7 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:13:02.08 ID:zxsUsbaLO
(;^ω^)「ドクオ! 急ぐんだお!!」

 向こう側でブーンが呼んでいる。

(;'A`)「…畜生……」

 まさか、自分がいない間にこんな事になっていたとは、思いもよらなかった。


 ドクオは焦りながら、ブーンのいる方へ駆けていった。

(;'A`)「――早くしぃに、追いつかないと!!」


8 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:13:32.47 ID:zxsUsbaLO


('A`)は地図に無い島へ行くようです・第12話




9 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:15:27.65 ID:zxsUsbaLO


〜昨晩〜


川 ゚ -゚)「……しぃは、村を出て行ったよ」

 ランプの揺らめく炎に照らされながら、クーが静かに呟いた。

(;'A`)「……え?」


ξ゚听)ξ「アンタがあんな事したから、しぃちゃん病気になっちゃったのよ」

 呆けているドクオを見ていたツンが、クーの話す言葉に補足を入れた。


(;'A`)「……どういう事だ?」

 戸惑っているドクオを見て、ツンが溜め息を吐きながら話し始めた。

11 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:18:40.14 ID:zxsUsbaLO

ξ゚听)ξ「アンタがしぃちゃんと喧嘩した日、雨降ってたでしょ?
 それでビショビショになって歩いてた所を、偶然オワタさんが見つけたら、凄い熱を出してたらしいの」

(;'A`)「……!」



 ツンが述べた話を聞いて、ドクオの胸がズキンと痛んだ。

川 ゚ -゚)「……体調を崩した挙げ句、『喧嘩の原因は自分のせいだ』なんて言って、精神的にも病んでしまったんだ」

(;'A`)「そ、そうか……」


 落ち込んだ様子のドクオを見て、ツンが追い討ちをかけるように言い放った。

ξ゚听)ξ「そんで、療養の為に、隣りの国に引っ越す事になったの」


12 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:21:15.73 ID:zxsUsbaLO

(;^ω^)「ちょ、もしかしてタイジュかお?」

 今までツンに黙らされていたブーンが、焦りの色を浮かべながら話しかけた。

ξ゚听)ξ「……そうよ、しぃちゃんはタイジュに引っ越す為に、今朝、村から出て行ったわ」

(;'A`)「……タイジュ?」

 ドクオは聞いた事の無い単語を聞いてオウム返しする。

14 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:23:34.31 ID:zxsUsbaLO

( ^ω^)「タイジュってのは、この村から島の反対側に位置する、大きな国なんだお。
 医療技術が発達しているから、病気になった人はそこに行く事が多いんだけど、村からかなり遠くにあるんだお」

 ドクオに分かりやすいように、ブーンが短く説明した。



( A )「遠いって……大体、どれくらいだ?」

ξ゚听)ξ「そうね、歩いて二週間ってとこかしら」

 ドクオはツンの解答を聞くと、急に黙り込んだ。
17 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:25:21.51 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「……そんなこと聞いて、どうするつもりだ?」

 少し顔を強ばらせて、クーがドクオに詰め寄った。



(( A ))「……今からしぃを迎えにいく」

(;^ω^)「ちょ、マジかお!?」

 体を震わせばながら言ったドクオに、ブーンが驚いた様子で話しかけた。


ξ゚听)ξ「……無茶よ。しぃちゃんが出てってから結構経つし。
 それにあの子、オワタ牧場さんで馬車借りていった筈だもの」

川 ゚ -゚)「そうだ。それに今更会ったところで、どうするつもりだ?」

 ブーンに続いて、側にいた2人も一瞬になって反対する。


 今まで黙っていたドクオは、それらを聞いて抑えていた感情が爆発した。

(#'A`)「うるせぇ! 俺はしぃに謝る為に必死こいて島に戻ってきたんだ!!
 お前らに何と言われようが、知ったこっちゃね―んだよ!!」

21 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:29:02.26 ID:zxsUsbaLO

川#゚ -゚)「だからお前は……他人に対し気を遣えと何度言ったら……」

(;^ω^)「く、クー? 落ちつくんだお、So Coolに、だお!」

 眉間に血管を浮かばせているクーを見て、ブーンが宥める。



( ^ω^)「……ドクオ、わかったお! しぃと何があったかよく知らないけど、大体の事情は把握したお!!
 今日はとりあえず遅いし、明日の朝に出発するんだお!!」

ξ゚听)ξ「……そうね、それがいいわ。夜道は危ないしね」

 ブーンとツンが2人で、場を丸く収めようとした。


22 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:30:04.34 ID:zxsUsbaLO

('A`)「……チッ、わかったよ」

 軽く舌打ちしたドクオは、ブーンとツンの言葉を聞いてからクーの方へ振り向いた。



('A`)「……わるかったな、心配かけて。
 理由はしぃに会った時に話すから、今はそっとしておいてくれないか?」

 そう言って素直に謝ったドクオは、クーに向かって頭を下げた。


川 ゚ -゚)「む……まぁ、いいだろう」

 クーは少し戸惑った様子で顔をしかめながら、頭を掻いた。
25 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:31:16.16 ID:zxsUsbaLO





ξ゚听)ξ「ハイハイ。じゃぁ、今日はこれでおしまいね。
 もう遅いから、みんな一休みしましょ?」

 パンパン、と手を叩いてその場を締めたツンが、気持ち良さそうに伸びをした。

( ^ω^)「結構話しこんで疲れちゃったんだお!」



('A`)「……」

 ツンの真似をして同じように伸びをしているブーンを、ドクオはじっと見つめていた。
28 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:32:43.76 ID:zxsUsbaLO



('A`)「……なぁ、クー?」

川 ゚ -゚)「む、なんだ?」

 空気が緩んだその場で、ドクオがクーに話しかけた。

('A`)「……今日、お前んちに泊めてくれないか?」

(*^ω^)「お!? 脈アリかお!?」

 ドクオの吐いた言葉に反応したブーンが、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた。


ξ;゚听)ξ「……ゲ! ちょ、ブーン、止め……」

 焦り出したツンを尻目に、ドクオとクーは話し続けた。
32 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:35:46.33 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「……なる程、そういうことか」

('A`)「あぁ、そういうこった」



( ^ω^)「お? 2人揃って何頷いてるんだお?」

 何かアイコンタクトをしている2人を見て、ブーンが不思議そうな顔をした。

('A`)「溜まっていたらしいからな。ここは気を遣ってやらんと」

川 ゚ -゚)「ブーンはいいが、お前は襲うんじゃないぞ?」


ξ;////)ξ「ちょ、2人で何話してんのよ!?」

 いそいそと帰り支度を始めたドクオとクーの会話を聞いて、ツンが顔を真っ赤にする。
35 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:38:24.46 ID:zxsUsbaLO

( ^ω^)「襲うって、何をだお?」

ξ////)ξ「アンタは余計な事言ってんじゃないの!!」

 ツンは焦りながら、ブーンの頭をポカンと叩いた。

('A`)「じゃ」



('ー`)b
     「頑張れよ」
川 ゚ ー゚)b



( ^ω^)b「お? よくわからんけど、ブーンはいつだって頑張るお!!」

 拳を握って出ていった2人を見て、ブーンも握り返した。

ξ////)ξ「ブーンのばか……」

 言っている意味に相変わらず気づかないブーンの態度に、口元をニヤつかせながら去っていった2人を見送りながら、ツンが恥ずかしそうに小さく呟いた。
38 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:40:13.37 ID:zxsUsbaLO



〜翌朝〜

(;'A`)「スマン、寝坊した!」

 ドクオは忙いでブーンの元に駆け寄ると、荷車の中に飛び込んだ。

(;^ω^)「しぃに会いに行くなら、もうちょっと気を引き締めろお」

(;'A`)「……スマン」

(;'A`)(クソ……しぃに再会するので緊張してたのと、何故か寝床をクーと同じ部屋にされて、隣りで寝ているクーに気が散って寝れなかったんだよ……)



( ^ω^)「じゃ、急いで出発するんだお!」

 ドクオが荷車に乗るのを見ると、ブーンは力いっぱい押し始めた。
40 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:42:49.97 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「待て!」

ξ゚听)ξ「待って!」


 ブーンが荷車を発進させようとした時、後ろからクーとツンが駆け寄ってきた。

('A`)「……なんだ、お前らか。
 ようツン、昨夜はどうだった?」

ξ#////)ξ「……もう、クーもそれ言うんだけど!」

 ドクオがからかいの笑みを浮かべたのを見て、ツンの顔が見る見るうちに赤くなる。



( ^ω^)「昨夜? 別にツンは僕と一緒にいただけだお? ちょっと節句」

ξ#゚听)ξ「お前は少し黙ってろ!!」

 何か言いかけたブーンの顔面に向かって、ツンが持っていたバックを投げつけた。
42 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:44:00.94 ID:zxsUsbaLO

('A`)「……てゆーか、何だよ? 今急いでるんだけど」

川 ゚ -゚)「……よっと」

 しかめっ面をしているドクオに向かって、クーがカバンを投げつけた。


(;'A`)「な、なんだよ?」

 困惑しているドクオに向かって、クーが鋭い視線を向けた。


川 ゚ -゚)「私達も連れていってもらおうか」


43 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:45:11.68 ID:zxsUsbaLO

(;'A`)「ハァ!?」

 驚きの声をあげるドクオを見て、ブーンの頭をひっぱたいていたツンがこちらに振り返った。


ξ゚听)ξ「クーと一緒に相談して、アンタだけじゃしぃちゃんと会いづらいだろうから、同伴してやろうって話になったのよ」

川 ゚ -゚)「……ふん、しぃに会ったら話すという、お前の言い訳も聞きたいしな」


 そう言うと2人は荷車によじ登り、ドクオの隣りに座りこんだ。

(;'A`)「いやいやいや…………てゆーか、お前ら店とかどうするんだ?」

川 ゚ -゚)「誰かさんが商品納入しないのに店開けると思うか?」


(;'A`)「……あ、スマン」

 無表情に答えるクーを見て、ドクオが焦りながら平謝りする。
47 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:48:20.46 ID:zxsUsbaLO

ξ゚听)ξ「……まぁ、私はお店あるけど、偶には休んで旅もいいかなって」




('A`)「ブーンか」

川 ゚ -゚)「ブーンだな」



ξ;////)ξ「ちょ、2人揃って何言ってるんのよ!?」

 ドクオとクーの反応を見て、ツンが頬を赤く染めて喰いかかりにいく。

(*^ω^)「ツンは僕と一緒にいたいんだお」

ξ#゚听)ξ「うるせーこの糞ピザ! サッサと車出しやがれ!!」

 ブーンが喋ったのを聞いて、ツンは青筋をたてながら荷車の前方を蹴り飛ばした。


48 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:49:36.73 ID:zxsUsbaLO

(;^ω^)「ハイハイ、わかったお……」

 ブーンは苦笑いしながら、体の重心を低くした。

( ^ω^)「では!」

川 ゚ -゚)「いざ!」

ξ゚听)ξ「しゅっぱーつ!!」

 皆の掛け声と同時に、ブーンが荷車を前へと押し始めた。






(;^ω^)「あれ、なんか急に重くなって進めないんだお」


川#゚ -゚)
     「何だとコラ」
ξ#゚听)ξ


(;'A`)(いつになったら出発するんだ……)

51 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:51:20.60 ID:zxsUsbaLO


( ・∀・)「……お前ら、朝っぱらから元気だな」

 ドクオ達の横を、偶然モララー一家が通りかかった。

( ^ω^)「おっ、モララーさん! お久しぶりですお!!」

(;´_ゝ`)「ブーンじゃねーか! いつ帰ってきたんだ!?」

 挨拶をしたブーンを見て、兄者達が騒ぎ始めた。



( ><)「それと、そこにいるのは……」

('A`)「……」

 ふと、兄者の側にいたビロードとドクオの目が合った。


52 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:52:49.76 ID:zxsUsbaLO

( ・∀・)「……お前、今更何しに来たんだ?」

 モララーが無表情にドクオに話しかける。

('A`)「……別に、アンタにゃ関係ねぇよ」

(#><)「何なんですかその態度は!?」

 同じように無気質な声で返答したドクオに、ビロードが掴みかかる。

ξ;゚听)ξ「ちょ、落ち着きなさい、ビロード!」


(#><)「ふざけんなです、この人のせいでしぃさんが病気になってしまったと言うのに!!」

川;゚ -゚)「わかったから、少し落ち着け」

 ドクオに殴りかかろうとしているビロードを、ドクオの側にいたツンとクーが必死に止めにかかる。




( A )「……ククク」

(#><)「何がおかしいんですか!?」

 何故か笑いをこらえているドクオ様子の見て、ビロードの口調が激しくなる。
55 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:56:13.16 ID:zxsUsbaLO

('∀`)「ビロード、お前、しぃと何かあっただろ?」

(;><)「……えっ?」

 ドクオの発した言葉を聞いて、ビロードの震える体が止まった。

ξ;゚听)ξ「え、ドクオ、ビロードがしぃちゃんに告ったの知ってるの?」

川;゚ -゚)「ちょ、ツン、馬鹿」

 思わず口走ったツンをクーがなだめようとするが、一足遅かった。



('∀`)「へぇ……なる程ねぇ。そんな事あったんだ?」

(;><)「……」

ξ;゚听)ξ「あ、ごめん……」

 ニヤリと笑ったドクオを見て、ツンがビロードに小さな声で謝った。

57 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:57:35.74 ID:zxsUsbaLO

('∀`)「しぃが村に遊びに行ってから、なんか様子がおかしいと思ってたら、そう言うことだったのか」



(;´_ゝ`)「……ビロードって、やっぱりしぃの事好きだったのか……」

Ω<ざわ……ざわ……


 淡々と話し続けるドクオの周りで、モララー一家達が騒ぎ出す。


('∀`)「良かったなビロード、しぃは家に帰ってきても、時たま上の空だったし、お前が送ってきたお菓子も嬉しそうに食べてたぞ?」

(;><)「……」

 嫌らしい笑みを浮かべながら、挑発するような喋り方でドクオはビロードに語り続ける。

59 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 20:59:12.17 ID:zxsUsbaLO


( ・∀・)「……話を変えるんじゃねーよ。お前は何してるんだってこっちが聞いてるんだ、答えろ」

 モララーが荷車にしがみついているビロードを引き下がらせた。



('A`)「……別に、しぃに会いに行くだけだよ」

( ・∀・)「今更か? お前にしぃと会う資格があるとでも思ってんのか」

 あくまで無表情、しかし怒気を隠しているのだろう、その気配がモララーからただ漏れてくるのが解る。


('A`)「ケッ、笑わせるなよ。それこそ、そんな事アンタが決める資格なんてねぇだろ」

62 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:01:34.88 ID:zxsUsbaLO

(#・∀・)「……なんだと?」

 余裕の笑みを浮かべるドクオを見て、モララーのボルテージが上がる。

('A`)「アンタがそうやっていつまでもしぃの事を過保護にしてるから、しぃがそんな打たれ弱くなるんだろうが」

(#・∀・)「テメェ! 自分の事棚に上げといて良くそんな事言えるな!!」


ξ;゚听)ξ川; ゚ -゚);´_ゝ`)Ω
   「親方! 落ち着いて下さい!!」


 今にもドクオに殴りかかりそうなモララーを、その場にいた者達が必死に抑えつける。

(#・∀・)「お前ら離せ! ツンとクー、テメェもドクオなんかの世話してんじゃねーよ!!」



('A`)「……」

 喚き散らしているモララーを見て、ドクオは黙りこんだ。

64 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:03:25.63 ID:zxsUsbaLO


 少しの間を置いて、ドクオがぼそりと呟いた。

('A`)「……そうだな。ツン、クー、お前ら、降りろや」



ξ;゚听)ξ「ハァ? 今更何言ってんのよ!?」

 ドクオの発した言葉に、ツンが食ってかかる。

川 ゚ -゚)「親方の言う事など気にせんでいい。私達はお前の為じゃなく、自分の意志でお前についていくんだ」


('A`)「んなこたぁ知らねーよ」

 ドクオは反論する2人を気にも止めずに、台車の荷台の上から追いやった。
68 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:06:11.83 ID:zxsUsbaLO

('A`)「ブーン、お前もだ。俺1人で行くから、お前はここに残ってろ」

 先程から黙って事の成り行きを眺めていたブーンに向かって、荷車から飛び降りたドクオが笑いながら話しかけた。


('∀`)「すまんな、せっかく運んでくれるって言ってくれたのに。
 せっかくツンと久しぶりに会ったんだ、2人でゆっくりとしてろよ」

 ブーンの方へ歩いてゆき、そのすれ違い様にドクオはブーンの肩をポンと叩いた。

70 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:07:21.91 ID:zxsUsbaLO

( ^ω^)「ドクオ、ちょっと待つお」

 去ってゆくドクオを見て、ブーンが呼び止めた。

('A`)「なんだよ、俺急いでるんだよ」

( ^ω^)「いいから、こっち向くんだお」

 振り向かないドクオの側までゆき、ブーンがその肩に手をかける。


(;'A`)「んだよ、全く……」

 溜め息を吐きながら、ドクオはブーンに振り返った。



( つω^)チュッ



「マグナムオペラァ!!」
   (#^ω^)=つ)A`)
73 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:09:10.37 ID:zxsUsbaLO

(#^ω^)「ドクオ、いい加減にするお!!」

 ブーンに殴り飛ばされたドクオの行方を目で追いながら、叫ぶ。

(#^ω^)「そうやってワザとみんなに嫌われるような事して、何になるんだお!?」

川 ゚ -゚)「――!」

 ブーンの言葉を聞いてクーがハッとする。

(#)A`)「……ってぇな……」

ξ゚听)ξ「……そう言うことだったのね」

 何も喋らずにツンに抱えられているドクオへ、皆の視線が集まる。


(#^ω^)「ドクオがなんと言おうが、お前は僕の命の恩人なんだお! 嫌でも手伝ってやるんだお!!」


 ドクオにそう吐き捨てると、ブーンの視線はモララーに向いた。
75 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:10:34.69 ID:zxsUsbaLO


( ^ω^)「……モララーさん、ちょっと荷車を押すのに人手が足りないんだお。誰か1人でいいから、手伝って欲しいんだお」

 ブーンは冷静な顔を装いながら、モララーに話しかける。



( ・∀・)「……だが断る」

(#^ω^)「……っ!!」

 モララーの返した言葉を聞いて、ブーンの表情に再び怒りが湧き上げてきた。
79 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:13:44.18 ID:zxsUsbaLO

(#^ω^)「どうしてなんだお!? 昨日ツンから聞いたけど、1ヶ月くらいドクオと交流があったらしいんだお!?
 それなら、モララーさんだって、ドクオがイイ奴だってわかってる筈だお!!」


( ・∀・)「……譲れんモノは譲れん。コイツに手助けするのは、どうにも気にいらん」



('A`)「……だからいいって。ツンを置いてくワケにいかないんだから、俺1人で行くっつーの」

(#^ω^)「お前は少し黙ってるお!!」

 口を挟んできたドクオに向かい、ブーンが声を荒げる。




「―――ったく、しょうがなぃなぁ」
81 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:15:14.71 ID:zxsUsbaLO

( ´_ゝ`)「しょうがない。ブーン、俺が手伝ってやるよ」

 ブーン達が言い争いをしているその中へ、兄者が割って入ってきた。

(*^ω^)「お? 本当かお!?」

( ´_ゝ`)「しぃもドックンも本当に仕方ないよな。渋々だけど、偶には一肌脱いでやるよ」


( ・∀・)「……テメェ」

(;'A`)「ちょ、兄者さん……」

 ドクオが兄者に向けられるモララーの厳しい目を気にして、声を小さくする。


( ´_ゝ`)「……しぃが向かったのはどうせタイジュでしょう。
 親方、『ついで』に行ってきてもいいでしょう?」

 ドクオの心配をよそに、堂々とした態度で兄者がモララーに懇願した。
84 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:16:55.67 ID:zxsUsbaLO




( ・∀・)「……チッ、有給はやらんからな」

( ´_ゝ`)「はいはい、わかってますよ」

 舌打ちをしながら吐き捨てたモララーを見て、少し嬉しそうな顔をしながら兄者は荷車の前へ歩いていった。


(;'A`)「ちょ、兄者さん! 何も仕事ほっぽりだして、そこまでして貰わなくても……」

(*´_ゝ`)「野暮な事言わないの、ドックン!
 困った時はお互い様よっ(はぁと)」

(;'A`)(キメェ……)

 戸惑うドクオをよそにして、兄者はふざけながらブーンの側へと歩いていった。

89 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:19:59.14 ID:zxsUsbaLO

( ^ω^)「……そう言う事だお。ドクオ、意地でもみんなでついて行くんだお」

ξ゚听)ξ「そうよ、アンタの泣きっ面見なきゃ気が収まらないし」

(;'A`)「……」

 ブーンがそう言ったのと同時に、ツンが再び荷車に入りこむ。


川 ゚ ー゚)「……ま、しぃと会った時は、2人きりにしてやるから安心しろ」

 ツンが荷車に入ったのを追うように、クーが少し微笑みながらツンの側に座りこんだ。

(;'A`)「……チッ、わかったよ。もう好きにしろよ」

 ドクオはどこか苦虫を噛み潰したような表情をすると、渋々とツン達が待つ荷車の中に入っていった。
91 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:21:23.76 ID:zxsUsbaLO

( ・∀・)「……」

(;><)「親方! 兄者さん達を止めなくていいんですか!?」

 黙りながら目の前の光景を見つめているモララーを見て、ビロードが催促を入れる。



( ∀ )「……もう、知らねーよ。
 しぃに殴られて来ればいいんじゃねーの」



( ´_ゝ`)(親方……)

 どこか投げやり気味なモララーを見て、兄者が複雑な表情で彼を眺めていた。

92 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:23:02.39 ID:zxsUsbaLO

( ^ω^)「それじゃあ、ドクオ達、しっかり掴まってるんだお!!」

 ブーンが合図を出すと、前にスタンバイしていたブーンと兄者が、鉄製の手綱に手をとった。


('A`)「……ったく、コイツらは……」

川 ゚ -゚)「何か文句でもあるのか?」

('A`)「……別に」

 ドクオは溜め息をつくと、やれやれといった感じで苦笑いした。



( ^ω^)「いざ!」

ξ゚听)ξ「しゅっぱーつ!!」


 ツンが叫ぶと同時に、ブーンと兄者が押し始めた人力車もとい荷車は、勢いよくその場から走り去っていった。

95 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:24:11.13 ID:zxsUsbaLO





(;^ω^)「エッホッエッホッ」

(;´_ゝ`)「エッホッホ」

ξ゚听)ξ「コラ、坂道だからってダレてるんじゃないわよ!!」

 村から出たブーン達の荷車は、登り坂にさしかかってスピードが少し落ちている。


(;´_ゝ`)(ブーン……こんな彼女だと、大変だろう)

(;^ω^)(……まぁ、確かに慣れないとキツいものがありますお)

ξ#゚听)ξ「何か言ったかゴルァ!!」



( ゚ω゚)
     「アヒィ!!」
( ゚_ゝ゚)

 必死に荷車を押し続ける2人の男に、ツンの情け容赦ないムチが放たれる。
97 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:26:53.55 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「なぁ、ドクオ」

('A`)「……んぁ?」

 ツン達の様子には気にも止めず、相変わらずふてくされた顔をしながら景色を眺めていたドクオに向かって、クーが突然に話しかけた。

川 ゚ -゚)「ブーンが言っていたが、村でモララー親方に向かって言った事は、わざとだったのか?」


 ドクオは遠くを見ながら、少したってから答えた。

('A`)「……言っただろ、村の皆に殴られるなり、嫌われるなり、その覚悟で帰ってきたんだって」


ξ゚听)ξ「別に、私達に気に遣わなくても良かったのに」

 ドクオとクーが話しているのを見て、ツンも会話に加わってきた。

100 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:29:23.37 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「気を遣った?」

 不思議そうな顔をしたクーを見て、ツンが溜め息を吐きながら語る。

ξ--)ξ「どうせ、『悪役になった自分に私達が手を貸すと、村での風当たりが悪くなる』とでも思ったんでしょ。
 だから1人で行くなんか言い出したのよ。全く、余計なお世話だっつーの」

 ツンがそう言ったのを聞き流すかのように、ドクオは荷車の外を眺め続けている。
102 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:31:04.21 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「……そう言う事だったのか……」

 クーがそう言ってドクオを見つめているのに、ドクオはどこか居心地の悪いような顔をした。


('A`)「別に、お前らに気ぃ遣う訳でもなく、初めから俺1人で行く気だったんだよ。
 それに、しぃの事一番気にしてたモララーさんとこんな事しといて分かり合える筈無いんだから、こうしておいた方が俺が楽だっただけだよ」


ξ゚听)ξ「あらあら、照れ隠ししちゃって」

('A`)「……お前が言うな」

 ツンのからかいを気にしないとでも言うかのように、フンと鼻を鳴らすとドクオはそっぽを向いた。
106 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:33:41.89 ID:zxsUsbaLO

川 ゚ -゚)「……ドクオ、すまない」

 視線を逸らすドクオの顔をずっと見つめていたクーが、ドクオに向かって謝った。

('A`)「……は? 別にお前は謝るような事してないだろ」

 ドクオは話しかけるクーの方へ向かず、相変わらず通り過ぎて行く景色をボーっと眺めている。

 しかし、クーはドクオから視線を外さずに、話しかけ続ける。

川 ゚ -゚)「……お前がそこまで、しぃや私達の事を考えているとは思っていなかった。
 昨日はお前に、他人に気を遣えなどと好き勝手言ってしまい、申し訳ない」

('A`)「……別に、お前が謝る事じゃねーよ。
 しぃにあんな事したんだから、そう言うのが当然だ」

 ドクオはクーと視線を合わせる事無く、ただずっと荷車の外を意味も無しに眺めていたのだった。

110 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:35:39.54 ID:zxsUsbaLO

ξ゚听)ξ「ハイハイ、辛気くさい話はもう終わり! 3人でトランプでもやりましょ?」

 ドクオとクーが黙り込むのを見て、ツンが手を叩きながら場の雰囲気を変えにかかる。

(;'A`)「お前……遠足に行くんじゃねーんだぞ?」

ξ゚听)ξ「あら、いいじゃない。てゆーか、しぃちゃんに会うまでそんなテンションでいられると、見てるこっちが滅入っちゃうわよ」

 ツンはカバンからトランプの入った箱を取り出すと、中身を取り出してカードをシャッフルし始めた。


川 ゚ -゚)「……そうだな、気分転換にダウトでもやるか」

(;'A`)「おまっ、そんな一生終わらないゲーム誰がやるか!」

川 ゚ ー゚)「いいじゃないか、どうせ暇なんだし」

 焦るドクオを見て、クーがクスクスと笑い始めた。
112 : ◆ZB7B4XJvSk :2007/11/02(金) 21:37:19.70 ID:zxsUsbaLO



(;´_ゝ`)(畜生、人が必死こいて頑張ってるって時に……)

(;^ω^)(僕らは一体何をしてるんだお……)

 わいわいと騒いでいる荷台の方を気にしながら、ブーンと兄者は黙々と荷車押して走り続けている。


ξ#゚听)ξ「コラ、このノロマ! スピード落としてるんじゃないわよ!!」

 徐々に疲れの色が見えてきた前の2人を気遣うでもなく、見かねたツンがしなやかな鞭を振り下ろす。


(;゚_ゝ゚)「アヒィ!」

(*゚ω゚)「悔しいっ! でも感じちゃうっ!!」


(;'A`)(スマン……2人とも……)



 ドクオ達を乗せた荷車は、朝靄にかかった坂道を勢いよく走り抜けていった。


〜第13話へ続く〜

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