193 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 02:53:07.86 ID:uGHQRUd+0
第8話( ^ω^)それぞれの別れ 前編だお!

翌日、大学の学生課で退学手続きを済ませたブーンはミルナ教授の研究室前に立っていた。


ブーンは研究室の扉を見つめた。


この扉を開けるのは最後になるかもしれない。
そう思うと今までの日々が走馬灯のように思い出され、
楽しいだけじゃない、
どちらかというとつらいことのほうが多かった今までの日々が、
懐かしく、そしていとおしく思えた。


( ^ω^)「でも僕は、僕の夢をかなえるんだお!」


ブーンは初めてノックして、研究室の扉を開けた。
195 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 02:54:02.30 ID:uGHQRUd+0
( ^ω^)「失礼しますお。」

( ゚д゚ )「ど、どうした内藤!
   お前がノックするだけでなく、失礼しますとまで言うなんて・・・。」

( ^ω^)「・・・・話がありますお。」


ブーンの真剣な表情を見たミルナ教授は、
襟を正し、研究者の目になってブーンのほうを向いた



196 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 02:55:22.78 ID:uGHQRUd+0
( ゚д゚ )「真剣な話のようだな。」

( ^ω^)「僕は、世界の裂け目を超えますお。」

( ゚д゚ )「・・・・。」

( ^ω^)「教授に迷惑がかからないよう、大学は辞めてきましたお。
      今までミルナ教授には本当にお世話になりましたお。」

( ゚д゚ )「・・・・。」



197 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 02:56:52.47 ID:uGHQRUd+0
( ^ω^)「孤児で、夢も希望も無かった僕を救ってくれたのはあなただったお。
      教授に僕は、夢を、生きる希望をもらいましたお。
      
      それだけじゃなく、多くの知識と経験、
      そして研究者とはなんたるかを教えてもらしましたお。」

( ^ω^)「そんな恩人のあなたを裏切ることになって本当に申し訳なく思ってますお。
      でも僕は、あなたにもらった夢を、叶えにいきますお。」

( ;ω;)「えぐえぐ・・・・
      今まで・・・本当にありがとうございましただお!!」



ブーンは深々とミルナ教授に頭を下げた。
涙が、床へとこぼれ落ちた。


198 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 02:58:05.87 ID:uGHQRUd+0
ミルナ教授は席を立つと窓際に行き、窓の外のほうを向いた。
その表情は、ブーンには見えない。


( ゚д゚ )「お前のことだ。引き止めても無駄なんだろう?」


ミルナ教授は、とても優しい声でそう言った。


( ゚д゚ )「一番弟子がこんなことをいっても、俺の心は落ち着いている。
    不思議だなw
    もしかしたら俺は、この日が来ることをうすうす知っていたのかもしれん。」


一番弟子。
尊敬する教授が自分をそのように評価してくれていた。
それがうれしくて、でも申し訳なくて、
ブーンは再びの涙を留めてはおけなかった。


199 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:00:52.08 ID:uGHQRUd+0
( ゚д゚ )「俺も研究者の端くれだ。
    世界の裂け目を越えたいと思ったことは何度もあった。
    でもその度にもう一人の俺が言うんだ。  
   
    『まだ早い。この世界には研究することがたくさん残ってるはずだ。』とな。
   
    俺は研究に没頭した。
    思えばそれは、世界の裂け目からの逃避行為だったのかもしれん。」

( ゚д゚ )「おれはいろんなものを発見した。
    
    ピンクローター、コンドーム、三角木馬に電動こけし、
    ブラジャーにバイアグラ、オナホールにフリスク。
    数えあげればきりが無い。
    
    どれもこれも、人々の生活にもはや欠かせないものになっている。」


200 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:02:39.81 ID:uGHQRUd+0
( ゚д゚ )「そうこうしているうちに、俺は古代史研究の第一人者と呼ばれるようになり、
     教授の肩書きをもらった。
     
     愛する妻と子供も出来た。
     たくさんの教え子も出来た。
     
     ・・・俺には守るべきものがたくさんできたんだ。」


ミルナ教授は一呼吸置くと、寂しげにこう呟いた。



( ゚д゚ )「だから俺にはもう、世界の裂け目に挑むことは出来ない。」


201 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:03:35.78 ID:uGHQRUd+0
研究室を静寂が包む。
その静寂はとても長く、ブーンには永遠のように感じられた。


どのくらいの時間がたったのだろうか。
ミルナ教授は振り返り、こういった。


( ゚д゚ )「だからお前がいってこい。
    世界の裂け目を越えて、古代史のなぞを解き明かして来い。
    そして、お前と、俺の夢をかなえて来い!」
203 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:04:24.61 ID:uGHQRUd+0
( ;ω;)「!!」

( ゚д゚ )「返事は!?」

( ;ω;)「は、はいですお!」


ブーンは涙をぬぐい、
リュックからあの本を取り出した。


204 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:05:13.71 ID:uGHQRUd+0
( ^ω^)「僕は必ず戻って来ますお。
      だからその間、僕の宝物を預かってくださいお。」

( ゚д゚ )「・・・ちょっと待ってろ。」


そういうとミルナ教授は自分の机をガサゴソと荒らしだし、
何かを持ってきた。
206 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:06:09.38 ID:uGHQRUd+0
( ゚д゚ )「これをお前に預ける。」

( ^ω^)「これは・・・オナホールとフリスク・・・。
      受け取れないお。これは教授の大事な研究材料だお。」

( ゚д゚ )「そうだ。この研究に俺は半年近くかけた。
    これが無けりゃ、今度の学会で発表は出来ん。」

( ^ω^)「ならなんで・・・。」

( ゚д゚ )「だからお前は必ずこれを返しに戻ってこい。
    返しにこなかったら、ぶっ殺す。」

( ^ω^)「・・・はいですお!」


( ゚д゚ )「それまでお前の大事なこの本は俺が大切に保管しておく。
    だから絶対取りに戻って来い。
     
    いつものようにノックもせず、『おいすー』なんてほざきながらな。」


( ^ω^)b「おkwww把握したwwwww」

( ゚д゚ )b「それでこそ内藤だwwww」


207 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/26(月) 03:07:29.30 ID:uGHQRUd+0
ブーンは窓越しに外を見た。
空はもう、赤く染まっている。


( ゚д゚ )「いつまでここにいるつもりだ。
    もうお前は俺の生徒じゃない。
    ・・・さっさと出て行け。」

( ^ω^)「・・・わかりましたお。」


ブーンは振り返り、扉に手をかけた。
そのとき、最後にミルナ教授こう言った。


( ゚д゚ )「これからは、お前は俺と同等の研究者だ。
     達者でやれや。」

( ;ω;)「・・・いってきますお。」



振り返らず、ブーンは研究室を後にした。
第8話 完
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