- 2
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:01:32.09 ID:bQdRSSPp0
- ほんの数十分前のこと。
カーチャンが息を引き取った。
隣では涙を流すクーが入る。
俺は・・・。
〜2時間前ぐらい〜
('A`)「カーチャン!!」
余命3ヶ月と言われてからもずっと頑張ってきたカーチャン。
3ヶ月を過ぎても安定して生活して、安心し切っていた矢先のことだった。
前日トーチャンから連絡を受けすぐに新幹線に乗り込んだ。
そして、今目の前には身動き一つとらないカーチャンが居た。
('A`)「カーチャン、しっかりしてくれカーチャン!!」
川 ゚ -゚)「落ち着けドクオ!」
病院内だということも忘れて叫んだ。
周りのことを考える余裕なんて無かった。
('A`)「カーチャン・・・カーチャン・・・」
力なくその場に崩れる。
俺の声はカーチャンには届いてなかった。
- 3
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:06:32.85 ID:bQdRSSPp0
- ようやく落ち着き担当医から話を受ける。
もう長くない、まだ生きてるのが不思議なくらいだと。
そう告げられたあと、最後まで傍にと言われた。
病室に戻ると、カーチャンは目を開けていた。
('A`)「カーチャン・・・」
J( 'ー`)し「ドクオ・・・?」
こちらの問いかけに力なく答えるカーチャン。
傍に近寄ってカーチャンの手を取る。
J( 'ー`)し「来てくれたんだね・・・」
何も言葉が出なかった。
何か言えばいいのに、今のカーチャンには何も言えなかった。
J( 'ー`)し「もうお別れなんだね・・・」
('A`)「カーチャン!?」
カーチャンが手を握り返してくる。
俺はその手をさらにギュッと握り返す。
J( 'ー`)し「ありがとね、ドクオ」
('A`)「カーチャン、俺カーチャンにまだ恩返ししてない、まだ親孝行できてないよ!」
- 4
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:12:52.46 ID:bQdRSSPp0
- J( 'ー`)し「本当に、バカ息子ね・・・」
('A`)「カーチャン・・・?」
カーチャンの口からそんな言葉が出るのは始めてだった。
生まれてから二十数年、バカなんて言葉は一度たりとも言われたことはなかった。
J( 'ー`)し「本当に、私の誇れる最高のバカ息子だよ・・・」
('A`)「カーチャン・・・」
しかしそれは侮蔑の言葉ではない。
心から思ってくれるからこその言葉だとすぐに気づいた。
J( 'ー`)し「自分は弱いのにそれを分かって周りを大切にしようとする。
それで自分が傷ついても我慢してた子だからね・・・」
カーチャンの思いが俺に伝わってくる。
J( 'ー`)し「でも、今は幸せなんだろ?」
('A`)「・・・うん、俺今すっごく幸せだよ」
J( 'ー`)し「良かった・・・、カーチャンも嬉しいよ」
カーチャンは太陽のような笑顔をした。
心電図がまっすぐな線を描く。
握っていた手が力を無くす。
カーチャンの目はそのまま開くことは無かった。
- 5
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:18:14.89 ID:bQdRSSPp0
- 涙は出なかった。
いや、出すことは出来なかった。
('A`)「クー」
川 ;-;)「うぅ・・・」
誰も居ない病室の前。
涙を流すクーを胸に抱きしめる。
('A`)「ありがとな、カーチャンのために泣いてくれて」
川 ;-;)「血は繋がって無くても、私の母親だからな・・・」
声を出すことは無い、ただ黙々と泣き続けるクー。
俺は泣かない、まだ泣いたらダメなんだ。
('A`)「トーチャンに連絡してくる」
クーにそう告げ、病院内の公衆電話を探す。
廊下の隅のほうに置かれた公衆電話からトーチャンに電話をかける。
トーチャンは葬式の手配に行っていた、もちろんカーチャンの。
('A`)「あぁ、分かった・・・」
トーチャンとの電話はすぐ終わる。
カーチャンの通夜は明後日となった。
- 6
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:23:46.20 ID:bQdRSSPp0
- 通夜、葬式共にあっという間に過ぎて行く。
悲しくないわけじゃない、ただそこにある現実を認めたくなかっただけ。
('A`)「カーチャン・・・」
骨となり、骨壷に収められたカーチャン。
今は実家に場所をとり、そこに安置してある。
ショボンさんに連絡を取り長期休暇も貰った。
だから、カーチャンが墓に入るまではこっちに残ることが出来る。
('A`)「・・・」
黙ってカーチャンの遺影と骨壷を見つめる。
まだ実感が持てなかった。
若いとはいかなくともまだ50代だったのだ。
もっと長く生きることも出来たはずなのに。
俺とクーに子供が出来れば孫だと紹介出来たのに。
それも今じゃ叶わない夢となった。
川 ゚ -゚)「ドクオ・・・」
('A`)「クーか」
背後の襖を開けクーが入ってくる。
そして、俺の傍に座りクーもまた一緒に遺影を見た。
- 7
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:27:38.03 ID:bQdRSSPp0
- 二人とも無言で時間が過ぎていく。
何か言い出そうとしてもきっかけが見出せない。
正直、やり辛い空気だった。
川 ゚ -゚)「なぁドクオ」
('A`)「ん?」
そんな空気を打破するようにクーが話し始めた。
川 ゚ -゚)「ドクオ、ずっと泣いてなかったな」
('A`)「あぁ・・・」
カーチャンが死んでから今日に至るまで、一滴たりとも涙を流してはいない。
川 ゚ -゚)「どうしてなんだ?」
('A`)「・・・泣いて死んだ人が生き返るわけじゃない、どうせなら笑って見送ってやりたかったんだ」
それに、周りが泣いたまま見送られたらカーチャンも悲しいはずだ。
笑顔で送ってやりたい、それが俺の本心だ。
川 ゚ -゚)「・・・えいっ」
('A`)「むぐっ!?」
クーに頭をつかまれ抱きかかえられた。
- 8
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:34:11.38 ID:bQdRSSPp0
- 川 ゚ -゚)「ドクオ、我慢しなくていいぞ」
('A`)「な、何を」
川 ゚ -゚)「もう皆ドクオのお母さんの為に涙を流したんだ」
クーが少し力強く俺を抱きかかえる。
川 ゚ -゚)「だから、もうドクオが我慢する必要は無いんだ」
('A`)「でも」
川 ゚ -゚)「泣ける時に泣けるのも、また強さなんだぞ」
('A`)「そっか・・・」
塞き止められていた川のように涙が溢れ出す。
多分、一番俺がそのことに対して固執してたんだと思う。
ずっと、強くあるべきだと、泣いてはいけないと。
でも、本当はカーチャンの為に涙を流したかった。
笑顔で送ってやりたい気持ちもある、だがそれ以上にカーチャンが居なくなったことを悲しんだ。
それを心の奥底にしまいこんで、自分の気持ちに鍵をかけていた。
思えば昔の自分がずっとそんな感じだった。
川 ゚ -゚)「ドクオは強いよ、心も体も・・・」
クーの胸の中で泣き続けた。
ずっと我慢していた分全てを吐き散らすように。
泣いて、泣いて、泣き続けた・・・。
- 9
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:42:00.27 ID:bQdRSSPp0
- ('A`)「一人で大丈夫なのか?」
_、_
( ,_ノ` )「当たり前だバカ息子、お前もさっさと自分の仕事に戻れ」
('A`)「相変わらずだな・・・」
カーチャンの骨が墓に入り、こっちに居る理由も無くなった。
そういうこともあり、トーチャンに別れを告げたのだが。
('A`)「3週間近く店開けたから現状把握するのにどれだけ時間かかるのやら」
川 ゚ -゚)「まぁ、なんとかなるんじゃないか?」
そういうわけにもいかんだろと・・・。
まぁそれでもすぐに把握しなければならないのだが。
〜次の日〜
(#'A`)「何でテメエがそこに居るんだ?」
(;゚∀゚)「いやここ結構座り心地良くて・・・」
(#'A`)「さっさとテメエの仕事場に戻れ!」
( ゚∀゚)「アイアイサー」
ジョルジュを俺の席から引き剥がす。
そして、机の上に溜まった伝票やら受注表やらを見て欝になる。
('A`)「大丈夫かな俺・・・」
- 11
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:48:10.16 ID:bQdRSSPp0
- カーチャンが死んだという大きなこともあったが。
それはすぐに日常とは別と考えれるようになった。
いつまでも固執しているわけにはいかない、俺にも生活はある。
それはそれ! これはこれ! そう考えることが大切だと知った。
川 ゚ -゚)「子供が出来た見たいなんだが」
('A`)「・・・マジ?」
川 ゚ -゚)「あれだけ生で【ピッー】に何度も出されたらな、危険日だったし」
('A`)「クーさん、大丈夫だって」
川 ゚ -゚)b「ごめん嘘♪」
('A`)「オカーサーーーン!!」
とか
( ^ω^)「ブーン達も結婚することになったお!」
ξ///)ξ「そういうわけだから!」
と結婚式の招待状を渡されたり。
(´・ω・`)「バーボンハウス国際化計画始めるよー」
('A`)「どういうことですか・・・?」
(´・ω・`)「米国にビル建ててるんだよ」
('A`)「・・・」
(´・ω・`)「だから、そうなったらドクオ君日本で社長だからよろしく」
('A`)「話が肥大化しすぎてまったく掴めません」
とかあったりした。
- 12
名前:嘘つき作者
◆RPjlOvKrTo :2008/02/04(月)
02:56:01.23 ID:bQdRSSPp0
- まだいっぱい、語りきれない事もあると思う。
でも、それはまた別の話であって。
俺自身が体験したこの数年はとても奇妙で、とても充実していた。
実際にはありえないと思うようなことが俺の周りで何度も起きた。
でも、それが現実で、今居る俺もまたその結果だと知った。
川 ゚ -゚)「ドクオ、どうした?」
('A`)「ん? 考え事してた」
川 ゚ -゚)「ほら、ツンたちの結婚式始まるぞ」
('A`)「あぁ、今行く」
人並みの人生を送ることが出来ればいいと思ってた。
けど、そんな人並み以上の人生を送ることが出来ていると思う。
俺には不釣合いな友人、上司、両親、そして奥さん。
それでも俺の大切な人たちだと思う。
('A`)「おめでとー!」
川 ゚ -゚)「幸せになー!」
たくさんいろんなことがあって。
たくさんいろんな人と会って。
辛い思いも、悲しい思いもいっぱいあったけど。
それ以上に楽しいことがあり、嬉しいことがあった。
それが俺の青春で、俺のこれからだった。
とても充実した青春時代だった・・・。
('A`)と川 ゚ -゚)の新たな生活が始まるよふです 完!
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