- 33
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 20:59:37.66 ID:z47a5ZKQ0
- 八夜目下
投下開始。
- 34
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:01:18.94 ID:z47a5ZKQ0
- ブーンはもはや自暴自棄の極みに達していた
部屋を飛び出したあとそのまま何も思うこと無く泣きながら走っていく。
何度も轢かれそうになり
何度も転び
何度も人とぶつかりあいながら
とうとうたどりついた
たどりついたのではないだろう。
最初からここへ来たかったのかもしれない。
カンカンカンカンカンカンカンカン
遮断機という危険から遠ざける一本の頼りない棒をブーンは眺めていた。
(ヽ´ω`)「・・・」
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・・
目の前を殺人的なスピードで四角い箱が走り去っていく。
無言のまま静かに遮断機を眺めているブーン。
- 38
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:04:26.16 ID:z47a5ZKQ0
- しばらくして二度目の警報が鳴る
カンカンカンカンカンカンカンカン
(ヽ´ω`)(ああ、簡単に逝ける方法ってこれなんじゃないかな・・・)
ゆっくり降りる遮断機を降りきる前にくぐる
心地よい風がブーンの体を吹きぬける
簡単に飛んでいってしまいそうな感覚に眩暈がする
(ヽ^ω^)「空も飛べるはずだお・・・」
非常識なのは理解している。
いろんな人に迷惑がかかるのもわかっていた。
だが、今のブーンにはそんなことどうでもよかった。
ただこの現実という自分の認めたくないものを否定するためだけが今のブーンの目的だった。
遠くの方から自分の人生の終焉を告げてくれるものが見える。
「こんなことなら最初から・・・」
と思ってはみるもののその続きが浮かぶことはない。
気づかぬうちに巻き込まれ、気づかぬうちに流されて、気づかぬうちに始まったことだ。
終りくらいは自分の気づいているあいだに終わらせたかった。
- 40
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:06:06.27 ID:z47a5ZKQ0
- そんなことを思ううちに電車はだんだんと近くにきていた。
運転手も気づいたのだろうか驚愕を隠せない顔をしている。
ふと横を見るとツンが必死な顔で此方を凝視していた。
(ヽ^ω^)「ごめんお・・・ツン・・・」
言葉を吐き出しフッと笑いかけた時
前方から大きなクラクションが聞こえた。
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン・・・キキイイイイイイイイイイイイイイイイ
ああ、死んだな。これで全て終わった。走馬灯というものは見れなかったが自分の人生そこまでもう一度みたいことなど・・・
- 41
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:08:15.60 ID:z47a5ZKQ0
- そう思っていたブーンだがふとあることに気づく。
(ヽ^ω^)「ここは・・・踏み切りの外?」
ブーンは踏み切りの外に飛んでいた。
ドサァッ
顔から思い切り地面と接触する。
(ヽ^ω^)「???」
顔の痛みと死ねなかったことにブーンは混乱していた。
混乱と共にツンがこちらに走ってくるのが見えた。
結果から言えばブーンは助かった、だが一つの『命』を賭して助けられた命だった。
- 44
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:10:34.86 ID:z47a5ZKQ0
- ( ´ー`)「あ、ご主人だーヨ!」
ξ;゚听)ξ「・・・マジかよ・・・」
そう言ってシラネーヨさんとツンは目を疑った
ブーンはしまりきった踏み切り内で呆然と立ち尽くしていたからである。
二人の距離にして100m踏み切りで待つ人は居なく誰も助けれる範囲内に居ない
確実な死がブーンに襲い掛かることは明白だった・・・
(;´ー`)「・・・・・・しょうがないーヨ・・・最終機能発動だーヨ!!」
何処からともなく『ザ・ワールド!!時よ止まれ・・・』という言葉が聞こえた。
しかしこの声が聞こえるのはシラネーヨだけであろう。
シラネーヨさん以外の全世界の時が止まった。
- 46
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:12:14.42 ID:z47a5ZKQ0
- 一秒経過・・・
シラネーヨさんは踏み切りに向かって加速する。
この時ブーンはこちらを見ていて少し微笑んでいた。
( ´ー`)(あんな悲しそうな笑顔じゃなくてご主人には本当に幸せになってほしーヨ・・・)
二秒経過・・・
シラネーヨさんはどんどん加速する。
距離にしてあと70m
三秒経過・・・
加速は限界にきたようだ
距離にして55m
四秒経過・・・
シラネーヨさんがふと空を見上げる。
空は澄み切っており、綺麗な景色を見ることが出来た。
距離にして40m
- 47
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:13:56.45 ID:z47a5ZKQ0
- 五秒経過・・・
ブーンの顔がどんどん近くなる。
高度を低めに保つ。
距離にして25m
六秒経過・・・
あともう少しでブーンと接触する。
速度を少し落とす。
距離にして10m
七秒経過・・・
踏み切りをくぐり抜けブーンの目の前にくる。
八秒経過・・・
ブーンをアッパー気味に踏み切り側に吹飛ばす
九秒経過・・・
まだブーンは安全な場所に辿りついてないためもう一度踏み切り側に吹飛ばす
( ´ー`)「ご主人・・・お元気で・・・」
十秒経過・・・
ブーンは安全圏内に入りそのまま時間の停止は終わる。シラネーヨはまだ電車の目の前にいた。
『そして時は動き出す』
- 52
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:17:07.65 ID:z47a5ZKQ0
- バン!
っと物が物にぶつかる音がしたがブレーキ音で掻き消される。
ブーンは踏み切り側に飛び難を逃れた。
混乱しているブーンは目を見開いて隣に停まっている電車を見ている
ツンはしばらくしてこちらに来てそしてブーンを張り倒した。
バシィッ!
ξ#゚听)ξ「お前・・・なにやってんだよ!!」
容赦の無い張り手だった。いつもふざけて攻撃するときとは全く違いその痛みは肉体的にも精神的にも響いてくるものだった。
(ヽ^ω^)「・・・」
無言のブーンにツンは続ける。
ξ#゚听)ξ「お前のこと心配して家にあがってみれば・・・ほんとお前なにやってんだよ・・・」
ツンの表情が怒りから悲しみへと変化した。
ξ;;)ξ「・・・」
(ヽ^ω^)「・・・」
言葉が出ずに時間だけが過ぎていく
- 54
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:19:19.71 ID:z47a5ZKQ0
- しばらくすると警察と運転手がきた。
ブーンは刑事にあれこれ聞かれていたが全く耳に入ってないのだろう。ただ相槌をうって話を流している。
ツンの方は婦警に事情を聞かれている。どちらもただただ呆然と言う感じだった。
二人が事情を聞かれてる間にある『物』が出てきた。
一応のために刑事の元に渡されブーンの目の前に出てくることになる。
刑事「これはお前の物か?」
(ヽ ω )「まさか・・・シラネーヨさんは絶対壊れないはずだお・・・」
目の前に出された物を見てブーンは涙ながらに何者かに訴え・・・首を縦に振った。
別に大した事故も事件でもなかったからであろう、無線をとり二言三言話した後刑事は話を早々に切り上げそれをブーンに渡した。
刑事「今回は厳重注意で見逃してやるからさっさと家にでも帰ってろ。」
(ヽ^ω^)「・・・はい・・・」
ツンの方も終わったようでこちらへと向かっている。
- 56
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:21:49.33 ID:z47a5ZKQ0
- ξ゚听)ξ「お前・・・もっと物事は考えて行動しろよn・・・」
ツンもその『物』を見て言葉を無くす。
それはシラネーヨさんの残骸であった。
ξ )ξ「う・・・嘘だろ・・・?だってさっきまで俺の横に飛んでて・・・」
携帯としてはいびつすぎるその形だが色とその場の状況で確信をもって言える・・・これはシラネーヨさんだと
そのもう言葉を発しない、壊れてしまった『物』は電源ボタンを押しても起動はしなかった。
- 58
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:23:29.22 ID:z47a5ZKQ0
- 無言を断ち切ったのはブーンであった。
(ヽ ω )「行ってくるお・・・」
ξ゚听)ξ「・・・どこへ?」
(ヽ ω )「シラネーヨさんを『治し』に・・・」
ξ゚听)ξ「そうか・・・」
ツンの言葉がスタートの合図だったかのようにブーンは走りだした。
朝の自分の言葉が今になって心に突き刺さる
((ヽ^ω^)「お前に何がわかるんだお?携帯のナビゲーションでしかないお前なんて所詮人間の心なんてわかるわけがないんだお。」)
(ヽ ω )「違うお・・・本当は・・・シラネーヨさんは・・・一番人間らしい『物』であり『者』だったんだお・・・」
息を切らしながら病院につく。
皮肉なことだった・・・自分が人間ではないと否定した物は人間を治す場所でしか治すことが出来ないなんて・・・
- 60
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:25:22.86 ID:z47a5ZKQ0
- 中に入るとすぐ待ちかねたように二人の影が目に入った。
(´<_` )「シラネーヨ01からの通信と反応が急に消えた・・・多分最終機能を使い壊れてしまったんだろう・・・」
知っていたかのように弟者が切り出す。
( ´_ゝ`)「・・・治したいんだろう・・・?」
兄者が切り出す。
顔は痣だらけでお世辞にも良い男とは言えない状態になっていた。
(ヽ^ω^)「・・・何でもするお・・・金ならいくらでも払うお・・・だから・・・」
( ´_ゝ`)「金なんかいらない・・・早く携帯を渡すんだ。間に合わなくなる」
(ヽ^ω^)「・・・」
無言で携帯を渡したブーンは二言付け加えた。
(ヽ^ω^)「一度死んでるはずの身をシラネーヨさんは救ってくれたお・・・」
(ヽ^ω^)「それにシラネーヨさんはブーンのために命を張ったお・・・そんな自分が逃げてるだけなんて許せないお・・・・・・世界を元に戻すの・・・手伝わせてくれお・・・」
自然と出た言葉である。
- 61
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:27:04.49 ID:z47a5ZKQ0
- ( ´_ゝ`)「・・・・・・すまない・・・」
兄者が地面に顔をつける。
周りの人はビックリした目で見てるが兄者はやめない。
(ヽ^ω^)「・・・・・・謝るのはこっちの方だお・・・自分のことしか考えてなかったお・・・」
そういってブーンも地面に顔をつける。
奇妙なその光景はその後10分は続きそうして二人の間には奇妙な友情が芽生えた。
こうして一部の人間を除いて気づかれず変になった世界は一部の人間を除いて気づかれないうちに元に戻り始めている。
だが、一度壊れてしまったものを元に戻すのは難しいものだ。
どこかがおかしくなってしまう。
人々の八日間の記憶を消すことまでは出来なかったが世界は元に戻っていった。
- 62
名前:( ^ω^)以外が性別転換したようです。 :2007/09/14(金) 21:27:26.56 ID:z47a5ZKQ0
- 八夜目下・完
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