぃと仲直りしたその矢先、いきなりラウンジ国王から届いた招待状。
はたしてそれが、ただの国王の気まぐれで無い事をドクオは知っていた。
- 19 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:07:18.82 ID:4aR5b+GJO
('A`)「……」
( ・∀・)「……」
狭い馬車の中で、ふとドクオとモララーの視線が合う。
手紙を渡されたあの時、ドクオと共にジョルジュの話を聞いていたモララーとショボンの2人だ。
――あの男の発した言葉は忘れる訳が無い
ショボンは用事が出来て来れなくなってしまったが――
二人は互いを見つめ合うと、確認する。
_
( ゚∀゚)「……俺は女神の正体は、しぃだと思ってるんだ」
――何があろうとも、しぃは自分達で守る
- 20 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:10:26.52 ID:4aR5b+GJO
何故、このタイミングでその話をするのか。
しぃがタイジュから帰ってきた矢先、突然現れたジョルジュという名の男。
ブーンが保証するのだから、ラウンジの国防を務めとする騎士団長という肩書きは本物なのだろう。
ブーンや他の村人達の反応を見るにも、ラウンジの騎士団長というのはこの島でもかなり権力の高い存在であることが伺えた。
――その騎士団長が、何故しぃに目をつけたのか
('A`)(………)
理由は手紙を渡された時には話さなかった。
ただ、その時のジョルジュの目が、ギラギラとしていたのがドクオの脳裏に深く焼き付いていた。
――今回の召集には、何かある
- 21 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:13:09.50 ID:4aR5b+GJO
(*゚ -゚)「……あの、どうかしたの?」
イチャつくブーンとツンを余所に神妙な面もちで黙り込んでいるドクオとモララーを見るなり、しぃが訝しげな顔をして声をかけてきた。
(;・∀・)「あぁ、いや、何でもない」
(;'A`)「う、うん、何でもないよ」
どこか慌てた様子の2人を見て、しぃは不思議そうに首を傾げる。
(*゚ー゚)「……ならいいけど。
そう言えば、何でモララーさんもついてきたの?」
しぃのさり気ない一言に、モララーとドクオは冷や汗をかかされた。
- 22 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:16:18.65 ID:4aR5b+GJO
ξ゚听)ξ「……バカだなしぃちゃん、それはしぃちゃんの晴れ姿を見たいモララー親方の親心に決まってるじゃない」
いいところで、ツンのフォローが入った。
(;・∀・)「そ、そうそう! やっぱり娘の晴れ姿を想像すると居ても立ってもいられなくなっちゃってな!!」
(;'A`)「ほ、本当、モララーさんにも困ったものだよね〜」
これ見よがしに、モララーとドクオが一気にたたみかける。
(*゚ー゚)「……ふぅん、親方はそこまで私の事思ってくれてたんだ」
( ^ω^)「おっお。親方は相変わらず親バカなんだお」
(;'A`);・∀・)(フゥ……)
何とかその場をやり過ごしたのをみて、2人は深く溜め息をついた。
- 23 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:19:18.43 ID:4aR5b+GJO
何が理由なのかは知らないが、少なくともジョルジュはしぃの事を"女神"なのではないかと疑っているようだ。
ブーンの話によると、ジョルジュは若くして聖騎士団団長になったイケイケなタイプなようで、騎士団の運営や性格の面でもかなり強引な事で有名らしい。
そんな彼が持ってきたこの話だ。
しぃを自分の城まで呼び寄せて、その場で取り押さえたりするのかもしれない。
もしそのような事態になった時の保険として、村で一番腕っぷしが強く、ドクオと共にジョルジュの言葉を聞いていたモララーがついてきたのだった。
('A`)(……しぃにはまだ話さない方がいいですね)
( ・∀・)(あぁ。下手に混乱を招くと面倒だし、ジョルジュが本人ではなくお前に言ってきたのも不可解だ。
とりあえず、今は様子見しよう)
- 24 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:24:20.58 ID:4aR5b+GJO
村を発ってからしばらく続いていた馬車の揺れが、急に止まった。
( ^ω^)「お? 着いたのかお?」
ブーンが扉を開けると、勢いよくジャンプして馬車から飛び降りた。
( ・∀・)「こらこら、あんまりハシャぐなY……」
(;゚ー゚)「……」
ξ゚听)ξ「? しぃちゃん、どうかしたの?」
馬車から降りたしぃが前方を見て固まっているのを見て、不思議に思ったツンが話しかける。
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「……」
ξ゚听)ξ「ブーンも親方も固まっちゃって、どうかしたの?」
(;'A`)(……はっ!?)
最後に馬車を出たドクオの胸に、様子のおかしい一同を見て嫌な予感が湧き起こった。
(;'A`)「な、なんだ!?」
- 26 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:32:23.54 ID:4aR5b+GJO
ドクオ達を包み込んだのは、やかましいラッパのファンファーレ――
- 29 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:39:15.10 ID:4aR5b+GJO
街の中央、石畳のしかれた広い道の先導を、ブーンとツンが乗った象がゆく。
ξ゚听)ξ^ω^)「おー」
皆の周りを、黒山のたかりになった街の人々が囲み、失踪を遂げていた戦士の帰還、それを長い事待ちわびていた健気な恋人を祝福する。
ブーンは象の手綱を取り、それをゆっくりと歩かせながら黄色い声援に手を上げて応えている。
その少し後ろの方から、ドクオ、しぃ、モララーが乗った神輿がついて行く。
- 30 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:40:56.77 ID:4aR5b+GJO
(;'A`)「……なんだ、これは?」
ドクオが、自分らを囲む興奮しきった群集を眺めて怪訝な顔をする。
(*゚ー゚)「……どうやら、私達を歓迎してくれてるみたいね」
しぃは辺りの様子を伺って、小さな声でポツリと呟いた。
――馬車がラウンジの城門前に着くと、ラウンジのものと思われし兵士達に一斉に取り囲まれていた
- 33 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:43:54.13 ID:4aR5b+GJO
――予想はしていたが、やはりラウンジはしぃを狙っているのか――
(;^ω^)「おっおっ、これは何なんだお?」
(;'A`)「……チッ」
事情を知らないが故に事態が飲み込めていないブーン達は、異様な雰囲気に戸惑いの色を見せている。
- 34 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:45:39.19 ID:4aR5b+GJO
ドクオははやる気持ちを落ち着かせて、冷静に周りを見渡した。
自分らが乗っていた馬車の周りを、360度、ラウンジの兵が取り囲んでいる。 逃げ道になりそうな場所はなかった。
(;'A`)(……)
何が目的でしぃを狙っているのか知らないが、訳のわからない者達にしぃは渡さない。
何がなんでも、しぃはここから逃がさなくては――
目の合ったドクオとモララーが、コクリと頷く。
(#'A`)#・∀・)「うおぉぉおぉ!!」
瞬間、2人は馬車の後方に位置する兵に向かって飛び込んでいた。
- 36 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:49:16.12 ID:4aR5b+GJO
_
( ゚∀゚)「ちょ、何やってんだよwww」
ドクオとモララーがラウンジ兵と揉み合っていると、前方の兵団の中からジョルジュが現れた。
ξ;゚听)ξ「あ、あなたは、先日の……」
( ^ω^)「お、ジョルジュ団長、只今帰還しましたお」
ジョルジュを見てブーンが姿勢を正し、敬礼する。
_
( ゚∀゚)0「よぉ、ブーン。
……隣りにいるのはお前のコレか?」
ジョルジュは嫌らしい笑みを浮かべると、両手を合わせ、ブーンに向かって中指と薬指の間を開いてみせる。
(*^ω^)「はい、こんな関係ですお」
ブーンも釣られてニヤリと笑うと、ジョルジュの指が作り出した空間に親指をズブリと挿入した。
ξ////)ξ「ちょ、アンタ達何やってんのよ!!」
- 38 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
12:58:08.73 ID:4aR5b+GJO
(;゚ー゚)「ジョルジュさん、そんな事してないで、早くドクオ達を止めて下さい!!」
いきなり乱闘をし始めたドクオとモララーを、ハラハラとしながら眺めていたしぃが声をかける。
_
( ゚∀゚)「よぉ、巫女のお嬢ちゃん。
女神に見初められた割には、相変わらず随分とおっぱいがちっちゃいな」
(#゚ー゚)「ふざけないで下さい。警察呼びますよ?」
ジョルジュはしぃの怒った顔を見て、"俺が警察なんだがな"と声を上げて笑った。
_
( ゚∀゚)「……まぁいいや。
おぃ、そこのアホ2人。とりあえずモチツケ」
- 39 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:00:50.96 ID:4aR5b+GJO
(*゚ー゚)「全く、いきなり2人が暴れだすから、何事かと思ったよ」
(;'A`)「……スミマセン」
神輿の上で、しぃがドクオ達を前にお冠になっている。
なにやら、自分達の早とちりだったようで、ラウンジ兵達は5人の出迎えの為に城門前に出てきただけで、しぃを襲おうなどとはこれっぽっちも思ってなかったらしい。
_
( ゚∀゚)9m「馬鹿だww何勘違いしてるんだコイツらwwプギャーwwwwwww」
(;'A`);-∀-)(くぅ……)
彼に気づき、事の次第を飲み込めずに唖然としていた2人を見て、ジョルジュは笑い転げながら馬鹿にした。
少し悔しい思いをしながら、2人は気を取り直す為に辺りの景色の方へと目を移した。
- 43 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:05:26.18 ID:4aR5b+GJO
『なぁ、ブーン新入兵は良いとして、後ろにいる奴らは誰なんだ?』
『あぁ、あれは"神の遣い"と"巫女"らしいぜ。あと1人は知らんが』
『マジか!? アイツらが噂の……』
『あの"巫女"、可愛くない? メイド服なんか着ちゃってさ〜』
『"神の遣い"と主従関係にあるらしからね。あんな貧相な面した野郎には勿体無いよ』
('A`)(……余計なお世話だ、バカ)
群集の中から聞こえてきた会話の内容を耳にして、ドクオが毒づいた。
- 44 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:07:27.56 ID:4aR5b+GJO
( ・∀・)「……どうやらお前らの事も、コッチ方面まで大分伝わってきてるようだな」
(*゚ー゚)「そうみたいですね」
2人にも周りの声が聞こえたようだ。
( ・∀・)「……まぁ、毎日が退屈なこの島の住人だ。その手のオモシロ話は光のごとく駆け巡るからな。
俺もお前があんな事言い出した時は、何事かと驚いたよ」
(*゚ー゚)「え〜。親方、あの時は真顔で私を信じてくれるって言ってたじゃないですか〜」
( ・∀・)「へへ、あれは他の奴らを叱咤するために、半分演技入ってたんだよ」
(*゚ー゚)「も〜」
- 45 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:12:37.58 ID:4aR5b+GJO
('A`)「……」
2人の会話についてゆけないドクオは、再び周りの光景に目をやった。
ブーン達の周りを群集が集い、彼を称えている。
その後ろをついて行く自分らを、子供が指を差して、何か叫んでいる。
神輿の後続の吹奏楽団が、けたたましい音を鳴らして、歓迎の曲を演奏する。
不穏な空気など微塵にも感じない。
しかし、ドクオの心の奥底で、何かが引っかかっていた。
- 46 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:14:54.10 ID:4aR5b+GJO
一同が巨大な白塗りの建物の前に着くと、ブーンが繰る象の側で歩いていた若い兵士が中に入るよう指示した。
目の前に映ったのは、壮大に広がる空間。
(*゚ー゚)「わぁ……」
赤い絨毯が敷かれた中央の通りを歩いていると、眼前に巨大なステンドグラスが現れる。
ξ゚听)ξ「ほぉ……」
窓の下の方で、少年と犬らしき動物が倒れている。
その色鮮やかなガラスの上方から、複数の天使が舞い降りていた。
('A`)「……ランランラーランランラー」
ドクオは鼻歌を歌いながら、案内された席へと座り込んだ。
- 47 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:16:51.02 ID:4aR5b+GJO
厳粛な雰囲気のもと、広々とした教会の中を舞台に一連の儀式が始まった。
( ´∀`)「聖騎士団員、ブーン・トロッソ。前に来なさい」
悪趣味なアクセサリーを体中に散りばめ、いかにも金持ちといった格好をした男性が、ステンドグラスの前に置かれた教壇の元へといざなう。
しぃに聞いたところ、あの男はラウンジの国王らしい。
( ´∀`)「謎の兵団に襲われて、失踪していた新入騎士団員の中で、帰ってきたのはあなただけです。
道中味わった痛みに耐え、良く頑張ってくれました。感動しました。」
国王がどこかで聞いた事のあるような台詞を言うと、ブーンに宝剣を贈った。
( ´∀`)「あなたに"騎士"の名を与えましょう。
これからあなたの名前は、ナイト・ブーンです」
- 48 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:19:34.87 ID:4aR5b+GJO
ブーンの勇姿を見て感動しているのか、ドクオの後ろの席からツンのすすり泣く声がする。
彼女はブーンの幼なじみだという。
これまで、共に色々な経験をしてきたのだろう。
つい最近までブーンがいなくなっていた事もあるし、何かと胸に打つものがあるのかも知れない。
('A`)(……)
ツンの面もちを確かめるでもなく、眼前で行われる儀式をしばらくボーっと眺めていると、突然自分の名を呼ばれた。
- 50 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:21:06.93 ID:4aR5b+GJO
( ´∀`)「ドクオさん……いや、"神の遣い"。どうぞ、我が前へ」
ハッとしたドクオが前を見ると、国王がこちらに向かって手招きをしている。
(;'A`)「……え、俺?」
(*゚ー゚)(頑張ってね、ドクオ!)
戸惑うドクオに向かって、しぃが微笑みながら小さく呟いた。
(;'A`)「え、いや、なんで」
( ´∀`)「どうかしましたか、ドクオさん?」
从'ー'从「お身体が優れないのでしょうか? 大丈夫ですか?」
国王の側に座っていた煌びやかな衣装を纏った女性が、ドクオの側へ駆け寄ってきた。
- 51 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:24:16.09 ID:4aR5b+GJO
(;'A`)「のわっ!? だ、大丈夫です!!!」
心配そうにドクオを覗き込む女性の胸元が、ドクオの視界に入る。
从'ー'从「?」
(//A/)「と、とりあえず、早く王様の前へ行きましょう」
ドクオは席を立つと、前かがみになりながら、教壇の前まで続く絨毯の上を千鳥足で進んでいった。
ξ゚听)ξ(あのバカ……)
( ^ω^)(神聖な場でおっきしてんじゃねーおww)
( ・∀・)(……若気の至りってヤツか)
(*゚ -゚)(……むぅ)
- 52 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:27:00.05 ID:4aR5b+GJO
ドクオが教壇の前に着くと、何やら国王が饒舌に語り始めた。
しぃ達の言葉だと「洗礼」というらしく、これを受けるのはこの島ではかなりの名誉な事らしい。
しかし、外の世界から来た自分にとってはどうでも良い事で、教壇の前で直立し、長々と説教を受けるのは苦痛でしかなかった。
( ´∀`)「――であるからにして、神は我々にそなたという奇跡を授けてくれた――」
ふと、視線を国王の側へと移す。
そこに座っているのは、先ほど自分に声をかけてきた美しい女性。
- 53 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:29:43.77 ID:4aR5b+GJO
('A`)「……」
国王の側に座っているという事は、それなりの地位に位置する人物なのだろう。さしずめ、この国の姫といったところか。
雰囲気から察するに、20代前後のようだ。
煌びやかな衣装に包まれ、澄ました顔で静かに次第を見守っている。その姿は、まるでフランス人形のようだ。
出るところの出だグラマラスな体型の割には、人懐っこい童顔をしている。
そんか魅力的な女性を、ドクオはボンヤリと眺めていた。
从'ー'从「……!」
(;'A`)「……!」
ふと、彼女と視線が合う。
彼女はドクオを見るなり、笑顔で会釈してきた。
- 54 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:32:40.75 ID:4aR5b+GJO
(*'A`)(やっべ、なんかこれフラグ立ったんじゃね?)
彼女の微笑みを見て、先ほど目撃した胸の谷間を脳内で再生する。
――うん、あれはなかなか良いものだ……多分、Gくらいはあるかな……
ヒュッ
プスッ
(;'A`)「イテッ!」
( ´∀`)「……? どうかしましたか?」
(;'A`)「あ、いえ、なんでも」
説教を中断してしまったのを適当に誤魔化すと、ドクオは痛みのした背中の方へと手をさすった。
(;'A`)(……縫い針? 何でこんなものがここに……)
( ゚ー゚)
- 57 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:38:30.93 ID:4aR5b+GJO
その後も儀式は厳かに取り行われ、国王のしぃへの洗礼が終わると、教会の隣りに位置するラウンジ城の謁見の間とやらに移動し、長いテーブルを前にして食事会が開かれた。
(*^ω^)「ハフッハフッ! 美味いんだお」
从'ー'从「フフ、豪快な食べっぷりですね」
ξ///)ξ「ちょ、ブーン! 少しは静かに食べなさい!!」
豪華な食卓を前にして、皆の笑い声が部屋の中に響く。
国王や先ほどの女性の他に、ラウンジの国の豪商、隣りのタイジュの国からの使い、その他各界の著名人達を招き、賑やかに食事は進んでゆく。
(*゚ー゚)「……うん、おいしい!」
('A`)「……しぃは良く食べるな」
何故か、しぃに無言で殴られた。
- 59 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:41:18.24 ID:4aR5b+GJO
(#)A`)「……」
しぃが何か怒っているようだったが、今は謝る気にもなれない。
――やはり何か、ひっかかるモノがある
はたしてこれは、ただの歓迎会なのだろうか。
何故、ラウンジ国王はもっと早くにこのような事をしなかったのだろうか。
自分がしぃと喧嘩してたから、ほとぼりが冷めるのを待っててくれていたのかもしれない。
しかし、それならその騒動のもっと前、自分がこの島に来た時にでも召集はかけられた筈だ。
そして、ジョルジュの放ったあの言葉。
- 60 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:42:31.17 ID:4aR5b+GJO
未だに、あのギラついた目は忘れられない。
あの言葉は、何だ。
しぃを疑っているそうだが、何を根拠に言ってるんだ。
('A`)「……」
ドクオは遠くの席に座るジョルジュを睨む。
こちらの視線に気づいてるのかわからないが、彼は黙々と箸を口に移していた。
――お前は何を企んでいるんだ、ジョルジュ
ドクオは浮かない顔をしながら、不機嫌なしぃの前に置かれたマグロの刺身に手を伸ばした。
- 62 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:48:54.25 ID:4aR5b+GJO
( ´∀`)「それでは、食事会はこのへんにしときましょう」
国王の鶴の一言で、部屋の外から召使いがわらわらと入ってくるて、あっという間に食器を持ち去っていた。
从'ー'从「各関係者の方、本日はお集まり頂き、真にありがとうございました」
( ´∀`)「この後、そこの"神の遣い"達一行は、宝具の授与があるので残っていて下さい」
国王らに直々に案内され、腹をいっぱいにさた招待客がゾロゾロと部屋を出ていった。
部屋に残されたのが自分ら5人と国王、ジョルジュ、姫(と思われる人物)だけになると、部屋の外から兵士がドアを静かに閉めた。
――完全に、油断していた
- 65 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:54:18.27 ID:4aR5b+GJO
部屋を閉めた音と同時に、背筋が凍るような殺気を感じた。
_
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュの体から、紫色をした得体のしれないオーラのような物が噴出していた。
ξ;゚听)ξ「な、何!?」
不穏な雰囲気を察したツンが、思わず声をあげる。
(;・∀・)「――ちぃ!!」
ツンが叫ぶのと同時に、危険を察知したモララーがしぃを庇おうと彼女の目前に飛び込む。
――しかし、間に合わない
- 66 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/12/08(土)
13:57:55.16 ID:4aR5b+GJO
突如豹変したかと思うと、人間とは思えない速さでジョルジュはしぃの目前に飛び込んでいた。
(;^ω^)「団長!? 何をなさってるんですか!?」
ブーンが叫ぶ頃には、テーブルの両端に座っていたジョルジュとしぃの距離は一気に縮まっていた。
――クソ、あれほど警戒してたのに――
(;゚ー゚)「!?」
戸惑うしぃの首元に、ジョルジュが剣を振り下ろした。
――駄目だ、間に合わない
_
( ゚∀゚)「――その首、かっ切る」
(;'A`)「しぃ―――!!」
ドクオの叫び声と共に、紅い鮮血が宙に舞った。
〜第17話へ続く〜
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