295 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:10:04.02 ID:YKqbVEBP0
第9話( ^ω^)それぞれの別れ 後編だお!


夜は大人の時間。
バーボンハウスには一時の休息を求め、多くの大人が訪れる。
しかしその日、バーボンハウスは貸切だった。


カウンター越しに、二人の男が座っている。


296 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:11:00.15 ID:YKqbVEBP0
('A`)「今日でマスターのしょぼくれた顔を見るのは、しばらくお休みか。」

(`・ω・´)「ぶち殺すぞ。
     僕だってお前の悪い目つきを当分見なくてすむから、せいせいするよ。」

('A`)「ふひひwwwならおあいこじゃねえかwww」

そういうと毒男はグラスを口に近づける。
バーボンハウスはいつにもまして静かだ。


297 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:11:58.43 ID:YKqbVEBP0
('A`)「正直言って、マスターには感謝している。」

(`・ω・´)「なんだい、柄にも無い。」

('A`)「ふひひwwwそういうなwwww
   飛行機械を作って世界の裂け目を超えるなんて犯罪行為の話を
   誰にもいわず黙って聞いてくれたのはマスターだけだったよ。」


(`・ω・´)「何を言っている。
      僕はイカれた夢想家の夢物語を黙って聞いていただけさ。」
298 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:12:58.57 ID:YKqbVEBP0
('A`)「ふひひのひwwww
   そんなこと、誰にでも出来ることじゃないぜ。
   それに、相棒とも出会わせてくれたしな。」

(`・ω・´)「おまいらが勝手に出会っただけさ。
      僕は何もしてないよ。」

('A`)「ならそういうことにしておくよwww」


毒男の笑い声が静寂の中に響いた。


299 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:13:37.41 ID:YKqbVEBP0
(`・ω・´)「ちょっと、昔話でもしようか。」

('A`)「かまわんよ。」



二人のやり取りには、ぶっきらぼうながらもお互いを理解しあっている、
そんな幼馴染のようなふいんき(←なぜかry)が漂っている。
300 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:15:18.42 ID:YKqbVEBP0
(`・ω・´)「僕の父は昔冒険者だったらしくて、世界を渡り歩いていたらしい。
      でも、父は自分にはその才能は無い悟り、せめて冒険者たちが一時の間、
      疲れた心と体を休めることが出来るようにと、このバーを開いたそうだ。」


(`・ω・´)「父の望みどおり、このバーには冒険者や世界の裂け目に挑む
      飛行機械技師たちのような馬鹿が集まった。
      
      あるものは心と体を癒し、またあるものは情報の交換をしたりしてこのバーは
      大いに活気付いたそうだよ。」


(`・ω・´)「だけど、『世界の裂け目法』が施行されてからは
      そんな馬鹿達も訪れなくなった。
      僕がこの店は継いだのはそんなときだったよ。」


301 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:17:02.60 ID:YKqbVEBP0
グラスを磨きながらシャキンは話す。
いつに無く饒舌なシャキンの話を、毒男はただ黙って聞いていた。


(`・ω・´)「かわりにここは労働者たちの憩いの店になったよ。
      彼らの愚痴や仕事の話を聞くのも悪くは無かった。
      ただ、幼いころに僕が感じた『ときめき』みたいなものは感じなかったけどね」


(`・ω・´)「そんな時、一人の目つきの悪い男がやってきてね。
      僕にこう言ったんだ。
      『俺は、世界の裂け目を飛行機械で超えてやる』ってね。」


('A`)「・・・。」


(`・ω・´)「僕はそいつの話を聞いてこう思ったんだ。
      ああ、こんな馬鹿がまだいたんだってね。」

302 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:18:00.83 ID:YKqbVEBP0
(`・ω・´)「僕は適当に話をあわせていただけなのに、
      その男は良くこの店に来てうれしそうに話したよ。
      そんな馬鹿を見ながら、僕は何十年ぶりかの『ときめき』みたいなものを感じたね。」


('A`)「・・・その男、ホント馬鹿だな。」


(`・ω・´)「ああ。そんな馬鹿、この世に一人しかいないと思ってたよ。
      だけどある日、間抜けな顔の男がやってきてね、僕にこう言うんだ。
      『マスター。やっぱり世界の裂け目を超えるのは駄目なのかお?』ってね。」



303 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:18:59.94 ID:YKqbVEBP0
('A`)「へえ、馬鹿は他にもいたんだ。」

(`・ω・´)「うん、すまない。いたんだよ。
      そしたらそこに元祖馬鹿が入ってきてね。
      二人は意気投合。
      それからは、僕は馬鹿二人分の話を聞かなきゃならなくなったんだ。」

('A`)「ふひひwwwバーのマスターも大変だな。」

(`・ω・´)「まったくだよ。
      でもその苦労も今日で終わる。
      明日、二人の馬鹿は世界の裂け目に挑むそうだよ。」

('A`)「へえ、その馬鹿ってのは、いったいどんな奴らなんだい?」

(`・ω・´)「うん、それはね・・・」


そのとき、カランカランと、来店者を知らせる鐘の音が鳴り響いた。


( ^ω^)「おいすー。」
304 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:19:49.61 ID:YKqbVEBP0
(`・ω・´)「それはね、今この店にいる客のことなんだ。」

('A`)「ふひひwwなるほどねwww」


二人は笑みを浮かべた。


( ^ω^)「お?何はなしてたんだお?」
305 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:21:08.96 ID:YKqbVEBP0
('A`)「ただの世間話さ。さ、行こうか。」

( ^ω^)「おk!
     マスター。今までお世話になったお!」


ブーンはシャキンにお辞儀した。


(`・ω・´)「僕は何もしてないさ。
      いつものように客の相手をしただけさ。」

('A`)「だとよ。
   そんじゃ、世話になったなマスター。
   ブーン、行くぞ。」


306 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:22:07.59 ID:YKqbVEBP0
(`・ω・´)「ちょっと待って。」


そういうとシャキンはカウンターからグラスを取り出し、酒を注いだ。
それを二人の前に差し出す。


(`・ω・´)「この酒はサービスだ。
      とりあえず飲んでほしい。」

('A`)「ちょwwwこれは幻の銘酒『ひろゆきの涙』じゃまいかwwww
   ほんとにいいのか?」

(`・ω・´)「うん。ほれ、ぐいーっと。」


二人はシャキンに促されるまま、「ひろゆきの涙」を飲み干した。


('A`)「くああっ!うめえええwwwwwwwww」
( ^ω^)「こんなおいしいお酒、飲んだこと無いおwwwwww」




(`・ω・´)「はい、一人100諭吉になります。」


307 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:23:04.93 ID:YKqbVEBP0
( ^ω^)('A`)「ちょwwおまwwwwっうぇうぇwww
         おごりって言ったじゃまいかwwwwwww」

(`・ω・´)「うん、ごめん。うそなんだ。」

('A`)「100諭吉なんて払えねえよwwwww」


(`・ω・´)「ぶち殺すぞ。 
     払えないなら仕方ない。ツケにしとくよ。
     世界の裂け目から戻ってきたら、必ず払いやがれこの盗っ人野朗ども。」


( ^ω^)「わかったおwwww必ず払いに来るおwwwww」
('A`)「それまで、この店つぶすんじゃねえぞ。」


308 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/27(火) 01:23:45.07 ID:YKqbVEBP0
二人は、バーボンハウスを後にした。
胸に心温まるVIPヌクモリティを感じながら。


第9話 完    推奨BGM  それでも来た道 / 柴田淳
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