- 3 :78
◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:29:51.81 ID:z+GQU6Ex0
- 第29話( ^ω^)親父は約束を守ったお!
雷雲の中をもすかうは進んでいた。
しかし、暴風雨にさらされ、雷が目の前を通る状況に3人の精神は疲弊しきっていた。
ξ;゚听)ξ「・・・・・・少しにおわない?」
('A`)「そうか?特に何もにおわないが?」
(;^ω^)「・・・・・・(さっきのミサイルのせいで、ウンコちょっともらしちゃったお。)」
- 5 :78
◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:32:16.77 ID:z+GQU6Ex0
- 暴風によって、もすかうが上下左右に揺れる。
(;'A`)「んんん!くそ!高度が下がってる!」
ξ;゚听)ξ「きゃあああああああああああ!!!!!」
(;^ω^)「・・・・・・・・・・(パンツの中でウンコがシェイクされてるお。)」
機体が傾く。もすかうの羽根がミシミシと悲鳴を上げる。
そのとき轟音と強い光が轟き、機体に大きな衝撃が走った。
(;゚ω゚)「ぬ、ぬるぽ!!」
(;'A`)「がっ!!」
ξ;゚听)ξ「ああ!!」
雷がもすかうの機体をかすめた。。
絶縁体でコーティングしているとはいえ、衝撃は伊達じゃない。
- 7 :78
◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:34:30.86 ID:z+GQU6Ex0
- (;'A`)「エ、エンジン停止? ちくしょう!・・・・・・ブーン!」
(;^ω^)「な、なんだお?」
(;'A`)「後ろのハッチを開けて、紐を引っ張ってエンジンを手動で起動させろ!」
( ^ω^)「おkおk!」
ブーンは思いっきり紐を引っ張った。
- 8 :78
◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:35:19.08 ID:z+GQU6Ex0
- (;^ω^)「ありゃ。」
ξ;゚听)ξ「ど、どうしたの。」
( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・紐がきれますた。」
(;'A`)ξ;゚听)ξ「!!」
ブーンは二人に切れた紐を見せた。
( ^ω^)「証拠うpしますた。」
ξ;゚听)ξ(;'A`)「ばかやろおおおおおおおおお!!!!」
二人の叫びは、その直後もすかうを直撃した雷の轟音と衝撃にかき消された。
- 9 :78
◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:36:13.75 ID:z+GQU6Ex0
- 毒男は目を覚ました。
辺りが静か過ぎる。聞こえる音は、もすかうのプロペラ音だけである。
('A`)「・・・・・・。」
毒男は状況が飲み込めない。
後ろを振り返ると、ブーンとツンが寄り添って気絶している。
('A`)「ああ、そうか。エンジンが止まって・・・。
ブーンがエンジン始動用の紐を切って、その直後雷の直撃にあって・・・。」
しかし、もすかうのエンジンはその作動音をたしかに響かせて、空を飛び続けている。
('A`)「・・・雷の直撃のショックでエンジンが始動したとでも言うのか?」
- 11 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:37:08.96 ID:z+GQU6Ex0
- 毒男はあたりを見回した。
おかしい。静か過ぎる。
雷雲の中を飛行しているのは確かなようだが、
さっきまで暴れていた暴風雨も雷も今は鳴りを潜めているようだ。
黒の世界は、不気味なほどの静寂に包まれていた。
- 12 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:38:03.48 ID:z+GQU6Ex0
- (;^ω^)「あ、あれなんだお?」
目を覚ましたブーンが、前方を指差す。
その先には、黒の世界に浮かぶ、いくつかの点があった。
(;'A`)「な、なんだありゃ・・・・・・。」
もすかうはその点にすぐに追いついた。
(;^ω^)(;'A`)「!!」
- 15 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:39:14.53 ID:z+GQU6Ex0
- その点は、飛行機械だった。
それも1機ではない。30、いや50機、
もしかするとそれ以上の数の飛行機械が飛んでいるかもしれない。
(;'A`)「なんなんだ、これは・・・・・。」
(;^ω^)「おお・・・・・・飛行機械がいっぱいだお。」
しかし、何かおかしい。
根本的な何かが、これらの飛行機械達には欠けている。
(;^ω^)「プロペラは回っているのに、何でこの飛行機械達は何の音もしないんだお?」
(;'A`)「そうだ・・・この飛行機械達は、飛行音がしていないんだ。」
- 17 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:40:34.81 ID:z+GQU6Ex0
- もすかうは、それら不気味な飛行機械の群れの中を飛び続けた。
(;^ω^)「形や大きさがいろいろだお。」
(;'A`)「・・・見る限り、さまざまな時代の、さまざまなタイプの飛行機械が飛んでいるな。」
(;^ω^)「パイロットの表情が良く見えないお。」
('A`)「・・・・・・ゴーグルかけて、前だけを向いているな。そりゃわからんよな。」
- 18 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:42:19.32 ID:z+GQU6Ex0
- もすかうは進む。
やがて、飛行機械群の先頭が見えてきた。
そのときだった。毒男がガクブルしだした。
(((;'A`))))「あ・・・・・・。」
(;^ω^)「毒男!どうしたんだお!?」
毒男は震える指で先頭の飛行機械を指差して言った。
(;'A`)「あれは・・・・・・親父の飛行機械だ!」
- 19 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:43:14.50 ID:z+GQU6Ex0
- もすかうは、猛スピードでその飛行機械に並びかけた。
毒男とブーンは、その飛行機械のパイロットの顔をのぞき見た。
(;'A`)「・・・・・・・親父だ。」
- 20 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:44:26.24 ID:z+GQU6Ex0
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- 23 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:47:49.30 ID:z+GQU6Ex0
- (;'A`)「親父!!俺だ!!あんたの息子の毒男だ!!」
毒男は彼の父親に向かって叫んだ。
しかし彼の父親は、返事はおろか、こちらを見ることすらもしない。
(;A;)「親父、俺だよ!あんたの息子の毒男だよ!!
俺、ここまで来たんだ!あんたの背中を追ってここまできたんだ!!
たくさん勉強して、たくさん苦労して、やっとここまで来たんだ!!
やっとあんたに追いついたんだ!!
何 と か 言 え よ ! ! 」
- 25 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:49:45.66 ID:z+GQU6Ex0
- ξ゚听)ξ「いけないわ、毒男。」
いつの間にか目を覚ましていたツンが言った。
ξ゚听)ξ「この人たちは、私たちとは住む世界が違う人間よ。」
(;A;)「・・・・・・嘘だ。」
ξ゚听)ξ「嘘じゃない。この人たちは・・・・・・。」
(;A;)「嘘だ!!
親父はここにいるじゃないか!!
最後に見たときと寸分たがわぬ姿で、親父はここにいるじゃないか!!
俺の隣で、飛行機械で飛んでいるじゃないか!!」
- 26 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
19:50:26.88 ID:z+GQU6Ex0
- そのときだった。
ツンが毒男の頬をはたいた。
音がするくらい強く、だけど、とても悲しそうな顔で。
ξ;凵G)ξ「この人たちはみんな死んでいるの。
よく考えればわかるでしょ?
だけど、よほど無念だったんだろうね。
死んでなお、この雷雲の中を飛び続けているのよ。」
(;A;)「・・・・・・・・・。」
ξ;凵G)ξ「だから、この人たちに付いていっては駄目。
話しかけても、コンタクトを取ろうとしても駄目。
私たちはここで死ぬわけにはいかない。そうでしょう?」
- 32 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
20:01:20.11 ID:YAxZ00Pz0
- (;A;)「・・・・・・・・・親父、そうなのか?」
毒男は悲しげにそうつぶやいた。
そのときだった。
毒男の親父が、前を指差した。
(;A;)「俺に・・・・・・前に進めと言っているのか?」
毒男の親父は何も言わない。
ただ、前を指差すだけだ。
- 33 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
20:01:57.75 ID:YAxZ00Pz0
- ξ;ー;)ξ「そうよ、毒男。
きっと、あなたのお父さんは、お前の行く場所はここじゃないって言っているのよ。」
(;A;)「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ξ;ー;)ξ「行きましょう毒男。
彼らの・・・あなたのお父さんの無念を晴らしに行きましょう。
それがあなたがお父さんに出来る、最高の手向けよ。」
(;A;)「・・・うっ・・うっ・・うあぁ・・・・。」
- 34 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
20:02:38.66 ID:YAxZ00Pz0
- ( ^ω^)「・・・・・・・・・・。」
毒男に優しくささやきかける、そんなツンをブーンは美しいと思った。
だから、そんなツンをブーンは見つめ続けていた。
ξ////)ξ「な、なにみてんのよ!!」
(#)ω;)「・・・・・・・・・・。」
ブーンは、この世は理不尽だと思った。
- 35 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
20:03:36.93 ID:YAxZ00Pz0
- ('A`)「親父・・・・・・俺、行くよ。
あんたを越えて・・・・・・・あんたの先に。」
毒男は一気にアクセルを踏み込んだ。
毒男の親父の飛行機械を追い越し、親父の指差す先へと飛んでいく。
3人は後ろを振り向いた。
(;^ω^)ξ;゚听)ξ(;'A`)「!!!!」
後ろでは、すべての飛行機械のパイロットたちがもすかうの進む先を指差していた。
ブーン達には、彼らがこう言っているように感じられた。
「俺たちのたどり着くことのできなかった彼方へ、飛べ。」
- 36 :78 ◆pP.8LqKfPo :2006/07/06(木)
20:04:18.34 ID:YAxZ00Pz0
- もすかうは進む。
かつて飛行機械で世界の裂け目に挑んだ勇者たちの指差す彼方へ。
( ^ω^)「毒男の親父さんは、一緒に空を飛ぶって言う約束を守ったお。」
('A`)「・・・・・・・・・ああ。」
ブーンは最後に振り返った。
その視線の先では、かつての勇者たちとその愛機が、雷雲の中へ沈んでいった。
第29話 完