79 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:29:30.47 ID:3NvDM+d50
第5話( ^ω^)ブーンの昔話だお!


( ^ω^)「・・・・・・僕は孤児だったお。」
 
ブーンの言葉に、バーにいた二人の目が見開かれた。
そんな二人の様子を一瞥して、ブーンは再び語りだした。



80 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:31:11.22 ID:3NvDM+d50
( ^ω^)「物心ついたころから孤児施設にいたから、僕は親の顔なんか知らないお。 
      
      施設の生活はみんなが思う以上にひどいものだったお。
      施設の子供たちはめったに外に出ることは許されず、
      学校も施設内の学校に通っていたお。

      施設の子供たちは中学まで通うと就職して、大体がひどい労働状況の中で一   生を働いてすごすお。
      そんなことを幼いながらも施設の子供たちは知ってたお。」

夢も希望も無い生活。それがブーンたちの住む世界の孤児の生活だった。



81 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:33:22.34 ID:3NvDM+d50
( ^ω^)「そんな生活の中、僕は一つの本と出会うお。
      それが今通ってる大学のミルナ教授が書いた、古代史研究の入門書だったお。」

(^ω^)「その本に僕はのめりこんだお。 
     その本には古代文明研究のロマンがありありと書かれていたお。 
     
     僕はその本に夢をもらったお。
     古代文明のなぞを解き明かしたい。
     そして、施設の外の、広大な世界のすべてを見てみたい。
      
     僕はその日から必死に勉強したお。
     高校、大学に行くお金なんて施設は出してくれなかったから、
     特待生になるため僕は勉強をしまっくたお。
     そしてついに僕は、僕に夢をくれたミルナ教授のいるこの大学に
     特待生として入学したお。」



毒男はブーンを見た。
その目は、一人の男を尊敬する目だった。


82 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:34:32.58 ID:3NvDM+d50
( ^ω^)「憧れの教授との研究は夢のように楽しい日々だったお。
      でも、そのミルナ教授でさえタブー視して目を向けないものがあったお。
      それが世界の裂け目だったお。」

( ^ω^)「教授とこの世界のたくさんの遺跡を回ったお。
      そして一つの結論に達したお。 
      『僕が真に知りたいことはこの世界では見つけられない』。」


( ^ω^)「だから僕は世界の裂け目を超えたいお。
      そして、古代史の、世界のすべてをみたいんだお。」



83 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:35:12.92 ID:3NvDM+d50
ブーンは語り終えた。
空になったグラスを見つめていると、シャキンが新しいグラスを差し出した。

ことり・・・と、静寂の中、バーにはシャキンが置いたグラスの音だけが響いた。

ブーンがそのグラスの中身を口に含んだ。
そして、静寂を破る一言を発した。



( ^ω^)「ちょwwwwまたポーションかおwwwうぇうぇうぇw」



84 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:37:07.45 ID:3NvDM+d50
ブーンが一人騒いでいるとおもむろに毒男が口を開いた。


('A`)「すまなかった。」

( ^ω^)「なんだおwww謝られても困るおwww」

('A`)「正直俺はお前を軽く見ていた。
   どうせ、軽い好奇心で世界の裂け目を超えたいって思ってるとな。」

( ^ω^)「それはひどいおwww謝れおwwww」

('A`)「ちょwwwおまwwwww
   だけど、今の話を聞いて、お前の気持ちが半端無いことがわかったよ。」


( ^ω^)「わかってくれてうれしいお。」


85 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:38:12.31 ID:3NvDM+d50
('A`)「だが、世界の裂け目を越えるとなると、お前は
   恩人であるミルナ教授とも決別しなけばならない。
   お前に・・・それが出来るか?」

毒男は真剣なまなざしをブーンに向けた。





ブーンはしばらく考えると、口を開いた。

( ^ω^)「・・・できるお。
      ミルナ教授ならきっとわかってくれるお。
      もちろん、教授に迷惑かけないためにも、大学はやめるお。」



86 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/06/25(日) 12:39:20.36 ID:3NvDM+d50
毒男とブーンは見詰め合った。
そして毒男はおもむろにグラスを手に取り、ブーンの前に突き出した。


('A`)「今日から俺とお前は、夢を共にする同士だ。
   これは誓いのしるしだ。」


ブーンにはその意図がわかった。
ブーンもグラスを突き出し、毒男のグラスに軽く触れ会わせた。


かちん・・・と二つのグラスから響いたその音は
二人の男の誓いの音だった。


(`;ω;´)「泣かせやがってこの野郎ども!
      今日はおごりだ!これでも飲みやがれ!」
( ^ω^)('A`)「ちょwwwwテキーラいらねえwwww」



ブーンにとって、忘れられない夜だった。

第5話 完
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